JP3899585B2 - 溶融金属の試料採取方法並びに溶融金属試料採取プローブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転炉内等の溶融金属の成分分析用試料を大気中の成分に汚染させることなく採取出来る溶融金属の試料採取方法並びに溶融金属の試料採取器に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属の精錬におけるメタル層の物質成分分析は、先端に試料採取室を形成した溶融金属試料採取プローブをメタル層に浸漬させ、この所定深さのメタル層の試料を採取し、この採取された試料を用いて行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
作業中の炉内の状態は、時々刻々変化しているので、分析結果を迅速に操業にフィードバックするためには、試料の採取、加工及び分析にかかる時間を出来るだけ短縮することが必要である。
【0004】
試料採取から操業へのフィードバックまでの間には、試料採取器でサンプリングした試料を分析可能な状態に調整し、試料の分析を行う、という段階が存在する。
【0005】
この工程のうち、試料の分析については、昨今における技術進歩により分析機器の性能が向上したので、分析に要する時間についてはこれを短縮することが出来るようになった。
【0006】
しかし、従来の試料採取器でサンプリングされた試料を分析可能な状態に調整する事については、以下の様な問題点があった。
【0007】
例えば、図7に示すようなボンブ型試料採取器を用いてサンプリングを行う場合、これを炉内に浸漬させると、まず試料採取室の保護キャップが溶け、その残滓が試料より先に試料採取室に入ってしまう。また、この試料採取器を炉から引き出す時、試料採取器がスラグ層を通過する時にスラグ層成分が採取室内に流入してしまう。
【0008】
また、図8に示すような真空ピン型試料採取器を用いてサンプリングを行う場合、これを炉から引き出す時、試料採取器がスラグ層を通過する時のスラグ層成分の試料室内への混入は避けられるが、炉内への浸漬途上においては、やはり保護キャップが溶解混入してしまう。また、採取室内への溶鋼の流入が一定せず、殆どの場合、試料内部に引け巣が生じてしまう。
【0009】
上述の通り、これらの試料採取器により得られた試料には、分析の際に不要な保護キャップやスラグ層成分が混入することになってしまうのである。また、これらの試料採取器でサンプリングを行った場合、サンプリング後の試料を空冷又は水冷する時、試料表面の酸化を免れることはできないのである。
【0010】
こうして得られた試料を分析するためには、保護キャップの残滓やスラグ層成分、酸化物を試料から取り除かなければいけない。そのための方法として、ボンブ型採取器でサンプリングした試料の場合、試料上部にスラグ成分等の不純物が混在するので、試料上部を切断し、試料下部の汚染されていない健全部より分析用試片を切り出す。そして得られた試料を分析に使用する。
【0011】
また、真空ピン型試料採取器でサンプリングした試料の場合、試料の長手軸方向のほぼ中心部分の引き巣の無い部分を切削した後、試料表面の酸化膜を切削除去や酸洗浄により除去する。そして得られた試料を分析に使用する。しかし、上述のようにして得られた試料を分析に用いる場合、処理を行った試料、即ち分析を実際に行う部分にも不純物が混在していないとは言い切れなかった。
【0012】
この様な問題点のために、従来の方法では、サンプリングされた試料を分析可能な状態に処理するのに必要な時間及びコストは依然大きく、故に適正な方法とは言えなかった。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みて行われたものであり、その目的とするところは、サンプリングからフィードバックまでの時間を短縮するために、採取した時点で殆ど前処理を必要としない状態にあるように試料を採取できる溶融金属の採取方法及び溶融金属採取プローブを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用】
