JP3898372B2 - 圧電アクチュエータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電アクチュエータ装置に係わり、例えば、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子、自動車用エンジンの燃料噴射用の駆動素子等に使用される圧電アクチュエータ装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、電極が形成された圧電板を複数枚積層して形成した積層型圧電アクチュエータが知られている。このような積層型圧電アクチュエータは、圧電板に電圧を印加して逆圧電効果によって圧電板を数〜数十μm伸長させ、その変位を圧電アクチュエータの駆動力源とするものである。
【0003】
近年、小型の積層型圧電アクチュエータで大きな変位量を確保するとともに、積層型圧電アクチュエータの高応答性を利用するため、より高電圧での駆動が行われている。
【0004】
また、セラミックスからなる圧電板は圧縮応力に対して強いものの、引っ張り応力に対しては非常に弱いという性質を有するため、通常積層型圧電アクチュエータとして使用する場合は圧電板に引っ張り応力が作用しないように工夫されている。例えば、特開平3−145775号公報によれば圧電アクチュエータに対してバネによって圧縮応力を負荷することが提案されている。
【0005】
また、積層型圧電アクチュエータ装置では、素子の繰り返し駆動時に自己発熱による温度上昇が発生するため、積層された圧電板の耐久性が劣化したり、電気特性が変化するという問題があった。特に、バネなどによって高い圧縮応力が負荷され、また高電圧、高温雰囲気下で使用される場合には、積層型圧電アクチュエータの耐久性が劣化したり、変位特性の変化するなどの問題があった。
【0006】
このような問題点に対して、例えば、特開平6−85340号公報によれば、圧電アクチュエータと金属ケースとの間に冷却剤および断熱剤からなる熱交換剤を充填し、圧電アクチュエータの発熱に伴う温度上昇を防止することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−85340号公報に記載されるような構造の圧電アクチュエータ装置では、圧電アクチュエータを高圧縮荷重下で高速で長時間繰り返し駆動した場合、圧電アクチュエータの発熱量が非常に大きくなるために、熱交換剤による冷却効果には限界があり、その周囲の温度が高くなることにより、熱交換剤自体の温度が上昇し、冷却効果が低下し、特に高温雰囲気で圧電アクチュエータを高速で長時間繰り返し駆動した場合、冷却効果が顕著に低下するという問題があった。
【0008】
また、一般に圧電アクチュエータ装置では、圧電板と電極との積層体からなる圧電アクチュエータの両端面を金属ケースの金属部材に当接して固定しているために、この金属部材を経由して放熱できるために圧電アクチュエータの両端部から発生する熱は放熱できるものの、圧電アクチュエータの中央部で発生した熱は放熱できず、圧電アクチュエータの中央部で熱が蓄積されやすく、圧電アクチュエータの中央部の温度が高く、両端部が低いという不均一な温度分布が生じるという問題があった。
【0009】
そのため、圧電アクチュエータ内で電気特性にバラツキが生じ、高電圧、高周波数、高温雰囲気下において長時間駆動すると、圧電アクチュエータの耐久性が劣化したり、変位特性の変化を生じるという問題があった。
【0010】
従って、本発明は、高温雰囲気下及び高圧縮荷重下で高い印加電圧で高速で駆動する場合でも、圧電アクチュエータの自己発熱による温度上昇を有効に防止し得る圧電アクチュエータ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電アクチュエータ装置は、複数の圧電体と、複数の正極用および負極用の電極とを交互に積層してなる積層体と、前記正極用の電極および負極用の電極を前記積層体の側面にてそれぞれ接続するための接続部材とを具備する圧電アクチュエータを金属ケース内に収納してなる圧電アクチュエータ装置において、前記積層体と、前記接続部材との間隔が、前記積層体の両端部よりも中央部が広いことを特徴とするものである。
