JP3899722B2 - 電子部品のバレルめっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗器、コンデンサなどの製造に際して実施される電子部品のバレルめっき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子部品のバレルめっき方法としては、例えば特開昭62−235498号公報に記載された方法がある。この方法においては、被めっき素体よりも比重が大きい陰イオンを伝導する吸電体すなわち導電性媒体と、比重が被めっき素体より小さく、かつ大きさが被めっき素体より大きい調整体すなわち攪拌補助材とを、被めっき素体と共にめっき用のバレル内に投入し、このめっき用のバレルを回転させてめっきを行うことにより、均一な厚さのめっき層を被めっき素体上に形成することを目的としている。
【0003】
しかしながら、上記した従来の電子部品のバレルめっき方法においては、通常上記吸電体として使用されるスチールボールと、被めっき素体と、上記調整体として使用される攪拌補助材の比重が上記順序で小さくなっているため、めっき用のバレル内でスチールボールと、被めっき素体と、攪拌補助材とがそれぞれ上記順序で3層に分布する傾向がある。このため、めっき用のバレルが回転しても必ずしも均一な分布とならず、その結果、被めっき素体に均一なめっきを施すことが困難となるものであった。これを解決するための手段として、例えば、特開平8−100294号公報に示されているように、めっき用のバレル内に特殊な攪拌板を設ける方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、めっき用のバレル内に攪拌板を設けた場合には、電子部品の微小化が進むと、攪拌板の取り付け部などに被めっき素体が付着してめっきがつかない素体が出てくるという課題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、めっき用のバレル内に特殊な攪拌板を設けることなく、簡単な構成にして、被めっき素体全体に均一なめっきを施すことができる電子部品のバレルめっき方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電子部品のバレルめっき方法は、比重が被めっき素体より大で、かつ形状が被めっき素体より大きい部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いて予備攪拌を行い、その後、前記攪拌補助材を導電性媒体と共にめっき用のバレル内に投入し、このバレルを回転させることによりバレルめっきを行うようにしたもので、このバレルめっき方法によれば、めっき用のバレル内に特殊な攪拌板を設けることなく、簡単な構成にして、被めっき素体全体に均一なめっきを施すことができるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、比重が被めっき素体より大で、かつ形状が被めっき素体より大きい部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いて予備攪拌を行い、その 後、前記攪拌補助材を導電性媒体と共にめっき用のバレル内に投入し、このバレルを回転させることによりバレルめっきを行うようにしたもので、このバレルめっき方法によれば、比重が被めっき素体より大で、かつ形状が被めっき素体より大きい攪拌補助材を用いているため、この攪拌補助材がバレルの回転に伴って一時的に被めっき素体と導電性媒体の中に取り込まれ、その後、攪拌補助材がめっき液の表面まで上昇するという作用を繰り返すことになり、これにより、バレル内の混合状態が改善されて攪拌効率が向上するため、導電性媒体の層の上に被めっき素体が浮いて被めっき素体の端子部分へのめっき付きが悪くなるのも防止することができ、これにより、従来のようにめっき用のバレル内に特殊な攪拌板を設けることなく、簡単な構成にして、被めっき素体全体に均一なめっきを施すことができるという作用を有するものである。また、強度と靭性に優れた部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いて予備攪拌を行うようにしているため、この部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材により被めっき素体の角のバリや尖りを除去することができるという作用も有するものである。
