JP3906382B2 - 振出容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、有底筒状の本体の上端開口部に開閉蓋体を有するキャップを組付けた、粉チーズ等の粉状内容物の振出容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の振出容器の代表例として、頂板の前部に比較的小さい振出口を設けると共に、この振出口を開閉する略半円状の蓋板を頂板にヒンジ結合して成るキャップを、有底筒状の本体の上端開口部に、アンダーカット結合により離脱不能に組付けた構成の振出容器が知られている。
【0003】
また、この種の振出容器の購入前の不正開封防止手段は、容器の上端部を、少なくともキャップの蓋体の周縁部を覆った状態で、熱収縮性フィルムで被覆する手段が一般に採用されており、本体に対するキャップの組付きが、アンダーカット結合であるので、例え熱収縮性フィルムと一体にキャップを回転させても、キャップが空転するだけで、熱収縮性フィルムを破断除去しない限り、蓋体の開封を達成できないので、高い不正開封防止効果を発揮している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の振出容器にあっては、振り出し操作による内容物の振り出し量は少く設定されており、またキャップは本体から取外せないように組付けられているので、多量の内容物を必要とする場合にも振り出しによる取り出し方法しかなく、内容物の取り出しにきわめて時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
また、一度に多量の内容物の取り出しを可能とすべく、本体に対してキャップを離脱可能に組付けることが考えられるが、このように本体に対してキャップを離脱可能に組付ける構成とすると、不正開封防止用の熱収縮性フィルムと一緒にキャップを本体から離脱させることが可能となり、熱収縮性フィルムを利用した不正開封防止手段の採用が不可能となると云う問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、キャップを本体から離脱可能とすると共に、熱収縮性フィルムを利用した不正開封防止手段の採用を可能とすることを技術的課題とし、もって一度に多量の粉状内容物を本体から直接取出し可能とし、かつ熱収縮性フィルムを利用して確実な不正開封防止効果を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
有底筒状の本体と、頂板の前部に振出口を開設すると共に、この振出口を開閉する蓋板を、ヒンジを介して頂板に一体形成して、本体の上端開口部に被嵌する有頂筒状のキャップとから構成した振出容器に関するものであること、
本体の上端開口部の外周面に第一の螺条をそして内周面に係止片を設けること、キャップの筒壁の内周面に、本体の第一の螺条に螺合する第二の螺条を設けること、
キャップの蓋板の裏面に、キャップが本体に螺合限に組付いた閉蓋状態で、キャップの振出口を貫通して、キャップを本体に対して螺脱させようとする際に、本体の係止片に係止する係止突片を突設すること、
にある。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に、本体の係止片を、本体の軸に対して軸対称位置に一対設けた、ことを加えたものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に、キャップの蓋板の裏面に設けた係止突片を、螺脱方向側を垂直状の係止面とし、螺合方向側に傾斜面を設け、蓋板の周方向に沿った垂下板片状に設けた、ことを加えたものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に、本体の係止片を、両端に突片を設けることにより中央部を凹部とした形状に形成すると共に、キャップが本体に螺合限に組付いた閉蓋状態で、蓋板の係止突片が本体の係止片の凹部内に位置するように位置設定した、ことを加えたものである。
【0011】
【作用】
振出容器の使用開始前には、不正開封防止用の熱収縮性フィルム製のキャップシールを、キャップから本体上端部に亘って被着し、このキャップシールを破断して蓋板を開放しない限り、蓋体の係止突片と本体の係止片とは係止可能な状態にある。
