JP3898317B2 - 壁内防水透湿シートと壁内通気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造体と外壁パネルとの間に空気流通路が形成された壁内通気構造に用いる壁内防水透湿シート、及び壁内通気構造に関する。特に、本発明は複数個の建物ユニットを組み立てたユニット建物に好適な壁内防水透湿シート及び壁内通気構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁内に空気流通路を設け、この空気流通路の中を通過する空気によって壁内の湿気を排出して壁内の結露の発生を防いだり、日射によって加熱された外壁からの熱を排出して屋内の温度上昇を防いで居住性をよくし、冷房に使用されるエネルギーを減少させることが行われている。
例えば、外壁パネルと壁下地材との間に空気流通路が形成された壁内通気構造としては、特公平4−72936号公報(従来例1と称する)に記載された構造が知られている。
【0003】
この空気流通路が形成された壁内通気構造は、壁下地材の上に接続片を介して外壁パネルが取り付けられたものであって、壁下地材と外壁パネルとの間には接続片の厚みとほぼ等しい空気流通路が形成されたものである。
【0004】
又、外壁パネルと内壁パネルとの間に空気流通路が形成された壁内通気構造としては、特開平7−42260号公報(従来例2と称する)に記載された構造が知られている。
この壁内通気構造は、内壁パネルと外壁パネルとの間にガラスウールからなる断熱材が挿入されていて、外壁パネルの屋内側面に凸状のスペーサーが設けられ、この凸状のスペーサーで断熱材を押すことにより、空気流通路が形成されたものである。
【0005】
又、特開平8−120799号公報には通気層パネルが記載されている。この通気層パネルは面内方向に貫通した通気孔と、この通気孔から面外方向に貫通した貫通孔とを有するパネルと、このパネルの表面に貫通孔を覆った透湿防風シートからなるものであって、この通気層パネルを壁下地材と外壁パネルの間に通気孔を上下方向に向けて挟むと、壁下地材と外壁パネルの間に通気孔からなる空気流通路が形成され、この空気流通路を通過する風によって透湿防風シートを経て貫通孔を通って通気孔に入った壁内の湿気が排気されるのである。
【0006】
一方、ユニット建物は、運搬可能な一定の大きさの箱形の、且つ、内部、外部の仕上げられた建物ユニットを、予め、工場で製造し、この建物ユニットの複数個を施工現場に運搬し、施工現場で組み立てて建物となすものであって、現場施工期間が短く、且つ、寸法精度の良い標準化された建物となる特徴があることから、近年、広く採用されている。
【0007】
このユニット建物には種々な構造が知られてしいる。
例えば、特公昭62−62224号公報には、矩形の四隅に配置された鋼製四角筒の4本の柱と、この4本の柱の下端部を矩形の辺に沿って連結した断面コ字形の鋼製長尺体の4本の床梁と、4本の柱の上端部を矩形の辺に沿って連結した断面コ字形の鋼製長尺体の4本の天井梁とからなる骨格を備えた建物ユニットの複数個を組み立てたユニット建物が記載されている。
【0008】
尚、この建物ユニットでは、外壁を設ける場所に天井梁と床梁との間に間柱を差し渡して立設し、この間柱の屋内側に内壁パネルを取り付けて壁構造体を構成し、間柱の屋外側に外壁パネルを取り付け、この外壁パネルと内壁パネルの間に断熱材が取り付けられて壁が形成されている。そして、従来例2では、この外壁パネルと内癖パネルの間に空気流通路が形成されているのである。
【0009】
又、特公昭58−30978号公報には、床パネルと壁パネルを組み立てた建物ユニットの複数個を組み立てたユニット建物も知られている。
この建物ユニットの場合には、従来例1記載のように、壁パネルの外壁パネルと壁下地材(壁構造体)との間に空気流通路が形成されている。
これ等のユニット建物では、予め外壁パネルを取り付けた建物ユニットを組み立てるので、上階の建物ユニットの外壁パネルと下階の建物ユニットの外壁パネルとの間には必然的に隙間が形成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来例1〜3記載の壁内通気構造では、雨天や雪の日に風が強く吹くと、この空気流通路の出入口や、上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの隙間から空気流通路の中に水滴や粉雪が吹き込み、この水滴や粉雪が空気流通路の周囲に付着し、壁内の結露を防止するという目的が達せられなくなるし、この水分が壁下地材に滲み込んで壁下地材の内側に取り付けられた断熱材や、外壁パネルと内壁パネルの間に取り付けられている断熱材を湿らして断熱性能を低下させるという問題がある。
