JP3903711B2 - 近接スイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、例えば、パチンコ遊技機においてパチンコ玉の転動を検知するに有効な近接スイッチに関し、さらに詳しくは、該近接スイッチに対して不正を目的として電波が照射されたとき、該不正電波を検知して近接スイッチの異常動作や誤動作を防止することができる機能を備えた近接スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ遊技機において使用する近接スイッチに対して誤動作が生じるような強力な電波が照射されたとき、この電波を検知する電波検知回路を設けて、該電波検知回路の出力で近接スイッチの誤動作を防止する技術としては、例えば、特許第2925120号公報に開示の技術がある。
【0003】
この従来技術は、図4に示すように、近接スイッチの回路構成を、LC共振回路1を発振回路2に接続して所定の周波数で発振するように回路形成し、通常の発振動作の出力を検波して(検波回路省略)、この出力を積分回路3で積分し、さらに、積分出力と物品を検知したと判定する基準電圧(または閾値)とを比較回路4で比較し、その物体の検知または否の出力を出力回路5で“1”“0”の2値化信号に変換して物体検知信号を出力するように回路形成し、さらに、外部から到来し、発振回路2を誤動作させる危険性を持った強度の電波が照射されたときこれを検知する電波検知回路6を回路形成して、この回路6が電波を検知したときその出力を出力回路5に入力して、近接スイッチとして正規の出力(物品を検知した物品検知信号、例えば、“1”レベル)を禁止する(例えば、“0”レベルを出力)ように回路構成している。
【0004】
図5は、上述の要部のタイムチャートを示すが、前述の発振回路2が物品を検知しない通常の発振状態であるとき、発振状態のレベルが検波されて出力され、積分回路3はこれを積分してハイレベルを出力し、比較回路4はこのハイレベルをこれより低く設定した基準レベルと比較して、ハイレベルの比較信号を出力する。その結果、出力回路5はをこれを変換してロウレベル、すなわち、物品なしの“0”レベルを出力する。
【0005】
ここで、近接スイッチに対して外部から誤動作させる強度の電波が照射されると、発振回路2が誤動作して発振が停止するので、発振信号(および検波信号)の出力がなく、当然積分回路3も積分出力もなくなるので、比較回路出4では積分側の出力より基準レベルが高いので、物体検知に対応するロウレベルの比較信号を出力することになる。
【0006】
一方、電波検知回路6は、上述の外部から誤動作させる強度の電波が照射されると、これを検知してハイレベルの電波検知信号を出力する。この信号が出力回路5に入力されると、このハイレベルの電波検知信号が比較回路4からのロウレベルを打消し(禁止)、出力回路5はこのハイレベルの電波検知信号を変換することになって、その結果、ロウレベル、すなわち、物品なしの“0”レベルを出力する。
【0007】
すなわち、外部から誤動作させる強度の電波が照射されても、物品を検知した信号を出力することなく物品検知信号の出力を禁止して、近接スイッチの異常動作や誤動作の出力を防止することができる。
【0008】
しかし、上述の誤動作防止の回路構成においては次の問題点が生じる。すなわち、前述の積分回路3は抵抗RとコンデンサCとで構成され、前述のようにして電波検知回路6が電波の到来を検知しなくなると、その電波検知信号の立ち下がった時点からコンデンサCは充電を開始し、この充電をしながら積分回路3は出力するので、この積分出力が0レベルから通常のハイレベルに到達するまでに時間差(時間遅れ)が生じ、しかも、この積分回路3の立ち上がりの出力が比較回路4に入力されるので、積分回路3の立ち上がりの出力のうち、0レベルから比較回路4の基準電圧(閾値)に到達するまでの出力状態(時間幅)t1が、物体検知に対応するロウレベルとして比較回路4が判定するので、該比較回路4から物体検知信号が出力され、出力回路5がこれを変換して物品検知信号“1”レベルを出力する憂いが発生する。
【0009】
かかる問題は、回路特性、特に発振回路2の特性により生じると考えられるが、これを解消するには、積分回路3の立ち上がりを補償するめの遅延回路の挿入、すなわち、電波検知回路6が電波を検知しなくなった時点から、積分回路3が通常の積分レベルになるまで、電波検知信号の出力を遅延させる遅延回路を挿入することが考えられるが、部品点数が増加し、また、回路構成を複雑にする問題点となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述の問題点を解消し、電波検知回路が誤動作させる電波の検知をしなくなったとき、積分回路から即時に発振回路の発振状態に対応する信号を出力することかできる近接スイッチの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、物体の近接に伴い通常の発振状態が変化する発振回路と、該発振回路から出力される発振状態のレベルを検波する検波回路と、該検波回路の検波出力を直流電圧に積分する積分回路と、該積分回路の出力を基準電圧と比較して物体の検知または否を出力する比較回路と、外部から到来し誤動作させる危険性をもった所定強度の電波を検知したとき前記比較回路から出力される物体検知信号の出力を不可にする電波検知回路とを備えた近接スイッチであって、上記電波検知回路の電波検知信号の出力を、積分回路の出力レベルが物品を検知しない所定レベルになるように積分回路に入力した近接スイッチであることを特徴とする。
