JP3907191B2 - 水系インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系インクに関する。更に詳しくは、インクジェット記録用プリンターに好適に使用しうる水系インク及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンター用の水系インクの色材には、色調の範囲が広く、色再現性に優れているので写真印刷に適していることから、水溶性染料が広く用いられている。しかし、水溶性染料には、耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性が悪いという欠点がある。
【0003】
耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性を改善したインクとして、ポリマー微粒子が配合された水系インク(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらの水系インクは、耐水性、耐擦過性及び耐にじみ性においてある程度の改善が求められるが、インクジェットプリンターで吐出させた際の吐出性が十分でないため、かすれた印字物になりやすいという欠点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平03−056573号公報
【特許文献2】
特開平03−160069号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性に優れた水系インクを提供することを課題とする。本発明は、更にインクジェットプリンターで印字する際の吐出性に優れる水系インクを提供することも課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 顔料を含有する、末端にイオン性基を有する水不溶性ポリマーのポリマー粒子の水分散体を含有する水系インクであって、該イオン性基がイオン性基を有する連鎖移動剤及び連鎖移動剤と重合開始剤との機能をもちイオン性基を有するイニファーターからなる群より選ばれた1種以上に由来のイオン性基である水系インク、並びに
(2) 顔料を含有する、末端にカルボキシル基を有する水不溶性ポリマーのポリマー粒子の水分散体を含有する水系イン
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の水系インクは、顔料とともに末端にイオン性基を有する水不溶性ポリマーが用いられているので、顔料の分散安定性に優れるとともに、インクジェットプリンターで印字する際の吐出性にも優れ、かつ良好な耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性を有するものである。
【0008】
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。必要により、それらの顔料と体質顔料とを併用してもよい。
【0009】
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
【0010】
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
顔料を安定な微粒子として水系インク中に分散させるためには、界面活性剤、水溶性ポリマー又は水不溶性ポリマーを用いることができる。特に、耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性に優れた水系インクを得るためには、水不溶性ポリマーのポリマー粒子中に顔料を含有させることが好ましい。
【0012】
顔料を界面活性剤で分散させる際の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられる。これらの中では、分散安定性及び吐出性の観点から、β−ナフタレンスルフォン酸−ホルマリン縮合物のNa塩〔例えば、花王(株)製、商品名:デモールN、デモールRN、デモールMS等〕、カルボン酸型高分子活性剤〔例えば、花王(株)製、商品名:ポイズ520 、ポイズ521 、ポイズ530 等〕が好ましい。
【0013】
界面活性剤の量は、インクにおける色材の分散安定性及びインクの吐出性の観点から、顔料100 重量部に対して、界面活性剤1〜120 重量部、好ましくは3〜70重量部、更に好ましくは5〜30重量部であることが望ましい。
【0014】
顔料を水中に分散させる際に用いられる水溶性ポリマーとしては、水溶性ビニルポリマー、水溶性エステルポリマー、水溶性ウレタンポリマー等が挙げられる。これらのポリマーの中では、水溶性ビニルポリマーが好ましい。
【0015】
本明細書にいう水不溶性ポリマーの「末端」とは、水不溶性ポリマーの主鎖における末端を意味し、側鎖における末端を意味しない。但し、水不溶性ポリマーがグラフトコポリマーである場合には、水不溶性ポリマーの「末端」には、グラフト鎖の末端も含まれる。
【0016】
水不溶性ポリマーの末端には、 重合開始剤に由来の末端、連鎖移動剤に由来の末端及びモノマーに由来の末端がある。
【0017】
本明細書における「イオン性基」とは、現に電荷を有していてイオン状態になっている官能基、及び電荷を有していないが外的作用によってイオンとなりうる能力を有する官能基の双方を意味する。
【0018】
イオン性基としては、カチオン性基、アニオン性基及びベタイン性基が挙げられる。イオン性基は、ポリマーの片末端又は両末端に存在するのが好ましい。片末端あたりのイオン性基の数は、親水性の観点から、1個以上が好ましく、2個以上がより好ましい。
【0019】
