JP3903611B2 - センタレス研削盤及びワークの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受けの転動体のようなワーク(被加工部材)の外周面を心無し研削するセンタレス研削盤及びワークの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸受けの転動体のようなワークの外周面を心無し研削するセンタレス研削盤が従来知られている。センタレス研削盤は、例えば、ワークを該ワークと回転砥石との略接線方向に沿って搬送して回転砥石と回転調整車との間に上記ワークを位置させ、調整車により砥石方向に反力を与えつつ上記ワークの外周面を心無し研削するように構成される。
【0003】
図9は、従来のセンタレス研削盤における砥石、ワーク及び調整車の位置関係を示す図である。
【0004】
砥石102及び調整車103はいずれも時計方向に回転する。ワーク101は調整車103及びブレード104にガイドされつつ砥石102により研削される。
【0005】
図10は、第1の従来のセンタレス研削盤の構成の一例を示す側面図(同図(a))及び部分拡大図(同図(b))である。
【0006】
調整車103は、環状のブレード保持具105内に嵌入されて時計方向に回転可能に構成されている。
【0007】
ブレード保持具105は調整車103とは別個に反時計方向に回転可能に構成されている。ブレード保持具105には、ワーク101を収容可能な複数のワークポケット105aが設けられている。ブレード104には、同図(b)に示すようにブレード面104aが形成されており、ブレード面104aは、調整車103と共に、研削時におけるワーク101の安定した姿勢を確保する。
【0008】
ワーク101は研削位置より上方の所定位置でブレード保持具105のワークポケット105aに収容され(ローディング)、ブレード保持具105の回転と共に研削位置まで搬送される。そして、ワーク101は、研削を経て研削位置を通過し、さらに下方に搬送され、所定位置でブレード保持具105のワークポケット105aから取り出される(アンローディング)。従って、ローディング、アンローディングを研削のタイミングとは別個に行えるので、研削能率はよい。
【0009】
なお、本研削盤では、研削時には砥石102の回転軸、ブレード保持具105の回転軸及び調整車103の回転軸の各位置は固定され、砥石102、調整車103及びワーク101の各直径及び位置関係から定まる芯高角γ(後述する)は、ブレード保持具105の回転に伴い変化する。
【0010】
図11は、第2の従来のセンタレス研削盤の構成の一例を示す側面図である。
【0011】
本研削盤では、砥石102、調整車103のほか、ワーク101を研削位置まで搬送する搬送路106、同図左右方向に移動してワーク101を押圧可能なブレード104、研削されたワーク101を搬送するコンベア108、及び研削後のワーク101をコンベア108まで導く搬送路107が設けられる。
【0012】
砥石102及び調整車103は軸位置が固定され、ワーク101の研削完了位置も予め設定されている。これらの位置は、ワーク101の真円度が略最小となる芯高角γ(後述するように略7゜)となるように設定されている。従って、精度の高い研削が可能である。
【0013】
ここで、図9に戻り、芯高角γを説明する。
【0014】
砥石102、調整車103、ワーク101の各直径をそれぞれDg、d、Dc、各中心点をOg、Od、Ocと記す。同図に示すような、ワーク101が砥石102及び調整車103と接している状態(研削時)において、∠OdOcOgを角度α、∠OdOgOcを角度βとしたとき、芯高角γはγ=α+βで表される。θはブレード104の頂角を表す。芯高Hは線分OcOgから中心点Odまでの距離である。
【0015】
ところで、センタレス研削においては一般に、ビビリ等が原因で研削面は真円ではなく複数角の角形を成し、その角形は偶数角成分及び奇数角成分の双方を含むことが知られている。また、偶数角成分及び奇数角成分の双方の角数や歪円を考慮した場合、ワークの真円度を最小にする最適な芯高角γは略7゜であることが報告されている(小川正義、宮下政和[心無研削法に関する研究(第3報)]精密機械Vol26,No3,昭和35年(1960)P27〜33)。この場合、最適な芯高角γには、ワーク径、砥石径及びブレードの頂角θは関与しないとされている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の従来のセンタレス研削盤では、研削能率はよいものの、砥石回転軸及び調整車回転軸の位置を固定しているので、芯高角γを制御できず、研削精度が低いという問題があった。例えば、研削時の芯高角γがほぼ0゜となるため、奇数角が成長して真円度が悪化する。従って、粗研削には好適であるが、精研削には向かない。
