JP3896822B2 - 斜板型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に用いられる斜板型圧縮機に係り、特にそのロータリーバルブの摺動面へのオイル供給技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の圧縮機では、冷媒ガスが圧縮機内を潤滑するという構成が多く採用されている。例えば、特開平7−189902号公報に開示されるクラッチレス片側ピストン式可変容量圧縮機では、回転軸の周囲に配列された複数のシリンダボア内に片頭ピストンを往復直線運動可能に収容するハウジング内の回転軸に回転支持体を止着し、この回転支持体に斜板を傾動可能に支持し、吐出圧領域の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を吸入圧領域に放出してクランク室内の調圧を行なう構成になっている。片頭ピストンによって各シリンダボア内に区画される圧縮室に冷媒ガスを供給するための吸入冷媒供給通路をロータリーバルブに形成している。ロータリーバルブの吸入冷媒供給通路はロータリーバルブの回転に伴って複数の圧縮室に順次連通する。この連通は圧縮室に対する片頭ピストンの吸入動作に同期して行なわれる。吸入冷媒供給通路と圧縮室とが連通している時にピストンが下死点側へ向かい、圧縮室の圧力が吸入冷媒供給通路の圧力以下まで低下していく。この圧力低下により吸入冷媒供給通路の冷媒ガスが圧縮室へ流入する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−189902号公報に開示された構成では、ロータリーバルブの外周面とハウジング(シリンダブロック)の内周面との間からシリンダボアで圧縮されている冷媒ガスが漏れ出し、圧縮効率が低下するという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、冷媒ガス中に含まれるオイルを遠心分離し、その分離オイルをロータリーバルブとハウジングとの摺動面、すなわちロータリーバルブのクリアランス部に供給することによってシール性を向上させることができる斜板型圧縮機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1及び請求項2に記載の発明は、斜板型圧縮機において、少なくとも前記シャフトの一部に形成された冷媒流通路と、吸入行程にある各シリンダボアと前記吸入圧領域とを順次連通する吸入通路を備え前記シャフトと一体的に回転するロータリーバルブと、前記冷媒流通路上に設けられ前記シャフトの回転に伴い冷媒ガス中に混在するオイルを該冷媒ガスから遠心分離する形状を有したオイルセパレータと、前記遠心分離されたオイルをロータリーバルブとハウジングとの摺動面に供給する供給通路とを備えている
【0006】
この発明によれば、冷媒流通路を流れる冷媒ガスがオイルセパレータを通過する際、シャフト及びロータリーバルブの一体回転に伴って回転する該オイルセパレータによって、冷媒ガスに混在するオイルは該冷媒ガスから遠心分離される。その遠心分離されたオイルは、ロータリーバルブとハウジングとの摺動面に供給される。従って、例えば、シャフト及びロータリーバルブの高速回転によって前記摺動面に生じる焼きつき及びロータリーバルブのクリアランス部からのガス漏れを防ぐことが可能となり、シール性が向上する。ひいては斜板型圧縮機の性能向上となる。
【0007】
とくに請求項に記載の発明は、前記オイルセパレータは、前記冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対して、前記冷媒流通路が上流側に比較して下流側ほど拡径する形状に形成されたものであることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、オイルセパレータの内周面に付着したオイルは、シャフト及びロータリーバルブの回転時に、遠心力によってオイルセパレータの拡径された側へ移動する。例えば、オイルの出口がこのオイルセパレータの拡径された側に形成されている場合は、この出口からオイルがオイルセパレータの外部に排出されやすくなる。
【0011】
