JP3905350B2 - 防音カバーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のエンジンなどから発生する音を吸音及び遮音して、騒音を防止できる防音カバーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車では、エンジンからの騒音を遮蔽するために、エンジンの周囲あるいは下部にブロックサイドカバーやアンダーカバーなどが配設されている。これらの防音カバーは、例えば特開平10−205352号公報に見られるように、樹脂又は鋼板よりなる硬質の遮音層と、遮音層のエンジン側表面に積層された高分子発泡体よりなる吸音層とから構成されている。この防音カバーでは、遮音層がエンジンからの音を遮蔽し、吸音層がエンジンからの音を吸音する。
【0003】
つまり音源であるエンジンから発せられた音波は、吸音層を通過する際に吸音層である程度吸音され、残りの音波が遮蔽層に到達する。音波は硬質の遮音層を通過することは困難であるため遮音層で反射され再び吸音層を通過する。したがって音波はエンジンと遮音層の間で反射を繰り返し、吸音層を通過する度に吸音されるので、効果的に防音することが可能となる。
【0004】
ところが遮音層は硬質の板状であるために、遮音層自体が振動すると騒音の発生源となるという不具合がある。そこで吸音層を厚く構成することにより、音波が遮音層まで到達して遮音層を振動させるのを防止することも行われている。このような防音カバーは、吸音層を音源に接して配置したり、ゴムマウントなどの防振部材を介してエンジン又はエンジン近傍に固定されたりして用いられている。
【0005】
例えば図9〜11に示すようなブロックサイドカバー 100は、エンジンブロック 200にゴムマウント 300を介して固定されている。このブロックサイドカバー 100は、鉄板からなる遮音層 101と、ウレタンフォームからなる吸音層 102とから構成されている。そして遮音層 101に部分的に設けられた貫通孔にゴムマウント 300が嵌合され、そのゴムマウント 300がエンジンブロック 200に図示しないボルトなどで固定されて用いられる。
【0006】
このような防音構造では、ゴムマウント 300が存在しない部分では、図11に示すように吸音層 102がエンジンブロック 200に直接当接してエンジンブロック 200の振動が遮音層 101に伝達されるのを防止し、ゴムマウント 300が存在する部分では、図10に示すようにゴムマウント 300によってエンジンブロック 200の振動が遮音層 101に伝達されるのが防止されている。
【0007】
また例えば特開平9-134179号公報には、密度の異なる複数層からなる吸音層と遮音層とからなる防音カバーを用い、エンジンなどの振動体にゴムマウントを介して遮音層を固定した構造が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の防音カバーでは、表面の全面に遮音層 101が表出しているため、遮音層 101からの二次放射音が発生するという不具合があった。つまり吸音層 102で吸音されなかった音波が遮音層 101側へ回り込んで二次放射音となる。また、エンジンルーム内で反射した音波が硬質の遮音層 101で反射することでも二次放射音が発生する。
【0009】
さらに吸音層 102は弾性を有するために、エンジンブロック 200などの振動が吸音層 102に伝わると吸音層 102も振動し、その振動が遮音層 101に伝えられ遮音層 101が振動して遮音層 101自体が音源となる場合もあった。この不具合は、ゴムマウント 300などの防振部材を用いて遮音層 101を固定しても防止することが困難である。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遮音層と吸音層とからなる防音カバーの製造方法において、遮音層からの二次放射音の発生を抑制して防音効果をさらに高めた防音カバーを確実に製造することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の防音カバーの製造方法の特徴は、硬質で板状の遮音層と、ウレタンフォームよりなり遮音層の表裏面の略全面を覆って表層を形成し遮音層に接合された吸音層と、からなり、吸音層が騒音源に当接するように配置される自動車用の防音カバーの製造方法であって、
