JP4665300B2 - シートリフター用の操作伝達装置及びシートリフター装置 - Google Patents

シートリフター用の操作伝達装置及びシートリフター装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートリフター用の操作伝達装置及びシートリフター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に車両のシートには、シートに着座した乗員の好適な視界を確保するために、車両の床面に対してシートを昇降させるシートリフター装置を搭載している。この種のシートリフター装置を駆動操作するための操作伝達装置の一例として、例えば独国特許第19549548号(DE 19549548 C1)に開示された図5に示す装置や、独国特許出願公開第19725899号(DE 19725899 A1)に開示された図6に示す装置がある。
【0003】
図5に示す操作伝達装置50では、ケース51の内壁と従動部材52の間に、バネによって付勢されたニードルベアリング53(またはウェッジ状の部材)が介装されている。そして入力軸側を操作するとバネの張設が緩められて駆動軸54が回動されてシート(図示省略)が昇降され、駆動軸54に外力が加わったときはシートが降下しないように、バネの張設力の基でケース51に従動部材52をくい付かせて駆動軸54の逆転防止を図っている。
【0004】
また図6に示す操作伝達装置60では、操作レバー61をポンプ式に往復動操作することで従動部材62を回動させてシート(図示省略)を昇降させ、駆動軸63に外力が加わったときは逆転防止機構により駆動軸63の逆転防止を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図5に示す操作伝達装置50では、ケース51の開口部51a側にハンドル(操作レバー)等の駆動部材、ケース51の底部51b側に従動側出力(ピニオン55等)を配置せざるを得ない構造となっている。このため、ケース51の取付先であるシートのロアアーム56とピニオン55が相対的に離間して位置するので、ケース51の強度を確保するためにケース51の剛性を高める必要があった。また、この装置50をシートに取付けるとロアアーム56の内側(シート下方)にケース51が突出するので、シートの座り心地が悪化する問題もあった。
【0006】
そこで、図6に示す操作伝達装置60では、ロアアーム64とピニオン65をほぼ同一平面上に配置している。しかしこの装置60でも、逆転防止機構を収容するケース66の開口部66a側が反ロアアーム64側を向いているため、ロアアーム64とピニオン65を同一面上に配置するためにケース66の外周部にフランジ部67を設ける必要がある。
【0007】
このため、ケース66の外径はこのフランジ部67の分だけ余計に径方向に大型化するので、この例の操作伝達装置60ではシートに外力が加わったとき、その外力(応力)によってケース66にしなりやたわみが発生し易くなる問題があった。しかも、順送り機構と逆転防止機構が駆動軸の軸方向に並んで配置されているので、装置60が駆動軸63の軸方向に大型化する問題もあった。
【0008】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、第1の目的は、径方向に小型化できるとともに、ギヤ機構に応力が加わったときの剛性を確保できるシートリフター用の操作伝達装置及びシートリフター装置を提供することにある。第2の目的は、駆動軸の軸方向に装置を小型化できることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明では、操作手段を中立位置を基準とする二方向のうち一方向を選択してポンプ式に駆動操作と復帰操作とからなる往復操作を繰り返すことにより、シートを上昇又は下降させるシートリフター装置に使用され、前記操作手段の操作伝達力を前記シートの昇降機構に出力するために介在するシートリフター用の操作伝達装置であって、前記操作手段の操作力が伝達されることで回転し前記昇降機構を作動させるための回転力をギヤ機構を介して出力する駆動軸と、前記操作手段の駆動操作時に、前記操作手段の操作力を前記駆動軸に伝達可能に作動し、かつ前記操作手段の復帰操作時に、前記操作手段と前記駆動軸との力の伝達を解除する順送り機構と、前記操作手段の駆動操作時に、前記駆動軸の回転を許容するように作動し、かつ前記操作手段の駆動操作以外のときに前記駆動軸の回転を規制する制動機構とを備え、前記制動機構の固定側の制動面を取付面と固定状態にする機能を有するとともに前記制動機構の少なくとも外周側を覆う状態に該制動機構を内包するケースを、前記制動機構が内包される収容部が前記取付面側に開口するように形成し、前記順送り機構と前記制動機構は、前記駆動軸の軸方向と直交する方向において同一面上に配列されていることを要旨とする。