JP3903029B2 - 温度式膨張弁 - Google Patents

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Description

本発明は、カーエアコン等の空調装置に装備されて、冷媒の温度に応じて蒸発器(エバポレータ)へ供給される冷媒の流量を制御する温度式膨張弁に関する。
図3は、従来周知の温度式膨張弁の縦断面の構造を示す説明図である。
全体を符号1で示す膨張弁は、アルミ合金等で製造される角柱形状の弁本体10を有する。弁本体10には空調装置の圧縮機側から送られてくる高圧の冷媒を導入する通路20を有し、通路20に連通する弁室22が弁本体10の下部内部に形成される。
弁室22は、弁座24を介して通路20から通路26に連通し、通路26からは蒸発器側へ冷媒を送出する。
弁室22内には、弁座24に対向して球形の弁体30が装備され、弁体30は弁体受け部材32により支持される。弁体受け部材32は、スプリング34を介して調節ネジとなるナット部材36により支持される。ナット部材36は、弁本体10に対してねじ部37により螺合され、六角穴38を利用してレンチ等の工具によりねじ込まれる。
このナット部材36のねじ込み量により弁体30を支持するスプリング34のばね力を調整することにより弁体30を閉弁方向に付勢することができる。ナット部材36には、シール部材39が取付けられ、弁室22内から冷媒が漏出するのを防止する。
弁本体10には、蒸発器側から圧縮機側へ戻る冷媒の戻り通路28が通路26と平行に形成される。
弁体30は、弁本体10の中心部を貫通する作動棒40により操作される。作動棒40は、ステンレス等でつくられる細径のシャフトで、その上端はストッパ部材50に挿入され、その下端は弁体30に当接する。
作動棒40と弁本体10の間には、シール部材42が装備され、冷媒が送り出される通路26と冷媒が戻る通路28との間のシールが形成される。
ストッパ部材50は、全体を符号60で示すパワーエレメントと称する駆動装置内に装備される。
パワーエレメント60は、上蓋621と下蓋622とからなる円盤形状のキャン体62を有し、キャン体62は下蓋622のねじ部64により弁本体10の上部に螺合されると共にストッパ部材50は、その周辺部が下蓋622に支持される。
キャン体62内には、ダイアフラム66が設けられ、その周辺部が上蓋621と下蓋622とによって挟み込まれて溶接により固着されており、上部圧力室68と下部圧力室69が形成される。上部圧力室68内には作動流体が充填され、栓体70により封止される。
冷媒の戻り通路28内を通過する冷媒の圧力は、ストッパ部材50の下面に作用し、冷媒の温度は作動棒40を介してストッパ部材50へ伝達され、ダイアフラム66を介して上部圧力室68内の作動流体に伝達される。
上部圧力室68内の圧力により、ダイアフラム66は変位し、その変位量は作動棒40を介して弁体30を作動させ、通路20を流れる冷媒を減圧膨張させ、弁座24を形成する絞り通路の開口面積を調整させて、蒸発器側へ流入する冷媒の流量を制御する。
かかる従来の温度式膨張弁においては、弁受け部材、スプリング及び調節ネジ等を有し、部品点数を要しており、しいては温度式膨張弁の小型化及び軽量化の達成を困難にしていた。
さらには、弁室より調節ネジ部分を通して冷媒の漏れる不具合の生ずるおそれがあった。
かかる点に鑑み、本発明はカーエアコンの小型化、軽量化の要請に応じ、構造を簡素化し、部品点数を削減した温度式膨張弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、弁本体と、弁本体内に形成される高圧冷媒の通過する第1の通路と、上記第1の通路内に形成される弁室と、上記第1の通路と平行に上記弁本体内に形成される蒸発器側に送出される冷媒の通過する第2の通路と、上記弁室と上記第2の通路を連通する弁座部材が圧入される絞り通路と、上記絞り通路に対向配置された弁体と、上記蒸発器側から送出される冷媒の通過する第3の通路と、上記第3の通路を通過する冷媒の温度を感知して上記弁体を駆動する感温棒とを有し、上記弁座部材は予め上記作動棒と上記弁体との間に装備された状態で上記絞り通路に固着され、上記弁体の変位により上記絞り通路の開口面積を調整することを特徴とする。
さらに本発明は、上記作動棒は、上記弁座部材に挿入される細径部を有し、上記細径部の先端に球形の弁体が固着される構造を備えることを特徴とする。
そして、作動棒は、弁座部材に挿入される細径部を有し、細径部の先端に球形の弁体が固着される構造を備える。
また、作動棒をダイアフラム側へ向けて付勢するスプリングを備えるものである。
また、本発明の温度式膨張弁は、この弁本体に形成され高圧冷媒が通過する有底穴状の第1の通路と、この第1の通路内の底部側に形成された弁室と、上記弁本体における上記第1の通路の上方の部位に形成され蒸発器側に送出される冷媒が通過する第2の通路と、上記第1の通路と上記第2の通路との間に上下に延びるように形成され上記弁室と上記第2の通路とを連通する絞り通路と、この絞り通路内に同軸状に圧入されたパイプ状の弁座部材と、上記弁室内において上記弁座部材の開口に対向するように配され上記開口を開閉する弁体と、上記弁本体における上記第2の通路の上方の部位に上記絞り通路と整列するように形成された縦穴内に軸方向に移動可能に設けられ一端が上記弁座部材を貫通するとともにその先端部に上記弁体が固着された作動棒と、を備え、上記弁体および上記弁座部材が取り付けられた上記作動棒を上記弁本体の上部から上記縦穴内に軸方向に挿入すると、上記弁体が上記絞り通路を通過して上記弁室内に挿入されるとともに上記弁座部材が上記絞り通路内に圧入されるように構成したことを特徴とする。
さらに、本発明の温度式膨張弁は、上記弁座部材は、その一端に側方に向けて張り出したフランジを有しており、上記絞り通路の端は、上記フランジを受け入れるように段付状に形成されたことを特徴とする。