【0011】
特に、空気流通路では下側出入口から空気が入った空気が温められ上方に上昇し上側出入口から出るので、下側出入口から水滴や粉雪が入ることが多い。
上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの隙間から空気流通路に入る水滴や粉雪を防ぐために、従来例1では、防水シートの上側縁部を上階の外壁パネルの屋内側は壁構造体との間に取り付け、この防水シートを上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの間を通過させて、下階の外壁パネルの外側に取り付けている。
【0012】
しかし、このように、上階の外壁パネルの屋内側から下階の外壁パネルの外側に防水シートを取り付けると、この防水シートが空気流通路を塞ぐので壁内の空気流通路の流れを妨げ十分通気が行われないという問題がある。
しかも、この場合では、空気流通路の出入口からは水滴や粉雪が吹き込むという問題がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は空気流通路の出入口や上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの間から水滴や粉雪が吹き込まないし、壁内の空気流通路の通気を妨げない壁内防水透湿シートと、この壁内防水透湿シートを取り付けた壁内通気構造を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになしたものであって、請求項1記載の発明は、長尺体の通気性シートと、この通気性シートの側縁端面に取り付けられた防水透湿性シートとからなる壁内防水透湿シートとしたことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記通気性シートの一面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、壁構造体と外壁パネルとの間に空気流通路が形成された壁内通気構造において、上記空気流通路の下側出入口に請求項1または2記載の壁内防水透湿シートが防水透湿性シートを上に向けて取り付けられ、この壁内防水透湿シートで空気流通路の下側出入口が塞がれているものである。
【0021】
請求項1記載の発明に使用する防水透湿シートとは、雨水を通過させないが、空気を通過させるものであって、上記合成樹脂製の不織布等が好適である。
【0022】
請求項2記載の発明においては、通気性シートの一面に粘着剤層を設けているが、この粘着剤層にゴミ等が付着したり、粘着剤層が別の場所に接着しないように、使用するまで粘着剤層の上に離型紙を貼り付けていて、使用時にこの離型紙を剥がすようにするとよい。この粘着剤層を設ける手段としては、防水シートや通気性シートの表面に直接粘着剤を塗布して設けてもよいし、又、両面粘着テープを貼り付けて、表面に粘着剤層を設けてもよい。
【0027】
(作用)
請求項1または2記載の発明は、空気流通路の出入口に取り付ける壁内防水透湿シートである。尚、この壁内防水透湿シートは上側出入口に取り付けても、又、下側出入口に取り付けても水滴や粉雪の浸入を防ぐことができるが、下側出入口から水滴や粉雪が入ることが多いので、この下側出入口に壁内防水透湿シートを取り付けたときの作用について説明する。
【0028】
即ち、請求項1記載の発明では、長尺体の通気性シートと、この通気性シートの側縁端面に取り付けられた防水透湿性シートとからなるから、この壁内防水透湿シートを空気流通路の下側出入口に取り付ける。この際、通気性シートの側縁端面に取り付けられている防水透湿性シートを上に向ける。
【0029】
すると、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が空気流通路の下側出入口に吹き突け、通気性シートの中に入っても、この水滴や粉雪を含む風が通気性シートの中を通過している間に失速し、水滴や粉雪が下方に落ちるし、又、通過しても、この通気性シートの奥には通気性シートの側縁端面が取り付けられているから、この防水透湿性シートによって水滴や粉雪が遮られて空気流通路の中に浸入しない。