なお、「制動面を取付面と固定状態にする」とは、ケースが制動面を兼ねてもよいし、制動面をなす部材とケースとが固定された構造のどちらでも足りる趣旨である。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記制動機構は、前記駆動軸の軸方向と直交する方向において、前記順送り機構に対して外側に配置されていることを要旨とする。
この発明によれば、請求項1の発明の作用に加え、制動機構は、駆動軸の軸方向と直交する方向において、順送り機構に対し外側に配置されているため、軸方向と直交する方向において、制動機構を介したケースへの負荷入力点と、ケースを受け止める取付面での取付箇所との間の距離が短く済む。このため、ケースの剛性が比較的確保され易くなる。また制動機構で得られる制動力は径に比例するため、制動機構が外側に配置されることで相対的に強い制動力が確保される。
【0010】
請求項3に記載の発明では、操作手段を中立位置を基準とする二方向のうち一方向を選択してポンプ式に駆動操作と復帰操作とからなる往復操作を繰り返すことにより、シートを上昇又は下降させるシートリフター装置に使用され、前記操作手段の操作伝達力を前記シートの昇降機構に出力するために介在するシートリフター用の操作伝達装置であって、前記操作手段の操作力が伝達されることで回転し前記昇降機構を作動させるための回転力をギヤ機構を介して出力する駆動軸と、前記操作手段の駆動操作時に、前記操作手段の操作力を前記駆動軸に伝達可能に作動し、かつ前記操作手段の復帰操作時に、前記操作手段と前記駆動軸との力の伝達を解除する順送り機構と、前記操作手段の駆動操作時に、前記駆動軸の回転を許容するように作動し、かつ前記操作手段の駆動操作以外のときに前記駆動軸の回転を規制する制動機構とを備え、前記制動機構の固定側の制動面を取付面と固定状態にする機能を有するとともに前記制動機構の少なくとも外周側を覆う状態に該制動機構を内包するケースを、前記制動機構が内包される収容部が前記取付面側に開口するように形成し、前記操作手段を中立位置に復帰させるための付勢手段は、前記順送り機構及び前記制動機構に対し、前記駆動軸の軸方向において前記取付面側とは反対側に配置されていることを要旨とする。なお、「制動面を取付面と固定状態にする」とは、ケースが制動面を兼ねてもよいし、制動面をなす部材とケースとが固定された構造のどちらでも足りる趣旨である。
請求項1及び請求項3に記載の発明によれば、操作手段の駆動操作時には、順送り機構の作動によってその操作力が駆動軸に伝達されるとともに、制動機構の作動によって駆動軸の回転が許容される。よって操作手段を駆動操作したときには駆動軸が回転する。次に、操作手段の復帰操作時には、順送り機構の作動によって操作手段と駆動軸との力の伝達が解除されるとともに、制動機構によって駆動軸の回転が規制される。よって操作手段を復帰操作したときには駆動軸の回転位置が保持される。こうして操作手段の駆動操作と復帰操作を繰り返すことで駆動軸が少しずつ回転し、操作手段の中立位置を基準とする二方向のうち選択した操作方向に応じて昇降機構が上昇又は下降する。また制動機構の固定側の制動面は、制動機構の少なくとも外周側を覆う状態に制動機構を内包するケースによって取付面と固定状態とされ、このケースは制動機構が内包される収容部が取付面側に開口するように形成されている。このため、ケースは制動機構の外周側を覆う部分の延出経路が制動面から取付面側に近づくように延出することになる。そのため、ケースと取付面との取付箇所を駆動軸から径方向に比較的近くに位置させることが可能となる。従って、ケースが制動機構を介して受ける負荷に対するケースの剛性が相対的に確保され易くなる。