【0008】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施の形態における角形チップ抵抗器を示す断面図である。図1において、1は96アルミナ基板からなる絶縁基板、2は絶縁基板1の上面の両端部に形成された銀系厚膜の一対の上面電極、3は一対の上面電極2の一部に重なるように形成されたルテニウム系厚膜の抵抗体、4は抵抗体3を完全に覆う保護膜、5は絶縁基板1の裏面の両端部に形成された銀系厚膜の一対の裏面電極、6は前記一対の上面電極2と一対の裏面電極5の一部に重なって電気的に接続されるように前記絶縁基板1の両側面に形成された銀系厚膜の一対の端面電極である。
【0010】
図2は図1に示した角形チップ抵抗器の端面電極にめっきを施すためのバレルめっき装置を示したもので、この図2において、11はめっき液、12はめっき槽、13はめっき槽12内のめっき液11に浸漬されるように配設された金属陽極、14はめっき槽12内で回転するめっき用のバレル、15は陰極リード、16は前記めっき用のバレル14内に多数個投入される被めっき素体で、この被めっき素体16は図1に示した角形チップ抵抗器の端面電極6にめっきが施されていないチップ抵抗素子である。17はめっき用のバレル14内に被めっき素体16と共に投入される導電性媒体で、この導電性媒体17は形状が被めっき素体16と略同等ないしはそれ以下の大きさとなっているものである。18はめっき用のバレル14内に被めっき素体16と共に挿入される攪拌補助材で、この攪拌補助材18は比重が被めっき素体16より大で、かつ形状が被めっき素体16より大きくなるように構成しているものである。
【0011】
図2に示したバレルめっき装置において、被めっき素体16の端面電極にめっきを施す場合は、めっき用のバレル14内に、多数個の被めっき素体16と、導電性媒体17および攪拌補助材18を投入し、そしてニッケルめっき液が投入されためっき槽12内で金属陽極13と陰極リード15に通電しながら、めっき用のバレル14を回転させることにより、多数個の被めっき素体16の端面電極にニッケルめっきを施し、その後、引き続き、同じめっき用のバレル14内でニッケルめっきの上に錫またははんだなどの錫合金めっきを施すものである。
【0012】
以下、本発明の一実施の形態において使用される構成材料について詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施の形態において使用される導電性媒体17としては、通常コスト面からスチールボールが使用されるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、安価で導電性に優れた材料であれば何でも良い。また、図1に示す角形チップ抵抗器のような通常の電子部品は端子部分を構成する端面電極の面積が全体の表面積に比較して小さいため、導電性媒体17の形状が被めっき素体16に比べて大きいと、導電性媒体17を経由して電子部品の端子部分に通電される機会が少なくなり、その結果、めっきプロセスに余分な時間を要することになる。そのため、導電性媒体17の形状は被めっき素体16と略同等ないしはそれ以下の大きさであることが好ましい。
【0014】
また、導電性媒体17の量は、被めっき素体16の全体に通電できるだけの量があることが必要であり、通常、被めっき素体16であるチップ抵抗素子と同程度の容積があれば通電は可能である。導電性媒体17の過剰の投入は被めっき素体16へのめっき効率の低下につながるため、望ましくない。
【0015】
一方、攪拌補助材18としては、被めっき素体16よりも形状が大きく、かつ比重が被めっき素体16より大であることが必要であり、通常は非導電性の材料を使用することが望ましい。すなわち、攪拌補助材18に導電材料を使用すると、攪拌補助材18の表面が主としてめっきされるため、被めっき素体16であるチップ抵抗素子に対するめっき効率が低下するためである。
【0016】
また、攪拌補助材18の大きさは被めっき素体16であるチップ抵抗素子よりも形状が大きいことが必要である。すなわち、攪拌補助材18の形状が被めっき素体16よりも大きく、かつ比重が被めっき素体16より大で、しかも導電性媒体17より比重が小であると、めっき用のバレル14の回転に伴って、図2に示すように、攪拌補助材18が一時的に被めっき素体16と導電性媒体17の中に取り込まれ、その後、攪拌補助材18がめっき液11の表面まで上昇して被めっき素体16と導電性媒体17が攪拌補助材18の隙間に位置する状態になるという作用を繰り返すもので、これにより、めっき用のバレル14内全体の攪拌効率が向上するため、導電性媒体17の層の上に被めっき素体16が浮いて被めっき素体16の端子部分へのめっき付きが悪くなるのを防止できるものである。
【0017】