【0012】
また、上記構成において、前記圧電アクチュエータと前記金属ケースの内壁との隙間に液状の高熱伝導性絶縁材料を充填することが望ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記液状の高熱伝導性絶縁材料は、シリコーンオイルからなることが望ましく、また、その粘度が5000mm 2 /s以下であることが望ましい。
【0014】
【作用】
本発明の圧電アクチュエータ装置によれば、積層体と接続部材との間隔が、積層体の両端部よりも中央部を広くすることにより、熱が蓄積されやすい圧電アクチュエータの中央部の放熱性を向上することができ、圧電アクチュエータ駆動時の発熱による温度分布を均一にすることができ、これにより個々の圧電体の電気特性のバラツキが低減でき、圧電アクチュエータの変位量のバラツキや特性劣化を防止できる。
【0015】
圧電アクチュエータと金属ケースの内壁との隙間に液状の高熱伝導性絶縁材料が充填されているときには、金属ケース内に収納された圧電アクチュエータの駆動時に自己発熱により発生した熱を液状の高熱伝導性の絶縁材料および金属ケースを介して外部に十分に放熱できることから、圧電アクチュエータの熱の蓄積を防止して均一に放熱することができる。これにより、圧電アクチュエータ自体の温度上昇を抑えることができ、圧電アクチュエータの耐久性を向上することができる。
【0016】
また、高熱伝導性の絶縁材料が液状物質であるときには、圧電アクチュエータの変位特性に対して高熱伝導性材料が悪影響を及ぼすこともない。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の圧電アクチュエータ装置の一例を説明するための概略断面図である。図1において、符号1は圧電アクチュエータ1を示している。この圧電アクチュエータ1は、両面に導電層2が被着形成された複数の圧電板3と、複数の電極薄板4とを交互に積層した積層体によって構成されている。
【0018】
圧電板3は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電セラミック材料などの周知の圧電材料によって構成されている。この圧電板3を構成する圧電材料としては、駆動時の変位量を大きくするために、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。また、この圧電板3の厚みは、小型化および高い電圧を印加するという点から0.2〜0.6mmであることが望ましい。
【0019】
圧電板3の両面に形成される導電層2は、導電性ペーストを圧電板3の表面に塗布し400〜600℃程度で焼き付けることにより形成される。この導電性ペーストは、Ag等の導電性粉末とガラス成分からなっており、ガラス成分を高温で溶融することにより圧電板3に焼き付けられる。この導電性ペーストは、特に、Ag粉末を70〜98重量%と、ホウケイ酸鉛系などのガラス成分2〜30重量%とからなることが望ましい。
【0020】
また、電極薄板4には、図3に示すように、1対の接続部材5が一体に形成されており、電極薄板4は正極用と負極用とに分けられ、圧電板3の間に正極用の電極薄板4と負極用の電極薄板4が交互に積層される。そして、それぞれの正極用の電極薄板4の各接続部材5は、積層体の側面の異なる方向にそれぞれ導出されている。
【0021】
そして、同一方向に導出された正極用の電極薄板4の接続部材5および負極用電極薄板4の接続部材5は、それぞれ圧電アクチュエータ1に接触しないように所定の間隙Lをもつように、圧電アクチュエータ1の外周側面に沿って折曲され、正極用の接続部材5群、および負極用の接続部材5群は、それぞれ半田付け、あるいは溶接等によって互いに接続固定されている。
【0022】
接続部材5が圧電アクチュエータ1に近接して配設されると、圧電アクチュエータ1から発生した熱の放散を接続部材5が阻害してしまう。そのため、上記間隙Lは、0.2mm以上であることが望ましい。なお、上記間隙Lが大きすぎると装置全体が大型化してしまうためこの間隙Lは2.0mm以下が望ましい。
【0023】
