JP3896695B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、調理物から発生する調理ガスの脱臭を行う脱臭装置を備えた加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加熱調理器は、調理物から発生する排出調理ガスが、不快臭を発したり周囲の壁紙を汚したりすることのないように、調理室に連通する排気筒に触媒を内部に配置した脱臭装置を取り付けて、きれいな空気として排出するための工夫が種々提案されている。
【0003】
図4は、特開平4‐29722号公報に記載されている従来の加熱調理器の断面を、また図5は触媒装置の拡大断面を示す。調理器本体1は、その加熱室2に排気通路3を連接し、この排気通路3に触媒装置4を取り付けている。触媒装置4は、電気ヒータ5と、この電気ヒータ5により加熱される第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7から構成される。この酸化触媒6、7は、いずれも調理ガスが通る多数の小穴8を有する直方体形状物であり、丸棒を蛇行状に成形した電気ヒータ5を挟んでいる。電気ヒータ5が第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7を所定温度まで加熱するため、加熱室2から排出される排出調理ガスは第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7の夫々小穴8を通る際に浄化される。
【0004】
一方、触媒は種々の構成品が提案されているが、特開平5−301048号公報には、通電を可能としたエキスパンド加工(ラス網加工とも称す)のステンレス鋼薄板に絶縁性無機物を被覆して担体とし、この担体に触媒成分を担持させる構成が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の加熱調理器に使用されている触媒装置4は、大容積の第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7を小型の電気ヒータ5が挟む構成としたものであるため、第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7の加熱に電気ヒータ5は大きな電力と長い加熱時間を必要とし、また第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7の温度分布が悪いという問題点があった。
【0006】
一方、新しい触媒構成として提案されている通電を可能としたエキスパンド加工のステンレス鋼薄板に絶縁性無機物を被覆して担体とし、この担体に触媒成分を担持させる構成品は、水分に対する電気絶縁対策が施こされていない。そのため、この構成品を加熱調理器の排気通路に配設しても、調理物から発生する水分が通電を可能としたステンレス鋼薄板の表面に付着し、この付着水分を介してステンレス鋼薄板と調理器本体が電気的に導通し、ステンレス鋼薄板に流れている電流が調理器本体に流れるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、前記する従来例の問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、排気筒に撥水耐熱絶縁性シートを周囲に介在させて、通電により発熱する金属薄板の上に絶縁層を介して臭気分解触媒を形成した構成品を有する脱臭装置を取り付けた加熱調理器としたものである。そして、この脱臭装置は、耐熱絶縁性の筺体と、筺体のガス通過用空洞に配置されており複数の開孔部を有し通電により発熱する金属薄板と、金属薄板の表面に形成した耐熱性の絶縁層と、絶縁層の表面に形成した臭気分解触媒とで構成されている。また、撥水耐熱絶縁性シートは、調理ガス通過方向に設定した幅を脱臭装置および排気筒の取り付け部の幅より両側に大きく設定して介在されている。
【0009】
上記構成によれば、通電される金属薄板を有する脱臭装置を、その設定幅を取り付け部の幅より両側に大きく設定した撥水耐熱絶縁性シートを周囲に介在させて、排気筒に取り付けているため、排気筒や脱臭装置に付着する水分によって起こされる両者の電気的導通が、撥水耐熱絶縁性シートの撥水作用および絶縁作用によって遮断される。従って、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが防止される。一方、発熱する金属薄板に絶縁層を介して臭気分解触媒が直接的に形成されているため、触媒の加熱が小電力ですみしかも短時間で昇温できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、各請求項に記載した形態で実施することができる。
すなわち、請求項1記載の発明は、調理室に収納した調理物から発生する調理ガスを排出する排気筒と、前記排気筒に撥水耐熱絶縁性シートを周囲に介在させて取り付けられており調理ガスに含まれる臭気成分を分解する脱臭装置を備えており、前記脱臭装置が、ガス通過用空洞を内部に形成した耐熱絶縁性の筺体と、前記筺体のガス通過用空洞に配置されており複数の開孔部を有し通電により発熱する金属薄板と、前記金属薄板の表面に形成した耐熱性の絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成した臭気分解触媒とで構成され、前記撥水耐熱絶縁性シートが調理ガス通過方向に設定した幅を前記脱臭装置および前記排気筒を取り付けた取り付け部の幅より大きく設定されて介在させることで、実施することができる。
【0011】
そして、通電される金属薄板を有する脱臭装置を、その設定幅を取り付け部より大きく設定した撥水耐熱絶縁性シートを周囲に介在させて排気筒に取り付けているので、付着水分に起因する排気筒と脱臭装置との電気的導通が、撥水耐熱絶縁性シートの撥水作用および絶縁作用によって遮断され、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが防止される。また、臭気分解触媒が絶縁層を介して発熱する金属薄板に直接的に形成されているため、臭気分解触媒の加熱が小電力ですみしかも短時間で昇温できる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、金属薄板をラス網状に加工することで複数の開孔部を形成した後に更に波付け加工したステンレス製箔体とし、筺体のガス通過用空洞にガス通過方向に対して略垂直に配置することで実施できる。箔体をラス網状に加工して複数の開孔部を形成しているため、熱容量や重量が小さくしかも開孔率が大きい金属薄板となり、一層小さな消費電力で早い昇温スピードを得ることができる。また、金属薄板がステンレスであるので耐食性に優れるとともに、ラス網加工し更に波付け加工することで単位体積当たりの発熱面積が大きくなって高い温度が得られる。さらに、金属薄板は、筺体のガス通過用空洞にガス通過方向に対して略垂直に配置されているので、ラス網に設けた開孔部を効果的にガスが通過して圧力損失が低減するとともに、絶縁層を介して形成した触媒との接触が良くなり臭気の分解率が高まる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、金属薄板がラス網状に加工したステンレス薄板であり、絶縁層がアルミニウムを少なくとも10〜45重量%含む琺瑯とすることで実施できる。琺瑯にアルミニウムが10〜45重量%含まれると、焼き付けた際にアルミニウムは体積膨張しその表面に酸化アルミニウムの被膜を形成して電気不導体となる。