JP3897589B2 - エアゾール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香剤や殺虫剤等のエアゾール内容物の噴射を行うエアゾール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴキブリやダニ等の害虫を駆除するために、室内に殺虫剤等を噴霧するエアゾール装置が知られている。エアゾール装置は、ステム(バルブ)を備えたエアゾール容器に、噴霧手段を取り付けて構成されている。噴霧手段には、それを介してステムを押し下げたり傾倒させたりする押圧部(操作部)と、押圧部操作時にステムの先端開口から噴出されたエアゾール内容物を外部へ導く流路とを備えたものがある。エアゾール内容物は、流路の先端に設けられた噴霧ノズルを介して外部に噴霧される。
【0003】
また広角に噴霧を行うために、ステムの先端開口におけるエアゾール内容物の進行方向に対して直角な方向にエアゾール内容物を導く複数の流路を備えたエアゾール装置が提案され、商品化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
エアゾール装置には、エアゾール内容物を遠くにまで到達させる(噴射する)ことが要求される場合がある。例えば、ハチの巣やハチ、樹木の高所、のき下、その他の不快害虫や衛生害虫に向けて、ユーザーが遠くからエアゾール内容物を噴射したい場合がある。
従来のエアゾール装置では、エアゾール内容物が外部に噴霧されるとすぐに霧状に広がってしまい、エアゾール内容物を遠くにまで噴射することができず、上記ニーズに対しては有効な効力が得られにくかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、エアゾール内容物をある程度の大きさの粒子とし、さらに遠くにまで噴射できるようにし、かつ目標に狙いを定めやすくした、エアゾール装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、ステムが備えられたエアゾール容器と、前記エアゾール容器に装着されて前記ステムの先端開口から噴出されたエアゾール内容物を外部に噴射する噴射手段とを備えたエアゾール装置において、前記噴射手段は、前記ステムの先端開口に同心状に連通するとともに該先端開口におけるエアゾール内容物の進行方向と略平行に延びた流路と、前記流路の前記ステム側とは反対側の端部に設けられて前記流路を通ってきたエアゾール内容物の一部が当たる壁面と、前記壁面の周方向に亙って配されて、前記壁面に当たったエアゾール内容物が導かれて前記流路におけるエアゾール内容物の進行方向と略平行にエアゾール内容物を外部に噴射する複数の噴口と、を備え、且つ前記噴口は、前記噴口の断面外形が前記流路の断面外形の内側で一部重なるように形成されることを特徴とするエアゾール装置により達成される。
【0006】
以上のようなエアゾール装置によれば、ステムから噴出してきたエアゾール内容物は、流路を通って壁面に当たり、粒子径を適切に大きくされた状態で、噴口に導かれて外部に噴射される。こうして噴射されるエアゾール内容物は、粒子径が大きいにもかかわらず、遠くにまで噴射することができる。また、粒子径が大きいことから、噴射されるエアゾール内容物を目視することも可能となり、ハチの巣等の目標に狙いをつけやすい。
ここで、エアゾール内容物の粒子径が大きすぎると、遠方にエアゾール内容物を到達させることができなくなる。そこで、エアゾール内容物の粒子径を適切な大きさにする必要があるが、平均粒子径を70〜200μmとするのが好ましい。ここでいう平均粒子径とは、自動演算処理装置付レーザー光散乱方式粒度分布測定装置(LDSA−1400A:東日本コンピュータアプリケーションズ株式会社製)を用いて次の方法により求められたD50(累積50%)を意味する。粒度分布測定装置のレーザー光発光部より受光部に照射されるレーザービームと、検体の噴射口との距離が約10cmとなる位置から、噴射物がレーザービームを垂直に通過するように検体を噴射する。噴射中に測定を行い、噴射物の粒度分布を自動演算処理装置により解析する。
【0007】
上記構成において、前記壁面が、前記噴口の先端開口より前記ステム側に配されていることは、好ましい。
また、上記構成において、前記壁面の面積は前記流路の断面積より狭く設定され、前記流路を通ってきたエアゾール内容物の一部が前記壁面に当たらずに前記噴口へと直接導かれることは、好ましい。
また、上記構成において、前記複数の噴口が、同一円周上に互いに等間隔をあけて配されていることは、好ましい。前記噴口が4〜10個あることは、好ましい。
これらにより、より良好な噴射効果を奏することができる。
【0008】
また、前記流路、噴口及び壁面が、略筒状の噴口部材に設けられ、該噴口部材を装着してエアゾール装置が構成されることは、好ましい。こうすることで、流路、噴口及び壁面の、寸法管理が容易になる。
また、前記噴口部材の後端又は前記噴口部材に接続された筒状部材の後端で、前記ステムを押圧操作可能となるようにエアゾール装置が構成されることは、好ましい。こうすることで、構造を簡素化できる。なお、ここでいう押圧操作には、ステムがチルトバルブ式である場合の傾倒操作も含まれる。
また、前記エアゾール容器の筒状の壁面より外周側に突出したハンドル部と、前記ステムを押圧操作するために前記噴口部材を押圧するトリガー部とを、エアゾール装置が更に備えていることは、好ましい。これにより、ユーザーは、ハンドル部を掌で把持しつつトリガー部を人差し指等で引くことにより、エアゾール内容物を目標に向けてねらいをつけて噴射できる。