カチオン性基の具体例としては、式:−NHn 4 2-n (式中、nは0〜2の整数、R4 はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を示す)で表されるアミン塩基、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、式:−P(R5)2 (式中、R5 は、それぞれ独立してアルキル又はアリール基を示す)で表されるホスフィン基等が挙げられ、これらのカチオン性基は、それぞれ単独で又は2種以上を用いてもよい。これらの中では、インクの分散安定性と、耐水性及び耐擦過性との両立の観点から、アミン塩基が好ましい。なお、前記アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、また前記アリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
【0020】
アニオン性基の具体例としては、−COOM基(式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を示す。以下同じ)、−SO3 M基、−PO3 2 基等が挙げられ、これらのアニオン性基は、それぞれ単独で又は2種以上を用いてもよい。
【0021】
ベタイン性基の具体例としては、カルボベタイン基、スルホベタイン基、ホスホベタイン基、例えば、アミノ酸に含まれているような、分子内にアミノ基とカルボキシル基とを有するもの等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を用いることができる。これらの中では、インクの分散安定性と、耐水性及び耐擦過性との両立の観点から、分子内にアミノ基とカルボキシル基とを有するものが好ましい。
【0022】
イオン性基が、イオン性基を有する連鎖移動剤、イオン性基を有する重合開始剤及び連鎖移動剤と重合開始剤との機能をもち、イオン性基を有するイニファーター(以下、単に「イニファーター」という)からなる群より選ばれた1種以上に由来のイオン性基であることが好ましい。
【0023】
末端にイオン性基を有する水不溶性ポリマーは、イオン性基を有する連鎖移動剤、イオン性基を有する重合開始剤及びイニファーターからなる群より選ばれた1種以上の存在下で、モノマーを重合させることによって得ることができる。
【0024】
イオン性基を有する重合開始剤としては、2,2'- アゾビス(2- アミジノプロパン)、二塩基酸、4,4'- アゾビス(4- シアノ吉草酸)、2,2'- アゾビス[2-(5-メチル-2- イミダゾリン-2- イル)プロパン] ジヒドロクロリド、2,2'- アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2- イル)プロパン] 二塩酸塩、2,2'- アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2- イル)プロパン] 二硫酸塩二水和物、2,2'- アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2- イル) プロパン] ジヒドロクロリド、2,2'- アゾビス[2-(1-(2- ヒドロキシエチル)-2-イル) プロパン] ジヒドロクロリド等が挙げられる。
【0025】
イオン性基を有する連鎖移動剤としては、連鎖移動を起こす官能基及びイオン性基を有するものであればよい。連鎖移動を起こす官能基としては、例えば、メルカプト基、ジスルフィド基等が挙げられるが、中でもメルカプト基が好ましい。イオン性基を有する連鎖移動剤におけるイオン性基の数には制限がなく、その数は、2以上であってもよい。
【0026】
イオン性基を有する連鎖移動剤の具体例としては、1-アミノ-2−メチル-2- プロパンチオール、2-アミノエタンチオール、2-ジエチルアミノエタンチオール、2-ジメチルアミノエタンチオール、4-アミノチオフェノール、ジチオジアニリン、3,4,5,6-テトラヒドロ-2- ピリミジンチオール、2-メルカプトチアゾリン等のカチオン性を有する連鎖移動剤;チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ乳酸、4,4'- ジチオブチリック酸、3,3'- ジチオプロピオン酸、ジチオグリコール酸等のアニオン性を有する連鎖移動剤;並びにDL- ペニシラミン、N-(2- メルカプトプロピオニル)グリシン、DL- システイン、DL- ホモシステイン、シスタミン、DL- シスチン等のチオール基含有アミノ酸及びその誘導体等のベタイン性を有する連鎖移動剤が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
なお、優れた吐出性を有する水系インクを得る観点から、カチオン性を有する連鎖移動剤の中では、2-アミノエタンチオール及び2-ジエチルアミノエタンチオールが好ましく、アニオン性を有する連鎖移動剤の中では、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸及びメルカプトプロピオン酸が好ましく、ベタイン性を有する連鎖移動剤の中では、DL- システインが好ましい。これらの中でも、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸及びメルカプトコハク酸がより好ましく、片末端に2個のイオン性基を与える連鎖移動剤であるメルカプトコハク酸がもっと好ましい。
【0028】
電荷を有していないが、外的作用によってイオンとなりうる能力を有する官能基を有する連鎖移動剤を用いる場合、水系インクを調製する前に、その官能基の全部又は一部をイオン化させる。イオン化は、この連鎖移動剤にイオン化させる化合物を添加することによって連鎖移動剤が有する官能基をイオン化させてもよく、あるいは水不溶性ポリマー中に存在している官能基によって分子内で該官能基をイオン化させてもよい。
【0029】
