JP3898811B2 - アーク溶接定常部の溶接安定性判定方法及び安定性判定装置 - Google Patents

アーク溶接定常部の溶接安定性判定方法及び安定性判定装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消耗電極式ガスシールドアーク溶接において、定常溶接部における溶接現象の不安定性に起因して発生する溶接品質不良の流出防止のための、定常溶接部の溶接安定性判定方法及び判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
消耗電極式ガスシールドアーク溶接では、溶接電源の出力制御が制御素子の進歩によりサイリスタ方式からインバータ方式に変化し、制御速度が300Hzから15〜60KHzへと約50〜200倍も高速化され、溶接電流の波形制御ができるようになり、アークスタート性能の向上、高速溶接での溶接状態の安定性向上やスパッタの発生量低減が可能となり、溶接現象の安定性が改善されつつある。
【0003】
しかし定常溶接部の溶接品質は、加工歪み或いは熱歪み等によって溶接施工状態が時々刻々と変化するために、種々の異常現象が発生し易く、溶接ロボット等による自動溶接ラインの大きな問題となっていた。
【0004】
この定常溶接部の溶接状態安定性の良否判定は、一般に作業者や技術者が溶接ビード外観の均一性を目視することにより行っていた。しかし目視による定性的な判定では、微小な異常の場合の判定に個人差があり、インラインでの判定に統一的な基準を求めることは困難であった。
【0005】
また定常溶接部の溶接現象を計測装置により、溶接電流・電圧を測定し判定する方法もあるが、解析に時間を要しリアルタイムに判定を行うことは困難であった。さらにこれらのデータは必ずしも定量的なデータとは言えず、定常溶接部の溶接現象安定性を評価する事は困難であった。
【0006】
例えば特公平2−62017号公報(以下、第1の従来技術と言う)には、溶接電圧を測定することにより短絡期間とアーク期間とを判別し、それぞれの期間における溶接電流と溶接電圧波形の観測結果を所定の関数で演算し、溶接状態の均一性の程度、アーク切れの程度、アークの燃え上がり度により、溶接性の良否を判定する技術が開示されている。
【0007】
また特公平7−2275号公報(以下、第2の従来技術と言う)には、溶接電流、溶接電圧の監視区間設定手段を用いて、それぞれの移動平均を演算し、溶接状況や溶接結果を判定する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第1の従来技術の場合、計測区間の設定がされていないため、アークスタート直後から定常部までのデータで判定を行うと、誤判定を招く恐れがあると言う欠点を有している。なぜならアークスタート直後の溶接現象は不安定で、定常部の溶接には直接関与するものではないためである。またアーク切れの程度をアーク期間中の平均電流(I)・電圧(V)による平均抵抗(R=V/I)を用い、またアークの燃え上がり度をアーク期間中の電力(P=I×V)を用いて表しているが、アーク期間中の平均電流はアーク時間によって変化しやすく、この平均電流を用いて、アーク切れの程度及びアークの燃え上がり度の判定を行うと誤判定を招く恐れがあるという欠点を有している。
【0009】
また、上記第2の従来技術の場合、アーク時間及び短絡時間の変動(長期アーク、瞬間アークや長期短絡、瞬間短絡現象等)つまり溶接現象の安定性の程度を正確に評価できないと言う欠点を有している。
【0010】
以上のように従来の定常溶接部の溶接現象の安定性の判定は、定性的なものであり、解析に時間を要し、アーク溶接ロボット等による自動溶接ライン及び半自動溶接ラインにおける定常溶接部の溶接現象不安定性に起因して発生する溶接品質不良の流出防止を図る上で、なお大きな問題となっていた。
【0011】
現状では定常溶接部の溶接現象安定性をリアルタイムで且つ定量的にまた定常溶接部すべてを監視する方法はなく、溶接現象の安定性対策として定期的にワイヤ送給経路を清掃したり、ワイヤコンジットケーブルを交換したり、コンタクトチップを交換したり、あるいは溶接品質異常が生じてからこれらの対策を実施していた。
【0012】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、定常溶接部の溶接現象をを正確に捉え、溶接状態の安定性の良否を迅速に判定する方法及び装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、