本発明の温度式膨張弁は以上のように、部品点数を削減し、簡単な構造を有するので、製造コストが低減できる。
また、弁室は有底の穴内に形成され、シール構造を有しないので冷媒の洩れも発生しない。
図1は本発明の実施形態に係る温度式膨張弁の縦断面を示す説明図である。
全体を符号100で示す温度式膨張弁は、弁本体110を有し、弁本体110は、例えばアルミ合金にてつくられる角柱形状の部材である。
弁本体110の下部側には、空調装置の圧縮機側から送られてくる高圧の冷媒を受け入れる第1の通路120が形成される。この第1の通路120は、有底の穴であって、その底部近傍は弁室122を形成する。弁室122は、弁本体110内に第1の通路120と垂直に形成された絞り通路を形成する穴116に圧入される弁座部材200を介して第1の通路120と平行に弁本体110内に形成された第2の通路126に連通し、第2の通路126は蒸発器側へ冷媒を送出する。
弁本体110の上部側には、第2の通路126に平行して設けられる第3の通路128が形成される。
第3の通路128は、弁本体110を貫通し、蒸発器側から圧縮機側へ戻る冷媒が通過する。
弁室122内には、球形の弁体130が第1の通路120の上流側から絞り通路に対向配設され、弁体130は作動棒132の下端と溶接により固着されている。
作動棒132は、弁本体110の縦穴114内を摺動し、作動棒132に設けられるシール部材134が第2の通路126と第3の通路128の間のシールを形成する。
作動棒132は、弁本体110の穴112を貫通し、その上端136はストッパ部材140に当接される。
全体を符号160で示すパワーエレメントと称する駆動装置は、ステンレス製の上蓋163と下蓋163′とからなるキャン体162を有し、キャン体162は下蓋163′のねじ部164により本体110の上端に螺合されると共にストッパ部材140はその周辺部が下蓋163′により支持される。キャン体162には、ダイアフラム166が設けられ、その周辺部は上蓋163と下蓋163′とによって挟み込まれており、溶接により共に固着され、上部圧力室168と下部圧力室169が形成される。
上部圧力室168内には作動流体例えば冷媒が充填され、栓体170により封止される。
ストッパ部材140の上面はダイアフラム166に当接し、ストッパ部材140の下面に当接する作動棒132の上端136の段部と穴112を形成する弁本体110の突起部113との間には、コイルスプリング142が配設され、そのばね力は作動棒130を介してストッパ部材140を上部圧力室168側に向けて付勢する。なお、ストッパ部材140の下面は凹部141が形成され、凹部141の底面と作動棒130の上端136が当接する。
第3の通路128を通過する蒸発器側から圧縮機側へ戻る冷媒は、弁本体110の穴112を通ってストッパ部材140の下面に圧力を伝達する。
作動棒132は、感温部材として機能して、第3の通路128を通過する冷媒の温度をストッパ部材140、ダイアフラム166を介して上部圧力室168内の作動流体に伝達する。
圧力室内の圧力とストッパ部材の下面に作用する圧力とつり合う位置に作動棒132は変位して、弁体130により絞り通路の開口面積を調整して、第1の通路120を通過し、第2の通路126から蒸発器側へ送出される冷媒の流量を制御する。
図2は、図1の実施形態の弁座部材近傍の構造の拡大図である。
第1の通路120及び弁室122は、弁本体110に矢印T方向から機械加工を施すことにより形成される。
第2の通路126も同様に、弁本体110に矢印T方向から機械加工を施すことにより形成される。
弁座部材200は、弁本体に矢印T方向から加工される絞り通路を形成する穴116に圧入されることにより、取付けられる。
弁座部材は、例えばステンレス等でつくられ、フランジ204を有するパイプ状の部材である。
この弁座部材200は、予め作動棒132の細径部135を貫通させ、細径部135の先端に球形の弁体130を溶接Wにより固着した状態で用意される。
そして、弁本体110の穴114を通って作動棒132と弁座部材200と弁体130の部材は挿入され、弁座部材200は、弁本体110の穴116に圧入される。
作動棒132は、その段付部133が弁座部材200を圧入するための圧入工具として機能する。
上述した構造により、弁本体の一方側から機械加工を施し、弁座部材を圧入することにより、弁機構を完成することができる。
なお、上記弁座部材の穴116への固着には、圧入に限らず、接着若しくは穴116との螺合によってもよいのは勿論である。
本発明の温度式膨張弁の断面図。 本発明の温度式膨張弁の要部の断面図。 従来の温度式膨張弁の断面図。
符号の説明
100 温度式膨張弁
110 弁本体
120 圧縮機側からの冷媒の通路
122 弁室
126 蒸発器へ向かう冷媒の通路
128 蒸発器から戻る冷媒の通路
130 弁体
132 作動棒
140 ストッパ部材
160 パワーエレメント
166 ダイアフラム

