JP2000249350A - 加熱調理器 - Google Patents

加熱調理器

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JP2000249350A
JP2000249350A JP4999299A JP4999299A JP2000249350A JP 2000249350 A JP2000249350 A JP 2000249350A JP 4999299 A JP4999299 A JP 4999299A JP 4999299 A JP4999299 A JP 4999299A JP 2000249350 A JP2000249350 A JP 2000249350A
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JP
Japan
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heat
cooking
resistant insulating
deodorizing device
gas passage
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JP4999299A
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English (en)
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Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
Yoshifumi Moriya
好文 守屋
Tadami Suzuki
忠視 鈴木
Koichi Nakano
幸一 中野
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小電力で、かつ短時間に加熱できる触媒を有
する脱臭装置を、充分な電気絶縁対策を施して設けた加
熱調理器を提供するものである。 【解決手段】 加熱調理器9は排気口13に脱臭装置1
4を設けている。脱臭装置は、ガス通過用空洞15を有
する筐体16と、この筐体の入口側表面に設けた撥水耐
熱絶縁性被膜17と、これより下流のガス通過用空洞内
に略垂直に配置し、表面に臭気分解触媒21を有する金
属薄板19から構成される。そして、撥水耐熱絶縁性被
膜の撥水作用および絶縁作用により、調理ガスがガス通
過用空洞内を通過して金属薄板に付着する水分により起
こる加熱調理器との電気的導通を遮断するため、金属薄
板に流れている電流が加熱調理器に流れるのを防止でき
る。また、臭気分解触媒は耐熱絶縁層を介し直接的に金
属薄板に設けたので、触媒の加熱を小電力で、かつ短時
間に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱調理時に調理
物から発生する調理ガスの脱臭を行う脱臭装置を備えた
加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に加熱調理器は、加熱調理時に調理
物から発生する調理ガスが、不快臭を発したり、室内の
壁等を汚したりすることのないように、調理室の排気口
に設けた触媒を内部に有する脱臭装置で、前記調理ガス
を清浄化して排出する工夫が種々提案されている。
【0003】図6は特開平4−29722号公報に記載
されている従来の加熱調理器の断面図で、また図7はこ
の加熱調理器に用いられている触媒装置の拡大断面図で
ある。調理器本体1は、その加熱室2に排気通路3を接
続し、さらに排気通路3には触媒装置4を設けている。
触媒装置4は、電気ヒ−タ5と、この電気ヒ−タ5によ
り加熱される第1酸化触媒6および第2酸化触媒7から
構成される。この第1酸化触媒6および第2酸化触媒7
は、いずれも調理ガスが通る多数の小孔8を有する直方
体形状物であり、丸棒を蛇行状に成形した電気ヒ−タ5
を真ん中にして挟んでいる。電気ヒ−タ5は、第1酸化
触媒6および第2酸化触媒7を所定の温度まで加熱する
ので、加熱室2から排出される調理ガスは、第1酸化触
媒6および第2酸化触媒7の小孔8を通る際に清浄化さ
れる。
【0004】一方、触媒装置は種々提案されているが、
特開平5−301048号公報には、通電を可能とした
エキスパンド加工(ラス網加工とも云う)のステンレス
鋼薄板に絶縁性無機物を被覆して担体とし、この担体に
触媒成分を担持させる構成が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
加熱調理器に使用されている触媒装置4は、大容積の第
1酸化触媒6および第2酸化触媒7が小型の電気ヒ−タ
5を挟んでいる構成なので、電気ヒ−タ5は第1酸化触
媒6および第2酸化触媒7の加熱に大きな電力と長い加
熱時間を必要とする問題があった。
【0006】一方、前記した従来の触媒装置の構成で
は、水分に対する電気絶縁対策が施されていないので、
調理室の排気通路に設ける場合には、通電可能なステン
レス鋼薄板の表面に調理物から発生する水分が付着する
ことで、ステンレス鋼薄板と調理器本体が電気的に導通
してしまう。従って、ステンレス鋼薄板に流れている電
流が調理器本体に流れることを防止する対策を施さない
と使用できない問題があった。
【0007】本発明は、上記した従来例の課題を解決す
るもので、電気的絶縁を行い、かつ触媒を小電力で短時
間に昇温する脱臭装置を備えた加熱調理器を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、耐熱絶縁性の筐体内に設けたガス通過用空
洞内の入口側表面に撥水耐熱絶縁性被膜を形成するとと
もに、この撥水耐熱絶縁性被膜より下流におけるガス通
過用空洞内に、通電により発熱する金属薄板の表面に耐
熱絶縁層を介して形成した臭気分解触媒を設けた脱臭装
置を備えた加熱調理器である。
【0009】上記構成によれば、ガス通過用空洞内の入
口側において撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作用および絶縁
作用により、金属薄板に付着する水分によって起こる加
熱調理器との電気的導通が遮断される。従って、金属薄
板に流れている電流が加熱調理器に流れるのが防止され
る。また、金属薄板の発熱は耐熱絶縁層を介して臭気分
解触媒に直接的に伝わるので、触媒の加熱が小電力です
み、しかも短時間に昇温する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、各請求項に記載した発
明の形態で実施することができる。
【0011】すなわち、請求項1に記載の発明は、調理
物を収納する調理室と、前記調理物を加熱する加熱熱源
と、前記調理室の排気口に設け、排出される調理ガスに
含まれる臭気成分を分解する脱臭装置とを備え、前記脱
臭装置は、内部にガス通過用空洞を有する耐熱絶縁性の
筐体と、前記ガス通過用空洞内の入口側表面に設けた撥
水耐熱絶縁性被膜と、前記撥水耐熱絶縁性被膜より下流
においてガス通過用空洞内に設け、複数の孔を有し通電
により発熱する金属薄板と、前記金属薄板の表面に形成
した耐熱絶縁層と、前記耐熱絶縁層の表面に形成した臭
気分解触媒とで構成したことで実施できる。
【0012】上記構成において、撥水耐熱絶縁性被膜を
筐体のガス通過用空洞内の入口側表面に設け、臭気分解
触媒を撥水耐熱絶縁性被膜より下流のガス通過用空洞内
に設けているので、ガス通過用空洞内の入口側において
撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作用および絶縁作用により、
金属薄板に付着する水分によって起こる加熱調理器との
電気的導通が遮断される。従って、臭気分解触媒の加熱
のため、金属薄板に流れている電流は、加熱調理器に流
れるのが防止される。また、金属薄板の発熱は耐熱絶縁
層を介して臭気分解触媒に直接的に伝わるので、触媒の
加熱が小電力ですみ、しかも短時間に昇温する。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、筐体を耐
熱断熱性の分割した複数の分割筐体を接合して構成し、
かつ前記分割筐体の内面に溝を設け、前記溝へ臭気分解
触媒を表面に有する金属薄板を嵌合させ、ガス通過方向
に対し略垂直に配置して脱臭装置としたことで実施でき
る。
【0014】上記構成において、金属薄板が溝に嵌合し
て筐体のガス通過用空洞内に略垂直に配置されているの
で、ガス通過用空洞内を流れる調理ガスは洩れることな
く金属薄板を通り臭気分解触媒と接触し臭気成分の分解
率が高められる。また、脱臭装置は分割筐体の溝に金属
薄板を嵌合し、そして分割筐体を互いに接合すると組み
立てられ、作業のし易いものになる。さらに、筐体をセ
ラミック等の耐熱断熱材で形成すれば断熱効果が高ま
り、その結果臭気分解触媒の温度も高まって臭気成分の
分解率が一層高まる。
【0015】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
記載において、ガス通過用空洞を構成する分割筐体の互
いに接合する入口側接合表面および入口側前端面に、撥
水耐熱絶縁性被膜を設けて脱臭装置としたことで実施で
きる。
【0016】上記構成において、筐体を複数に分割し、
この分割筐体を互いに接合して筐体を形成する場合で、
分割筐体の接合面に微少の隙間があって、これより洩れ
る結露水を介しての電気導通が、両者の接合面および前
端面の撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作用および絶縁作用に
よって遮断され、金属薄板に流れている電流は加熱調理
器に流れるのが防止される。
【0017】また、請求項4に記載の発明は、請求項2
記載において、ガス通過用空洞を構成する分割筐体の入
口側外周面に、撥水耐熱絶縁性被膜を設けて脱臭装置と
したことで実施できる。
【0018】上記構成において、加熱調理器を高温多湿
の環境で使用すると、脱臭装置を構成する筐体の外周面
にも水分が付着するが、、撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作
用および絶縁作用によって前記水分を介して金属薄板と
加熱調理器が導通するのが遮断され、金属薄板に流れて
いる電流は加熱調理器に流れるのが防止される。
【0019】また、請求項5に記載の発明は、脱臭装置
