JP3589298B1 - バレルめっき装置および設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特別な被めっき対象物の形状との関係でバレル内に装着される電極形態を定め、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを低減、防止して被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成させ、且つ、割れやカケの不具合も抑制することが可能であるバレルめっき装置を提供する。
【解決手段】 長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置であって、棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バレルめっき装置および設計方法に関し、特に、被めっき対象物の形状との関係でバレル内に装着される電極形態を定め、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを低減、防止して被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成させることのできるバレルめっき装置および設計方法に関するものである。
電子部品などの被めっき対象物にめっきを施す際に用いられるめっき装置の1つにバレルめっき装置がある。この種のめっき装置は従来からその形態が良く知られており、当該めっき装置は、少なくとも一部がめっき液を通過させる金網などの材料から構成され、内部に陰極電極が配置されたバレル内に、例えば、電子部品などの被めっき対象物と、被めっき対象物と陰極電極とを導通させるための例えばスチールボールなどの接触媒体(メディアとも呼ばれる)を収納した後、バレルをめっき槽内のめっき液中に浸漬し、めっき槽内に配設された陽極電極と陰極電極との間に通電しつつ、めっき浴中でバレルを回転させ、被めっき対象物を、接触媒体を介して陰極電極およびめっき液に接触させることにより、被めっき対象物の表面にめっきを行なうように構成されている。
しかしながら、従来のバレルめっき装置においては、バレルが回転することにより、内部の被めっき対象物および接触媒体が流動することとなるが、陰極電極をバレル内に導入する役目を果たす陰極導入部が略水平であることから、バレルが回転した場合にも被めっき対象物が陰極導入部の近傍に集中し、被めっき対象物間におけるめっき厚に無視できないバラツキが発生するという問題が生じることがあった。
このような問題を解決するために、特開平9−119000号公報(特許文献1)には、バレル内の両端の一部に攪拌板である整流体を配置し、チップ部品と、導電性媒体とを分離させることなくバレル中央側に円滑に移動させることができるバレルめっき装置の提案がなされており、これによれば、比較的短時間でめっき膜厚のばらつきが少ない部品製造が可能であるとされている。
また、特開2001−279498号公報(特許文献2)には、バレル内の両端に円錐状または角錐状の部材を取り付け、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを軽減、防止して、被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成する旨の提案がなされている。
しかしながら、上記特許文献1および2の提案では、バレル内の両端に所定の部材を取り付ける構成としているので、装置自体の構造も複雑になり、さらにバレル容量をも減少させてしまう傾向にあり、装置のコンパクト化を図ることに不向きである。
さらに、上記特許文献1および特許文献2の提案で用いられているような被めっき対象物が小物形状でめっき膜厚が2μm程度の薄膜では、本発明者らが認識している被めっき対象物の重なりという問題はほとんど起こっておらず、従来の開示の被めっき対象物範囲内では特に改善すべきバレルめっき装置の特別な設定仕様は不要であると認識されている。
特開平9−119000号公報 特開2001−279498号公報
このような実状の基に本発明は創案されたものであって、その目的は、シンプルな構造で装置のコンパクト化が図れることはもとより、本願で使用する特別な被めっき対象物の形状との関係でバレル内に装着される電極形態を定め、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを低減、防止して被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成させ、且つ、割れやカケの不具合も抑制することが可能であるバレルめっき装置およびその設計方法を提供することにある。