【0030】
しかも、防水透湿性シートは空気を通過させるので、通気性シートを通過した空気は防水透湿性シートに邪魔されることなく空気流通路に入る。このように、壁内防水透湿シートが壁内の空気の流通を阻害しない。
【0031】
請求項2記載の発明では、前記通気性シートの一面に粘着剤層が設けられているから、この壁内防水透湿シートを取り付ける際に、粘着剤層を空気流通路の出入口近傍の外壁パネルや壁構造体に接着すればよく、施工し易い。
【0034】
請求項3記載の発明では、空気流通路の下側出入口に請求項1または2記載の壁内防水透湿シートが防水透湿性シートを上に向けて取り付けられ、この壁内防水透湿シートで空気流通路の出入口がほぼ塞がれているから、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が空気流通路の出入口に吹き突け、この水滴や粉雪が空気流通路内を上昇する空気の流れによって下側出入口から入っても、水滴や粉雪を含む風が通気性シートの中を通過している間に失速し、水滴や粉雪が下方に落ちるし、又、落ちずに通気性シートの中を上昇しても、この通気性シートの奥には通気性シートの側縁端面に取り付けられた防水透湿性シートがあるから、この防水透湿性シートによって水滴や粉雪が遮られて空気流通路の中に浸入しない。
【0035】
しかも、防水透湿性シートは空気を通過させるので、通気性シートを通過した空気は防水透湿性シートに邪魔されることなく空気流通路に入る。このように、壁内防水透湿シートが壁内の空気の流通を阻害しない。
【0036】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1〜図9は本発明をユニット建物に応用した一実施例を示すもので、図1(イ)は2階の外壁パネルと1階の外壁パネルとの間に取り付けられる壁内防水透湿シート(以後外壁パネル間壁内防水透湿シートと称する)の正面図、(ロ)は(イ)のA−A線における断面図、(ハ)は(イ)のB−B線における断面図、図2(イ)空気流通路の出入口に取り付けられる壁内防水透湿シート(以後出入口防水透湿シートと称する)の正面図、(ロ)は(イ)のC−C線における断面図、図3はユニット建物の説明図、図4(イ)は図3のD−D線における断面図、(ロ)は(イ)の正面図、図5は図3のE−E線における断面図、図6は床梁に出入口防水透湿シートを取り付けた状態を示す説明図、図7は建物ユニットの骨格を示す説明図、図8は外壁パネルを示す説明図、図9は内壁パネルを示す説明図である。
【0037】
1はユニット建物であり、このユニット建物1は、図3に示すように、基礎95の上に4個の1階の建物ユニット2が据え付けられ、この上に4個の2階の建物ユニット2が据え付けられ、この上に屋根パネル9が取り付けられたものである。
【0038】
建物ユニット2の骨格は、図7に示すように、方形の四隅に立設された4本の四角柱からなる鋼製の柱21と、この4本の柱21の下端部を方形の4辺に沿って連結する4本の断面コ字形の鋼製の床梁22と、この4本の柱21の上端部を方形の4辺に沿って連結する4本の断面コ字形の鋼製の天井梁23からなる。
【0039】
そして、相対する床梁22に鋼製の断面ロ字形の床小梁24が差し渡され、この床小梁24の上に木製の床根太25が取り付けられ、この床根太25の上にパーチクルボードからなる床材26が取り付けられて床が形成されている。又、相対する天井梁23に木製の天井野縁27が取り付けられ、この天井野縁27の下に石膏ボートからなる天井材が取り付けられて天井が形成されている。
【0040】
又、壁を設ける場所には天井梁23と床梁22の間に断面コ字形の間柱31が取り付けられ、この間柱31の屋内側に内壁パネル4が木レンガ45を介して取り付けられ、この内壁パネル4の屋外側面にはガラスウールからなる断熱材が取付けられていて、この天井梁23、間柱31、内壁パネル4、断熱材32、床梁22とで壁構造体3が構成されている。
【0041】
そして、この壁構造体3の外側に外壁パネル5が取付けられて壁が形成されている。