また、請求項1に記載の発明によれば、順送り機構と制動機構は、駆動軸の軸方向と直交する方向において同一面上に配列されているので、操作伝達装置の軸方向における小型化が図られる。
また、請求項3に記載の発明によれば、付勢手段は、順送り機構及び制動機構に対し、駆動軸の軸方向において取付面側とは反対側に配置されているため、両機構を軸方向と直交する同一面上に配列した割に、操作伝達装置が比較的径方向に小型になる。
【0011】
請求項に記載の発明では、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記ギヤ機構は、前記駆動軸の軸方向と直交する方向において前記取付面と略同一平面上に配置されていることを要旨とする。なお、略同一面上とは、全くの同一面上に限らず、軸方向において隣接し合う程度の短距離を隔した近接位置関係をも含む意味である。
【0012】
この発明によれば、請求項1〜3のうちいずれか一項の発明の作用に加え、シートの負荷(荷重)は昇降機構を介してギヤ機構に入力されるが、その入力負荷は制動機構を介してケースに受け止められる。この際、負荷入力点となるギヤ機構と、その負荷入力を受け止めるケースの取付面とが軸方向において略同一面上に位置するため、シートからの負荷が効率よく受け止められる。
【0019】
請求項に記載の発明では、シートリフター装置は、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の操作伝達装置を備えている。
この発明によれば、シートリフター装置には、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の操作伝達装置が備えられているため、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を例えば車両用のシートリフター装置に使用される操作伝達装置に具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0021】
図4に示すように、シート1には、そのシート1が上下方向に昇降可能となるように下部側面にシートリフター装置2が設けられている。シート1は、車両のボディ側に支持されたベース部材3に昇降機構としてのリンク機構4a,4bを介して連結されている。シートリフター装置2は操作伝達装置5を備え、操作伝達装置5はシート1のロアアーム6に取付固定されている。操作伝達装置5は、シート1の後方側(図4では右側)のリンク機構4aの先端とギヤ機構5aを介して連結されている。この操作伝達装置5を操作することによって、シート1はベース部材3に対し昇降される。
【0022】
図1は、シートリフター装置の平断面図、図2は図1におけるII−II線断面図、図3は分解斜視図である。
図2および図3に示すように、操作伝達装置5はケースとしての略円筒状の円筒ケース7を備え、この円筒ケース7の外周部全域に亘って形成されたフランジ部8がシート1のロアアーム6の取付面6aに取付固定されている。円筒ケース7の内側には、その円筒ケース7に対して相対回動可能な駆動軸9が配置されている。駆動軸9と円筒ケース7との間には、両部材7,9に対して相対回動可能に円筒部材10が配置されている。
【0023】
駆動軸9には、所定位置に操作レバー(図示省略)が固定されたハンドル部材11が組付けられている。円筒部材10は、その係合片10aがハンドル部材11の係合溝11aに係止され、ハンドル部材11とともに一体に回動する。
【0024】
図1に示すように、円筒部材10の壁部には、所定の角度で圧力角を設けることで規制部12が4箇所に形成されている。駆動軸9の外周部9aと円筒部材10の内面との間には摺動部材13が4つ介装され、摺動部材13の各2つが規制部12に押圧した状態で当接するように各バネ14によって互いに離間する方向に付勢されている。シート1を昇降或いは下降させるために操作レバーを駆動操作したとき、摺動部材13が規制部12に押圧された状態で当接し、ハンドル部材11から円筒部材10に加えられる操作力が摺動部材13を介して駆動軸9に伝達され、円筒部材10とともに駆動軸9が所定方向に一体回動する。
【0025】
図2および図3に示すように、円筒ケース7は、フランジ部8から反ロアアーム6側へ略直交する方向に延びる外側側壁15aと、その外側側壁15aから略直角に屈曲する底壁15bと、その底壁15bから一体に略直角に屈曲して延びる内側側壁15cとを備えている。内側側壁15cを屈曲形成することによって、取付面6a側に開口された収容部16が形成されている。