Claims (2)

  1. 弁本体と、この弁本体に形成され高圧冷媒が通過する有底穴状の第1の通路と、この第1の通路内の底部側に形成された弁室と、上記弁本体における上記第1の通路の上方の部位に形成され蒸発器側に送出される冷媒が通過する第2の通路と、上記第1の通路と上記第2の通路との間に上下に延びるように形成され上記弁室と上記第2の通路とを連通する絞り通路と、この絞り通路内に同軸状に圧入されたパイプ状の弁座部材と、上記弁室内において上記弁座部材の開口に対向するように配され上記開口を開閉する弁体と、上記弁本体における上記第2の通路の上方の部位に上記絞り通路と整列するように形成された縦穴内に軸方向に移動可能に設けられ一端が上記弁座部材を貫通するとともにその先端部に上記弁体が固着された作動棒と、を備え、上記弁体および上記弁座部材が取り付けられた上記作動棒を上記弁本体の上部から上記縦穴内に軸方向に挿入すると、上記弁体が上記絞り通路を通過して上記弁室内に挿入されるとともに上記弁座部材が上記絞り通路内に圧入されるように構成したことを特徴とする温度式膨張弁。
  2. 上記弁座部材は、その一端に側方に向けて張り出したフランジを有しており、上記絞り通路の端は、上記フランジを受け入れるように段付状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の温度式膨張弁。
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