例えば、連鎖移動剤としてチオグリコール酸の存在下でモノマーを重合させた場合には、得られた重合反応混合物中に、チオグリコール酸の活性水素を中和しうるアルカリ性化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性化合物を添加すればよい。しかし、この場合においても、ポリマーを構成するモノマーの中にアミノ基を有するモノマーが含まれている場合には、生成したポリマーの末端のカルボキシル基は、すでにイオン化されているので、重合終了時にあえてアルカリ性化合物を添加する必要がない。
【0030】
なお、連鎖移動剤として、カチオン性基を有する連鎖移動剤を用いた場合には、逆の電荷を有する化合物、すなわち陰イオン性を有する化合物を用いればよい。
【0031】
イオン性基を有する連鎖移動剤の量は、吐出性に優れた水系インクを得る観点及び水不溶性ポリマーの分散安定性を向上させる観点から、重合に供される全モノマー100 重量部に対して、0.001 〜10重量部であることが好ましい。また、イオン性基を有する連鎖移動剤の量は、耐水性、耐擦過性、吐出性及び耐にじみ性に優れた水系インクを得る観点から、重合に供される全モノマー100 重量部に対して、好ましくは0.01〜7 重量部、より好ましくは0.1 〜5 重量部である。
【0032】
なお、本明細書にいう水不溶性ポリマーにおける「水不溶性」とは、ポリマーを有機溶媒に溶解させ、ポリマーの水分散体とする際の中和度に、ポリマーが有する塩生成基を中和し、105 ℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解度が2g未満であることを意味する。「水溶性」とは「水不溶性」以外を意味する。
【0033】
イニファーターとしては、1,2-ビスカルボキシメチル-1,1,2,2- テトラフェニルエタン、1,2-ビス(2- カルボキシエチル)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等が挙げられる。
【0034】
イオン性基を有する連鎖移動剤、イオン性基を有する重合開始剤及びイニファーターの中では、イオン性基を有する連鎖移動剤は、その使用が簡便であるので好ましい。
【0035】
本明細書においてポリマーを構成するモノマーの種類については何ら制限がないが、良好な吐出性、耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性を最大限に発現させるために、水不溶性ポリマーは、水不溶性ビニルポリマーであることが好ましい。水不溶性ビニルポリマーとしては、イオン性基を有する連鎖移動剤、イオン性基を有する重合開始剤、及び前記イニファーターからなる群より選ばれた1種以上の存在下で、(A)塩生成基含有モノマー〔以下、(A)成分という〕と、(B)マクロマー〔以下、(B)成分という〕と、(C)塩生成基含有モノマー及びマクロマーと共重合可能なモノマー〔以下、(C)成分という〕を含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーがより好ましい。
【0036】
(A)成分としては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9-286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
【0037】
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、 N-(N',N'-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
【0038】
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸モノマーが好ましい。
【0039】
水不溶性ビニルポリマーにおける(A)成分の含量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%である。
【0040】
(B)成分としては、数平均分子量500 〜100000、好ましくは1000〜10000 の重合可能な不飽和基を有するマクロマーが挙げられる。その中では、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが着色剤との親和性が高いことから好ましい。
【0041】
なお、(B)成分の数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0042】
水不溶性ビニルポリマーにおける(B)成分の含量は、特に顔料を含有するポリマー粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
【0043】
スチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するものが好ましい。マクロマー中におけるスチレン含量は、顔料との親和性を向上させる観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0044】
(C)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部の炭素数が1〜30である(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、2-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0045】
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
【0046】