請求項1に係る溶融金属の試料採取方法は、先端に採取室を備えた溶融金属採取プローブを用いた試料採取方法であって、溶融金属と反応しない不活性ガスを吹き出すことで採取室内への異物の侵入を防ぎながら前記プローブを溶融金属層へ浸漬させる第一工程と;プローブが所定深さに到達した後、採取室内の圧力を溶融金属層の静圧以下に減圧することで溶融金属を採取する第二工程と;採取した試料に不活性ガスを吹きつけながら、プローブを溶融金属層から引き上げる第三工程と、よりなる溶融金属の試料採取方法である。
【0015】
この方法によれば、不活性ガスを吹き出すことで、採取室内に測定に不要な不純物が混入しない。また、単に採取室内の圧力と溶融金属層の静圧のバランスを制御するだけで、試料採取を行おうとする所定深さの溶融金属層の試料のみを採取出来る。さらにサンプリングされた溶融金属の試料は常に不活性ガスにさらされることになり、溶融金属試料は常に空気等から遮断される事で酸素等による試料の汚染が防止され、その結果得られた溶融金属試料は健全かつ清浄な状態にある。
【0016】
請求項2に掛かる溶融金属の試料採取方法は、溶融金属と反応しない不活性ガスを、前記採取室に設けた流入開口部から室外へ、溶融金属層の静圧以上の圧力で溶融金属中に吹き出し続ける事で、測定に不必要な成分の採取室への混入を防ぎながら、前記プローブを溶融金属層へ浸漬させる第一工程と;溶融金属層の所定深さに到達した前記プローブの浸漬を停止させた後、前記採取室外への不活性ガスの吹き出しを停止し、次に減圧手段により採取室内の圧力を溶融金属層の静圧以下に減圧して、溶融金属を採取室内部に採取する第二工程と;再び不活性ガスを採取室へ吹き出しはじめることで、採取室内の圧力を溶融金属の静圧以上に加圧し、同時に採取室内を不活性雰囲気を保ちつつプローブを溶融金属層より引き上げ、次いで採取された試料に不活性ガスを噴射しつつ大気中又は水中で冷却することにより、試料を大気中の成分に汚染されずに採取する第三工程と、よりなる溶融金属の試料採取方法である。
【0017】
この方法によれば、不活性ガスの噴出により、例えば採取室を保護するための保護キャップの残滓やスラグ層成分等の、測定に不要な不純物が採取室内に混入する事を防止できる。また、サンプリングされた試料に不純物が混在しないので、分析時に不純物による誤差を無くす事が出来る。さらに、溶融金属試料の回収後にプローブを引き上げ、これを大気中で冷却する時も、不活性ガスの噴出により、空気等と試料とが接触しないので、試料が大気等によって汚染されることがない。そのために表面研削等の前処理を省くことが出来る。
【0018】
請求項3に係る溶融金属試料採取プローブは、流入開口部とガス吹き込み口とを設けた採取室を先端に備えており、請求項1又は2に記載の溶融金属の試料採取方法に用いるものであり、前記流入開口部を前記採取室の側面に設けるとともに、溶融金属と反応しない不活性ガスを前記採取室へ供給する不活性ガス供給手段と、前記採取室内を減圧する減圧手段と、を設けたものである。
【0019】
このプローブでは、採取室と不活性ガス供給手段及び減圧手段が連なり、また採取室に流入開口部が設けられているので、採取室内から室外へと吹き出す不活性ガスの圧力が溶融金属層の静圧以上であれば、採取室外部から室内への不純物の流入を阻止できる。また採取室内も常に不活性雰囲気に保たれるので、採取された試料が大気等に汚染されなくなる。そしてサンプリングは、減圧手段により採取室内の圧力を溶融金属層の静圧以下にすれば、自然に溶融金属が採取室内に流入する、という簡潔な方法で可能となる。
【0020】
請求項4に係る溶融金属試料採取プローブは、前記採取室と前記採取室へガスを吹き込むガス吹き込み口との間にフィルターを介在させたものである。
【0021】