そのため琺瑯は多孔質な絶縁層となり、琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形や琺瑯の剥離が生じない。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、金属薄板がラス網状に加工したステンレス薄板であり、絶縁層がアルミニウムの10〜45重量%と酸化チタンの10〜25重量%を少なくとも含む琺瑯とすることで実施できる。前述のようにアルミニウムが10〜45重量%含まれると琺瑯はその焼き付けで多孔質な絶縁層となり、酸化チタンの10〜25重量%の更なる含有で耐熱水性に優れた絶縁層となる。そのため、琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形が無く、しかも蒸気に長時間曝されても剥離が生じない。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持された白金とパラジウムのうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属から構成される臭気分解触媒を、請求項3または4記載の絶縁層の表面に形成することで実施できる。アルミニウムを10〜45重量%混合した琺瑯は、前述のようにステンレス製の金属薄板の表面に多孔質絶縁層となって密着している。そのため、水酸化アルミニウムのゾルを琺瑯に付着させると、このゾルは多孔質な琺瑯の空隙に浸入し、焼成によって多孔質なアルミナとなって強固に付着する。また、高活性な白金もしくはパラジウムうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属は、この多孔質な担体層に担持されるため強固に付着する。従って、臭気分解触媒は、優れた浄化特性と密着性を示す。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持されたマンガン酸化物と銅酸化物とコバルト酸化物のうちの少なくとも1種または複数種の金属酸化物から構成される臭気分解触媒を、請求項3または4記載の絶縁層の表面に形成することで実施できる。前述の理由により、担体層は多孔質なアルミナとなって琺瑯に強固に付着している。この多孔質な担体層に、高活性なマンガン酸化物と銅酸化物コバルト酸化物のうちの少なくとも1種または複数種の金属酸化物が担持させているため、この臭気分解触媒は優れた浄化特性と密着性を示す。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、複数の開孔部を有する非通電の通気板を、筺体のガス通過用空洞における金属薄板の後流側に、ガス通過方向に対して略垂直に配置することで実施できる。この構成にすると、通気板によってガスの通過速度が低下して、前流側の金属薄板上の臭気分解触媒との反応時間が長くなり臭気の分解率が一層高まる。
【0018】
また、請求項8記載の発明は、通気板をステンレス製としその表面に、通気板を熱処理することによって形成した酸化被膜と、前記酸化被膜に水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持された白金とパラジウムのうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属から構成される臭気分解触媒を、請求項7記載の通気板の表面に形成することで実施できる。通気板の表面に臭気分解触媒を形成したため、触媒との反応回数が増え臭気成分の分解率がさらに高まる。
【0019】
また、請求項9記載の発明は、撥水耐熱絶縁性シートの設定幅を、取り付け部の端部から調理室側方向に設定する幅が、取り付け部の他端部から大気側方向に設定する幅よりも大きくすることで実施できる。撥水耐熱絶縁性シートの設定幅を、水分量の多い調理室側を大気側より大きくしているため、水分の撥水が充分に行われる。従って、付着水分に起因する排気筒と脱臭装置との電気的絶縁が一層充実し、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが一層防止される。
【0020】
また、請求項10記載の発明は、撥水耐熱絶縁性シートを、フッソ樹脂を主成分とするシート、もしくはフッソ樹脂を表面に被覆したシートとすることで実施できる。フッソ樹脂系のシートを使用しているため、水分の撥水が充分に行われ、付着水分に起因する排気筒と脱臭装置との電気的絶縁が一層充分に行われ、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが一層防止される。また、フッソ樹脂系のシートであるため、シートの持つ弾力作用により脱臭装置が排気筒に隙間なく嵌合され、取り付ける際のガス洩れが防止される。
【0021】
また請求項11記載の発明は、高周波加熱装置を併設する加熱調理機器とし、調理室と排気筒の間に、複数の開口穴を有する金属製の高周波電波漏洩防止材を取り付け、前記高周波電波漏洩防止材の開口穴と非開口穴部を合計した面積を、筺体に形成したガス通過用空洞の開口面積より大きくすることで実施できる。高周波加熱装置を併設するとその電波漏洩防止のため、複数の開口穴を有する金属製の高周波電波漏洩防止材を、調理室と排気筒の間に取り付ける必要がある。この高周波電波漏洩防止材は、排出調理ガスの流通に対して比較的圧力損失となるのであるが、高周波電波漏洩防止材の開口穴と非開口穴部を合計した面積を、筺体に形成したガス通過用空洞の開口面積より大きくすることで、高周波電波漏洩防止材の圧力損失が低減され、その分だけ脱臭装置を小型化できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例である加熱調理器の断面図、図2は脱臭装置の要部拡大断面図である。
加熱調理器9は、調理物を収納する調理室10と、調理物を調理室10から出し入れするためのドア11と、調理室10の庫内温度を上昇させることで調理物を加熱する加熱熱源12と、調理室10に連通しており調理物から発生する調理ガスを排出する排気筒13と、排気筒13に撥水耐熱絶縁性シート14を周囲に介在させて取り付けられており調理ガスに含まれる臭気成分を分解する脱臭装置15を備えている。そして、撥水耐熱絶縁性シート14は調理ガス通過方向に設定した幅を、排気筒13に取り付けた取り付け部16aの幅および、脱臭装置15に取り付けた取り付け部16bの幅より、両側に大きく設定されて介在されている。
【0024】
脱臭装置15は、耐熱絶縁性の筺体17と、筺体17の内に形成したガス通過用空洞18に配置されておりガスが通過する複数の開孔部19を有し通電により発熱する金属薄板20と、金属薄板20の表面に形成した耐熱性の絶縁層21と、絶縁層21の表面に形成した臭気分解触媒22とで構成されている。
本発明品の試作を行い、その効果判定を行った。
【0025】
本発明の加熱調理器9は、撥水耐熱絶縁性シート14として4フッ化エチレン樹脂のシートを使用し、この撥水耐熱接続性シート14を周囲に介在させてステンレス製の排気筒13の内側に、脱臭装置15を取り付けたものである。撥水耐熱絶縁性シート14は、排気筒13の内側と脱臭装置15の外側の間に介在できる様に成形した厚み0.5mmの帯状シートである。この帯状の揆水耐熱絶縁性シート14は、調理ガス通過方向に設定した幅が20mmであり、長さ180mmが脱臭装置15の周囲に介在させる分として使用されている。そして、幅20mmの内側部5mm幅を排気筒13への取り付け部16aおよび脱臭装置15への取り付け部16bとして使用した。また、取り付け部16a、16b以外の残り幅15mmは、取り付け部16a、16bの端部から調理室側方向に設定する幅を10mm、取り付け部16a、16bの端部から大気側方向に設定する幅を5mmとしている。