さらに、被めっき対象物の流動状態をできるだけ理想の状態に近づけることによって、めっき速度を上げることを可能ならしめ、めっきのための電流値を低減させることができるバレルめっき装置およびその設計方法を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明は、長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置であって、該バレルめっき装置は、略筒状体で回転可能に構成され、内部に被めっき対象物が収容されるバレルと、前記バレルの対向する両側の端面板側であって、バレルの回転軸と略同心となる位置からそれぞれバレル内に導入される棒状の陰極電極体を備えており、前記棒状の陰極電極体は、その先端が露出した陰極電極部と、絶縁材で被覆され、前記陰極電極部に至るまでの棒状の陰極導入部とを有しており、前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように設定されてなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を経て、その後、垂下する構造を有し、陰極電極部が中央近傍に配置されてなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記バレルの容量は、0.5〜24リットルとなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記被めっき対象物は、永久磁石として構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記永久磁石は、希土類永久磁石として構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記被めっき対象物になされるめっきは、Ni,Cu,Zn,Snの少なくとも1種を含む金属めっきとして構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記被めっき対象物になされるめっき膜厚は5μm以上となるように操作される。
本発明の永久磁石めっきの形成方法は、前記バレルめっき装置を用いて永久磁石のめっきを行なうように構成される。
本発明のバレルめっき装置の設計方法は、長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置の設計方法であって、該設計対象となるバレルめっき装置は、略筒状体で回転可能に構成され、内部に被めっき対象物が収容されるバレルと、前記バレルの対向する両端面側であって、バレルの回転軸と略同心となる位置からそれぞれバレル内に導入される棒状の陰極電極体を備えており、前記棒状の陰極電極体は、その先端が露出した陰極電極部と、絶縁材で被覆され、前記陰極電極部に至るまでの棒状の陰極導入部とを有しており、前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように設定される。
本発明は、長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置であって、該バレルめっき装置は、略筒状体で回転可能に構成され、内部に被めっき対象物が収容されるバレルと、前記バレルの対向する両側の端面板側であって、バレルの回転軸と略同心となる位置からそれぞれバレル内に導入される棒状の陰極電極体を備えており、前記棒状の陰極電極体は、その先端が露出した陰極電極部と、絶縁材で被覆され、前記陰極電極部に至るまでの棒状の陰極導入部とを有しており、前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように設定している。
そのため、バレルめっきで支障のある平板形状の被めっき対象物であっても、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを低減、防止して被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成させ、且つ、割れやカケの不具合も抑制することが可能である。
以下、本発明のバレルめっき装置の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本願発明のバレルめっき装置の一実施形態を模式的に示す図面であり、図2はバレルめっき装置に用いられるバレルの概略外観形状の一例を示す斜視図である。
本発明におけるバレルめっき装置1は、筒状のバレル30を備えている。バレル30は、その回転軸を軸支する側に位置する対向する端面板31,35と、外周側面を構成する胴板38を有している。胴板38には通常、めっき液がバレルの内外を通過できるように複数の貫通孔(図面上での記載は省略されている)が形成されている。
本実施の形態におけるバレル30の形態は、断面形状6角の6角柱筒体が一例として挙げられているが、この形状に限定されるものではなく、例えば、断面形状が8角の8角柱筒体等や他の断面多角形形状のものでもよい。円筒状の形状を有するものとすることも可能であるが、攪拌効果を高めて均一なめっき処理をする上では、断面多角形形状のバレルが好適である。
図1に示されるようにバレル30の両端面に配置される端面板31,35により、筒状のバレルの端部が閉じられている。端面板31,35と胴板38とは別体として形成されたものであってもよいし、一体的に形成されたものであってもよい。
バレル30を構成する材質としては、絶縁性を備える樹脂材料を用いるのが好ましい。このものは成形性にも優れるし、軽量でコストも安価である。