短絡とアークを交互に繰り返しながら溶接をする消耗電極式ガスシールドアーク溶接の定常溶接部アーク溶接安定性判定方法であって、溶接電極(以下溶接ワイヤと称す)と被溶接材間の溶接電圧を検出する電圧検出手段と、溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流を検出する電流検出手段を用いて出力されるアナログ出力信号を所定のサンプリング周波数でデジタル信号に変換して、定常溶接部の溶接安定性の程度を以下の4項目(a)〜(d)、
(a)1周期毎のアーク期間の溶接電流積分値の標準偏差
σ(∫IAndt)
(b)1周期毎の短絡期間の溶接電流積分値の標準偏差
σ(∫ISndt)
(c)1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差
σ(TAn/TSn
(d)短絡周波数fS
の内任意の1又は2項目以上を演算し、それぞれに対応する基準値と比較して、何れか1つでも基準値との差が予め設定した許容範囲を越えた時に溶接が不安定または不良であると判定することを特徴とするアーク溶接定常部の溶接安定性判定方法である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1のアーク溶接定常部の溶接安定性判定方法において、
アーク溶接を監視する区間を設定し、またその区間を溶接時間に応じて任意に分割し判定することを特徴とするものである。
【0015】
そして、請求項3の発明は、
短絡とアークを交互に繰り返しながら溶接をする消耗電極式ガスシールドアーク溶接の定常溶接部アーク溶接安定性判定装置であって、溶接ワイヤと被溶接材間の溶接電圧を検出する電圧検出手段と、溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流を検出する電流検出手段と、両手段からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、該コンバータからのデジタル信号を基に、
(a)1周期毎のアーク期間の溶接電流積分値の標準偏差
σ(∫IAndt)
(b)1周期毎の短絡期間の溶接電流積分値の標準偏差
σ(∫ISndt)
(c)1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差
σ(TAn/TSn
(d)短絡周波数fS
の4項目の内任意の1又は2項目以上を演算する演算手段と、演算手段からの演算結果を予め設定された基準値と比較し基準値との差が許容範囲内か否かを判定する比較器と、比較器の出力を表示する表示器とからなることを特徴とするアーク溶接定常部の溶接安定性判定装置である。
【0016】
また請求項4の発明は、請求項3のアーク溶接定常部の溶接安定性判定装置において、
アーク溶接を監視する区間を設定し、またその区間を溶接時間に応じて任意に分割する手段を具備したことを特徴とするものである。
【0017】
【作用】
定常溶接部におけるアーク放電が安定して形成されないことに起因して発生する溶接現象安定性の程度を、1周期毎のアーク期間溶接電流積分値の標準偏差及び短絡期間溶接電流積分値の標準偏差、また1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差、また短絡周波数の4項目の内任意の1又は2項目以上をそれぞれ演算し定量値として表示し、それぞれに対応する基準値と比較し、各定量値の何れか1つでも基準値との差が予め設定した許容範囲を越えたときに溶接現象が不安定であると判定する。こうすることで、溶接ワイヤへの給電不良や送給抵抗増加及びワイヤエクステンション変動などによる溶接現象不安定による溶接品質異常を正確かつ確実に検知する。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施の形態を図面の実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例のブロック図である。図中の1は溶接電源で所定の電流・電圧を溶接ワイヤ2、被溶接材5間に印加させ、溶接ワイヤ2は被溶接材5を溶接するために送給ローラ3によって所定の速度で送給される。4はコンタクトチップ、6は溶接電流を測定するための分流器、7は溶接ワイヤと被溶接材を流れる溶接電流を検出する電流検出回路、8は溶接ワイヤと被溶接材間の溶接電圧を検出する電圧検出回路、9は両検出回路7,8からの各アナログ出力信号を所定のサンプリング周波数でデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、17は演算及び出力装置で両検出回路7,8とA/Dコンバータ9を含む。
【0019】
