JP3904411B2 - Dlcを施したリテーナー - Google Patents

Dlcを施したリテーナー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等の内燃機関において、カムの回転運動による駆動力を燃料バルブまたは排気バルブの往復運動に変換する動力伝達系に使用されるリテーナー、特にその耐摩耗処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジン等の内燃機関において、内燃機関の駆動力を、カムシャフトに伝え、次いでカムを介してロッカーアームの往復運動に変換し、これを圧縮コイルばねに支持された燃料バルブまたは排気バルブに伝達するための動力伝達系が使用されている。これらのバルブは、バルブ棒の一端に固定され、バルブ棒の他端には拡大径を有するリテーナーが固定され、リテーナーの面はバルブ棒の周りに配置されているコイルばねにより支持されている。このためリテーナーは圧縮コイルばねにより常時押されており、バルブはコイルばねにより常時閉鎖する方向に偏倚されている。カムシャフトの回転に同期してバルブ棒が押されると、リテーナーがコイルばねを押圧しながらバルブを開放し、燃料を噴射し、或いは排気する。このとき、リテーナーの面はばねに摺接した状態で繰り返し高面圧を受けながら摺動するため、摩耗損傷が激しくなる。この状態が進むと、騒音の発生源になり或いはバルブの適正動作ができなくなるなどの不具合を生じたり、摩擦損失によりエンジン馬力の低下を引き起こし、燃費の低下を招くおそれがあった。さらにばねとの間にかじりが発生して使用不可能になってしまうおそれがあった。
【0003】
燃料或いは排気バルブを開閉するための動力伝達系の典型的な例は、図1に示すロッカーアーム方式の伝達系であり、エンジン出力を伝動するクランクシャフトから駆動される軸に固定されたカム3、3’は、カムフォロワー12、12’の下面に摺接しながら回転する。これによりカムはロッカーアーム軸15、15’に支承されたロッカーアーム13、13’の一端に動力を伝達してそれらを揺動させる。ロッカーアーム13、13’の他端は、圧縮ばね17、17’によりバルブ23、23’を常時閉鎖する方向に偏倚されているリテーナー19、19’を介してバルブ棒21、21’に動力を伝達し、それにより燃料バルブ23および排気バルブ23’をカム3、3’のタイミングで開閉させて燃料をエンジンのピストン/シリンダーに供給し或いは排気する。
【0004】
ばね17、17’とリテーナー19、19’の当接面は、ばねが常時伸縮するために大きい摩擦作用と衝撃を受けるので、リテーナーの当接面には十分な低摩擦性と耐摩耗性を付与する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を生じないすぐれた耐摩耗性をリテーナーのばねとの当接面に形成することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、次の構成のリテーナーが提供される。
(1)自動車の燃料バルブまたは排気バルブをコイルばねの面に対して保持するためのリテーナーにおいて、前記リテーナーの前記ばねに当接する面に、Taの珪化物よりなる中間層と、炭素と水素とからなりその組成をCHnをモル比で表したとき0.05≦n≦0.7で表されるダイヤモンド状炭素膜この順に形成したことを特徴とするリテーナー。
(2)上記(1)において前記ダイヤモンド状炭素膜は、CHxSiyOzNvFw
(但し0.05≦x≦0.7
0.01≦y≦3.0
0≦z≦1.0
0≦v≦1.0
0≦w≦0.2)
で表されるダイヤモンド状炭素膜の層を組み合わせるか、またはこれらの組成の一方の組成から他方の組成に連続的に変化した層を形成する
(3)本発明はまた上記においてTaの珪化物がTaSi a (a=1〜6)であるリテーナーを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、リテーナーのばねとの当接面にダイヤモンド状薄膜(DLC膜)ダイヤモンド状薄膜を中間層を介して形成すると、リテーナーの耐摩耗性を格段に向上することが出来た。さらに、ダイヤモンド状薄膜の材質を適正に選択することおよび/または適正な中間層を使用することにより密着性を向上し、耐摩耗性を格段に向上することが出来た。
【0008】