【0026】
一方、脱臭装置15は、雲母製の筺体17と、ラス網状に加工し更に波付け加工したステンレス製の金属薄板20と、琺瑯製の絶縁層21と、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層とこの担体層に担持した白金とパラジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒22で構成した。金属薄板20は、クロムの18重量%とアルミニウム3.5重量%を少なくとも含むフェライト系ステンレスであり、ラス網状でしかも波付け加工した板厚65μmの箔体である。金属薄板20はラス網状としたためその穴開口率は約85%であり、その表面に絶縁層21さらにその表面に臭気分解触媒22を形成しても穴開口率は75%であった。金属薄板20は、通電により発熱して臭気分解触媒22を加熱し、筺体17のガス通過用空洞18にガス通過方向に対して略垂直に配置されている。
【0027】
効果判定のための測定項目は、絶縁抵抗、消費電力および温度到達時間、調理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率の4項目である。
【0028】
絶縁抵抗は、若とり2枚重量500gを調理終了後に加熱熱源12および脱臭装置15を非通電状態にし、24時間経過させた際の、金属薄板20と加熱調理器9間の最低絶縁抵抗値およびその最低絶縁抵抗値への到達時間を求めたものである。
【0029】
消費電力および所定温度到達時間は、触媒が効果的に働く温度である400℃になるのに必要な脱臭装置15の消費電力と、この温度400℃に到達するまでの所用時間を求めたものである。
【0030】
調理ガスの洩れ状況は、若とり2枚を調理した際の、脱臭装置15以外の場所からの調理ガスの洩れ状況であり、脱臭装置15の圧力損失を知る手懸かりとして求めたものである。
【0031】
炭化水素除去率は、若とり2枚を調理した際の、調理室庫内濃度および脱臭装置出口濃度を炭化水素濃度として求め、そこから算出したものである。
その測定結果を(表1)に示す。
【0032】
なお、従来品は、触媒装置を、調理ガスが通る多数の小穴8を有する第1の酸化触媒6と第2の酸化触媒7と第1の酸化触媒6と第2の酸化触媒7で挟まれた電気ヒータ5で構成し、ステンレス製の排気通路3の内側にそのまま取り付けたものである。第1の酸化触媒6と第2の酸化触媒7は、小穴8を多数有するハニカム形であり、酸化アルミニウムを主成分とする担体層に白金とパラジウムを担持させた組成としたため、強度や成形性との兼ね合いでその穴開口率は45%が上限であった。電気ヒータ5は、ヒータ線を蛇行状金属管の内部に収納した電気絶縁対策品であり、通電により発熱して周囲にある第1の酸化触媒6および第2の酸化触媒7を加熱する。なお、触媒装置の見かけ寸法や白金とパラジウムの量は、本発明品と同一とした。参考品は、本発明品より撥水耐熱絶縁性シートを除外した加熱調理器である。
【0033】
【表1】
Figure 0003896695
【0034】
本発明品は、従来品と比較して、消費電力が小さいうえに短時間に所定温度に上昇すること、脱臭装置以外からの調理ガスの洩れがないこと、炭化水素除去率が高いの利点があることがわかる。また、本発明品は、参考品と比較して絶縁抵抗が高く、電気的に絶縁されていることがわかる。
この優れた利点は、次の理由からである。
【0035】
絶縁抵抗が高い理由は、電気絶縁作用と撥水作用の優れた4フッ化エチレン樹脂シートにより、脱臭装置と排気筒の間の表面付着水を介在させての電気的導通が遮断されるためである。
【0036】
消費電力が小さくしかも短時間に所定温度に上昇する理由は、金属薄板が開口率の高いラス網でしかもこの箔体を更に波付け加工しているためであり、この加工により熱容量が小さくなりさらに単位体積当たりの発熱面積も大きくなっているのである。
【0037】
調理ガスの洩れが無い理由は、金属薄板をラス網状としその表面に絶縁層さらに臭気分解触媒を形成しても、穴開口率が75%と大きく、圧力損失がその分小さいためである。その点、従来品は、穴開口率が45%と小さいため圧力損失が大きくなり、調理ガスが加熱調理器の前面ドアから洩れる問題が発生した。
【0038】
炭化水素除去率が高い理由は、穴開口率が75%と高いため表面積が大きくなったためである。
【0039】
さて、金属薄板20の材料であるが、ニッケルークロム合金、鉄―ニッケルークロム合金、鉄―ニッケル合金、鉄―クロムーアルミニウム合金、が適切である。 これは、比抵抗が高いので発熱特性に優れていること、加工性に優ているのでその薄板に穴を開けてガスが通過する複数の開孔部を形成することが容易であるとの理由からである。
【0040】
一方、金属薄板20の表面に形成する絶縁層21の材料は、ガラス、琺瑯、アルミナゾル、シリカゾル、ポリシロキサン、ポリリン酸が密着性に優れる理由から適切であり、これらはその粘性水溶液を金属表面に付着させ焼成することで絶縁層を形成した。
【0041】
これらの組み合わせ品において、鉄―ニッケルークロム合金、鉄―ニッケル合金、鉄―クロムーアルミニウム合金のステンレス製の金属薄板に、琺瑯製の絶縁層を形成した試作品は、特に密着性が優れている。この理由は、金属薄板に含有する鉄成分と琺瑯に含有されるガラス成分が琺瑯焼成中に反応して固着するためである。またこの中で特に、鉄―クロムーアルミニウム合金は、金属薄板に含有するアルミニウム成分が琺瑯に含有されるガラス成分と反応して強固に固着するため、密着性が最も優れていた。鉄―クロムーアルミニウム合金は、クロムの13〜33重量%とアルミニウムの3〜8重量%を少なくとも含む組成品が市販させており、この市販品は耐熱性、耐食性、機械的強さ、比抵抗の点で他の金属発熱材料より優れている利点があった。
【0042】
一方、琺瑯は多孔質ほど焼き付けた際の金属薄体の熱変形が少なく良好である。
【0043】
実験に使用した多孔質琺瑯の組成を以下に示す。琺瑯は、ガラス成分15重量%と、金属酸化物系顔料30重量%と、アルミニウム35重量%と、酸化チタン20重量%から構成されており、各々の組成物はその配合割合が最大で±5重量%変動することが許容されているものを使用した。
【0044】
臭気分解触媒22は、白金、パラジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄などの酸化反応触媒が適切であり、これらは絶縁層21に直接担持する方法もしくはアルミナやシリカ系の担体を絶縁層21の表面に形成しこの担体に担持する方法で形成している。
【0045】
筐体17は、雲母(マイカとも称す)もしくはセラミックが適切である。
揆水耐熱絶縁性シート14は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリシリキサン樹脂が適切である。そして脱臭装置15に、筐体17のガス入口部の外周面すべに直接的に取り付けるか、放熱の目的で介在されるアルミニウムやステンレスの放熱シール材を介して筐体17のガス入口部に間接的に取り付けるかによって、その周囲に取り付けられている。
【0046】
(実施例2)
実施例3は、金属薄板の形状と配置方法を変えて効果を確認したものである。
【0047】
図2は、本発明の実施例の加熱調理器で使用する脱臭装置の一部破断斜視図である。金属薄板20は、ラス網状に加工することで複数の開孔部を形成した後に更に波付け加工したステンレス製箔体であり、その表面に絶縁層さらにその表面に臭気分解触媒が形成されている。そして、筺体17のガス通過用空洞18にガス通過方向に対して略垂直に配置されている。
【0048】
