JP3906960B2 - 生物脱臭材、生物脱臭材の製造方法、及び、生物脱臭方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物脱臭材、および、生物脱臭材の製造方法、および、生物脱臭材を用いた生物脱臭方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、浄化槽から放散される悪臭による環境の悪化、また生ゴミ収集場所(生ゴミ収集缶を含む)より発生する悪臭は近隣住民に多大な迷惑を及ぼしている。
【0003】
他方、生ゴミの処分はその発生現場にて処理することが最善と言われ、家庭より発生する生ゴミは家庭用生ゴミ処理機による乾燥処理や各種の生物分解法及び装置により処理されているものの、いずれも悪臭の発生を防除したり、発生した悪臭ガスを捕捉分解して無臭化することは現実には行われていないと言える。
【0004】
更に料理店、旅館、ファミリーレストラン、その他外食産業の施設においては、浄化槽の悪臭、生ゴミの悪臭及び生ゴミ処理機より発生する悪臭により、顧客を始め、近隣の住民に対しても不快感を与える等の迷惑を及ぼしている。
【0005】
またバキュームカーの放出による悪臭についても同様である。
【0006】
これらの悪臭の処理のために、従来は、化学処理による吸着、又は酸化処理或いは土壌脱臭、汚泥脱臭等が行われている。しかし、これらのいずれの場合も処理設備の設置に当たっては高いコスト負担や広いスペースが要求され、ランニングコストの高さと困難なメンテナンスが求められ、しかも二次的な廃棄物が発生する等の問題が多く、それらが普及することを困難にしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、高い処理効果と安定性が極めて優れた生物脱臭材、および、生物脱臭材の製造方法、ならびに、生物脱臭材を用いた生物脱臭方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明の生物脱臭材を用いて、悪臭の発生を防止することもできる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、悪臭成分を捕捉し該成分を栄養として分解する生物脱臭材であって、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種により植物系素材を発酵処理して中間発酵物を得、該発酵処理により増殖したバチルス(Bacillus)属細菌を該中間発酵物に担持させて得られたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生物脱臭材において、含水率が30%〜65%であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の生物脱臭材において、前記植物系素材は、バチルス(Bacillus)属細菌により発酵処理してもその形状を保持し、且つ、バチルス(Bacillus)属細菌の炭素源栄養となる素材であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、悪臭成分を捕捉し該成分を栄養として分解する生物脱臭材の製造方法であって、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種により植物系素材を発酵処理して中間発酵物を得、該発酵処理により増殖したバチルス(Bacillus)属細菌を該中間発酵物に担持させて得ることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の生物脱臭材の製造方法において、含水率を30%〜65%とすることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の生物脱臭材の製造方法において、植物系素材は、バチルス(Bacillus)属細菌により発酵処理してもその形状を保持し、且つ、バチルス(Bacillus)属細菌の炭素源栄養となる素材であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、生物脱臭方法において、請求項1に記載の生物脱臭材に悪臭成分を含有する空気を接触させて悪臭成分を吸着分解することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の生物脱臭方法において、請求項8に記載の発明は、炭素源を添加補充することを特徴とするものであり、請求項9に記載の発明は、窒素源を補充添加することを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
<生物脱臭材の製造方法>