このような構成により、フィルターを介在させることで不活性ガスの吹き出しや減圧作業がガス吹き込み口からの異物の侵入を防ぎ、またサンプリングした溶融金属試料がガス吹き込み口から流出することを防止する。
【0022】
請求項5に係る溶融金属試料採取プローブは、採取室内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段に連なる不活性ガス通路と、採取室内を減圧する減圧手段に連なる減圧通路とが兼用された通路を備え;前記通路の途中部に、前記採取室への不活性ガスの供給を制御するための制御手段と、前記採取室の減圧を制御するための制御手段と、を備えた制御装置を設けたものである。
【0023】
ここで、不活性ガス通路と減圧通路は別途に設けてもよいが、不活性ガスの供給と採取室内の減圧という2つの作業を同時に行うことがないことを考えると、これらの通路を1つにまとめて、その構造を簡潔なものとすることが出来る。さらに、1つに通路をまとめることで、不活性ガスの供給を制御するための制御手段と、採取室内の減圧を制御するための制御手段をも1つにまとめることが出来る。
【0024】
なお、上述の減圧手段についてであるが、溶融金属の試料を採取する際には、採取室内の圧力を溶融金属の静圧以下にするだけでよく、必ずしも真空にする必要はない。
【0025】
請求項6に係る溶融金属試料採取プローブは、流入開口部とガス吹き込み口を設けた採取室を先端に備えた溶融金属試料採取プローブであって;前記採取室と前記採取室へガスを吹き込むガス吹き込み口との間に介在したフィルターと;前記採取室の浸漬方向先端に設けられた、溶融金属層に浸漬する時に採取室を保護する先端保護キャップと;採取室の回りに配置された冷却剤と;採取室から後方へ連設された紙管と、前記冷却剤と紙管の外周部に設けられた外装材と、より構成される保持手段と;採取室内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段に連なる不活性ガス通路と、採取室内を減圧する減圧手段に連なる減圧通路とが兼用された通路と、を備えたものである。
【0026】
つまり、先端保護キャップを設けているので、溶融金属層へプローブを浸漬させる途上で、このプローブが硬いスラグ層を通過する時に採取室が破壊されることがない。また冷却剤は採取室の冷却を助け、保持手段である紙管は不活性ガスの供給通路等にもなるし、外装管はプローブ全体の保護に役立つ。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る保護キャップを装着した溶融金属試料採取プローブの断面図、図2は溶融金属試料採取プローブ先端部の拡大断面図、である。
【0028】
本溶融金属試料採取プローブAは、浸漬方向の先端に採取室10が備えられ、採取室10の周りに冷却剤20が設けられ、また採取室10から後方には紙管30が連なり、そしてこれらの外周に外装管40が設けられている。また、採取室10の側面には流入開口部11が、採取室10の後端にはガス吹き込み口12が設けられている採取室10の材料としては、石英ガラス又は石英ガラスと石英ガラスより冷却能の高い金属を石英ガラスの周囲に配したものが好適である。
【0029】
図1及び図2ではガス吹き込み口12の部分を別部材としているが、全体を採取室と一体化して製作してもよい。また採取室10に採取された試料が、ガス吹き込み口12からあふれて出て、ガス吹き込み口12近傍を塞いでしまうのを防止するため、図1及び図2に見られるように、ガス吹き込み口12にフィルター13を設けることが好ましい。
【0030】
図1及び図2では採取室10の先端に流入開口部11を1つ設けているが、この設ける場所や数はこれに限定されない。ここで図示はしないが、例えば、試料の採取目的に応じて、さらに先端から離れた場所に流入開口部11を設けてもよいし、流入開口部11を複数個設けてもよい。
【0031】