の撥水耐熱絶縁性被膜を、フッ素樹脂を主成分とした被
膜にする請求項1または請求項3または請求項4のいず
れか1項に記載の脱臭装置とすることで実施できる。
【0020】上記構成において、撥水耐熱絶縁性被膜は
撥水性の優れたフッ素樹脂系を使用しているので、金属
薄板に流れている電流は加熱調理器に流れるのが一層防
止されるとともに、しかもフッ素樹脂は耐熱性にも優
れ、高温の調理ガスに曝されても劣化することがない。
【0021】また、請求項6に記載の発明は、固定部材
で筐体を構成する複数の分割筐体の接合部分を外側から
挟み込んで固定した請求項2記載の脱臭装置とすること
で実施できる。
【0022】上記構成において、脱臭装置の筐体は複数
の分割筐体を互いに接合して、この接合部分を固定部材
で外側から挟み込んで固定すれば組み立てられ、その作
業を簡単に行え、かつ確実に固定される。
【0023】また、請求項7に記載の発明は、ステンレ
ス薄板をラス網状に加工するとともに、波形状に加工し
て脱臭装置の金属薄板とすることで実施できる。
【0024】上記構成において、金属薄板はステンレス
薄板のラス網状および波形状により、熱容量や重量%が
小さく、しかも孔開口率が大きいものとなり、一層小さ
な消費電力で、かつ早いスピ−ドで昇温されるととも
に、ステンレス薄板で耐食性に優れ、かつラス網状およ
び波形状の加工で単位体積当たりの発熱面積が大きくな
り高い発熱温度になる。
【0025】また、請求項8に記載の発明は、脱臭装置
の金属薄板を、ラス網状に加工したステンレス薄板で、
耐熱絶縁層をアルミニウムが少なくとも10〜45重量
%を含む琺瑯でそれぞれ形成することで実施できる。
【0026】上記構成において、琺瑯にアルミニウムが
少なくとも10〜45重量%含まれると、焼き付けた際
にアルミニウムは体積膨張しその表面に酸化アルミニウ
ムの被膜を形成して電気不導体となる。従って、琺瑯は
多孔質な耐熱絶縁層となり、琺瑯を焼き付けた際の金属
薄板の熱変形や琺瑯の剥離が生じない。
【0027】また、請求項9に記載の発明は、脱臭装置
の金属薄板を、ラス網状に加工したステンレス薄板で、
耐熱絶縁層をアルミニウムの10〜45重量%と酸化チ
タンの10〜25重量%を少なくとも含む琺瑯でそれぞ
れ形成して実施できる。
【0028】上記構成において、琺瑯にアルミニウムが
10〜45重量%含まれると琺瑯はその焼き付けで多孔
質な耐熱絶縁層となり、酸化チタンの10〜25重量%
の更なる含有で耐水性に優れた耐熱絶縁層となる。従っ
て、琺瑯を焼き付けた際の金属薄板の熱変形が起こらな
いとともに、蒸気に長時間曝されても琺瑯の剥離が生じ
ない。
【0029】また、請求項10に記載の発明は、水酸化
アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担
体層と、前記担体層に担持させた白金とパラジウムのう
ちの少なくともいずれか、または両方を備えた貴金属で
構成した脱臭装置の臭気分解触媒を、請求項8または請
求項9記載の耐熱絶縁層の表面に形成することで実施で
きる。
【0030】上記構成において、アルミニウムを10〜
45重量%混合した琺瑯は、前述のようにステンレス製
の金属薄板の表面に多孔質の耐熱絶縁層となって密着す
る。従って、水酸化アルミニウムのゾルを琺瑯に付着さ
せると、このゾルは多孔質な琺瑯の空隙に浸入し、焼成
によって多孔質なアルミナとなって強固に付着する。ま
た、高活性な白金もしくはパラジウムの1種以上の貴金
属は、この多孔質な担体層に担持されるため強固に付着
する。従って、臭気分解触媒は優れた浄化特性と密着性
を示すのである。
【0031】また、請求項11に記載の発明は、金属薄
板の下流における筐体のガス通過用空洞内に複数の孔を
有するステンレスからなる非通電の通気板を略垂直に設
け、前記通気板の表面に熱処理により形成した酸化被膜
と、前記酸化被膜に水酸化アルミニウムを主成分とする
ゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持さ
せた白金とパラジウムのうちの少なくともいずれか、ま
たは両方を有する貴金属とを備えた臭気分解触媒を形成
したことで実施できる。
【0032】上記構成において、通気板を金属薄板の下
流側に配置すると、通気板によって調理ガスのガス通過
用空洞内における通過速度が低下して金属薄板の表面の
臭気分解触媒との反応時間が長くなり臭気の分解率が高
まるとともに、下流の通気板の表面にも臭気分解触媒を
形成しているので、触媒との反応回数が増え臭気成分の
分解率が更に高まる。
【0033】また、請求項12に記載の発明は、脱臭装
置の金属薄板に通電した後に加熱熱源を作動させる制御
部を備えて実施できる。
【0034】上記構成において、脱臭装置の金属薄板を
加熱熱源の作動する前に予め通電しておくと、金属薄板
が瞬時に高温に保持されるため周囲の付着水分が蒸発
し、付着水分に起因する排気口と脱臭装置との電気的絶
縁が充分に行われる。従って、小電力で動作する脱臭装
置の金属薄板を予め通電しておいて付着水分を除いてお
き、付着水分がない環境になったら大電力で動作する加
熱熱源を作動させると、2重安全対策となる。
【0035】また、請求項13に記載の発明は、調理物
を加熱する高周波加熱熱源と、高周波が調理室の排気口
から漏れるのを防止する複数の孔を有する高周波電波漏
洩防止材を有し、前記高周波電波漏洩防止材は孔の総面
積と孔無部の面積の合計した面積を、脱臭装置のガス通
過用空洞の開口面積と同一もしくは、それより大きくす
ることで実施できる。
【0036】上記構成において、高周波電波漏洩防止材
は調理ガスの排出に対して比較的に圧力損失となるが、
高周波電波漏洩防止材の孔の総面積と孔無部の面積との
合計した面積を、脱臭装置のガス通過用空洞の開口面積
と同一もしくは、それより大きくすることで、高周波電
波漏洩防止材の圧力損失が低減され、その分だけ脱臭装
置が小型になる。
【0037】また、請求項14に記載の発明は、調理室
の排気口に撥水耐熱絶縁性シ−トを介して脱臭装置の筐
体を取り付けることで実施できる。
【0038】上記構成において、撥水耐熱絶縁性シ−ト
の持つ弾力作用により、脱臭装置の筐体のガス入り口前
面は排気口に隙間なく設けられ、調理ガスの洩れや蒸気
洩れによる電気絶縁性の低下が防止される。
【0039】
【実施例】以下本発明の実施例を図1〜図5に基づいて
説明する。
【0040】(実施例1)図1は本発明の実施例1にお
ける加熱調理器の要部断面図、図2は同調理器に用いる
脱臭装置の要部拡大断面図である。
【0041】9は加熱調理器で、調理物を収納し加熱す
る調理室10と、調理室10より調理物を出入するドア
11と、調理室9の上部壁内に設け、庫内温度を上昇さ
せることで調理物を加熱する加熱熱源として電気オ−ブ
ンの加熱熱源12と、調理室10の上部に設けた排気口
13に取り付け、排気される調理ガスに含まれる臭気成
分を分解する脱臭装置14を備えている。
【0042】脱臭装置14は、調理ガスの通過するガス
通過用空洞15を内部に有する耐熱絶縁性の筒状の筐体
16と、この筐体16のガス通過用空洞15の入口側表
面に4フッ化エチレン樹脂の塗料を塗布して形成した撥
水耐熱絶縁性被膜17と、この撥水耐熱絶縁性被膜17
より下流側のガス通過用空洞15内に調理ガスの通過方
向に対し略垂直に配置し、多数の小さな孔18を有し通
電により発熱する金属薄板19と、この金属薄板19の
表面に形成した耐熱絶縁層20と、この耐熱絶縁層20
の表面に形成し、金属薄板19の発熱により加熱されて
動作する臭気分解触媒21とで構成される。
【0043】筐体16は、シリカ・アルミナ系のセラミ
ックで形成され、例えば底部および蓋部の複数の分割筐
体として成型し、この底部と蓋部を嵌合して内部にガス
通過用空洞15が形成されるようにその形状を工夫して
いる。そして、前記筐体16の成型後、そのガス通過用
空洞15の入口側表面に4フッ化エチレン樹脂の塗料を
塗布して撥水耐熱絶縁性被膜17を形成する。続いて、
筐体16の撥水耐熱絶縁性被膜17より下流側のガス通
過用空洞15内に金属薄板19を略垂直に配置し、筐体
16を構成する蓋部と底部の間に微細な隙間が生じない
ように無機接着剤で気密にシ−ルして完成する。
【0044】金属薄板19は、ラス網状に加工し、更に
波形状に加工したステンレス製の金属薄板であり、その
表面には琺瑯製の耐熱絶縁層20と、水酸化アルミニウ
ムを主成分とするゾルを付着させ焼成したアルミナ系の
担体層とこの担体層に担持した白金とパラジウムの貴金
属から構成される臭気分解触媒21が付着形成されてい
る。そして、金属薄板19は、クロムの18重量%とア
ルミニウム3.5重量%を少なくとも含むフェライト系
ステンレスの板厚65μmの箔体であり、ラス網状に加
工したことによる孔開口率は約85%であるが、その表
面に耐熱絶縁層20を設け、更にその表面に臭気分解触
媒21を形成しても前記孔開口率は約75%であった。
【0045】上記実施例1において、ドア11を開閉し
て調理室10に調理物を入れ、加熱熱源12と脱臭装置
14の金属薄板19に同時に通電する。そして、調理物
を加熱熱源12および庫内雰囲気温度で加熱し、一方こ
の加熱時に発生した調理ガスは排気口13より脱臭装置
14のガス通過用空洞15内に入り孔18を通過する際
に臭気分解触媒21に接触して臭気成分が分解されて室
内に排出されるのである。
【0046】このような実施例1に基づく脱臭装置14
を備えた加熱調理器の試作品につき、実験により作用効
果の判定を行った結果について以下に説明する。脱臭装
置14の臭気分解触媒21を加熱する金属薄板19は、
特にその通電条件を断らない限り加熱熱源12の通電と
同時に通電することにする。また、効果判定のための測
定項目は、絶縁抵抗、消費電力および温度到達時間、調
理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率の5項目である。
【0047】絶縁抵抗は、調理室10内で水300cc
を30分かけて予め蒸発させて調理室内を湿った状態に
しておき、その後に2枚で重量500gの若とりを30
分調理した際における金属薄板19と加熱調理器9間の
絶縁抵抗を測定し、その最低値を表したものである。な
お、絶縁抵抗は、その最大値が300MΩである測定器
を使用して測定している。
【0048】消費電力および所定温度到達時間は、臭気
分解触媒21が効果的に働く温度である400℃になる
のに必要な脱臭装置14の消費電力と、この温度400
℃に到達するまでの所用時間を求めたものである。
