JP3897270B2 - 調味料組成物およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、うま味を呈する5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類との複合組成物で、核酸のD−リボース5’位に結合した燐酸に由来する1200〜850cm-1の赤外吸収に吸収強度が明確に増強された2本のピークが発現し、かつ1200〜1036cm-1に現れる3本のピークが明瞭に分離していることを特徴とする、フォスファターゼに対し安定で、かつ核酸含量の高い調味料組成物およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5’−リボヌクレオチド類は、グルタミン酸との相乗作用により強いうま味を呈することは、広く知られており、今日、調味料として広く使用されている。一方、5’―リボヌクレオチドの5’位の燐酸が食品中の酵素により脱燐酸され呈味を失うことも広く知られている。
【0003】
従来、この脱燐酸を防ぐ方法として、次のような方法が考えられている。
(1)5 −リボヌクレオチド類を油脂類等で被覆する方法(特公昭42ー1470、特開昭58ー94366)、
(2)核酸含有油脂をコンプレックス・コアセルベーション法を用い、ゼラチンとアラビアゴムでマイクロカプセル化しトランスグルタミナーゼによりゼラチンを固定化する方法。(特開平05ー292899)
しかし、皮膜や芯物質の一部に油脂あるいは高融点の有機酸を用いた場合、油が浮く等の外観上の問題、油脂や有機酸自体の僅かな臭いあるいは、他の原材料と油脂との相互作用による異臭の発生等、風味上の問題が大きく、使用されている食品は、畜肉練り製品等のごく一部に限られているのが実状である。また、コンプレックス・コアセルベーション法において芯物質を実質的に疎水性とするため、油脂と混合した場合、風味、外観上の問題に加え有効な核酸含量が減じてしまい調味料として好ましくない。
【0004】
特に、味噌、醤油等の発酵食品については、外観上、風味上の問題が商品価値を大きく左右し、かつ酵素を失活させるための過度な加熱も商品価値を大きく減ずる要因となる。したがって、外観、風味上問題とならない程度の被覆された核酸系の調味料を使用したとしても、皮膜効果が十分でないと流通過程で失活しきっていないフォスファターゼにより徐々に5’位の脱リン酸化が進んでしまい、商品設計と流通段階でのうま味強度が大きく異なってしまう。
【0005】
上記問題点を解決する手段として本発明者が先に出願した、5 −リボヌクレオチド2価塩類を芯物質とし、ポリカチオンとポリアニオンでコンプレックス・コアセルベーション法を用いて被覆する方法がある。この方法によれば、食品本来の外観、風味を全く損なうことなく、さらに有効な核酸を高含有に被覆することができる。この調味料は、5’−リボヌクレオチド1価塩から2価塩を作り、得られた2価塩に対し、ポリカチオンとポリアニオンを被覆することにより製造する。
【0006】
しかしながら、この技術では皮膜材料としてポリカチオンとポリアニオンの双方を用意する必要があること、また、ポリカチオンとして例えば熱凝固性蛋白質を使用する場合、まず蛋白質の等電点以下にpHを下げ、ポリカチオンとして作用させ、コンプレックス・コアセルベーションの生成後、加熱凝固させ皮膜を固定化したのち、pHを中性に戻すなど工程が非常に煩雑であるという欠点があった。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、フォスファターゼに対し安定で、食品本来の微妙な風味、外観に影響を与えず、しかも有効な核酸含量の高い調味料組成物およびその簡便な製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類との組成物において、これらの単なる混合物では現れない、核酸のD−リボース5’位に結合した燐酸のコンフォメーション変化に由来する1200〜1140cm-1の赤外吸収が、1685±8cm-1の核酸塩基に由来する基準ピークに対し0.83〜1.50の吸収強度比である調味料組成物とすればフォスファターゼに対する安定性が高く、食品本来の微妙な外観、風味に影響を与えない、核酸が高含有の核酸調味料組成物が得られることを知り本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類との複合組成物であって、該組成物の赤外吸収スペクトルが、1685±8(cm-1)に現れるピークを基準ピークとし、基準ピークの吸収強度を1とした場合、1200〜1140(cm-1)に現れるピークの吸収強度が0.83〜1.50であることを特徴とする調味料組成物である。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の調味料は、5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類との複合組成物である。