すなわち、本発明はリテーナーのばねとの当接面に、Taの珪化物よりなる中間層を設け、さらにその上にダイヤモンド状炭素膜としては炭素と水素とからなりその組成をCHnをモル比で表したとき0.05≦n≦0.7で表されるダイヤモンド状炭素膜を形成する。
すなわち、本発明は、リテーナーのばねとの当接面とダイヤモンド状炭素膜との間に、Taの珪化物よりなる中間層を設ける。このような中間層を形成すると、ダイヤモンド状炭素膜に特に制限はなく、Hを含有するダイヤモンド状炭素膜、HとSiとOを含有するダイヤモンド状炭素膜、またはこれらの組み合わせ、或いはこれらの一方から他方の組成に連続的に組成を変えるダイヤモンド状炭素膜を使用することができる。
【0009】
本発明でリテーナーの基材として使用できる材料は、従来から斯界で慣用されている任意の材料が使用できる。これらの材料としては例えば各種の炭素鋼や鋳鉄など(ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、可鍛鋳鉄、合金鋳鉄など)、鋳鋼などで、超強靱鋼(SNCM420、SCM440、SCM420、SCR420、H11など)、高速度工具鋼(ハイス鋼:JIS規格のSKH系)、合金工具鋼(ダイス鋼:SKD6など)、マルエージ鋼(KMS180−20など)、オースフォーム鋼、ステンレス鋼(SUS304、SUS430、17−4PHなど)、軸受鋼(SUJ2など)、Al合金(AC4Cなど)、Ti合金等が挙げられる。
【0010】
これらの基材となる金属に対して、適当な条件で焼き入れして材料の硬度を向上させたものを使用しても良い。焼き入れには例えば、高周波焼き入れ、炎焼き入れ、浸炭焼き入れなどが使用できる。
またこれらの基材上か、焼き入れ後の基材に対し、表面硬化処理を施し、その上にダイヤモンド状炭素膜或いは中間層を介在してダイヤモンド状炭素膜をコーティングしても良い。表面硬化処理としては、例えば窒化、浸炭、硼化処理がある。
【0011】
中間層
次に、本発明で使用する中間層は、Taの珪化物よりなる。TaSia(a=1〜6)、特にTaSi 2 の層が好適に使用できる。
【0012】
記の中間層の場合、TaSi a と表したとき、好ましくは1≦a≦6である。aがこれより大きくて珪素が多くなると、母材との密着力が悪くなる。aがこれより小さくて珪素が少なくなると、DLC膜との密着力が悪くなる。好適にはa=2すなわちTaSi 2 である。
【0013】
中間層は、2nm〜5μmの厚さであることが好ましく、さらには5nm〜1μmの厚さであることが好ましい。このような厚さとすることで密着性が向上する。これに対し、中間層が薄すぎると密着性向上の効果が十分ではなくなり、厚すぎると耐衝撃性が悪くなってくる。
【0014】
本発明の中間層は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等のPVD法や熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法によって形成することができる。また、湿式メッキ法、溶射、クラッド接合等により形成してもよい。具体的には公知の方法による。
特に、本発明の中間層はスパッタ法により形成することが好ましい。この場合、目的とする組成に応じたターゲットを用い、高周波電力、交流電力、直流電力のいずれかを付加し、ターゲットをスパッタし、これを母材(基板)上にスパッタ堆積させることにより中間層を形成する。
【0015】
ターゲットは、通常、中間層と同じ組成のものを用いればよいが、Ta等の金属とSiとをターゲットとする多元スパッタとしてもよいし、反応性スパッタでCやSiを導入する場合はその成分を含まないターゲットを用いることができる。
【0016】
スパッタガスには、通常のスパッタ装置に使用される不活性ガスが使用できる。中でも、Ar、Kr、Xeのいずれか、あるいは、これらの少なくとも1種以上のガスを含む混合ガスを用いることが好ましい。
また、反応性スパッタを行ってもよく、反応性ガスとしては、珪素を導入する場合には、シランガス等を用いる
パッタ時の動作圧力は、0.2〜70Paの範囲が好ましい。また、成膜中にスパッタガスの圧力を、前記範囲内で変化させることにより、濃度勾配を有する中間層を容易に得ることができる。
【0017】
スパッタ法としては、RF電源を用いた高周波スパッタ法を用いても、DCスパッタ法を用いてもよい。スパッタ装置の電力としては、DCスパッタで0.5〜30W/cm2程度、高周波スパッタで周波数1〜50MHz、低周波では50kHz〜1MHz、0.5〜30W/cm2程度が好ましい。