【0012】
従って、キャップシールを破断することなく、キャップを取外す目的で、キャップシールと一体にキャップを螺脱回転させようとしても、キャップの蓋体の係止突片と本体の係止片とが当接して係止するため、それ以上回転させることは不可能であり、よってキャップを本体から取外すことはできず、不正開封が防止される。
【0013】
振出容器の使用開始時には、キャップシールを破断して蓋板を開放し、通常の振り出し操作を行なえばよいが、特に多量の内容物を必要とする場合には、蓋板を開放した状態でキャップを螺脱回転させれば、係止突片と係止片とが係止することはなく、本体からキャップを取外せるので、スプーン等で内容物を本体から直接取り出すことができる。
【0014】
【実施例】
図1ないし図5は、本発明の第一の実施例を示したもので、本体1は、直線円筒状の筒体と、この筒体の下端開口部に密に嵌着する底蓋とから成る有底円筒状に形成され、そのやや縮径した上端開口部の外周面に第一の螺条2が刻設されていると共に、上端開口部の内周面上端には、平板片状の係止片3が中心に向かって突設されている。
【0015】
キャップ4は有頂短円筒状に形成され、その筒壁5の内周面には、第一の螺条2に螺合する第二の螺条6(図4参照)が刻設されており、また頂板7の前部には略三角状の振出口8が並列に三つ開設されていると共に、この振出口8を開閉する略半円状の蓋板9が、ヒンジ13を介して頂板7に一体形成されている。
【0016】
この蓋板9の前部裏面には、キャップ4が本体1に螺合限に組付いた閉蓋状態で、頂板7に開設された振出口8を貫通して本体1の係止片3に係止する係止突片10が、周方向に沿った垂下板片状に突設されており、この係止突片10は、螺脱方向側を垂直状の係止面11とし、螺合方向側に傾斜面12を形成した構成となっている。
【0017】
この振出容器は、その使用開始前の段階においては、不正開封防止のために、熱収縮性合成樹脂製フィルムにより破断可能に形成したキャップシール(バージンシール)を、キャップ4から本体1上端部に亘って被着し、使用開始前における蓋板9の不正な開封を防止する。
【0018】
この図1ないし図5図示実施例において、係止片3と係止突片10との組合せ構成がきわめて簡単となるものの、係止片3の機械的強度を必ずしも充分に大きくすることができるとは限らず、このため通常の常識範囲内では充分な不正開封阻止力を発揮することができるものの、常識外の強力な不正開封力に対しては不正開封阻止作用を発揮し得ず、係止片3の破壊により不正開封が有ったことを認識させることになる。
【0019】
図6は、本発明の第二の実施例を示したもので、係止片3を一対、本体1の軸芯に対して軸対称に、すなわち180°ずらして設けており、振出口8は一つの略楕円状開口部で構成されていて、他の構成は第一の実施例と同様である。
【0020】
この第二の実施例の場合、二つの係止片3の一方を機能させれば良いので、他方の係止片3は機能しないが、本体1とキャップ4との螺合結合が、ピッチの大きい二重螺条結合構造で、半回転以下の回転処理により螺合結合が達成される場合には、本体1に対するキャップ4の螺合組付けの位置合わせが簡便となる。
【0021】
図7ないし図9は、本発明の第三の実施例を示したもので、本体1の係止片3は、軸対称に一対設けられており、両端に突片3aを設けることにより中央部が凹部3bとした形状となっていて、またキャップ4の蓋板9裏面に設ける係止突片10は、キャップ4の径方向に沿ったものとなっている。
【0022】
本体1の係止片3は、本体1にキャップ4を螺合組付けし、かつ蓋板9を閉じた場合に、係止突片10がいずれかの凹部3b内に位置するように位置設定されており(図8、図9参照)、その他の構成は、第一の実施例と同様である。
【0023】
この第三の実施例において、係止片3と係止突片10との組合せ構成が、第一の実施例および第二の実施例に比べて僅かに複雑になるものの、係止片3の機械的強度を充分に高めることができるので、充分に強大な不正開封阻止力を発揮することができ、それゆえ大型容器に用いるのが適している。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
