JP3897170B2 - 赤外発光体および光増幅媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信分野で利用される赤外波長域での発光体および光増幅媒体に関し、特にガラス材料を用いた赤外発光体および光増幅媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、赤外域で蛍光を呈するガラス材料として、希土類、例えばNd(ネオジム)、Er(エルビウム)やPr(プラセオジム)などのイオンを添加したガラスや結晶化ガラスがよく知られている。これらのガラスを用いたレーザ発光や光増幅については、1990年代頃を中心に精力的に研究開発が行なわれた。その結果、ガラスレーザやエルビウムドープ光ファイバ増幅器に代表されるように、実際に大出力レーザ応用や光通信など種々の分野で利用されている。
【0003】
希土類のイオンを添加したガラス材料の発光は、希土類イオンの4f電子の輻射遷移によって生じる。4f電子は外殻電子によって効果的に遮蔽されているため、発光が得られる波長域が狭い傾向を有する。この傾向は、光増幅に応用する場合に、増幅ができる波長範囲が狭くなり、レーザとして用いた場合にはレーザ発振が可能な波長範囲が狭くなる。この特性は、利用できる波長範囲が限定されるという重大な欠点となる。
【0004】
この波長範囲を広げるため、例えば特許文献1または特許文献2などで開示されているガラス組成物が提案されている。これらの組成物は、Bi2O3を多量(例えば20モル%以上)に含み、さらにErを発光元素として含み、利用できる波長範囲が80nm以上と広いことが特徴である。
【0005】
また、例えば特許文献3、特許文献4および特許文献5にそれぞれ開示されているガラス組成物が提案されている。この組成物は、希土類を用いないことを特徴とし、CrまたはNiを発光元素として含有している。発光の波長幅が広いことが特徴である。
【0006】
さらに特許文献6に開示されているBiドープ石英ガラスが提案されている。この組成物は、Biがゼオライト中にクラスタ化されていることを特徴とし、発光の波長幅が広いことを特徴としている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−317561号公報
【特許文献2】
特開2001−213636号公報
【特許文献3】
特開平6−296058号公報
【特許文献4】
特開2000−53442号公報
【特許文献5】
特開2000−302477号公報
【特許文献6】
特開平11−29334号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記Biを多量に含むガラス組成物は、発光の起源がErであるため、発光波長範囲を広げることができるが、100nm程度が限度であり、それ以上に広い波長範囲で発光させることは困難である。さらに、それらの組成物は屈折率が約2と非常に高く、通常光通信で用いられている石英ガラス製光ファイバとの接続時に界面での反射などの問題が生じやすい、という欠点がある。
【0009】
また、上記Crを含むガラス組成物は、Al2O3を主成分とし、その組成にガラス形成能力のある成分が全く含まれていないか、あるいは少量(20モル%以下)しか含まれていない。したがって、このガラス組成物はガラス形成能力が低く、ガラスの融解時または成型時に極めて失透しやすいという大きな欠点がある。
【0010】
上記Niを含むガラス組成物は、組成物中にNi+イオン、Ni2+イオンを含む微細結晶、あるいは6配位構造をとるNiイオン、のいずれか一つまたはそれら複数を含有させることが必要で、同時に金属Niの微粒子が析出する。したがって、このガラス組成物は金属Niの析出による失透、あるいは透明性の喪失が起こりやすいという欠点がある。
【0011】
さらに、Biがクラスタ化されている石英ガラスは、Biがクラスタ化、つまり互いに極めて近接しているため、近接Bi間でのエネルギーの失活が起こりやすく、光増幅の効率が低い。また、この石英ガラスはゾルゲル法を用い、ゲルを乾燥してガラス化するため、乾燥時の収縮・焼結時のクラックなどの発生が甚だしく、大型のガラス、あるいは光ファイバを安定的に製造することが困難という大きな欠点がある。
【0012】
したがって光通信分野で使用される波長のうち、現状ではNd、Er、Prといった希土類元素でカバーできる波長範囲の光増幅媒体しかなく、これ以外の広い波長域では伝送損失を光増幅によって補償できないため、光通信用の波長として利用しにくいという問題があった。
【0013】
本発明は、このような従来技術における問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、赤外波長域、とくに光通信に用いられる広い波長範囲で発光を示す安定なガラス材料からなる赤外発光体を、さらには光増幅機能を示す安定なガラス材料からなる光増幅媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の赤外発光体は、
調合したガラス原料を熔融して得たガラス組成物であって、
含有率の単位をモル%として、下記で示される成分からなり、