また、接続部材5は、圧電アクチュエータ1から発生する熱を拡散させる作用をなすことから、熱の拡散性の点からは接続部材5の幅Wは、大きい方がよく、圧電板3が円板である場合、その半径rに対してr/10以上であることが望ましい。一方、接続部材5の幅が大きすぎると隣接する異なる極性の接続部材5との距離が近くなり、隣接する接続部材5間で放電の可能性が高くなることから、その幅Wはr以下であることが望ましい。
【0024】
また、電極薄板4、接続部材5は、銀、真鍮、銅、ステンレス等の金属からなる導電性金属からなることが好ましい。電極薄板4の厚さは、変位量に影響を及ぼさないためにできるだけ薄いもの特に20〜100μmのものが好ましい。
【0025】
さらに、電極薄板4は、隣接する電極薄板4間の短絡や放電を防止するために、圧電アクチュエータ1の外周側面に露出しないように圧電板3よりも小さい寸法からなることが望ましい。
【0026】
さらに、圧電アクチュエータ1の上下には、絶縁性接着剤6を介して不活性体7が接合されており、圧電アクチュエータ素子Aを構成している。この絶縁性接着剤6は、圧電アクチュエータ1の最上面および最下面にガラスペーストからなる絶縁性接着剤6を塗布し、400〜600℃程度で焼き付けて形成され、圧電アクチュエータ1に不活性体7を積層した後、加熱することにより圧電アクチュエータ1の上下面に不活性体7を接合することができる。この時に用いるガラスペーストは、例えば、圧電板3表面に焼き付けられる導電性ペースト中のガラス成分と同様にホウケイ酸鉛系ガラスなどによって構成される。
【0027】
この不活性体7は、圧電アクチュエータ1を装置内にセットした際、後述する上下の金属ケース8との電気的な短絡を防止するためのものであり、通常、接合時の熱膨張差を小さくするために圧電板と同質の絶縁材料などによって形成される。
【0028】
圧電アクチュエータ1および不活性体7を具備する圧電アクチュエータ素子Aは、金属ケース8内に装填されている。金属ケース8は、大きく金属チェーブ8a、金属製上蓋8b、金属製底蓋8cから構成される。
【0029】
金属ケース8は、圧電アクチュエータから発生する熱エネルギーの放熱性を高めるために熱伝導性の高いもので形成されていることが望ましく、特に、銀、銅、アルミニウム、ステンレスのうちの少なくとも1種の金属から構成されていることが望ましい。
【0030】
圧電アクチュエータ素子Aは、金属チューブ8a内に圧電アクチュエータ1の積層方向と、金属チューブ8aの長手方向が一致するようにして内部に収納されており、互いに接合された正極用の接続部材5および負極用の接続部材5の最端部の接続部材5は、いずれもリード線として機能し、この正極用および負極用のリード線9は、底蓋8cに設けられた貫通孔10を貫通して金属ケース8の外に引き出されている。
【0031】
また、圧電アクチュエータ素子Aの不活性体7の上部には、押し棒11が載置され、その一端は圧電アクチュエータ素子Aと当接され、他端は上蓋8bをに設けられた貫通孔12を貫通して金属ケース8の外に引き出されている。また、押し棒11には、適当な長さのコイルばね13が嵌められており、コイルばね13によって、圧電アクチュエータ素子Aには圧縮荷重が負荷されている。負荷される圧縮荷重は、50〜800kgfが適当である。このように、コイルばね13によって圧電アクチュエータ素子Aに圧縮荷重を負荷することにより、高温で高電圧、高速で作動する場合でも、圧電アクチュエータ素子Aに引っ張りの応力が働くことがないので素子が破壊するのを防止することができる。
【0032】
上記の構成からなる圧電アクチュエータ装置において、本発明によれば、上記圧電アクチュエータ素子Aと、金属ケース8の内壁との隙間に液状の高熱伝導性絶縁材料14が充填されていることが大きな特徴である。この絶縁材料14は圧電板3の相互間および圧電板3外周面と接続部材5との間隙にも充填されている。また、この絶縁材料14は、圧電アクチュエータ素子Aの駆動時の変位を阻害することのなく、充填性に優れていることが望ましい。
【0033】
具体的には、この絶縁材料の粘度が5000mm2 /Sよりも大きいと、圧電体3と接続部材5との隙間などまでこの絶縁材料14が充填されにくく、熱放散性が低下するとともに、駆動中に放電を起こす原因となる。従って、この絶縁材料14の動粘度は、5000mm2 /S以下、特に50〜400mm2 /Sが適当である。