本装置17は溶接電圧、溶接電流を測定してデジタル変換し、1周期毎のアーク期間溶接電流積分値の標準偏差及び短絡期間溶接電流積分値の標準偏差、また1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差、また短絡周波数とその平均値を算出するために種々の演算をしてその演算結果を予め設定された基準値と比較し、基準値との差が許容範囲内か否かの比較を行うCPU10、それらの演算データを表示及び印刷するCRT11(ディスプレイ)及びプリンター15、プログラム及び演算に必要な種々のデータを格納するメモリ(ROM12,RAM13)及び測定に必要な定数及びその他のデータを入力するキーボード14、さらに溶接電流積分値異常、アーク/短絡時間比率異常、短絡周波数異常等の異常信号を表示する表示器16から構成される。
【0020】
次に本発明による定常溶接部の溶接現象安定性判定方法について説明する。はじめに定常溶接部の溶接現象解析実行の概略処理フローを図2に示す。
まずサンプリング速度、トリガーレベル、アーク・短絡判定電圧をキーボード14により入力しCPU10内に設定し、溶接を開始させる。ここでサンプリング速度の設定は本実施例では溶接電源1の制御波形の判定も可能となるように溶接電源1の制御速度以上の27KHzに設定したが、設定変更できるようになっている。
【0021】
溶接電圧がトリガーレベルに達すると溶接電圧、電流の入力を開始し測定回数が、設定回数に達するまで各サンプリング点の溶接電圧、電流のデータをRAM13内に格納する。所定数のサンプリングが完了すると、ROM12内に格納されているプログラムを実施することにより、各種の演算を行う。
【0022】
ここで各種の演算は、演算データの誤判定を防ぐため演算区間の設定をキーボード14より入力できるようになっている。つまりアークスタート時の溶接現象不安定領域を演算区間から外せるようになっている。
【0023】
演算が完了すると各種の演算結果をそれぞれに対応する基準値と比較して、何れか1つでも基準値との差が予め設定した許容範囲を超えたときに溶接現象が不安定であるとして、溶接電流積分値異常、アーク/短絡時間比率異常、短絡周波数異常等の異常信号の出力が行われ、ハンピングビード、アンダーカット、溶け落ち、ビード長不足等の溶接品質異常の判定を行う。またアーク放電が安定して形成された場合はOK信号を出力する。
【0024】
次に図2内サブルーチン1のアーク期間溶接電流積分値の演算について説明する。
図3はこのアーク期間溶接電流積分値標準偏差演算処理を行うサブルーチンの詳細である。アーク期間溶接電流積分値標準偏差の演算は、定常溶接測定開始時間のT1 時間タイムアップ後から、定常溶接測定終了時間の設定時間T2 までの溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流と溶接電圧をサンプリングし、n周期目の溶接電圧V(n)がアーク・短絡判定電圧Va以上に到達した時間から溶接電流の測定を開始し、Va以下に下がった時間までのアーク期間の溶接電流積分値を演算し、その後にその積分値の標準偏差を演算する。なお、判定電圧Va及びT1 ,T2 時間の設定は任意に変更できるようになっている。
【0025】
このアーク期間溶接電流積分値は、図6に示すように1周期毎のアーク期間溶接電流波形とそのアーク時間によって囲まれる面積∫IAndtを表し、その標準偏差σ(∫ISndt)はアーク期間の溶接電流とアーク時間のバラツキを同時に表す。
【0026】
この溶接電流積分値の標準偏差が大きくなると言うことは、短絡現象がほとんど継続する瞬間アークや短絡に至らない長期アーク現象の発生等により溶滴移行現象が不安定であると言うことで、この標準偏差が低いほど溶滴移行現象が安定していることを示す。
【0027】
ここでサンプリングノイズやチャタリング等による標準偏差の変化を低減するため1msec以内のアーク現象は短絡時間として演算する。このアーク期間溶接電流積分値標準偏差を基準値と比較して、基準値との差が予め設定した許容範囲を越えたときアーク期間溶接電流積分値異常として異常信号を出力する。
【0028】
次に図2内サブルーチン2の短絡期間溶接電流積分値の演算について説明する。図4はこの短絡期間溶接電流積分値標準偏差演算処理を行うサブルーチンの詳細である。短絡期間溶接電流積分値標準偏差の演算は、定常溶接測定開始時間であるT1 時間タイムアップ後から、定常溶接測定終了時間である設定時間T2 までの溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流と溶接電圧をサンプリングし、n周期目の溶接電圧V(n)がアーク・短絡判定電圧Va以下に到達した時間から溶接電流の測定を開始し、Va以上に上がった時間までの短絡期間の溶接電流積分値を演算し、その後にその積分値の標準偏差を演算する。なお、判定電圧Va及びT1,T2時間の設定は任意に変更できるようになっている。