内壁パネル4は、図9に示すように、矩形状に枠組された木製の外枠41とこの外枠41の中に取り付けられた木製の桟42とからなる枠43の屋内側に石膏ボートからなる内壁材44が取り付けられたものである。
【0042】
外壁パネル5は、図8に示すように、矩形状に枠組された断面ロ字形の鋼製の外枠51とこの外枠51の中に取リ付けられた断面ロ字形の鋼製の桟52とからなる枠53の屋外側に硬質木片セメント板からなる外壁材54が取り付けられたものである。
そして、この外壁パネル5は間柱31の屋外側に取り付けられる。このように外壁パネル5が取り付けられると、外壁パネル5と天井梁23、間柱31、内壁パネル4、床梁22等からなる壁構造体3との間に空気流通路Xが形成される。
【0043】
6は外壁パネル間壁内防水透湿シートであり、この外壁パネル間壁内防水透湿シート6は、図1に示すように、ビニロン繊維布の芯材の表面にブチル系ゴムを設けたゴム引布からなる防水シート61と、この防水シート61の一面に側縁部に沿って取り付けられた連続気泡の架橋ポリエチレン発泡体シートからなる通気性シート62と、この通気性シート62の表面に取り付けられた両面粘着テープからなる粘着剤層63と、この粘着剤層63の表面に取り付けられた離型紙64とからなる。
【0044】
尚、通気性シート62は防水シート61より幅が狭い。従って、防水シート61は通気性シート62の一側から長く突出している。
又、建物ユニット2では、柱21が間柱31より突出しているので、通気性シート62は両側の柱21部分の厚みを小さくして取り付け易くしている。
【0045】
この外壁パネル間壁内防水透湿シート6は、離型紙64を剥がし、粘着剤層63の粘着面を2階の建物ユニット2の壁構造体3である床梁22に貼り付けて、壁構造体3に取り付けられている。そして、図4に示すように、防水シート61が2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5の間を通過し、1階の外壁パネル5の屋外側に沿って垂れ下げられ、この上から所々に水切りカバー取付具75が取り付けられて、防水シート61が取り付けられている。
【0046】
7は水切りカバーであり、1階の外壁パネル5の上部の所々に取り付けられている水切りカバー取付具75に架け渡されて取り付けられていて、この水切りカバー7で1階の外壁パネル5と2階の外壁パネル5の間の隙間が覆われて、この隙間が見え難くなると同時に水滴等が入り難くなっている。
【0047】
8は出入口防水透湿シートであり、この出入口防水透湿シート8は、図2に示すように、連続気泡のポリウレタン発泡体長尺体の通気性シート81と、この通気性シート81の側縁端面に取り付けられたDuPont社製「商品名タイベック」防水透湿性シート(ポリエチレン不織布からなる防水透湿性シート)82と、通気性シート81の一面に設けられたブチル系粘着剤層83と、このブチル系粘着剤層83の上に貼り付けられた離型紙84とからなる。
【0048】
この出入口防水透湿シート8は、図6に示すように、1階の建物ユニット2の床梁22に離型紙84を外して粘着剤層83を貼り付けて取り付けられている。そして、この上に外壁パネル5が取り付けられていて、この外壁パネル5の外枠51と床梁22との間に出入口防水透湿シート8が挟まれている。
このようになっているので、この出入口防水透湿シート8によって空気流通路Xの下側出入口が塞がれている。
【0049】
次に、このユニット建物1の施工方法および作用について説明する。
工場で、図2に示すように、方形の四隅に4本の柱21を立設し、この4本の柱21の下端部を方形の4辺に沿って4本の床梁22で連結し、4本の柱21の上端部を方形の4辺に沿って4本の天井梁23で連結して建物ユニット2の骨格を製造する。
【0050】
次に、相対する床梁22に床小梁24を差し渡し、この床小梁24の上に床根太25を取り付け、この床根太25の上に床材26を取り付けて床を形成する。又、相対する天井梁23に天井野縁27を取り付け、この天井野縁27の下に天井材を取り付けて天井を形成する。又、壁を設ける場所には天井梁23と床梁22の間に間柱31を取り付ける。尚、この間柱31の屋内側(断面コ字形の開口の中)には木レンガ45を予め、取り付けている。
【0051】
一方、図9に示すように、木材を矩形状に枠組みした外枠41とこの外枠41の中に取り付けられた桟42とからなる枠43を製造し、この枠43の屋内側に内壁材44を取り付けて内壁パネル4を製造し、この内壁パネル4の屋外側に断熱材を取り付ける。