【0034】
この絶縁材料14を充填する場合には、圧電アクチュエータ素子Aを金属ケース8内に収納した後、金属ケース8に設けられた注入孔15より上記絶縁材料14を充填した後、注入孔15を樹脂などにより封止する。
【0035】
用いる液状の高熱伝導性の絶縁材料14としては、空気の熱伝導率0.026W/m・Kに対して一桁以上の熱伝導率、具体的には、0.1W/m・K以上の熱伝導率を有するジメチルシリコーンオイル(0.13W/m・K)、フロロシリコンオイル(0.26W/m・K)、メチルフェニルシリコーンオイル(0.15W/m・K)のうちの少なくとも1種のシリコーンオイルが望ましい。
【0036】
また、絶縁材料14は、前述したように液状物質であることから、圧電アクチュエータ装置から漏れださないように、前記上蓋8bに設けられた貫通孔12、下蓋8cに設けられた貫通孔10および注入孔15を樹脂などの絶縁材料によって封止する。
【0037】
上記の構成からなる圧電アクチュエータ装置によれば、高温で高電圧、高速で作動する場合でも、圧電アクチュエータ1の自己発熱により発生した熱を、圧電アクチュエータ1の側面から所定間隔Lをおいて設けられた接続部材5、液状の高熱伝導性絶縁材料14、金属ケース8を経由して装置外部に十分に放熱できることができ、圧電アクチュエータ1の温度上昇を抑え、耐久性を向上するとともに、変位特性の変化を最小限に抑制することができる。
【0038】
図4は、本発明の積層型圧電アクチュエータ装置の他の例を示すものである。この例において、前記図1乃至図3の例と同一の機能を有する部分については同一の符号を記した。この例では、圧電アクチュエータ1における圧電板3の積層方向中央部における接続部材5と圧電アクチュエータ1の側面との間隔Lが、両端部の接続部材5と圧電アクチュエータ1の側面との間隔Lよりも広く形成されている以外は、前記例と同様の構造からなる。
【0039】
即ち、圧電板3の外周に突出する接続部材5の突出長さを圧電アクチュエータ1の中央部から両端部にかけて段階的に短くなるように変化させ、圧電アクチュエータ1の中央部が最も長くなるようにすることにより、接続部材5と圧電板3との間隔Lを最も大きくなるように形成されている。
【0040】
このような圧電アクチュエータ装置では、圧電アクチュエータ1の積層方向中央部の接続部材5と圧電アクチュエータ1の側面との間隔を両端部よりも広くすることにより、熱が蓄積されやすい圧電アクチュエータ1の積層方向中央部の熱を接続部材5、絶縁材料14を介して十分に放熱することができ、圧電アクチュエータ駆動時の発熱による温度分布をさらに均一にすることができ、これにより圧電アクチュエータ1の電気特性のバラツキを低減でき、圧電アクチュエータ1内での変位量のバラツキや特性劣化を防止できる。
【0041】
本発明の圧電アクチュエータ装置においては、いずれも1枚の電極薄板3にそれぞれ1対の接続部材5を一体に形成したものを使用したが、電極薄板3に形成する接続部材5は片方のみでもよく、複数の電極薄板を接続部材により連結一体化したものを用いて圧電アクチュエータ1を構成しても良い。
【0042】
その場合、図4に示したように、圧電アクチュエータ1の積層方向中央部の接続部材5と圧電アクチュエータ1の側面との間隔を両端部よりも広くするには、積層方向中央部に位置する電極薄板間の接続部材の長さが端部に位置する電極薄板間の接続部材の長さよりも長くなるように設計すればよい。
【0043】
【実施例】
Pb0.94Sr0.04Ba0.02(Zn1/3 Sb2/3 )0.075 (Ni1/2 Te1/2 )0.005 Zr0.47Ti0.45O3 の組成からなる基本成分100重量部に対して、等モル比からなるPbOおよびNb2 O5 を合量で0.5重量部添加含有した組成物を1130℃で焼成して作製したPZT系圧電セラミックスの両面を研磨して、直径20mm、厚み0.5mmの円板状の圧電板を形成した。
【0044】
この圧電板の両主面に、Ag粉末97重量%、PbO−SiO2 −B2 O3 を主成分とするガラス3重量%の導電性ペーストを10μmの厚みになるように印刷した後、100℃にて乾燥し520℃で焼き付けた。