【0029】
この短絡時間溶接電流積分値は、図7に示すように1周期毎の短絡期間の溶接電流波形とその短絡時間によって囲まれる面積∫ISndtを表し、その標準偏差σ(∫ISndt)は短絡期間の溶接電流と短絡時間のバラツキを同時に表す。
【0030】
この標準偏差が大きくなると言うことは、溶滴移行がほとんど行われない瞬間短絡や短絡現象が解放されない長期短絡の発生により短絡現象が不安定であるということで、この標準偏差が低いほど短絡現象が安定し溶滴移行が周期的に行われていることを示す。
【0031】
ここでサンプリングノイズやチャタリング等による標準偏差の変化を低減するため1msec以内の短絡現象はアーク時間として演算する。この短絡期間溶接電流積分値標準偏差を基準値と比較して、基準値との差が予め設定した許容範囲を越えたとき短絡期間溶接電流標準偏差異常として異常信号を出力する。
【0032】
次に図2内サブルーチン3のアーク/短絡時間比率の標準偏差の演算について説明する。図5はこのアーク/短絡時間比率の標準偏差演算処理を行うサブルーチンの詳細である。アーク/短絡時間比率の標準偏差の演算はT1 時間タイムアップ後から、設定時間T2 までの溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流と溶接電圧をサンプリングし、n周期目の溶接電圧V(n)がアーク・短絡判定電圧Va以上に到達した時間からアーク時間TAnの測定を開始し、Va以下に下がった時間までのアーク時間と、n周期目の溶接電圧V(n)がVa以下に到達した時間から短絡時間TSnの測定を開始し、Va以上に上がった時間までの短絡時間を測定し、アーク/短絡時間比率を演算し、その後に1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差σ(TAn/TSn)を演算する。
【0033】
このアーク/短絡時間比率標準偏差が大きくなると言うことは瞬間アーク、長期アーク及び瞬間短絡、長期短絡等の発生による溶滴移行現象が不安定であるということで、この標準偏差が低いほど溶滴移行現象が安定していることを示す。このアーク/短絡時間比率の標準偏差を基準値と比較して、基準値との差が予め設定した許容範囲を越えたときアーク/短絡時間比率異常として異常信号を出力する。
【0034】
次に図2内サブルーチン4の短絡周波数の演算について説明する。図6はこの短絡周波数の演算処理を行うサブルーチンの詳細である。短絡周波数の演算はT1 時間タイムアップ後から、設定時間T2 までの溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流と溶接電圧をサンプリングし、n周期目の溶接電圧V(n)がアーク・短絡判定電圧Va以下に下がった時からVa以上に上がった時までの短絡時間を1回として短絡周波数を演算する。ここでサンプリングノイズやチャタリング等による短絡周波数の変化を低減するため1msec以内の短絡現象はアーク時間として演算する。この短絡周波数を基準値と比較して、基準値と差が予め設定した許容範囲を越えたとき短絡周波数異常として異常信号を出力する。
【0035】
以上のように溶接品質異常の監視をアークスタート部及び終端処理部を除いた定常溶接部だけ行うこととしたのは、アークスタート時は溶接ワイヤが全く加熱していない被溶接材に接触するという状態のために種々の異常現象が発生し易く、このスタート部のみに現れる溶接現象の不安定状態を演算範囲に含めると、定常溶接部の溶接現象が安定しているにもかかわらず溶接現象が不安定であるという演算結果を出力してしまうためである。また終端処理部も同様の理由から演算範囲に含めないこととした。
【0036】
さらに、定常溶接部全区間を演算することにより判定する方がよりベターであるが、一部の区間のみのデータで判定を行っても良い。したがって本実施例によれば定常溶接部において溶接現象が安定して形成された場合は、前記の異常信号が出力されることはない。このため自動及び半自動アーク溶接装置において定常溶接部における溶接現象の不安定状態を異常信号の出力により、作業者や技術者が容易に検知可能となり、異常処理等の適切な処理を施すことにより不良品の流出を確実に防止することができる。
【0037】
図7はアーク溶接中の各段階(イ)〜(チ)における溶滴の移行現象と、溶接電圧波形及び溶接電流波形を説明する図である。
【0038】
【発明の効果】