遮音層には端部に遮音層の表裏両面に通じる切り欠きが形成され、成形型の中心線に対して切り欠きと反対側にある遮音層の端部を一対の成形型の割型面に沿った把持部で把持し、発泡ウレタン樹脂を切り欠きの位置に注入して吸音層を一体成形することにある。
【0012】
上記課題を解決するもう一つの発明の防音カバーの製造方法の特徴は、硬質で板状の遮音層と、ウレタンフォームよりなり遮音層の表裏面の略全面を覆って表層を形成し遮音層に接合された吸音層と、からなり、吸音層が騒音源に当接するように配置される自動車用の防音カバーの製造方法であって、
遮音層には端部に遮音層の表裏両面に通じる切り欠きが形成され、成形型の中心線に対して切り欠きと反対側の遮音層の端面を成形型の割型面に沿って突き当てた状態とし、発泡ウレタン樹脂を切り欠きの位置に注入して吸音層を一体成形することにある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の防音カバーでは、吸音層が遮音層の表裏面の略全面を覆っている。そのため吸音層で吸音されなかった音波が遮音層側へ回り込んだ場合でも、遮音層の表面側に存在する吸音層で吸音することができる。またエンジンなどの振動が吸音層に伝わって吸音層が振動し、その振動が遮音層に伝えられて遮音層自体が振動したとしても、遮音層で発生した空気の波は遮音層の表面側に存在する吸音層で吸収される。
【0014】
また吸音層が遮音層の表裏面の略全面を覆っているため、遮音層自体の制振効果の増加も期待できる。
【0015】
したがって本発明の防音カバーによれば、遮音層からの二次放射音の発生を効果的に抑制することができ、かつ表層の吸音層で周囲の音を吸音できるため、騒音を大きく低減することができる。
【0016】
本発明の防音カバーは、遮音層が音源から分離された状態で配置されることが望ましい。これにより音源の振動が直接遮音層に伝わることがないので、遮音層からの二次放射音の発生をさらに抑制することができる。
【0017】
遮音層としては、樹脂板あるいは金属板からなる硬質の板状のものを用いることができる。単位面積当たりにある程度大きな質量を有することが必要であるが、その形状は音源の形状及び配置スペースの形状によって決められ、特に制限されない。
【0018】
吸音層は、ウレタンフォームを用いる。その厚さは、遮音層の表裏面側ともに厚いほど好ましいが、配置スペースに応じて適宜決定することができる。
【0019】
吸音層と遮音層とは、接合されていることが必要である。接合されていないと劣化などによって遮音層と吸音層の間に隙間が生じ、その隙間から音が漏れたり、隙間に侵入した音波が遮音層を振動させて二次放射音が発生する場合がある。この意味から、接合は全面で行うことが望ましい。
【0020】
吸音層を遮音層に接合するには、遮音層を型内に配置し、その型内で吸音層を一体成形することで接合することが好ましい。すなわち、接着性に優れた発泡ウレタン樹脂を用い、吸音層をウレタンフォームから一体成形することが望ましい。
【0021】
このように吸音層をウレタンフォームから形成する場合には、金型内でのウレタン発泡成形により形成できるので、形状の自由度が大きい。したがって防音カバーが三次元立体形状をなす場合、あるいは部分的に吸音層の厚さが異なるような形状の場合にも容易に対応することができる。
【0022】
なお吸音層をウレタンフォームから形成する場合には、そのみかけ密度は一般に吸音特性に優れた0.06〜0.12g/cm3 程度が好ましい。また遮音層を型内に配置して吸音層を形成する一体成形の場合には、遮音層と型面との間にウレタンフォームを確実に形成するためには、遮音層の片側において約5mm以上の厚さでウレタンフォームを形成する必要がある。したがって遮音層の表裏面を覆う吸音層の厚さは5mm以上とすることが望ましい。
【0023】
吸音層は遮音層の表裏面の略全面を覆っている。完全に全面を覆うことが最も望ましい。しかし遮音層を型内に配置してその表裏両表面に吸音層を形成する一体成形の場合には、遮音層を型内で保持する必要があり、型と遮音層の当接部には吸音層を形成することが困難となる。また、ゴムマウントなどで遮音層を騒音源に固定する場合には、ゴムマウントの近傍で部分的に遮音層の表面が表出することになる。したがって遮音層の一部が必然的に表出することとなるが、それらの表出部の合計面積である表出面積が遮音層全体の面積に対して小さければ二次放射音の発生を抑制できる。この表出面積は、遮音層全体の面積に対して表裏各々が50%以下であることが望ましく、さらには20%以下とすることがより望ましい。表出面積が50%を超えると、表出する遮音層による二次放射音が大きくなり防音効果が低下してしまう。