図1に見られるように本溶融金属試料採取プローブAの先端には、紙製保護キャップ21と、金属製保護キャップ22を装着することが好ましい。これらの保護キャップ21、22を設けることで、溶融金属試料採取プローブAが溶融金属層へと浸漬する途上で、例えばスラグ層通過時に採取室10が破壊されるのを防ぐことができ、また紙製保護キャップ21を設けることで、金属製保護キャップ22にスラグ層成分が付着することを防げる。
【0032】
また、具体的には図示しないが、ガス吹き込み口12に管を連結し、この管と、後述する様に不活性ガス供給手段Kと減圧手段Dを連結することにより、採取室10内に対して不活性ガスGを供給したり、採取室10内を減圧したりすることが可能となる。この管の連結機密性を安定させるために、ガス吹き込み口12の外周部には、Oリング14が周設されている。
【0033】
次に、図3の原理図を用いて、不活性ガス供給手段Kと減圧手段Dとを連結した、本溶融金属試料採取プローブAを用いた溶融金属の試料採取方法について述べる。
【0034】
図3(a)は、溶融金属試料採取プローブAの溶融金属層Mへの浸漬開始時を示す。まず、減圧手段D側への通路を遮断し、不活性ガス供給手段Kから溶融金属試料採取プローブAへ不活性ガスGを供給しはじめる。溶融金属試料採取プローブAが不活性ガスGで満たされて、不活性ガスGが流入開口部11から噴出しはじめると、溶融金属試料採取プローブAを溶融金属層Mへ浸漬させる。
【0035】
図3(b)は、溶融金属試料採取プローブAが溶融金属層Mに浸漬している途中を示す。ここで重要なのは、溶融金属試料採取プローブA内部の不活性ガスGにより生じる採取室10内の圧力が、溶融金属層Mのサンプリングする所定深さの静圧よりも高いことである。即ち、溶融金属試料採取プローブAが溶融金属層Mに浸漬している時は、常に流入開口部11から溶融金属層Mに不活性ガスGが流出している状態を保ち続けることが必要である。このようにすることで、溶融金属試料採取プローブAの採取室10内は常に不活性ガスGが充満している状態となり、また不活性ガスGの圧力のために採取室10内に溶融金属等の流入を阻止する。図3(a)(b)の回路の状態を図4に示す。
【0036】
図3(c)は、溶融金属試料採取プローブAが溶融金属層Mの所定深さに到達し、試料採取を終了した直後の状態を示す。溶融金属試料採取プローブAが溶融金属層Mの所定深さに到達すると、まず不活性ガス供給手段K側の通路を閉鎖し、同時に減圧手段D側の通路を開放して、採取室10内の減圧を開始する。採取室10内の減圧に伴い、溶融金属層Mの所定深さの静圧が採取室10内の圧力より大きくなると、溶融金属が流入開口部11から採取室10内に流入してくるのでこれを試料として採取すればよい。この時の回路の状態を図5に示す。
【0037】
図3(d)は、試料採取後の溶融金属試料採取プローブAを溶融金属層Mから引き上げる途中の状態を示す。採取室10内に採取された溶融金属mは、採取室10内へ流入した後、直ちに凝固収縮し始めるが、この時採取室10との間に隙間15が出来る。この隙間15へ流入開口部11から流入しようとする空気等にサンプリングされた試料が汚染されないようにするために、溶融金属試料採取プローブAの引き上げ開始と同時に、減圧手段D側の通路を閉鎖し、次いで不活性ガス供給手段K側の通路を開放し、そして溶融金属層の所定深さの静圧以上の圧力が採取室10内から室外へかかるように不活性ガスの供給を再開する。
【0038】
図3(e)は、試料採取後の溶融金属試料採取プローブAを溶融金属層Mから完全に引き上げた状態を示す。(c)から(e)の状態に至るまで、サンプリングされた試料は依然として高温であり、この状態で試料が大気に触れると反応し、例えば酸化物等の不純物を生じてしまうため、試料に対して不活性ガスGを吹き出し続けながらこれを冷却する必要がある。図3(d)(e)の回路の状態を図6に示す。なお、この図6では採取された試料が採取室内に充填された状態を示している。
【0039】