又、図8に示すように、矩形状に枠組された鋼製の外枠51とこの外枠51の中に取り付けられた鋼製の桟52とからなる枠53を製造し、この枠53の屋外側に外壁材54を取り付けて外壁パネル5を製造する。
【0052】
次に、図6に示すように、1階の建物ユニット2の床梁22に出入口防水透湿シート8を取り付ける。同様にして、2階の建物ユニット2の床梁22に外壁パネル間壁内防水透湿シート6を取り付ける。この際、粘着剤層83、63があるから出入口防水透湿シート8や外壁パネル間壁内防水透湿シート6を取り付け易い。
【0053】
建物ユニット2に取り付けられた間柱31の屋外側に外壁パネル5を取り付け、間柱31の内側からディージーリベットを外壁パネル5の外枠51に打ち込んで外壁パネル5を間柱31に取り付ける。
すると、図5に示すように、1階の建物ユニット2の床梁22と外壁パネル5の外枠51の間に出入口防水透湿シート8が挟まれて、この出入口防水透湿シート8によって空気流通路Xの下側出入口が塞がれるし、又、図4に示すように、2階の建物ユニット2の床梁22と外壁パネル5との間に外壁パネル間壁内防水透湿シート6が挟まれる。
【0054】
次に、間柱31の屋内側の木レンガ45と隣の間柱31の木レンガ45とに断熱材が取り付けられた内壁パネル4を差し渡し、内壁パネル4の内壁材44の上から枠43を通して木レンガ45に釘を打ち込んで内壁パネル4と断熱材32を間柱31に取り付ける。
すると、天井梁23、間柱31、内壁パネル4、断熱材32、床梁22とからなる壁構造体3が完成する。
【0055】
更に、内作、外作等を行ったり、設備家具を取り付けたりして建物ユニット2を完成させる。
別に屋根パネル9を製造する。
このようにして製造した建物ユニット2、屋根パネル9等を施工現場に運搬する。
【0056】
施工現場では、予め設けられている基礎95の上に1階の建物ユニット2を4個据え付け、この1階の建物ユニット2の上に2階の建物ユニット2を据え付ける。
2階の建物ユニット2の床梁22に取り付けられている外壁パネル間壁内防水透湿シート6の防水シート61を2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5の間から引き出して1階の外壁パネル5の外壁材54の屋外面に沿わせて垂れ下げ、この上から水切りカバー取付具75を所々押し当て、この上からビス76を1階の外壁パネル5の外枠51に螺入して取り付ける。
【0057】
そして、この水切りカバー取付具75に水切りカバー7を架け渡して取り付ける。
更に、この2階の建物ユニット2の上に屋根パネル9等を据え付け、屋根パネル9の上に折版屋根を取り付けたり、屋根化粧材を取り付けたり、その他の仕上げをするとユニット建物1が完成する。
【0058】
このようにして完成したユニット建物1では、壁構造体3に2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5との間に隙間があり、この隙間部分に外壁パネル間防水透湿シート6が取り付けられていても、この2階の外壁パネル5の下側縁部と壁構造体3の間に外壁パネル間壁内防水透湿シート6は、通気性シート62を壁構造体3方向に向け、防水シート61の長手方向を2階の外壁パネル5の下側縁部に沿わせて取り付けられるから、防水シート61と壁構造体3との間には通気性シート62がある。従って、壁構造体3と1階の外壁パネル5との間の空気流通路Xを通過した空気が通気性シート62を通過して壁構造体3と2階の外壁パネル5の間の空気流通路Xの中に入る。
【0059】
このように、この防水シート61が空気流通路Xを通過する空気の流れを妨害しない。
又、外壁パネル間壁内防水シート6が2階の外壁パネル5の下側縁部に沿って取り付けられ、この外壁パネル間壁内防水透湿シート6の防水シート61が2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5の間を通過し、防水シート61の下側縁部が1階の外壁パネル5の屋外側表面に取り付けるから、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5の間に吹き突けても、2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5との間にある防水シート61が水滴や粉雪を遮り、この2階の外壁パネル5と1階の外壁パネル5との間から水滴や粉雪が浸入しない。