【0024】
ところで遮音層を型内に配置してその表裏両表面に吸音層を形成する一体成形の場合には、遮音層の表裏面に沿って流動した発泡樹脂が、表裏面のどこかで合流することとなるため、発泡樹脂とともに押し流された型内の空気が合流部に溜まり、その部分に欠肉が生じて遮音層が表出する場合がある。このような欠肉部は、その位置や大きさを制御することが困難であり、その位置や大きさによっては防音特性に影響を及ぼす場合もある。さらに吸音層の厚さは遮音層の裏面側で厚く表面側で薄いのが好ましいが、この場合には欠肉が表面側で生じやすくなり、意匠上からも不良品となってしまう。
【0025】
そこで遮音層の表裏両表面のうち、少なくとも吸音層で確実に被覆しなければならない部分では、欠肉部の生成を確実に防止することが望ましい。このようにするには、例えば遮音層の端部を成形型で把持し、その把持部分から遠い位置に発泡樹脂を注入する方法で吸音層を一体成形することができる。この場合には、遮音層の表裏面に沿ってそれぞれ流動した発泡樹脂は、その下流側に位置する把持部で型によって堰き止められるので、遮音層の反対側表面へ向かって流動するのが規制される。また発泡樹脂とともに押し流された空気は、成形型と遮音層の間あるいは成形型どうしの間から排出される。したがって合流部が生じにくく、またもし合流部が生じたとしても空気溜まりによる欠肉が生じない。
【0026】
遮音層の端部を成形型で把持する場合、発泡樹脂の流れが最後にその把持部に到達するようにする必要があるので、発泡樹脂の注入位置を把持部から遠い位置とし、中心線に対して把持部と反対側とすることが望ましい。また吸音層が三次元立体形状であれば、重力による発泡樹脂の流れも考慮して把持部と注入位置を決定することが望ましい。また遮音層の形状によって把持部の位置と量を決定することが望ましい。例えば遮音層が矩形であれば、遮音層の1辺をその辺の50%以上の長さで把持することが望ましい。この把持部の量が短いと、その辺の把持されていない部分から発泡樹脂が反対側表面に移動して合流部ができやすく、欠肉が生じやすくなる。
【0027】
また遮音層の端部を把持するのではなく、遮音層の端面を成形型に突き当てた状態として、その突き当て部分から遠い位置に発泡樹脂を注入する方法で吸音層を一体成形しても、上記と同様の作用により欠肉部の形成を防止することができる。この方法によれば、遮音層を把持することにより把持部に吸音層が形成されないという不具合を防止することができる。
【0028】
ところで従来の防音カバーでは、図10及び図11に示すように、薄い板状の遮音層 101の端部を曲げ加工して剛性を付与することで遮音層 101自体の振動を抑制している。またこのように曲げ加工することで遮音層 101端部のエッヂが端面に表出しないので、組付時などに作業者の安全を図ることができる。
【0029】
しかし本発明においては、吸音層が遮音層の表裏面の略全面を覆っているため、遮音層自体が振動しても騒音源となるのが防止され、かつ吸音層により遮音層自体の制振効果が得られる。したがって遮音層端部の曲げ加工が不要となり、遮音層を打ち抜きだけで形成することができるようになるため、工数を大きく低減することが可能となり、安価な防音カバーとすることができる。また、吸音層は遮音層の端面まで覆っていることが望ましい。このようにすれば、遮音層の端面が表出しないので、遮音層を打ち抜きだけで形成しても、遮音層端面のエッヂで作業者の安全性が損なわれるような不具合がない。
【0030】
本発明の防音カバーを固定するには、上記したようにゴムマウントなどを介して音源に固定する方法、あるいは吸音層を音源に接合する方法などを用いることができる。ゴムマウントなどを介して音源に固定する場合には、吸音層は音源に接していてもよいし接していなくてもよい。
【0031】
また本発明の防音カバーは、遮音層の略全面が吸音層で覆われているので、意匠性が重視されないブロックサイドカバーあるいはアンダーカバーなどに用いることが好ましい。もちろん吸音層を意匠性高く形成することができるなら、エンジンカバーなど意匠性が重視される部分にも用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0033】
(実施例1)
図1〜3に本発明の一実施例の防音カバーを示す。この防音カバーはエンジンのブロックサイドカバーであり、鉄製で板状の遮音層1と、遮音層1の表裏面の略全面及び端面に被覆形成されたウレタンフォーム製の吸音層2とから構成されている。