とくに請求項に記載の発明は、前記供給通路は、前記冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対して前記オイルセパレータよりも下流側に設けられていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、供給通路は、冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対して、オイルセパレータの下流側に位置している。このため、前記遠心分離されたオイルがオイルセパレータの外部に排出されやすくなり、供給通路に供給されやすくなる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記供給通路が、前記導通路と連通することによって、前記遠心分離されたオイルがピストンとシリンダボアとの間に供給されるようにしたことを要旨とする。
この発明によれば、シャフト及びロータリーバルブの回転に伴って、ロータリーバルブに設けられた供給通路が導通路と順次連通し、前記供給通路及び導通路を介して、遠心分離されたオイルがピストンとシリンダボアとの間に供給される。これにより、ピストンとシリンダボアとの摺動面であるサイドクリアランス部でのガス漏れを防ぐことが可能となり、シール性が向上する。ひいては斜板型圧縮機の性能向上となる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明において、前記冷媒流通路は抽気通路を形成していることを要旨とした。
この発明によれば、クランク室と吸入室とを連通している冷媒流通路は、抽気通路として冷媒ガスを導入している。これにより、抽気通路上にオイルセパレータを設けることが可能となる。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明において、前記吸入通路が前記供給通路を兼ねていることを要旨とする。
この発明によれば、吸入通路が遠心分離されたオイルを供給する供給通路の役目を兼ねている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両用空調装置に用いられる斜板型圧縮機に具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0016】
図1に示すように、フロントハウジング11はシリンダブロック12の前端に接合されている。リヤハウジング13は、シリンダブロック12の後端に弁・ポート形成体14を介して接合されている。フロントハウジング11、シリンダブロック12及びリヤハウジング13は、通しボルト11a(図2参照)によって締結固定され、圧縮機のハウジングを構成している。なお、図1の左方を圧縮機の前方とし、右方を後方とする。
【0017】
弁・ポート形成体14は、バルブプレート14aの後面に吐出弁形成板14bが、吐出弁形成板14bの後面にリテーナ形成板14cがそれぞれ重合された状態に形成されている。弁・ポート形成体14は、バルブプレート14aの前面においてシリンダブロック12に接合されている。
【0018】
クランク室15は、フロントハウジング11とシリンダブロック12との間に区画形成されている。シャフト16はクランク室15を貫通するように配置され、フロントハウジング11とシリンダブロック12との間に回転可能に架設支持されている。シャフト16の前端部側は、フロントハウジング11にラジアルベアリング17を介して支持されている。シリンダブロック12のほぼ中央部には収容孔18が貫設され、シャフト16の後端部は収容孔18に装備されたラジアルベアリング19に支持されている。シャフト16の前端部側には軸封装置20が設けられている。
【0019】
複数(図面には二つのみ示す)のシリンダボア12aは、シャフト16を等角度間隔にて取り囲むようにシリンダブロック12に形成されている。片頭型のピストン21は、各シリンダボア12aに往復動可能に収容されている。シリンダボア12aの前後開口は、弁・ポート形成体14及びピストン21によって閉塞されており、シリンダボア12a内にはピストン21の往復動に応じて体積変化する圧縮室22が区画されている。
【0020】
ラグプレート23は、クランク室15においてシャフト16に一体回転可能に固定されている。ラグプレート23はフロントハウジング11の内壁面11bにスラストベアリング24を介して当接可能になっている。内壁面11bはピストン21の圧縮反力による軸荷重を支承し、シャフト16の前方へのスライド移動を規制する。
【0021】