(C)成分には、水系インクの印字濃度及び耐マーカー性を向上させる観点から、スチレン系モノマーが含まれていることが好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン及び2-メチルスチレンが好ましく、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。この場合、(C)成分におけるスチレン系モノマーの含量は、水系インクの印字濃度及び耐マーカー性を向上させる観点から、好ましくは10〜100 重量%、より好ましくは40〜100 重量%である。
【0047】
水不溶性ビニルポリマーにおける(C)成分の含量は、水系インクの耐水性、耐擦過性及び耐マーカー性を向上させる観点から、好ましくは5〜88重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
【0048】
また、モノマー混合物には、(D)水酸基含有モノマー〔以下、(D)成分という〕及び(E)式(I):
CH2 C=C(R1 )COO(R2 O)p 3 (I)
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R2 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3 は水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは1〜60の数を示す)
で表されるモノマーからなる群より選ばれた1種以上のモノマーが含有されていてもよい。
【0049】
(D)成分は、分散安定性を高め、また印字した際に短時間で耐マーカー性を向上させるという優れた効果を発現するものである。
【0050】
(D)成分としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、n はエチレンオキシドの付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15) ・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0051】
水不溶性ビニルポリマーにおける(D)成分の含量は、水系インクの吐出安定性、印字濃度及び耐マーカー性を向上させる観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
【0052】
水不溶性ビニルポリマーにおける(A)成分と(D)成分との合計含量は、水中での水不溶性ポリマーの安定性及び水系インクの耐水性の向上させる観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
【0053】
(E)成分は、水性インクの吐出安定性を更に高め、連続印字してもヨレの発生を抑制するという優れた効果を発現するものである。
【0054】
式(I) において、R1 は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基である。これらの中では、水素原子及びメチル基が好ましい。
【0055】
2 は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
【0056】
2 の代表例としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族環、置換基を有していてもよい炭素数3〜30のヘテロ環及び置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキレン基が挙げられ、これらの環又は基は2種以上を組合わせたものであってもよい。置換基としては、炭素数6〜29の芳香族環、炭素数3〜29のヘテロ環、炭素数1〜29のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基等が挙げられる。
【0057】
2 の好適な例としては、炭素数1〜24の置換基を有していてもよいフェニレン基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキレン基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキレン基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキレン基が挙げられる。
【0058】
また、R2 O基の好適な例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらオキシアルキレンの1種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基やオキシフェニレン基が挙げられる。
【0059】
3 は、水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
【0060】
3 の代表例としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族環、置換基を有していてもよい炭素数3〜30のヘテロ環、及び置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。置換基としては、炭素数6〜29の芳香族環、炭素数4〜29のヘテロ環、ハロゲン原子、アミノ基等が挙げられる。
【0061】
3 の好適な例としては、フェニル基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
【0062】
3 のより好適な例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ)ブチル基、(イソ)ペンチル基、(イソ)ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基が挙げられる。
tは1〜60の数であるが、中でも1〜30の数が好ましい。
【0063】