【0009】
本発明においてエアゾール内容物としては、薬液からなる原液と噴射剤とからなり、それらの混合比が30:70容量%〜90:10容量%であるものが好ましく、30:70容量%〜60:40容量%であるものがより好ましい。
噴射剤としては、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)、n−ブタン、イソブタン、プロパン、イソペンタン、n−ペンタン、シクロペンタン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、エチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガスおよび使用上問題がないフロンガス(HCFC22、123、124、41b、142b、225、HFC125、134a、143a、152a、12、227a)などより選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0010】
また、溶媒としては、水、アルコール類:例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなど、ケトン類:例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど、エステル類:例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピルなど、その他エチルエーテルなど、及び脂肪族炭化水素類:例えばn−ヘキサン、ケロシン、灯油、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン等を挙げることができる。これら溶媒は混合して使用しても良い。溶媒は、噴射剤(液化炭酸、ペンタン、フロンなど)で兼用できる場合は無くてもよい。
さらに、2,3−ジハイドロデカフロロペンタン(商品名「バートレルXF」三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、イソペンタン、イソプロパノール等を必要に応じて配合して、冷却効果を持たせたり難燃性としてもよい。
【0011】
また、有効成分としては、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤等を用いることができる。
殺虫剤としては安全性の観点からピレスロイド系の化合物を用いることが好ましく、代表的なものを例示すると、次のとおりである。
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学工業株式会社製)
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・dl−d−T80 アレスリン
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(商品名バイオアレスリン:ユクラフ社製)
・d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製、商品名エスバイオール:ユクラフ社製)
・(5−ベンジル−3−フリル)メチル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名レスメトリン、商品名クリスロンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・5−プロパギル−2−フリルメチル−d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フラメトリン、商品名ピナミンDフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル(+)−シス/トランス−クリサンテマート(一般名プラレトリン、商品名エトック:住友化学工業株式会社製)
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−dl−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボシキラート(一般名テラレスリン:住友化学工業株式会社製)
・(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル−dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フタルスリン、商品名ネオピナミン:住友化学工業株式会社製)
・(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル−d−シス/トランス−クリサンテマート(商品名ネオピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・3−フェノキシベンジル−d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フェノトリン、商品名スミスリン:住友化学工業株式会社製)
・3−フェノキシベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボオキシラート(一般名ペルメトリン、商品名エクスミン:住友化学工業株式会社製)