【0034】
遮音層1は、厚さ 0.8〜1mmの鉄板を打ち抜き加工し、その後、端部を曲げ加工することで形成され、全周の端部に断面略L字状の曲折部10を有している。曲折部10によって、遮音層1の剛性の向上と組付け時の作業者の安全性が図られている。また遮音層1には4ヶ所の貫通孔11が穿設され、貫通孔11にゴムマウント3が嵌合されている。
【0035】
吸音層2は、発泡密度が 0.1g/cm3 のウレタンフォームから形成され、遮音層1の表面側で5mm、裏面側で20mmの厚さを有している。
【0036】
この吸音層2は、予め上記形状に形成された遮音層1を発泡成形型内に配置し、発泡ウレタン樹脂を注入して一体成形することで形成されたものであり、成形時に遮音層1と一体的に接合されている。貫通孔11とその近傍の僅かなリング状の部分には、吸音層2は形成されていない。
【0037】
本実施例の防音カバーは、図2に示すように、貫通孔11にゴムマウント3が嵌合され、そのゴムマウント3を介してエンジンブロック4に図示しないボルトで固定されて用いられる。貫通孔11以外の部分では、図2及び図3に示すように吸音層2がエンジンブロック4に当接している。
【0038】
したがって本実施例の防音カバーによれば、吸音層2で吸音されなかった音波が遮音層1側へ回り込んだ場合でも、遮音層1の表面側に存在する吸音層2で吸音することができる。またエンジンブロック4の振動が吸音層2に伝わって吸音層2が振動し、その振動が遮音層1に伝えられて遮音層1自体が振動したとしても、遮音層1で発生した空気の波は遮音層1の表面側及び裏面側に存在する吸音層2で吸収される。
【0039】
すなわち本実施例の防音カバーによれば、遮音層1からの二次放射音の発生を効果的に抑制することができ、かつ表層の吸音層2によってエンジンブロック4以外、つまり防音カバーの外面側から発生した音及びエンジンルーム内のこもり音を吸音することができるので、防音効果が向上し騒音を大きく低減することができる。
【0040】
また本実施例の防音カバーでは、遮音層1はゴムマウント3によってエンジンブロック4から分離された状態で配置されている。これによりエンジンブロック4の振動が直接遮音層1に伝わることがなく、また曲折部10と吸音層2によって遮音層1自体の制振効果が得られるので、遮音層1からの二次放射音の発生をさらに抑制することができる。
【0041】
(実施例2)
図4に本実施例の防音カバーの断面図を示す。この防音カバーは、遮音層5の形状が異なること以外は実施例1と同様である。
【0042】
遮音層5は、全周に曲折部10をもたず平板形状であること以外は実施例1の遮音層1と同様である。この遮音層5によれば、実施例1の遮音層1のような端部の曲げ加工が不要となり打ち抜き加工のみで製造できるため、製造工数を低減することができ安価となる。本発明の防音カバーによれば、このようにしても実施例1と同等の騒音防止効果が奏される。さらに遮音層5端部は端面のエッヂ部50まで吸音層2で覆われているので、エンジンブロック4への組付け時の作業員の安全性が確保されている。
【0043】
したがって本実施例の防音カバーは、実施例1と同様の作用効果を奏するばかりでなく、安価となる。
【0044】
なお上記実施例では、平板状の遮音層をもつ例を説明したが、三次元的な曲面をもつ形状の遮音層、あるいは中央部で折り曲げ加工された形状の遮音層など、立体形状の遮音層をもつ場合にも本発明を適用することができることはいうまでもない。
【0045】
(実施例3)
図5に第3の実施例の防音カバーを示す。この防音カバーは、遮音層6の端部の一部が吸音層7から突出して表出していること以外は実施例1とほぼ同一である。遮音層6の一つの角部を挟む二辺が、吸音層7から表出して表出部60となっている。表出部60の一部は、遮音層6の一辺とほぼ同等の長さとなっている。以下、この防音カバーの製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。
【0046】
先ず厚さ 0.8〜1mmの鉄板を打ち抜き加工し、図5,6に示す略矩形の遮音層6を形成した。遮音層6には、ゴムマウントが嵌合される複数の貫通孔61が穿設されている。さらに表出部60と中心線を挟んで反対側となる端部の一部の角部には、切り欠き62が形成されている。
【0047】
