JP3896703B2 - 防犯センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、盗難防止のための防犯センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
絵画、骨董品等の裏面に取り付け、それらの盗難事故を検出する防犯センサが従来より用いられている。この防犯センサ1の構造を図1(a)(b)に示す。この防犯センサ1は、金属製の球体2を絶縁体からなるケース3内に遊動自在に納め、ケース3内部の湾曲した底面4に一対の接点5a,5bを配置したものである。しかして、防犯センサ1を取り付けられた例えば絵画6が、図2(a)のように壁面7に真っ直ぐに掛けられている場合には、図1(a)に示すように防犯センサ1内の球体2が両接点5a,5bに接触して接点5a,5bどうしが導通状態となっている。しかし、絵画6を運び出そうとして絵画6が傾けられると、絵画6に取り付けられている防犯センサ1も傾き、その結果、図1(b)のように球体2が少なくとも一方の接点5bから離れて接点5a,5bどうしが非導通状態となり、盗難が検出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の防犯センサ1にあっては、接点どうしが閉じた状態に保たれるよう垂直な状態で絵画や展示品等に取り付ける必要があるので、図2(b)のように壁面7に対して斜めに掛けられた絵画6や複雑な形状をした骨董品などに取り付けるときには、その取り付け状態の不具合のために球体が正規の位置から動いて接点どうしが開き、防犯センサが動作してしまったり、ちょっとした振動やわずかな傾きが加わっただけで誤動作したりする恐れがあった。そのため、防犯センサを取り付けている絵画や骨董品等の展示状態などに応じて、防犯センサの取り付け状態を1つ1つ点検したり、何度も取り付け直さねばならないことがあった。特に、傾いた展示品の場合には、防犯センサを展示品に対して傾けて取り付ければ誤動作の可能性はなくなるが、センサ取り付け時の角度調整が難しく、加えて防犯センサを取り付ける展示品毎に角度や展示形態等が異なる場合には、1つ1つ個別に調整する必要があるなど、センサ取り付け時の調整が難しいという問題があった。
【0004】
本発明は従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り付け角度の制限を受けることなく、調整することなく簡略に取り付けても簡単に異常判定することができる防犯センサを提供することにある。
【0005】
【発明の開示】
請求項1に記載の防犯センサは、対象物の傾斜を検出するための傾斜検出手段と、前記傾斜検出手段が対象物に取り付けられたことを検出する設置確認手段と、前記設置確認手段が、前記傾斜検出手段が対象物に取り付けられたことを検出した後、所定時間経過後に自動的にトリガ信号を発生させるタイマと、前記傾斜検出手段から出力される傾斜レベルを前記トリガ信号入力に応じて記憶する傾斜レベル記憶手段と、前記傾斜検出手段から出力される傾斜レベルと、前記傾斜レベル記憶手段に保持されている傾斜レベルから形成されるしきい値とを比較判定する傾斜レベル判別手段とを備えたものである。
【0006】
この防犯センサにあっては、傾斜検出手段が対象物に取り付けられた状態で、その傾斜レベルが傾斜レベル記憶手段に記憶され、傾斜レベル記憶手段に記憶されている傾斜レベルと傾斜検出手段で検出されている傾斜レベルとを比較することにより、盗難事故が発生しようとしているかどうかを判断する。従って、傾斜検出手段を予め指定された通りに対象物に取り付けなければならないといった不都合がなく、斜めに掛けられた絵画や複雑な形状をした骨董品などにも容易に取り付けることができる。よって、簡単な操作により汎用的に防犯センサを使用することが可能になる。
【0007】
しかも、この防犯センサにあっては、前記傾斜検出手段が対象物に取り付けられたことを検出する設置確認手段と、前記設置確認手段が、前記傾斜検出手段が対象物に取り付けられたことを検出した後、所定時間経過後に自動的にトリガ信号を発生させるタイマとを備えているので、傾斜検出手段を対象物に取り付ける前に傾斜レベルを記憶させるのを防止することができ、誤操作を防止することができる。さらに、所定時間経過後に自動的に傾斜レベルを記憶させるようにしているので、傾斜検出手段を対象物に設置する際の作業を簡略化できると共に、傾斜レベルを記憶させる際に検出手段に余分な傾斜の変化を与えるのを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の防犯センサは、対象物の振動を検出するための振動検出手段と、前記振動検出手段から出力される振動レベルが所定範囲内にあるか否かを判定する振動レベル判別手段とを更に備えたものである。