【0049】調理ガスの洩れ状況は、2枚の若とりを調
理した際の脱臭装置14以外の場所からの調理ガスの洩
れ状況であり、脱臭装置14の圧力損失を知る手懸かり
として求めたものである。
【0050】炭化水素除去率は、2枚の若とりを調理し
た際の調理室内濃度および脱臭装置14の出口濃度を炭
化水素濃度として求め、そこから算出したものである。
【0051】以上の条件のもとに測定した結果を(表
1)に示す。
【0052】なお、従来品は、触媒装置を調理ガスが通
る多数の小孔8を有する第1酸化触媒6と第2酸化触媒
7と、第1酸化触媒6と第2酸化触媒7で挟まれた電気
ヒ−タ7で構成し、ステンレス製の排気通路3の内側に
そのまま取り付けたものである。第1酸化触媒6と第2
酸化触媒7は、小孔8を多数有するハニカム成形であ
り、酸化アルミニウムを主成分とする担体層に白金とパ
ラジウムを担持させた組成としたため、強度や成形性と
の兼ね合いでその孔開口率は45%が上限であった。電
気ヒ−タ5は、ヒ−タ線を蛇行状金属管の内部に収納し
た電気絶縁対策品であり、通電により発熱して周囲にあ
る第1酸化触媒6と第2酸化触媒7を加熱する。そし
て、触媒層の見かけ寸法や白金とパラジウムの量は、実
施例1の本発明品と同一にした。
【0053】また、参考品は本発明品より脱臭装置14
の撥水耐熱絶縁性被膜17を除外した加熱調理器であ
る。
【0054】
【表1】
【0055】本発明品は、従来品と比較して脱臭装置の
消費電力が小さいうえに短時間に所定温度に上昇するこ
と、脱臭装置以外からの調理ガスの洩れがないこと、炭
化水素除去率が高い利点を備えていることが明らかであ
る。また本発明品は、参考品と比較しても絶縁抵抗が高
く、電気的に絶縁されていることが明らかである。
【0056】そして、この本発明品の優れた利点は、次
の理由からである。
【0057】絶縁抵抗の高い理由は、撥水作用と電気絶
縁作用の優れた4フッ化エチレン樹脂の撥水耐熱絶縁性
被膜17を、筐体16のガス通過用空洞15の入口側表
面に形成しているために、排気口13よりガス通過用空
洞15内に入り結露して付着した水分を介在させての脱
臭装置14と加熱調理器9との電気的導通がこの撥水耐
熱絶縁性被膜17により遮断されるためである。なお、
従来品は予め電気絶縁された電気ヒ−タを使用している
ため絶縁抵抗に優れていた。一方、参考品は調理室内で
予め蒸発させておいた水分を介しての電気導通が、通電
により金属薄板19が約150℃以上に保持されるまで
の間(通電後の約10秒間)がある。そのため、この間
は絶縁抵抗値が小さく、例えば金属薄板19に通電した
直後は1MΩ、通電10秒後は5MΩの絶縁抵抗値を示
した。そして、10秒を越えると絶縁抵抗値はどんどん
大きくなり1分を過ぎると300MΩとなった。
【0058】脱臭装置14の消費電力が小さく、しかも
短時間に所定温度に上昇する理由は、金属薄板19が孔
開口率の高いラス網で、しかも波形状に加工をしている
ためであり、この加工により熱容量が小さくなり更に単
位体積当たりの発熱面積も大きくなっているためであ
る。
【0059】調理ガスの洩れない理由は、金属薄板19
をラス網状とし、その表面に耐熱絶縁層20、更に臭気
分解触媒21を形成しても、孔開口率が75%と大き
く、圧力損失がその分小さいためである。この点従来品
は、孔開口率が45%と小さいため圧力損失が大きくな
り、調理ガスが加熱調理器9のドア11から洩れる問題
が発生した。
【0060】炭化水素除去率が高い理由は、孔開口率が
75%と高いため表面積が大きくなったためである。
【0061】なお、金属薄板19の材料であるが、ニッ
ケル−クロム合金、鉄−ニッケル−クロム合金、鉄−ニ
ッケル合金、鉄−クロム−アルミニウム合金が適切であ
る。これは、比抵抗が高いので発熱特性に優れ、かつ加
工性に優れているので、その薄板に孔を開けてガスを通
過させる複数の孔部を形成することが容易であるとの理
由からである。
【0062】一方、金属薄板19の表面に形成する耐熱
絶縁層20の材料は、ガラス、琺瑯、アルミナゾル、シ
リカゾル、ポリシロキサン、ポリリン酸が密着性に優れ
ている理由から適切であり、これらはその粘性水溶液を
金属表面に付着させ焼成することで耐熱絶縁層を形成し
た。これらの組合せ品において、鉄−ニッケル−クロム
合金、鉄−ニッケル合金、鉄−クロム−アルミニウム合
金のステンレス製の金属薄板19に、琺瑯製の耐熱絶縁
層20を形成した本発明品は、特に密着性に優れてい
る。この理由は、金属薄板19に含有する鉄成分と琺瑯
に含有されるガラス成分が琺瑯を焼成中に反応して固着
するためである。また、この中で特に鉄−クロム−アル
ミニウム合金は、金属薄板19に含有するアルミニウム
成分が琺瑯に含有されるガラス成分と反応して強固に固
着するため、密着性が最も優れていた。この鉄−クロム
−アルミニウム合金は、クロムの13〜33重量%とア
ルミニウムの3〜8重量%を少なくとも含む組成品が市
販されており、この組成範囲において特に組成を限定す
るものではなく、この市販品は、耐熱性、耐食性、機械
的強さ、非抵抗の点で他の金属発熱材料より優れる利点
があった。
【0063】一方、琺瑯は多孔質ほど焼き付けた際の金
属薄板19の変形が少なく良好である。実験に使用した
多孔質琺瑯の組成を以下に示す。琺瑯は、ガラス成分1
5重量%と、金属酸化物系顔料30重量%と、アルミニ
ウム35重量%、酸化チタン20重量%から構成されて
おり、各々の組成物はその配合割合が最大で±5重量%
変動することが許容されているものを使用した。
【0064】臭気分解触媒21は、白金、パラジウム、
酸化マンガン、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄等の酸化
反応触媒活性物質が適切であり、これらは耐熱絶縁層2
0に直接担持する方法もしくはアルミナやシリカ系の担
体を耐熱絶縁層20の表面に形成し、この担体に担持す
る方法で形成している。
【0065】筐体16は、雲母(マイカとも称す)もし
くはセラミックが適切である。撥水耐熱絶縁性被膜17
は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリシロキサン樹脂が
適切である。
【0066】(実施例2)図3および図4は本発明の実
施例2を示し、図3は実施例1の加熱調理器の排気口に
設けて使用する脱臭装置の分解斜視図で、図4は同装置
の断面図である。そして、この実施例2の発明は、脱臭
装置14の筐体について具体的にした点が実施例1と異
なるだけで、それ以外の同一機能および作用効果を奏す
る部分には実施例1と同一符号を付して詳細な説明を省
略し、異なる処を中心に説明する。
【0067】筐体16は、上下に分割した2個の分割筐
体としてのセラミック製の凹状の筐体底部22と、この
筐体底部22を閉蓋するセラミック製の逆凹状の筐体蓋
部23とで構成し、この両者の接合面を無機質接着剤で
気密にシ−ルして内部にガス通過用空洞15を形成して
いる。そして、筐体底部22および筐体蓋部23のガス
通過用空洞15の入口側表面には、4フッ化エチレン樹
脂を塗布して撥水耐熱絶縁性被膜17aおよび17bを
形成している。一方、筐体底部22および筐体蓋部23
の撥水耐熱絶縁性被膜17a、17bより下流側におけ
るガス通過用空洞15の内周面には、溝24a、24b
を設け、この溝24a、24bに通電により発熱する金
属薄板19の外周をはめ込んで調理ガス通過方向に対し
略垂直になるように配置している。25a、25bは金
属薄板19の両端に設けた電極で、これより交流電源を
印加して金属薄板19を発熱させる。26a、26b、
26cは筐体底部22および筐体蓋部23の互いに嵌合
する面に、前記電極25a,25bを通すために設けた
窪みである。
【0068】上記実施例2において、ガス通過用空洞1
5内を流れる調理ガスは、金属薄板19の外周が溝24
a、24bにはまり込んでいるので、金属薄板19の孔
18を通らずに流れる(洩れる)ことはなくなり、効果
的に金属薄板19の臭気分解触媒21に接触し、溝24
a、24bを設けていない場合より臭気成分の分解率を
高めることができる。また、筐体16はセラミックで形
成しているために、断熱効果が高まり、雲母で構成した
場合より臭気分解触媒21の温度が高くなって臭気成分
の分解率を向上できる。更に、筐体底部22および筐体
蓋部23の互いに嵌合する面は、微細な隙間がないよう
に無機質接着剤で気密にシ−ルされ、かつフッ素樹脂系
の撥水耐熱絶縁性被膜17a,17bの撥水作用によ
り、洩れ結露水の大幅な低減を図ることができる。
【0069】なお、上記実施例2は筐体16を筐体底部
22および筐体蓋部23の2個に上下方向へ分割した
が、2個に限定されるものではなく、そして左右方向の
分割でも良く、形状も断面四角形に限らず、楕円形、円
形など初期の目的を果たせるものであればどんな形状で
も良い。また、筐体底部22または筐体蓋部23は、そ
のいずれかを、単なる平板の蓋または底として組み合わ
せても良い。
【0070】(実施例3)本発明の実施例3は、脱臭装
置の筐体における撥水耐熱絶縁性被膜の配置構造に関す
るものである。そして、実施例3は実施例2の説明で使
用した実施例1の加熱調理器の排気口に設けて使用する
脱臭装置の分解斜視図と断面図の図3および図4を利用
して、実施例1および実施例2と同一機能および作用効
果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略
し、異なる処を中心に説明する。
【0071】筐体16の筐体底部22と筐体蓋部23
は、ガス通過用空洞15の入口側表面だけでなく、筐体
底部22と筐体蓋部23の入口側接合表面27a、27
bおよび排気口に面した入口側前端面28a,28bに
も、フッ素樹脂系の撥水耐熱絶縁性被膜を形成してい
る。 上記実施例3において、ガス通過用空洞15内を
流れる調理ガスは、筐体底部22と筐体蓋部23の入口
側で結露する。そして、一般に筐体底部22と筐体蓋部
23の接合面に大きな隙間が生じ、その接合面に撥水耐
熱絶縁成被膜が無いと、多量の結露水を介して電気導通
が起こり、金属薄板19に流れている電流が加熱調理器
に流れる。
【0072】然るに本発明では、筐体16の入口側接合
表面27a、27bおよび入口側前端面28a,28b
の撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作用および絶縁作用によ
り、入口側接合表面27a、27bおよび入口側前端面