【0060】
又、空気流通路Xの下側出入口には、出入口防水透湿シート8が防水透湿性シートを上に向けて取り付けられ、この壁内防水透湿シートで空気流通路の出入口がほぼ塞がれているから、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が空気流通路Xの出入口に吹き突け、この水滴や粉雪が空気流通路X内を上昇する空気の流れによって下側出入口から入っても、雨水や粉雪を含む風が通気性シート81の中を通過している間に失速し、下方に落ちるし、又、落ちずに通気性シート81の中を上昇しても、この通気性シート81の奥には通気性シート81の側縁端面に取り付けられた防水透湿性シート82があるから、この防水透湿性シート82によって水滴や粉雪が遮られて空気流通路Xの中に浸入しない。
【0061】
しかも、防水透湿性シートXは空気を通過させるので、通気性シート81を通過した空気は防水透湿性シート82に邪魔されることなく空気流通路Xに入る。このように、出入口防水透湿シート8が壁内の空気の流通を阻害しない。
このようになっているので、このユニット建物1は極めて居住性のよい建物である。
【0062】
(実施例2)
図10は本発明の他の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のF−F線における断面図、(ハ)は(イ)のG−G線における断面図である。
【0063】
この図10に示す実施例2を図1〜図9に示す実施例1と比較すると、外壁パネル間壁内防水透湿シート6aの粘着剤層63aが通気性シート62aに設けられてなく、防水シート61aの一面の側縁部に設けられ、この上に離型紙64aが設けられていることが異なる。
そして、この壁内防水透湿シート6aは離型紙64aを剥がし、2階の外壁パネルの外枠に貼り付けることが異なる。
その他の構造および使用方法や作用は同じであるので説明を省略する。
【0064】
(実施例3)
図11は本発明の別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のH−H線における断面図、(ハ)は(イ)のJ−J線における断面図、(ニ)は(イ)のK−K線における断面図である。
【0065】
この図11に示す実施例3を図1〜図9に示す実施例1と比較すると、外壁パネル間壁内防水透湿シート6bの粘着剤層63bが通気性シート62bに設けられてなく、防水シート61bの一面の側縁部に設けられ、この上に離型紙64bが設けられていること、通気性シート62bが面内方向に貫通する貫通孔65bが設けられているポリエチレン製板状体621bと、連続気泡の架橋ポリエチレン発泡体シート622bとからなること、および、防水シート61bがポリエチレン不織布であることが異なる。
そして、この壁内防水透湿シート6bは離型紙64bを剥がし、2階の外壁パネルの外側枠に貼り付けることが異なる。
その他の構造および使用方法や作用は同じであるので説明を省略する。
【0066】
(実施例4)
図12は本発明の更に別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のL−L線における断面図、(ハ)は(イ)のM−M線における断面図、(ニ)は(イ)のN−N線における断面図である。
【0067】
この図12に示す実施例4を図1〜図9に示す実施例1と比較すると、外壁パネル間壁内防水透湿シート6cの粘着剤層63cが通気性シート62cに設けられてなく、防水シート61cの一面の側縁部に設けられ、この上に離型紙64cが設けられていること、通気性シート62cが面内方向に貫通する貫通孔65cが設けられているポリエチレン製板状体621cと、連続気泡の架橋ポリエチレン発泡体シート622cとからなること、および、防水シート61cがポリエチレン不織布であり、この防水シート61cが通気性シート62cの上端面まで延設されていることが異なる。
そして、この壁内防水透湿シート6cは離型紙64cを剥がし、2階の外壁パネルの外側枠に貼り付けることが異なる。
その他の構造および使用方法や作用は同じであるので説明を省略する。
【0068】
(実施例5)