【0011】
この防犯センサにあっては、対象物の傾きの異常と振動との両面から盗難を検出することができるので、より信頼性を高めることができる。しかも、ここで用いられる検出手段は、対象物の傾斜レベルを検出するための傾斜検出手段と振動レベルを検出するための振動検出手段とを兼ねているので、部品の共用化によってコストを低廉にすることができる。また、防犯センサの小型化にも寄与するから、小さな対象物にも取り付けることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態による防犯センサ11を説明する。最初に説明する防犯センサ11は、傾斜センサ12によってセンサ自身又はセンサを取り付けた絵画や美術品等の対象物の傾きを検出するものである。この防犯センサ11の構成を図3の回路ブロック図に示す。傾斜センサ12は、その傾斜量に応じたアナログ電圧出力(傾斜データ)を出力するものである。傾斜センサ12の出力は、記憶回路13と2つのコンパレータ23,24へ送出される。記憶回路13はメモリIC等を内蔵しており、トリガ入力にトリガ信号が入力された時に傾斜センサ12から送出された傾斜データを記憶保持する。記憶データ有無判別回路14は、たとえばコンパレータなどを用いて、記憶回路13に記憶データが入っている場合にハイレベルの信号が出力されるように構成されている。
【0021】
傾斜センサ設置確認スイッチ15は傾斜センサ12を対象物に取り付けた時に連動してオンになるように構成されており、抵抗16と直列接続して電源電位VDDと接地電位との間に接続されている。傾斜センサ設置確認スイッチ15がオフになっている場合には、傾斜センサ設置確認スイッチ15と抵抗16との中点から出ている信号線15aはローレベルとなり、傾斜センサ設置確認スイッチ15がオンになると、信号線15aはハイレベルとなる。学習スイッチ17も抵抗18と直列接続して電源電位VDDと接地電位との間に接続されており、学習スイッチ17がオフになっている場合には、学習スイッチ17と抵抗18との中点から出ている信号線17aはローレベルとなり、学習スイッチ17がオンになると、信号線17aはハイレベルとなる。学習スイッチ17側の信号線17aはアンドゲート19に入力され、記憶データ有無判別回路14の出力はインバータ回路20を介してアンドゲート19に入力され、さらに、アンドゲート19の出力と傾斜センサ設置確認スイッチ15側の信号線15aがアンドゲート21に入力され、アンドゲート21の出力が記憶回路13のトリガ入力に接続されている。従って、傾斜センサ12が対象物に取り付けられて傾斜センサ設置確認スイッチ15がオンになっている場合には、記憶回路13に記憶データがなく記憶データ有無判別回路14の出力がローであって、かつ、学習スイッチ17がオンになると、記憶回路13は傾斜センサ12からの傾斜データを記憶保持する。
【0022】
記憶回路13に傾斜センサ12からの傾斜データが記憶されると、しきい値形成回路22は、傾斜データに基づいて傾斜センサ12の出力の許容傾斜範囲を定め、その上限値と下限値をコンパレータ23,24に出力する。ここで、許容傾斜範囲は、対象物に取り付けられている傾斜センサ12の出力の自然な変動の範囲に設定され、盗難等の異常が起きたときの傾斜センサ12の出力が許容傾斜範囲外となるように定められる。なお、許容傾斜範囲の上限値及び下限値はオペアンプなどを用いた加算回路や減算回路などで容易に実現できる。
【0023】
コンパレータ23は許容傾斜範囲の上限値と傾斜センサ12の出力データとを比較しており、コンパレータ23は、傾斜センサ12の出力が上限値を越えると作動し、その出力がローレベルからハイレベルに変化する。コンパレータ24は許容傾斜範囲の下限値と傾斜センサ12の出力とを比較しており、コンパレータ24は、傾斜センサ12の出力データが下限値よりも下がると作動し、その出力はローレベルからハイレベルに変化する。両コンパレータ23,24の比較出力は、ともにオアゲート25に入力されており、オアゲート25の出力はアナログスイッチ26に接続されている。オアゲート25の出力がハイレベルになると、アナログスイッチ26を介して警報出力が出力され、警報装置(図示せず)から警報が発せられる。従って、傾斜センサ12の出力データが許容傾斜範囲外になると、警報装置が作動する。ただし、アナログスイッチ26は、記憶データ有無判別回路14の出力によって制御されており、記憶回路13にデータがなく記憶データ有無判別回路14の出力がローの場合には、オンにならず、警報出力は出力されない。