ここで5’−リボヌクレオチド類とは、D−リボースの5’位に燐酸の結合したヌクレオチドをいい、呈味性のあるイノシン酸とグアニル酸との混合物が一般的である。他にアデニル酸、シチジル酸等が混在していてもよく、ナトリウムやカリウム等の1価塩、もしくは、カルシウムやマグネシウム等の2価塩となっている場合が多い。これらヌクレオチドの分量比や金属塩の種類や価数については、特に限定するものではない。
【0011】
本発明の2価金属イオンによりゲル化する多糖類とは、カルシウムやマグネシウムイオンなどの2価金属イオン存在下で、ゾル−ゲル転移する多糖類を言い、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム等が上げられ、この中のいずれか1種、または2種以上の混合物のいずれでもよい。
【0012】
前記の多糖類加え、寒天、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、トラガントガム、ファーセラン、アラビアガム、アラビノガラクタン、プルラン、カラヤガム、グルコサミン、カードラン、グァーガム、ガティガム、タラガム、でんぷん、デキストリン、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロース、イヌリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等の多糖類、およびゼラチン、乳性蛋白質、卵白蛋白質、カゼイン、大豆蛋白、コラーゲン、アクトミオシン等の蛋白質などをゲルの強化安定を目的に加えることもできる。
【0013】
本発明で言う1685±8cm-1の基準ピークは、ヌクレオチドの塩基骨格C4位のC=Oを示すピークであり、この基準ピークの吸収強度を1とした。
本発明の組成物に特徴的な1200〜1140cm-1に現れるピークは、D−リボース5’位燐酸のコンフォメーション変化に由来するものと考えられ、前記の基準ピークの0.83〜1.50の吸収強度で明確なピークとして現れる。このピークは、5’−リボヌクレオチド類あるいはその塩類、2価金属イオンでゲル化する多糖類、その多糖類の1価または2価金属塩を単に2種以上混合した組成物においては検出されないか、もしくは、痕跡程度のピークしか検出できない。
【0014】
950〜850cm−1に現れるピークも5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類とが複合組成物となっているときに現れるピークであり、吸収強度は、前記基準ピークの0.50〜1.00の明確なピークとして現れる。
5’−リボヌクレオチド類あるいはその塩類、2価金属イオンでゲル化する多糖類、その多糖類の1価または2価金属塩を単に2種類以上混合した組成物においては検出されないか、もしくは、痕跡程度のピークしか検出できない。
【0015】
さらに、1200〜1140、1136〜1100、1096〜1036cm-1に3本のピークを有するものであると好ましい。この3本のピークは、D−リボース5’位燐酸のコンフォメーション変化に由来するものと考えられる。各々は明瞭に3本のピークとして認識されるものであり、各々のピークの頂点とピーク頂点から低波長側に現れる1つ目の谷との吸収強度比は、低波長側に現れる1つ目の谷の吸収強度を1とした場合、それぞれ1.05〜1.30、1.05〜1.40、1.20〜2.00であると更に好ましい。5’−リボヌクレオチド類あるいはその塩類、2価金属イオンによりゲル化する多糖類あるいは、その多糖類の1価または2価金属塩を単に2種類以上混合した組成物であると、2本のピークとして現れ、しかも2本のピークの分離は明瞭でない。
【0016】
本発明による赤外吸収スペクトルの上記3つの特徴は、5’−リボヌクレオチドのD−リボース5’位の燐酸と2価金属イオンによりゲル化する多糖類の酸性官能基および2価金属イオンとの間に相互作用があることを示唆しており、このことが核酸の溶出を下げ、フォスファターゼに対する安定性を向上させているものと考えられ、油脂コーティング、噴霧コーティングやコンプレックス・コアセルベーション法による通常のコーティングとは異なることが示される。
【0017】
上記の赤外吸収スペクトルは、固体試料の標準的測定法である、KBr錠剤法で測定することができる。つまり、試料と十分乾燥したIR測定用KBrを混合し、プレスして錠剤成形し、赤外吸収スペクトルを見る方法である。また、特殊な測定法として粉体表面の情報が得られる粉体拡散反射法を用いることもできる。測定機器については、特に限定するものではないが、測定時間が短く、高感度なFT−IRが好ましい。
【0018】