SiO 2 55〜80
Al 2 O 3 5〜25
Li 2 O 0〜15
Na 2 O 0〜5
K 2 O 0〜5
MgO 0.1〜40
CaO 0〜30
SrO 0〜5
BaO 0〜5
ZnO 0〜25
TiO 2 0〜10
ZrO 2 0〜3
B 2 O 3 0〜10
ビスマス酸化物(Bi 2 O 3 換算) 0.01〜5
Y 2 O 3 +La 2 O 3 +Ta 2 O 5 +Nb 2 O 5 +GeO 2 +In 2 O 3 0〜5
As 2 O 3 +Sb 2 O 3 +SO 3 +SnO 2 +Fe 2 O 3 +Cl+F 0〜1
その他の成分の合計 0以上1未満
かつ、2価金属酸化物の含有率の総和
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO
が、0.1〜40モル%の範囲にあり、
波長が400nmから850nmの範囲にある励起光の照射により赤外波長域で蛍光を呈し、
前記蛍光の強度が最大になる発光波長が1000nmから1600nmの範囲にあり、
前記蛍光の強度の波長に対する半値全幅が150nm以上400nm以下であるガラス組成物からなることを特徴とする。
本発明の別の赤外発光体は、
調合したガラス原料を熔融して得たガラス組成物であって、
含有率の単位をモル%として、下記で示される成分からなり、
SiO 2 55〜80
Al 2 O 3 5〜25
Li 2 O 0〜15
Na 2 O 0〜5
K 2 O 0〜5
MgO 0.1〜40
CaO 0〜30
SrO 0〜5
BaO 0〜5
ZnO 0〜25
TiO 2 0〜10
ZrO 2 0〜3
B 2 O 3 0〜10
ビスマス酸化物(Bi 2 O 3 換算) 0.01〜5
Y 2 O 3 +La 2 O 3 +Ta 2 O 5 +Nb 2 O 5 +GeO 2 +In 2 O 3 0〜5
As 2 O 3 +Sb 2 O 3 +SO 3 +SnO 2 +Fe 2 O 3 +Cl+F 0〜1
かつ、2価金属酸化物の含有率の総和
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO
が、0.1〜40モル%の範囲にあり、
波長が400nmから850nmの範囲にある励起光の照射により赤外波長域で蛍光を呈し、
前記蛍光の強度が最大になる発光波長が1000nmから1600nmの範囲にあり、
前記蛍光の強度の波長に対する半値全幅が150nm以上400nm以下であるガラス組成物からなることを特徴とする。
【0015】
励起光の波長は、400nmから600nmおよび650nmから750nmの2つの範囲がとくに好ましい。
【0016】
光増幅媒体としては、波長範囲1000〜1600nmの少なくとも一部の波長領域で増幅利得を有する。特に波長範囲1000〜1400nmの少なくとも一部の波長領域で増幅利得を有することが好ましい。
【0017】
上記のガラス組成物は、さらにLi2Oを含むことが望ましい。上記ガラス組成物を母ガラスとする透明結晶化ガラスを形成でき、これを本発明の赤外発光体に適用できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の赤外域の広い波長範囲で、発光あるいは光増幅機能を示すガラス材料は、Biを含有するガラスおよびその結晶化ガラスである。発明者らが見いだしたそのガラス組成物は、Bi2O 3 、SiO2、Al2O3 および2価金属酸化物を必須成分とし、安定にガラス組成物を得ることができ、またそのガラス組成物を母ガラスとする透明結晶化ガラスを得ることができた。
【0019】
さらに、より容易に赤外発光を生じさせ、光増幅機能を起こさせるためには、本発明のガラス組成物および結晶化ガラスには、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)、酸化亜鉛(ZnO)から選ばれる1種類または2種類以上の2価金属酸化物が含まれることが好ましく、さらに酸化リチウム(Li2O)を同時に含むことがより好ましい。
【0020】
本発明のガラス組成物および結晶化ガラスは、赤外域における発光が、波長1000nmから1600nmに極めて広い範囲に及び、しかも強い発光強度と長い蛍光寿命を示した。これは光増幅機能やレーザ機能の発現に好ましい。
【0021】
また、本発明のガラス組成物および結晶化ガラスは、光透過スペクトルの2つの波長範囲、450〜550nm、650〜750nmのうちのいずれかの範囲に光吸収ピークをもち、また450〜550nmの範囲の光吸収ピークの波長において、光吸収の吸光係数のベースラインのそれに対する比が0.1以上であるため、光励起が容易であるという効果が得られる。
【0022】
本発明のガラス組成物については、上記の透過スペクトルのほか、光増幅特性の基礎となる蛍光スペクトル、蛍光寿命を評価し、さらに光増幅特性および発光特性を評価した。そのほか、基本的な特性として、屈折率、熱膨張係数、ガラス転移点および屈伏点を測定した。主な測定、評価方法を以下に説明する。
【0023】
(光透過・吸収スペクトル)