・(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル(+)−シス/トランス−クリサンテマート(一般名シフェノトリン、商品名ゴキラート:住友化学工業株式会社製)
・(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(一般名サイパーメスリン)
・d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート(一般名トランスフルトリン)
・イミプロトリン
・エトフェンプロックス
・天然ピレトリン
・S1264(住友化学工業株式会社製)
【0012】
また、その他の殺虫剤として、カーバメイト系のものとしてプロポクサー、オキサジアゾール系のものとしてメトキサジアゾン、有機リン系のものとしてフェニトロチオン、などを挙げることができる。
【0013】
害虫忌避剤としては、代表的なものを例示すると、次の物質が挙げられる。
・N,N−ジエチル−メタ−トルアミド(ディート)
・2,3,4,5−ビス(△2−ブチレン)−テトラヒドロフルフラール
・ジ−n−プロピルイソシンコメロネート
・ジ−n−ブチルサクシネート
・2−ヒドロキシエチルオクチルサルフアイド
・2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール
・3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール
・1−エチニル−2−メチル−ペンテニル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル2,2−ジメチル−3−(2′,2′−ジクロルビニル)−シクロプロパン−1−カルボキシレート
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル2,2−ジメチル−3−(2′−1′−プロピペニル)−シクロプロパン−1−カルボキシレート
・N−ヘキシル−3,4−ジクロルマレイミドなどである。
【0014】
殺ダニ剤としては、代表的なものを例示すると、次の物質が挙げられる。
フェノトリン、ペルメトリン、レストメリン、IBTA、IBTE、第4級アンモニウム塩、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニル、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニル−エチルカルボナート、4−クロルフェニール−3−ヨードプロパルギルホルマールなどである。
【0015】
昆虫幼若ホルモンとしては、幼若ホルモン、アンチ幼虫ホルモン、脱皮阻害ホルモンなど、代表的には、メトプレン、ハイドロプレン、S−ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカーブ、イミダゾール系(1−メチル−5−(2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエニル)イミダゾール、1−エチル−5−(2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエニル)イミダゾール)などである。
【0016】
殺菌剤としては、パラ−クロロ−メタキシレノール(PCMX)、2,4,4′−トリクロロ−2′−ハイドロキシジフェニルエーテル(イルガサンDP−300)、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(トロイサン)などが挙げられる。
【0017】
芳香剤としては、じゃ香、ベルガモット油、シンナモン油、シトロネラ油、レモン油、レモングラス油などの天然香料、ピネン、リモネン、リナロール、メントール、ボルネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ヘリオトピン、ワニリンなどの人造香料などが挙げられる。
【0018】
消臭剤としては、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチル酸アセトフエノン、パラメチルアセトフエノンベンゾアルデヒドなどが挙げられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態であるエアゾール装置の部分側面図である。エアゾール装置10は、ステムを備えた筒状のエアゾール容器11と、エアゾール容器11のステムが設けられた側を覆うように装着された噴射手段13とを備えている。ここでは、エアゾール容器11として、外周直径より高さ寸法の方が大きい、細長い円筒状のものが用いられている。エアゾール容器11の巻締部11aに噴射手段13のキャップ13aを取り付けた(嵌着した)構成になっている。
【0020】
噴射手段13は、エアゾール容器11の筒状の壁面よりも外周側に突出したハンドル部14と、噴射方向に見てハンドル部14より前方に配置されたトリガー部15とを備えている。トリガー部15は、キャップ13aの内部で第一ヒンジ部16aを揺動中心として揺動可能に保持された押圧板16の揺動先端に、第二ヒンジ部15aを介して取り付けられている。エアゾール装置10の非使用時には、図中二点鎖線で示すように、トリガー部15を第二ヒンジ部15aで折り畳んで、トリガー部15をキャップ13a内に収納しておくことができる。
【0021】