以下、上記の調味料組成物の製造方法の例について説明する。
まず、5’−リボヌクレオチドの1価塩類と、2価金属イオンによりゲル化する多糖類の1価塩類とを混合溶解し、温度を40〜130℃、好ましくは60〜100℃に保つ。
これとは別に2価金属イオン溶液を調整する。2価金属イオンを含む溶液としては特に限定するものではないが、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化第1鉄、硫酸第1鉄、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸マグネシウム等の2価金属塩が良く、これ以外に水酸化カルシウム等を用いても良い。
【0019】
2価金属イオンの濃度は、5’−リボヌクレオチドの重量モル濃度と多糖類に結合しうる重量モル濃度の和以上あればよい。
5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類の重量比は、特に限定するものではないが、通常、5’−リボヌクレオチド100重量部に対して多糖類1〜30重量部、好ましくは、2〜5重量部の組成比が良い。多糖類の構成比がこれより少ない場合は、フォスファターゼ耐性が弱く、また、これより多い場合は、有効な5’−リボヌクレオチド含有量が減じて好ましくない。
【0020】
本発明の特徴は、5’−リボヌクレオチド類の1価塩と2価金属イオンによりゲル化する多糖類の1価塩を同時に2価塩に塩交換することにある。塩交換反応速度は温度を調整することによりコントロールすることができる。通常、5’−リボヌクレオチドの塩交換反応や多糖類のゲル化反応はできるだけ低温で行うことが好ましいが、本発明における塩交換反応速度は、できるだけ早く行うことが好ましく、したがって40〜130℃の高温で反応するのが良い。したがって、40〜130℃の高温で反応するのが良い。この範囲であれば、5’−リボヌクレオチド塩類−多糖類溶液および2価金属イオンを含む溶液を共に高濃度にすることができ、工業的に効率良く、塩交換反応を行うことができ、さらに着色や焦げなどの問題も無い。従って、上記の5‘−リボヌクレオチド塩類−多糖類溶液と2価金属イオンを含む溶液とを混合する際、双方の温度を40〜130℃の温度範囲としておくとよい。さらに好ましくは、60〜100℃である。
【0021】
塩交換する方法としては、特に限定されず、一気に混合しても良いし、少量づつ混合しても良いが、混合時に瞬時に多糖類のゲル化反応が起こるので、少量ずつ混合した方が、好ましい。少量づつ混合する方法としては、滴下法、噴霧法、紡糸法、液中噴霧法、液中突出法などが有効である。
このような製造方法をとることにより、5’−リボヌクレオチドのD−リボース5’位の燐酸基と多糖類の酸性官能基が拮抗的に2価金属イオンと相互作用し、その結果、核酸の溶出を下げ、フォスファターゼに対する安定性を増すことができる。
【0022】
塩交換した後、系を冷却する。得られたゲル魂あるいは、ゲル粒子からの5’−リボヌクレオチドの溶出は、極めて低く押さえられている為、遠心分離、デカンテーション等の方法で脱水、洗浄後、乾燥しても良いし、そのまま乾燥しても良い。
乾燥方法は特に限定するものではなく、静置乾燥、熱風乾燥、流動層乾燥、真空乾燥、冷凍真空乾燥等により乾燥できる。
【0023】
当該方法により得られた乾燥組成物は、粒子の大きさによって5’−リボヌクレオチドの溶出に差はないので、目的の粒度に解砕することができる。
また、当該組成物を押し出し造粒、転動造粒、攪拌造粒等顆粒にすることもできるし、さらに、多糖類や蛋白質等を噴霧コーティング、転動コーティング、液中コーティング等、特に限定された方法によらずに皮膜コーティングすることも可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
{赤外吸収スペクトルの測定}
試料1mgに対し十分に乾燥させたIR測定用KBr(和光)100mgをメノウ乳鉢により十分に混合して粉砕することにより均一とした。混合粉砕した試料を油圧式錠剤成型器(Riken Powder)で40MPaの圧力で3分間加圧し、円盤状に成形した。赤外吸収スペクトル測定装置は、Perkin Elmer社製 FT−IR Pragon1000を用いた。
【0025】
以下、実施例および比較例の赤外吸収スペクトルは、この方法によった。
【0026】
【実施例1】
旭化成工業(株)製Gimp(イノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムの等量混合物)100重量部と大日本製薬(株)製マニュゲルGMB(アルギン酸ナトリウム)3重量部を150重量部の水に溶解し、80℃に保った。以下これを混合溶液と呼ぶ。
【0027】