【0024】
また、アンドゲート28の一方の入力には、インバータ回路27を介して傾斜センサ設置確認スイッチ15の信号線15aが接続され、他方の入力には、記憶データ有無判別回路14の出力が接続されており、記憶回路13にデータが保持されている状態で、傾斜センサ設置確認スイッチ15がオフになって、その信号線がローレベルになると、アンドゲート28から警報出力が出力され、警報装置が作動して警報が発せられる。
【0025】
次に、この防犯センサ11の動作を説明する。傾斜センサ12を対象物に取り付けて設置すると、傾斜センサ設置確認スイッチ15が連動してオンになるので、アンドゲート21の一方の入力がハイレベルになり、学習スイッチ17で制御されるアンドゲート19が発する出力(学習信号)の値に応じて、記憶回路13のトリガ入力の制御が可能な状態になる。傾斜センサ12を対象物に取り付けた時点では記憶回路13には傾斜データは存在していないので、記憶データ有無判別回路14の出力からはローレベルの信号が出力され、インバータ回路20でハイレベルの信号に変換され、アンドゲート19の一方の入力に入力される。従って、この状態で学習スイッチ17がオンされると、アンドゲート19及び21の出力がハイレベルになり記憶回路13のトリガ入力にトリガ信号が入力されるので、傾斜量に応じた傾斜センサ12の信号(傾斜データ)が記憶回路13に入力されて記憶保持される。すなわち、最初に学習スイッチ17をオンにすると、傾斜センサ12の取り付け作業時の傾斜データが記憶される。
【0026】
記憶回路13に傾斜データが記憶保持されると、記憶データ有無判別回路14の出力がハイレベルに変化するので、インバータ回路20を介してアンドゲート19の一方の入力がローレベルとなり、以後学習スイッチ17を操作しても記憶回路13にトリガ入力が入ることが禁止される。よって、記憶回路13に保持されている傾斜データの書き換えが防止され、記憶回路13のデータを変更した上での盗難を防止できる。
【0027】
つぎに、記憶回路13に傾斜データが記憶されると、しきい値形成回路22は、記憶回路13に保持されている傾斜データに基づいて許容傾斜範囲の上限値及び下限値を生成し、上限値をコンパレータ23に入力し、下限値をコンパレータ24に入力する。コンパレータ23及び24では、それぞれ傾斜センサ12の出力と傾斜許容範囲の上限値及び下限値とを常時比較し、傾斜センサ12を対象物に取り付けたとき(学習スイッチ17をオンにして傾斜データを入力させたとき)の傾斜レベルと比較して傾斜レベルの変動が許容範囲を越えた場合には、対象物の盗難等によるものであると判断し、警報信号を発する。ただし、記憶データ有無判別回路14の出力がローの場合には、アナログスイッチ26から警報出力が出力されないので、傾斜センサ12が対象物に取り付けられ、学習スイッチ17がオンされる前には、誤って警報装置が作動することはない。
【0028】
また、傾斜センサ12を対象物に取り付け、学習スイッチ17をオンにして記憶回路13に傾斜データを保存させた後で、傾斜センサ12を対象物から取り外されると、傾斜センサ設置確認スイッチ15がオフになるので、信号線15aがローレベルとなり、アンドゲート28から警報出力が出力され、警報装置が作動する。従って、傾斜センサ12を対象物から取り外して対象物を持ち去ろうとする場合にも警報が発せられ、傾斜センサ12を外した上での盗難を防止できる。
【0029】
(第2の実施形態)
図4は本発明の別な実施形態による防犯センサ41の構成を示す回路ブロック図である。この実施形態にあっては、対象物に取り付けられ、振動量に応じたアナログ電圧出力を発する振動センサ42が用いられている。振動センサ42の出力は、コンデンサ43を介して振動の変化分のみの成分(交流成分)とし、コンパレータ45に入力される。振動センサ42の振動成分は、コンパレータ45で基準電圧発生回路44の判定レベル(基準電圧Vref)と比較され、検出されている振動が所定の振動レベル以上になると警報出力を発する。
【0030】
従って、振動センサ42を取り付けられている対象物を持ち出そうとすると、その際の振動が振動センサ42により検出され、警報装置が作動して警報が発せられる。
【0031】
振動センサ設置確認スイッチ47は振動センサ42を対象物に取り付けた時に連動してオンになるように構成されており、抵抗48と直列接続して電源電位VDDと接地電位との間に接続されている。振動センサ設置確認スイッチ47がオフになっている場合には、振動センサ設置確認スイッチ47と抵抗48との中点から出ている信号線47aはローレベルとなり、振動センサ設置確認スイッチ47がオンになると、信号線47aはハイレベルとなる。