【0045】
また、厚さ25μmのAg製薄板を、図3に示したような3mm×2mmの接続部材を有する直径19mmの円形に打ち抜いて電極薄板を作製した。
【0046】
そして、上記電極薄板と圧電板とを交互に積層し、圧電板100層を積層して積層型圧電アクチュエータを作製した。なお、電極薄板の接続部材は一層おきに正極用と負極用とを90度の角度差をもってそれぞれ同じ向きに突出させた。
【0047】
また、上記PZT系焼結体を用い、直径20mm、厚み5mmの円柱状の不活性体を形成し、この不活性部の片面にPbO−SiO2 −B2 O3 を主成分とするガラスペーストを10μmの厚みになるように印刷した後、100℃にて乾燥し、520℃で焼き付けた。
【0048】
そして、これらの不活性体を圧電アクチュエータの最上面および最下面に積層し、位置ずれが生じないように軽く圧力を加えた後、約3kgの重りを乗せた状態で600℃、1時間で保持し圧電アクチュエータと不活性体とを接合した。
【0049】
次に、図1に示したように、圧電板の径方向に突出した正極用および負極用の接続部材の先端部を積層方向にそれぞれ折曲げ、折り曲げた接続部材の先端部と隣接する同極の接続部材とをハンダで接続した。なお、接続部材同士を接続する際には、圧電アクチュエータの一端から他端まで接続部材が圧電アクチュエータの側面からの間隙Lが0.1mmあるいは0.5mmとなるように、接続部材を取り付けて、圧電アクチュエータ素子を作製した。
【0050】
次に、作製した圧電アクチュエータ素子を金属チューブ、上蓋、下蓋からなるステンレス(SUS)製金属ケース内に装填した。まず、下蓋が取り付けられた金属チェーブを横にしてその中に積層型圧電アクチュエータを挿入し、次に金属チューブを立てて圧電アクチュエータ素子の最下部の接続部材から延びるリード線を下蓋に設けた貫通孔を通して引き出した。その後、貫通孔をエポキシ樹脂で封止した。
【0051】
その後、この状態で圧電アクチュエータ素子の上部にコイルばねが取り付けられた押し棒を載せ、上蓋をコイルばねを押しながら押し棒を上蓋の中央部に形成した貫通孔に通し、さらに上蓋を金属チューブにねじ止めして固定した。この時、コイルばねによる圧電アクチュエータ素子への圧縮応力は350kgfに設定した。
【0052】
そして、この金属ケース内に、液状の高熱伝導性の絶縁材料として熱膨張係数が9.6×10-4ppm/℃、動粘度100mm2 /Sおよび400mm2 /Sポイズの2種類のシリコーンオイルを注入孔より充填し、その後、注入孔をエポキシ樹脂で封止した。
【0053】
そして、圧電アクチュエータに対して、リード線、接続部材、電極薄板を通じて80℃の雰囲気中で3kV/mmの直流電圧を30分間印加して分極処理を行ない、圧電アクチュエータ装置(試料No.1〜3)を作製した。
【0054】
得られた圧電アクチュエータ装置に温度雰囲気125℃において0Vから+400Vの直流電界を60Hzの周波数にて印加し、印加回数5×108 回まで駆動を行った。そして、駆動時の圧電アクチュエータによる変位量と、圧電アクチュエータの表面温度を測定し、その結果を表1に示した。
【0055】
なお、変位量の測定は、圧電アクチュエータ装置を防振台上に固定し、試料上面にアルミニウム箔を張り付けて、レーザー変位計により、素子の中心部及び周囲部3箇所で測定した値の平均値で評価した。また、圧電アクチュエータの表面温度は圧電アクチュエータの中央部に熱電対を貼り付けてモニターした。
【0056】
比較例
比較として、金属ケース内にシリコーンオイルを充填しない以外は、全く実施例1と同様にして圧電アクチュエータ装置(試料No.6)を作製し、実施例1と同様の試験を行いその結果を表1に示した。
【0057】
実施例2
この実施例は、図4に示した構造の圧電アクチュエータ装置に関するものである。この実施例によれば、実施例1で用いた接続部材の長さがすべて同じである電極薄板に代えて、接続部材の長さが段階的に異なる数種の電極薄板を作製し、接続部材の長さが最も長い電極薄板を圧電アクチュエータの中央部に、また、接続部材の長さが最も短い電極薄板を圧電アクチュエータの端部に配置して、実施例1と同様にして圧電アクチュエータ装置(試料No.4、5)を作製した。