斜板25は、斜板25に形成された貫通孔にシャフト16が貫通された状態でクランク室15内に配設されている。ヒンジ機構26は、ラグプレート23と斜板25との間に介在されている。そして、斜板25は、ヒンジ機構26を介したラグプレート23との間でのヒンジ連結及びシャフト16の支持により、ラグプレート23及びシャフト16と同期回転可能で、かつシャフト16の軸線方向へのスライド移動を伴いながらシャフト16に対し傾動可能となっている。ラグプレート23及びヒンジ機構26は容量可変機構を構成する。
【0022】
ピストン21はシュー27を介して斜板25の周縁部に係留されている。従って、シャフト16の回転に伴う斜板25の回転運動が、シュー27を介してピストン21の往復運動に変換される。
【0023】
ラグプレート23、斜板25、ヒンジ機構26及びシュー27は、シャフト16の回転運動を圧縮室22内の冷媒ガスを圧縮するための圧縮運動に変換するクランク機構を構成する。
【0024】
最小傾角規定部28は、シャフト16において斜板25とシリンダブロック12との間に配設されている。最小傾角規定部28は、リング状の部材がシャフト16の外周面に外嵌固定されてなる。斜板25の最小傾角は、最小傾角規定部28との当接により規定され、斜板25の最大傾角は、ラグプレート23との当接により規定される。
【0025】
図1に示すようにリヤハウジング13内には吸入室29及び吐出室30が区画形成されている。弁・ポート形成体14には各シリンダボア12aに対応して、吐出ポート33、及び同ポート33を開閉する吐出弁34が形成されている。吐出ポート33を介して各シリンダボア12aと吐出室30とが連通される。吸入室29と吐出室30とは図示しない外部冷媒回路で接続されている。
【0026】
シリンダブロック12及びリヤハウジング13にはクランク室15と吐出室30とを連通する給気通路35が設けられ、給気通路35の途中には、容量可変機構を構成する制御弁36が設けられている。制御弁36は公知の電磁弁からなり、弁室が給気通路35上に形成され、ソレノイドの励磁により給気通路35が閉塞され、ソレノイドの消磁により給気通路35が開放されるようになっている。また、ソレノイドの励磁電流の大きさにより開度が調整可能となっている。なお、制御弁36は絞り部としても機能する。
【0027】
シャフト16の後端部はロータリーバルブ37を形成している。シャフト16とロータリーバルブ37は一体構成であり、シャフト16の回転に伴いロータリーバルブ37は一体回転する。シャフト16及びロータリーバルブ37には、冷媒流通路38が掘り込み加工されている。冷媒流通路38の後端部側、即ちロータリーバルブ37のほぼ中央部には、冷媒ガス中に混在するオイルを分離するオイルセパレータ39が冷媒流通路38上に設けられている。
【0028】
冷媒流通路38は、入口38aがラジアルベアリング17より後端部側に形成されている。また後端部側はオイルセパレータ39を介して拡径され、連通室41bを形成している。連通室41bの後端側と吸入室29とは、冷媒ガスが流れるように連通している。これにより冷媒流通路38がクランク室15と吸入室29とを連通する抽気通路を構成している。
【0029】
オイルセパレータ39は、シャフト16内に掘り込み加工されている冷媒流通路38上の後端部側に形成され、冷媒流通路38の一部をなしている。図1に示すように、オイルセパレータ39は、クランク室15から吸入室29へ至る冷媒ガスの流れに対して上流側を先端側とすると、その流路断面積が後端側ほど大きくなるように傾斜する内周面形状を有している。オイルセパレータ39の径は前記後端において最も大きくなるように形成されている。
【0030】
シャフト16と一体になっているロータリーバルブ37には、図1に示すように、内部の冷媒流通路38に連通する連通孔41aが形成されている。ここで、シャフト16及びロータリーバルブ37が図2に矢視する方向に回転することにより、シリンダボア12aの導通路42が連通孔41aと順次連通する。連通孔41aと連通室41bとから吸入通路41が構成される。
【0031】
吸入通路41は、シャフト16に対してオイルセパレータ37よりも後端部側(下流側。図1において右側)に設けられている。また、導通路42は、シリンダブロック12内に形成され、その一端がシリンダボア12aに連通し、その他端は吸入通路41(連通孔41a)に対応する位置に配置されている。ロータリーバルブ37の回転時は、吸入行程にあるシリンダボア12aの導通路42が吸入通路41と連通するとともに、圧縮・吐出行程にあるシリンダボア12aの導通路42が吸入通路41とは連通していない。このとき、ロータリーバルブ37とシリンダブロック12との摺動面(シール部位)は気密状態にシールされている。