一方(株)トクヤマ製 粒状塩化カルシウム(塩化カルシウム2水塩)75重量部を150重量部の水に溶解し、80℃に保った、以下これを凝固液と呼ぶ。凝固液側へ攪拌しながら混合溶液を少量ずつ添加し、80℃に保ったまま塩交換反応を行った。塩交換反応終了後、凝固液中のゲルを攪拌しながら、20℃まで冷却した。得られたゲルスラリーをセントルにて脱水し、余分な凝固液を除去した。脱水したゲルケークに対し20℃に冷却にした水60重量部で洗浄し、反応により生成したNaClを除去した。洗浄脱水したゲルケークを流動層乾燥機により乾燥し、解砕機により解砕して、600μm以下(20メッシュ篩下分)の粉末とし、84重量部の当該調味料組成物を得た。
【0028】
赤外吸収スペクトルを測定したところ、1200〜1140cm-1には1150.4cm-1にピークが現れ、1685.8cm-1の基準ピークに対し0.88の吸収強度を示した。
950〜850cm-1には、899.0cm-1にピークが現れ、前記の基準ピークに対し0.56の吸収強度を示した。
1200〜1036cm-1のスペクトルは、1150.4、1124.0、1070.3の明確に分離したピークが得られ、それぞれのピーク頂点から低波長側に一つ目の谷の吸収強度に対しピーク頂点の吸収強度は、1.11、1.24、1.70であった。
【0029】
【比較例1】
旭化成工業(株)製Gimp100重量部を150重量部の水に溶解し、80℃に保った。一方(株)トクヤマ製粒状塩化カルシウム75重量部を150重量部の水に溶解し、80℃に保った。
塩化カルシウム溶液にGimp溶液を攪拌しながら少量づつ添加し、塩交換反応を行った。塩交換反応終了後、生成した5’−リボヌクレオチドカルシウムのスラリーを攪拌しながら、20℃まで冷却した。得られたスラリーをセントルにて脱水し、余分な塩化カルシウム溶液を除去した。脱水したケークに対し20℃に冷却にした水60重量部で洗浄し、反応により生成したNaClを除去した。洗浄脱水したゲルケークを流動層乾燥機により乾燥し、解砕機により解砕して、600μm以下の粉末とし、81.5重量部の5’−リボヌクレオチドカルシウムを得た。
【0030】
赤外吸収スペクトルを測定したところ、1200〜1140cm-1には、痕跡程度でピークとしては検出されなかった。
950〜850cm-1のピークも痕跡程度でピークとして検出されない。
1200〜1036cm-1のには、1116および1087.9cm-1の2本のみピークが検出され、低波長側の一つ目の谷に対し吸収強度比は、1.03および2.18であった。
【0031】
【比較例2】
大日本製薬(株)製マニュゲルGMB 3重量部を150重量部の水に溶解し、80℃に保った。一方(株)トクヤマ製 粒状塩化カルシウム75重量部を150重量部の水に溶解し、80℃に保った。
塩化カルシウム溶液側へ攪拌しながらアルギン酸ナトリウム溶液を少量づつ添加し、アルギン酸をゲル化した。ゲル化反応終了後、生成したアルギン酸カルシウムゲルを攪拌しながら、20℃まで冷却した。得られたゲルスラリーをセントルにて脱水し、余分な塩化カルシウム溶液を除去した。脱水したゲルケークに対し20℃に冷却にした水60重量部で洗浄し、反応により生成したNaClを除去した。洗浄脱水したゲルケークを流動層乾燥機により乾燥し、解砕機により解砕して、600μm以下の粉末とし、2.5重量部のアルギン酸カルシウムを得た。
【0032】
比較例1で得られた5’−リボヌクレオチドカルシウムと、このアルギン酸カルシウムを粉体混合した。
赤外吸収スペクトルは、1200〜1140cm-1は、痕跡程度でピークとして検出されない。
950〜850cm-1は、896.8cm-1に僅かに現れ、1685cm-1の基準ピークに対し、0.48の吸収強度であった。
【0033】
1200〜1036cm-1のスペクトルは、1106.2および1089.4cm-1の2本のみ検出され低波長側の一つ目の谷に対し吸収強度比は、1.03および1.99であった。
【0034】
【比較例3】
比較例1で得られた5’−リボヌクレオチドカルシウム 100重量部、旭化成工業(株)製ラクトアルブミン 8.5重量部と(株)紀文フードケミファ製アルギン酸ナトリウム(HSPM) 8.5重量部を20℃の水1000重量部に攪拌しながら懸濁した。10分後、攪拌しながら塩酸にてpHを4.5に調整し、5分後温度を80℃まで昇温し15分間保ち、再び20℃まで冷却した。得られたスラリーをスプレードライし乾燥粉末とし、コンプレックス・コアセルベーション法により、熱凝固性蛋白質とアルギン酸カルシウムにより被覆された5’−リボヌクレオチドカルシウムを得た。
【0035】
赤外吸収スペクトルは、1200〜1140cm-1は、1165.2cm-1に現れるが、基準ピークとの吸収強度比は、0.64であった。
950〜850cm-1には、ピークは検出されなかった。また、1200〜1036cm-1のスペクトルは、1165.2および1077.7cm-1のみ検出され低波長側の一つ目の谷に対し吸収強度比は、1.03および1.50であった。