【0026】
駆動軸9には4つの係止片17が形成され、この係止片17は円筒ケース7の収容部16に収容可能となるように延びている。駆動軸9には、円筒ケース7および駆動軸9に対して相対回動可能に略円筒形状の従動部材18が組付けられている。従動部材18のロアアーム6側に露出する面には、ピニオン19が形成されている。
【0027】
図1に示すように、従動部材18の壁部には、所定の角度で圧力角を設けることで規制部20が4箇所に形成されている。従動部材18の側壁と円筒ケース7の内側側壁15との間には摺動部材21が4つ介装され、この摺動部材21は4つのうち各2つが各バネ22の付勢力によって各規制部20に圧接されるように配置されている。
【0028】
駆動軸9の回動時、駆動軸9の係止片17および摺動部材21は、軸心Oを中心として両側が一対の組をなして作動する。つまり駆動軸9の係止片17は、回動方向に応じた一方の組の係止片17がその回動先の組の摺動部材21を規制部20と圧接した状態から開放した状態に押出すことが可能となるように配置されている。
【0029】
従動部材18の側壁には、駆動軸9の回動時に一対の摺動部材21が規制部20から開放された後、もう一組の係止片17が当接可能となるように当接部23が形成されている。そして従動部材18は、駆動軸9の回動時に係止片17によって当接部23が押されることによって駆動軸9とともに一体に回動する。例えば図1において、同図のA方向に駆動軸9が回動するとき、係止片17aによって摺動部材21aが開放されて、係止片17bが当接部23を押すことで駆動軸9が回動可能となる。
【0030】
図2および図3に示すように、円筒ケース7の上面には、スプリング支持部材24が図示しないボルトにより取付固定されている。駆動軸9には、操作レバーの駆動操作時に円筒部材10とともに回動するレバー部材25が組付けられている。レバー部材25には4つの係止片26が形成され、この係止片26は円筒部材10に設けられた溝部10b内に収容可能となるように延びている。レバー部材25は、円筒部材10とともに一体回動して操作レバーを最大ストロークした後、スプリング27の付勢力によって円筒ケース7に対して中立位置に復帰する。
【0031】
操作レバーを中立位置に復帰操作するとき、レバー部材25の係止片26および摺動部材13は、軸心Oを中心として両側が一対の組をなして作動する。つまりレバー部材25の係止片26は、レバー復帰時の回動方向に応じた一方の組の係止片26がその回動先の組の摺動部材13を規制部12と圧接した状態から開放した状態に押出すことが可能となるように配置されている。
【0032】
円筒部材10の側壁には、レバー復帰するときの回動時に摺動部材13が規制部12から開放された後、もう一組の係止片26が当接可能となるように当接部28が形成されている。このためスプリング27の付勢力で復帰位置に回動されるレバー部材25によって、一方の組の係止片26により駆動軸9の回動先の組の摺動部材13が開放状態に押されるとともに、他方の係止片26によって円筒部材10が回動されることによって、駆動軸9の回動位置が維持された状態で、ハンドル部材11、円筒部材10、摺動部材13およびレバー部材25が図1に示す中立位置に復帰する。例えば図1において、同図A方向に駆動軸9が回動した後に、操作レバーが中立位置に復帰するとき、係止片26aによって摺動部材13aが開放されて、係止片26bが当接部28を押すことで復帰可能となる。
【0033】
そして、この駆動操作と復帰操作からなる往復操作をポンプ式に繰り返すことによって、シートの上昇および下降方向における高さ位置を設定する。よって操作伝達装置5は、操作レバーを駆動操作したときに、操作レバーの操作力が駆動軸9に伝達されるとともに、操作レバーが中立位置に復帰するときに、操作レバーと駆動軸9との力の伝達を解除する順送り機構を備えている。なお、シート1の上昇操作は中立位置を基準として操作レバーを上方にポンプ式に駆動操作することで行われ、一方、下降操作は中立位置を基準として操作レバーを下方に駆動操作することで行われる。
【0034】