28a,28bから洩れる結露水を大幅に低減し、この
洩れ結露水を介しての電気導通の遮断によって金属薄板
19に流れている電流が加熱調理器9に流れるのを防止
できる。また、筐体16の入口側接合表面27a、27
bおよび入口側前端面28a,28bに撥水耐熱絶縁性
被膜を形成することで、前記両者の接合が筐体底部22
と筐体蓋部23の外周をバンドなどの固定部材で縛ると
言った簡単な方法で実現でき、筐体16を簡単な製造設
備を用いて短時間に製造できる。
【0073】(実施例4)本発明の実施例4は、脱臭装
置の筐体における撥水耐熱絶縁性被膜の配置構造に関す
るものである。そして、実施例4は実施例2の説明で使
用した実施例1の加熱調理器の排気口に設けて使用する
脱臭装置の分解斜視図と断面図の図3および図4を利用
し、実施例1および実施例2、実施例3と同一機能およ
び作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説
明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0074】筐体16の筐体底部22と筐体蓋部23
は、ガス通過用空洞15の入口側表面および入口側接合
表面、入口側前端面だけでなく、筐体底部22と筐体蓋
部23の入口側外周面29a,29bにも、フッ素樹脂
系の撥水耐熱絶縁性被膜を形成している。
【0075】上記実施例4において、一般に加熱調理器
を高温多湿の環境で使用すると、脱臭装置14を構成す
るセラミック製の筐体16の外周面に結露水が付着し、
この筐体外周面である入口側外周面29a,29bに撥
水耐熱絶縁性被膜が無いと付着した水分を介して金属薄
板19に流れている電流が加熱調理器9に流れる。
【0076】然るに本発明では、筐体16の入口側外周
面29a、29bに設けた撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作
用および絶縁作用により導通が遮断され、金属薄板19
に流れている電流が加熱調理器9に流れることを防止で
きる。
【0077】(実施例5)本発明の実施例5は、脱臭装
置の筐体における撥水耐熱絶縁性被膜の材質に関するも
ので、図3および図4を利用して、実施例1〜実施例4
と同一機能および作用効果を奏する部分には同一符号を
付して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明す
る。
【0078】撥水耐熱絶縁性被膜17a、17bは、筐
体16のガス通過用空洞15の入口側表面と、筐体底部
22と筐体蓋部23の入口側接合表面27a、27bお
よび排気口に面した入口側前端面28a,28b、そし
て筐体底部22と筐体蓋部23の入口側外周面29a,
29bに、それぞれ形成している。そして、この撥水耐
熱絶縁性被膜17、17a、17bの材質は、フッ素樹
脂100重量%樹脂、フッ素樹脂80重量%含有樹脂、
フッ素樹脂60重量%含有樹脂、フッ素樹脂50重量%
含有樹脂、フッ素樹脂40重量%含有樹脂、シリコン樹
脂、ポリシロキサン樹脂について効果確認の実験をし
た。
【0079】このような実施例5に基づく脱臭装置14
を備えた加熱調理器の試作品による作用効果につき、判
定の結果を以下に説明する。
【0080】絶縁抵抗は、調理室10内で水300cc
を30分かけて予め蒸発させて調理室内を湿った状態に
しておき、その後に2枚で重量500gの若とりを30
分調理した際における金属薄板19と加熱調理器9間の
絶縁抵抗値を経過時間毎に測定し、その最低絶縁抵抗値
の大小で判定を行った。撥水耐熱絶縁性被膜の材質を変
化させて、加熱調理器の動作中における最低絶縁抵抗値
を測定した結果を(表2)に示す。
【0081】
【表2】
【0082】この結果から明らかなように撥水耐熱絶縁
性被膜が、フッ素樹脂であると絶縁抵抗特性に優れるこ
とがわかる。また、フッ素樹脂が60重量%以上含有し
た樹脂であると、絶縁抵抗は充分に確保されることがわ
かる。更に、耐熱性のあるフッ素樹脂であるため、特に
耐熱性が優れた4フッ化エチレン樹脂であると、調理温
度の250℃前後でも優れた耐久性を長期間維持でき
る。
【0083】(実施例6)本発明の実施例6は、脱臭装
置の筐体の固定構造に関するもので、実施例2の説明で
使用した脱臭装置の分解斜視図と断面図の図3および図
4を利用して、実施例1〜実施例4と同一機能および作
用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を
省略し、異なる処を中心に説明する。
【0084】筐体16は、上下に分割した2個の分割筐
体としての凹状の筐体底部22と、この筐体底部22を
閉蓋する逆凹状の筐体蓋部23とで構成している。そし
て、上下の筐体底部22と筐体蓋部23は、コ字状に成
形した金属製の固定部材35a,35bを左右から嵌合
して一体に結合されている。この左右の一方の固定部材
35aは、基部30aと、上辺部31aおよび下辺部3
2aを有し、同じく他方の固定部材35bも、基部30
bと、上辺部31bおよび下辺部32bを有している。
また、固定部材35aと35bの上辺部31aと31b
および下辺部32aと32bには、内方へ傾斜させた上
舌部33aと33bおよび下舌部34aと34bをそれ
ぞれ設けている。36aと36bは、筐体蓋部23の入
口側外上面左右に設けた上部窪みで、固定部材35aと
35bの上舌部33aと33bが係合する。また、37
aと37b(図示せず)は、同じく固定部材35aと3
5bの下舌部34aと34bが係合する筐体底部22の
入口側外底面左右に設けた下部窪みである。38aと3
8bは、固定部材35aと35bの基部30aと30b
の前端部へ一体に設け、かつ外方へ直角に折り曲げた取
付部で、筐体16を調理器9の排気口13の部分に取り
付けるものである。
【0085】上記実施例6において、互いに接合させた
上下の筐体底部22と筐体蓋部23の上面と下面に、左
右から固定部材35aと35bの上辺部31aと31b
および下辺部32aと32bを強く嵌合する。そして、
嵌合した固定部材35aと35bの上舌部33aと33
bおよび下舌部34aと34bは、筐体蓋部23の上部
窪み36aと36bおよび筐体底部22の下部窪み37
aと37bに金属の持つ弾撥力で強く係合する。
【0086】このように左右の固定部材35aと35b
により一体に固定された筐体底部22と筐体蓋部23
は、固定部材35aと35bの上辺部31aと31bの
上舌部33aと33b、そして下辺部32aと32bの
下舌部34aと34bにより、上下方向へ移動しないよ
うに強固に固定されるとともに、固定部材35aと35
bの基部30aと30bにより左右方向へ移動しないよ
うに強固に固定される。
【0087】なお、上記実施例6では固定部材35aと
35bを、左右のコ字状に成形したが、筐体底部22と
筐体蓋部23の分割方向が左右であれば、これに合わせ
て上下のコ字状に成形することはもちろんで、またその
形状も互いに接合した筐体底部22と筐体蓋部23の形
状に沿い固定力が発揮できる形状であれば良い。
【0088】(実施例7)本発明の実施例7は、脱臭装
置の金属薄板の形状と配置構造に関するもので、実施例
2の説明で使用した脱臭装置の分解斜視図と断面図の図
3および図4を利用して、実施例1〜実施例6と同一機
能および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳
細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0089】金属薄板19は、実施例1でも説明したよ
うにラス網状に加工することで複数の小さな孔18を形
成し、更に波形状に加工した薄いステンレス製箔体であ
り、その表面に耐熱絶縁層20と、この表面に臭気分解
触媒21が形成されている。そして、金属薄板19は、
図4のように筐体16のガス通過用空洞15にガス通過
方向に対し略垂直に配置している。
【0090】上記実施例7において、この金属薄板19
の効果を判定するため、形状と配置を変えた種々の金属
薄板を試作し、前述と同様に消費電力50W時の最大到
達温度、調理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率(HC除
去率とも記す)の3項目で実験した結果を(表3)に示
す。
【0091】試作番号1は図4に記載の本実施例であ
り、試作番号2はプレスで孔あけ加工した後、更に波形
状に加工したステンレス製箔体を、ガス通過方向に対し
て略垂直に配置したもので、また試作番号3はラス網状
に加工した平板状のステンレス製箔体を、ガス通過方向
に対して略垂直に配置したもので、更に試作番号4はラ
ス網状に加工した後、更に波形状に加工したステンレス
製箔体を、ガス通過方向に対して略平行に配置したもの
である。
【0092】なお、いずれの試作品もステンレス製箔体
の表面には、琺瑯製の耐熱絶縁層20と、酸化アルミニ
ウムを主成分とする担体層とこれに担持した白金とパラ
ジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒21が順に
形成されており、脱臭装置14として加熱調理器9の排
気口13に取り付けて確認したものである。
【0093】
【表3】
【0094】本実施例の試作番号1は、ステンレス製箔
体をラス網状に加工して複数の孔18を形成しているた
め、熱容量や重量%が小さくしかも孔開口率が大きい金
属薄板が得られ、圧力損失が低減して調理ガスが加熱調
理器9のドア11から洩れる問題が発生しなかった。し
かも、更にラス網状のステンレス製箔体を、波形状に加
工しているため、単位体積当たりの発熱面積が大きくな
って高い温度が得られ、炭化水素除去率の分解が高ま
る。また、金属薄板19がガス通過方向に対して略垂直
方向に配置されているため、ラス網の孔18を効果的に
ガスが通過して臭気分解触媒21との接触が良くなり、
炭化水素除去率が一層高まった。
【0095】試作番号2は、プレスで孔あけ加工したた
め孔開口率が最大でも50%であった。そのため、抵抗
が小さくなって到達温度がやや低くなり炭化水素除去率
が低下するとともに、逆に孔開口率を大きくできないた
め圧力損失が大きくなり調理ガスが加熱調理器9のドア
11から洩れる問題が発生したため不適格である。
【0096】試作番号3は、波形状の加工のない金属薄
板なので、単位体積当たりの発熱面積が小さくなって低
い温度となり、炭化水素除去率も低くなることがわか
る。