【0017】
一方、上記第2の従来のセンタレス研削盤では、常に最適芯高角で研削するので、精度の高い研削が可能であるものの、研削とローディング、アンローディングとをほぼ同じ位置で行う必要があるため、ワークを1個1個、研削位置に搬入、搬出しなければならず、サイクルタイムが長くなる。従って、ローディング、アンローディング等の構成について研削能率を向上させるような形態をとりにくいという問題があった。
【0018】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、良好な真円度を維持しつつ、研削能率を向上するための機構の構成を容易にすることができるセンタレス研削盤及びワークの加工方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1のセンタレス研削盤は、回転砥石と回転可能な調整車との間にワークを位置させ、一定の切り込み変化率で研削する粗研削と、前記粗研削より小さい一定の切り込み変化率で研削する仕上げ研削と、切り込み量ゼロの状態を一定時間維持するスパークアウトとを順に行って、前記ワークの外周面を研削するセンタレス研削盤において、前記ワークを該ワークと前記砥石との略接線方向に沿って搬送するワーク搬送手段と、前記ワークの研削時における前記砥石、前記調整車及び前記ワークの各直径及び位置関係から定まる芯高角γが徐々に小さくなるようにすると共に、前記芯高角γが0°に達する前に前記ワークの研削が完了するように、前記砥石及び前記調整車の少なくとも一方の移動による前記ワークに対する切り込み速度を前記搬送手段による前記ワークの搬送速度に応じて制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記芯高角γが、それぞれ、4.5°≦γ≦10°の範囲で且つ7°の状態を経て前記粗研削が行われ、1.5°≦γ≦4.5°の範囲で且つ2°から3°の間の状態を経て前記仕上げ研削が行われ、0°<γ≦1.5°の範囲で前記スパークアウトが行われるように制御することを特徴とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項2のワークの加工方法は、回転砥石と回転可能な調整車との間にワークを位置させ、一定の切り込み変化率で研削する粗研削と、前記粗研削より小さい一定の切り込み変化率で研削する仕上げ研削と、切り込み量ゼロの状態を一定時間維持するスパークアウトとを順に行って、前記ワークの外周面を研削するワークの加工方法において、前記ワークを該ワークと前記砥石との略接線方向に沿って搬送すると共に、前記ワークの研削時における前記砥石、前記調整車及び前記ワークの各直径及び位置関係から定まる芯高角γが徐々に小さくなるようにすると共に、前記芯高角γが0°に達する前に前記ワークの研削が完了するように、前記砥石及び前記調整車の少なくとも一方の移動による前記ワークに対する切り込み速度を前記搬送手段による前記ワークの搬送速度に応じて制御し、且つ、前記芯高角γが、それぞれ、4.5°≦γ≦10°の範囲で且つ7°の状態を経て前記粗研削が行われ、1.5°≦γ≦4.5°の範囲で且つ2°から3°の間の状態を経て前記仕上げ研削が行われ、0°<γ≦1.5°の範囲で前記スパークアウトが行われるように制御することを特徴とする。
【0020】
請求項1の構成によれば、ワークの偶数角成分の真円度が略最小となる角度で研削が完了するので、偶数角の角数が増大して偶数角成分の真円度が小さくなる一方、3角等の奇数角成分が成長する。ところが、事前にワークの真円度が略最小となる芯高角を一旦経ているので、全体の真円度は既に小さくなっており、その結果、奇数角成分の真円度も小さく抑えることができる。ワークを軸受けの転動体に用いる場合、軸受け振れや音響に影響を与えるのは転動体の偶数角成分であり、奇数角成分はほとんど影響を与えないため、高精度の軸受けを実現することができる。しかも、ワークの研削開始時と完了時とでは、砥石及び調整車とワークとの相対的位置が異なるため、ワークのローディング、アンローディング及び研削を異なる位置で同時に並行して行う等、能率向上のための機構が構成容易である。よって、良好な真円度を維持しつつ、研削能率を向上する機構の構成を容易にすることができる。