【0032】
次に、前記のように構成された圧縮機の作用を説明する。
シャフト16の回転に伴いラグプレート23及びヒンジ機構26を介して斜板25が一体回転され、斜板25の回転運動がシュー27を介して各ピストン21の往復運動に変換される。この駆動の継続によって圧縮室22では、冷媒の吸入、圧縮及び吐出が順次繰り返される。外部冷媒回路から吸入室29に供給された冷媒は、圧縮室22に吸入され、ピストン21の移動による圧縮作用を受けた後、吐出ポート33を介して吐出室30に吐出される。吐出室30に吐出された冷媒は吐出通路を経て外部冷媒回路に送り出される。
【0033】
そして、図示しない制御装置により、制御弁36の開度、即ち給気通路35の開度が冷媒負荷に応じて調整され、吐出室30とクランク室15との連通状態が変更される。
【0034】
冷媒負荷が大きい場合は給気通路35の開度が減少され、吐出室30からクランク室15に供給される冷媒ガスの流量が減少する。クランク室15に供給される冷媒ガスの量が減少すると、冷媒流通路38等を介した吸入室29への冷媒ガスの逃がしにより、クランク室15の圧力が次第に低下する。その結果、クランク室15の圧力とシリンダボア12aの圧力とのピストン21を介した差が小さくなるため、斜板25が最大傾斜角側に変位される。従って、ピストン21のストローク量が増大し、吐出容量が増大される。
【0035】
逆に、冷媒負荷が小さくなると、制御弁36の開度が増大され、吐出室30からクランク室15に供給される冷媒ガスの流量が増大する。クランク室15に供給される冷媒ガスの量が、冷媒流通路38を介した吸入室29への冷媒ガスの逃がし量を上回ると、クランク室15の圧力が次第に上昇していく。その結果、クランク室15の圧力とシリンダボア12aの圧力とのピストン21を介した差が大きくなるため、斜板25が最小傾斜角側に変位される。従って、ピストン21のストローク量が減少し、吐出容量が減少される。
【0036】
冷媒流通路38を介して吸入室29側に導入される冷媒ガスのうちオイルセパレータ39の内周面近傍のものは、該オイルセパレータ39の回転に伴って随伴旋回される。この旋回により、前記冷媒ガス中に混在するオイルは、前記冷媒ガスから遠心分離される。この分離されたオイルはオイルセパレータ39の内周面に付着する。この内周面に付着したオイルは、オイルセパレータ39の内周面に沿って後端側に移動される。そして、このオイルは、オイルセパレータ39の回転に基づく遠心力などによって、オイルセパレータ39の外部に排出され吸入通路41に供給される。前記遠心分離されたオイルは図3に矢視するように移動する。
【0037】
吸入通路41中に供給されたオイルは、ロータリーバルブ37とシリンダブロック12との間のクリアランス部へ供給される。また、吸入通路41がシャフト16及びロータリーバルブ37の回転に伴い、導通路42と順次連通することによって、前記オイルはピストン21とシリンダボア12aとの間のサイドクリアランス部に供給される。
【0038】
オイルセパレータ39内において前記オイルが分離された冷媒ガスの一部は、連通室41bを介して吸入室29に導入される。この吸入室29に導入された冷媒ガス(このガスの前記オイル混在量は少ない)は、圧縮室22及び吐出室30を介して前記外部冷媒回路側に排出される。
【0039】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(1) ロータリーバルブ37・シャフト16一体仕様の内部に設けられたオイルセパレータ39を用いて冷媒ガスに混在するオイルを分離し、このオイルをロータリーバルブ37とシリンダブロック12との間のクリアランス部に供給した。これにより、ロータリーバルブ37の焼きつきを防止できるとともに、ガス漏れを防止でき、シール性が向上し、ひいては圧縮機の性能が向上する。
【0040】
(2) ロータリーバルブ37の回転によって吸入通路41と導通路42を連通させ、オイルセパレータ39によって分離されたオイルを、前記吸入通路41及び導通路42を介して、ピストン21とシリンダボア12aとの間のサイドクリアランス部へ供給した。これにより、ガス漏れを防止でき、シール性が向上し、ひいては圧縮機の性能が向上する。
【0041】
