JP3903221B2 - 防犯センサ - Google Patents
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Description
本発明は、マイクロウエーブセンサを内蔵する防犯センサに関し、特に、誤報の発生を極力回避して信頼性を向上させた防犯センサに関する。
従来、防犯装置の一つとして、マイクロ波を検知エリアに向けて送信し、検知エリア内に人体(侵入者)が存在する場合には、その人体からの反射波(ドップラー効果によって変調したマイクロ波)を受信して人体を検知するマイクロウエーブセンサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、マイクロウエーブセンサの1タイプとして、周波数の異なる複数のマイクロ波を利用して検知エリア内に存在する人体などの検知対象物体までの距離を計測するようにしたものも提案されている。この種のセンサは、例えば周波数の異なる2種類のマイクロ波を検知エリアに向けて送信し、それぞれの反射波に基づく2つのIF信号の位相差を検出するようになっている。この位相差は、検知対象物体までの距離に相関があり、検知対象物体までの距離が大きいほど位相差も大きくなる傾向がある。つまり、この位相差を求めることにより検知対象物体までの距離を計測することが可能である。また、この位相差の時間的な変化を認識することにより検知エリア内の検知対象物体が移動しているか否かを判定することも可能である。これにより、例えば検知エリア内で移動している検知対象物体のみを識別することが可能になる。
ところで、この種のセンサを防犯用センサとして使用し、上記位相差の時間的な変化を認識して、検知エリア内で移動している検知対象物体のみを認識するようにした場合、次のような問題点があった。例えば、屋外に設置した場合に、風による草木などの揺れによってその草木などを検知対象物体であると誤検知して誤報を発してしまう可能性がある。同様に、屋内に設置した場合には、換気用のファンの回転動作や、風によるブラインドやカーテンの揺れ、あるいはマイクロウエーブセンサ自体の振動などによっても人体以外の物体(非検知対象物体)を検知対象物体であると誤検知して誤報を発してしまう可能性があった。
そこで、本発明の発明者は、人体などの検知対象物体と人体以外の非検知対象物体との判別を正確に行って誤報を回避する技術について既に提案している(特許文献2参照。)。
この提案は、各反射波に基づいて検知エリア内に存在する物体までの相対距離の単位時間当たりの変化量を計測し、その変化量が所定の閾値以上であるときにのみ、その物体を検知対象物体であると判定するものである。つまり、風によって揺れている草木や回転しているファンなどは移動距離が僅かであるのに対し、人体などの検知対象物体では移動距離が大きくなるので、その差を認識することで検知対象物体であるか否かを的確に判定するようにしている。なお、以下の説明では、このような誤報防止対策を「草木対策」、上記の閾値を「草木対策レベル」と記すこととする。
特開平7−37176号公報
特開2003−207462号公報
しかし、上述のようなマイクロウエーブセンサでは、送受信アンテナとして比較的指向性の広いものをその送受信方向を固定して使用しているため、本来の検知対象物体である侵入者などを必ずしも正確に検知できない可能性があった。例えば、雨、昆虫などの接近、設置場所やマイクロウエーブセンサ自体の振動などによって影響を受け、誤報などを生じる場合があった。
また、検知対象物体が存在している方向を認識できないため、風によって揺れている草木や回転しているファンなどが特定の方向にのみ存在している場合であっても、上述の「草木対策」を行うと、結果としてマイクロウエーブセンサの全方向に対する検知感度を低下させることになっていた。さらに、設置時にその設置場所において、特定の方向に誤検知などの要因になり得るものが存在していることがわかっても、検知エリア全体の方向を調整する程度の限られた対応しかできなかった。
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、風による草木などの揺れやマイクロウエーブセンサ自体の振動、あるいはマイクロウエーブセンサに接近する昆虫などの影響によって内蔵するマイクロウエーブセンサが影響を受けて誤報が発生することを極力回避するとともに、特定方向の検知を禁止したり方向によって検知感度を変更可能とすることで動作の信頼性を高めることが可能な防犯センサを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の防犯センサは、検知エリアに向けてマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体によって反射された前記マイクロ波を受信して、その受信強度に応じた反射波受信強度信号を出力するマイクロウエーブセンサと、このマイクロウエーブセンサによる前記マイクロ波の送受信方向を所定角度範囲内で変更可能な方向可変アンテナ装置と、この方向可変アンテナ装置に対して前記送受信方向の前記所定角度範囲内にわたる走査を指示することにより、前記送受信方向と前記反射波受信強度信号の出力との関係を求める走査測定手段と、この走査測定手段によって求められた前記送受信方向と前記反射波受信強度信号の出力との関係に基づいて検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段と、この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段とを備え、前記反射波受信強度信号を前記受信強度と正の相関を有する電圧信号であり、前記検知対象物体存在判別手段は、前記反射波受信強度信号の電力値の前記所定角度範囲内にわたる積分値に対して前記反射波受信強度信号のピーク電力値が所定比率以上である場合に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする。