【0032】
コンパレータ45による警報出力は、アナログスイッチ46を介して出力されており、アナログスイッチ46には振動センサ設置確認スイッチ47の信号線47aが接続され、振動センサ設置確認スイッチ47がオンの時に限ってアナログスイッチ46が作動するようになっている。従って、振動センサ42を対象物に取り付ける前の、振動センサ設置確認スイッチ47がオフのときには、アナログスイッチ46から警報出力は出力されず、誤動作が防止される。
【0033】
また、振動センサ設置確認スイッチ47の信号線47aは、RSラッチ回路49のS(セット)入力とインバータ回路50に接続されており、RSラッチ回路49のQ出力とインバータ回路50の出力はアンドゲート51に入力されている。緊急時には、アンドゲート51の出力はハイレベルとなる。いったん対象物に振動センサ42が取り付けられると、振動センサ設置確認スイッチ47が入ってRSラッチ回路49が働き、アンドゲート51の一方の入力がハイレベルになる。もう一方の入力はインバータ回路50によってローレベルの信号が入っているため、アンドゲート51の出力はローレベルに保持される。振動センサ42を対象物から外すと、振動センサ設置確認スイッチ47が切れてインバータ回路50の出力はハイレベルとなり、アンドゲート51の出力はハイレベルの警報出力となる。従って、対象物から振動センサ42が取り外された場合にも、警報が発せられる。
【0034】
(傾斜センサ、振動センサ)
上記第1の実施形態でも第2の実施形態でも、傾斜センサ12及び振動センサ42の構造については、特に説明しなかったが、これらのセンサでは、図5に示すような構造の加速度センサ61を用いることができる。この加速度センサ61は、フレーム62から延出されたビーム63の先端にマス部(重り部)64を設け、ビーム63によってマス部64を片持ち支持させたものであって、フレーム62の両面はガラス基板65,66によって塞がれている。このフレーム62、ビーム63及びマス部64は、例えばSiウエハをマイクロマシニング技術を用いて加工することによって一体に形成される。また、両ガラス基板65,66の内面の、マス部64と対向する位置には、固定電極67a,67bが形成されている。この加速度センサ61にあっては、静的加速度(つまり、重力加速度や遠心力等の周波数0Hzの加速度)や動的加速度(つまり、振動のような周波数が0Hzでない加速度)の検出が可能となっており、加速度が加わるとビーム63を湾曲させてマス部64が変位するので、この変位量をマス部64の表面(可動電極68a,68b)と固定電極67a,67bの間の静電容量の変化として出力することができる。
【0035】
この加速度センサ61は、第1の実施形態による防犯センサで用いた傾斜センサ12としても、第2の実施形態による防犯センサで用いた振動センサ42としても用いることができる。すなわち、加速度センサ61を左右に傾けると、図6(a)(b)に示すように重力加速度によってビーム63が湾曲して矢印のようにマス部64が移動し、マス部64の可動電極68a,68bと固定電極67a,67bの間の距離が変化して可動電極68aと固定電極67aの間の静電容量が増加または減少し、一方で可動電極68bと固定電極67bの間の静電容量が減少または増加するので、この静電容量の変化によって加速度センサ61の傾斜角を測定することができる。
【0036】
また、加速度センサ61に振動が加わると、図7に矢印で示すように、振動によってマス部64が内部で揺れ動いてマス部64の可動電極68a,68bと固定電極67a,67bの間の距離が変動するので、加速度センサ61に加わっている振動の周波数や振動の強さなどを計測することができる。
【0037】
図8は上記加速度センサ61を用いた傾斜センサ12の構成を示す回路図である。マス部64の両可動電極68a,68bには発振器30が接続されており、固定電極67a,67bにはそれぞれ抵抗31a,31bが直列に接続されていて、可動電極68aと固定電極67aの間の静電容量と抵抗31aによって一方のハイパスフィルタ(HPF)が構成されており、可動電極68bと固定電極67bの間の静電容量と抵抗31bによってもう一方のハイパスフィルタ(HPF)が構成されている。
【0038】
各抵抗31a,31bの上端電圧は、2つのコンパレータ32a,32bの各非反転入力端子に入力されており、2つのコンパレータ32Aa,32bの各反転入力端子には、基準電源33の基準電圧Vrefが入力されている。 さらに、一方のコンパレータ32aの出力は抵抗34aとコンデンサ35aをτ型接続したローパスフィルタを介して差動増幅器36の一方の入力端子に接続され、他方のコンパレータ32bの出力も抵抗34bとコンデンサ35bをτ型接続したローパスフィルタを介して差動増幅器36の他方の入力端子に接続されている。