このようなバレル30は、図示されていないモータ等の駆動源に連結され、バレル30の中心軸100を回転軸として回転可能となるように構成されている。
バレル30の両端面に配置される端面板31,35の中心には挿入孔32,36がそれぞれ形成されており、これらの挿入孔32,36には、図示しない軸受部材を介してそれ自身は固定されて回動しない2本の棒状の陰極電極体10,20がそれぞれ挿入されている。
一方の棒状の陰極電極体10は、図1に示されるように、その先端が露出した陰極電極部15と、絶縁材で被覆され、陰極電極部15に至るまでの棒状の陰極導入部11,12,13を有している。電極部15と反対側に位置する陰極導入部の端部は、バレル30の外側において図示しない負の電位に接続されている。本実施の形態における棒状の陰極導入部は、挿入孔32に挿通されるとともにバレル内に導入されてバレルの中心軸に沿って少し進み(導入部11の形成)、符号αの箇所で一旦下方に略90度の角度で降下するように曲げられており(導入部12の形成)、さらに符号βの箇所で再度、略90度に折り曲げられてバレルの底面と略平行となる水平部分が形成されている(導入部13の形成)。
同様に他方の陰極電極体20は、図1に示されるように、その先端が露出した陰極電極部25と、絶縁材で被覆され、陰極電極部25に至るまでの棒状の陰極導入部21,22,23を有している。電極部25と反対側に位置する陰極導入部の端部は、バレルの外側において図示しない負の電位に接続されている。本実施の形態における棒状の陰極導入部は、挿入孔36に挿通されるとともにバレル内に導入されてバレルの中心軸に沿って少し進み(導入部21の形成)、符号αの箇所で一旦下方に略90度の角度で降下するように曲げられており(導入部22の形成)、さらに符号βの箇所で再度、略90度に折り曲げられてバレルの底面と略平行となる水平部分が形成されている(導入部23の形成)。なお、陰極電極部15や25に至るまでの棒状の陰極導入部11,12,13や21,22,23の断面形状は円形であってもよいが、菱形形状等の多角形においても効果を発揮することができる。
このようなバレルめっき装置における本発明の要部は、被めっき対象物の形状との関係でバレル内に装着される棒状の陰極電極体の最適な形態を定めている点にある。
すなわち、本発明では、被めっき対象物70を図3(a)に示すような直方体の平板形状物、あるいは図3(b)に示すような平面擬台形(平面扇形形状)の平板形状物としている。そして、長軸長さaは、5〜60mm(好ましくは、5〜50mm)、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値は1.2以上(好ましくは、1.5〜20の範囲)、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さくなっている(特に、c≦0.5b)平板形状物を被めっき対象物としている。図3(b)に示すような平面擬台の場合、長軸長さaは外周湾曲部のコーナー71と72の間を直線近似してその長さをaとしている。
本願発明の被めっき対象物70における長軸長さaの値が、5mm未満でかつ、(a/b)の値が1.2未満の小型で正方形に近い対象物は、基本的にバレルめっき中でのめっき操作の最中に、被めっき対象物同士の重なりが生じて、均一なめっき膜の形成を阻害するという現象がほとんどみられない。そのために、特別な装置の改善は必要なく、従来の装置仕様で十分であり本発明の解決しようとする課題の対象外となってしまう。すなわち、バレルめっき装置における、棒状の陰極電極体の最適な形態を設定する必要性がないのである。
また、長軸長さaが60mmを超える大きな被めっき対象物は、バレルめっきをするというメリットがなくなってしまう。すなわち、長軸長さaが60mmを超えるとバレル容器に入れられる数が減少しコスト高になってしまうし、また、長軸長さaが60mmを超え、(a/b)の値が1.2未満の面積の広いサンプルは、バレルめっきによって均一な膜を生成することが困難となりピンホール等の欠陥が発生したり、被めっき対象物の攪拌によるワレ・カケが発生して、実用に耐え得る品質を維持することが困難となってしまう。そのため、長軸長さaが60mmを超える大きな被めっき対象物は、いわゆる「ラックめっき法」にて処理するのが好ましい方策であると言える。
このような本発明の被めっき対象物をバレルめっきするに際して、本発明における棒状の陰極導入部は、図1に示されるようにバレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9、好ましくは、L/a≦0.6となるように設定される。距離Lは、バレル30内に導入されてから最初の湾曲部αに至るまでの導入部11,21の部分的長さである。また、本発明でいう「水平部」とは実質的な水平を意味しているのであって、±20%程度の角度誤差範囲を含む。例えば、導入部11,21の自重等による撓みを考慮する必要があるからである。
L/aの値が0.9を超えると、上記被めっき対象物との関係で、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などが急激に増大し、被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を形成させることが困難となってしまう。