ここで、方向可変アンテナ装置としては、例えばフェイズドアレーアンテナが挙げられるが、これに限るものではない。
このような構成の防犯センサによれば、雨、昆虫などの接近、設置場所や防犯センサ自体の振動などによる影響を抑制し、誤報などを極力回避することが可能となるので、動作の信頼性を高めることができる。
また、前記防犯センサにおいて、前記検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて前記検知エリア内の検知対象物体の存在を示す赤外線検知信号を出力する受動型赤外線センサを備え、前記警告信号出力制御手段は、前記受動型赤外線センサから前記赤外線検知信号が出力されていない場合には前記警告信号を出力させないようにしてもよい。
このような構成の防犯センサによれば、さらに受動型赤外線センサも併用することで、検知動作の信頼性をさらに高めることができる。
また、前記防犯センサにおいて、さらに、前記走査測定手段によって求められた前記送受信方向と前記反射波受信強度信号の出力との関係に基づいて検知対象物体が存在している方向を特定する検知対象物体方向特定手段と、前記検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合であって前記受動型赤外線センサから前記赤外線検知信号が出力されていないときに、前記検知対象物体方向特定手段によって特定された方向を検知制限方向情報として記憶する方向記憶手段とを備え、前記警告信号出力制御手段は、前記検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合であっても前記検知対象物体方向特定手段によって特定された方向と前記方向記憶手段に記憶されている前記検知制限方向情報のいずれかに対応する方向との差が所定範囲内であれば、前記警告信号を出力させないようにしてもよい。
ここで、前記検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別されない状態が所定期間継続した場合に、前記方向記憶手段に記憶されている前記検知制限方向情報を消去するようにしてもよい。
このような構成の防犯センサによれば、誤検知を生じさせる要因が存在すると判断される方向の検知を自動的に禁止することにより、一層の誤報低減を図ることができる。
本発明の防犯センサによれば、雨、昆虫などの接近、設置場所や防犯センサ自体の振動などによる影響を抑制し、誤報などを極力回避することが可能となるので、動作の信頼性を高めることができる。さらに、特定方向の検知を禁止したり方向によって検知感度を変更可能とすることで動作の信頼性をより高めることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る防犯センサ100の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、防犯センサ100は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ110と、このフェイズドアレーアンテナ110を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ120と、これらを制御するワンチップマイコン130とを備えている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る防犯センサ100の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、防犯センサ100は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ110と、このフェイズドアレーアンテナ110を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ120と、これらを制御するワンチップマイコン130とを備えている。
フェイズドアレーアンテナ110は、同一方向を向けて等間隔に配置された複数のアンテナ素子111と、これらのアンテナ素子111間の信号伝達経路における移相量を所定範囲内で制御する移相制御回路112とを有している。なお、フェイズドアレーアンテナ110の指向性は狭くしておくことが望ましい。また、移相制御回路112は、移相量を連続的に変更することによりその送受信方向も連続的可変であるタイプとする。