【0039】
しかして、発振器30で発生した正弦波は、静電容量型の加速度センサ61の2対の電極67a,68a;67b,68b間の静電容量とそれに接続された抵抗31a,31bで形成された2つのハイパスフィルタを通過する。可動電極68a,68bはマス部64の両面に設けられているので、傾斜センサ12が傾くと、マス部64が一方の固定電極に接近して他方の固定電極から離れる。このとき2つのハイパスフィルタの各静電容量は、片一方が増加してもう一方が減少するように動作し、2つのハイパスフィルタを通過する正弦波の量も片一方が増加してもう一方が減少する。
【0040】
ハイパスフィルタの中点電圧はそれぞれ次段のコンパレータ32a,32bで基準電源33の基準電圧Vrefと比較され、前段のハイパスフィルタを通過した正弦波の量に応じて、出力のパルス波のデューティー比が増減させられる。ついで、ローパスフィルタ(34a,35a;34b,35b)を通して、前段のデューティー比が電圧に変換される。そして、差動増幅器3では、静電容量型の加速度センサ61の2対の電極67a,68a;67b,68b間の静電容量を電圧に変換したものが比較され、傾斜センサ12の傾きに応じた電圧信号として出力される。
【0041】
なお、図示しないが、静電容量型の加速度センサ61を用いた振動センサ42も、図8の傾斜センサ12と同様な構成を有している。
【0042】
(傾斜センサ設置確認スイッチ、振動センサ設置確認スイッチ)
また、傾斜センサ設置確認スイッチ15及び振動センサ設置確認スイッチ47としては、図9に示すような、防犯センサ11,41の表面に設けられた自己復帰型のスイッチ71を用いることができる。この自己復帰型スイッチ71は、突起部(押しボタン)72が防犯センサ11,41の取り付け面73から飛び出るように実装されており、防犯センサ11,41を対象物74に取り付けると、突起部72が押されてスイッチ71がオンになり、対象物74から取り外すと、突起部72が飛び出てスイッチ71がオフとなるものである。
【0043】
防犯センサに用いる傾斜センサ12や振動センサ42として図5のような加速度センサ61を用いれば、図3のような防犯センサ11に用いる傾斜センサ12と図4のような防犯センサ41に用いる振動センサ42として1個の加速度センサ61を共用することができ、また傾斜センサ設置確認スイッチ15及び振動センサ設置確認スイッチ47としても、1個の自己復帰型スイッチ71を共用できる。したがって、1個の加速度センサ61を傾斜センサ12及び振動センサ42として共用すると共に1個の自己復帰型スイッチ71を傾斜センサ設置確認スイッチ15及び振動センサ設置確認スイッチ47として兼用し、その加速度センサ61及び自己復帰型スイッチ71に図3のような回路構成(傾斜センサ12及び傾斜センサ設置確認スイッチ15を除いたもの)の防犯センサ11と図4のような回路構成(振動センサ42及び振動センサ設置確認スイッチ47を除いたもの)の防犯センサ41を接続し、2つの防犯センサ11,41の機能を1形態にしてコンパクトにまとめることが可能になる。
【0044】
(第3の実施形態)
図10は本発明のさらに別な実施形態による防犯センサ81の構成を示す一部省略した回路ブロック図である。第1の実施形態では、傾斜センサ12が対象物に取り付けられて傾斜センサ設置確認スイッチ15がオンになった後、学習スイッチ17をオンにすると、記憶回路13に傾斜データが記憶されるようになっていたが、この実施形態では、学習スイッチ17を押す手間を省いて自動化している。
【0045】
すなわち、傾斜センサ設置確認スイッチ15の信号線15aは、アンドゲート21の一方の入力、タイマ回路82の入力(及びインバータ回路27)に接続されており、タイマ回路82の出力がアンドゲート19の一方の入力に接続され、記憶データ有無判別回路14の出力もインバータ回路20を介してアンドゲート19の他方の入力に接続され、アンドゲート19の出力がアンドゲート21の他方の入力に接続され、アンドゲート21の出力が記憶回路13のトリガ入力に接続されている。
【0046】
しかして、傾斜センサ12が対象物に取り付けられて傾斜センサ設置確認スイッチ15がオンになると、タイマ回路82が作動し、記憶回路13にデータがない場合には、タイマ回路82が所定時間経過してカウントアップした時に記憶回路13にトリガ信号が入力され、傾斜センサ12の出力が記憶回路13に取込まれて記憶保持される。よって、この実施形態によれば、センサ設置時の作業を簡略化できると共に、学習スイッチ17を操作した時に防犯センサ81の傾斜角度が変化したり余計な振動が発生したりして誤動作するのを防止できる。
