JP3900726B2 - 転倒検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人が転倒したことを自動的に検知可能となる転倒検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高齢者等、介護を必要とする患者に生じた異常状態を自動的に検知するために、従来より画像処理技術を応用した装置が考案されている。これらの装置は、画像処理によって室内の3次元情報を獲得し、その情報を基に患者の異常状態を判断するものである。
【0003】
この種の装置にあっては、人体の転倒動作を検知することを目的とするものもある。このものにあっては、カメラにより撮像した画像から三角測量の原理を駆使することにより、患者の存在する位置を示す3次元情報を演算するものであり、床面に患者が横たわっている状態を検出してから所定時間にわたってその状態が続いた場合に患者が転倒しているものと判断し、その旨を報知するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のような構成の転倒検知装置にあっては、3次元情報を獲得するために患者の居室を投光する投光手段及び投光された画像を撮像するカメラ等が必要になるため、装置自体が大がかりなものとなるとともに、装置自体が大きくなることにより設置される居室にいる患者に対して圧迫感を与えかねないという問題点を有していた。さらに、従来の転倒検知装置は、患者が転倒状態にあることを検知するものであり、転倒動作そのものを検知することはできないという問題点を有していた。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、転倒した状態のみならず転倒動作そのものを精度良く検知することが可能になる低コストな転倒検知装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、カメラと、カメラが出力する映像信号を取り込み、前記カメラより新たな入力画像が撮像される度にその前に撮像された入力画像との差分領域を抽出する差分処理を行う画像処理手段と、差分処理によって得られた差分領域の面積に基づいて人体の転倒動作を検知する判断手段とからなり、前記判断手段において、転倒動作であるか否かを判定する閾値を記憶し、所定時間内に生じる差分領域の面積変化が前記閾値を越えた場合に人体が転倒したものと判断するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の参考例及び一実施の形態に係る転倒検知装置について図1及び図8に基づき詳細に説明する。図1は転倒検知装置の概略構成図である。図2は画像処理手段の概略構成図である。図3はカメラにより撮像される画像の模式図であり、(a)乃至(c)は所定時間毎に撮像された入力画像であり、(d)乃至(e)は入力画像間において差分処理を行うことにより抽出される差分画像である。図4は人体が転倒動作をしたときの時間と差分領域の面積との関係を示すグラフである。図5は人体が着席動作をしたときの時間と差分領域の面積との関係を示すグラフである。図6は他の画像処理手段の概略構成図である。図7は人体が転倒動作をしたときの時間と差分領域の面積変化との関係を示すグラフである。図8は人体が着席動作をしたときの時間と差分領域の面積変化との関係を示すグラフである。
【0009】
参考例]本参考例に係る転倒検知装置は、図1に示すように、カメラ1と、画像処理手段20と、判断手段30とを備えてなる。本参考例にあっては、居室内を撮影するカメラ1は居住者10の居室の天井に設置されており、居住者10を上方から撮像するようになっている。そして、カメラ1は居住者10を撮像した映像信号を出力し、画像処理手段20はその映像を取り込むようになっている。
【0010】
画像処理手段20は、図2に示すように、映像信号をデジタル信号に変換するAD変換器21と、変換された映像信号を記憶する画像メモリ22と、新たに撮像された入力画像とそれより以前に撮像された入力画像との差分を演算する差分手段23と、得られた差分を記憶する差分画像メモリ24と、差分領域の面積を演算する差分領域面積抽出手段25とを備えてなる。また、本参考例の画像処理手段20は、アドレス制御手段26を備え、複数の画像信号を時系列に記憶することができるように取込先のメモリアドレスを制御できるようになっている。
【0011】
上述した構成の転倒検知装置の動作について図3に基づいて説明する。差分手段23は、新たに撮像された画像(図3(b)参照)とそれより以前に撮像された画像(図3(a)参照)とから差分領域を抽出する(図3(d)参照)。同様に、新たな入力画像(図3(c)参照)が撮像される度にその前に撮像された入力画像(図3(b)参照)との差分領域が抽出されるようになっている(図3(e)参照)。これら、抽出された差分画像(図3(d)乃至(e)参照)は、差分画像メモリ24に書き込まれる。次に、差分領域面積抽出手段25にあっては、新たな入力画像がある度に、差分画像に対して2値化処理を施し、各差分画像の差分領域の面積の総和を算出する。
【0012】
判断手段30は、画像処理手段20が算出した各時刻における差分画像の領域の面積を利用して人体の転倒を検知するものである。すなわち、転倒時はカメラ1により撮像される人体の動きが短時間に大きく変化することに着目して人体を検出するようにしている。先ず、差分領域の面積がどの程度変化した場合に転倒と判断するかを判断する基準として予め閾値(Th)を設定しておく。なお、本参考例の形態にあっては閾値(Th)を、転倒開始から転倒終了までの時間(ta)、予め測定することにより得られる立っている状態と倒れている状態との面積差(S0)、画像取り込みの時間間隔(tc)としたときに、Th<S0×Tc/Taとなるように設定している。このようにして定めた閾値(Th)によると、差分領域の面積が閾値(Th)を越える場合は短時間に大きく面積変化が生じたことを示すことになる。
【0013】