マイクロウエーブセンサ120は、単一周波数のマイクロ波を送受信するタイプのもので、検知エリア内に対してフェイズドアレーアンテナ110からマイクロ波を送信する。送信されたマイクロ波は、検知エリア内に何らかの物体が存在すると反射され、反射されたマイクロ波の一部はフェイズドアレーアンテナ110の方向に戻って受信される。そして、マイクロウエーブセンサ120は、受信したマイクロ波の受信強度が強いほど電圧が高くなるような反射波受信強度信号を出力するように構成されている。
ワンチップマイコン130は、移相制御回路112に対して移相量の制御を指示するとともにマイクロウエーブセンサ120から出力される反射波受信強度信号をモニターする走査測定部131と、この走査測定部131による測定結果に基づいて検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別部132と、この検知対象物体存在判別部132の判別結果に基づいて警告信号Dout1の出力を制御する警告出力制御部133とを有している。なお、走査測定部131、検知対象物体存在判別部132、および警告出力制御部133はワンチップマイコン130の組み込みソフトウェアによって実現されているが、実現方法はソフトウェアに限るものではない。
警告出力制御部133の警告信号Dout1の出力形式はオープンドレインあるいはオープンコレクタとする。警告信号Dout1の出力は、検知対象物体存在判別部132が検知対象物体が存在していると判別しているときにONとなり、検知対象物体が存在していないと判別しているときにはオープンになるものとする。
図2は、防犯センサ100のフェイズドアレーアンテナ110による送受信方向を示すアンテナ振り角θの説明図である。図3は、防犯センサ100の走査測定部131による測定結果の例であり、(a)は人体を検知した場合を示し、(b)は雨や振動の影響を受けた場合を示し、(c)は昆虫が接近した場合を示している。
ここで、アンテナ振り角θは、図2に示すように、防犯センサ100の正面方向を基準とする送受信方向の角度として定義する。フェイズドアレーアンテナ110は、移相制御回路112が制御する移相量によって送受信方向を変えることができ、アンテナ振り角θとしては、0度を中心としてプラス方向とマイナス方向にそれぞれ同じ角度の幅を有している。
ワンチップマイコン130の走査測定部131は、移相制御回路112に対して移相量の変更を連続的に指示しながら、その期間中のマイクロウエーブセンサ120から出力される反射波受信強度信号をモニターするとともに記憶する。また、このような測定が繰り返される。これにより、例えば、図3(a)〜(c)に示すような測定結果が得られる。
図3(a)は、遠距離の人体を検知した場合の例であり、その人体が存在する方向を中心とする鋭いピークが見られる。そのピークから左右に離れるとレベルが急激に低くなり、十分離れたところではほぼ一定の低いレベルとなる。
これに対して、図3(b)は、雨や振動の影響を受けた場合の例であり、特定の方向に一定の大きさを有する何らかの物体などが存在しているわけではない。ある程度のレベルの範囲内で不規則に変動しているものの、特にピークなどは見られない。
また、図3(c)は、小さな昆虫などがアンテナに間近に接近したり張り付いたりしている場合の例であり、フェイズドアレーアンテナ110の指向性が十分に発揮されないため、図3(a)と比較すると極めてゆるやかなピークが見られるのみである。
このように、検知した物体によって測定結果は大きく異なるが、この測定結果に基づいて検知対象物体が存在しているか否かを検知対象物体存在判別部132によって的確に判別する必要がある。
そこで、マイクロウエーブセンサ120から反射波受信強度信号として出力される電圧を送受信方向の全範囲にわたって積分した「全方向電力」に対して、走査測定部131による測定結果の中でピーク位置の電圧に対応する「ピーク電力」の比率を「ピーククオリティー」として次式のように定義する。そして、このピーククオリティーが所定値以上の場合に検知対象物体が存在していると判別するようにする。
以上のような第1実施形態の構成によれば、雨、昆虫などの接近、設置場所や防犯センサ自体の振動などによる影響を抑制し、誤報などを極力回避することが可能となるので、動作の信頼性を高めることができる。
<第1実施形態の変形例>
図4は、第1実施形態に係る防犯センサ100の変形例として、受動型赤外線センサ(PIRセンサ)を組み合わせることで動作の信頼性をさらに高めた防犯センサ100Aの概略構成を示すブロック図である。以下では、第1実施形態との相違点を説明する。
図4は、第1実施形態に係る防犯センサ100の変形例として、受動型赤外線センサ(PIRセンサ)を組み合わせることで動作の信頼性をさらに高めた防犯センサ100Aの概略構成を示すブロック図である。以下では、第1実施形態との相違点を説明する。
図4に示すように、この防犯センサ100Aは、第1実施形態の構成要素に加えて、検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて検知対象物体の有無を示す信号(検知対象物体が存在するときはハイレベル、存在しないときはローレベル)を出力する受動型赤外線センサ140を備えている。