図13は本発明の更に別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のP−P線における断面図、(ハ)は(イ)のQ−Q線における断面図である。
【0069】
この図13に示す実施例5を図1〜図9に示す実施例1と比較すると、外壁パネル間壁内防水透湿シート6dの粘着剤層63dが通気性シート62dに設けられてなく、防水シート61dの一面の側縁部に設けられ、この上に離型紙64dが設けられていること、通気性シート62dが面内方向に貫通する貫通孔65dが設けられているポリエチレン製板状体621dと、連続気泡の架橋ポリエチレン発泡体シート622dとからなること、および、防水シート61dがポリエチレン不織布であり、この防水シート61dが通気性シート62dの上端面まで延設されていること、通気性シート62dの厚みがほぼ同じであることが異なる。そして、この壁内防水透湿シート6cは離型紙64cを剥がし、2階の外壁パネルの外側枠に貼り付けることが異なる。
その他の構造および使用方法や作用は同じであるので説明を省略する。
【0070】
(実施例6)
図14は本発明の更に別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のR−R線における断面図である。
この図14に示す実施例6を図1〜図9に示す実施例1と比較すると、出入口防水防湿シート8eの通気性シート81eが面内方向に貫通する貫通孔85eが設けられているポリエチレン製板状体であることが異なる。
その他の構造および使用方法や作用は同じであるので説明を省略する。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、長尺体の通気性シートと、この通気性シートの側縁端面に取り付けられた防水透湿性シートとからなるから、この壁内防水透湿シートを、防水透湿性シートを上に向けて、空気流通路の下側出入口に取り付けると、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が空気流通路の下側出入口に吹き突け、通気性シートの中に入っても、防水透湿性シートによって水滴や粉雪が遮られて空気流通路の中に浸入しない。その結果、空気流通路内に凍害が発生しないし、断熱材の断熱効果が減少しない。
【0075】
しかも、防水透湿性シートは空気を通過させるので、通気性シートを通過した空気は防水透湿性シートに邪魔されることなく空気流通路に入り、壁内防水透湿シートが壁内の空気の流通を阻害しなく、安心である。
【0076】
請求項2記載の発明では、前記通気性シートの一面に粘着剤層が設けられているから、粘着剤層を空気流通路の出入口近傍の外壁パネルや壁構造体に接着すればよく、施工し易く極めて便利である。
【0078】
又、壁内防水防湿シートが上階の外壁パネルの下側縁部に沿って取り付けられ、この壁内防水防湿シートの防水シートが上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの間を通過し、防水シートの下側縁部が下階の外壁パネルの屋外側表面に取り付けるから、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの間に吹き突けても、上階の外壁パネルと下階の外壁パネルとの間にある防水シートが水滴や粉雪を遮り、この上階の外壁パネルと下階の外壁パネルとの間から水滴や粉雪が浸入しない。その結果、空気流通路内に凍害が発生しないし、断熱材の断熱効果が減少しない。
この請求項5記載の発明では、上階の外壁パネルと下階の外壁パネルとの間に隙間ができるユニット建物に特に効果的である。
【0079】
請求項3記載の発明では、空気流通路の下側出入口に請求項1または2記載の壁内防水透湿シートが防水透湿性シートを上に向けて取り付けられ、この壁内防水透湿シートで空気流通路の出入口が塞がれているから、雨天の日や雪が降る日に風が強く吹いて水滴や粉雪が空気流通路の出入口に吹き突け、この雨水や粉雪が空気流通路内を上昇する空気の流れによって下側出入口から入っても、通気性シートの奥には通気性シートの側縁端面に取り付けられた防水透湿性シートが水滴や粉雪を遮ぎり空気流通路の中に浸入しない。その結果、空気流通路内に凍害が発生しないし、断熱材の断熱効果が減少しない。
【0080】