また、ハンドル部14も、ヒンジ部14aを介してキャップ13a内で保持されており、エアゾール装置10の非使用時には、図中二点鎖線で示すように、エアゾール容器11の筒状の壁面に沿うように折り畳んでおくことができる。ハンドル部14は、ヒンジ部14aを中心に回転されて、図中実線で示すように、エアゾール容器11の壁面から立ち上げられた状態で、ヒンジ部14aの前面がストッパ13bに当接してそれ以上回転しなくなる。
【0022】
噴射手段13のキャップ13a内には、噴口部材20と、噴口部材20の後方に同心状に接続された筒状部材27とが配設されている。筒状部材27は、その前端が噴口部材20に外嵌されており、その後端がステム(図示せず)に外嵌されている。筒状部材27は、押圧板16を貫通しており、押圧板16によって図中右方向に押圧移動されるようになっている。
【0023】
図2(A)に噴口部材20の側面図を示し、図2(B)に噴口部材20の筒状部材27と接続した状態における断面図を示す。また、図3に噴口部材20を前方側から見た様子を示す。図3に示すように、本実施形態では、噴口部材20の前面22に、8個の噴口22aが、同一円周上に互いに等間隔をあけて配置されている。図3におけるB−B断面図が、図2(B)である。図2(B)における壁面23は、図3に示した噴口部材20の前面22の、噴口22aが設けられていない箇所によって支持されている。
【0024】
図2(B)に示すように、噴口部材20は、筒状部材27と嵌合する小径部25と、小径部25の前方に同心状に配置された大径部21とを備えている。小径部25内の全域と、大径部21内の一部とにわたって、それらの軸方向に延びた断面円形状の流路26が形成されている。すなわち、本実施形態における流路26は、大径部21内にまで延びている。
【0025】
大径部21内には、流路26の終端面となる、円形状の壁面(突出部)23が流路26と同心状に設けられている。壁面23は、噴口部材20の前面22より、ステム29側(図では右側)に突出して配置されている。すなわち壁面23は、噴口22aの先端開口よりステム29側に配置されている。壁面23の周りに、同一円周上に互いに等間隔(中心点の間隔が1〜5mm)をあけて、複数の噴口22aが形成されている。壁面23の面積は、流路26の断面積より狭く設定されており、流路26の断面外形(円形)の内側に、噴口22aの断面外形(円形)の一部が配置されている。
【0026】
大径部21の外周面には、互いに周方向に等間隔をあけて、軸方向に延びた複数の凹溝21aが形成されている。
流路26の長さ寸法L1は、例えば5〜20mm、好ましくは11mm程度に設定できる。流路26の径は、例えば1〜10mm、好ましくは3.5mm程度に設定できる。
噴口部材20の前面22と壁面23との間隔(壁面23の突出度合い;噴口22aの長さ寸法)L2は、例えば1〜10mm、好ましくは流路26の長さ寸法の0.1〜2倍が良く、例えば4mm程度に設定できる。L2をこの範囲とすることで、エアゾール内容物をある程度の大きさの粒子とし、遠方にまで到達させることが可能となる。設計の際に、L2を適宜に設定することで、噴射距離(噴射パターン)を調節することができる。L2を調節することにより、壁面23は噴射パターンの調整部材として働く。すなわち、広角に噴射させたり、狭く噴射させたりの調整ができる。L2を長くすれば遠方に集束して、L2を短くすれば前者に比して近くに広がる。
噴口22aの径は、例えば0.1〜1.5mm、好ましくは1.0mm程度に設定できる。
【0027】
筒状部材27の軸方向中間部には、その外周面に係合突起(係合部)27aが設けられている。この係合突起27に、図1に示した押圧板16が当接して、筒状部材27は押圧移動される。すなわち、図1に示したハンドル部14を掌で把持した状態で、トリガー部15を人差し指等で図中右方に引くと、トリガー部15に接続された押圧板16も引かれて、押圧板16によって筒状部材27が押圧移動される。そして、筒状部材27の後端によってステム29を押圧操作することで、ステム29の先端開口からエアゾール内容物を噴出させることができる。
筒状部材27は、その内部空間により、ステム29の先端開口29aと、噴口部材20の流路26とを、直線状に連通している。
【0028】
以上のようなエアゾール装置10によれば、ステム29の先端開口29aから噴出してきたエアゾール内容物は、筒状部材27の内部空間及び流路26を真直ぐ通り、壁面23に当たって粒子径を大きくされた状態で、噴口22aに導かれて外部に噴射される。エアゾール内容物の一部は、壁面23に当たらずに、流路26から直接噴口22aに導かれて外部に噴射される。こうして噴射されるエアゾール内容物は、粒子径が大きい状態で、噴射が広がることがなく、ある程度集中した状態で、遠くにまで噴射される。また、粒子径が大きいことから、噴射されるエアゾール内容物を目視することも可能となり、エアゾール内容物がハチの巣等の目標に当たったか否かを確実に把握できる。
【0029】
図4に、噴口部材の変形例を示す。この噴口部材30は、4個の噴口22aが、前面22に同一円周上に互いに等間隔をあけて配置されている。このような噴口部材30を用いても、エアゾール内容物を遠くにまで噴射できる。
図示しないが、6個の噴口を、噴口部材の前面に同一円周上に等間隔をあけて配置することも考えられる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
図1に示したような構成のエアゾール装置(実施例)と、ステムの先端開口におけるエアゾール内容物の進行方向に対して直角な方向にエアゾール内容物を導く2個の流路を備えた市販のエアゾール装置(比較例1)と、ステムの先端開口におけるエアゾール内容物の進行方向に対して直角な方向にエアゾール内容物を導く1個の流路を備えたエアゾール装置(比較例2)とを用意した。なお、実施例における噴口径は1mm×8個とし、比較例1における噴口径は1.5mm×2個とし、比較例2における噴口径は1.6mmとした。