また、ワンチップマイコン130Aでは、警告出力制御部133Aに受動型赤外線センサ140の出力が接続されており、警告信号Dout1の出力の制御に受動型赤外線センサ140の出力も考慮する点が異なっている。
具体的には、検知対象物体存在判別部132が検知対象物体が存在していると判別している場合であっても、受動型赤外線センサ140からの出力が検知対象物体が存在しないことを示すローレベルであるときは、何らかの要因によってマイクロウエーブセンサ120が誤検知をしていると判断して、警告信号Dout1の出力をONとはせずにオープン状態を維持する。
以上のような構成によれば、雨、昆虫などの接近、設置場所や防犯センサ自体の振動などによる影響を抑制し、誤報などを極力回避することが可能となるとともに、さらに受動型赤外線センサも併用することで、検知動作の信頼性をさらに高めることができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る防犯センサ200の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第1実施形態の変形例と同様であるので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る防犯センサ200の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第1実施形態の変形例と同様であるので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図5に示すように、この防犯センサ200と防犯センサ100Aとの相違点は、ワンチップマイコン230の構成要素である。すなわち、検知対象物体方向特定部234および検知禁止方向記憶部235が追加されていることと、警告出力制御部233による警告信号Dout2の出力の制御に検知対象物体方向特定部234および検知禁止方向記憶部235の出力が考慮されることである。また、受動型赤外線センサ140の出力は警告出力制御部233以外でも参照する必要があるため、警告出力制御部233へ直接ではなくワンチップマイコン230へ接続されている。
検知対象物体方向特定部234は、走査測定部131による測定結果の中でピーク位置を検索し、そのピーク位置に対応する方向を求め、求めた方向を警告出力制御部233へ伝達する。また、検知対象物体存在判別部132が検知対象物体が存在していると判別しているときであっても、受動型赤外線センサ140からの出力が検知対象物体が存在しないことを示すローレベルであるときは、その方向にマイクロウエーブセンサ120の誤検知を生じさせる要因が存在すると判断して、その方向を検知禁止方向情報として検知禁止方向記憶部235に記憶する。
検知禁止方向記憶部235は、この検知禁止方向情報を警告出力制御部233へ伝達する。なお、この検知禁止方向記憶部235には1つの検知禁止方向情報だけでなく複数の検知禁止方向情報を記憶できるようにしてもよい。また、検知対象物体存在判別部132が検知対象物体が存在していないと判別する状態が所定時間以上継続した場合は、検知禁止方向情報を自動的に消去するようにしてもよい。
警告出力制御部233は、検知対象物体存在判別部132が検知対象物体が存在していると判別している場合であっても、次のいずれかの条件下では警告信号Dout2の出力をONとはせずにオープン状態を維持する。第1の条件は、受動型赤外線センサ140からの出力が検知対象物体が存在しないことを示すローレベルであるときであり、第2の条件は、検知対象物体方向特定部234によって求められた方向が検知禁止方向記憶部235に記憶されている検知禁止方向情報のいずれかとの差が所定の微差であるときである。
以上のような第2実施形態の構成によれば、雨、昆虫などの接近、設置場所や防犯センサ自体の振動などによる影響を抑制し、誤報などを極力回避することが可能となるとともに、受動型赤外線センサも併用することで動作の信頼性を高めることができ、さらに、誤検知を生じさせる要因が存在すると判断される方向の検知を自動的に禁止することにより、一層の誤報低減を図ることができる。
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る防犯センサ300の概略構成を示すブロック図である。なお、上述の各実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る防犯センサ300の概略構成を示すブロック図である。なお、上述の各実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図6に示すように、この防犯センサ300は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ310と、このフェイズドアレーアンテナ310を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ320と、受動型赤外線センサ140と、これらを制御するワンチップマイコン330とを備えている。