【0097】試作番号4は、加工した金属薄板をガス通
過方向に対して略平行に配置しているため、相当量のガ
スが金属薄板間を通過して臭気分解触媒との接触が悪く
なり、炭化水素除去率も低くなることがわかる。
【0098】以上のように(表3)より、本実施例の試
作番号1は金属薄板19として形状と配置構造が最適な
構成であることが明らかにできる。
【0099】(実施例8)本発明の実施例8は、脱臭装
置14の金属薄板19の表面に設けた耐熱絶縁層20に
つき、多孔質にするために琺瑯に混合する材料とその混
合量に関するものである。
【0100】実験はまず、クロム20重量%とアルミニ
ウム5重量%とランタン0.5重量%を少なくとも含む
フェライト系ステンレスの板厚65μm箔体を、Lwが
10mmでSwが2mmできざみ幅0.2mmのラス網
に加工した。そして、このラス網加工品(以下に特に限
定しない限りこの加工品を使用する)に、30重量%の
多孔質形成材を少なくとも含む琺瑯を850℃で焼き付
けた。そして、この膜物性を電気絶縁性、琺瑯の多孔
度、琺瑯を焼き付けた際の金属薄板の熱変形度、耐蒸気
性(温度80℃で相対湿度95%雰囲気中に100時間
晒す)で評価した。試作に用いた多孔質形成材の種類と
その評価結果を(表4)に示す。
【0101】
【表4】
【0102】多孔質形成材としてアルミニウムを混入し
た試作番号1の琺瑯層は、電気絶縁性に問題がないとと
もに、多孔度に優れるため琺瑯を焼き付けた際の金属薄
板の熱変形がなく、しかも剥離がないため、多孔質形成
材として最適であった。
【0103】アルミニウムは、融点が660℃であるた
め琺瑯焼成温度850℃では完全に溶融し、溶融後はそ
の表面に酸化アルミナの被膜が形成される。この表面に
形成された酸化アルミナ被膜により、試作番号1の琺瑯
層は、電気絶縁性が充分に確保できていた。一方、アル
ミニウムは、熱膨張係数の値(この値に10の−6乗を
乗じた値が真の値、単位は1/deg)が24であり、
フェライト系ステンレスの11、琺瑯に含まれるガラス
成分の7〜12に比べてその値が非常に大きい。この熱
膨張係数の大きさが多孔度の優れた琺瑯を形成する源で
あり、琺瑯が多孔質なため金属薄板はその熱変形が防止
されている。また琺瑯は、優れた多孔度を有するにもか
かわらず、金属薄板から剥離していない。これは、アル
ミニウムが融点660℃で溶融して琺瑯と金属薄板の密
着を助けているためである。
【0104】次に、多孔質形成材であるアルミニウムの
量を変化させた琺瑯を試作し、その膜物性を確認した。
実験は、アルミニウムの量を変化させた琺瑯を使用する
こと以外は、前述と同じであり、その結果を(表5)に
示す。
【0105】
【表5】
【0106】アルミニウムを10〜45重量%混入して
その膜性状を多孔質とした試作番号3〜7の琺瑯層は、
電気絶縁性に問題がなく、かつ多孔度に優れるため琺瑯
を焼き付けた際の金属薄板の熱変形も起こらず、外観的
にも琺瑯の剥離がない特長があって最適な組成であっ
た。更に抵抗の変化は極めて微少であり実用上問題とな
らないレベルであった。また特に、アルミニウムを20
〜40重量%混入した琺瑯層は、上記特長が極めて優れ
ていた。一方、アルミニウムが10重量%未満の琺瑯層
では、多孔度に乏しいため琺瑯を焼き付けた際の金属薄
板の熱変形が発生した。また、アルミニウムが45重量
%を越える琺瑯層だと多孔質過ぎて金属薄板に対する密
着性が確保されなかった。
【0107】さて本実施例で用いた琺瑯層は、上記量の
アルミニウム以外に溶融するガラス成分(シリカが略9
割であり少量の酸化ナトリウムや酸化カリウムや酸化カ
ルシウムなどを含有する)と、酸化マンガンと酸化鉄を
略等量混合した金属酸化物系顔料が、残部成分として混
合されている。この残部成分は、ガラス成分の1部に対
して金属酸化物系顔料を3〜4部の割合で混合した組成
物であり、この組成物が一般に琺瑯と呼ばれておりステ
ンレスとの密着性を高める作用がある。
【0108】一方、アルミニウムを10〜45重量%と
変化させる範囲において琺瑯層の残部成分を、ガラス成
分の1部に対して金属酸化物系顔料を2〜5部と変化さ
せたり、ガラス成分におけるシリカ組成を9〜6割まで
変化させたり、金属酸化物系顔料における酸化マンガン
の組成を8〜3割まで変化させたり酸化亜鉛もしくは酸
化コバルトを略等量づつ更に混合して同様の実験を行っ
たが、上記特長が同様に得られた。以上のことより、琺
瑯層中にアルミニウムが10〜45重量%混合されるこ
とが、この優れた特長の主原因と考えられる。
【0109】また、金属薄板の材料はステンレスを使用
する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレ
スであれば同様の効果が得られることは言うまでもな
い。
【0110】(実施例9)本発明の実施例9は、脱臭装
置14の金属薄板19の表面に設けた耐熱絶縁層20に
つき、耐蒸気性向上のために琺瑯に混合する酸化チタン
の量に関するものである。
【0111】実験は、アルミニウムおよび酸化チタンの
混合量を変化させた琺瑯を使用すること以外は、前述の
実施例8と同じである。膜物性の評価方法は、琺瑯の多
孔度、琺瑯を焼き付けた際の金属薄板の熱変形度、耐蒸
気性(温度80℃で相対湿度95%雰囲気中に100時
間晒す)で評価した。試作に用いたアルミニウムおよび
酸化チタンの混合量の種類とその評価結果を(表6)に
示す。
【0112】
【表6】
【0113】アルミニウムを10〜45重量%混合した
物に更に酸化チタンを10〜25重量%混入した琺瑯層
は、多孔度に優れるとともに琺瑯を焼き付けた際の金属
薄板の熱変形が無く、かつ蒸気に長時間曝された際の密
着性も極めて優れている特長を有している。更に、抵抗
の変化は極めて微少であり実用上問題とならないレベル
であった。また特に、アルミニウムの30〜40重量%
と酸化チタンの15〜20重量%混入した琺瑯層は、上
記特長が特に優れている。一方、、酸化チタンが15重
量%未満の琺瑯だと耐蒸気性は期待するほど向上しない
し、酸化チタンが25重量%を越える琺瑯だと金属薄板
の熱変形が低下する傾向にあるため、混合する酸化チタ
ンの量としては好ましくなかった。
【0114】本実施例で用いた琺瑯は、上記量のアルミ
ニウムおよび酸化チタン以外に、ガラス成分の1部に対
して金属酸化物系顔料を2〜3部の割合で混合した組成
物が残部成分として混合されており、琺瑯の溶着を助け
ている。ガラス成分は、シリカが9割で、ナトリウムや
カリウムやカルシウムやマグネシウムの酸化物が残部で
ある。また金属酸化物系顔料は、酸化マンガンと酸化鉄
を略等量混合したものである。
【0115】一方、アルミニウムの10〜45重量%と
酸化チタンの10〜25重量%の変化範囲において琺瑯
層の残部成分を、ガラス成分の1部に対して金属酸化物
系顔料を1〜4部と変化させたり、ガラス成分における
シリカ組成を9〜6割まで変化させたり、金属酸化物系
顔料における酸化マンガンの組成を8〜3割まで変化さ
せたり、酸化亜鉛や酸化コバルトを略等量づつ更に混合
して同様の実験を行っても、優れた密着性が同様に得ら
れた。
【0116】以上のことより明らかなように、琺瑯中に
アルミニウムの10〜45重量%と酸化チタン10〜2
5重量%混入が、この優れた密着性の主原因と考えられ
る。
【0117】また、金属薄板の材料はステンレスを使用
する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレ
スであれば同様の効果が得られることは言うまでもな
い。
【0118】(実施例10)本発明の実施例10は、脱
臭装置14の臭気分解触媒21の材料組成に関するもの
で、実施例2の説明で使用した脱臭装置の分解斜視図と
断面図の図3および図4を利用して、実施例1〜実施例
6と同一機能および作用効果を奏する部分には同一符号
を付して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明す
る。
【0119】臭気分解触媒21は、ラス網状に加工し、
かつ波形状に加工したステンレス製の金属薄板19の表
面に、アルミニウムの混合量を変化させた琺瑯を850
℃で焼き付けて耐熱絶縁層20を形成し、次にこの耐熱
絶縁層20の表面に水酸化アルミニウムのゾルを付着さ
せ600℃で焼成してアルミナ担体層を形成する。最後
にこの担体層に白金やパラジウムの貴金属を担持させ6
00℃で焼き付けて臭気分解触媒としたものである。そ
して、この臭気分解触媒21を設けた金属薄板19を筐
体16のガス通過用空洞15内に2層構造としてガス通
過方向に対し略垂直に収納して脱臭装置とし、加熱調理
器の排気口に取り付けて炭化水素除去率を評価した。ま
た、高温多湿環境(温度80℃で相対湿度95%)に2
00時間放置した際の、耐熱絶縁層、臭気分解触媒の金
属薄板への密着性をテ−プ剥離方法で評価した、その結
果を(表7)に示す。
【0120】
【表7】
【0121】アルミニウムを10〜45重量%混合した
琺瑯層に、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成し
てアルミナ担体層とし白金やパラジウムの貴金属を担持
させた臭気分解触媒は、優れた浄化特性と密着性を示し
ている。また、アルミニウムを20〜40重量%混合し
た琺瑯層に対して特に優れた密着性を示した。アルミニ
ウムは、融点660℃であり琺瑯の焼成時に溶融してそ
の表面は比表面の大きいアルミナに変化するとともに、
熱膨張係数が他の琺瑯成分やステンレス製の金属薄板、
更にアルミナの担体層に対して格段に大きい性質があ
る。そのため、アルミニウムを10〜45重量%混合し
た琺瑯は、表面にアルミナが露出した多孔質体となって
金属薄板に強固に密着しているとともに、水酸化アルミ
ニウムのゾルがこの表面露出のアルミナに付着し易いた
め焼成で得られるアルミナ担体層も強固に密着させる。
一方、アルミニウムが10重量%未満の琺瑯層だと、表
面露出のアルミナが少ない緻密体であるため、担体層に
対する密着性が確保されなかった。また、アルミニウム
が45重量%を越える琺瑯層だと、多孔質過ぎて金属薄
板に対する密着性が確保されなかった。
【0122】さて、上記実施例で用いた琺瑯は、上記量
のアルミニウム以外に、ガラス成分(シリカが略9割で
ナトリウムやカリウムやカルシウムやマグネシウムの酸
化物が残部)の1部に対して、金属酸化物系顔料(酸化
マンガンと酸化鉄が略等量混合)を3〜4部混合した組
成物が、残部成分として混入したものである。そこで、