(3) シャフト16内に形成された冷媒流通路38の一部を利用してオイル分離構造を構築することで、オイル分離構造を追加することによる圧縮機の大型化を防止することができる。
【0042】
(4) オイルセパレータ39の内周面は、冷媒ガスの流れに対して、上流側に比較して下流側ほど内径が大きくなるように傾斜した状態で形成されている。これによれば、オイルセパレータ39の内周面に付着したオイルは、シャフト16の回転時に、遠心力によって該オイルセパレータ39の下流側から外部に排出されやすくなる。
【0043】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、以下の様態としてもよい。
○ オイルセパレータは、冷媒ガスの流れに対して、その内径が上流側に比較して下流側ほど大きくなるように傾斜した内周面を有するように形成されていなくてもよい。例えば、図4に示すように、オイルを付着させる内周面の内径が上流側から下流側まで一定になるように設定されていてもよい。このオイルセパレータ50は、前記内周面の内径が前記実施形態のオイルセパレータ39の内周面の最大内径よりも大きく設定されている。従って、回転時の周速度がより大きくなり、遠心分離効果が向上する。
【0044】
○ 吸入通路は、シャフトに対してオイルセパレータよりも後端部側に設けられなくてもよい。例えば、図5に示すように、吸入通路41はシャフト16に対してオイルセパレータ39と同位置または上流側に設けられていてもよい。このように構成しても、遠心分離されたオイルは吸入通路41に供給させることができる。
【0045】
○ 供給通路と吸入通路とを別々に設けてもよい。例えば、図6に示すように、吸入通路41とは別に、分離オイルを供給するための通路として供給通路43をシリンダブロック12及びロータリーバルブ37に設けてもよい。このように構成しても、遠心分離されたオイルは供給通路43からロータリーバルブ37とシリンダブロック12との間、及びピストン21とシリンダボア12aとの間に供給することができる。
【0046】
○ 図6では、供給通路43を導通路42の途中に接続させたが、シリンダボア12aに直接接続させてもよい。
○ 前記実施形態では、吸入室29をリヤハウジング13中に設けたが、吸入室29を設けず、直接連通室41bに冷媒を導入してもよい。この場合、連通室41bが吸入圧領域となる。
【0047】
○ 前記実施形態では、冷媒流通路38をシャフト16中に設けたが、冷媒流通路38はシャフト16の外周に形成された溝として設けてもよい。
○ オイルセパレータは、側断面形状がテーパ状であることに限定されない。
【0048】
○ ロータリーバルブは、シャフト一体構成に限定されない。ロータリーバルブは、シャフトに組付けた別部品であってもよい。
○ ワッブルタイプの可変容量型圧縮機において具体化するようにしてもよい。
【0049】
次に、前記各実施形態から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
(イ) 請求項に記載の発明において、前記オイルセパレータは、その流路断面積が上流側よりも下流側の方が大きくなる空間を有する。この構成によれば、上流側に比べ下流側の方がより大きな遠心力を得ることができ、冷媒ガス中のオイルを遠心分離しやすくなる。
【0050】
(ロ) 請求項3に記載の発明において、前記オイルセパレータは、冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対し上流側から下流側に至るにつれて、冷媒流通路が徐々に拡径するように形成されている。この構成によれば、シャフト及びロータリーバルブの一体回転によって遠心分離されたオイルは、前記オイルセパレータの内周面に沿って徐々に拡径された側へ移動する。移動したオイルは前記オイルセパレータの外部に排出されやすくなる。
【0051】
(ハ) 請求項3に記載の発明において、前記オイルセパレータは、冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対し上流側から下流側に至るにつれて、前記シャフトが回転する中心軸線から、より離れる方向へ拡径している。この構成によれば、上流側に比べ下流側の方が、シャフトの回転する中心軸線から離れているため、より大きな遠心力を得ることができ、冷媒ガス中のオイルを遠心分離しやすくなる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜に記載の発明によれば、斜板型圧縮機において、冷媒ガス中に含まれるオイルをオイルセパレータによって遠心分離し、その分離オイルを、ロータリーバルブとハウジングとの摺動面に供給することによってシール性が向上し、圧縮機の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の圧縮機における図2のB−B線断面概略図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1の圧縮機の要部を示す拡大断面図。