成膜速度は1〜300nm/minの範囲が好ましい。
また、基板温度は10〜150℃であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の中間層は蒸着法により形成してもよい。蒸着法としては、抵抗加熱方式であっても電子ビーム加熱方式であってもよい。蒸着源には、Ta等の金属とSi等を用いる2元蒸着であっても、中間層と同じ組成のものを用いる1元蒸着であってもよい。1元蒸着でも、膜組成は蒸着源の組成とほぼ同じものが経時的に安定して得られる。
真空蒸着の条件は特に限定されないが、真空度は10-3Pa以下、特に10-4Pa以下が好ましい。成膜速度は、通常、1〜300nm/min程度が好ましい。
【0019】
また、中間層は、プラズマCVD法、イオン化蒸着法によっても形成でき、その場合、後述するDLC膜を参考にして成膜すればよい。
【0020】
ダイヤモンド状炭素膜
ダイヤモンド状炭素(DLC)膜は、ダイヤモンド様炭素膜、i−カーボン膜等と称されることもある。ダイヤモンド状炭素膜については、例えば、特開昭62−145646号公報、同62−145647号公報、New Diamond Forum、第4巻第4号(昭和63年10月25日発行)等に記載されている。
【0021】
DLC膜は、上記文献(New Diamond Forum)に記載されているように、ラマン分光分析において、1550cm-1にブロードな(1520〜1560cm-1)ラマン吸収のピークを有し、1333cm-1に鋭いピークを有するダイヤモンドや、1581cm-1に鋭いピークを有するグラファイトとは、明らかに異なった構造を有する物質である。
DLC膜のラマン分光分析における吸収ピークは、上記のように1550cm-1にブロード(1520〜1560cm-1)な吸収を有するが、炭素および水素以外の上記元素を含有することにより、これから±100cm-1程度変動する場合もある。
DLC膜は、炭素と水素とを主成分とするアモルファス状態の薄膜であって、炭素同士のsp3結合がランダムに存在することによって形成されている。DLC膜は、炭素と水素とからなり、その組成をCHnをモル比で表したとき、
0.05≦n≦0.7で表される。
【0022】
本発明において、DLC膜の厚さは、通常、1〜10000nm、好ましくは10nm〜3μmである。
【0023】
DLC膜は、炭素および水素に加え、さらにSiの他、O、N、Fの1種または2種以上を含有していてもよい。中間層を使用しないで使用する場合は基材との密着性を向上するため少なくとも第1層は水素の他にSiを含有すべきである。この場合DLC膜は、基本組成をCHxSiyOzNvFwと表したとき、モル比を表すx、y、z、v、wがそれぞれ、0.05≦x≦0.7、0.01≦y≦3.0、0≦z≦1.0、0≦v≦1.0、0≦w≦0.2であることが好ましい。また、複数の層を形成しても良いが、その代わりに、Siを含有する部分からSiを含有しない部分のように、組成が厚さ方向に連続可変となっても良い。
【0024】
DLC膜は、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、スパッタ法などで形成することができる。
DLC膜をプラズマCVD法により形成する場合、例えば特開平4−41672号公報等に記載されている方法により成膜することができる。プラズマCVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流としては数ヘルツからマイクロ波まで使用可能である。また、ダイヤモンド薄膜技術(総合技術センター発行)などに記載されているECRプラズマも使用可能である。また、バイアス電圧を印加してもよい。
【0025】
DLC膜をプラズマCVD法により形成する場合、原料ガスには、下記化合物を使用することが好ましい。
CおよびHを含有する化合物として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン等の炭化水素が挙げられる。
C、HおよびSiを含む化合物としては、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テトラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、トリメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリルメチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用してもよく、シラン系化合物と炭化水素を用いてもよい。