形状と配置方法を変えた金属薄板を試作しその効果を前述と同様に、消費電力50W時の最大到達温度、調理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率の3項目で判定した結果を(表2)に示す。
【0049】
試作番号1は、図3記載の実施例であり、ラス網状に加工したのち更に波付け加工したステンレス製箔体を、ガス通過方向に対して略垂直に配置している。
試作番号2は、プレスで穴あけ加工したのち更に波付け加工したステンレス製箔体を、ガス通過方向に対して略垂直に配置したものである。
【0050】
試作番号3は、ラス網状に加工したステンレス製箔体を、ガス通過方向に対して略垂直に配置したものである。
【0051】
試作番号4は、ラス網状に加工したのち更に波付け加工したステンレス製箔体を、ガス通過方向に対して略平行に配置したものである。
【0052】
なお、いずれの試作番号品も、ステンレス製箔体の表面には、琺瑯製の絶縁層と、酸化アルミニウムを主成分とする担体層とこの担体層に担持した白金とパラジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒が、順に形成されており、脱臭装置として加熱調理器に取り付けて効果を確認した。
【0053】
【表2】
Figure 0003896695
【0054】
試作番号1は、金属薄板の箔体をラス網状に加工して複数の開孔部を形成しているため、熱容量や重量が小さくしかも開口率が大きい金属薄板が得られ、圧力損失が低減して調理ガスが加熱調理器の前面ドアから洩れる問題が発生しなかった。しかも、更に波付け加工しているため、単位体積当たりの発熱面積が大きくなって高い温度が得られ、炭化水素除去率の分解率が高まる。また、金属薄板がガス通過方向に対して略垂直方向に配置されているため、ラス網に設けた開孔部を効果的にガスが通過して触媒との接触が良くなり、炭化水素除去率が一層高まった。
【0055】
試作番号2は、プレスで穴あけ加工したため穴開口率が最大でも50%であった。そのため、抵抗が小さくなって到達温度がやや低くなり炭化水素除去率が低下するとともに、逆に穴開口率を大きくできないため圧力損失が大きくなり調理ガスが加熱調理器の前面ドアから洩れる問題が発生したため、不適格である。
【0056】
試作番号3は、金属薄板の波付け加工が無いため、単位体積当たりの発熱面積が小さくなって低い温度となり、炭化水素除去率も低くなることがわかる。
【0057】
試作番号4は、金属薄板をガス通過方向に対して略平行に配置しているため、相当量のガスが金属薄板と金属薄板との間を通過して、触媒との接触が悪くなり炭化水素除去率も低くなることがわかる。
【0058】
(表2)の結果より、試作番号1が金属薄板の形状と配置方法として最適な構成であった。
【0059】
(実施例3)
実施例3は、絶縁層を多孔質にするために琺瑯に混合する材料とその混合量を検討したものである。
【0060】
実験はまず、クロムの18重量%とアルミニウム3.5重量%を少なくとも含むフェライト系ステンレスの板厚65μm箔体を、Lwが5mmでSwが2mmできざみ幅0.2mmのラス網に加工した。そしてこのラス網加工品(以下に、特に限定しない限りこの加工品を使用)に、30重量%の多孔質形成材を少なくとも含む琺瑯を850℃で焼き付けた。そしてこの膜物性を、電気絶縁性、琺瑯の多孔度、琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形度、耐蒸気性(温度80℃で相対湿度95%雰囲気中に100時間晒す)で評価した。試作に用いた多孔質形成材の種類とその評価結果を(表3)に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0003896695
【0062】
多孔質形成材としてアルミニウムを混入した試作番号1の琺瑯層は、電気絶縁性に問題がないとともに、多孔度に優れるため琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形が無く、しかも剥離がない。そのため、多孔質形成材として最適であった。
【0063】
アルミニウムは、融点が660℃であるため琺瑯焼成温度850℃では完全に溶融し、溶融後はその表面に酸化アルミナの被膜が形成される。この表面に形成された酸化アルミナ被膜により、試作番号1の琺瑯層は、電気絶縁性が充分に確保できていた。一方、アルミニウムは、熱膨張係数の値(この値に10のー6乗を乗じた値が真の値、単位は1/deg)が24であり、フェライト系ステンレスの11、琺瑯に含まれるガラス成分の7〜12に比べてその値が非常に大きい。
【0064】
この熱膨張係数の大きさが多孔度の優れた琺瑯を形成する源であり、琺瑯が多孔質なため金属薄体はその熱変形が防止されている。また琺瑯は、優れた多孔度を有するにもかかわらず、金属薄体から剥離していない。これは、アルミニウムが融点660℃で溶融して琺瑯と金属薄体の密着を助けているためである。
【0065】
次に、多孔質形成材であるアルミニウムの量を変化させた琺瑯を試作し、その膜物性を検討した。実験は、アルミニウムの量を変化させた琺瑯を使用すること以外は、前述と同じである。その結果を(表4)に示す。
【0066】
【表4】
Figure 0003896695
【0067】
アルミニウムを10〜45重量%混入してその膜性状を多孔質とした試作番号3〜7の琺瑯層は、電気絶縁性に問題がない、多孔度に優れるため琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形が無い、外観的にも琺瑯の剥離がない、の利点があり最適な組成であった。さらに、抵抗の変化は極めて微小であり実用上問題とならないレベルであった。また特に、アルミニウムを20〜40重量%混入した琺瑯は、上記利点が極めて優れていた。一方、アルミニウムが10重量%未満の琺瑯だと、多孔度に乏しいため琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形が発生した。
【0068】
また、アルミニウムが45重量%を越える琺瑯層だと、多孔質過ぎて金属薄体に対する密着性が確保されなかった
さて、本実施例で用いた琺瑯は、上記量のアルミニウム以外に、溶融するガラス成分(シリカが略9割であり少量の酸化ナトリウムや酸化カリウムや酸化カルシウムなどを含有)と、酸化マンガンと酸化鉄を略等量混合した金属酸化物系顔料が、残部成分として混合されている。この残部成分は、ガラス成分の1部に対して金属酸化物系顔料を3〜4部の割合で混合した組成物であり、この組成物が一般に琺瑯と呼ばれておりステンレスとの密着性を高める作用がある。
【0069】
一方、アルミニウムを10〜45重量%と変化させる範囲において琺瑯層の残部成分を、ガラス成分の1部に対して金属酸化物系顔料を2〜5部と変化させたり、ガラス成分におけるシリカ組成を9〜6割まで変化させたり、金属酸化物系顔料における酸化マンガンの組成を8〜3割まで変化させたり酸化亜鉛もしくは酸化コバルトを略等量づつ更に混合して同様の検討を行ったが、上記の利点が同様に得られた。以上のことより、琺瑯層中にアルミニウムが10〜45重量%混合されることが、この優れた利点の主原因と思われる。
【0070】
また、金属薄体の材料はステンレスを使用する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレスであれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0071】
(実施例4)
実施例4は、耐蒸気性向上のために琺瑯に混合する酸化チタンの量を検討したものである。