このようにサンプリングされた試料を利用するにあたり、次に挙げる利点がある。サンプリングされた試料は、サンプリングされてから冷却が終わるまで常に不活性ガスGにさらされているため、酸素等の大気による試料の汚染を防止出来る。従ってサンプリングされた試料の表面を研削せず、分析に使用することが出来る。また、スラグ層成分や先端保護キャップの不純物の混入がなく、所定深さの清浄な試料を採取出来る。つまり、試料のサンプリングから試料の分析開始までの時間を著しく短縮し、さらに清浄な試料を用いることで、分析の精度を上昇させることが可能となる。
【0040】
そして、例えば、鉄鋼精錬の過程において、この溶融金属の試料採取方法もしくは溶融金属試料採取プローブを用いれば、迅速に採取した試料を、素早く、かつ精度良く分析でき、ひいては分析結果を直ちに操業にフィードバック出来るので、好適である。
【0041】
また、特に図示はしないが、本発明に掛かる溶融金属試料採取プローブに熱電対等の測温器具を設ければ、溶融金属試料採取時の周囲の測温を同時に行うことが出来るので、好ましい。
【0042】
さらに、本発明にかかる溶融金属の試料採取方法であれば、不活性ガスの吹き出しと減圧の制御のみで試料採取をコントロールするので、例えば数g程度の少量の試料から数百g程度の比較的大量の試料を採取するのにも適している。そしてこれを、先述の例示のように、製鉄業における精錬での試料採取に用いれば、操業のダイナミックコントロールに寄与するのである。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の溶融金属の試料採取方法によれば、先端に採取室を備えた溶融金属採取プローブを用い、前記溶融金属採取プローブを溶融金属層へ浸漬させる試料採取第一工程では、不活性ガスを用いる事により採取室内への異物の侵入を防ぎ、溶融金属を採取する試料採取第二工程では、採取室内を減圧することで試料を採取し、溶融金属採取プローブを溶融金属層から引き上げる試料採取第三工程では、採取した試料に不活性ガスを吹きつけることにより、採取した溶融金属の試料を酸化、汚染させることなく採取できるので、採取した試料を分析する場合、試料の前処理工程を大幅に減少させ、分析開始出来るので、早期に分析結果に対応した対策を講じることが出来るのでよい。
【0044】
また、この方法を例えば鉄鋼精錬に用いれば、迅速な試料採取と分析が可能となり、操業のダイナミックコントロールの性能向上に寄与出来る。さらに採取室内の圧力の加減のみで試料の採取を行う、という簡潔な方法なので、採取する試料が数g程度の少量の場合でも、数百g程度の比較的大量の場合でも、この方法を用いる事が出来るのである。
【0045】
請求項3記載の溶融金属試料採取プローブによれば、流入開口部とガス吹き込み口とを設けた採取室を先端に備え、溶融金属と反応しない不活性ガスを前記採取室へ供給する不活性ガス供給手段と、前記採取室内を減圧する減圧手段と、を設けた構成となっているので、不活性ガスの供給の制御及び減圧の制御のみで試料の採取をコントロールするので、例えば数g程度の少量の試料採取から、数百g程度の大きな試料を採取することも可能であり、適応性が高いプローブであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る保護キャップを装着した溶融金属試料採取プローブの断面図
【図2】 本発明に係る溶融金属試料採取プローブ先端部の拡大断面図
【図3】 本発明に係る溶融金属試料採取プローブによる溶融金属試料採取方法を示した原理図
【図4】 図3(a)(b)の状態にある本発明に係る溶融金属試料採取プローブの回路状態図
【図5】 図3(c)の状態にある本発明に係る溶融金属試料採取プローブの回路状態図
【図6】 図3(d)(e)の状態にある本発明に係る溶融金属試料採取プローブの回路状態図
【図7】 従来の溶融金属試料採取プローブであるボンブ型試料採取器の先端部の断面図
【図8】 従来の溶融金属試料採取プローブである真空ピン型試料採取器の先端部の断面図
【符号の説明】
A 溶融金属試料採取プローブ
10 採取室 11 流入開口部