本発明の生物脱臭材は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種により植物系素材を発酵処理して中間発酵物を得、該発酵処理により増殖したバチルス(Bacillus)属細菌を該中間発酵物に担持させて得られたものであり、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種には、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)を含んでも良い。バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)の菌種は複数存在するが、それらの菌種の中から任意に単離し、傾斜培地に保管しておき、平面培地あるいは液体培地で増殖して使用することができる。この菌種を以下、バチルス(Bacillus)属単離菌という場合がある。
【0019】
本発明の生物脱臭材の製造方法では、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種を植物系素材に植菌して発酵処理し、中間発酵物を得る。
【0020】
次いで、該発酵処理により増殖したバチルス(Bacillus)属細菌を該中間発酵物に担持させて本発明の生物脱臭材を製造することができる。
【0021】
植物系素材としては、籾ガラ、電動カンナ屑、木材チップ(細片)などを用いることができる。発酵処理に際しては、植物系素材に窒素源栄養(尿素、硫安、鶏糞,油かす等)、及び炭素源栄養(バーク、動植物油等)をバランスよく与えることが好ましい。
【0022】
発酵処理に際しては、保温箱内で発酵させ、適宜空気を混入して、発酵を進行させ、添加栄養を分解することが好ましく、その結果、バチルス(Bacillus)属細菌を増殖させることができる。
【0023】
植物系素材は発酵処理によって中間発酵物になり、それ自体に空隙が存在するようになるため、細菌の担体として使用され、その結果この中間発酵物に菌体が保持されることになる。
【0024】
中間発酵物の生成に関して説明すると、籾ガラ、電動カンナ屑、木材チップ(細片)等はセルロースよりなるため、その分解は遅れ、中間発酵物の状態にあり、その形状を保っている。しかもそれらは完全に発酵が終了しても炭素化された状態にあり、空隙材としての性格を失わないのである。
【0025】
この中間発酵物は上記の機能のみでなく、悪臭成分の発酵分解に際しては炭素源として利用されることとなり、非常に効果的である。
【0026】
得られた生物脱臭材の脱臭効果は含水率が30%〜65%である際に好まし い。即ち、30%未満では生物増殖機能が劣り、栄養を分解せず、脱臭効果が劣り、また65%を越えると脱臭材として用いた時に目つまりを発生させ、臭気成分との接触効率が劣り、結局脱臭効果が劣る。なお長期の保存に際しては、菌が安定し胞子状態で発芽しないため水分20%未満の乾燥状態下で行うとよい。
【0027】
<生物脱臭方法>
本発明の生物脱臭方法において、使用する生物脱臭材は上述した製造方法で製造されたものを用いる。
【0028】
この発明において、脱臭に際しては、生物脱臭材に悪臭成分を含有する空気を接触させて悪臭成分を吸着分解することである。
【0029】
本発明においては、発酵処理により製造した生物脱臭材の含水率は30%〜65%であることが好ましい。30%未満では生物増殖機能が劣り、栄養を分解せず、脱臭効果が劣る。また65%を越えると脱臭材として用いた時に目つまりを発生させ、臭気成分との接触効率が劣る問題がある。更により好ましくは含水率50〜65%である。
【0030】
従って上記の含水率となるように水分を保持し、悪臭成分を含有する気体と接触させることにより、悪臭成分を生物脱臭材が吸着し、更に分解するものであ る。
【0031】
また生物脱臭材と悪臭成分の接触時間は、悪臭濃度の高いものは接触時間を長く、悪臭濃度の低いもの程、接触時間は短くてよい。
【0032】
生物脱臭材は、悪臭成分を捕捉し、該成分はバチルス(Bacillus)の栄養として分解されるが、高密度で保持されたバチルス(Bacillus)により速やかに分解される。よって、長期使用により、生物脱臭材が増量することはなく、むしろ、中間発酵状態で装入された生物脱臭材は長期使用により発酵分解が進行してその嵩を減じる。
【0033】
また生物脱臭材は、長期的には分解が進行し、その形状を損ない、生物脱臭材としての機能を損なうおそれがある。従って、毎年1回程度のメンテナンスと生物脱臭材の補充又は入れ替えを行うことが望ましい。
【0034】
乾燥状態にある生物脱臭材は安定状態にあり、長期の保存や輸送にも耐えられる。
【0035】
<生物脱臭材を適用した装置>
以下に、本発明の生物脱臭材を適用した装置の態様について、図面に基づき説明する。
【0036】