(E)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(I) 中のpの値を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。
【0064】
水不溶性ビニルポリマーにおける(E)成分の含量は、水系インクの吐出安定性及び水不溶性ポリマーの分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0065】
また、水不溶性ビニルポリマーにおける(A)成分と(E)成分との合計含量は、水中での水不溶性ポリマーの分散安定性及び水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。
【0066】
また、水不溶性ビニルポリマーにおける(A)成分と(D)成分と(E)成分との合計含量は、水中での水不溶性ポリマーの分散安定性及び水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは11〜60重量%、より好ましくは19〜50重量%である。
【0067】
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0068】
溶液重合法に用いられる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒は、水と混合して用いることもできる。
【0069】
極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
【0070】
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2,2'- アゾビスイソブチロニトリル、2, 2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビスブチレート、2,2'- アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'- アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好ましい。また、ラジカル重合開始剤として、t-ブチルペルオキシオクトエート、ジ-t- ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を用いることもできる。
【0071】
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物に対して、好ましくは0.001 〜5重量%、より好ましくは0.01〜2重量%である。
【0072】
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は30〜100 ℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0073】
重合反応の終了後、再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、反応溶液から水不溶性ビニルポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
【0074】
水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量(実施例に記載の方法で測定)は、3000〜100000であることが、印刷後の耐水性、耐擦過性、耐マーカー性及び分散安定性の点から好ましい。
【0075】
水不溶性ビニルポリマーの中和剤としては、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を用いることができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。
【0076】
水不溶性ビニルポリマーの中和度には、特に限定がない。通常、得られる水分散液の液性が中性、例えば、pHが4.5 〜9.5 であることが好ましい。
【0077】
水不溶性ビニルポリマーの中和後、該水不溶性ビニルポリマー単独でインク中に含有させてもよく、あるいは着色剤を含有させた水不溶性ビニルポリマーのポリマー粒子をインク中に含有させてもよい。これらの中では、着色剤を含有させた水不溶性ビニルポリマーのポリマー粒子は、耐水性、耐マーカー性、耐擦過性、吐出性及び耐にじみ性の全てを満足させる観点から好ましい。
【0078】
インク中における水不溶性ポリマーの量は、耐水性、耐擦過性、耐マーカー性、吐出性及び耐ブリード性の観点からインク100 重量部に対して、0.05〜20重量部、好ましくは0.1 〜10重量部、更に好ましくは0.5 〜5重量部である。
【0079】
顔料を含有する、末端にイオン性基を有する水不溶性ポリマーのポリマー粒子の水分散体 (以下、「末端イオン性ポリマー水分散体」という)を得る方法としては、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、顔料、水、中和剤及び必要に応じ界面活性剤を加えて混練してペーストとした後、該ペーストを必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にする方法が好ましい。
【0080】
水不溶性ポリマーのポリマー粒子中の着色剤の量は、印字濃度を高め、ポリマー粒子に着色剤を含有させやすくし、耐水性、耐擦過性及び耐マーカー性を向上させる観点から、水不溶性ポリマーの固形分100 重量部に対して、好ましくは20〜1000重量部、より好ましくは40〜800 重量部、更に好ましくは60〜600 重量部である。
【0081】
水不溶性ポリマーのポリマー粒子の平均粒径は、以下の製造例に記載の方法で測定される。かかる平均粒径は、分散安定性の観点から、10〜500nm であることが好ましい。
【0082】