フェイズドアレーアンテナ310は、同一方向を向けて等間隔に配置された複数のアンテナ素子311と、これらのアンテナ素子311間の信号伝達経路における移相量を所定範囲内で制御する移相制御回路312とを有している。なお、フェイズドアレーアンテナ110の指向性は狭くしておくことが望ましい。また、第1実施形態などのフェイズドアレーアンテナ110とは異なり、複数段階の移相量のいずれかを設定することによりその送受信方向を複数の方向から選択できるタイプであるものとする。
マイクロウエーブセンサ320は、2つの異なる周波数のマイクロ波を送受信するタイプのもので、検知エリア内に対してフェイズドアレーアンテナ310からマイクロ波を送信する。送信されたマイクロ波は、検知エリア内に何らかの物体が存在すると反射され、反射されたマイクロ波の一部はフェイズドアレーアンテナ310の方向に戻って受信される。そして、マイクロウエーブセンサ320は、受信したそれぞれの反射波に基づく2つのIF信号の位相差を検出し、この位相差に基づいて検知物体距離信号を出力するように構成されている。
ワンチップマイコン330は、走査測定部331と、物体移動距離認識部336と、検知対象物体存在判別部332と、検知制限方向記憶部335と、警告出力制御部333とを有している。なお、これらはワンチップマイコン330の組み込みソフトウェアによって実現されているが、実現方法はソフトウェアに限るものではない。
走査測定部331は、移相制御回路312に対して移相量の制御を指示するとともにマイクロウエーブセンサ320から出力される検知物体距離信号をモニターして検知物体が存在する方向およびその検知物体までの距離情報を求める。
物体移動距離認識部336は、この走査測定部331によって求められる検知物体までの距離情報の時間的変化に基づき、単位時間における検知物体の移動距離を求める。
検知対象物体存在判別部332は、この物体移動距離認識部336によって求められた検知物体の移動距離を所定の閾値(草木対策レベル)と比較し、草木対策レベル未満であれば風によって揺れている草木などと判断する。検知物体の移動距離が草木対策レベル以上である場合であっても、受動型赤外線センサ140からの出力が検知対象物体が存在しないことを示すローレベルであるときは、何らかの要因によってマイクロウエーブセンサ320が誤検知をしていると判断する。そして、次回以降の検知動作において同様の誤検知を抑制できるように、走査測定部331から出力されている検知物体が存在する方向を検知制限方向情報として検知制限方向記憶部335に記憶する。検知物体の移動距離が草木対策レベル以上であって受動型赤外線センサ140からの出力もハイレベルであるときは、侵入者などの検知対象物体が実際に存在していると判断する。
なお、上記草木対策レベルについては、走査測定部331から出力されている検知物体が存在する方向が検知制限方向記憶部335にすでに記憶されている検知制限方向情報のいずれかに該当する場合は、通常より高い値を用いて判断を行うようにする。これにより、誤検知の要因が存在していると判断される方向については検知感度を実質的に落とすことになって誤検知を抑制し、その他の方向については検知感度を落とさずに済む。
また、検知対象物体存在判別部332が検知対象物体が存在していないと判別する状態が所定時間以上継続した場合は、検知制限方向記憶部335に記憶されている検知制限方向情報を自動的に消去するようにしてもよい。
警告出力制御部333の警告信号Dout3の出力形式はオープンドレインあるいはオープンコレクタとする。警告信号Dout3の出力は、検知対象物体存在判別部332が検知対象物体が存在していると判別しているときにONとなり、検知対象物体が存在していないと判別しているときにはオープンになる。
以上のような第3実施形態の構成によれば、誤検知を生じさせる要因が存在すると判断される方向については実質的な検知感度を自動的に落とすことにより誤検知を抑制できるとともに、その他の方向については通常と同じ高い感度を維持することができ、誤報の低減や動作の依頼性の向上を図ることができる。
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る防犯センサ400の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第3実施形態と同様であり、さらに相違点の一部も上述の他の実施形態と共通しているので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る防犯センサ400の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第3実施形態と同様であり、さらに相違点の一部も上述の他の実施形態と共通しているので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図7に示すように、この防犯センサ400は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ310と、このフェイズドアレーアンテナ310を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ320と、これらを制御するワンチップマイコン430と、このワンチップマイコン430への情報入力手段となるDIPスイッチ450とを備えている。