C+H+Oを含む化合物としては、CH3OH、C25OH、HCHO、CH3COCH3等がある。
C+H+Nを含む化合物としては、シアン化アンモニウム、シアン化水素、モノメチルアミン、ジメチルアミン、アリルアミン、アニリン、ジエチルアミン、アセトニトリル、アゾイソブタン、ジアリルアミン、エチルアジド、MMH、DMH、トリアリルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等がある。
この他、Si+C+H、Si+C+H+OあるいはSi+C+H+Nを含む化合物等と、O源あるいはON源、N源、H源等とを組み合わせてもよい。
【0026】
O源として、O2、O3等、C+O源として、CO、CO2等、Si+H源として、SiH4等、H源として、H2等、H+O源として、H2O等、N源として、N2N+H源として、NH3等、N+O源として、NO、NO2、N2OなどNOxで表示できるNとOの化合物等、N+C源として、(CN)等、N+H+F源として、NH4F等、O+F源として、OF2、O22、O32等を用いてもよい。
【0027】
上記原料ガスの流量は原料ガスの種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常、1〜70Pa、投入電力は、通常、10W〜5kW程度が好ましい。
【0028】
DLC膜は、イオン化蒸着法により形成してもよい。イオン化蒸着法は、例えば特開昭58−174507号公報、特開昭59−174508号公報等に記載されている。ただし、これらに開示された方法、装置に限られるものではなく、原料用イオン化ガスの加速が可能であれば他の方式のイオン蒸着技術を用いてもよい。この場合の装置の好ましい例としては、例えば、実開昭59−174507号公報に記載されたイオン直進型またはイオン偏向型のものを用いることができる。
【0029】
イオン化蒸着法においては、真空容器内を10-4Pa程度までの高真空とする。この真空容器内には交流電源によって加熱されて熱電子を発生するフィラメントが設けられ、このフィラメントを取り囲んで対電極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを与える。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオン化ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置されている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝突して、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラスイオンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速される。この、Vd、Vaおよびコイルの磁界を調整することにより、組成や膜質を変えることができる。また、バイアス電圧を印加してもよい。
【0030】
DLC膜をイオン化蒸着法により形成する場合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを用いればよい。上記原料ガスの流量はその種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常、1〜70Pa程度が好ましい。
【0031】
DLC膜は、スパッタ法により形成することもできる。この場合、Ar、Kr等のスパッタ用のスパッタガスに加えて、O2、N2、NH3、CH4、H2等のガスを反応性ガスとして導入すると共に、C、Si、SiO2、Si34、SiC等をターゲットとしたり、C、Si、SiO2、Si34、SiCの混成組成をターゲットとしたり、場合によっては、C、Si、N、Oを含む2以上のターゲットを用いてもよい。また、ポリマーをターゲットとして用いることも可能である。このようなターゲットを用いて高周波電力、交流電力、直流電力のいずれかを印加し、ターゲットをスパッタし、これを基板上にスパッタ堆積させることによりDLC膜を形成する。高周波スパッタ電力は、通常、50W〜2kW程度である。動作圧力は、通常、10-3〜0.1Paが好ましい。