本発明におけるバレル30の中には、平板状形状物の被めっき対象物およびメディアが投入され、これをめっき液41に浸漬させてめっきが行なわれる。バレル30の容量は、0.5〜24リットル、より好ましくは5〜14リットルとされる。
具体的な被めっき対象物としては、永久磁石、さらには希土類永久磁石等である。より具体的には、例えば、平板状形状に成型されたR−TM−B系永久磁石(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種類以上を示し、TMはFeを主成分とする遷移元素を示し、Bはホウ素を示す)、Sm−Co系永久磁石のような10-4〜10-8Ωmの範囲の電気抵抗値を備えている金属焼結材料や、フェライトのような酸化物焼結材料等が例示できる。勿論、これらのものは、上記本発明の所定形状寸法の要件を満たす形状のものであることは言うまでもない。
メディアは、被めっき対象物の外表面にめっき膜を形成するに際して、被めっき対象物の外表面への通電を補助するために導入されている。メディアは鋼球(スチールボール)等の導電性材料、あるいはその表面が導電性材料で被膜されている材料から構成される。
本発明の装置を用いてめっきを施す場合、まず、バレル30内に被めっき対象物、メディアを投入し、このバレル30を、めっき液41が貯留されためっき槽40内に浸漬させる。ついで、バレル30の回転軸100を中心としてバレル30を回転させる。なお、回転速度は、3〜20r.p.m.好ましくは、4〜9r.p.m.とすることが望ましい。バレルの回転によりバレル中の被めっき対象物およびメディアは攪拌・混合される。この間、バレル外のめっき浴中に配置された陽極電極50と、陰極電極15,25の間には通電されておりめっき処理が行なわれる。そして、本発明におけるバレルめっき装置の棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように構成されているので、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを低減、防止して被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成させることができる。
なお、前記被めっき対象物になされるめっき膜は、Ni,Cu,Zn,Snの少なくとも1種を含む金属めっき膜とすることが望ましい。さらに、前記被めっき対象物になされるめっき膜厚は5μm以上、特に、5〜60μmとなるように操作されることが望ましい。
以下、具体的実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
〔実験例1〕
図1に示されるようなバレルめっき装置を用いて、以下の条件で被めっき対象物に対してNiめっきを行なった。
(1)めっき装置仕様
・バレル外観形状:6角柱形状
・バレル容量:12リットル
・棒状の陰極導入部における距離Lの値:下記表1参照
・バレル水平底面から回転軸までの距離H0:100mm
・バレル水平底面から回転軸までの距離H0に対するバレル水平底面から
・最深の導入部13までの距離H1の比(H1/H0):0.1
(2)めっき準備仕様
・メディア:直径3.0mmのスチールボールを15kg使用
・被めっき対象物の形状:
表1に示すように、a/b=1.0、1.5、2.0および5.0の4タイプであって、各タイプについてa=3mm、5mm、20mm、45mm、60mmの5種の寸法サンプル。
また、cの値は表1に示すとおり。
・被めっき対象物の材料:
Nd(14)−Dy(1)−B(7)−Fe(78)の組成からなる磁石材料(括弧内数値は原子%)
・被めっき対象物のトータル投入量:3kg
・Niめっき浴:ワット浴
(3)めっき操作条件
・陰極電流密度Niめっきの際の陰極電流密度:0.43A/dm2
・めっき時間:
被めっき対象物の(a/2)位置である中心部のめっき厚を15μmとなるように適宜調整した
・バレル回転数:6r.p.m
このようなバレルめっきの具体的な実験において、バレルめっき中に被めっき対象物同士の重なりが生じてしまうか否かを目視で確認した。結果を下記表1に示した。表1中、一定時間の重なりが観察できなかった場合を「○」で表示し、一定時間の重なりが観察できた場合を「×」で表示した。被めっき対象物同士の重なりが生じれば、均一な厚みのめっき膜を確実に形成させることができなくなってしまうという不具合が生じる。
また、図4に示されるごとくめっき処理後の被めっき対象物70の長軸長さaの端部での厚さ方向寸法をd2、(a/2)位置での厚さ方向寸法をd1とした場合における(d2−d1)/2の値(単位μm)を求め(サンプル数N=50)、この平均値を表1中の( )内に表示した。図4中の符号77はめっき膜を示している。( )内の数値が小さいほどめっき盛り上がりが小さく均一性の良好なめっき膜が形成されていることになる。なお、d2およびd1の測定は、マイクロメーターによって行なった。また、本実験において、本願発明の範囲内のものは、重なり等の不都合が生じないために、同じ時間で同じ膜厚を付けるにしても、低電流値で同じ効果があることが確認でき、その電流値の低減効果は、約20%もの節電になることが確認できた(同一電流とすれば約20%の時間短縮に相当する)。