【0036】
【実施例2】
組成の比較
実施例1および比較例1〜3の組成比は、下記表1の通りであった。5’−リボヌクレオチドカルシウムおよびラクトアルブミンについては、HPLCにより測定し、アルギン酸カルシウムは、可視吸光度法(日本分析センター)により測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例3】
溶解度比較
実施例1および比較例1〜3の20℃100rpm攪拌環境下で60分の水100ccに対する5’−リボヌクレオチドカルシウム溶解量をHPLCにより測定した。
結果を下記表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
【実施例4】
フォスファターゼ耐性(味噌)市販加熱殺菌済み味噌(信州米味噌合わせ)に実施例1の粉体組成物および比較例1〜3を味噌中の5’−リボヌクレオチドカルシウム濃度が0.05%になるよう練り込み、40℃恒温漕中で7日間保存し、核酸残存率をHPLCにより測定した。
【0041】
7日目の5’−リボヌクレオチドカルシウムの残存率はそれぞれ、実施例1が79%比較例1および2が50%、比較例3が65%であった。
【0042】
【実施例5】
フォスファターゼ耐性(水練り)
スケソウすり身(FA級)100重量部、食塩3重量部、砂糖4重量部、力味(旭化成)3重量部、卵白4.5重量部、馬澱7重量部、水50重量部の配合に実施例1および比較例1を0.04重量部添加した。座りは、高温座りで45℃60分とし、HPLCにより核酸の残存量を測定した。
【0043】
実施例1は、89.6%、比較例1は、77.3%であった。
【0044】
【発明の効果】
5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンによりゲル化する多糖類の複合組成物において1200〜850cm-1の赤外吸収スペクトルに特徴的なピークを得る組成物とすることで食品本来の微妙な風味、外観に影響を与えず、しかもフォスファターゼによる核酸の分解を防ぐ、調味料組成物が得られる。
【0045】
本発明においては、2価金属イオンによりゲル化する多糖類と5’−リボヌクレオチド類の複合組成物であり、食品の風味、外観への影響は、全く無く、特に油脂を嫌う味噌、醤油、漬け物等格段に使用範囲を広めることが可能となった。また、コンプレックス・コアセルベーション法で必要であったpHの調整および皮膜の固定化などの工程が全く必要なく、しかも安価な5’−リボヌクレオチド1価塩から製造することができ安価で簡便な製造方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の赤外吸収スペクトルを示すチャートである。
【図2】比較例1の赤外吸収スペクトルを示すチャートである。
【図3】比較例2の赤外吸収スペクトルを示すチャートである。
【図4】比較例3の赤外吸収スペクトルを示すチャートである。
【図5】実施例1と比較例1の赤外吸収スペクトルを重ね拡大したチャートである。
【図6】実施例1と比較例2の赤外吸収スペクトルを重ね拡大したチャートである。
【図7】実施例1と比較例3の赤外吸収スペクトルを重ね拡大したチャートである。
【図8】味噌中での5’−リボヌクレオチド残存性を示すグラフである。
【図9】蒲鉾での5’−リボヌクレオチド残存性を示すグラフである。
Claims (4)
- 5’−リボヌクレオチド類と2価金属イオンでゲル化する多糖類を混合溶解した後、2価金属イオンを含む溶液と塩交換して作成される複合組成物において、該組成物の赤外吸収スペクトルが1685±8(cm−1)に現れるピークを基準ピークとし、基準ピークの吸収強度を1とした場合、1200〜1140(cm−1)に現れるピークの吸収強度が0.83〜1.50であることを特徴とする調味料用複合組成物。
- 950〜850(cm−1)に現れるピークの吸収強度が、基準ピークの吸収強度の0.50〜1.00であることを特徴とする請求項1記載の調味料用複合組成物。
- 1200〜1140、1136〜1100、1096〜1036(cm−1)に現れる3本のピークにおいて、ピーク頂点から低波長側へ向けた一つ目の谷の吸収強度を1とするとピーク頂点の吸収強度が、それぞれ1.05〜1.30、1.05〜1.40、1.20〜2.00であることを特徴とする請求項1記載の調味料用複合組成物。
- 40〜130℃の温度範囲において、5’-リボヌクレオチド類と2価金属イオンでゲル化する多糖類を混合溶解した後、40〜130℃の温度範囲において2価金属イオンを含む溶液と塩交換することを特徴とする調味料用複合組成物の製造法。
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