しかも、防水透湿性シートは空気を通過させるので、通気性シートを通過した空気は防水透湿性シートに邪魔されることなく空気流通路に入り、壁内防水透湿シートが壁内の空気の流通を阻害しなく安心である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をユニット建物に応用した一実施例を示すもので、(イ)は2階の外壁パネルと1階の外壁パネルとの間に取り付けられる壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のA−A線における断面図、(ハ)は(イ)のB−B線における断面図である。
【図2】(イ)空気流通路の出入口に取り付けられる壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のC−C線における断面図である。
【図3】ユニット建物の説明図である。
【図4】(イ)は図2のD−D線における断面図、(ロ)は(イ)の正面図である。
【図5】図2のE−E線における断面図である。
【図6】床梁に出入口防水透湿シートを取り付けた状態を示す説明図である。
【図7】建物ユニットの骨格を示す説明図である。
【図8】外壁パネルを示す説明図である。
【図9】内壁パネルを示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のF−F線における断面図、(ハ)は(イ)のG−G線における断面図である。
【図11】本発明の別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のH−H線における断面図、(ハ)は(イ)のJ−J線における断面図、(ニ)は(イ)のK−K線における断面図である。
【図12】本発明の更に別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のL−L線における断面図、(ハ)は(イ)のM−M線における断面図、(ニ)は(イ)のN−N線における断面図である。
【図13】本発明の更に別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のP−P線における断面図、(ハ)は(イ)のQ−Q線における断面図である。
【図14】本発明の更に別の実施例を示すもので、(イ)は外壁パネル間壁内防水透湿シートの正面図、(ロ)は(イ)のR−R線における断面図である。
【符号の説明】
1 ユニット建物
2 建物ユニット
21 柱
22 床梁
23 天井梁
3 壁構造体
31 間柱
4 内壁パネル
5 外壁パネル
6、6a、6b、6c、6d 壁内防水透湿シート(外壁パネル間壁内防水透湿シート)
61、61a、61b、61c、61d 防水シート
62、62a、62b、62c、62d 通気性シート
63、63a、63b、63c、63d 粘着剤層
64、64a、64b、64c、64d 離型紙
8、8e 壁内防水透湿シート(出入口防水透湿シート)
81、81e 通気性シート
82 防水透湿性シート
83 粘着剤層
84 離型紙
Claims (3)
- 長尺体の通気性シートと、この通気性シートの側縁端面に取り付けられた防水透湿性シートとからなることを特徴とする壁内防水透湿シート。
- 前記通気性シートの一面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の壁内防水透湿シート。
- 壁構造体と外壁パネルとの間に空気流通路が形成された壁内通気構造において、上記空気流通路の下側出入口に請求項1または2記載の壁内防水透湿シートが防水透湿性シートを上に向けて取り付けられ、この壁内防水透湿シートで空気流通路の下側出入口が塞がれていることを特徴とする壁内通気構造。
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JP35338597A JP3898317B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 壁内防水透湿シートと壁内通気構造 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH11181902A JPH11181902A (ja) | 1999-07-06 |
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