【0058】
なお、この例では、接続部材と圧電アクチュエータの側面との間隔Lが、積層方向中央部と両端部とが表1となるように接続し、その中間部分は段階的に間隔Lが変わるようにした。
【0059】
【表1】
【0060】
表1の結果から明らかなように、金属ケース内に何も充填しない従来の圧電アクチュエータ装置(試料No.6)においては、圧電アクチュエータ素子の表面温度は230℃で1×106 回印加で圧電アクチュエータの一部にクラックが発生し、駆動が不可能となった。
【0061】
これに対して、金属ケース内に高熱伝導性の液状絶縁材料を充填した本発明の圧電アクチュエータ装置(試料No.1〜5)においては、いずれも40μmの変位量が得られ、圧電アクチュエータ素子の表面温度は200℃以下で印加回数5×108 回の駆動を行った場合でも変位量の低下及び破断はまったく見られなかった。特に、間隙Lは大きいほど放熱性に優れたものであった。また、中央部の間隙Lを端部よりも大きくすることにより、圧電アクチュエータの表面温度をさらに低下させることができた。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、圧電体の積層方向中央部における接続部材と圧電アクチュエータ側面との間隔を、両端部よりも広くすることにより、熱が蓄積されやすい圧電アクチュエータの積層方向中央部の放熱性を向上することができ、圧電アクチュエータ駆動時の発熱による温度分布を小さくすることができる。これにより、個々の圧電体の電気特性のバラツキを低減でき、圧電アクチュエータの変位量のバラツキや特性劣化を防止できる。
【0063】
また、圧電アクチュエータと金属ケースの内壁との隙間に液状の高熱伝導性絶縁材料が充填されているときには、高荷重下で高温で高電圧、高速で作動する場合でも、圧電アクチュエータの自己発熱により発生した熱を、圧電体の側面から所定間隔をおいて設けられた接続部材、金属ケース内に充填した液状の高熱伝導性の絶縁材料を介して外部に十分に放熱できる。これにより、圧電アクチュエータの温度上昇を抑え、圧電アクチュエータの耐久性を向上するとともに、変位特性の変化を最小限に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータ装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】圧電アクチュエータの一部を拡大して示す断面図である。
【図3】接続部材が一体に形成された電極薄板を示す平面図である。
【図4】本発明の積層型圧電アクチュエータ装置の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 圧電アクチュエータ
2 導電層
3 圧電板
4 電極薄板
5 接続部材
6 絶縁性接着剤
7 不活性体
8 金属ケース
9 リード線
10,12 貫通孔
11 押し棒
13 コイルばね
14 液状の高熱伝導性絶縁材料
Claims (4)
- 複数の圧電体と、複数の正極用および負極用の電極とを交互に積層してなる積層体と、前記正極用の電極および負極用の電極を前記積層体の側面にてそれぞれ接続するための接続部材とを具備する圧電アクチュエータを金属ケース内に収納してなる圧電アクチュエータ装置において、前記積層体と、前記接続部材との間隔が、前記積層体の両端部よりも中央部が広いことを特徴とする圧電アクチュエータ装置。
- 前記圧電アクチュエータと前記金属ケースの内壁との隙間に液状の高熱伝導性絶縁材料を充填したことを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ装置。
- 前記液状の高熱伝導性絶縁材料がシリコーンオイルからなることを特徴とする請求項2記載の圧電アクチュエータ装置。
- 前記液状の高熱伝導性絶縁材料の粘度が5000mm2 /S以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の圧電アクチュエータ装置。
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