【0047】
(第4の実施形態)
図11は本発明のさらに別な実施形態による防犯センサ91の構成を示す一部省略した回路ブロック図である。この実施形態も、第1の実施形態の改良であって、学習スイッチ17が有効に働いたことを報知するための表示部96を備えている。
【0048】
すなわち、電源電圧VDDと設置電位の間には、発光ダイオード(LED)92、抵抗93及びトランジスタ94を直列に接続して構成した表示部96が接続されており、アンドゲート21の出力が抵抗95を介してトランジスタ94のベースに接続されている。そして、学習スイッチ17がオンされてアンドゲート21からハイレベルのトリガ信号が出力されると、表示部96のトランジスタ94がオンになってLED92に電流が流れ、LED92が点灯する。学習スイッチ17がオフになると、アンドゲート21の出力はローレベルになるので、トランジスタ94がオフになってLED92は消灯する。従って、この実施形態によれば、学習スイッチ17を押したとき、記憶回路13への書き込み動作が実行されたか否かを表示部96により視覚で確認することができる。あるいは、傾斜センサ12の取り付け作業を行う者と監視する者とが別々の場所にいる場合には、表示部96が監視室などに設置されていれば、監視室において傾斜センサ12が取り付けられて学習スイッチ17がオンにされたことを確認できる。
【0049】
(第5の実施形態)
図12は本発明のさらに別な実施形態による防犯センサ101の構成を示す一部省略した回路ブロック図である。この実施形態でも、記憶回路13に傾斜センサ12の傾斜データが書き込まれたことを確認させるための表示部102を備えている。
【0050】
すなわち、電源電圧VDDと設置電位の間には、発光ダイオード(LED)103、抵抗104及びトランジスタ105を直列に接続して構成した表示部102が接続されており、記憶データ有無判別回路14の出力が抵抗106を介してトランジスタ105のベースに接続されている。記憶回路13に傾斜データが格納されている場合には、記憶データ有無判別回路14の出力がハイレベルになるので、表示部102のトランジスタ105がオンになりLED103が点灯し、表示部102の点灯していることによって記憶回路13に記憶データが格納されていることを確認できる。
【0051】
なお、第4又は第5の実施形態で用いた表示部としては、光等で視認させるものに限らず、音で知らせるものでもよい。
【0052】
(第6の実施形態)
図13は本発明のさらに別な実施形態による防犯センサ111の構成を示す一部省略した回路ブロック図である。この実施形態は誤動作防止機能を有するものであって、図3の回路ブロック図のオアゲート25とアナログスイッチ26との間にアンドゲート112を挿入し、オアゲート25の出力をアンドゲート112の一方の入力とタイマ回路113の入力に接続し、タイマ回路113の出力をアンドゲート112の他方の入力に接続し、アンドゲート112の出力をアナログスイッチ26に接続している。
【0053】
しかして、オアゲート25からハイレベルの信号が出力されると、タイマ回路113からは所定時間遅延してハイレベルの信号が出力される。従って、傾斜センサ12の傾斜レベルが異常を示し、オアゲート25からハイレベルの警報出力が発せられても、その警報出力がタイマ回路113で設定されている遅延時間以上持続しないと、アンドゲート112の出力がハイレベルに変化せず、警報装置へ警報出力が送出されない。よって、一時的な振動や外乱等により瞬間的に警報出力が出て警報装置が誤動作するのを防止できる。
【0054】
(第7の実施形態)
図14は本発明のさらに別な実施形態による防犯センサ121の構成を示す一部省略した回路ブロック図である。この実施形態も誤動作防止機能を有するものであって、図4の回路ブロック図のコンパレータ45とアナログスイッチ46との間にカウンタ回路122とコンパレータ123とを挿入している。カウンタ回路122は、振動センサ42の振動レベルが異常を示し、コンパレータ123から異常信号が発せられると、その都度カウンタ値を1ずつ増加させる。カウンタ回路には、一定時間毎にパルス発生回路125からリセット信号が出力されており、カウンタ回路122はリセット信号を受信すると、カウント値をクリアする。コンパレータ123はカウンタ回路122のカウント値と基準カウント値124とを比較し、カウンタ回路122のカウント値が基準カウント値124を越えるとアナログスイッチ46にハイレベルの警報出力を送る。従って、カウンタ回路122では、パルス発生回路125からのリセット信号でクリアされるまでの所定時間内にコンパレータ123で何回異常信号が発生したかをカウントしており、所定時間内に基準カウント値124以上の異常信号が発生するとアナログスイッチ46から警報出力を送出させるが、基準カウント値124よりも少ない場合には警報出力は発生しない。