【0021】
本発明は、具体的には例えば以下のように構成してもよい。
【0022】
前記ワーク搬送手段は、例えば前記調整車の外周に配置され各ワークを収容可能な複数のワークポケットを有する環状のブレード保持具であり、前記調整車とは別個に回転制御可能に構成される。各ワークはこのブレード保持具のワークポケットに収容されてブレード保持具の回転と共に搬送され、研削された後、排出されるように構成される。これにより、ワークのローディング、アンローディングが、当該ワークの研削時とはそれぞれ別個のタイミングで行われるので、良好な真円度を維持しつつ、サイクルタイムの短縮が図られ、研削能率を向上することができる。
【0023】
前記砥石の回転軸及び前記調整車の回転軸の少なくとも一方は研削中に制御手段により(送り)制御可能に構成される。その際、前記環状のブレード保持具の回転は前記制御手段と連動して同時に制御するように構成される。
【0024】
例えば、前記ブレード保持具の回転を一定角速度として、前記砥石の回転軸を粗研削送り、仕上げ研削送り、スパークアウトというように送り制御すればよい。その際、スパークアウト時には前記砥石の回転軸の送りを継続する構成、あるいは送りを停止する構成の双方が考えられる。また、他の構成として、前記砥石の回転軸の送り速度を一定として、前記ブレード保持具の回転速度を変化させる構成としてもよい。
【0025】
このように、砥石及び調整車とワークとの相対的位置を可変にする構成は種々考えられるので、構成の自由度が確保され、容易な構成を選択することができる。
【0026】
また、仮に砥石及び調整車の両回転軸の位置を固定した場合には、ワーク径、砥石径または調整車径が変わる毎に芯高角が変わることになり、これらの径によっても研削精度が影響を受ける場合があるが、本願発明のように、両回転軸の少なくとも一方を制御することにより、このような問題も解消される。
【0027】
前記ワークの真円度が略最小となる芯高角は略7゜であり、前記ワークの偶数角成分の真円度が略最小となる芯高角は略0゜である。従って、前記制御手段は、前記芯高角を、略7゜より大きい角度(例えば10゜)から略0゜まで、連続的に変化させるのが望ましい。これにより、良好な真円度を確実に得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るセンタレス研削盤の全体構成を示す斜視図である。本センタレス研削盤1は、主に回転砥石11、ブレード保持器21(ワーク搬送手段)、調整車41及びこれらを駆動する機構から構成される。
【0030】
砥石11は、砥石スピンドル部10に回転可能に軸支されている。砥石11は、右方からみて時計方向に回転して転動体(ワーク)30を研削する。砥石スピンドル部10は送りネジ12を備え、不図示のサーボモータによって前後方向(同図X方向)に移動、送り可能にされている。砥石11は、不図示のツルーイングドレッサにより成形される。
【0031】
ブレード保持器21は保持器スピンドル部20に回転可能に軸支されている。ブレード保持器21の軸位置は研削盤1に対して固定である。ブレード保持器21は、後述するように、右方からみて反時計方向に回転してワーク30を砥石11との略接線方向に沿って搬送する。
【0032】
調整車41は調整車スピンドル部40に回転可能に軸支されている。調整車41は、研削時に右方からみて時計方向に回転する。調整車スピンドル部40は左右方向(同図Z方向)にスライド移動可能に構成されており、研削時には左方に移動して調整車41がブレード保持器21内に嵌入される。同図では、調整車41のツルーイングのためブレード保持器21とは離間した状態が示されている。
【0033】
ロータリーツルア51はツルアスピンドル部50に回転可能に軸支されている。ツルアスピンドル部50は上下方向(同図Y方向)に移動可能に構成されている。ロータリーツルア51は、ツルーイング時に下降して調整車41の外周面形状を成形する。
【0034】