なお、この防犯センサ400は、図8に示すように、建物の窓11からの侵入者12を検知できるように、窓11の横方向から壁10に沿って検知エリアを形成するように設置されているものとする。また、検知エリアは7方向(A〜G)に分割されている。
DIPスイッチ450は、この検知エリアと同数の7つのスイッチ素子を有しており、各スイッチ素子をONすることで、検知エリアの対応方向の検知結果を無効として扱う。また、検知エリアの各方向とDIPスイッチ450の各スイッチ素子との対応関係をわかりやすくするため、防犯センサ400の内部において、検知エリアの7方向にちょうど対応するような向きにDIPスイッチ450が配置されている。例えば、DIPスイッチ450の一番右のスイッチ素子が検知エリアの一番右の方向Gに対応するようにしている。これにより、設置や調整などの作業が容易になる。
ワンチップマイコン430は、走査測定部331と、物体移動距離認識部336と、検知対象物体存在判別部432と、警告出力制御部433とを有している。なお、検知対象物体存在判別部432と検知対象物体存在判別部332との相違点は、検知対象物体存在判別部432が検知制限方向記憶部335へのアクセス機能を有していない点である。
警告出力制御部433は、検知対象物体存在判別部432が検知対象物体が存在していると判別している場合であっても、走査測定部331から出力されている検知物体が存在する方向がDIPスイッチ450によって検知を禁止するように設定されている方向に該当するときは、警告信号Dout4の出力をONとはせずにオープン状態を維持する。
図8に示すように設置した場合、例えば、窓11や壁10を通して屋内の人物などを検知してしまい、結果として誤検知を生じる可能性があるが、窓11の方向に対応している方向F・Gの検知をDIPスイッチ450の設定によって予め禁止すれば、このような誤検知を防止できる。その他、設置状況や使用目的によって、検知する方向を自由に限定することもできる。
以上のような第4実施形態の構成によれば、誤検知を生じさせる要因が存在すると判断される方向や検知が不要である方向の検知を、手動による設定操作などで予め禁止することができる。これにより、一層の誤報低減を図ることができるだけでなく、設置状況や使用目的によって柔軟な活用が可能となる。
<第5実施形態>
図9は、本発明の第5実施形態に係る防犯センサ500の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第4実施形態と同様であり、さらに相違点の一部も上述の他の実施形態と共通しているので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図9は、本発明の第5実施形態に係る防犯センサ500の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第4実施形態と同様であり、さらに相違点の一部も上述の他の実施形態と共通しているので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図9に示すように、この防犯センサ500は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ310と、このフェイズドアレーアンテナ310を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ320と、受動型赤外線センサ140と、これらを制御するワンチップマイコン530と、このワンチップマイコン530への情報入力手段となるDIPスイッチ450とを備えている。
ワンチップマイコン530は、走査測定部531と、物体移動距離認識部336と、検知対象物体存在判別部432と、警告出力制御部533とを有している。
走査測定部531は、移相制御回路312に対して移相量の制御を指示するとともにマイクロウエーブセンサ320から出力される検知物体距離信号をモニターして検知物体が存在する方向およびその検知物体までの距離情報を求める。ただし、DIPスイッチ450によって検知を禁止するように設定されている方向については対象から除外する。これにより、不要な方向の検知動作を廃して、必要な方向のみに限定して検知動作を行うことができる。
警告出力制御部533は、検知対象物体存在判別部432が検知対象物体が存在していると判別している場合であっても、受動型赤外線センサ140からの出力が検知対象物体が存在しないことを示すローレベルであるときは、警告信号Dout5の出力をONとはせずにオープン状態を維持する。
なお、DIPスイッチ450のすべてのスイッチ素子を誤ってONに設定した場合、検知エリアのいずれの方向についてもマイクロウエーブセンサ320による検知が行われなくなり、防犯センサ500としての機能が損なわれてしまう。そこで、DIPスイッチ450のすべてのスイッチ素子がONに設定されていることを警告出力制御部533が検出した場合、受動型赤外線センサ140からの出力のみに応じて警告信号Dout5を制御するようにする。すなわち、受動型赤外線センサ140からの出力がハイレベルであれば警告信号Dout5の出力をONとし、受動型赤外線センサ140からの出力がローレベルであれば警告信号Dout5の出力はオープン状態を維持する。