【0072】
実験は、アルミニウムおよび酸化チタンの混合量を変化させた琺瑯を使用すること以外は、前述の実施例3と同じである。膜物性の評価方法は、琺瑯の多孔度、琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形度、耐蒸気性(温度80℃で相対湿度95%雰囲中に100時間晒す)で評価した。その結果を表5に示す。
【0073】
【表5】
Figure 0003896695
【0074】
アルミニウムを10〜45重量%混合した物にさらに酸化チタンを10〜25重量%混入した琺瑯層は、多孔度に優れるとともに琺瑯を焼き付けた際の金属薄体の熱変形が無く、蒸気に長時間曝されされた際の密着性が極めて優れる利点があった。さらに、抵抗の変化は極めて微小であり実用上問題とならないレベルであった。また特に、アルミニウムの30〜40重量%と酸化チタンの15〜20重量%を混入した琺瑯層は、上記利点が特に優れていた。一方、酸化チタンが15重量%未満の琺瑯だと耐蒸気性は期待するほど向上しないし、酸化チタンが25重量%を越える琺瑯だと金属薄体の熱変形が低下する傾向にあるため、混合する酸化チタンの量としては好ましくなかった。
【0075】
本実施例で用いた琺瑯は、上記量のアルミニウムおよび酸化チタン以外に、ガラス成分の1部に対して金属酸化物系顔料を2〜3部の割合で混合した組成物が残部成分として混合されており、琺瑯の溶着を助けている。ガラス成分は、シリカが9割で、ナトリウムやカリウムやカルシウムやマグネシウムの酸化物が残部である。また金属酸化物系顔料は、酸化マンガンと酸化鉄を略等量混合したものである。
【0076】
一方、アルミニウムの10〜45重量%と酸化チタンの10〜25重量%の変化範囲において琺瑯の残部成分を、ガラス成分の1部に対して金属酸化物系顔料を1〜4部と変化させたり、ガラス成分におけるシリカ組成を9〜6割まで変化させたり、金属酸化物系顔料における酸化マンガンの組成を8〜3割まで変化させたり酸化亜鉛や酸化コバルトを略等量づつ更に混合して同様の検討を行っても、優れた密着性が同様に得られた。
【0077】
以上のことより、琺瑯中にアルミニウムの10〜45重量%と酸化チタンの10〜25重量%混入が、この優れた密着性の主原因と思われる。
【0078】
また、金属薄体の材料はステンレスを使用する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレスであれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0079】
(実施例5)
実施例5は、金属薄板および絶縁層に対して密着性に優れた臭気分解触媒の材料組成について検討したものである。
【0080】
検討は以下の方法で行った。まず、ラス網状に加工したステンレス製の金属薄板の表面に、アルミニウムの混合量を変化させた琺瑯を850℃で焼き付け絶縁層とした。次に絶縁層の表面に、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ600℃で焼成してアルミナの担体層とし、最後にこの担体層に白金やパラジウムの貴金属を担持させ600℃で焼き付けて臭気分解触媒とした。そして筐体に2層構造として収納して脱臭装置とし、加熱調理器に取り付けて炭化水素除去率を評価した。
【0081】
また、高温多湿環境(温度80℃で相対湿度95%)に200時間放置した際の、絶縁層、臭気分解触媒の密着性をテープ剥離方法で評価した。その結果を(表6)に示す。
【0082】
アルミニウムを10〜45重量%混合した琺瑯層に、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成してアルミナの担体層とし白金やパラジウムの貴金属を担持させた臭気分解触媒は、優れた浄化特性と密着性を示している。また、アルミニウムを20〜40重量%混合した琺瑯層に対して特に優れた密着性を示した。
【0083】
【表6】
Figure 0003896695
【0084】
アルミニウムは、融点660℃であり琺瑯の焼成時に溶融してその表面は比表面の大きいアルミナに変化するとともに、熱膨張係数が他の琺瑯成分やステンレス製の金属薄体さらにアルミナの担体層に対して格段に大きい性質がある。そのため、アルミニウムを10〜45重量%混合した琺瑯は、表面にアルミナが露出した多孔質体となって金属薄体に強固に密着しているとともに、水酸化アルミニウムのゾルがこの表面露出のアルミナに付着し易いため焼成で得られるアルミナの担体層も強固に密着させる。一方、アルミニウムが10重量%未満の琺瑯層だと、表面露出のアルミナが少ない緻密体であるため、担体層に対する密着性が確保されなかった。また、アルミニウムが45重量%を越える琺瑯層だと、多孔質過ぎて金属薄体に対する密着性が確保されなかった。
【0085】
上記実施例で用いた琺瑯は、上記量のアルミニウム以外に、ガラス成分(シリカが略9割でナトリウムやカリウムやカルシウムやマグネシウムの酸化物が残部)の1部に対して、金属酸化物系顔料(酸化マンガンと酸化鉄が略等量混合)を3〜4部混合した組成物が、残部成分として混入した物である。そこで実施例3に記載の様に、ガラス成分と金属酸化物系顔料の混合割合やその組成を変動させて検討したが、上記効果が同様に得られた。
【0086】
次に、さらに酸化チタンをさらに混合した琺瑯で同様の検討を行った。実験はまず、酸化マンガンと酸化鉄を略等量混合した金属酸化物系顔料の2〜3部と、ガラス成分の1部とを混合した組成物に、アルミニウムを10〜45重量%と酸化チタンを10〜25重量%変化させて混合して琺瑯を試作した。そして、前述と同様に実験したその結果を表7に示す。
【0087】
【表7】
Figure 0003896695
【0088】
アルミニウムを10〜45重量%混合した物にさらに酸化チタンを10〜25重量%混入した琺瑯は、優れた浄化特性と一層優れた密着性を示すことがわかる。
【0089】
さらに実施例4に記載の様に、ガラス成分と金属酸化物系顔料の混合割合やその組成を変動させて検討したが、上記効果が同様に得られた。
【0090】
このように、金属酸化物系顔料およびガラス成分の材料組成や配合が変化してもアルミニウムが10〜45重量%混合された琺瑯であれば、金属薄体および臭気分解触媒に対する密着性は問題ないことより、琺瑯層中にアルミニウムが10〜45重量%混合されることが、この優れた密着性の主原因と思われる。
【0091】
一方、担体層として用いる水酸化アルミニウムのゾル組成を検討したところ、他化合物の30重量%以内好ましくは15重量%以内の混合なら、琺瑯と担体層の密着性は特に変化しなかった。そのため、酸素吸着能力の優れた酸化セリウムをゾルに2〜30重量%好ましくは2〜15重量%混合すると、琺瑯との密着性を保持しつつ浄化特性の向上がはかれる特性が得られた。また、調理油煙のガス化能力の優れた酸化バリウムや酸化カルシウムさらに酸化マグネシウムをゾルに1〜30重量%好ましくは1〜10重量%混合すると、琺瑯との密着性や浄化特性を保持しつつ嫌な臭気が低減できる特性があり、特に酸化バリウムはこの特性が優れていた。
【0092】
また、金属薄体の材質はステンレスを使用する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレスであれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
なお、水酸化アルミニウムのゾルは、酸化アルミニウム含水物のゾル、アルミナゾルと称される場合があるが、特にその名称を限定するものでない。
【0093】
(実施例6)
実施例6は、金属薄板および絶縁層に対して密着性に優れた臭気分解触媒の材料組成についてさらに検討したものである。