研削盤1には入力部、CPU、メモリ等からなる不図示の制御部2(制御手段)が備えられ、送り制御等、研削盤1全体の動作が制御部2により制御される。
【0035】
図2は、ブレード保持器21の部分図である。同図(a)は部分拡大斜視図であり、同図(b)はブレード保持器21を外周方向からみた部分図である。
【0036】
研削されるワーク30は樽型で、その外周面30aが研削部位となる。なお、研削されるワーク30は樽型に限らず、例えば円筒形状でもよい。
【0037】
同図(a)に示すように、ブレード保持器21の外周部には、ワーク30を収容可能なワークポケット28が均等間隔に複数形成されている。ワークポケット28は、ブレード保持器21の端面29、ブレード25のブレード面25a、25b及び反ブレード面26から形成される。又ブレード面25a、25bは、ブレード保持器21の回転中心軸に向かってブレード角θだけ傾斜している。反ブレード面26は研削後のワーク30の外周面30aの形状に対応する円弧形状に形成されている。さらにワークポケット28はブレード保持器21の内周方向、外周方向及び反端面29方向に開口しているが、反ブレード面26が外周方向よりも内周方向により延長しており、内周方向の開口面積が外周方向のそれより小さくなっている。これにより、ワーク30をブレード保持器21の外周方向からは挿入可能で、しかも内周方向への脱落が防止される。
【0038】
同図(b)に示すように、ブレード面25a、25bがワーク30の軸方向にやや傾斜をもって形成されている。端面29にはストッパ27が設けられている。上述したように、調整車41の外周面はロータリーツルア51により成形されるが、その際、スルーフィードアングルが形成される。すなわち、研削時に調整車41の外周面がワーク30と摺接して、ワーク30をブレード保持器21の端面29方向にやや推力を与えるような形状に形成される。これにより、ワーク30は研削時にはその端面30bがストッパ27に当接し、反端面29方向への脱落が防止される。
【0039】
ブレード保持器21の搬送行程は、ワーク挿入位置、研削位置を経てワーク排出位置までである。図1に示すように、ワーク挿入位置に挿入部22がブレード保持器21に近接して設けられている。各ワーク30は、ブレード保持器21の外周方向から各ワークポケット28に1個づつ押し込まれるようにして挿入される(ローディング)。
【0040】
研削位置は砥石11とブレード保持器21が最も近接した位置の近傍である。ワーク30がワークポケット28に挿入された状態では、両者に若干ガタがあり、反ブレード面26とワーク30に間隙が存在する。従って、ワーク30は通常、研削時には端面29、ブレード面25a、25b及び調整車41の外周面と摺接しながらワークポケット28内を回転(自転)する。
【0041】
図1に示すように、ワーク排出位置には排出部23がブレード保持器21に近接して設けられ、さらに排出部23にアンローディングシュート24が接続されている。研削済みの各ワーク30は、排出部23によりワークポケット28から取り出され、アンローディングシュート24により不図示の収容容器に導かれる。ローディング、研削位置及びアンローディングを別々の位置に配したことで、各動作を並行して行うことができる。
【0042】
本実施の形態では、後述するように、調整車41は等角速度ωで回転し、砥石11は回転しながら調整車41から離間する方向(前方)に送り制御される。
【0043】
図3、図4は、本実施の形態における砥石11、ワーク30、調整車41の位置関係を示す図である。図3はワーク30の研削代が無い場合を想定して砥石11の研削送り開始時(原位置)及び研削送り終了時(スパークアウト終了時)の状態を表したものである。図4は、研削代がある場合と無い場合の研削送り終了時の状態を示す。
【0044】
砥石11、調整車41、ワーク30の各直径をそれぞれDg、d、Dc、各中心点をOg、Od、Ocと記す。図3に示すような、ワーク30が砥石11及び調整車41と接している状態(研削時)において、∠OdOcOgを角度α、∠OdOgOcを角度βとしたとき、芯高角γはγ=α+βで表される。芯高Hは線分OcOgから中心点Odまでの距離である。
【0045】
Sは、中心点Ogの移動距離、すなわち砥石11のX方向(前後方向)における原位置からの変位量であり、研削送り終了時における送り量Sを特に最終送り量SENDと記す(Og−Og'間距離)。また、図3に示すようなワーク30の研削代が無い場合における送り量、最終送り量をそれぞれS0、S0ENDと記す。