【0012】
前記所定レベルを、物品を検知しないときと等価な積分電圧レベルに設定することができ、また、通常の回路動作において発振回路が発振状態であるときと等価な積分電圧レベルに設定することができる。
【0013】
この発明によれば、電波検知回路が外部から到来し誤動作させる危険性をもった強度の電波を検知したときその電波検知信号を、積分回路の出力レベルが物品を検知しない所定レベルになるように積分回路に入力するので、積分回路の出力は発振回路が発振している通常の状態と等価に維持される。
【0014】
さらに、電波検知回路が電波を検知しなくなって電波検知信号の出力が停止すると、この停止と同時に発振回路側から発振状態のレベルの検波信号が積分回路に入力されるので、積分回路の入力が検波検知信号から発振信号の検波信号に切替わっても、積分回路の積分出力が後段の比較回路の基準電圧より低下することがないので、比較回路は依然として物体を検知していない状態の出力を維持することができる。
【0015】
【発明の作用・効果】
この発明によれば、電波検知回路が誤動作させる電波の検知をしなくなったとき、積分回路から即時に発振回路の発振状態に対応する信号を出力することかでき、この信号の切換え時に時間遅れが生じて物品ありといった誤出力をする憂いが全くなくなる。
【0016】
また、電波検知回路の電波検知信号を積分回路に入力する回路形成で構成できるので、部品点数の増加や回路構成の複雑化がなく、回路構成が簡単である。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を以下図面と共に説明する。
図面はパチンコ遊技機においてパチンコ玉の検知に使用される近接スイッチを示し、図1において、この近接スイッチ10はほぼブロック状のケース本体11と、このケース本体11の突起12に係止片13を係止させて取付けた透明なカバー部材14と、該カバー部材14で囲繞されパッケージに形成された回路部15と、パチンコ玉(金属球)16の通過を許容する貫通孔17と、この貫通孔17の内部口縁に設けられたボビンケース18と、このボビンケース18に巻回された共振コイルLとを備えている。
【0018】
なお、前述のカバー部材14は透明であるため、内部の回路部15を外部から目視確認することができる。
【0019】
図2は、近接スイッチ10の回路構成を示し、共振回路を除いて他は前述の回路部15内に集積回路として形成される。
【0020】
上述の近接スイッチ10の回路は、共振回路21を含み所定の周波数で発振する発振回路22と、発振状態のレベルを検波する検波回路23と、検波出力を直流電圧に積分する積分回路24と、積分出力を基準電圧(閾値)と比較してパチンコ玉16の検知または否を出力する比較回路25と、比較出力を2値化信号に変換して出力する出力回路26と、外部から到来し誤動作させる危険性をもった所定強度の電波を検知する電波検知回路27とを備えている。
【0021】
上述の共振回路21は共振コインLとコンデンサC1との並列接続で形成している。前述の共振回路22はハートレー型で形成し、増幅用のトランジスタTr1,Tr2に前述の共振回路21、抵抗R1、可変抵抗R2を接続し、定電流源28でトランジスタTr1,Tr2にバイアスを与え、トランジスタTr3,Tr4,Tr5は帰還回路を形成して、前述のトランジスタTr2のコレクタ電流と同じ電流を共振回路21に帰還するよう回路形成にして発振回路を形成している。
【0022】
前述の検波回路23は、トランジスタTr6と抵抗R3,R4,R5により形成して、前段の発振回路22から出力されるの発振状態のレベルを検波する。 前述の積分回路24は、抵抗6とコンデンサC2とで形成し、前段の検波回路から出力される検波出力を直流電圧に積分する。
【0023】
前述の比較回路25は、コンパレータ29と分圧抵抗R7,R8で形成し、分圧抵抗R7,R8によりパチンコ玉16を検知と判定するための基準電圧を形成し、コンパレータ29は上述の基準電圧と前段から出力される積分信号とを比較してパチンコ玉16の検知か否かの比較信号を出力する。
【0024】
前述の出力回路26は、トランジスタTr7と抵抗R9とで形成して、前段の比較信号を2値化信号に変換してパチンコ玉16の検知信号を出力する。
【0025】
前述の電波検知回路27は、トランジスタTr8,Tr9,Tr10と、コンパレータ30と、抵抗R10,R11,R12,R13,R14、R15で形成している。トランジスタTr8は、発振回路22のトランジスタTr1のベース・エミッタ間の電圧V1をバイアスとする能動回路であって、その動作点は前述のトランジスタTr1よりも遮断領域側に位置するように回路形成している。
【0026】
したがって、発振回路22の通常の発振状態または、パチンコ玉16の検知によってい発振停止状態では、トランジスタTr1のベース・エミッタ間は電圧V1中心に動作をしている。しかし、外部から到来した電波の照射でベース・エミッタ間の電圧が低下すると、この電圧低下で該トランジスタTr1がオフ状態へ移行する前に、電波検知回路27のトランジスタTr8がオフ状態になる。