【0094】
検討方法は、水酸化アルミニウムのゾルの焼成物である担体層に、マンガンやコバルトさらに銅の硝酸溶液を1重量%担持させ600℃で焼き付けて金属酸化物に変化させた材料組成の臭気成分分解用触媒を形成すること以外は、実施例5と同じである。その結果を(表8)に示す。
【0095】
【表8】
Figure 0003896695
【0096】
アルミニウムを10〜45重量%混合した琺瑯層に、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成してアルミナの担体層としマンガンやコバルトさらに銅の酸化物を担持させた臭気分解触媒は、優れた浄化特性と密着性を示すことがわかる。
【0097】
この理由は、前述の実施例5と同じでアルミニウムが10〜45重量%好ましくは20〜40重量%混合されることがこの優れた密着性の主原因であり、担持させたマンガンやコバルトさらに銅の酸化物も琺瑯に混合されるアルミニウムによって担体層に良好に保持される利点もさらに生じていた。
【0098】
また、担持させる金属酸化物は、アルミナ系担体層に対して0.1〜10重量の担持が最適であった。
【0099】
上記実施例で用いた琺瑯は実施例3と同じであり、上記量のアルミニウム以外に、ガラス成分の1部に対して、金属酸化物系顔料(酸化マンガンと酸化鉄が略等量混合)を3〜4部混合した組成物が、残部成分として混入した物である。そこで、金属酸化物系顔料およびガラス成分の組成とその配合を種々変化させた琺瑯層を使用してその効果を確認したが、琺瑯の担体層および金属薄体に対する密着性は問題なかった。また実施例4のように、さらに酸化チタンを10〜25重量%混合した琺瑯を使用して、同様の検討を行ったが、琺瑯の担体層および金属薄体に対する密着性は一層向上した。以上のことより、金属酸化物系顔料およびガラス成分の材料組成や配合が変化してもアルミニウムが10〜45重量%混合された琺瑯であれば、金属薄体および臭気分解触媒に対する密着性は問題なく、琺瑯層中にアルミニウムが10〜45重量%混合されることが、この優れた密着性の主原因であった。
【0100】
さらに、担体層として用いる水酸化アルミニウムのゾル組成についても、酸化セリウムをゾルに2〜30重量%好ましくは2〜15重量%混合することの利点や、酸化バリウムや酸化カルシウムさらに酸化マグネシウムをゾルに1〜30重量%好ましくは1〜10重量%混合することの利点は、実施例5と同じである。
【0101】
また、金属薄体の材質はステンレスを使用する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレスであれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0102】
(実施例7)
実施例7は、複数の開孔部を有する非通電の通気板を、臭気分解触媒付き金属薄板の後流側に、ガス通過方向に対して略垂直に配置した脱臭装置の効果について検討したものである。その実施例は図1、図3であり、複数の開孔部を有する通電なしの通気板23が、筐体17のガス通過用空洞18内に配置した金属薄板20の後流側に、ガス通過方向に対して略垂直に配置されている。
【0103】
通気板の効果は、この脱臭装置を加熱調理器に取り付け、消費電力と到達温度、調理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率の3項目で判定した。その結果を(表9)に示す。
【0104】
試作番号1は、通気板なしの脱臭装置であり、臭気分解触媒付き金属薄板だけが1層構造で配置されている。
【0105】
試作番号2は、ラス網加工で複数の開孔部を形成したステンレス製の通気板(通電なし)を、臭気分解触媒付き金属薄板の後流側に配置した脱臭装置である。
【0106】
なお、いずれの試作番号も、通電により発熱する臭気分解触媒付き金属薄板が前流側に配置されている。この臭気分解触媒付き金属薄板は、ラス網加工し更に波付け加工したステンレス製箔体の表面に、琺瑯製の絶縁層と、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成してアルミナの担体層とこの担体層に担持した白金とパラジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒を、順に形成したものである。そして、50Wの通電で400℃に保持されている。
【0107】
【表9】
Figure 0003896695
【0108】
複数の開孔部を有する通気板を、臭気分解触媒付き金属薄板の後流側に配置すると、臭気成分の分解率が一層高まることがわかる。これは、通気板によってガスの通過速度が低下して、金属薄板に設けている臭気分解触媒との反応時間が長くなるためである。また、調理ガスの漏れもなかった。
【0109】
(実施例8)
実施例8は、臭気分解触媒付き金属薄板20の後流側に、複数の開孔部を有する非通電の通気板23を配置し、この通気板23の表面に臭気分解触媒を形成した脱臭装置の効果について検討したものである。
【0110】
通気板の表面に形成した臭気分解触媒の効果は、この脱臭装置を加熱調理器に取り付けて、到達温度、調理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率の3項目で判定した。その結果を(表10)に示す。
【0111】
試作番号1は、通気板だけを有する脱臭装置であり、通気板はラス網加工し更に波付け加工したステンレス製箔体を使用した。
【0112】
試作番号2は、通気板に臭気分解触媒を形成した脱臭装置である。臭気分解触媒を形成した通気板は、ラス網加工し更に波付け加工したステンレス製箔体の表面に、熱処理により形成した酸化被膜と、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成してアルミナの担体層とこの担体層に担持した白金とパラジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒を、順に形成したものを使用した。
【0113】
なお、いずれの試作番号品も、前流側には通電により発熱する臭気分解触媒付き金属薄板が配置されており、後流側の通気板は通電なしである。
【0114】
【表10】
Figure 0003896695
【0115】
通気板に臭気分解触媒を形成すると、臭気成分の分解率が一層高まることがわかる。これは、前流側に配置した臭気分解触媒付き金属薄板が通電によって400℃まで昇温し、この熱が後流側に配置した通気板に伝わって通気板が380℃まで上昇し、触媒の効果が発揮されるためである。また、臭気分解触媒は、ステンレス製箔体を熱処理にして形成した酸化被膜の表面に、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成してアルミナの担体層を形成しさらにこの担体層に白金とパラジウムの貴金属を担持させた製法で得ているため、密着性が優れている。
一方、通気板は通電されないため、金属薄板だけに電力が集中しその結果、金属薄板は高い温度に保持されその表面に形成した臭気分解触媒の分解特性が益々向上する。
【0116】
(実施例9)
実施例9は、撥水耐熱絶縁性シートの設定幅について検討したものである。
【0117】
効果判定は、まず大気側方向に設定する幅の決定から行った。
実験は、図1記載の加熱調理器9を使用し、撥水耐熱絶縁性シート14である4フッ化エチレン樹脂のシートを介在させて、ステンレス製の排気筒13の内側に脱臭装置15を取り付けた。
【0118】