【0046】
本実施の形態では、次のような条件で研削が実行される。まず、芯高角γは、研削送り開始時に10゜、送り終了時に略0゜となるように設定される。従って、各角度α、βはいずれも10゜以下の値をとる。また、ブレード保持器21の回転速度は一定(等角速度ω=dα/dt)で、砥石11の送り速度(υ=dS/dt)がα値に応じて制御される。スパークアウトは砥石11を送りながら行う。
【0047】
各値は次のように求められる。まず、研削代が0の場合を考える。最終送り量S0END、芯高Hは下記数式1、数式2で表される。
【0048】
【数1】
S0END={(Dg+Dc)/2}+d−{cosβ(Dg+d)/2+cosα(Dc+d)/2}
【0049】
【数2】
H=sinβ(Dg+d)/2=sinα(Dc+d)/2
また、上記したように、各角度α、βは10゜以下であるから、sinα≒α、sinβ≒βと近似され、よって、α≒2H/(Dc+d)、β≒2H/(Dg+d)と表される。ここで、γ=α+βであるから、芯高Hは下記数式3により表される。
【0050】
【数3】
H=(Dg+d)(Dc+d)γ/2(Dg+Dc+2d)
また、sinα、sinβ≪1を考慮すれば、cosβ≒1−(sin2β)/2、1−cosβ≒(sin2β)/2≒β2/2、1−cosα≒α2/2と近似され、従って、最終送り量S0ENDは下記数式4、または数式5で表される。
【0051】
【数4】
S0END=(Dg+d)(Dc+d)γ2/4(Dg+Dc+2d)
【0052】
【数5】
S0END=(Dc+d)(Dg+Dc+2d)α2/4(Dg+d)
さらに、γ=α+βであるから、芯高角γは下記数式6で表される。
【0053】
【数6】
γ=(Dg+Dc+2d)α/(Dg+d)
次に研削代がある場合を考える。図4に示すように、Δはワーク30の研削代(ワーク直径方向取り代)である。
【0054】
最終送り量SENDは、下記数式7により表される。
【0055】
【数7】
SEND=S0END−Δ
図5は、研削代がΔである場合と0である場合の砥石11の送り制御を比較するための図である。同図では、上記の各数式を基に、横軸に角度α、縦軸に送り量S及び芯高角γをとって角度αと送り量S及び芯高角γとの関係が示されている。α0は、研削送り開始時における角度αの値である。同図原点0が、研削送り終了時に対応する。従って、時間経過は同図右方から左方に向かって表される。
【0056】
同図に示すように、研削送り開始から終了にかけて、送り量S0は0からS0ENDまで、送り量Sは0からSENDまで各送り速度υ0、υで変化する。送り量Sと送り量S0との縦軸方向の距離が各時点における研削代Δxに相当する。芯高角γは、研削送り開始から終了にかけて角度αに比例して略0°まで減少する。
【0057】
図6は、本実施の形態における送り制御の態様を示す図である。横軸に角度α、縦軸に送り量Sをとる。同図は、砥石11を送り量Sの曲線に沿って速度υ=dS/dtで送ると共に、ブレード保持器21を一定の角速度(例えばω=dα/dt=1.9゜/sec)で送った(回転させた)場合を例示したものである。
【0058】
研削送り開始時(α=0.11rad、γ≒10゜)から時点xR1(α=0.05rad、γ≒4.5゜)までが粗研削、時点xR1から時点xF1(α=0.16rad、γ≒1.45゜)までが仕上げ研削、時点xFから時点xSP1(α=0rad、γ≒0゜)までがスパークアウトの実行領域を示す。同図上部に研削代Δの線で示したように、各研削代は、粗研削が250μ、仕上げ研削が50μ、スパークアウトは0である。各所要時間は粗研削が1.8sec、仕上げ研削が1.0sec、スパークアウトが0.5secであり、サイクルタイムは3.3secである。送り量Sと送り量S0の各曲線の上下方向の距離が各時点における研削代Δxに相当する。
【0059】
同図に示すような送り制御をすることにより、γ=略10゜から研削送りが開始され、γ=略7゜を必ず通過してγ=略0゜にて研削送りが終了する。
【0060】