【0032】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。リテーナーの表面に中間層およびDLC膜を形成した。
リテーナーの素材としてはSNCM420を使用した。実施例のリテーナーの基材の表面粗さは全てRa=0.1μmとした。リテーナーを真空チャンバーの所定位置に配置し、排気した後、次の条件で成膜した。
【0033】
<中間層の成膜>
表1の中間層1をスパッタ法により次の条件で製造した。
使用ガス:Ar(5.1×10-2Pa・m3・s-1)=30sccm
スパッタ圧力:40Pa
投入電力:500W
ターゲット:Ta、Si
膜厚:Ta(第1層) 10nm、Si(第2層) 90nm
【0034】
さらに、ターゲットを変え同じ成膜条件で表1に示す中間層を成膜した。膜厚を100nmとした。
【0035】
【表1】
Figure 0003904411
【0036】
<DLCの成膜>
DLC膜は自己バイアスRFプラズマCVD法により次の条件で成膜した。
DLC1
原料ガス:C24(0.017Pa・m3・s-1
電源:RF
動作圧:66.5Pa
投入電力:500W
成膜レート:100nm/min
膜組成:CH0.21
膜厚:2μm
DLC2
原料ガス:Si(OCH34(0.085Pa・m3・s-1
電源:RF
動作圧:66.5Pa
投入電力:500W
成膜レート:100nm/min
膜組成:CH0.2Si0.10.17
膜厚:2μm
DLC3
原料ガス:Si(CH34(0.085Pa・m3・s-1
電源:RF
動作圧:66.5Pa
投入電力:500W
成膜レート:100nm/min
膜組成:CH0.24Si0.22
膜厚:2μm
【0037】
<評価方法>
DLCをコーティングしないリテーナー(比較例)とDLCをコーティングしたリテーナー(実施例及び比較例)に、以下の条件を付加して耐久試験を行った。その後リテーナーの摩耗状態を比較した。試験は、OHCを使用する自動車エンジンにおいて(但し単一ロッカーアーム型)、リテーナーを正規の箇所に装着して圧縮ばねに当接し、エンジンを動作させる。
条件:カム回転数:9000rpm
試験時間:10時間
作用最大応力:2000MPa
動作環境:オイル中
この条件は商用自動車の一般的な走行における回転数(2000〜4000rpm)に比してはるかに過酷なF1レベルに相当する加速試験であることに注意すべきである。
結果は表2に示すとおりであった
【0038】
【表2】
Figure 0003904411
【0039】
【発明の効果】
表1において耐久性時間は記載の時間を超えるとエンジンの稼働が停止することを示す。本発明の実施例によると、比較例1に比して極めて耐久性の高いリテーナーが提供できたことが分かる
発明によると、リテーナーに被覆するダイヤモンド状薄膜の材質を適正に選択することおよび適正な中間層を使用することにより密着性を向上し、耐摩耗性を格段に向上することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用できるリテーナーを備えた動力伝達系の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
3、3’ カム
12、12’ フォロワー
13、13’ ロッカーアーム
15、15’ ロッカーアーム軸
17、17’ ばね
19、19’ リテーナー
21、21’ バルブ棒
23 燃料バルブ
23’ 排気バルブ

Claims (3)

  1. 自動車の燃料バルブまたは排気バルブをコイルばねの面に対して保持するためのリテーナーにおいて、前記リテーナーの前記ばねに当接する面に、Taの珪化物よりなる中間層と、炭素と水素とからなりその組成をCHnをモル比で表したとき0.05≦n≦0.7で表されるダイヤモンド状炭素膜この順に形成したことを特徴とするリテーナー。
  2. 前記ダイヤモンド状炭素膜、CHxSiyOzNvFw
    (但し0.05≦x≦0.7
    0.01≦y≦3.0
    0≦z≦1.0
    0≦v≦1.0
    0≦w≦0.2)
    で表されるダイヤモンド状炭素膜の層を組み合わせるか、またはこれらの組成の一方の組成から他方の組成に連続的に変化した層を形成したことを特徴とする請求項1のリテーナー。
  3. Taの珪化物がTaSi a (a=1〜6)である請求項1のリテーナー。
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