前述に記載の様にガラス成分と金属酸化物系顔料の混合
割合やその組成を変動させて実験したが、上記効果が同
様に得られた。
【0123】次に、酸化チタンを更に混合した琺瑯で同
様の実験を行った、その結果を(表8)に示す。
【0124】
【表8】
【0125】この実験は、酸化マンガンと酸化鉄を略等
量混合した金属酸化物系顔料の2〜3部と、ガラス成分
の1部とを混合した組成物に、アルミニウムを10〜4
5重量%と酸化チタンを10〜25重量%変化させて混
合して琺瑯を試作し、前述と同様に実験をしたものであ
る。
【0126】アルミニウムを10〜45重量%混合した
物に更に酸化チタンを10〜25重量%混合した琺瑯
は、優れた浄化特性と一層優れた密着性を示すことが明
らかにできる。更に前述の様に、ガラス成分と金属酸化
物系顔料の混合割合やその組成を変動させて実験した
が、上記効果が同様に得られた。
【0127】このように、金属酸化物系顔料およびガラ
ス成分の材料組成や配合が変化してもアルミニウムが1
0〜45重量%混合された琺瑯であれば、金属薄板およ
び臭気分解触媒に対する密着性は問題ないので、琺瑯層
中にアルミニウムが10〜45重量%混合されること
が、この優れた密着性の主原因と考えられる。
【0128】一方、担体層として用いる水酸化アルミニ
ウムのゾル組成を実験したところ、他化合物の30重量
%以内好ましくは15重量%以内の混合なら、琺瑯と担
体層の密着性は特に変化しなかった。そのため、酸素吸
着能力の優れた酸化セリウムをゾルに2〜30重量%好
ましくは2〜15重量%混合すると、琺瑯との密着性を
保持しつつ浄化特性の向上がはかれる特性が得られた。
また、調理油煙のガス化能力の優れた酸化バリウムや酸
化カルシウム更に酸化マグネシウムをゾルに1〜30重
量%好ましくは1〜10重量%混合すると、琺瑯との密
着性や浄化特性を保持しつつ嫌な臭気が低減できる特性
があり、特に酸化バリウムはこの特性が優れていた。
【0129】また、金属薄板の材質はステンレスを使用
する範囲において特に限定されるものでなく、ステンレ
スであれば同様の効果が得られることは言うまでもな
い。
【0130】このように、耐熱絶縁層の表面に、水酸化
アルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担
体層と、前記担体層に担持させた白金とパラジウムのう
ちの少なくともいずれか、または両方を備えた貴金属で
構成した臭気分解触媒を形成したもので、優れた浄化特
性と密着性を発揮することができる。これは、アルミニ
ウムの混合で多孔質となった琺瑯層の空隙に担体層が侵
入して強固に付着するとともに、高活性な白金とパラジ
ウムのうちの少なくともいずれか、もしくは両方の貴金
属がこの多孔質な担体層に強固に付着しているためであ
る。
【0131】なお、水酸化アルミニウムのゾルは、酸化
アルミニウム含水物のゾル、アルミナゾルと称される場
合があるが、特にその名称を限定するものでない。
【0132】(実施例11)本発明の実施例11は、臭
気分解触媒付金属薄板の下流における筐体のガス通過用
空洞内に略垂直に設け、臭気分解触媒を有する非通電の
通気板を備えた脱臭装置に関するもので、実施例2の説
明で使用した脱臭装置の分解斜視図と断面図の図3およ
び図4を利用して、実施例1〜実施例6と同一機能およ
び作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説
明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0133】39は、ステンレス薄板をラス網加工して
複数の孔40を有するとともに、表面に臭気分解触媒を
付着した非通電の通気板で、筐体16の筐体底部22お
よび筐体蓋部23のガス通過用空洞15側に設けた溝4
1aおよび溝41bへガス洩れのないように嵌合してガ
ス通過方向に対し略垂直に配置している。
【0134】上記実施例において、この脱臭装置を加熱
調理器の排気口に取り付けて、その効果につき、調理ガ
スの洩れ状況、炭化水素除去率の2項目で実験を行った
結果を(表9)に示す。
【0135】
【表9】
【0136】試作の番号1は、通気板39のない脱臭装
置14で、筐体16のガス通過用空洞内の入口側に臭気
分解触媒21付の金属薄板19だけを1層構造で設けて
ある。試作の番号2は、本実施例の通気板39を、臭気
分解触媒21付の金属薄板19より下流側の筐体16の
ガス通過用空洞内に略垂直に設けたものである。なお、
いずれの試作品も、通電により発熱する臭気分解触媒付
金属薄板19が通気板の上流側に配置している。この臭
気分解触媒21付の金属薄板19は、ラス網状に加工し
更に波形状に加工したステンレス製の箔体の表面に、琺
瑯製の耐熱絶縁層と、水酸化アルミニウムのゾルを付着
させ焼成してアルミナの担体層とこの担体層に担持した
白金とパラジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒
を順に形成したものである。そして、50Wの通電で4
00℃に保持されている。
【0137】このように通気板39を、金属薄板19の
下流側に配置すると、臭気成分の分解率が一層高まるこ
とがわかる。これは、通気板39によって調理ガスの通
過速度が低下して、金属薄板19の臭気分解触媒21と
の反応時間が長くなるためであり、そして調理ガスの洩
れもなかった。
【0138】また、通気板39の臭気分解触媒の効果に
つき、前述したと同様に加熱調理器に脱臭装置を取り付
けて調理ガスの洩れ状況、炭化水素除去率の2個目で実
験を行った結果を(表10)に示す。
【0139】
【表10】
【0140】試作の番号1は、臭気分解触媒を表面に設
けていないラス網状の加工をし更に波形状に加工したス
テンレス製の通気板だけを有する脱臭装置であり、筐体
16のガス通過用空洞内の入口側に臭気分解触媒21付
の金属薄板19だけを1層構造で設けてある。試作の番
号2は、本実施例の通気板39を、臭気分解触媒21付
の金属薄板19より下流側の筐体16のガス通過用空洞
内に略垂直に設けたものである。そして、臭気分解触媒
付の通気板39は、ラス網状に加工し更に波形状に加工
したステンレス製の箔体の表面に、熱処理により形成し
た酸化被膜と、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼
成してアルミナの担体層とこの担体層に担持した白金と
パラジウムの貴金属から構成される臭気分解触媒を順に
形成したものである。なお、いずれの試作品も通気板の
上流側に金属薄板19を配置して通電し、通気板には通
電しない。
【0141】このように通気板39に臭気分解触媒を形
成すると、臭気成分の分解率が一層高まることがわか
る。これは、筐体16のガス通過用空洞15内の上流側
に配置した臭気分解触媒21付金属薄板19が通電によ
って40℃まで昇温し、この熱が下流側に配置した通気
板39に伝わって通気板39が380℃まで上昇し、触
媒の効果が発揮されるためである。また、臭気分解触媒
は、ステンレス製箔体を熱処理にして形成した酸化被膜
の表面に、水酸化アルミニウムのゾルを付着させ焼成し
てアルミナの担体層を形成し更にこの担体層に白金とパ
ラジウムの貴金属を担持させた製法で得ているため、密
着性が優れている。
【0142】一方、通気板39は通電されないため、金
属薄板19だけに電力を集中しその結果、金属薄板19
は高い温度に保持されその表面に形成した臭気分解触媒
の分解特性が益々向上する。
【0143】(実施例12)実施例12は、加熱調理器
の脱臭装置への通電の制御装置に関するもので、使用に
よる撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作用の低下を考慮しての
電気絶縁を回復させる発明で、実施例1の説明で使用し
た図1を利用して、実施例1と同一機能および作用効果
を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略
し、異なる処を中心に説明する。
【0144】46はマイクロコンピュ−タで構成した制
御部で、電源の印加電力値の低い小電力で予め脱臭装置
14の金属薄板19に通電して付着水分を蒸発させてお
き、その後に加熱調理器9の加熱熱源12に大電力を通
電する制御を行うものである。
【0145】上記実施例12において、一般に加熱調理
器を長期間使用すると、脱臭装置14の撥水耐熱絶縁性
被膜17に調理物残滓が付着してその撥水性が低下して
くる。そのため、前記撥水性の低下を予測して撥水耐熱
絶縁性被膜17に必要な沿面距離に余裕を持たせてその
寸法および形状を決めている。しかしながら、加熱調理
器の使用形態が当初予想した以上に過酷であり、長期間
使用に伴う撥水性低下が当初予想以上に過酷であった場
合、電気絶縁性の低下が起こることが予想される。
【0146】然るに本発明では、この対策手段として制
御部46により、加熱熱源12の通電より前に、金属薄
板19に予め通電して発熱させ表面に付着している水分
を蒸発させるものである。従って、加熱熱源12の動作
する前に、付着水分に起因する脱臭装置14と加熱調理
器9の排気口13との電気的絶縁が充分に回復させられ
る。
【0147】次に、この実施例に従い撥水耐熱絶縁性被
膜17の撥水性低下を沿面距離の減少を想定し、脱臭装
置14の金属薄板19に予め通電した後に、加熱熱源1
2を動作させる方法で、電気絶縁の回復効果を実験によ
り確認する。
【0148】実験は、調理室内で水300ccを30分
かけて予め蒸発させておいて調理室内を多湿状態にして
おき、その後に2枚で重量500gの若とりを30分調
理した際における金属薄板19と加熱調理器9間の最低
絶縁抵抗値を測定し、その最低絶縁抵抗値の大小で効果
の評価を行った。撥水耐熱絶縁性被膜17として用いた
フッ素樹脂被膜の沿面距離および金属薄板19の事前通
電の有無が、加熱調理器9の動作中における最低絶縁抵
抗に与える影響を(表11)に示す。
【0149】
【表11】
【0150】撥水耐熱絶縁性被膜17の沿面距離を減少
させて撥水性を低下させると絶縁抵抗が低下するが、金
属薄板19に事前通電すると絶縁抵抗が元の特性に戻る
ことがわかる。この効果について説明すると、脱臭装置
14の金属薄板19を加熱熱源12の動作前に予め通電
しておくと、金属薄板19が瞬時に高温に保持されるの
で周囲の付着水分が蒸発する。このため、加熱熱源の動
作前に付着水分に起因する排気口13と脱臭装置14と
の電気的絶縁が充分に行われているからである。