【0031】
<試験1>
各エアゾール装置内には、原液120ml(エトフェンプロックス0.1g、ネオピナミンf0.3gを灯油に溶解したもの120ml)とガス180ml(LPG180ml)とからなるエアゾール内容物300mlを充填した。ハチの巣を想定して、22cm×15cm×3cmのスポンジに向かって表1に示す各距離から5秒間(50g)噴射を行った。このときのスポンジの重量変化を測定し、噴射量から付着率を求めた。結果も表1に併せて示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から、本発明実施例によれば、比較例1、比較例2よりも遠くまでエアゾール内容物を噴射できることがわかる。
【0034】
<試験2>
エアゾール内容物として、原液(エトフェンプロックス0.1g、ネオピナミンf0.3gを灯油に溶解したもの)とガス(LPG)との比が30:70(90ml:210ml)のもの、40:60(120ml:180ml)のもの、50:50(150ml:150ml)のものを、実施例と比較例2とに充填したそれぞれの場合について、試験1と同様なテストを行った。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
表2から、いずれの原液ガス比においても、本発明実施例の方が比較例2よりも付着率が高いことがわかる。
【0037】
なお、本発明は、前述した実施形態、実施例に限定されるものではなく、適宜な変形・改良等が可能である。
例えば、噴射手段13のキャップ13aとは別体の噴口部材20や筒状部材27を用いる代わりに、キャップ13a内に流路、噴口、壁面を直接設けてもよい。
上記実施形態では、壁面23が、流路26の延びた方向に対して直角になっていたが、壁面23が若干傾いていてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステムから噴出してきたエアゾール内容物は、流路を通って壁面に当たり、粒子径を適切に大きくされた状態で、噴口に導かれて外部に噴射されるので、遠くにまで噴射することができる。また、粒子径が大きいことから、噴射されるエアゾール内容物を目視することも可能となり、ハチの巣等の目標に狙いをつけやすい。さらに、エアゾール内容物が当てられる壁面の、前面からの突出度合いを調節することで、噴射範囲を細くしたり若干広角にしたり適宜設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアゾール装置の一実施形態を示す部分側面図である。
【図2】本発明に係る第一流路、第二流路及び壁面を備えた噴口部材を示す図である。
【図3】噴口部材の正面図である。
【図4】噴口部材の変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
10 エアゾール装置
11 エアゾール容器
13 噴射手段
14 ハンドル部
15 トリガー部
16 押圧板(押圧部)
20 噴口部材
22 前面
22a 噴口
23 壁面
27 筒状部材
26 流路
Claims (8)
- ステムが備えられたエアゾール容器と、前記エアゾール容器に装着されて前記ステムの先端開口から噴出されたエアゾール内容物を外部に噴射する噴射手段とを備えたエアゾール装置において、
前記噴射手段は、前記ステムの先端開口に同心状に連通するとともに該先端開口におけるエアゾール内容物の進行方向と略平行に延びた流路と、
前記流路の前記ステム側とは反対側の端部に設けられて前記流路を通ってきたエアゾール内容物の一部が当たる壁面と、
前記壁面の周方向に亙って配されて、前記壁面に当たったエアゾール内容物が導かれて前記流路におけるエアゾール内容物の進行方向と略平行にエアゾール内容物を外部に噴射する複数の噴口と、を備え、且つ
前記噴口は、前記噴口の断面外形が前記流路の断面外形の内側で一部重なるように形成されることを特徴とするエアゾール装置。 - 前記壁面が、前記噴口の先端開口より前記ステム側に配されている請求項1に記載のエアゾール装置。
- 前記壁面の面積は前記流路の断面積より狭く設定され、前記流路を通ってきたエアゾール内容物の一部が前記壁面に当たらずに前記噴口へと直接導かれる請求項1又は2に記載のエアゾール装置。
- 前記複数の噴口が、同一円周上に互いに等間隔をあけて配されている請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール装置。
- 前記噴口が4〜10個ある請求項4に記載のエアゾール装置。
- 前記流路、噴口及び壁面が、略筒状の噴口部材に設けられ、該噴口部材を装着してなる請求項1〜5のいずれかに記載のエアゾール装置。
- 前記噴口部材の後端又は前記噴口部材に接続された筒状部材の後端で、前記ステムを押圧操作可能である請求項1〜6のいずれかに記載のエアゾール装置。
- 前記エアゾール容器の筒状の壁面より外周側に突出したハンドル部と、前記ステムを押圧操作するために前記噴口部材を押圧するトリガー部とを更に備えている請求項7に記載のエアゾール装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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