振出容器の使用時において、通常は、蓋板を開放し、容器を反転させて振り出し操作を行なえばよいが、特に多量の内容物を必要とする場合には、蓋板を開放した状態でキャップを螺脱回転させれば、係止突片と係止片とが係止することはなく、本体からキャップを容易に取外すことができるので、スプーン等で内容物を本体から直接取り出すことにより、多量の内容物を迅速に取り出することができ、もって内容物の取り出し状態を状況に応じて適宜に選択して、便利で好適な取扱いを得ることができる。
【0025】
振出容器の使用開始前には、不正開封防止用のキャップシールが、キャップから本体上端部に亘って被着してあって、蓋板を開放することはできないので、このキャップシールを破断することなくキャップを取外す目的で、キャップシールと一体にキャップを螺脱回転させようとしても、係止突片と係止片とが当接して係止するため、それ以上回転させることは不可能であり、よってキャップを本体から取外すことはできず、不正開封を確実に防止することができる。
【0026】
請求項2記載の発明にあっては、本体に対するキャップの螺合組付けを、簡便にかつ迅速に達成することができ、もって振出容器の自動組立てを簡単にかつ安定して実施することができる。
【0027】
請求項3記載の発明にあっては、係止片と係止突片との組合せ構成をきわめて簡単なものとすることができるので、容器、特に本体の成形が容易となり、もって容器の製造に要する経費の増大分を低く抑えることができる。
【0028】
請求項4記載の発明にあっては、係止片と係止突片との組合せ構造を、充分に機械的強度の高いものとすることができるので、大きな不正開封力を掛け易い大型容器に対して好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示す、全体の分解斜視図。
【図2】図1に示した実施例の本体の構成を示す、上端部半縦断側面図。
【図3】図1に示した実施例の本体の構成を示す、全体平面図。
【図4】図1に示した実施例のキャップの構成を示す、全体縦断側面図。
【図5】図1に示した実施例のキャップの構成を示す、全体平面図。
【図6】本発明の第二の実施例を示す、全体の分解斜視図。
【図7】本発明の第三の実施例を示す、全体の分解斜視図。
【図8】図7に示した実施例の組付状態を示す、要部縦断側面図。
【図9】図8中、A−A線に沿って切断矢視した、半断底面図。
【符号の説明】
1 ; 本体
2 ; 第一の螺条
3 ; 係止片
3a; 突片
3b; 凹部
4 ; キャップ
5 ; 筒壁
6 ; 第二の螺条
7 ; 頂板
8 ; 振出口
9 ; 蓋板
10; 係止突片
11; 係止面
12; 傾斜面
13; ヒンジ
Claims (4)
- 有底筒状の本体(1) と、頂板(7) の前部に振出口(8) を開設すると共に、該振出口(8) を開閉する蓋板(9) を、ヒンジ(13)を介して前記頂板(7) に一体形成して、前記本体(1) の上端開口部に被嵌する有頂筒状のキャップ(4) とから構成した振出容器において、前記本体(1) の上端開口部の外周面に第一の螺条(2) をそして内周面に係止片(3) を設け、前記キャップ(4) の筒壁(5) の内周面に前記第一の螺条(2) に螺合する第二の螺条(6) を設け、前記蓋板(9) の裏面に、前記キャップ(4) が本体(1) に螺合限に組付いた閉蓋状態で、前記振出口(8) を貫通して、前記キャップ(4) を本体(1) に対して螺脱させようとする際に、前記係止片(3) に係止する係止突片(10)を突設して成る振出容器。
- 本体(1)の係止片(3)を、前記本体(1) の軸に対して軸対称位置に一対設けた請求項1記載の振出容器。
- キャップ(4) の蓋板(9) の裏面に係止突片(10)を、螺脱方向側を垂直状の係止面(11)とし、螺合方向側に傾斜面(12)を設け、前記蓋板(9) の周方向に沿った垂下板片状に設けた請求項1記載の振出容器。
- 本体(1)の係止片(3)を、両端に突片(3a)を設けることにより中央部を凹部(3b)とした形状に形成すると共に、キャップ(4) が前記本体 (1)に螺合限に組付いた閉蓋状態で、蓋板(9) の係止突片(10)が前記凹部(3b)内に位置するように位置設定した請求項1記載の振出容器。
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