従って、本実施の形態によれば、ワーク30の偶数角成分の真円度が略最小となる芯高角γ=略0゜で研削が完了するので、前記小川らの文献に示されるように、偶数角の角数が増大して偶数角成分の真円度が小さくなる一方、3角等の奇数角成分が成長する。ところが、芯高角γ=略0゜でのスパークアウトの時間は短いので、奇数角成分の成長はそれほど顕著ではない。しかも事前にワーク30の真円度が略最小となる芯高角γ=略7゜を一旦経ているので、全体の真円度は既に小さくなっており、その結果、奇数角成分の真円度も小さく抑えることができる。よって、偶数角成分、奇数角成分の双方の真円度を小さく抑えることができる。加えて、軸受け振れ及び音響に対しては奇数角成分はほとんど影響を与えない。そのため、高精度の軸受けを実現することができる。
【0061】
しかも、ワークのローディング、アンローディング及び研削を異なる位置でそれぞれ並行して行うようにしたので、簡単な構成で能率向上を図ることができる。
【0062】
よって、良好な真円度を維持しつつ、簡単な構成にて研削能率を向上することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは送り制御が異なる。すなわち、第1の実施の形態では、スパークアウトを砥石11の送りを止めずに行ったが、第2の実施の形態では砥石11の送りを停止する。また、スパークアウト時にはブレード保持器21の回転も停止する。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0064】
図7は、第2の実施の形態における送り制御の態様を示す図である。横軸、縦軸は図6と同様である。同図は、砥石11を同図に示す送り量Sの曲線に沿って送ると共に、ブレード保持器21を一定の角速度(例えばω=dα/dt=2.25゜/sec)で送った場合を例示したものである。
【0065】
研削送り開始時(α=0.11rad、γ≒10゜)から時点xR2(α=0.04rad)までの粗研削を経て、仕上げ研削が終了する時点xF2(α=0.0rad、γ≒0゜)にて砥石11の送りは停止され、その後時点xSP2までのスパークアウトの実行中は砥石11の送り及びブレード保持器21の回転が共に停止される。粗、仕上げ研削、スパークアウトの各研削代及び所要時間、並びにサイクルタイムは第1の実施の形態とほぼ同一である。
【0066】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られるだけでなく、スパークアウトの精度を向上してワーク30の寸法をより安定にすることができる。
【0067】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態では、砥石11の送り速度υを一定とすると共に、ブレード保持器21の角速度ωを可変とする。
【0068】
図8は、第3の実施の形態における送り制御の態様を示す図である。同図横軸が経過時間を示し、縦軸が送り量S及び角度αを示す。
【0069】
本実施の形態では、砥石11の送り速度υを粗、仕上げ研削時に例えばυ=dS/dt=0.414mm/sec(一定)とし、スパークアウト時には送りを停止する。一方ブレード保持器21の角速度ω=dα/dtは、同図に示すα曲線が維持されるように変化させる。角度αは、研削送り開始時(α=0.11rad、γ≒10゜)から終了時(α=0rad、γ≒0゜)まで変化度合いが徐々に大きくなるように設定される。また、スパークアウト時にはブレード保持器21の回転も停止する。粗、仕上げ研削、スパークアウトの各研削代及び所要時間、並びにサイクルタイムは第1の実施の形態とほぼ同一である。
【0070】
本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態では砥石11の送り速度υを一定としたので、砥石11の重量が大きい場合でも、砥石11に複雑な動きをさせることなく高精度な研削が可能になる。すなわち、砥石11が大型重量である一方、ブレード保持器21が小型軽量で制御容易な場合に、本実施の形態は特に好適である。
【0071】