試料ガラスを切断し、20mm×30mm×厚さ3mmの平行平板になるように表面を鏡面研磨し板状試料を作製した。市販の分光光度計を用い、板状試料の光透過スペクトルを波長290〜2500nmの範囲で測定した。同時に光透過スペクトルの波長450〜550nm、650〜750nmのそれぞれの範囲に光吸収ピークが現れているかどうかを観察した。
【0024】
また、光透過スペクトルを、モル吸光係数に換算して(つまり、ビスマスの酸化物をBi2O3に換算し、Bi2O3を1モル%含み、光路長が1cmであるときの吸光係数に換算した)光吸収スペクトルを求め、光吸収ピークの両側に接線を引いてベースラインとし、光吸収ピークのベースラインに対する吸収係数の比を求めた。
【0025】
(蛍光スペクトル)
蛍光スペクトルは上記と同じ板状試料を用い、市販の分光蛍光光度計により測定した。励起光の波長は、500nm、700nmおよび近赤外域の833nmの3種類とし、それぞれの励起波長の下で、蛍光の発光の波長は800nm〜1600nmの範囲について測定した。なお、測定時の試料温度は室温である。測定された蛍光スペクトルに現れた発光ピーク波長、および発光強度がピーク値の半分以上になる波長幅(以下半値全幅と呼ぶ)、および発光ピーク波長における発光強度を求めた。発光強度は任意単位ではあるが、試料形状および測定時の試料の設置位置を同一としているため、強度の比較が可能である。
【0026】
(蛍光寿命)
蛍光寿命も上記と同じ板状試料を用いて分光蛍光光度計により測定した。波長500nmのパルス光によって励起し、波長1140nmでの発光の時間的減衰を測定した。その減衰曲線に対して指数関数をフィッティングすることにより蛍光寿命を算出した。
【0027】
(光増幅特性)
光増幅特性の測定装置を図1に示す。光増幅のエネルギー源となる励起光の波長は532nm、増幅すべき信号光の波長は1064nmおよび1314nmの2種類を用いた。基本的な構成は、励起光と信号光とを試料ガラス中で空間的に重ね、試料ガラスを透過してきた信号光の強度の変化を測定するものである。
【0028】
波長532nmの励起光20の光源26には半導体レーザ(LD)励起Nd−YAG緑色レーザからの連続光を用いた。励起光は焦点距離300mmの凸レンズ52で集光し、試料ガラス10の厚み方向中央部に焦点位置62がくるように調整した。
【0029】
一方信号光30は、波長が1064nmの場合には、励起光源26とは別の半導体レーザ励起Nd−YAGレーザを光源36とし、パルス幅数nsのパルス光を用いた。波長が1314nmの場合には、その波長の半導体レーザからの連続光を用いた。信号光30は、励起光20とは逆方向から試料ガラス10に入射するようにし、焦点距離500mmまたは1000mmの凸レンズ54で集光して試料ガラス10の厚み方向中央部に焦点位置62がくるように調整した。両レンズ52、54の焦点距離の組み合わせは、信号光ビームが通過する空間が励起光ビームが通過する空間内に十分含まれるように選択した。
【0030】
また、信号光30と励起光20の合波・分波は、反射鏡72、74を利用して行なった。基本的な光学系は、図1に示すように励起光20は反射鏡72、74を通過するように、信号光30は反射させるように構成した。
【0031】
信号光波長が1064nmの場合は、信号光の反射鏡として、通常の透明な板ガラスを用いた。透明な板ガラスの場合、表面で数%の反射が生じるので、それを利用した。光源(Nd−YAGレーザ)36から出た波長1064nmの信号光30は、反射鏡74で一部が反射され、試料ガラス10中に入射され、これを透過した信号光32、すなわち増幅された信号光は反射鏡72でその一部が反射され、レンズ56を介して光検出系80に導かれる。
【0032】
2枚の反射鏡72、74における波長1064nmの光の反射率は高くはないが、信号光30はパルス光であり、その尖頭値が非常に大きい(レーザの出射位置でメガワットクラス)のため、測定は容易である。なお、励起光20は反射鏡72をほとんど損失なく通過して試料ガラス10に達する。試料で光増幅に寄与しなかった励起光22は、反射鏡74に達するが、この反射鏡での反射量はわずかであるので、信号光光源36に悪影響を与えることはない。
【0033】
信号光波長が1064nmの場合の光検出系80の詳細を図2に示す。遮光カバー88で覆った光検出系80に導かれた信号光32を、可視光カットフィルタ82を通し、さらに波長1064nmの光のみ通過する干渉フィルタ84を用いて信号光成分以外の光を除去する。信号光は光検出器86で光信号強度に対応した電気信号92に変換され、オシロスコープ90上に表示される。光検出器86としてはSi系フォトダイオードを使用することができる。
【0034】
信号光の波長が1314nmの場合は、反射鏡72、74として、波長1314nmに対して高反射率をもつ誘電体多層膜を用いた。波長1314nmのLDから出射された信号光30は、反射鏡74で反射され、試料ガラス10中に入射される。光増幅された信号光32は反射鏡72で反射されて光検出系80に導かれる。励起光20は反射鏡72をほとんど損失なく通過して試料ガラス10に達する。試料で光増幅に寄与しなかった励起光22は、反射鏡74に達し、わずかに反射される。この反射光が信号光光源36に入射するのを防ぐため、波長532nmに対して高反射率をもつように構成した誘電体多層膜(図示しない)を挿入した。