【0055】
(第8の実施形態)
傾斜センサ12の具体的構成は図5及び図8に示されているが、このような静電容量型の加速度センサ61を用いた傾斜センサ12や振動センサ42では、加速度センサ61の可動電極68a,68b及び固定電極67a,67b間の静電容量と抵抗31a,31bを使ってCR発振回路を形成し、電極間容量の変化を発振周波数の変化として捉えているため、電力消費の大きな発振回路30を絶えず発振させておかなければならなかった。また、このような回路を実現するためには、少なくとも5つのオペアンプやコンパレータなどが必要となる。
【0056】
その結果、消費電流は、例えば10mAを越える場合があり、単3乾電池で駆動する場合では、5〜6日しか電池寿命が持たず、傾斜や振動を判定するための回路まで含めると、さらに寿命は数十時間程度になる恐れがある。このため、上記のような傾斜センサや振動センサを用いた防犯センサでは、電源ケーブルを接続するか、短期間で電池交換する必要があった。
【0057】
そこで、図15に示す本発明のさらに別な実施形態による防犯センサ131では、省電力化を図るための工夫を凝らしている。ここで示す傾斜センサ12は、図8で説明したものと同じものであって、静電容量型の加速度センサ61を使用している。
【0058】
この振動センサ42では、圧電素子及びCMOS型のICを用いている。すなわち、圧電素子132の一方端子をグランドに接地し、他方端子をCMOS増幅器133に接続し、CMOS増幅器133の出力を、抵抗134及びコンデンサ135をτ型接続したローパスフィルタ(LPF)を介してコンパレータ136に接続している。しかして、この振動センサ42においては、振動や衝撃により圧電素子132で発生した振動波形をCMOS増幅器133で増幅し、ローパスフィルタを通してコンパレータ136に入力させて基準電圧Vrefと比較し、振動波形を検知した時だけコンパレータ136の出力に電圧を発生させることができる。
【0059】
この振動センサ42では、CMOS増幅器133及びコンパレータ136として低消費電力型CMOSオペアンプ(例えば、MAX406)を使用しているので、消費電流を小さく(たとえば、10μA程度に)抑えることができる。また、圧電素子132は、振動や衝撃が加わると自ら電荷を発生するので、静電容量型の加速度センサ61を用いた振動センサ42のように絶えず発振回路を発振状態に保つ必要がなく、消費電極を小さくすることができる。このように、圧電素子132やCMOSタイプのICは消費電流が少ないので、振動センサ42を省電力化することができ、防犯センサ131を電池駆動とする場合には、電池寿命を延ばすことができる。
【0060】
さらに、振動センサ42の出力はタイマ137に接続され、タイマ137の出力は傾斜センサ12に電源を供給するための電源供給回路138に接続されている。通常の状態では、振動センサ42だけが監視状態にあり、傾斜センサ12は電源オフとなっている。しかして、振動センサ42が振動を検出すると、タイマ137へ検知信号を出力する。振動センサ42が検知信号を出力すると、タイマ137を介して電源供給回路138がオンとなり、電源供給回路138から傾斜センサ12に電源が供給される。振動センサ42から検知信号が出力されると、傾斜センサ12が作動状態となる。傾斜センサ12が作動すると、防犯センサ131の傾斜角度を調べ、正常な傾斜角度であるか否かを判定し、傾斜異常と判断すると警報を出力する。この警報は、電波や光等の無線信号として通報される。
【0061】
また、振動センサ42から検出信号が出力されると同時にタイマ137がスタートして一定時間をカウントする。そして、一定時間が経過してタイマ137がカウントアップすると、電源供給回路138がオフとなり(振動が継続していれば、オンに保たれる)、傾斜センサ12に電源が供給されなくなる。なお、タイマ137は振動センサ42からの検知信号を受信しなくなってから一定時間後に電源供給回路138をオフにするようにしてもよい。
【0062】