<第6実施形態>
図10は、本発明の第6実施形態に係る防犯センサ600の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第4実施形態や第5実施形態と同様であり、さらに相違点の一部も上述の他の実施形態と共通しているので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図10は、本発明の第6実施形態に係る防犯センサ600の概略構成を示すブロック図である。なお、次に述べる点以外は第4実施形態や第5実施形態と同様であり、さらに相違点の一部も上述の他の実施形態と共通しているので、同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
図10に示すように、この防犯センサ600は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ310と、このフェイズドアレーアンテナ310を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ320と、受動型赤外線センサ140と、これらを制御するワンチップマイコン630と、このワンチップマイコン630への情報入力手段となるDIPスイッチ650とを備えている。
ワンチップマイコン630は、走査測定部531と、物体移動距離認識部336と、検知対象物体存在判別部432と、警告出力制御部633とを有している。また、走査測定部531によって求められる検知物体が存在する方向およびその検知物体までの距離情報が警告出力制御部633へも伝達される。
これにより、警告出力制御部633は検知物体の2次元位置を方向および距離として認識することができるので、第4実施形態や第5実施形態と同様の機能を2次元的に拡張することができる。例えば、図11に示すように、検知エリアを予め方向および距離の組み合わせで複数のサブ検知エリアに分割するとともに、DIPスイッチ650としてはそれらのサブ検知エリアの数に応じたスイッチ素子を有するものを使用すればよい。
<その他の変形例>
第6実施形態における検知物体の2次元位置である方向および距離は、直行座標系に変換することも容易である。したがって、このような座標変換機能を第6実施形態に付加することにより、検知エリアを図12に示すように分割することも可能となる。
第6実施形態における検知物体の2次元位置である方向および距離は、直行座標系に変換することも容易である。したがって、このような座標変換機能を第6実施形態に付加することにより、検知エリアを図12に示すように分割することも可能となる。
この場合、DIPスイッチの各スイッチ素子とサブ検知エリアの配置の対応関係がわかりやすくなるので、設置や調整作業などが容易となる。
また、設置場所や使用目的によっては、例えば、図13に示すように、検知エリアを方向による分割は行わずに距離のみによって複数のサブ検知エリア(A1〜A4)に分割してもよい。この場合、誤検知の要因となりうる草木などが存在している距離に該当するサブ検知エリア(A2、A4)をDIPスイッチの設定などによって無効にできるように構成する。あるいは、該当するサブ検知エリアを無効とする代わりに、第3実施形態のように草木対策を強める(実質的な感度を下げる)ような構成としてもよい。
なお、検知エリアを距離のみによって複数のサブ検知エリアに分割するのであれば、第6実施形態よりも構成を簡略化することも可能である。具体的には、フェイズドアレーアンテナ310は通常のアンテナに置き換えるとともに、走査測定部531を省略して物体移動距離認識部336がマイクロウエーブセンサ320から出力される距離情報を直接モニターするようにしてもよい。さらに、必要に応じて、受動型赤外線センサ140の省略も可能である。
このように簡略化された構成でも、図13に示したような検知エリアの距離のみによる分割を実現することができる。
また、検知物体の2次元位置を認識する構成と、第3実施形態のような草木対策を組み合わせてもよいことはもちろんである。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
100 防犯センサ(第1実施形態)
100A 防犯センサ(第1実施形態の変形例)
110 フェイズドアレーアンテナ
111 アンテナ素子
112 移相制御回路
120 マイクロウエーブセンサ
130 ワンチップマイコン
130A ワンチップマイコン
131 走査測定部
132 検知対象物体存在判別部
133 警告出力制御部
133A 警告出力制御部
140 受動型赤外線センサ
200 防犯センサ(第2実施形態)
230 ワンチップマイコン
233 警告出力制御部
234 検知対象物体方向特定部
235 検知禁止方向記憶部
300 防犯センサ(第3実施形態)
310 フェイズドアレーアンテナ
311 アンテナ素子
312 移相制御回路
320 マイクロウエーブセンサ
330 ワンチップマイコン
331 走査測定部
332 検知対象物体存在判別部
333 警告出力制御部
335 検知制限方向記憶部
336 物体移動距離認識部
400 防犯センサ(第4実施形態)
430 ワンチップマイコン
432 検知対象物体存在判別部