なお、各実施の形態では、砥石11の前後方向の送り速度及びブレード保持器21の回転速度を同時制御するようにしたが、このような組み合わせは例示したもの以外にも種々可能である。また、芯高角γが略7゜を通過して略0゜にて研削終了するように制御できれば、必ずしも両者を同時2軸制御する必要はなく、1軸制御でもよい。例えば、ブレード保持器21を、回転速度を自在に制御可能に構成すると共に、X方向への移動を制御可能に構成し、砥石11は軸位置固定で回転のみするように構成する。そして、ブレード保持器21の回転と調整車のX方向への軸移動及び回転とを同時に制御して芯高角γの推移を上記のように維持するようにすれば、同様の効果を得ることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、良好な真円度を維持しつつ、研削能率を向上する機構の構成を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るセンタレス研削盤の全体構成を示す斜視図である。
【図2】ブレード保持器の部分拡大斜視図(a)及び外周方向からみた部分図(b)である。
【図3】研削代が無い場合の砥石、ワーク、調整車の位置関係を示す図である。
【図4】研削代がある場合と無い場合の研削送り終了時の状態を示す図である。
【図5】研削代がΔである場合と0である場合の砥石の送り制御を比較するための図である。
【図6】送り制御の態様を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における送り制御の態様を示す図である。
【図8】第3の実施の形態における送り制御の態様を示す図である。
【図9】従来のセンタレス研削盤における砥石、ワーク及び調整車の位置関係を示す図である。
【図10】第1の従来のセンタレス研削盤の構成の一例を示す側面図(同図(a))及び部分拡大図(同図(b))である。
【図11】第2の従来のセンタレス研削盤の構成の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 センタレス研削盤
2 制御部(制御手段)
11 回転砥石
21 ブレード保持器(ワーク搬送手段)
22 挿入部
23 排出部
25 ブレード
28 ワークポケット
30 転動体(ワーク)
41 調整車
Claims (2)
- 回転砥石と回転可能な調整車との間にワークを位置させ、一定の切り込み変化率で研削する粗研削と、前記粗研削より小さい一定の切り込み変化率で研削する仕上げ研削と、切り込み量ゼロの状態を一定時間維持するスパークアウトとを順に行って、前記ワークの外周面を研削するセンタレス研削盤において、
前記ワークを該ワークと前記砥石との略接線方向に沿って搬送するワーク搬送手段と、
前記ワークの研削時における前記砥石、前記調整車及び前記ワークの各直径及び位置関係から定まる芯高角γが徐々に小さくなるようにすると共に、前記芯高角γが0°に達する前に前記ワークの研削が完了するように、前記砥石及び前記調整車の少なくとも一方の移動による前記ワークに対する切り込み速度を前記搬送手段による前記ワークの搬送速度に応じて制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記芯高角γが、それぞれ、4.5°≦γ≦10°の範囲で且つ7°の状態を経て前記粗研削が行われ、1.5°≦γ≦4.5°の範囲で且つ2°から3°の間の状態を経て前記仕上げ研削が行われ、0°<γ≦1.5°の範囲で前記スパークアウトが行われるように制御することを特徴とするセンタレス研削盤。 - 回転砥石と回転可能な調整車との間にワークを位置させ、一定の切り込み変化率で研削する粗研削と、前記粗研削より小さい一定の切り込み変化率で研削する仕上げ研削と、切り込み量ゼロの状態を一定時間維持するスパークアウトとを順に行って、前記ワークの外周面を研削するワークの加工方法において、
前記ワークを該ワークと前記砥石との略接線方向に沿って搬送すると共に、
前記ワークの研削時における前記砥石、前記調整車及び前記ワークの各直径及び位置関係から定まる芯高角γが徐々に小さくなるようにすると共に、前記芯高角γが0°に達する前に前記ワークの研削が完了するように、前記砥石及び前記調整車の少なくとも一方の移動による前記ワークに対する切り込み速度を前記搬送手段による前記ワークの搬送速度に応じて制御し、
且つ、前記芯高角γが、それぞれ、4.5°≦γ≦10°の範囲で且つ7°の状態を経て前記粗研削が行われ、1.5°≦γ≦4.5°の範囲で且つ2°から3°の間の状態を経て前記仕上げ研削が行われ、0°<γ≦1.5°の範囲で前記スパークアウトが行われるように制御することを特徴とするワークの加工方法。
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