【0151】一方、金属薄板19の事前通電を行われて
いないで加熱熱源を動作させると、調理室内に残存して
いる多量の水分が蒸発して排気口13の調理ガス排出面
や脱臭装置14の金属薄板19に付着し、この付着水分
を介して電気的導通が誘発される。そのため、通電によ
り金属薄板19が150℃前後以上まで昇温されるまで
の10秒間は、付着水分を介しての電気的導通が幾分あ
り、撥水耐熱絶縁性被膜17の沿面距離が減少すると、
絶縁抵抗の低下が起こることになる。
【0152】なお、上記実施例12での制御部46は、
調理器の電源スイッチのONまたは、調理メニュ−等を
設定した時に同時に金属薄板19に通電し、その後タイ
マで所定時間(付着水分が蒸発する時間)をカウントし
てから、加熱熱源12に通電する制御の仕方でも良い
し、また加熱熱源12で調理して完了した後の直ぐに、
あるいは一定時間の経過をタイマでカウントしてから、
予め事前通電を金属薄板19に行っても良く、その目的
に反しない範囲であればどのような方法でも良いことは
もちろんである。
【0153】(実施例13)実施例13は、高周波加熱
熱源を有する加熱調理器に関するもので、同調理器を示
す図5の概略縦断面図に基づき、実施例1〜実施例6と
同一機能および作用効果を奏する部分には同一符号を付
して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0154】42は調理室10の背面下部に設けた加熱
熱源としての高周波加熱熱源である。43は電波洩れ防
止のため排気口13に設けた複数の孔43aを有する金
属製の高周波電波漏洩防止材である。そして、高周波電
波漏洩防止材43は、前記高周波電波漏洩防止材の孔4
3aの総孔面積と孔無部を合計した面積を、脱臭装置1
4のガス通過用空洞15の開口面積と同一もしくは、そ
れより大きく設定して、電波漏洩防止とガス通過用空洞
15を流れる調理ガスの妨げになりドア11などから洩
れないようにするものである。
【0155】上記実施例13において、電気ヒ−タ等の
加熱熱源12以外に高周波加熱熱源42を併設すると、
その電波洩れ防止のため排気口13に高周波電波漏洩防
止材を設ける必要がある。一方、この高周波電波漏洩防
止材と脱臭装置14が排気口から排出される調理ガスの
流れを妨げ、ドア11等から調理ガスが洩れ脱臭が効果
的に行われなくなる。
【0156】然るに本発明では、高周波電波漏洩防止材
43を、前記高周波電波漏洩防止材の孔43aの総孔面
積と孔無部を合計した面積が、脱臭装置14のガス通過
用空洞15の開口面積と同一もしくは、それより大きく
設定しているので、排気口13からの電波漏洩の防止は
もちろん、ガス通過用空洞15を流れる調理ガスがドア
11等から洩れるような妨げにもならなく、効果的に脱
臭装置14で脱臭することができる。
【0157】次に、この実施例による加熱調理器の高周
波電波漏洩防止材43の効果を実験により確認する。電
波洩れ防止のためには、高周波電波漏洩防止材43の複
数の孔43aの総孔面積は、この総孔面積と孔無面積と
の合計面積に対して45%以下(以下、開口比45%以
下と称す)とし、金属板の板厚1.0mm以上とする必要
がある。そこで、開口比45%で板厚1.0mmの条件に
おいて、加熱調理器9のドア11等から調理ガスが洩れ
ない寸法を求めたところ、その総孔面積と孔無部の面積
の合計面積が高さ2.5cm×横幅6.0cm以上あれば調
理ガスが洩れないことを確認した。以後これを基礎に検
討を進めると、(表12)は高周波電波漏洩防止材43
の総孔面積と孔無部の面積との合計面積と、脱臭装置1
4のガス通過用空洞15の開口面積との関係につき、実
験した結果を示したものである。
【0158】
【表12】
【0159】高周波電波漏洩防止材43の総孔面積と孔
無面積との合計面積を、筐体16のガス通過用空洞15
の開口面積と同一もしくは大きくすることで、調理ガス
の洩れがなく、しかも脱臭装置14を小型にできる。
【0160】(実施例14)実施例14は、加熱調理器
の排気口に脱臭装置を取り付ける構造に関するもので、
実施例13の説明で使用した図5に基づき、実施例1と
同一機能および作用効果を奏する部分には同一符号を付
して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0161】45は排気口外周部44と脱臭装置14の
調理ガスの入口側前端面28bの間に介在させたフッ素
樹脂製の撥水耐熱絶縁性シ−トである。そして、撥水耐
熱絶縁性シ−ト45は排気口外周部44と脱臭装置14
のガス入口側の前端面28a、28bの間からの調理ガ
スの洩れをなくし、かつ脱臭装置14と調理加熱器9の
電気的絶縁を図るものである。
【0162】一般に、排気口13に脱臭装置14を取り
付ける場合、脱臭装置14の前端面28a、28b、排
気口外周部44に凹凸が有ると隙間が生じ、この隙間よ
り調理ガスが洩れる。そして、洩れた調理ガスは脱臭装
置14の外側に付着し、この付着した調理ガスに含まれ
る水分を介して脱臭装置14の外側と排気口13との電
気的導通を誘発する。
【0163】然るに本発明では、排気口外周部44と脱
臭装置14の入口側前端面28a、28bの間に撥水耐
熱絶縁性シ−ト45を介在しているので、上記したよう
な問題は解消され、調理ガスが洩れないように脱臭装置
14を簡単に取り付けることができる。
【0164】次に、この実施例による加熱調理器の撥水
耐熱絶縁性シ−ト45につき、その効果を実験により確
認する。実験は、調理室内で水300ccを30分かけ
て予め蒸発させておいて調理室内を多湿状態にしてお
き、その後に2枚で重量500gの若とりを30分調理
した際における金属薄板19と加熱調理器9間の最低絶
縁抵抗値を測定し、その最低絶縁抵抗値の大小で効果の
評価を行った。排気口外周部44と脱臭装置14の隙間
およびフッ素樹脂製の撥水耐熱絶縁性シ−ト45の介在
の有無が、加熱調理器9の動作中における最低絶縁抵抗
に与える影響を(表13)に示す。
【0165】
【表13】
【0166】脱臭装置14と排気口外周部44の間に隙
間が有ると絶縁抵抗が減少するが、撥水耐熱絶縁性シ−
ト45で隙間を閉塞すると、絶縁抵抗が元の特性に戻る
ことがわかる。また、弾力性の優れた撥水耐熱絶縁性シ
−ト45で両者間の閉塞ができるので、脱臭装置14の
前端面28a、28bおよび排気口外周部44の凹凸精
度は粗くても良く、その分加工しやすいため量産性に優
れたものにできる。
【0167】次に、撥水耐熱絶縁性シ−ト45の材質に
つき検討すると、実験は撥水耐熱絶縁性シ−ト45の材
質が異なる以外、前述した実験の条件と同じであり、材
質を変化させて最低絶縁抵抗を測定して評価した結果を
(表14)に示す。
【0168】
【表14】
【0169】撥水耐熱絶縁性シ−ト45は、フッ素樹脂
であると絶縁抵抗特性に優れ、特にフッ素樹脂が60重
量%以上含有した樹脂であると、絶縁抵抗は充分に確保
されることがわかる。また、耐熱性のあるフッ素樹脂な
ので、特に耐熱性に優れた4フッ化エチレン樹脂である
と、調理温度の250℃前後でも優れた耐久性を長期間
に亘り維持できる。
【0170】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
加熱調理器によれば、次の効果が得られる。
【0171】本発明の請求項1に記載の発明は、調理物
を収納する調理室と、前記調理物を加熱する加熱熱源
と、前記調理室の排気口に設け、排出される調理ガスに
含まれる臭気成分を分解する脱臭装置とを備え、前記脱
臭装置は、内部にガス通過用空洞を有する耐熱絶縁性の
筐体と、前記ガス通過用空洞内の入口側表面に設けた撥
水耐熱絶縁性被膜と、前記撥水耐熱絶縁性被膜より下流
においてガス通過用空洞内に設け、複数の孔を有し通電
により発熱する金属薄板と、前記金属薄板の表面に形成
した耐熱絶縁層と、前記耐熱絶縁層の表面に形成した臭
気分解触媒とで構成したもので、撥水耐熱絶縁性被膜を
筐体のガス通過用空洞内の入口側表面に設け、かつ臭気
分解触媒を撥水耐熱絶縁性被膜より下流のガス通過用空
洞内に設けているから、ガス通過用空洞内の入口側にお
いて撥水耐熱絶縁性被膜の撥水作用および絶縁作用によ
り、金属薄板に付着する水分によって起きる加熱調理器
との電気的導通が遮断され、金属薄板に流れている電流
を加熱調理器に流れるのを防止できる。また、発熱する
金属薄板に耐熱絶縁層を介して臭気分解触媒を設けてい
るから、触媒の加熱を小電力にでき、かつ短時間に昇温
できる。
【0172】また、請求項2に記載の発明は、脱臭装置
としてガス通過用空洞を有する筐体を、耐熱断熱性の分
割した複数の分割筐体を接合して構成し、かつ前記分割
筐体の内面に溝を設け、前記溝へ臭気分解触媒を表面に
有する金属薄板を嵌合させ、ガス通過方向に対し略垂直
に配置したもので、金属薄板が溝に嵌合して筐体のガス
通過用空洞内に略垂直に設けているから、ガス通過用空
洞内を流れる調理ガスを洩らすことなく効率的に臭気分
解触媒に接触させ臭気成分の分解率を高めることができ
る。また、脱臭装置は分割筐体の溝に金属薄板を嵌合し
て分割筐体を接合すれば組み立てられるから、簡単に組
み立てることができる。さらに、筐体をセラミック等の
耐熱断熱材で形成すれば断熱効果を高められ、臭気分解
触媒の温度も高くなり臭気成分の分解率を一層高めるこ
とができる。
【0173】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
記載において、ガス通過用空洞を形成する分割筐体の互
いに接合する入口側接合表面および入口側前端面に、撥
水耐熱絶縁性被膜を設けたもので、撥水耐熱絶縁性被膜
の撥水作用および絶縁作用により分割筐体の接合面に微
少の隙間が生じた場合でもこれより洩れる結露水を介し
ての電気導通を遮断せしめ、金属薄板の電流が加熱調理
器へ流れるのを防止できる。
【0174】また、請求項4に記載の発明は、請求項2
記載において、ガス通過用空洞を形成する分割筐体の入
口側外周面に撥水耐熱絶縁性被膜を設けたもので、撥水
耐熱絶縁性被膜の撥水作用および絶縁作用により高温多
湿の環境下で筐体の外周面にも水分が付着した場合で
も、前記水分を介しての金属薄板と加熱調理器の電気導
通を遮断でき、金属薄板の電流が加熱調理器に流れるの
を防止できる。
【0175】また、請求項5に記載の発明は、脱臭装置
の撥水耐熱絶縁性被膜を、フッソ樹脂を主成分とした被
膜にするもので、撥水耐熱絶縁性被膜により付着水分に
よる金属薄板の電流が加熱調理器へ流れるのを一層防止