インク中における着色剤の含有量は、十分な印字濃度が得られるのであればよく、特に限定がない。通常、インク中における着色剤の含有量は、十分な吐出安定性及び印字濃度を付与する観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量%である。
【0083】
本発明の水性インクには、各種添加剤、例えば、多価アルコール等の湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤、pH調整剤等を添加することができる。
【0084】
【実施例】
製造例1〜4(ポリマー溶液の調製)
反応容器内に、表1の「初期仕込みモノマー」の欄に示す種類及び量のモノマー、溶媒並びにイオン性基を有する連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置換を十分に行った後、75℃に昇温した。
【0085】
一方、滴下ロートに表1の「滴下モノマー」の欄に示す種類及び量のモノマー溶媒、連鎖移動剤、並びに2,2'−アゾビス(2,4 −ジメチルバレロニトリル)を加え、前記反応容器内に5時間かけて滴下しながら重合を行った後、更に2時間熟成させた後、メチルイソブチルケトンを適宜追加し、ポリマー固形分濃度が50重量%のポリマー溶液を得た。
【0086】
なお、製造例1〜3で得られたポリマーは、連鎖移動剤由来のイオン性基を末端に有し、製造例4で得られたポリマーは、該イオン性基を有しない。
【0087】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定したところ、得られたポリマーは、表1に示す重量平均分子量を有していた。なお、得られたポリマーがイオン性基を末端に有することは、核磁気共鳴装置等により確認することができる。
【0088】
なお、表1に示す各名称は、以下のことを意味する。
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6〔スチレン単独重合マクロモノマー、片末端重合性官能基:メタクリロイル基、数平均分子量:6000〕・モノメトキシポリエチレングリコール(n=4) メタクリレート:新中村化学(株)製、商品名:NKエステルM-40G
【0089】
【表1】
Figure 0003907191
【0090】
製造例5〜12(顔料含有水不溶性ポリマー粒子水分散体の調製)
製造例1〜4で得られたポリマー溶液28重量部(ポリマー固形分:50重量%)に、表2に示す顔料、メチルエチルケトン、イオン交換水及び中和剤を加えて十分に攪拌した後、3本ロール〔(株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A 〕を用いて20回混練した。
【0091】
得られたペーストをイオン交換水250 重量部に投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20重量%の顔料含有水不溶性ポリマー粒子水分散体を得た。得られた水不溶性ポリマーのポリマー粒子の平均粒径を以下の方法に従って求めた。その結果を表2に示す。
【0092】
〔平均粒径の測定法〕
大塚電子(株)製のELS-8000を用いて測定した。測定条件は、温度が25℃、入射光と検出器との角度が90°、積算回数が100 回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力した。また標準物質としてセラディン(Seradyn) 社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ (平均粒径204nm)を用いた。
【0093】
なお、表2に記載の各名称は、以下のことを意味する。
・カーボンブラック:デグサ社製、商品名:Color Black FW18
・シアン顔料:大日本インキ工業(株)、商品名:Fastogen Blue TGR-SD
【0094】
【表2】
Figure 0003907191
【0095】
実施例1〜6
製造例5〜10で得られた顔料含有水不溶性ポリマー粒子水分散体20重量部、グリセリン8重量部、ポリエチレングリコール(分子量:800)5重量部、アセチレングリコール・ポリエチレンオキサイド付加物〔川研ファインケミカル(株)製、商品名:アセチレノールEH〕0. 2部及びイオン交換水66.8重量部を混合し、得られた混合液を1.2 μmのメンブランフィルター〔富士写真フィルム(株)製、商品名:ディスクカプセル CALC120 2.5CMD 50〕で濾過し、それぞれ実施例1〜6の水系インクを得た。これらの水系インクは末端にイオン性基を含有する水不溶性ポリマーを含有する。
【0096】
比較例1及び2
実施例1において、顔料含有水不溶性ポリマー粒子水分散体をそれぞれ製造例11及び12で得られた顔料含有水不溶性ポリマー粒子水分散体に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1及び2の水系インクを得た。これらの水系インクは、その末端にイオン性基を含有する水不溶性ポリマーを含有していない。
【0097】
次に、各実施例及び各比較例で得られた水系インクの物性を以下の方法に基づいて測定した。その結果を表3に示す。
【0098】
(1) 吐出性
市販のキャノン(株)製のバブルジェットプリンター(登録商標)(品番:F870)を用いて、キャノンPB紙に2000文字/枚を10枚連続印刷した後、文字、ベタパターン及び罫線を含むテスト文書を印字し、以下の評価基準に基づいて吐出性を評価した。
【0099】
〔評価基準〕
◎:シャープでハッキリとした文字、均一なベタ印刷、及びよれのない罫線印刷の3項目をいずれも満足する場合(実使用上問題なし)
○:シャープでハッキリとした文字、均一なベタ印刷、及びよれのない罫線印刷の3項目をいずれもほぼ満足する場合(実使用上問題なし)
×:シャープでハッキリとした文字、均一なベタ印刷、及びよれのない罫線印刷のうち、1項目以上を満足しない場合(実使用上問題あり)