判断手段30は、図4に示すように、差分画像の領域面積(S)が設定した閾値(Th)を越えた場合に居住者10が転倒したと判断する。一方、図5に示すように、人体が着座の動作をした場合は単位時間あたりの人の動きが転倒と比較して小さいため、先に設定した閾値(Th)を越えず、転倒とは判断されない。したがって、人体の転倒動作のみを正確に検知することが可能になるのである。
【0014】
参考例にあっては、上述したように、人体が転倒する前に撮像された画像と人体が転倒した後に撮像された画像において、短時間にその差分領域の面積が大きく変化することに鑑みて、新たに入力された画像とそれより以前に入力された画像との差分領域の面積変化から人体の転倒を精度良く検知することが可能になるのである。これにより、介護を必要とする居住者10が転倒したことを自動的に発見し、迅速に対応することができるようになるのである。
【0015】
なお、図6に示すように、画像メモリ22において、居住者10がいないときに居室内を撮像した画像を参照画像として記憶する記憶領域を設け、差分手段23において、新たに撮像された入力画像と予め撮像されている参照画像との差分処理も併せて行うようにしてもよい。この参照画像との差分処理により得られた結果は、差分画像メモリ27に書き込まれるようになっている。そして、差分画像メモリ27に書き込まれた差分画像に対して、差分領域面積抽出手段28にて2値化処理を施し、差分画像の領域の各面積などの特徴量を算出する。判断手段30は前述した処理を行い、入力画像間の差分領域の面積(S)が閾値(Th)を越えないかを比較する。ここで、面積(S)が閾値(Th)を越えた場合、対応する背景差分領域の面積が所定の閾値(Thb)を越えているか否かを調べ、もし越えていれば居住者10が転倒したと判断するのである。ここで、所定の閾値(Thb)は、人が立っている時の面積よりは大きく、人が倒れて居る時の面積よりは小さく設定するようにしている。したがって、仮に居住者10が転倒以外の動作を行うことで差分領域の面積変化が短時間に大きくなる素早い動作をしたとしても転倒が生じたと誤って判断することを低減することが可能になるのである。
【0016】
実施の形態]本実施の形態に係る転倒検知装置は、図1及び図2に示すものと同じ構成を有しており、その詳細な説明は省略し、異なる構成につき以下に説明する。
【0017】
判断手段30は、図7に示すように、差分画像の領域面積の変化(Sd)が予め設定した閾値(Thp)を越え、時間(Ta)後に差分画像の領域面積の変化(Sd)が予め設定した閾値(Thm)より小さくなり、それから時間Tb以上にわたって領域面積の変化(Sd)に変化が見られないときに転倒が生じたと判断するようにしている。一方、居住者10が着座の動作を行った場合は、図8に示すように、転倒と比較して長い時間かけて徐々に領域面積の変化(Sd)が小さくなっていくため、時間(Ta)後に閾値(Thm)より小さくなることはなく、上述した転倒の判断条件を満たさないため、転倒とは判断されないのである。
【0018】
本実施の形態にあっては、前記参考例と同様に、人体が転倒する以前に撮像された画像と人体が転倒後に撮像された画像にあっては、短時間にその差分領域が大きく変化することに鑑みて、新たに入力された画像とそれより以前に入力された画像との差分領域の面積変化から人体の転倒を精度良く検知することが可能になるのである。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明にあっては、カメラと、カメラが出力する映像信号を取り込み、前記カメラより新たな入力画像が撮像される度にその前に撮像された入力画像との差分領域を抽出する差分処理を行う画像処理手段と、差分処理によって得られた差分領域の面積に基づいて人体の転倒動作を検知する判断手段とからなるようにしたので、居室内を撮影するカメラ以外に投光手段を必要としないため構成が簡単になるとともに、転倒時に特徴的な変化を生じる差分領域の面積を算出するという簡単な処理だけで人体の転倒動作を検知できるため、転倒した状態のみならず転倒動作そのものを精度良く検知することが可能になる低コストな転倒検知装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【0020】
更に、請求項記載の発明にあっては、前記判断手段において、転倒動作であるか否かを判定する閾値を記憶し、所定時間内に差分領域の面積変化が前記閾値を越えた場合に人体が転倒したものと判断するようにしたので、転倒時の特徴的な現象である短時間に大きく差分領域の面積が変化することを精度よく検知することが可能になるため、転倒時に類似する人体の動作と転倒動作とを明確に区別することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】転倒検知装置の概略構成図である。
【図2】画像処理手段の概略構成図である。
【図3】カメラにより撮像される画像の模式図であり、(a)乃至(c)は所定時間毎に撮像された入力画像であり、(d)乃至(e)は入力画像間において差分処理を行うことにより抽出される差分画像である。
【図4】人体が転倒動作をしたときの時間と差分領域の面積との関係を示すグラフである。
【図5】人体が着席動作をしたときの時間と差分領域の面積との関係を示すグラフである。
【図6】他の画像処理手段の概略構成図である。
【図7】人体が転倒動作をしたときの時間と差分領域の面積変化との関係を示すグラフである。
【図8】人体が着席動作をしたときの時間と差分領域の面積変化との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 カメラ
20 画像処理手段
30 判断手段

Claims (1)

  1. カメラと、カメラが出力する映像信号を取り込み、前記カメラより新たな入力画像が撮像される度にその前に撮像された入力画像との差分領域を抽出する差分処理を行う画像処理手段と、差分処理によって得られた差分領域の面積に基づいて人体の転倒動作を検知する判断手段とからなり、前記判断手段において、転倒動作であるか否かを判定する閾値を記憶し、所定時間内に生じる差分領域の面積変化が前記閾値を越えた場合に人体が転倒したものと判断するようにしたことを特徴とする転倒検知装置。
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