できるとともに、高温の調理ガスによる劣化もなく長期
に亘り性能を維持できる。
【0176】また、請求項6に記載の発明は、固定部材
で筐体を構成する複数の分割筐体の接合部分を外側から
挟み込んで固定したもので、脱臭装置の筐体を簡単に組
み立てることができ、かつ確実に固定できる。
【0177】また、請求項7に記載の発明は、脱臭装置
の金属薄板を、ステンレス薄板をラス網状に加工し更に
波形状に加工して形成したもので、ステンレス薄板のラ
ス網状および波形状により金属薄板を熱容量や重量%の
小さいものにでき、しかも孔開口率を大きくできるか
ら、一層小さな消費電力で、かつ迅速に昇温できるとと
もに、耐食性に優れ、かつ単位体積当たりの発熱面積を
大きくできて高い発熱温度にできる。
【0178】また、請求項8に記載の発明は、脱臭装置
の金属薄板を、ラス網状に加工したステンレス薄板で、
耐熱絶縁層をアルミニウムが少なくとも10〜45重量
%を含む琺瑯でそれぞれ形成したもので、琺瑯が多孔質
な耐熱絶縁層となり、琺瑯を焼き付けた際の金属薄板の
熱変形や琺瑯の剥離が発生しないものにできる。
【0179】また、請求項9に記載の発明は、脱臭装置
の金属薄板を、ラス網状に加工したステンレス薄板で、
耐熱絶縁層をアルミニウムの10〜45重量%と酸化チ
タンの10〜25重量%を少なくとも含む琺瑯でそれぞ
れ形成したもので、琺瑯は耐熱耐水性に優れた多孔質な
耐熱絶縁層となり、琺瑯を焼き付けた際の金属薄板の熱
変形や琺瑯の剥離が発生しないものにできる。
【0180】また、請求項10に記載の発明は、請求項
8または請求項9記載の耐熱絶縁層の表面に、水酸化ア
ルミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体
層と、前記担体層に担持させた白金とパラジウムのうち
の少なくともいずれか、または両方を備えた貴金属で構
成した臭気分解触媒を形成したもので、優れた浄化特性
と密着性を発揮することができる。
【0181】また、請求項11に記載の発明は、金属薄
板の下流における筐体のガス通過用空洞内に複数の孔を
有するステンレスからなる非通電の通気板を略垂直に設
け、前記通気板の表面に熱処理により形成した酸化被膜
と、前記酸化被膜に水酸化アルミニウムを主成分とする
ゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持さ
せた白金とパラジウムのうちの少なくともいずれか、ま
たは両方を有する貴金属とを備えた臭気分解触媒を形成
したもので、通気板によって調理ガスのガス通過用空洞
内における通過速度が低下して金属薄板の臭気分解触媒
との反応時間が長くなり臭気の分解率を高めるととも
に、通気板の臭気分解触媒により、触媒との反応回数も
増え臭気成分の分解率を更に高めることができる。
【0182】また、請求項12に記載の発明は、脱臭装
置の金属薄板に通電した後に加熱熱源を作動させる制御
部を備えもので、予め金属薄板に通電して付着水分を除
き、付着水分がない環境で加熱熱源を動作させ2重安全
にできる。
【0183】また、請求項13に記載の発明は、調理物
を加熱する高周波加熱熱源と、高周波が調理室の排気口
から漏れるのを防止する複数の孔を有する高周波電波漏
洩防止材を有し、前記高周波電波漏洩防止材は孔の総面
積と孔無部の面積の合計した面積を、脱臭装置のガス通
過用空洞の開口面積と同一もしくは、それより大きくし
たものであるから、高周波電波漏洩防止材の圧力損失が
低減され、その分だけ脱臭装置を小型にできるととも
に、調理ガスが脱臭装置を適切に通過でき脱臭を効果的
にできる。
【0184】また、請求項14に記載の発明は、調理室
の排気口に撥水耐熱絶縁性シ−トを介して脱臭装置の筐
体を取り付けたもので、撥水耐熱絶縁性シ−トの持つ弾
力作用で脱臭装置は排気口に隙間なく設けられ、調理ガ
スおよび蒸気の洩れによる電気絶縁の低下を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明加熱調理器の実施例1および実施例12
における概略縦断面図
【図2】同実施例1〜実施例11における加熱調理器の
脱臭装置の要部拡大断面図
【図3】同実施例2〜実施例11における加熱調理器の
脱臭装置の分解斜視図
【図4】同実施例2〜実施例11における加熱調理器の
脱臭装置の概略縦断面図
【図5】同実施例13および実施例14における加熱調
理器の概略断面図
【図6】従来の加熱調理器の概略断面図
【図7】同加熱調理器の触媒装置の拡大断面図
【符号の説明】
9 加熱調理器 10 調理室 12 加熱熱源 13 排気口 14 脱臭装置 15 ガス通過用空洞 16 筐体 17、17a、17b 撥水耐熱絶縁性被膜 18、40 孔 19 金属薄板 20 耐熱絶縁層 21 臭気分解触媒 22 筐体底部(分割筐体) 23 筐体蓋部(分割筐体) 24a、24b 溝 27a、27b 入口側接合表面 28a、28b 入口側前端面 29a、29b 入口側外周面 35a,35b 固定部材 39 通気板 42 高周波加熱熱源 43 高周波漏洩防止材 44 排気口外周部 45 撥水耐熱絶縁性シ−ト 46 制御部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/745 F24C 7/02 541G 23/75 B01J 23/74 301A F24C 7/02 541 311A (72)発明者 鈴木 忠視 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中野 幸一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3L086 AA01 AA12 BA05 BE06 BF10 DA01 DA27 4G069 AA04 AA08 BA01A BA01B BC31A BC31B BC62A BC62B BC66A BC66B BC67A BC67B BC72A BC72B BC75A BC75B CA07 CA10 CA17 DA06 EA11 FA06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】調理物を収納する調理室と、前記調理物を
    加熱する加熱熱源と、前記調理室の排気口に設け、排出
    される調理ガスに含まれる臭気成分を分解する脱臭装置
    とを備え、前記脱臭装置は、内部にガス通過用空洞を有
    する耐熱絶縁性の筐体と、前記ガス通過用空洞内の入口
    側表面に設けた撥水耐熱絶縁性被膜と、前記撥水耐熱絶
    縁性被膜より下流においてガス通過用空洞内に設け、複
    数の孔を有し通電により発熱する金属薄板と、前記金属
    薄板の表面に形成した耐熱絶縁層と、前記耐熱絶縁層の
    表面に形成した臭気分解触媒とで構成した加熱調理器。
  2. 【請求項2】脱臭装置は、筐体を耐熱断熱性の分割した
    複数の分割筐体を接合して構成し、かつ前記分割筐体の
    内面に溝を設け、前記溝に金属薄板を嵌合してガス通過
    方向に対し略垂直に配置した請求項1記載の加熱調理
    器。
  3. 【請求項3】脱臭装置は、ガス通過用空洞を形成する分
    割筐体の互いに接合する入口側接合表面および入口側前
    端面に、撥水耐熱絶縁性被膜を設けた請求項2記載の加
    熱調理器。
  4. 【請求項4】脱臭装置は、ガス通過用空洞を形成する分
    割筐体の入口側外周面に撥水耐熱絶縁性被膜を設けた請
    求項2記載の加熱調理器。
  5. 【請求項5】脱臭装置の撥水耐熱絶縁性被膜は、フッ素
    樹脂を主成分とした被膜である請求項1または請求項3
    または請求項4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  6. 【請求項6】脱臭装置は、固定部材で筐体を構成する複
    数の分割筐体の接合部分を外側から挟み込んで固定した
    請求項2記載の加熱調理器。
  7. 【請求項7】脱臭装置の金属薄板は、ステンレス薄板を
    ラス網状に加工するとともに波形状に加工した請求項1
    記載の加熱調理器。
  8. 【請求項8】脱臭装置の金属薄板は、ラス網状に加工し
    たステンレス薄板で、耐熱絶縁層はアルミニウムを少な
    くとも10〜45重量%を含む琺瑯でそれぞれ形成した
    請求項1記載の加熱調理器。
  9. 【請求項9】脱臭装置の金属薄板は、ラス網状に加工し
    たステンレス薄板で、耐熱絶縁層はアルミニウムの10
    〜45重量%と酸化チタンの10〜25重量%を少なく
    とも含む琺瑯でそれぞれ形成した請求項1記載の加熱調
    理器。
  10. 【請求項10】脱臭装置の臭気分解触媒は、水酸化アル
    ミニウムを主成分とするゾルを付着させ焼成した担体層
    と、前記担体層に担持させた白金とパラジウムのうちの
    少なくともいずれか、または両方を備えた貴金属で構成
    した請求項8または請求項9記載の加熱調理器。
  11. 【請求項11】脱臭装置は、金属薄板の下流における筐
    体のガス通過用空洞内に複数の孔を有するステンレスか
    らなる非通電の通気板をガス通過方向に対し略垂直に設
    け、前記通気板の表面に熱処理により形成した酸化被膜
    と、前記酸化被膜に水酸化アルミニウムを主成分とする
    ゾルを付着させ焼成した担体層と、前記担体層に担持さ
    せた白金とパラジウムのうちの少なくともいずれか、ま
    たは両方を有する貴金属とを備えた臭気分解触媒を形成
    した請求項1記載の加熱調理器。
  12. 【請求項12】脱臭装置の金属薄板に通電した後に加熱
    熱源を作動させる制御部を備えた請求項1記載の加熱調
    理器。
  13. 【請求項13】調理物を加熱する高周波加熱熱源と、高
    周波が調理室の排気口から漏れるのを防止する複数の孔
    を有する高周波電波漏洩防止材を有し、前記高周波電波
    漏洩防止材は孔の総面積と孔無部の面積との合計した面
    積を、脱臭装置のガス通過用空洞の開口面積と同一もし
    くは、それより大きくした請求項1記載の加熱調理器。
  14. 【請求項14】調理室の排気口に撥水耐熱絶縁性シ−ト
    を介して脱臭装置の筐体を取り付けた請求項1記載の加
    熱調理器。
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