【0035】
信号光波長が1314nmの場合の光検出系80の詳細を図3に示す。光検出系80に導かれた信号光32は、焦点距離の長い(1000mm)のレンズ58でピンホール83上に集光される。ピンホールを通すことで信号光以外の方向に進む成分、すなわちASE光および散乱光成分を除去できる。さらに分光プリズム55を通過させることにより、波長532nmの励起光成分を除去し、信号光成分のみを光検出器86に入射する。光信号はそれに対応した電気信号92に変換され、オシロスコープ90上に表示される。光検出器86としてはGe系フォトダイオードを使用することができる。
【0036】
図1に示した光学系では、励起光20の進行方向と信号光30の進行方向とが逆向きであるが、これに限定されるものではなく、例えば両方の光の進行方向を一致させてもよい。
【0037】
上述の光学系を用いた光増幅の測定は以下のようにして行った。試料ガラス10を平行平板になるように両面を鏡面研磨しブロック状試料を作製した。試料ガラスの厚みは、励起光の波長、例えば波長532nmにおいて、透過率が約95%になる厚みとした。この試料ガラス10を図1の位置にセットし、信号光30と励起光20とが試料中でよく重なるように調整を行った。
【0038】
まず、信号光30を試料ガラス10に照射し、試料ガラスを透過してきた信号光32の強度をオシロスコープ90で測定する。つぎに、信号光30の照射を続けたまま、励起光20を試料ガラス10に照射し、同様に信号光32の強度をオシロスコープ90で測定した。信号光だけを照射したときと、信号光と励起光とを同時に照射したときの、透過信号光の強度を比較することにより、光増幅現象を確認することができる。
以下、実施例および比較例により、この発明をさらに詳細に説明する。
【0039】
(実施例1〜23)
表1、表2に示した各組成成分の含有率となるように、通常のガラス原料であるシリカ、アルミナ、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、チタニア、ジルコニア、酸化ホウ素、および三酸化ビスマスなどを用いてバッチを調合した。
【0040】
なお、三酸化ビスマスの不要な還元の防止と、ガラスの清澄を目的として、MgO成分の一部を試薬として市販されている硫酸マグネシウム(MgSO4)に振り替え、またガラス組成にNa2Oが含まれている場合は、Na2O成分の一部を硫酸ナトリウム(ボウ硝、Na2SO4)に振り替えて導入した。振り替えた硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウムの量は、三酸化ビスマスに対するモル比で1/20とした。
【0041】
調合したバッチを白金ルツボを用いて1600℃で18時間保持し、その後鉄板上に流し出した。流し出したガラス熔融液は10数秒で固化し、このガラスを電気炉中で800℃、30分保持した後、炉の電源を切り、室温まで放冷して試料ガラスとした。
【0042】
つぎに、上記試料ガラスを用いて色調、透過スペクトル、蛍光スペクトル、蛍光寿命、屈折率、熱膨張係数、ガラス転移点および屈伏点を以下のように測定し、結果を表1、表2に示した。
【0043】
実施例1〜23のガラスは、表1、表2に示すように、何れも目視観察において赤色ないし赤褐色を示した。これらの試料ガラスは、図4に示すように、波長450nm〜550nm、および650〜750nmの範囲に光吸収ピークを示した。図4は実施例1および4の例を示しているが、実施例1〜23の何れも同様な特性を示した。
【0044】
図5は光透過スペクトルから求めた光吸収ピークの例を示している。図示するようにベースラインを引き、光吸収ピークのベースラインに対する吸収係数の比の求めた。波長450〜550nmの範囲にある光吸収ピークの波長において、光吸収の吸光係数のベースラインのそれに対する比が0.1以上であった。図5は実施例7および11について示したが、表1、表2に示すように、実施例1〜23はほぼ同様の特性を示した。
【0045】
実施例1〜23の全てのガラスにおいて、表1、表2に示すように赤外域での蛍光が観測された。図6には実施例10の蛍光スペクトルを示す。波長500nm、700nm、833nmの各波長の光照射による励起によって、波長1000〜1600nmに及ぶ波長範囲の極めて広い発光が得られている。
【0046】
さらに、発光半値全幅については、実施例15のガラスを833nmの波長の光で励起した場合、本実施例中最大の波長幅349nmが得られた。その他全ての実施例においても波長幅150nm以上であり、本発明のガラスは広い波長範囲で強く発光しているといえる。
【0047】
算出した蛍光寿命の値も表1、表2に同時に示した。実施例18では蛍光寿命は508μsに達する長寿命を示し、その他の実施例1、3、4、7、9、10、12〜22において、200μs以上の長い蛍光寿命が得られている。すなわち、本発明のガラスは効率よく赤外域で発光していることが分かる。
【0048】
