JP3896436B2 - 水酸アパタイト皮膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の2種類或いは3種類の水溶液を用い、必要に応じて特定の条件の下に、基材の表面に水酸アパタイト皮膜を製造する方法に関する。本発明の方法によれば、各種の基材の表面に生体活性に優れる水酸アパタイト皮膜を形成することができ、各種の医療用具、医療用材等に応用することができる。また、織物、不織布等を基材として、それらを構成する繊維の表面に水酸アパタイト皮膜を形成し、マスク及び各種のフィルタ材等とすることもできる。
【0002】
【従来の技術】
基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成する方法としては、プラズマ溶射法(特開昭62−34559号公報、特開昭62−57548号公報、特開昭63−160663号公報)、カルシウムとリンとを含む溶液又は化合物を基材の表面に塗布し、焼結させる方法(特開昭62−231669号公報、特開昭63−24952号公報、特開昭63−46165号公報)等が挙げられる。また、スパッタリング法(特開昭58−109049号公報)、フレーム溶射法(日本セラミックス協会1988第1回秋季シンポジウム講演予稿集p.p.401- 402) 、ガラスフリットによる焼付法〔第9回バイオマテリアル学会大会予稿集(1987)p.6〕、電気泳動法(日本セラミックス協会1988第1回秋季シンポジウム講演予稿集p.p.417−418) なども知られている。
【0003】
更に、生体における骨形成のメカニズムを模倣し、基材の表面に予め水酸アパタイトの核生成を誘導するサイトを導入した後、これを擬似体液に浸漬して核を成長させる方法も提案されている。この核生成誘導サイトを導入する方法としては、生体活性ガラスを用いる方法(特開平4−141177号公報、特開平6−293506号公報、特公平6−29126号公報、特公平7−24686号公報)、及び基材をリン酸エステル化する方法(特開平8−260348号公報)等がある。
【0004】
しかしながら、プラズマ溶射法等、高温での処理を必要とする方法では、有機高分子材料などからなる耐熱性の低い基材には適用が難しい。また、形成される水酸アパタイト皮膜が、生体におけるアパタイトとは異なる種類のものである等の問題もある。一方、生体における骨形成のメカニズムを模倣した方法では、セラミックス等の耐熱性の高い材料ばかりでなく、有機高分子材料等の耐熱性の低い材料からなる基材であっても、生体におけるとほぼ同様のアパタイト皮膜を形成させることができる。しかし、生体活性ガラスを用いて、アパタイト核の誘導サイトを基材の表面に導入する方法では、CaO−SiO2系のガラスを溶融し、これを粉砕、分級して所要のガラス粒子を調製する必要がある。また、基材をリン酸エステル化する方法では、基材をリン酸エステル化した後、部分的に加水分解するといった工程が必要であり、何れにしても面倒な操作を要する。
【0005】
そこで、本発明者らは、先に、これらの面倒な操作を必要としない水酸アパタイト皮膜の形成方法を提案した。即ち、基材を、少なくともカルシウムとリンとを含む水溶液に浸漬した後、これを水溶液から取り出し、乾燥する工程と、乾燥後の基材を、実質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分が溶解した水溶液に浸漬する工程によって、基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成させるものである。この方法によれば簡易な操作で水酸アパタイトを析出させることができる。しかし、基材が大きい場合など、その全表面に水酸アパタイトを十分に析出させることができなかったり、或いは均一に析出させることができないことがある。これは、乾燥工程において、水酸アパタイト核を誘導するサイトであるリン酸カルシウム塩が、基材の表面に均一に析出しないためであると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、少なくともカルシウムとリンとを含む水溶液等、特定の2種類或いは3種類の水溶液を用いて、特に高温での処理を要することなく、基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成するものである。このように、本発明は、耐熱性の低い基材にも容易に適用することができ、また、基材の大小にかかわらず、その表面に均一な水酸アパタイト皮膜を形成することができる水酸アパタイト皮膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1発明の水酸アパタイト皮膜の製造方法は、少なくともカルシウムとリンとを含む第1水溶液に基材を浸漬した後、該第1水溶液から該基材を取り出して乾燥する第1工程と、乾燥後の上記基材をアルカリ性の第2水溶液に浸漬する第2工程と、を備え、上記基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成させることを特徴とする。さらに、第1発明は、上記第2水溶液が、水酸アパタイト成分を含まないアルカリ性水溶液であることも特徴とする。
【0008】