【0100】
(2) 耐水性
前記プリンターと紙を用いてベタ印字し、25℃の雰囲気中に1時間放置させた後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃にて自然乾燥させた後、印字濃度を測定した。ベタ印字した直後の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
【0101】
〔評価基準〕
◎:残存率95%以上
○:残存率90%以上95%未満
△:残存率70%以上90%未満
×:残存率70%未満
【0102】
(3) 耐マーカー性
前記プリンターと紙を用い、テキスト印字し、6時間経過後、市販の水性蛍光ペン〔(株)パイロット製、商品名:スポットライターV OA SGV-15SL 〕でなぞった場合の印字サンプルの汚れ度合いを目視により観察し、以下の評価基準に基づいて耐マーカー性を評価した。
【0103】
〔評価基準〕
◎:蛍光ペンでなぞっても尾引き等汚れがない。
○:蛍光ペンでなぞると尾引きするが、実用上問題がないレベル。
×:蛍光ペンでなぞると尾引きが発生し、汚れがひどい。
【0104】
(4) 耐擦過性
上記プリンターを用い、光沢紙(エプソン社製、商品名:MC光沢紙)にベタ印字し、6時間経過後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0105】
〔評価基準〕
◎:ほとんど印字はとれず、周りが黒くならない。
○:印字が擦りとられ、少し周りが黒くなるが、実用上問題ないレベル。
×:かなり印字が擦りとられ、周りがひどく黒くなり、指も相当汚れる。
【0106】
【表3】
Figure 0003907191
【0107】
表3に示された結果から、実施例1〜6で得られた水系インクは、末端にイオン性基を有するポリマーが用いられているため、耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性に優れるとともに、インクジェットプリンターで印字した際の吐出性に優れていることがわかる。
【0108】
【発明の効果】
本発明の水系インクは、耐水性、耐マーカー性及び耐擦過性に優れるとともに、インクジェットプリンターで印字した際の吐出性に優れるという効果を奏する。

Claims (8)

  1. 顔料を含有する、末端にイオン性基を有する水不溶性ポリマーのポリマー粒子の水分散体を含有する水系インクであって、該イオン性基がイオン性基を有する連鎖移動剤及び連鎖移動剤と重合開始剤との機能をもちイオン性基を有するイニファーターからなる群より選ばれた1種以上に由来のイオン性基である水系インク。
  2. 末端にイオン性基を有する水不溶性ポリマーが、イオン性基を有する連鎖移動剤及び連鎖移動剤と重合開始剤との機能をもちイオン性基を有するイニファーターからなる群より選ばれた1種以上の存在下で、(A)塩生成基含有モノマーと、(B)マクロマーと、(C)塩生成基含有モノマー及びマクロマーと共重合可能なモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーである請求項1記載の水系インク。
  3. モノマー混合物が、更に(D)水酸基含有モノマー及び(E)式(I):
    2 C(R1 )COO(R2 O)p 3 (I)
    (式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R2 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3 は水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは1〜60の数を示す)
    で表されるモノマーからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを含有し、(C)塩生成基含有モノマー及びマクロマーと共重合可能なモノマーが(D)水酸基含有モノマー及び(E)のモノマーとも共重合可能なモノマーである請求項記載の水系インク。
  4. イオン基を有する連鎖移動剤が、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸及びメルカプトコハク酸からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜3いずれか記載の水系インク。
  5. 顔料を含有する、末端にカルボキシル基を有する水不溶性ポリマーのポリマー粒子の水分散体を含有する水系インク。
  6. カルボキシル基が、カルボキシル基を有する連鎖移動剤、カルボキシル基を有する重合開始剤、及び連鎖移動剤と重合開始剤との機能をもちカルボキシル基を有するイニファーターからなる群より選ばれた1種以上に由来のカルボキシル基である、請求項5記載の水系インク。
  7. 末端にカルボキシル基を有する水不溶性ポリマーが、カルボキシル基を有する連鎖移動剤、カルボキシル基を有する重合開始剤、及び連鎖移動剤と重合開始剤との機能をもちカルボキシル基を有するイニファーターからなる群より選ばれた1種以上の存在下で、(A)塩生成基含有モノマーと、(B)マクロマーと、(C)塩生成基含有モノマー及びマクロマーと共重合可能なモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーである請求項5又は6記載の水系インク
  8. カルボキシル基を有する連鎖移動剤が、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸及びメルカプトコハク酸からなる群より選ばれた1種以上である請求項6又は7記載の水系インク。
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