さらに、本発明のガラスの光増幅特性を測定した。図7は実施例10のガラスに対して、波長1064nmの信号光のみを照射した場合と、波長1064nmの信号光に加えて532nmのレーザ光を重ねて照射した場合について、それぞれ観測された透過光強度を示している。信号光だけを照射したときに比べ、波長532nmの光を同時に照射したときの方が、透過光強度が明らかに増加しており、光増幅の効果を確認することができる。
【0049】
また、図8は上記と同じ実験を、信号光の波長を1314nmのレーザ光に変えて行なった結果を示す。信号光波長が1064nmの場合と同様に、信号光だけを照射したときに比べ、波長532nmの光を同時に照射したときの方が、透過してきた信号光の強度が明らかに増加しており、信号光波長が1314nmの場合にも、光増幅の効果を確認することができる。
【0050】
また、このガラスの発光が最大になる発光波長は約1140nmであり、1064nmと同じ発光強度になる波長は約1350nmであるため、少なくとも1064nmから1350nmにわたる波長範囲のなかで、250nm以上の波長範囲で光増幅を行なわせることが可能である。
これ以外の実施例1〜23についても同様の結果を得た。
【0051】
(実施例24)
実施例24は、結晶化ガラスの例である。その製法と特性について以下に説明する。実施例11のガラスに対して、780℃に設定した電気炉の中で1時間保持し、その後、電気炉内の温度を5℃/分で昇温して850℃にまで上げてさらに1時間保持し、炉の電源を切り室温まで冷却する処理を施したものである。
【0052】
上記の熱処理によって、試料ガラスは変形することなく、また色調も熱処理前とほとんど変化しなかった。しかし、熱処理後のガラスのガラス転移点および屈伏点を測定すると、熱膨張曲線には室温から1000℃までの間に変曲点や極大値が見られなかった。このことから熱処理によって結晶化ガラスが得られ、さらにこの結晶化ガラスは耐熱性に優れるものであることが分かる。
【0053】
この実施例24の結晶化ガラスに対しても、上記の各測定を行ない、その結果を同じく表2に記載した。表2に見られるように、波長450nm〜550nm、および650〜750nmの各々の範囲に光吸収ピークを示した。また500nm、700nm、833nmの各波長の光照射による励起によって、波長1000〜1600nmに及ぶ極めて広い波長範囲の発光が得られ、しかも蛍光寿命も203μsと長く、高効率で赤外発光および光増幅の効果を得た。
【0054】
(比較例1〜4)
表3に示した組成となるように、実施例と同様の方法で試料ガラスを作製した。ただし、比較例4では、調合したバッチを白金ルツボを用いて1450℃で4時間保持し、その後鉄板上に流し出した。このガラスを電気炉中、550℃で30分保持した後、炉の電源を切り、室温まで放冷して徐冷し試料ガラスとした。
【0055】
これらの試料ガラスを用いて、実施例と同様に色調、透過スペクトル、蛍光スペクトルを測定し、表3にその結果を示した。
比較例1および2では、流し出した後、徐冷して得た固化物は、表面につやがなく、内部まで完全に失透しており、ガラスが得られなかった。比較例3は、得られた試料ガラスは濃褐色を示し、その透過スペクトルには光吸収ピークが観察されず、波長400nmから850nmの何れの波長の光を照射しても赤外域での発光は観察されなかった。比較例4は、一般的なソーダライムガラスであるが、得られた試料ガラスは無色透明で、その透過スペクトルにも光吸収ピークは観察されず、波長400nmから850nmの何れの波長の光を照射しても赤外域での発光は観察されなかった。
【0056】
以下に実施例、比較例から得られる組成の限定理由を説明する。
まず、ビスマスの酸化物は本発明のガラス組成物が発光ないし光増幅を呈するための必須成分である。ビスマスの酸化物は、三酸化ビスマス(Bi2O3)あるいは五酸化ビスマス(Bi2O5)であることが好ましい。その含有量が0.01モル%未満の場合は、ビスマスの酸化物による赤外発光の強度が弱くなりすぎてしまう。
【0057】
一方5モル%を越える場合は、光透過スペクトルに波長450〜550nmの範囲に光吸収ピークが現れなくなり、赤外発光が発現しなくなる。つまり、ビスマスの酸化物を三酸化ビスマス(Bi2O3)に換算した含有量で示して、0.01〜5モル%であるのが好ましく、さらには0.01〜3モル%であることがより好ましい。
【0058】
また、ガラスを熔融する途中でビスマス酸化物の一部が還元された場合、そのガラス組成物は赤外域で発光しなくなり、また濃褐色ないし黒色を呈するようになる。しかも白金あるいは白金系合金製の熔融容器(ルツボなど)が侵食される可能性があるため、ガラス原料の一部には、金属硫酸塩や金属硝酸塩など、酸化性の高い原料を用いることが好ましい。なお、金属硫酸塩や金属硝酸塩などとして用いるべき原料の量は、モル比で表示して、ビスマス酸化物の1/20以上であることが好ましい。
【0059】
SiO2は、ガラスの網目構造を構成する必須成分である。SiO2の含有率が高くなるにしたがい、ガラス組成物および結晶化ガラスはより強く赤外発光を示すようになるが、同時にガラス融液の粘度が高くなり、ガラス組成物の製造が困難になる。また、SiO2の含有率が低いと、ガラス組成物および結晶化ガラスの赤外発光強度が低下し、さらにSiO2の含有率が低くなると、ガラス製造時に失透が発生し、ガラス組成物および結晶化ガラスを得ることができなくなる。したがって、SiO2の含有率は55〜80モル%であることが好ましく、さらに60〜75モル%の範囲がより好適である。