433 警告出力制御部
450 DIPスイッチ
500 防犯センサ(第5実施形態)
530 ワンチップマイコン
531 走査測定部
533 警告出力制御部
600 防犯センサ(第6実施形態)
630 ワンチップマイコン
633 警告出力制御部
650 DIPスイッチ
100A 防犯センサ(第1実施形態の変形例)
110 フェイズドアレーアンテナ
111 アンテナ素子
112 移相制御回路
120 マイクロウエーブセンサ
130 ワンチップマイコン
130A ワンチップマイコン
131 走査測定部
132 検知対象物体存在判別部
133 警告出力制御部
133A 警告出力制御部
140 受動型赤外線センサ
200 防犯センサ(第2実施形態)
230 ワンチップマイコン
233 警告出力制御部
234 検知対象物体方向特定部
235 検知禁止方向記憶部
300 防犯センサ(第3実施形態)
310 フェイズドアレーアンテナ
311 アンテナ素子
312 移相制御回路
320 マイクロウエーブセンサ
330 ワンチップマイコン
331 走査測定部
332 検知対象物体存在判別部
333 警告出力制御部
335 検知制限方向記憶部
336 物体移動距離認識部
400 防犯センサ(第4実施形態)
430 ワンチップマイコン
432 検知対象物体存在判別部
433 警告出力制御部
450 DIPスイッチ
500 防犯センサ(第5実施形態)
530 ワンチップマイコン
531 走査測定部
533 警告出力制御部
600 防犯センサ(第6実施形態)
630 ワンチップマイコン
633 警告出力制御部
650 DIPスイッチ
Claims (5)
- 検知エリアに向けてマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体によって反射された前記マイクロ波を受信して、その受信強度に応じた反射波受信強度信号を出力するマイクロウエーブセンサと、
このマイクロウエーブセンサによる前記マイクロ波の送受信方向を所定角度範囲内で変更可能な方向可変アンテナ装置と、
この方向可変アンテナ装置に対して前記送受信方向の前記所定角度範囲内にわたる走査を指示することにより、前記送受信方向と前記反射波受信強度信号の出力との関係を求める走査測定手段と、
この走査測定手段によって求められた前記送受信方向と前記反射波受信強度信号の出力との関係に基づいて検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段と、
この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段とを備え、
前記反射波受信強度信号は前記受信強度と正の相関を有する電圧信号であり、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記反射波受信強度信号の電力値の前記所定角度範囲内にわたる積分値に対して前記反射波受信強度信号のピーク電力値が所定比率以上である場合に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。 - 請求項1に記載の防犯センサにおいて、
さらに、前記検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて前記検知エリア内の検知対象物体の存在を示す赤外線検知信号を出力する受動型赤外線センサを備え、
前記警告信号出力制御手段は、前記受動型赤外線センサから前記赤外線検知信号が出力されていない場合には前記警告信号を出力させないことを特徴とする防犯センサ。 - 請求項2に記載の防犯センサにおいて、
さらに、前記走査測定手段によって求められた前記送受信方向と前記反射波受信強度信号の出力との関係に基づいて検知対象物体が存在している方向を特定する検知対象物体方向特定手段と、
前記検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合であって前記受動型赤外線センサから前記赤外線検知信号が出力されていないときに、前記検知対象物体方向特定手段によって特定された方向を検知制限方向情報として記憶する方向記憶手段とを備え、
前記警告信号出力制御手段は、前記検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合であっても前記検知対象物体方向特定手段によって特定された方向と前記方向記憶手段に記憶されている前記検知制限方向情報のいずれかに対応する方向との差が所定範囲内であれば、前記警告信号を出力させないことを特徴とする防犯センサ。 - 請求項3に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別されない状態が所定期間継続した場合に、前記方向記憶手段に記憶されている前記検知制限方向情報を消去することを特徴とする防犯センサ。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記方向可変アンテナ装置はフェイズドドアレーアンテナであることを特徴とする防犯センサ。
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