【図4】別例の圧縮機の要部を示す拡大断面図。
【図5】別例の圧縮機の要部を示す拡大断面図。
【図6】別例の圧縮機の要部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
11…ハウジングを構成するフロントハウジング、12…同じく構成するシリンダブロック、13…同じくリヤハウジング、15…クランク室、16…シャフト、21…ピストン、22…圧縮室、25…斜板、29…吸入室、30…吐出室、37…シャフトと一体構成となっているロータリーバルブ、38…冷媒流通路、39…オイルセパレータ、41…供給通路を兼ねた吸入通路、42…導通路。

Claims (5)

  1. シャフトの周囲に配列された複数のシリンダボア内に挿入された複数個のピストンと、前記ピストンを収容するハウジングと、前記ハウジング内に形成されたクランク室と、前記シャフトに取り付けられて共に回転することによりピストンを往復運動させる斜板と、前記ピストンによって前記シリンダボア内に区画される圧縮室と、前記圧縮室から吐出された冷媒ガスが導入される吐出圧領域と、前記圧縮室に吸入される冷媒ガスが導入される吸入圧領域とを備えた斜板型圧縮機において、
    少なくとも前記シャフトの一部に形成された冷媒流通路と、
    吸入行程にある各シリンダボアと前記吸入圧領域とを順次連通する吸入通路を備え前記シャフトと一体的に回転するロータリーバルブと、
    前記冷媒流通路上に設けられ前記シャフトの回転に伴い冷媒ガス中に混在するオイルを該冷媒ガスから遠心分離するために、前記冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対して、前記冷媒流通路が上流側に比較して下流側ほど拡径する形状を有したオイルセパレータと、
    前記遠心分離されたオイルをロータリーバルブとハウジングとの摺動面に供給する供給通路と
    を備えたことを特徴とする斜板型圧縮機。
  2. シャフトの周囲に配列された複数のシリンダボア内に挿入された複数個のピストンと、前記ピストンを収容するハウジングと、前記ハウジング内に形成されたクランク室と、前記シャフトに取り付けられて共に回転することによりピストンを往復運動させる斜板と、前記ピストンによって前記シリンダボア内に区画される圧縮室と、前記圧縮室から吐出された冷媒ガスが導入される吐出圧領域と、前記圧縮室に吸入される冷媒ガスが導入される吸入圧領域とを備えた斜板型圧縮機において、
    少なくとも前記シャフトの一部に形成された冷媒流通路と、
    吸入行程にある各シリンダボアと前記吸入圧領域とを順次連通する吸入通路を備え前記シャフトと一体的に回転するロータリーバルブと、
    前記冷媒流通路上に設けられ前記シャフトの回転に伴い冷媒ガス中に混在するオイルを該冷媒ガスから遠心分離する形状を有したオイルセパレータと、
    前記遠心分離されたオイルをロータリーバルブとハウジングとの摺動面に供給する供給通路とを備え、前記供給通路は、前記冷媒流通路中の冷媒ガスの流れに対して前記オイルセパレータよりも下流側に設けられていることを特徴とする斜板型圧縮機。
  3. 前記供給通路が、前記導通路と連通することによって、前記遠心分離されたオイルがピストンとシリンダボアとの間に供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の斜板型圧縮機。
  4. 前記冷媒流通路は抽気通路を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の斜板型圧縮機。
  5. 前記吸入通路が前記供給通路を兼ねていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の斜板型圧縮機
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