【0060】
Al2O3は、ビスマスの酸化物がガラス組成物および結晶化ガラス中において赤外発光を呈するために必須の成分である。その含有量が5モル%未満の場合は、この効果が現れない。一方、Al2O3の含有率が高くなるにしたがい、ガラス組成物および結晶化ガラスの赤外発光強度は強くなるが、含有量が25モル%を超えるとバッチをいくら加熱しても熔解し切れなくなるなど、熔解性が悪化する。また、バッチが完全に熔解した場合でも、冷却固化の際に極めて失透しやすくなり、ガラス形成が困難となる。したがって、Al2O3の含有率は5〜25モル%である必要があり、5〜20モル%が好ましく、さらには10〜20モル%がより好適である。なお、「バッチ」とは、各組成成分が所定の含有率になるようにガラス原料を調合したものをいう。
【0061】
2価金属酸化物RO(RO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)は、ガラスの熔解性を向上させるために必須の成分である。ROを全く含まない場合は、ガラス融液の粘性が極めて高くなり、均質なガラスを得ることが困難になり、またバッチの熔融が遅く熔解性が劣化する。ROを少なくとも0.1モル%添加すれば、上記のROの好ましい効果を得ることができる。
【0062】
一方、ROの含有量の増加に伴い、ガラスの均質化は容易になるが、含有量が40モル%を越えると、まずガラス組成物が濃褐色を示し、波長450〜550nmの範囲に光吸収ピークが観察されなくなり、同時に赤外発光が得られなくなる。またガラス熔融液の粘度が必要以上に低下し、冷却固化の際に失透が起こりガラスが形成されなくなる。したがって、ROの含有量は0.1〜40モル%である必要があり、0.1〜35モル%がより好ましく、さらに0.2〜30モル%の範囲がより好適である。
【0063】
さらに、ROの原料の一部に硫酸塩(RSO4)や硝酸塩(R(NO3)2)など、酸化性の高い原料を用いることが好ましい。これは、これら酸化性の高い原料を用いると、バッチの熔解途中やガラス融液の熔融中に酸化性の高い化合物を発生し、ビスマスの酸化物が不必要に還元されるのを防ぐことができるという優れた効果を発揮する。なお、上記原料は、熔解途中または熔融中に一部が分解されることで清澄剤としての効果も期待される。
【0064】
ROのうち、MgOは、ガラス中において網目修飾酸化物として働く最も重要な必須の成分である。MgOバッチの熔融を速め熔解性を高める成分である。MgOの含有率が高いほどこれらの機能がよく発揮されるが、一定値を越えると、まずガラス組成物が濃褐色を示し、波長450〜550nmの範囲に光吸収ピークが観察されなくなるようになり、それと同時に赤外発光強度が激減し、発光しなくなる。それを越えて含有量が大きくなるとガラス熔融液の粘度が必要以上に低下し、冷却固化の際に失透が起こりガラスが形成されなくなる。したがって、MgOの含有率は、0.1〜40モル%である必要があり、0.1〜35モル%がより好ましく、0.1〜30モル%がさらに好適である。
【0065】
CaOは、MgOと同様にバッチの熔解性を高める成分であるが、任意の成分である。また、ガラスの耐失透性を高める性能においてはMgOより優れる成分である。しかし、CaOの含有量が大きくなりすぎると、ガラスは濃褐色を示すようになり、波長450〜550nmの範囲に光吸収ピークが観察されなり、同時に赤外発光を示さなくなる。そのため、CaOの含有率が決定され、0〜30モル%である必要があり、0〜20モル%が好ましく、0〜18モル%の範囲がよりに好ましく、さらには0〜10モル%が最も好適である。
【0066】
SrOは、MgOやCaOと同様にバッチの熔解性を高める任意の成分である。SrOは少量(例えば0.1モル%)でも含有されれば、ガラスの耐失透性を大幅に改善することができる。しかし、SrOはビスマス含有ガラスの赤外発光強度を急激に低下させる働きが強く、組成物が赤色ないし赤褐色と赤外発光を示すSrOの含有量の範囲は狭い。そのため、SrOの含有率が決定され、0〜5モル%である必要がある。
【0067】
BaOは、MgOやCaO、SrOと同様にバッチの熔解性を高める任意の成分である。また、BaOは他の2価金属酸化物よりも屈折率を高める効果が高い。ガラスは屈折率が高い方が、表面の光沢が強く、本発明の赤色ないし赤褐色の効果を高めることができる。したがって、本発明のガラス組成物にはBaOを含有させることが好ましい。しかし、BaOはビスマス含有ガラスの赤外発光強度を急激に低下させる働きが強く、組成物が赤色ないし赤褐色と赤外発光を示すBaOの含有量の範囲は狭い。そのため、BaOの含有率が決定され、0〜5モル%である必要がある。
【0068】