図1は生ゴミ処理機に本発明を適用した例を示す図であり、同図において、1は生ゴミ処理機本体、2は蓋体、3は生ゴミ、4は侵出水タンクである。5は生ゴミ処理機内の空間の空気を外部に排出する排気部であり、排気手段としてシロッコファンが用いられている。6は脱臭槽であり、金網の内部に上記の生物脱臭材が充填されている。脱臭槽6は生ゴミ処理機内空間又は排気口部に設置することができる。シロッコファンを駆動すると、悪臭空気中の悪臭成分は外部に吸引される過程で、脱臭材に吸着され、分解されて無臭化する。
【0037】
金網の材質は、ステンレス又はプラスチックを使用することが好ましい。悪臭成分中には、腐蝕を起こさせたり、時間の経過と共に溶解酸に変化する成分があり、それらによる損傷をさけることが大切である。また、流体の安定した流動を維持する上からも重要である。
【0038】
図2は浄化槽の排気の脱臭に本発明を適用した例を示す図であり、同図において、7は浄化槽内空間から悪臭成分を含む空気を導入するための接続管である。8は脱臭槽であり、内部には多孔材(ステンレス製の金網、パンチングメタル等)で形成された多孔容器9の中に本発明の生物脱臭材10が充填されており、該容器9は脱臭槽8に着脱可能に構成されている。11は排出管12に設けられたファンである。ファン11を駆動すると、悪臭空気中の悪臭成分は外部に吸引される過程で、脱臭材に吸着され、分解されて無臭化する。13は水道水を導入して生物脱臭材10に散水する散水口である。
【0039】
脱臭槽8の材質はステンレス又はプラスチックが好ましい。悪臭成分中には、腐蝕を起こさせたり、時間の経過と共に溶解酸に変化する成分があり、それらによる損傷をさけることができ、また、流体の安定した流動を維持する上からも重要であるからである。
【0040】
脱臭槽は、図示のようなフランジを設けて、容器9の着脱を可能にしたり、あるいはメンテナンス時に解体を容易にすることも好ましい。
【0041】
なお上記の脱臭槽は浄化槽臭突部に設けることもできる。臭突等に取付ける簡易型(小型)については、臭突と脱臭槽の接続部を強化するための冶具や、固定ベルト(ステンレス又はプラスチック製)、更にシーラー(コーキング材、接着材、ゴムシーラー材、シールテープ等)を用いることが好ましい。
【0042】
また、脱臭槽の形状、大きさは、自由に設定できるが、通常の悪臭成分濃度であれば、1〜3秒程度の接触時間で充分脱臭できるので、対象の浄化槽容量毎に規格化も容易である。
【0043】
本実施の形態では、ステンレス網等で造られた多孔容器、更にその上部に、長期休止又は立ち上げ時に生物脱臭材に30%以上65%未満の水分を含ませる必要があり、そのための散水弁(手動)の設置、更に上部には、強制排気用のシロッコ又はファンを設置することができる。
【0044】
ファンを有する脱臭槽においては、脱臭槽内での悪臭空気の通過速度を一定になるような運転をすることが脱臭効果を上げる上で好ましい。
【0045】
<悪臭発生防止方法>
本発明の生物脱臭材を用いて悪臭の発生を防止する方法は、栄養源を含む対象を微生物により分解して生物処理する際に発生する悪臭を防止する方法において、アンモニア臭及び硫化水素臭の防止には炭素源を添加補充し、有機酸臭の防止には窒素源を補充添加することであり、これは栄養分解過程でタンパク合成に必要な成分を添加補充することを意味している。
【0046】
微生物としては、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種である。
【0047】
栄養源を含む対象とは、窒素源(尿素、硫安など)、炭素源(廃油など)を含むもので、例えば浄化槽では生活排水、生ゴミ処理機では生ゴミなどである。生活排水では、繊維、脂質は有機酸臭となり、タンパク質は硫化水素臭、アンモニア臭となる。
【0048】
アンモニア臭及び硫化水素臭の防止に添加する炭素源は廃油などであり、また有機酸臭の防止に添加する窒素源は尿素、硫安などである。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳述するが、かかる実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0050】
(参考例)
図3に示す実験装置を設置し、脱臭効果の測定を行った。
【0051】
ボンベ30に充填された高千穂標準ガスを使用した。標準ガスはNH3ガスとH2Sガスを使用した。NH3ガスは1000ppm、500ppm、50ppmのそれぞれ3水準に希釈したものを用意し、H2Sガスは30ppm、5ppm、0.1ppmのそれぞれ3水準に希釈したものを用意した。
【0052】
上記のガスを、減圧器31で減圧後、ガス希釈器32及び流量計33を経由して生物脱臭槽34に通じ、サンプリング用10リットルフラスコ35に処理ガスを採取し、検知管法により測定した。
【0053】
生物脱臭槽34に用いた生物脱臭材は後述の実施例1で使用したものを用い た。
【0054】
実験の結果は以下の通りであった。
【0055】
【0056】
この実験より、実施例の生物脱臭材が極めて高い脱臭能を持つことが立証された。