操作レバーを駆動操作しないとき、摺動部材21はバネ22の付勢力によって規制部20の制動面20aに圧接した状態で接触している。このため従動部材18は、円筒ケース7に対して相対回動不能に支持されている。よって、操作伝達装置5は、シート1からピニオン19に外力(荷重)が加わってもその外力は駆動軸9に伝達されない制動機構(逆転防止機構)を備えている。この制動機構の外周側を覆う外側側壁15aは、制動面20aから延びる壁部がロアアーム6の取付面6a(取付箇所)に近づく向きとなるような延出経路をとっている。
【0035】
次に前記のように構成された操作伝達装置5の作用を説明する。
本例の操作伝達装置5のピニオン19は、円筒ケース7とロアアーム6との取付面6aとほぼ同一面上に配置される。しかも、制動機構を内包する円筒ケース7の収容部16がロアアーム6の取付面6a側に開口しているため、ピニオン19が位置する出力機構を取付面6aとほぼ同一平面上に配置しても、円筒ケース7とロアアーム6の取付箇所と駆動軸9との距離が縮まるとともに、円筒ケース7の外径が小さくて済む。そのため、ピニオン19にシート1から外力が加わっても円筒ケース7にはしなりやたわみが起き難くなり、円筒ケース7の剛性が確保され易くなる。また、順送り機構と制動機構とは、円筒ケース7の径方向における同一平面上に配置されるので、駆動軸9の軸方向のコンパクト化も図れる。
【0036】
従って、この実施形態では以下のような効果を得ることができる。
(1)円筒ケース7とロアアーム6の取付面6a上にピニオン19が位置するので、ピニオン19に外力(荷重)が加わっても、円筒ケース7の剛性を容易に確保できる。しかも、円筒ケース7の収容部16をロアアーム6の取付面6a側に開口しているので、円筒ケース7とロアアーム6との間の距離が縮まり、円筒ケース7の外径が小さくて済むため、円筒ケース7にかかる応力が少なくて済む。よって、円筒ケース7の剛性が高く、円筒ケース7にしなりやたわみを起き難くすることができる。
【0037】
(2)順送り機構と制動機構は、径方向においてほぼ同一平面上に配置されているので、軸方向における幅が小さくなり、操作伝達装置5の軸方向のコンパクト化が図れる。
【0038】
(3)制動機構のブレーキ力は径の大きさに比例する。よって、本例の操作伝達装置5は制動機構が径方向外側に配置されているので、円筒ケース7を径方向に小型化しても、相対的に高いブレーキ力を確保できる。
【0039】
(4)操作レバーを中立位置に復帰させるスプリング27は、順送り機構および制動機構に対し、円筒ケースの取付面側と反対側に配置している。よって、円筒ケースを径方向に小型化するときに、スプリング27によって影響され難くなる。
【0040】
なお、実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように変更してもよい。
・ ピニオン19は、取付面6aとほぼ同一平面上に位置することに限定されない。即ち、取付面6aよりもずれて配置され、例えばピニオン19がロアアーム6の内側に位置するものであってもよい。
【0041】
・ 順送り機構と逆転防止機構は、同一平面上に配置されることに限らず、互いにずれた位置に配置されていてもよい。
・ 順送り機構と逆転防止機構の配置位置は、順送り機構が逆転防止機構に対して径方向内側に配置されることに限定されず、径方向において互いに逆であってもよい。
【0042】
・ 操作レバーを中立位置に復帰させるスプリング27は、駆動軸9の軸方向において逆転防止機構に対して反取付面6a側に配置することに限定されない。例えば、円筒ケースの径方向において、順送り機構と逆転防止機構の間に、スプリング27を配置しても構わない。
【0043】
・ 本例の操作伝達装置5は、車両用のシートに使用したが、他の車両以外のシート装置等に採用することもできる。
前記実施形態及び別例から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
【0044】
(1)前記制動機構の固定側の制動面を取付面と固定状態にする機能を有するとともに前記制動機構の少なくとも外周側を覆う状態に該制動機構を内包するケースは、前記制動機構の外周側を覆う部分において前記制動面から取付部に至る向きが前記取付面に近づく向きとなる延出経路で形成されている。
【0045】