従って、消費電力の大きな傾斜センサ12は、通常の状態では、電源オフとなっていて作動していないので、防犯センサ131の消費電力を小さくすることができる。しかも、振動センサ42が振動を検出することにより傾斜センサ12が電源オンとなって作動するので、防犯センサ131の信頼性は維持される。ここで、タイマ137を用いて振動センサ42が振動を検知してから傾斜センサ12が作動するまでの間を遅延させているのは、振動センサ42に加わる振動や衝撃が短時間である場合でも、正常状態の傾きと振動または衝撃が加わっている時の傾きの差を比較判定するのに必要な時間を保持するためである。
【0063】
なお、傾斜センサ12がタイマ137を作動させるための振動レベルは、前記の実施形態などで盗難事故が発生したと判断する振動レベルと等しくてもよく、それよりも小さな振動レベルであってもよい。また、電源供給回路138は、タイマ137の出力では傾斜センサ12を作動させるのに必要な電流を得ることができない場合に必要となるものであり、タイマ137の出力によって傾斜センサ12を作動させることができるのであれば、直接タイマ137の出力を傾斜センサ12の電源としてもよい。さらに、傾斜センサ12よりも後段の異常判別のための回路等も振動センサ42が振動を検知したときに電源がオンとなるようにすれば、より一層省電力化することができる。
【0064】
防犯センサ131が目立たないようにするためには、防犯センサ131に電源ケーブルを繋がないで電池駆動とし、警報も無線信号で通報するようにすることが望ましいが、その場合でも、この実施形態の防犯センサ131では、極力低消費電力化を図っているので、電池寿命を長くすることができる。
【0065】
なお、上記実施形態においては、いずれも防犯センサをハードウェアにより構成したが、同様な機能を有する防犯センサは、ソフトウェアでも実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、従来の防犯センサの構造及び動作を説明する概略断面図である。
【図2】(a)(b)は、防犯センサを取り付けられた絵画が壁に取り付けられている状態を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態による防犯センサの構成を示す回路ブロック図である。
【図4】本発明の別な実施形態による防犯センサの構成を示す回路ブロック図である。
【図5】加速度センサの構造を示す断面図である。
【図6】(a)(b)は、同上の加速度センサの傾斜センサとしての動作を説明する図である。
【図7】同上の加速度センサの振動センサとしての動作を説明する図である。
【図8】同上の加速度センサを用いた傾斜センサの構成を示す回路ブロック図である。
【図9】傾斜センサ設置確認スイッチ又は振動センサ設置確認スイッチとして用いられる自己復帰型スイッチの説明図である。
【図10】本発明のさらに別な実施形態による防犯センサの構成を示す一部省略した回路ブロック図である。
【図11】本発明のさらに別な実施形態による防犯センサの構成を示す一部省略した回路ブロック図である。
【図12】本発明のさらに別な実施形態による防犯センサの構成を示す一部省略した回路ブロック図である。
【図13】本発明のさらに別な実施形態による防犯センサの構成を示す一部省略した回路ブロック図である。
【図14】本発明のさらに別な実施形態による防犯センサの構成を示す一部省略した回路ブロック図である。
【図15】本発明のさらに別な実施形態による防犯センサの構成を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
12 傾斜センサ
13 記憶回路
14 記憶データ有無判別回路
15 傾斜センサ設置確認スイッチ
17 学習スイッチ
22 しきい値形成回路
42 振動センサ
44 基準電圧発生回路
45 コンパレータ
47 振動センサ設置確認スイッチ
61 加速度センサ
132 圧電素子
138 電源供給回路
Claims (2)
- 対象物の傾斜を検出するための傾斜検出手段と、
前記傾斜検出手段が対象物に取り付けられたことを検出する設置確認手段と、
前記設置確認手段が、前記傾斜検出手段が対象物に取り付けられたことを検出した後、所定時間経過後に自動的にトリガ信号を発生させるタイマと、
前記傾斜検出手段から出力される傾斜レベルを前記トリガ信号入力に応じて記憶する傾斜レベル記憶手段と、
前記傾斜検出手段から出力される傾斜レベルと、前記傾斜レベル記憶手段に保持されている傾斜レベルから形成されるしきい値とを比較判定する傾斜レベル判別手段と、
を備えた防犯センサ。 - 対象物の振動を検出するための振動検出手段と、
前記振動検出手段から出力される振動レベルが所定範囲内にあるか否かを判定する振動レベル判別手段と、
を更に備えたことを特徴とする、請求項1に記載の防犯センサ。
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