ZnOもまたバッチの熔解性を高める任意の成分である。ZnOはCaO、SrO、BaOと比べて、ビスマス含有ガラスを赤色ないし赤褐色に呈色させる効果が高い好ましい成分である。また、ZnOはMgOと比べて、ガラスの屈折率を高める働きが強い。ZnOの含有率が高いほどこれらの機能がよく発揮されるが、一定値を越えると、まずガラス組成物が濃褐色を示し、波長450〜550nmの範囲に光吸収ピークが観察されなくなるようになり、さらに含有量が大きくなると、ガラスは分相して乳濁し、透明なガラスが得られなくなる。したがって、ZnOの含有率は、0〜25モル%である必要があり、0.1〜20モル%がより好ましく、0.1〜18モル%の範囲がさらに好適である。
【0069】
Li2Oは、ガラス中において網目修飾酸化物として働く重要な任意の成分である。Li2Oは、とくに熔解温度を下げて熔解性を高める成分でもあるとともに、ガラスの屈折率を高めることができる成分でもある。また、適量の添加は光吸収強度を増進し、赤外発光強度を高める効果がある。上記の目的には、Li2Oの含有量は多いほどよいが、一定値を越えると、まずガラス組成物が濃褐色を示し、波長450〜550nmの範囲に光吸収ピークが観察されなくなるようになり、同時に赤外発光強度が激減する。それを越えて含有量が大きくなるとガラス熔融液の粘度が必要以上に低下し、冷却固化の際に失透が起こりガラスが形成されなくなる。したがって、Li2Oの含有率は、0〜15モル%である必要があり、0〜12モル%がより好ましい。
【0070】
Na2Oは、熔融温度を下げるとともに、液相温度を下げる効果があり、ガラスの失透を抑えることができる成分である。しかし、Na2Oはビスマス含有ガラスを濃褐色に呈色させ赤外発光を弱める働きが強いため、多量の含有は好ましくない。したがって、Na2Oの好ましい含有率の範囲は0〜5モル%であり、より好ましくは0〜2モル%である。
【0071】
K2Oは、液相温度を下げる効果があり、ガラスの失透を抑えることができる成分である。しかし、K2Oは比較的少量の添加で、ビスマス含有ガラスの赤外発光を弱め、組成物を濃褐色に呈色させる働きが強いため、多量の含有は好ましくない。したがって、K2Oの好ましい含有率の範囲は0〜5モル%であり、より好ましくは0〜2モル%である。
【0072】
さらに、上記Li2O、Na2O、K2Oで示されるアルカリ金属Mの酸化物の原料の一部に硫酸塩(M2SO4)や硝酸塩(MNO3)など、酸化性の高い原料を用いることが好ましい。これは、これら酸化性の高い原料を用いると、バッチの熔解途中やガラス融液の熔融中に酸化性の高い化合物を発生し、ビスマスの酸化物が不必要に還元されるのを防ぐことができるという優れた効果を発揮する。なお、上記原料は、熔解途中または熔融中に一部が分解されることで清澄剤としての効果も期待される。また、とくに硫酸塩はバッチの熔解初期に先に融解し、バッチ中のSiO2の融解を助ける働きがあり、ガラスの熔解性を高めることができる。
【0073】
TiO2は、ガラス組成物の屈折率を高めるとともに、ビスマスの酸化物の赤外発光を助ける任意の成分である。前述したBaOは、ビスマス含有ガラスの赤外発光強度を低下させる働きが強いが、TiO2は逆に赤外発光強度を高める効果があるため、BaOよりも好ましい成分である。しかし、TiO2は、乳白色のガラスに比較的多量に含まれることから分かるように、ガラスを乳濁させる機能(副作用)がある。そのため、その含有率は10モル%以下である必要がある。したがって、TiO2の含有率は、0〜10モル%である必要があり、0〜5モル%の範囲がより好ましい。
【0074】
ZrO2は、TiO2と同様にガラス組成物の屈折率を高めるとともに、ビスマスの酸化物の赤外発光を助ける任意の成分である。しかし、ZrO2は、結晶化ガラスの核生成剤として用いられることが示すように、ガラスの結晶化を促し、またガラス組成物の密度を高める機能(副作用)を備える。したがって、不必要な結晶化(失透)と密度の上昇とを避けるため、ZrO2の含有率は5モル%以下である必要がある。したがって、ZrO2の含有率は0〜5モル%である必要があり、0〜3モル%が好ましい。
【0075】
B2O3は、任意の成分であるが、ガラス融液の粘性を下げ、ガラスの均質化に役立つ成分である。この効果は、特にSiO2やAl2O3が多量に含まれている場合に顕著である。ただし、B2O3の含有量が多量になると、ガラスは分相し、乳濁する傾向が高くなる。したがって、B2O3の含有率は0〜10モル%である必要がある。
【0076】
これらの成分以外に、屈折率の制御、温度粘性特性の制御、失透の抑制などを目的として、Y2O3、La2O3、Ta2O5、Nb2O5、GeO2、In2O3などの成分が合計で5モル%を上限として含有されていてもよい。さらに、上記成分以外に、熔解時の清澄、ビスマスの酸化物の還元の防止などを目的として、As2O3、Sb2O3、SO3、SnO2、Fe2O3、ClまたはFなどの成分が合計で1モル%を上限として含有されていてもよい。
【0077】
なお、産業上利用し得るガラス原料に微量不純物として含まれる他の成分が混入する場合もある。これら不純物の合計含有率が1モル%未満の場合は、ガラス組成物の物性に及ぶ影響は小さく、実質上問題とならない。
【0078】