【0027】
上述のトランジスタTr8がオフになることが電波検知回路27の電波検知に対応し、トランジスタTr8がオフ状態になると、トランジスタTr9のベース電圧V2が上昇し、該トランジスタTr9をオフにする。これによって、該トランジスタTr9のコレクタ電圧は0Vまで低下するので、コンパレータ30はこれを基準電圧と比較して電波検知を判定し、電波検知信号を出力する。
【0028】
前述のトランジスタTr10は、積分回路24に電源電圧Vccが印加できるように回路形成しており、上述のようにコンパレータ30から電波検知信号が出力されると、該信号によりトランジスタTr10がオンして電源電圧Vccを積分回路24に印加する。
【0029】
次に上述のように構成した近接スイッチ10の回路の動作を説明する。
【0030】
図3にも示すように、発振回路22の共振回路21(共振コイルL)にパチンコ玉16が通っていない時は、所定の周波数で発振動作を行っており、検波回路23は発振状態のレベルを検波し、積分回路24は検波信号を直流電圧に積分し、比較回路25は検波信号と基準電圧とを比較し、出力回路26は比較信号を2値化信号に変換して、パチンコ玉16の検知および否の信号を出力する。
【0031】
例えば、共振コイルLにパチンコ玉16がないときは、発振回路22は通常の発振動作を行なっているので、所定レベルの直流電圧を積分して比較回路25にし入力し、該比較回路25からはパチンコ玉16なしの信号が出力される。
【0032】
しかし、共振コイルLにパチンコ玉16が近接すると、発振回路22の発振動作が停止するので、検波回路23からの出力がなくなり、積分回路24の積分信号もなくなるので、比較回路25には0レベルが入力され、該比較回路25からパチンコ玉16を検知した検知信号が出力される。
【0033】
上述のように発振回路22が正常に動作しているときは、そのトランジスタTr1のベース・エミッタ間の電圧V1が所定のレベルで安定しているので、電波検知回路27からは電波検知の動作はない。
【0034】
前述の発振回路22がパチンコ玉16を検知しない通常の発振動作を行っているとき、外部から電波が照射されて、トランジスタTr1のベース・エミッタ間の電圧V1が低下すると、この電圧低下で該トランジスタTr1がオフ状態へ移行する前に、電波検知回路27のトランジスタTr8がオフ状態になり、これに基づいてコンパレータ30から電波検知信号が出力され、トランジスタTr10がオンになる。
【0035】
これによって、積分回路24には電源電圧Vccが印加されるので、前段の検波回路23の検波信号を積分した直流電源V3が比較回路25の基準電圧より低下する前に、基準電圧よりレベルの高い電源電圧Vccが比較回路25に入力されることになり、比較回路25はパチンコ玉検知なしの状態を維持することができ、電波の照射によるパチンコ玉検知の誤動作信号を出力することが防止できる。
【0036】
この発明の物体は、実施例におけるパチンコ玉16に対応するも、この発明は上述の実施例の構成に限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0037】
例えば、電波検知回路27は発振回路22のトランジスタTr1のベース・エミッタ間の電圧V1が低下することを検知して電波の到来を検知しているが、他の手段としては、電波検知回路27に不正な電波で動作が低下するトランジスタを設けて、該トランジスタの動作で不正な電波を検知するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 近接スイッチの外観斜視図。
【図2】 近接スイッチのブロック回路図。
【図3】 回路要部の信号タイムチャート。
【図4】 従来の近接スイッチのブロック回路図。
【図5】 図4の回路要部の信号タイムチャート。
【符号の説明】
10…近接スイッチ
16…パチンコ玉
21…共振回路
22…発振回路
23…検波回路
24…積分回路
25…比較回路
27…電波検知回路
Tr10…トランジスタ

Claims (3)

  1. 物体の近接に伴い通常の発振状態が変化する発振回路と、
    該発振回路から出力される発振状態のレベルを検波する検波回路と、
    該検波回路の検波出力を直流電圧に積分する積分回路と、
    該積分回路の出力を基準電圧と比較して物体の検知または否を出力する比較回路と、
    外部から到来し誤動作させる危険性をもった所定強度の電波を検知したとき前記比較回路から出力される物体検知信号の出力を不可にする電波検知回路とを備えた近接スイッチであって、
    上記電波検知回路の電波検知信号の出力を、積分回路の出力レベルが物品を検知しない所定レベルになるように積分回路に入力した
    近接スイッチ。
  2. 前記所定レベルを、物品を検知しないときと等価な積分電圧レベルに設定した請求項1に記載の近接スイッチ。
  3. 前記所定レベルを、通常の回路動作において発振回路が発振状態であるときと等価な積分電圧レベルに設定した
    請求項1に記載の近接スイッチ。
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