Figure 0003589298
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置であって、該バレルめっき装置は、略筒状体で回転可能に構成され、内部に被めっき対象物が収容されるバレルと、前記バレルの対向する両側の端面板側であって、バレルの回転軸と略同心となる位置からそれぞれバレル内に導入される棒状の陰極電極体を備えており、前記棒状の陰極電極体は、その先端が露出した陰極電極部と、絶縁材で被覆され、前記陰極電極部に至るまでの棒状の陰極導入部とを有しており、前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように設定しているので、バレルめっきで支障のある平板形状の被めっき対象物であっても、バレル内における被めっき対象物の流動状態の偏りや停滞などを低減、防止して被めっき対象物に均一な厚みのめっき膜を確実に形成させ、且つ、割れやカケの不具合も抑制することが可能である。
電子部品などの被めっき対象物にめっきを施す際に用いられるめっき装置であり、めっき産業一般に利用される。
図1は本願発明のバレルめっき装置の一実施形態を模式的に示す図面である。 図2はバレルめっき装置に用いられるバレルの概略外観形状の一例を示す斜視図である。 図3(a)は、被めっき対象物の形状として直方体の平板形状物を示したものであり、図3(b)は、被めっき対象物の形状として平面擬台形(平面扇形形状)の平板形状物を示したものである。 図4はバレルめっき後の被めっき対象物に被着されためっき膜の状態を模式的に示した図面である。
符号の説明
1…バレルめっき装置
10,20…棒状の陰極電極体
30…バレル
31,35…端面板
38…胴板
70…被めっき対象物

Claims (9)

  1. 長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置であって、
    該バレルめっき装置は、略筒状体で回転可能に構成され、内部に被めっき対象物が収容されるバレルと、
    前記バレルの対向する両側の端面板側であって、バレルの回転軸と略同心となる位置からそれぞれバレル内に導入される棒状の陰極電極体を備えており、
    前記棒状の陰極電極体は、その先端が露出した陰極電極部と、絶縁材で被覆され、前記陰極電極部に至るまでの棒状の陰極導入部とを有しており、
    前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように設定されてなることを特徴とするバレルめっき装置。
  2. 前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を経て、その後、垂下する構造を有し、陰極電極部が中央近傍に配置されてなる請求項1に記載のバレルめっき装置。
  3. 前記バレルの容量が、0.5〜24リットルである請求項1または請求項2に記載のバレルめっき装置。
  4. 前記被めっき対象物が永久磁石である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のバレルめっき装置。
  5. 前記永久磁石が希土類永久磁石である請求項4に記載のバレルめっき装置。
  6. 前記被めっき対象物になされるめっきは、Ni,Cu,Zn,Snの少なくとも1種を含む金属めっきである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のバレルめっき装置。
  7. 前記被めっき対象物になされるめっき膜厚は5μm以上となるように操作される請求項6に記載のバレルめっき装置。
  8. 前記請求項1ないし請求項7のいずれかに記載されたバレルめっき装置を用いて永久磁石のめっきをおこなう永久磁石めっきの形成方法。
  9. 長軸長さaが5〜60mmであり、長軸長さaと短軸長さb(単位mm)との比(a/b)の値が1.2以上であり、厚さc(単位mm)が短軸長さbよりも小さい平板形状物を被めっき対象物としてバレルめっきするためのバレルめっき装置の設計方法であって、
    該設計対象となるバレルめっき装置は、略筒状体で回転可能に構成され、内部に被めっき対象物が収容されるバレルと、
    前記バレルの対向する両端面側であって、バレルの回転軸と略同心となる位置からそれぞれバレル内に導入される棒状の陰極電極体を備えており、
    前記棒状の陰極電極体は、その先端が露出した陰極電極部と、絶縁材で被覆され、前記陰極電極部に至るまでの棒状の陰極導入部とを有しており、
    前記棒状の陰極導入部は、バレル内に導入されてから距離Lの水平部を備えており、その距離Lが、被めっき対象物の長軸長さaとの関係で、L/a≦0.9となるように設定することを特徴とするバレルめっき装置の設計方法。
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