撥水耐熱絶縁性シート14は、厚み0.5mmの帯状シートであり、その長さ180mmが排気筒13の内側と脱臭装置15の外側の間に介在する周囲分として使用されている。そして、調理ガス通過方向に設定される幅の内側部5mmが排気筒12への取り付け部16aおよび脱臭装置14への取り付け部16bとして使用されている。そして取り付け部16a、16b以外の残り幅は、調理室側方向への設定幅と大気側方向への設定幅を同じとして使用した。
【0119】
効果の判定は、加熱熱源12および脱臭装置15を非通電状態にし、温度40℃湿度90%の高温高湿雰囲気中に60分間放置した際の、金属薄板20と加熱調理器9間の絶縁抵抗を測定し、その最低値で行った。撥水耐熱絶縁性シートの大気側方向への設定幅を変化させて、最低絶縁抵抗を測定した結果を(表11)に示す。
【0120】
【表11】
Figure 0003896695
【0121】
撥水耐熱絶縁性シートは、大気側方向へ幅5mm以上設定すれば、高温高湿雰囲気中でも絶縁抵抗は充分に確保されることがわかる。
次に、調理室側方向に設定する幅について検討した。
【0122】
実験は、調理室側方向に設定する面積が異なること以外は、実施例1と同じでありそのポイントは以下の通りである。4フッ化エチレン樹脂製の撥水耐熱絶縁性シート14は、厚み0.5mmの帯状シート(長さ180mmを周囲介在分と使用)であり、調理ガス通過方向に設定される幅の内側部5mmを脱臭装置15および排気筒13への取り付け部16a、16bとし、外側部5mmを大気側方向への設定幅としている。効果の判定は、加熱調理器が若とり2枚重量500gを調理した直後に加熱熱源および脱臭装置を非通電状態にし24時間経過させた際の、金属薄板17と加熱調理器9間の絶縁抵抗を測定し、その最低値で行った。撥水耐熱絶縁性シートの調理室側方向への設定幅を変化させて、最低絶縁抵抗を測定した結果を(表12)に示す。
【0123】
【表12】
Figure 0003896695
【0124】
上記実験より、撥水耐熱絶縁性シートの設定幅は、大気側5mmに対して調理室側を5mm以上望ましくは7.5mm以上に設定すれば、絶縁抵抗は充分に確保されることがわかる。
【0125】
(実施例10)
実施例10は、撥水耐熱絶縁性シートの材質について検討したものである。
【0126】
実験は、撥水耐熱絶縁性シートの材質が異なる以外は、実施例1と同じでありそのポイントは以下の通りである。撥水耐熱絶縁性シート14は、厚み0.5mmの帯状シート(長さ180mmを周囲介在分と使用)であり、調理ガス通過方向に設定される幅20mmの内側部5mmを脱臭装置15および排気筒13への取り付け部16a、16bとし、外側部5mmを大気側方向への設定幅、他方の外側部10mmを調理室側方向への設定幅としている。効果の判定は、加熱調理器が若とり2枚で重量500gを調理した直後に加熱熱源および脱臭装置を非通電状態にし24時間経過させた際の、金属薄板17と加熱調理器9間の絶縁抵抗を測定し、その最低値で行った。撥水耐熱絶縁性シートの材質を変化させて、絶縁抵抗を測定した結果を(表13)に示す。
【0127】
【表13】
Figure 0003896695
【0128】
撥水耐熱絶縁性シートが、フッソ樹脂を50重量%以上望ましくは60重量%含有するシート、もしくはフッソ樹脂を表面に被覆したシートであると、絶縁抵抗は充分に確保されることがわかる。また、耐熱性の有るフッソ樹脂であるため、特に耐熱性が優れた4フッ化エチレン樹脂であると、排出調理ガス温度を冷却するための部品や空間を必要とせず、その分だけ加熱調理器を小型化できる。
【0129】
(実施例11)
実施例11は、高周波加熱装置を有する加熱調理器への応用例であり、その応用例を図1に示す。
【0130】
高周波加熱装置24を併設すると、その電波漏れ防止のため調理室10と排気筒13の間に、複数の開口穴を有する金属製の高周波電波漏洩防止材25を取り付ける必要がある。そのため、この高周波電波漏洩防止材25と脱臭装置15が排出調理ガスの流れを妨げ、取り付け条件が最適でないと加熱調理器の前面ドア11などから調理ガスが漏れ、脱臭が効果的になされない。そこで、その取り付け条件の最適化を検討した。
【0131】
実験はまず、脱臭装置を取り付けない状態にある高周波加熱装置付き加熱調理器において、最適な高周波電波漏洩防止材の条件を求めた。電波漏れ防止のためには、その開口穴は開口穴と非開口穴部の合計面積に対して45%以下(以下、開口比45%以下と称す)とし、金属板の板厚1.0mm以上とする必要がある。
【0132】
そこで、開口比45%で板厚1.0mmの条件において、加熱調理器のドアなどから調理ガスが漏れない寸法を求めたところ、その開口穴と非開口穴部の合計面積が高さ3cm×横幅6cm以上あれば調理ガスが漏れないことを確認した。以後、これを基礎に最適化の検討を進めた。(表14)は、高周波電波漏洩防止材の開口穴と非開口穴部の合計面積と、脱臭装置の筺体に形成したガス通過用空洞の開口面積の関係について検討したものである。
【0133】
【表14】
Figure 0003896695
【0134】
高周波電波漏洩防止材の開口穴と非開口穴部の合計面積を、筺体に形成したガス通過用空洞の開口面積より大きくすることで、調理ガスの漏れがなく、しかも脱臭装置を小型にできる。
【0135】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明の加熱調理機器によれば、次の効果が得られる。
【0136】
本発明の請求項1記載の発明によれば、通電により発熱する金属薄板を有する脱臭装置を、調理ガス通過方向における幅を取り付け部より両側に大きく設定した撥水耐熱絶縁性シートを周囲に介在させて排気筒に取り付けているので、付着水分に起因する排気筒と脱臭装置との電気的導通が、撥水耐熱絶縁性シートの撥水作用および絶縁作用によって遮断され、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが防止される。さらに、シートであるためその弾力作用により、脱臭装置を排気筒に隙間なく取り付けることができ、取り付けた際のガス漏れも発生しない。また、臭気分解触媒が絶縁層を介して発熱する金属薄板に直接的に形成されているため、触媒の加熱が小電力でしかも短い時間ですむ。
【0137】
本発明の請求項2記載の発明によれば、箔体をラス網状に加工して複数の開孔部を形成しているため、熱容量や重量が小さくしかも開孔率が大きい金属薄板となり、小さな消費電力で早い昇温スピードを得ることができる。しかも、金属薄板はステンレスであるので耐食性に優れるとともにラス網加工が自由にでき、更に波付け加工することで単位体積当たりの発熱面積が大きくなって高い温度が得られる。また、金属薄板は、筺体のガス通過用空洞にガス通過方向に対して略垂直に配置されているので、ラス網に設けた開孔部を効果的にガスが通過して圧力損失が低減するとともに、絶縁層を介して形成した触媒との接触が良くなり臭気成分の分解率が高まる。
【0138】
本発明の請求項3記載の発明によれば、琺瑯層にアルミニウムが10〜45重量%含まれるため、焼き付けた際にアルミニウムは体積膨張しその表面に酸化アルミニウムの被膜を形成する。そのため琺瑯層は多孔質な絶縁層となり、琺瑯焼き付け時のラス網状金属薄体の熱変形や琺瑯層の剥離が発生しない。
【0139】
本発明の請求項4記載の発明によれば、琺瑯層はアルミニウムの10〜45重量%のほかに酸化チタンが10〜25重量%含まれているため、耐熱水性に優れた多孔質絶縁層となり蒸気に長時間曝されても剥離が生じないし、琺瑯焼き付け時のラス網状金属薄体の熱変形や琺瑯層の剥離も発生しない。
【0140】