以上より、本発明の赤外発光体は、現在光通信で主に用いられている波長領域の一つである1310nm帯で有効に利用できる。これに加え、これまで適切な光増幅材料が報告されていないため、光通信で利用することのできなかった、1100〜1300nmの範囲の波長で動作する新たな光増幅媒体を提供することができる。また図4に示すように、1000nmから1600nmにわたる蛍光スペクトルの広がりから、極めて広い波長範囲で動作する光増幅器が実現できる。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【発明の効果】
本発明の赤外発光体は、安定なガラス材料によって構成されるため、現在光通信で主に用いられている波長領域の一つである1310nm帯で有効に利用できる。これに加え、本発明の光増幅媒体では、蛍光スペクトルの広がりから、さらに極めて広い波長範囲で動作する光増幅器が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光増幅特性評価用光学系を示す概略図である。
【図2】 光増幅特性評価用光学系における1100nm帯用光検出系を示す図である。
【図3】 光増幅特性評価用光学系における1300nm帯用光検出系を示す図である。
【図4】 本発明の実施例における光透過スペクトルを示す図である。
【図5】 本発明の実施例における光吸収スペクトルを示す図である。
【図6】 本発明の実施例における蛍光スペクトルを示す図である。
【図7】 本発明の実施例における光増幅特性の一例を示す図である。
【図8】 本発明の実施例における光増幅特性の他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 試料ガラス
20 励起光
26 励起光源
30 信号光
36 信号光源
52、54、56、58 凸レンズ
55 プリズム
72、74 反射鏡
80 光検出系
82、84 フィルタ
83 ピンホール
86 光検出器
90 オシロスコープ
Claims (9)
- 調合したガラス原料を熔融して得たガラス組成物であって、
含有率の単位をモル%として、下記で示される成分からなり、
SiO2 55〜80
Al2O3 5〜25
Li2O 0〜15
Na2O 0〜5
K2O 0〜5
MgO 0.1〜40
CaO 0〜30
SrO 0〜5
BaO 0〜5
ZnO 0〜25
TiO2 0〜10
ZrO2 0〜3
B2O3 0〜10
ビスマス酸化物(Bi2O3換算) 0.01〜5
Y2O3+La2O3+Ta2O5+Nb2O5+GeO2+In2O3 0〜5
As2O3+Sb2O3+SO3+SnO2+Fe2O3+Cl+F 0〜1
その他の成分の合計 0以上1未満
かつ、2価金属酸化物の含有率の総和
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO
が、0.1〜40モル%の範囲にあり、
波長が400nmから850nmの範囲にある励起光の照射により赤外波長域で蛍光を呈し、
前記蛍光の強度が最大になる発光波長が1000nmから1600nmの範囲にあり、
前記蛍光の強度の波長に対する半値全幅が150nm以上400nm以下であるガラス組成物、
からなることを特徴とする赤外発光体。 - 調合したガラス原料を熔融して得たガラス組成物であって、
含有率の単位をモル%として、下記で示される成分からなり、
SiO2 55〜80
Al2O3 5〜25
Li2O 0〜15
Na2O 0〜5
K2O 0〜5
MgO 0.1〜40
CaO 0〜30
SrO 0〜5
BaO 0〜5
ZnO 0〜25
TiO2 0〜10
ZrO2 0〜3
B2O3 0〜10
ビスマス酸化物(Bi2O3換算) 0.01〜5
Y2O3+La2O3+Ta2O5+Nb2O5+GeO2+In2O3 0〜5
As2O3+Sb2O3+SO3+SnO2+Fe2O3+Cl+F 0〜1
かつ、2価金属酸化物の含有率の総和
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO
が、0.1〜40モル%の範囲にあり、
波長が400nmから850nmの範囲にある励起光の照射により赤外波長域で蛍光を呈し、
前記蛍光の強度が最大になる発光波長が1000nmから1600nmの範囲にあり、
前記蛍光の強度の波長に対する半値全幅が150nm以上400nm以下であるガラス組成物、
からなることを特徴とする赤外発光体。 - 前記ガラス組成物が、Li2Oを含む請求項1または2に記載の赤外発光体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のガラス組成物を母ガラスとする透明結晶化ガラスからなる赤外発光体。
- 前記ガラス組成物の色調が赤または赤褐色である請求項1または2に記載の赤外発光体。
- 前記励起光の波長が、400nmから600nmの範囲にある請求項1または2に記載の赤外発光体。
- 前記励起光の波長が、650nmから750nmの範囲にある請求項1または2に記載の赤外発光体。
- 波長範囲1000〜1600nmの少なくとも一部の波長領域で増幅利得を有する請求項1ないし7の何れか1項に記載の赤外発光体を用いた光増幅媒体。
- 波長範囲1000〜1400nmの少なくとも一部の波長領域で増幅利得を有する請求項8に記載の光増幅媒体。
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