【0057】
(実施例1)
生物脱臭材の製造は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)の菌種の中から任意に単離し、傾斜培地に保管しておき、平面培地あるいは液体培地で増殖したバチルス(Bacillus)属単離菌を植物系素材である籾ガラに植菌して発酵処理し、中間発酵物を得る。次いで、該発酵処理により増殖したBacillus属細菌を該中間発酵物に担持させて本発明の生物脱臭材を製造した。生物脱臭材の含水率は55%であった。
【0058】
上記の生物脱臭材を用いて家庭用生ゴミ処理機の脱臭性能を確認するために以下の実験を行った。
【0059】
図1に示すようなサンヨー電機製生ゴミ処理機を用いて、メーカーのインストラクション通りの家庭用生ゴミ処理(魚のアラ、鶏ガラ、しゃぶしゃぶ残飯、米飯、納豆、野菜屑等)を行ったところ、1週間経過時点での残留未分解生ゴミ量も多く、激しいアンモニア臭を発するようになった。検知管による測定では NH3 ガス濃度は70ppm〜60ppmであった。
【0060】
そこで、生ゴミ処理機背面のシロッコファン5の前部に、ステンレス製金網のカートリッジを置き、生物脱臭材6を充填して運転した。
【0061】
測定は全て検知管法によった。その結果、排気中のNH3ガス濃度は1ppm以下に激減し、悪臭は消滅した。
【0062】
(比較例1)
実施例1において、生物脱臭材の含水率を25%、70%にそれぞれ代えた以外は全く同様にして脱臭実験を行ったが、いずれの場合も脱臭効果が不十分であった。
【0063】
(実施例2)
実施例1と同一の生ゴミ処理機を用いて、野菜屑、残飯、天ぷら粕、コーヒー粕、生魚滓類、廃油等を分解するテストを行ったところ、強い有機酸臭が発生し、更に硫化水素ガス(H2S=4.6ppm)も混入していた。
【0064】
次いで、実施例1と同様に生物脱臭材を入れた脱臭槽を設置したところ、排気中の有機酸臭は消滅し、硫化水素濃度は0.1ppmに激減した。測定は、H2Sは検知管法、有機酸臭は感応検査によった。
【0065】
かかる現象は、特性の異なるバチルス(Bacillus)の複数種を用いて発酵処理(増殖)した生物脱臭材によってはじめて達成されるものであった。
【0066】
(実施例3)
浄化槽排気の脱臭実験を以下のようにして行った。
【0067】
流入水量10m3/日、BOD濃度1000ppmの給食センター浄化槽より発生する悪臭は、アンモニア臭と硫化水素臭の混合した激しいものであり、臭突から排出される悪臭と、駐車場地下埋設の加重マンホール蓋及び駐車場横側のシマ鋼板蓋の隙間からもれる悪臭で、近隣の住宅では夏場でも窓を開けることができない状態が長く続いてきた。
【0068】
時間帯や天候によっても悪臭の程度や影響の及ぶ範囲は異なるが、浄化槽臭突出口での悪臭成分濃度は、NH3=30〜40ppm、H2S=3.0〜12ppmに達していた。測定は全て検知管法によった。
【0069】
この臭突に、図2に示す生物脱臭槽(脱臭材は実施例1で使用したものと同じ)を設置し、浄化槽の曝気量×1.2〜2.0倍の強制脱臭排気を行った。なお、流出悪臭ガスと生物脱臭材の接触時間は1.5〜3.0秒と極めて短いものであった。
【0070】
実験の結果、NH3=1.0ppm以下、H2S=0.1ppm以下となり、感応テストにおいても悪臭を感じなくなった。
【0071】
(実施例4)
嫌気処理浄化槽排ガスの脱臭テストを以下のようにして行った。
【0072】
嫌気処理浄化槽の悪臭は、誰しも苦労しているが、その処理の現状は、活性炭吸着或いはアルカリ洗浄に頼っている。いずれも吸着材の劣化や酸化剤の劣化も激しく、多くのメンテナンス負荷とコスト負担を強いられている。しかも、近隣への悪臭公害は著しいものがあり、何処の嫌気処理浄化槽を運転している工場でも、行政と企業、住民と企業の間に常にトラブルがあり、困った問題となっている。
【0073】
例えば、高BOD負荷を処理する食品加工工場では、高負荷故に、メタンバ クテリア処理(嫌気性処理)を排水処理に用いるのが常であり、これらの施設では、浄化槽で発生する臭気を活性炭吸着設備を用いて吸着し、定期的に活性炭の再生処理を行っているが、入れ替え作業時は頻繁であり、その都度、数日間の工場休止を余儀なくされたり、又はアルカリ溶液による吸着洗浄を行った後、放出しているが、これとて配合した酸化剤の劣化や吸着アルカリの劣化のため、能力が低下し、工場休止を伴うメンテナンスと高いコストを負担している。
【0074】
この問題を解決するため、嫌気処理槽上に図4に示すような生物脱臭設備を設置した。
【0075】
図4において、40は脱臭槽、41は電動カンナ屑を用いた生物脱臭材を入れた多孔容器であり、42は脱臭槽40の上部に設置された2次脱臭槽である。43は排出管44に設けられるシロッコファンである。45は点検口である。46は水道水を導入して多孔容器41(生物脱臭材入り)に散水する散水口である。