12 ガス吹き込み口 13 フィルター
14 Oリング 15 隙間
20 冷却剤 21 紙製保護キャップ
22 金属製保護キャップ
30 紙管 40 外装管
K 不活性ガス供給手段 D 減圧手段
G 不活性ガス M 溶融金属層
m 溶融金属
101 試料採取室 102 保護キャップ
103 試料採取器 104 流入開口部
Claims (7)
- 先端に採取室を備えた溶融金属採取プローブを用いた試料採取方法であって、
溶融金属と反応しない不活性ガスを吹き出すことで採取室内への異物の侵入を防ぎながら前記プローブを溶融金属層へ浸漬させる第一工程と、
プローブが所定深さに到達した後、採取室内の圧力を溶融金属層の静圧以下に減圧することで溶融金属を採取する第二工程と、
採取した試料に不活性ガスを吹きつけながら、プローブを溶融金属層から引き上げる第三工程と、
よりなる
溶融金属の試料採取方法。 - 溶融金属と反応しない不活性ガスを、前記採取室に設けた流入開口部から室外へ、溶融金属層の静圧以上の圧力で溶融金属中に吹き出し続ける事で、測定に不必要な成分の採取室への混入を防ぎながら、前記プローブを溶融金属層へ浸漬させる第一工程と、
溶融金属層の所定深さに到達した前記プローブの浸漬を停止させた後、前記採取室外への不活性ガスの吹き出しを停止し、次に減圧手段により採取室内の圧力を溶融金属層の静圧以下に減圧して、溶融金属を採取室内部に採取する第二工程と、
再び不活性ガスを採取室へ吹き出しはじめることで、採取室内の圧力を溶融金属の静圧以上に加圧し、同時に採取室内を不活性雰囲気を保ちつつプローブを溶融金属層より引き上げ、次いで採取された試料に不活性ガスを噴射しつつ大気中又は水中で冷却することにより、試料を大気中の成分に汚染されずに採取する第三工程と、
よりなる
請求項1記載の溶融金属の試料採取方法。 - 流入開口部とガス吹き込み口を設けた採取室を先端に備え、請求項1又は2に記載の溶融金属の試料採取方法に用いる溶融金属試料採取プローブであって、
前記流入開口部を前記採取室の側面に設け、
溶融金属と反応しない不活性ガスを前記採取室へ供給する不活性ガス供給手段と、
前記採取室内を減圧する減圧手段と、
を設けた、
溶融金属試料採取プローブ。 - 前記採取室と前記採取室へガスを吹き込むガス吹き込み口との間にフィルターを介在させた、
請求項3記載の溶融金属試料採取プローブ。 - 採取室内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段に連なる不活性ガス通路と、採取室内を減圧する減圧手段に連なる減圧通路とが兼用された通路を備え、
前記通路の途中部に、前記採取室への不活性ガスの供給を制御するための制御手段と、前記採取室の減圧を制御するための制御手段と、を備えた制御装置を設けた、
請求項3又は4記載の溶融金属試料採取プローブ。 - 流入開口部とガス吹き込み口を設けた採取室を先端に備えた溶融金属試料採取プローブであって、
前記採取室と前記採取室へガスを吹き込むガス吹き込み口との間に介在したフィルターと、
前記採取室の浸漬方向先端に設けられた、溶融金属層に浸漬する時に採取室を保護する先端保護キャップと、
採取室の回りに配置された冷却剤と、
採取室から後方へ連設された紙管と、前記冷却剤と紙管の外周部に設けられた外装材と、より構成される保持手段と、
採取室内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段に連なる不活性ガス通路と、採取室内を減圧する減圧手段に連なる減圧通路とが兼用された通路と、
前記通路の途中部に、前記採取室への不活性ガスの供給を制御するための制御手段と、前記採取室の減圧を制御するための制御手段と、
を備えた、
請求項3〜5の何れか1項に記載の溶融金属試料採取プローブ。 - 前記採取室が石英ガラスよりなる請求項3〜6の何れか1項に記載の溶融金属試料採取プローブ。
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