上記した攪拌補助材18の比重が被めっき素体16より小さい場合は、攪拌補助材18は常に被めっき素体16と導電性媒体17の上に位置する状態となるため、十分な混合が行われにくい。一方、上記したように、攪拌補助材18の比重が被めっき素体16より大で、かつ形状が被めっき素体16より大きい場合は、めっき用のバレル14内の混合状態が改善されるものである。
【0018】
通常、電子部品はセラミック製の絶縁基板を使用したり、それ自体がセラミック製品であることが多いため、一般的に表面硬度が高くなるものであり、したがって、それらと混合される攪拌補助材18としては、表面硬度が高く、かつ摩耗の少ないことが望まれる。
【0019】
そのため、本発明の一実施の形態における比重が被めっき素体16より大で、かつ形状が被めっき素体16より大きい攪拌補助材18としては、部分安定化ジルコニアからなるセラミックスが好ましい。
【0020】
また、部分安定化ジルコニアを攪拌補助材18に使用した場合、めっき工程やそれに先立つ予備攪拌工程において、被めっき素体16の角のバリや尖りを無くする効果も得られる。そして電子部品の角のバリや尖りがなくなると、製品のテーピングがスムーズに行われ、テーピング不良の発生が少なくなるという付随的な効果が得られるものである。
【0021】
上記した攪拌補助材18の形状は、通常略球状のものが製造しやすいが、必ずしも球状に限定されるものではなく、多角形状や表面に突起を設けた形状など種々の形状のものを使用することができる。また形状が非球状であれば、攪拌補助材18の隙間が大きくなるため、この隙間に被めっき素体16と導電性媒体17が入りやすくなり、攪拌補助材18の大きさが球状の攪拌補助材18の場合より小さくても上記の攪拌改善効果が得られるものである。
【0022】
なお、上記本発明の一実施の形態においては、電子部品の例として角形チップ抵抗器について説明したが、本発明における電子部品のバレルめっき方法は、コンデンサ、コイル、ノイズ対策部品などすべての電子部品のバレルめっき方法にも適用できるものであり、特にチップ形状の電子部品のバレルめっきに際して、端子部分のめっきの均一化に効果を発揮するものである。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明の電子部品のバレルめっき方法は、比重が被めっき素体より大で、かつ形状が被めっき素体より大きい部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いて予備攪拌を行い、その後、前記攪拌補助材を導電性媒体と共にめっき用のバレル内に投入し、このバレルを回転させることによりバレルめっきを行うようにしたもので、このバレルめっき方法によれば、比重が被めっき素体より大で、かつ形状が被めっき素体より大きい部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いているため、この攪拌補助材がバレルの回転に伴って一時的に被めっき素体と導電性媒体の中に取り込まれ、その後、攪拌補助材がめっき液の表面まで上昇するという作用を繰り返すことになり、これにより、バレル内の混合状態が改善されて攪拌効率が向上するため、導電性媒体の層の上に被めっき素体が浮いて被めっき素体の端子部分へのめっき付きが悪くなるのも防止することができ、これにより、従来のようにめっき用のバレル内に特殊な攪拌板を設けることなく、簡単な構成にして、被めっき素体全体に均一なめっきを施すことができるという効果を有するものである。また、強度と靭性に優れた部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いて予備攪拌を行うようにしているため、この部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材により被めっき素体の角のバリや尖りを除去することができるという効果も有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における角形チップ抵抗器の断面図
【図2】 同角形チップ抵抗器の端面電極にめっきを施すためのバレルめっき装置を示す概略図
【符号の説明】
14 めっき用のバレル
16 被めっき素体
17 導電性媒体
18 攪拌補助材
Claims (1)
- 比重が被めっき素体より大で、かつ形状が被めっき素体より大きい部分安定化ジルコニアからなる攪拌補助材を用いて予備攪拌を行い、その後、前記攪拌補助材を導電性媒体と共にめっき用のバレル内に投入し、このバレルを回転させることによりバレルめっきを行うようにした電子部品のバレルめっき方法。
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