【0076】
シロッコファン43を運転して強制排気脱臭を行っところ、脱臭槽通過後のアンモニア、アミン、硫化水素臭は全く感応しないまでに脱臭した。
【0077】
なお、脱臭前のNH3=300〜400ppm、H2S=10〜30ppmであったものが、NH3=5ppm以下、H2S=0.1ppm以下にまで脱臭され た。
【0078】
(実施例5)
国内S電機社製、新タイプの生ゴミ処理機(容量55リットル)、発酵床(オガ屑)40リットル、ヒーター加温、排水システムなし、の仕様の機器を用いて、メーカー・インストラクションで生ゴミ800g/日を用いて生ゴミ処理を行った。
【0079】
先ず、鰯まる500g、野菜屑200g、米飯100gを毎日投入したところ、5日目より強いNH3臭60〜65ppmを発するようになった。また未分解ゴミの残留も多くあった。
【0080】
これに対し、(1)天ぷら廃油1リットルを添加混合したところ、30分後にはNH3臭は消滅し、以降も10日間はNH3臭が発生しなくなった。また添加した廃油はよく分解され、CO2、H2O、熱に変換された。発酵温度が66℃になった。
【0081】
(2)また投入生ゴミを米飯500g、廃油200ml、芋煮100gを毎日投入し続けた。当初は芋煮、米飯の未分解残渣が多くあり、6日経過時点より発酵温度が徐々に上昇しはじめ、15日目には66℃に達したが、このころより強い有機酸臭を発するようになった。
【0082】
そこで、尿素結晶200gを発酵床に混合したところ、15〜20分で消臭された。またその後も7日間は有機酸臭を発しなかった。このように添加栄養の種類を調整することにより、悪臭発生を予防できた。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、高い処理効果と安定性が極めて優れた生物脱臭材、および、生物脱臭方法を提供することができ、この生物脱臭方法に基づく脱臭装置として生ゴミ処理機や浄化槽等に用いる場合には、新規な設置スペースが不要であり、簡潔な装置、規格化が可能、メンテナンスフリーであり、設置コストが安価であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した例を示す図
【図2】本発明を適用した他の例を示す図
【図3】実験例を示した図
【図4】本発明を適用した他の例を示す図
【符号の説明】
1:生ゴミ処理機本体
2:蓋体
3:生ゴミ
4:侵出水タンク
5:排気部
6:脱臭槽
7:接続管
8:脱臭槽
9:多孔容器
10:生物脱臭材
11:ファン
12:排出管
30:ボンベ
31:減圧器
32:ガス希釈器
33:流量計
34:生物脱臭槽
35:フラスコ
40:脱臭槽
41:多孔容器
42:2次脱臭槽
43:シロッコファン
44:排出管
Claims (9)
- 悪臭成分を捕捉し該成分を栄養として分解する生物脱臭材であって、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種により植物系素材を発酵処理して中間発酵物を得、該発酵処理により増殖したバチルス(Bacillus)属細菌を該中間発酵物に担持させて得られたことを特徴とする生物脱臭材。
- 含水率が30%〜65%であることを特徴とする請求項1に記載の生物脱臭材。
- 前記植物系素材は、バチルス(Bacillus)属細菌により発酵処理してもその形状を保持し、且つ、バチルス(Bacillus)属細菌の炭素源栄養となる素材であることを特徴とする請求項1または2に記載の生物脱臭材。
- 悪臭成分を捕捉し該成分を栄養として分解する生物脱臭材の製造方法であって、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)及びバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)を主とする複合菌種により植物系素材を発酵処理して中間発酵物を得、該発酵処理により増殖したバチルス(Bacillus)属細菌を該中間発酵物に担持させて得ることを特徴とする生物脱臭材の製造方法。
- 含水率を30%〜65%とすることを特徴とする請求項4に記載の生物脱臭材の製造方法。
- 植物系素材は、バチルス(Bacillus)属細菌により発酵処理してもその形状を保持し、且つ、バチルス(Bacillus)属細菌の炭素源栄養となる素材であることを特徴とする請求項4または5に記載の生物脱臭材の製造方法。
- 請求項1に記載の生物脱臭材に悪臭成分を含有する空気を接触させて悪臭成分を吸着分解することを特徴とする生物脱臭方法。
- 炭素源を添加補充することを特徴とする請求項7に記載の生物脱臭方法。
- 窒素源を補充添加することを特徴とする請求項7に記載の生物脱臭方法。
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