この遮音層6は、図7に示すように成形型8内に配置される。切り欠き62と中心線を挟んで反対側の角部を挟む2辺が一対の成形型8に把持され、把持部63が設けられている。また一対の成形型8の型面からはそれぞれボス80が突出し、貫通孔61の位置で遮音層6を挟持している。
【0048】
この状態で、発泡ウレタン樹脂が切り欠き62の位置に注入される。注入された発泡ウレタン樹脂は、切り欠き62から遮音層6の表裏両面側に回り込み、発泡により膨張しながら遮音層6の表裏両面に沿って流動する。そして流動の終期には把持部63の位置に到達するが、遮音層6が把持されているため発泡ウレタン樹脂はそれ以上の流動が困難となり、表裏両面側の発泡ウレタン樹脂の合流が規制される。また発泡ウレタン樹脂の流動と共に押し流された成形型8内の空気は、把持部63における遮音層6と成形型8との間から排出される。
【0049】
発泡終了後に成形型8を開き、本実施例の防音カバーを取り出す。この防音カバーには、図5に示したように把持部63の位置に表出部60が形成されているが、遮音層6の表裏面には空気溜まりによる欠肉がなく、表出部60の面積は遮音層6の表裏面の合計面積の8%と小さい。したがって遮音層6の略全面が吸音層7で覆われているため、実施例1に比べれば劣るものの、高い防音特性を示す。
【0050】
なお上記実施例では遮音層6の端部を成形型で把持しているが、図8に示すように遮音層6の端部64を成形型8に突き当てるようにしてシールし、その部分と反対側に位置する切り欠き62の位置に発泡ウレタン樹脂を注入することで、合流を規制することもできる。このようにすれば、欠肉部の生成を防止できるとともに、表出部60が形成されることがないので防音特性がさらに向上する。
【0051】
【発明の効果】
すなわち本発明の防音カバーの製造方法によれば、吸音層に欠肉部が生じるのを確実に防止することができる。したがって得られた防音カバーによれば、遮音層からの二次放射音の発生を抑制することができ、かつ表層の吸音層によってエンジンルーム内のこもり音などを吸音することができるので、騒音を大きく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る防音カバーの平面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1のB−B矢視断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る防音カバーを示し、図2相当の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係る防音カバーの平面図である。
【図6】図5のE−E矢視断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例の防音カバーの製造方法を示し、遮音層を成形型内に配置した状態の図5のF−F線相当の断面図である。
【図8】本発明の防音カバーの製造方法の態様を示し、遮音層を成形型内に配置した状態の図5のF−F線相当の断面図である。
【図9】従来の防音カバーの平面図である。
【図10】図9のC−C矢視断面図である。
【図11】図10のD−D矢視断面図である。
【符号の説明】
1:遮音層 2:吸音層 3:ゴムマウント
4:エンジンブロック 10:曲折部 11:貫通孔
Claims (2)
- 硬質で板状の遮音層と、ウレタンフォームよりなり該遮音層の表裏面の略全面を覆って表層を形成し該遮音層に接合された吸音層と、からなり、該吸音層が該騒音源に当接するように配置される自動車用の防音カバーの製造方法であって、
該遮音層には端部に該遮音層の表裏両面に通じる切り欠きが形成され、該成形型の中心線に対して該切り欠きと反対側にある該遮音層の端部を一対の成形型の割型面に沿った把持部で把持し、発泡ウレタン樹脂を該切り欠きの位置に注入して該吸音層を一体成形することを特徴とする防音カバーの製造方法。 - 硬質で板状の遮音層と、ウレタンフォームよりなり該遮音層の表裏面の略全面を覆って表層を形成し該遮音層に接合された吸音層と、からなり、該吸音層が該騒音源に当接するように配置される自動車用の防音カバーの製造方法であって、
該遮音層には端部に該遮音層の表裏両面に通じる切り欠きが形成され、該成形型の中心線に対して該切り欠きと反対側にある遮音層の端面を成形型の割型面に沿って突き当てた状態とし、発泡ウレタン樹脂を該切り欠きの位置に注入して該吸音層を一体成形することを特徴とする防音カバーの製造方法。
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