本発明の請求項5記載の発明によれば、アルミニウムを10〜45重量%混合した琺瑯層に、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層とこの担体層に担持された白金とパラジウムのうちのいずれかまたは両方を備えた貴金属から構成される臭気分解触媒を形成したため、臭気分解触媒は、優れた浄化特性と密着性を示す。これは、アルミニウムの混合で多孔質となった琺瑯層の空隙に担体層が浸入して強固に付着するとともに、高活性な白金とパラジウムのうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属がこの多孔質な担体層に強固に付着しているためである。
【0141】
本発明の請求項6記載の発明によれば、アルミニウム重量%混合した琺瑯層に、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層とこの担体層に担持されたマンガン酸化物と銅酸化物とコバルト酸化物のうちの少なくともいずれか1種または複数種の金属酸化物から構成される臭気分解触媒を形成したため、臭気分解触媒は、優れた浄化特性と密着性を示す。これは、アルミニウムの混合で多孔質となった琺瑯層の空隙に担体層が浸入して強固に付着するとともに、高活性なマンガン酸化物と銅酸化物とコバルト酸化物のうちのいずれか1種または複数種の金属酸化物がこの多孔質な担体層に強固に付着しているためである。
【0142】
本発明の請求項7記載の発明によれば、複数の開孔部を有する通気板を、筺体のガス通過用空洞における金属薄板の後流側に、ガス通過方向に対して略垂直に配置するため、通気板によってガスの通過速度が低下して、金属薄板に設けている臭気分解触媒との反応時間が長くなり臭気成分の分解率が一層高まる。
【0143】
本発明の請求項8記載の発明によれば、金属製の通気板を熱処理することによって形成した酸化被膜の表面に、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層とこの担体層に担持された白金とパラジウムのうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属から構成される臭気分解触媒を形成したため、触媒との反応回数が増え臭気成分の分解率がさらに高まり、その密着性も良好となる。
【0144】
本発明の請求項9記載の発明によれば、撥水耐熱絶縁性シートの設定面積を、水分量の多い排出調理ガス側を大きくしているため、水分の撥水が充分に行われ、付着水分に起因する排気筒と脱臭装置との電気的絶縁が一層充実し、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが一層防止される。
【0145】
本発明の請求項10記載の発明によれば、撥水耐熱絶縁性シートをフッソ樹脂を主成分とするシート、もしくはフッソ樹脂を表面に被覆したシートであるとしたため、水分の撥水が充分に行われ、付着水分に起因する排気筒と脱臭装置との電気的絶縁が一層充実になされ、金属薄板に流れている電流が加熱調理器に流れることが一層防止される。また、耐熱性の有るフッソ樹脂であるため、排出調理ガス温度を冷却するための部品や空間を必要とせず、その分だけ加熱調理器を小型化できる。
【0146】
本発明の請求項11記載の発明によれば、高周波加熱装置付きの加熱調理機器とし、調理室と排気筒の間に、複数の開口穴を有する金属製の高周波電波漏洩防止材を取り付け、前記高周波電波漏洩防止材の開口穴と非開口穴部を合計した面積を、筺体に形成したガス通過用空洞の開口面積より大きくしたため、高周波電波漏洩防止材の圧力損失が低減され、さらにその分だけ脱臭装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である加熱調理器の断面図
【図2】同要部拡大断面図
【図3】同実施例に用いる脱臭装置の一部破断斜視図
【図4】従来の加熱調理器の断面図
【図5】同触媒装置の拡大断面図
【符号の説明】
9 加熱調理器
10 調理室
12 加熱熱源
13 排気筒
14 撥水耐熱絶縁性シート
15 脱臭装置
16a、16b 取り付け部
17 筐体
18 ガス通過用空洞
19 開孔部
20 金属薄板
21 絶縁層
22 臭気分解触媒
23 通気板
24 高周波加熱装置
25 高周波電波漏洩防止材

Claims (11)

  1. 調理室に収納した調理物から発生する調理ガスを排出する排気筒と、前記排気筒に撥水耐熱絶縁性シートを周囲に介在させて取り付けられており調理ガスに含まれる臭気成分を分解する脱臭装置とを備えており、前記脱臭装置が、ガス通過用空洞を内部に形成した耐熱絶縁性の筺体と、前記筺体のガス通過用空洞に配置されており複数の開孔部を有し通電により発熱する金属薄板と、前記金属薄板の表面に形成した耐熱性の絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成した臭気分解触媒とで構成され、前記撥水耐熱絶縁性シートが調理ガス通過方向に設定した幅を前記脱臭装置および前記排気筒を取り付けた取り付け部の幅より両側に大きく設定して介在されている加熱調理器。
  2. 金属薄板が、ラス網状に加工することで複数の開孔部を形成した後に更に波付け加工したステンレス製箔体であり、筺体のガス通過用空洞にガス通過方向に対して略垂直に配置されている請求項1記載の加熱調理器。
  3. 金属薄板がラス網状に加工したステンレス薄板であり、絶縁層はアルミニウムを少なくとも10〜45重量%含む琺瑯とした請求項1記載の加熱調理器。
  4. 絶縁層は、酸化チタンの10〜25重量%を混合した琺瑯とした請求項3記載の加熱調理器。
  5. 水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持された白金とパラジウムのうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属とから構成される臭気分解触媒を、絶縁層の表面に形成した請求項3または4記載の加熱調理器。
  6. 水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持されたマンガン酸化物と銅酸化物とコバルト酸化物のうちの少なくともいずれか1種または複数種の金属酸化物とから構成される臭気分解触媒を、絶縁層の表面に形成した請求項3または4記載の加熱調理器。
  7. 複数の開孔部を有する非通電の通気板を、筺体のガス通過用空洞における金属薄板の後流側に、ガス通過方向に対して略垂直に配置した請求項1記載の加熱調理器。
  8. 通気板をステンレス製としその表面に、前記通気板を熱処理することによって形成した酸化被膜と、水酸化アルミニウムを主成分とするゾルを前記酸化被膜に付着させ焼成して形成した担体層に担持させた白金とパラジウムのうちの少なくともいずれかまたは両方を備えた貴金属とから構成される臭気分解触媒を形成した請求項7記載の加熱調理器。
  9. 撥水耐熱絶縁性シートの設定幅を、取り付け部の端部から調理室側方向へ設定する幅が、取り付け部の他端部から大気側方向へ設定する幅よりも大きくした請求項1記載の加熱調理器。
  10. 撥水耐熱絶縁性シートを、フッソ樹脂を主成分とするシート、もしくはフッソ樹脂を表面に被覆したシートとした請求項1記載の加熱調理器。
  11. 高周波加熱装置を併設した加熱調理機器であり、調理室と排気筒の間に、複数の開口穴を有する金属製の高周波電波漏洩防止材を取り付け、前記高周波電波漏洩防止材の開口穴と非開口穴部を合計した面積を、筺体に形成したガス通過用空洞の開口面積より大きくした請求項1記載の加熱調理機器。
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