上述のように請求項1の定常溶接部の溶接安定性判定方法によれば、溶接電流及び溶接電圧を所定の時間にわたって4項目中1又は2項目以上を演算し、それぞれに対応する基準値と比較し、各定量値の何れか1つでも基準値との差が予め設定した許容範囲を越えたときに、定常溶接部の溶接現象が不安定または不良であると言うことをリアルタイムに判定することができる利点がある。また溶接異常発生時の自動回復処理の電源制御信号を出力するための指標としてこれらのデータが有効に活用できるという効果も有する。
【0039】
さらに請求項2の溶接安定性判定方法によれば、アーク溶接を監視する区間を任意に設定し、定常溶接部すべてを監視することとしたので信頼性の高い監視ができる利点がある。
【0040】
さらに請求項3及び4の溶接安定性判定装置によれば、溶接中に定常溶接部の溶接安定性を溶接時間に応じて任意に分割でき定常溶接部すべてをリアルタイムに且つ正確で定量的に監視することができ、溶接品質不良品の流出を確実に防止可能にする利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定常溶接部溶接安定性判定装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の解析実行フローチャートである。
【図3】アーク期間溶接電流積分値標準偏差演算処理を行うサブルーチンである。
【図4】短絡期間溶接電流積分値標準偏差演算処理を行うサブルーチンである。
【図5】アーク/短絡時間比率標準偏差演算処理を行うサブルーチンである。
【図6】短絡周波数演算処理を行うサブルーチンである。
【図7】アーク溶接中の溶滴の移行現象と溶接電圧波形及び溶接電流波形の説明図である。
【符号の説明】
1 溶接電源
2 溶接ワイヤ
4 コンタクトチップ
5 被溶接材
6 分流器
7 溶接電流検出回路
8 溶接電圧検出回路
9 A/Dコンバータ
10 CPU
16 表示器
17 演算及び出力装置

Claims (4)

  1. 短絡とアークを交互に繰り返しながら溶接をする消耗電極式ガスシールドアーク溶接の定常溶接部アーク溶接安定性判定方法であって、溶接電極(以下溶接ワイヤと称す)と被溶接材間の溶接電圧を検出する電圧検出手段と、溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流を検出する電流検出手段を用いて出力されるアナログ出力信号を所定のサンプリング周波数でデジタル信号に変換して、定常溶接部の溶接安定性の程度を以下の4項目(a)〜(d)、
    (a)1周期毎のアーク期間の溶接電流積分値の標準偏差
    σ(∫IAndt)
    (b)1周期毎の短絡期間の溶接電流積分値の標準偏差
    σ(∫ISndt)
    (c)1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差
    σ(TAn/TSn
    (d)短絡周波数fS
    の内任意の1又は2項目以上を演算し、それぞれに対応する基準値と比較して、何れか1つでも基準値との差が予め設定した許容範囲を越えた時に溶接が不安定または不良であると判定することを特徴とするアーク溶接定常部の溶接安定性判定方法。
  2. アーク溶接を監視する区間を設定し、またその区間を溶接時間に応じて任意に分割し判定することを特徴とする請求項1に記載の溶接安定性判定方法。
  3. 短絡とアークを交互に繰り返しながら溶接をする消耗電極式ガスシールドアーク溶接の定常溶接部アーク溶接安定性判定装置であって、溶接ワイヤと被溶接材間の溶接電圧を検出する電圧検出手段と、溶接ワイヤと被溶接材間を流れる溶接電流を検出する電流検出手段と、両手段からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、該コンバータからのデジタル信号を基に、
    (a)1周期毎のアーク期間の溶接電流積分値の標準偏差
    σ(∫IAndt)
    (b)1周期毎の短絡期間の溶接電流積分値の標準偏差
    σ(∫ISndt)
    (c)1周期毎のアーク/短絡時間比率の標準偏差
    σ(TAn/TSn
    (d)短絡周波数fS
    の4項目の内任意の1又は2項目以上を演算する演算手段と、演算手段からの演算結果を予め設定された基準値と比較し基準値との差が許容範囲内か否かを判定する比較器と、比較器の出力を表示する表示器とからなることを特徴とするアーク溶接定常部の溶接安定性判定装置。
  4. アーク溶接を監視する区間を設定し、またその区間を溶接時間に応じて任意に分割する手段を具備したことを特徴とする請求項3に記載の溶接安定性判定装置。
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