(2)取付面に取付けられるケースを、前記制動機構の固定側の制動面とするとともに、前記制動面が一部をなす開口部を前記取付面側に開口するように形成した。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ケースを径方向に小型化できるとともに、ギヤ機構に応力が加わったときの剛性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態における操作伝達装置の平断面図。
【図2】 図1におけるII−II線断面図。
【図3】 操作伝達装置の分解斜視図。
【図4】 シートの側面図。
【図5】 従来における操作伝達装置の側断面図。
【図6】 同じく従来における他の操作伝達装置の側断面図。
【符号の説明】
1…シート、2…シートリフター装置、5…操作伝達装置、4a,4b…昇降機構としてのリンク機構、5a…ギヤ機構、6a…取付面、7…ケースとしての円筒ケース、9…駆動軸、16…収容部、20a…制動面、27…付勢手段としてのスプリング。

Claims (5)

  1. 操作手段を中立位置を基準とする二方向のうち一方向を選択してポンプ式に駆動操作と復帰操作とからなる往復操作を繰り返すことにより、シートを上昇又は下降させるシートリフター装置に使用され、前記操作手段の操作伝達力を前記シートの昇降機構に出力するために介在するシートリフター用の操作伝達装置であって、
    前記操作手段の操作力が伝達されることで回転し前記昇降機構を作動させるための回転力をギヤ機構を介して出力する駆動軸と、
    前記操作手段の駆動操作時に、前記操作手段の操作力を前記駆動軸に伝達可能に作動し、かつ前記操作手段の復帰操作時に、前記操作手段と前記駆動軸との力の伝達を解除する順送り機構と、
    前記操作手段の駆動操作時に、前記駆動軸の回転を許容するように作動し、かつ前記操作手段の駆動操作以外のときに前記駆動軸の回転を規制する制動機構とを備え、
    前記制動機構の固定側の制動面を取付面と固定状態にする機能を有するとともに前記制動機構の少なくとも外周側を覆う状態に該制動機構を内包するケースを、前記制動機構が内包される収容部が前記取付面側に開口するように形成し
    前記順送り機構と前記制動機構は、前記駆動軸の軸方向と直交する方向において同一面上に配列されていることを特徴とするシートリフター用の操作伝達装置。
  2. 前記制動機構は、前記駆動軸の軸方向と直交する方向において、前記順送り機構に対して外側に配置されていることを特徴とする請求項に記載のシートリフター用の操作伝達装置。
  3. 操作手段を中立位置を基準とする二方向のうち一方向を選択してポンプ式に駆動操作と復帰操作とからなる往復操作を繰り返すことにより、シートを上昇又は下降させるシートリフター装置に使用され、前記操作手段の操作伝達力を前記シートの昇降機構に出力するために介在するシートリフター用の操作伝達装置であって、
    前記操作手段の操作力が伝達されることで回転し前記昇降機構を作動させるための回転力をギヤ機構を介して出力する駆動軸と、
    前記操作手段の駆動操作時に、前記操作手段の操作力を前記駆動軸に伝達可能に作動し、かつ前記操作手段の復帰操作時に、前記操作手段と前記駆動軸との力の伝達を解除する順送り機構と、
    前記操作手段の駆動操作時に、前記駆動軸の回転を許容するように作動し、かつ前記操作手段の駆動操作以外のときに前記駆動軸の回転を規制する制動機構とを備え、
    前記制動機構の固定側の制動面を取付面と固定状態にする機能を有するとともに前記制動機構の少なくとも外周側を覆う状態に該制動機構を内包するケースを、前記制動機構が内包される収容部が前記取付面側に開口するように形成し、
    前記操作手段を中立位置に復帰させるための付勢手段は、前記順送り機構及び前記制動機構に対し、前記駆動軸の軸方向において前記取付面側とは反対側に配置されていることを特徴とするシートリフター用の操作伝達装置。
  4. 前記ギヤ機構は、前記駆動軸の軸方向と直交する方向において前記取付面と略同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のシートリフター用の操作伝達装置。
  5. 請求項1〜のうちいずれか一項に記載の操作伝達装置を備えたシートリフター装置。
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