また、第2発明の水酸アパタイト皮膜の製造方法は、少なくともカルシウムとリンとを含む第1水溶液に基材を浸漬した後、該第1水溶液から該基材を取り出して乾燥する第1工程と、乾燥後の上記基材をアルカリ性の第2水溶液に浸漬する第2工程と、該第2水溶液から取り出した上記基材を、実質的に飽和乃至過飽和濃度のアパタイト成分を含有する第3水溶液に浸漬する第3工程と、を備え、上記基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成させることを特徴とする。さらに、第2発明は、上記第2水溶液が、水酸アパタイト成分を含まないアルカリ性水溶液であることも特徴とする。
【0009】
上記「第1水溶液」は酸性、中性、アルカリ性のいずれであってもよいが、第4発明のように、そのpHを酸性領域、特に「1〜5」の酸性領域に調整することが好ましい。リン酸カルシウム塩は中性からアルカリ性の領域においては水に対する溶解度が低いが、酸性領域においては溶解度が著しく高くなる。そのため、第1水溶液を酸性の溶液とすれば、カルシウムとリンとを高濃度で含む水溶液とすることができる。それによって、より多くのリン酸カルシウム塩を析出させることができ、基材の表面に均一な水酸アパタイト皮膜を形成することができる。
【0010】
また、上記「第2水溶液」としては、水酸アパタイト成分を含まないアルカリ性の水溶液であれば何を使用してもよい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等を水に溶解した液を用いることができる。この第2水溶液のpHは8〜14、特に9〜12の範囲が好ましい。更に、上記「第2工程」における水酸アパタイトの析出をより均一にするため、上記「第1工程」において、第5発明のように、第1溶液に浸漬中の基材に「超音波を照射」することが好ましい。この超音波の照射によって基材の細部にまで溶液が浸入する。それによって、乾燥後、細部にまでリン酸カルシウム塩が付着した基材を得ることができ、これを第2水溶液に浸漬することによって、より均一な水酸アパタイト皮膜を形成することができる。
【0011】
尚、第1及び第2工程は10〜50℃程度の温度において実施することができ、常温付近、即ち、20〜35℃において操作することができる。このように、第1及び第2工程は、加熱も冷却も特に必要とはせず、簡易な装置で、容易に実施することができる。また、浸漬時間は温度にもよるが特に限定はされず、第1工程は数分から数時間、第2工程は数時間から数十時間とすることができる。
【0012】
基材は親水性であることが好ましい。基材が疎水性である場合は、水溶液が基材に十分に濡れないため、リン酸カルシウムが均一に付着しないことがある。この基材の表面を水溶液に濡れ易くするため、第6発明のように、「親水基」を有する基材を使用するか、第7発明のように、基材の表面に予め「親水基」を導入しておくことが好ましい。また、第8発明のように、基材の表面を予め「粗面化」しておくことによって、基材の表面を水に濡れ易くすることもできる。このようにして基材の表面の親水性を向上させることによって、より均質な水酸アパタイト皮膜を形成することができる。
【0013】
第1及び第2発明において、上記「基材」は特に限定されず、金属、セラミックス、有機高分子材料など、いずれも用いることができる。本発明では、高温での処理を必要としないため、特に、第9発明のように、上記「有機高分子材料」のような、耐熱性が低く、高温での処理によって変質してしまう材料からなる基材にも適用することができる。このような耐熱性の低い基材としては、各種の天然繊維、合成繊維からなる織布、不織布、編み物及びフェルト等の布地が挙げられる。また、ポリウレタン、ポリスチレン及びポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなど、各種の樹脂からなる連泡型の発泡体を使用することもできる。更に、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルム及び多孔質中空糸膜を用いることもできる。このような基材を使用することにより、各種のフイルタ材等を得ることができる。
【0014】
本発明では、第1発明のように、第1工程と第2工程とによって、基材の表面に、実用上、十分な性能を有する水酸アパタイト皮膜を形成することができる。また、第2発明のように、第1発明の第2工程に続いて上記「第3工程」を実施することによって、基材の表面に水酸アパタイトをより均一に、且つ多量に析出させることができる。
【0015】
この第3工程において用いられる上記「第3水溶液」は、第10発明のように、そのpHを「5〜9」とすることが好ましい。このpHが5未満では、水酸アパタイトが水に溶解してしまって、却って皮膜が薄くなってしまうことがある。また、pHが9を越えると、溶液中に水酸アパタイトの沈殿が生成し、選択的に基材の表面に析出させることが難しくなる。更に、第11発明のように、第3水溶液として「1〜1.5倍濃度」の「擬似体液」を用いることが好ましい。この程度の濃度の擬似体液では、そのイオンの状態が長時間安定に保たれるため好ましい。
【0016】
また、第3水溶液の温度は、第12発明のように「10〜70℃」の範囲とすることが好ましい。この液温が10℃未満では、水酸アパタイトの析出量が極端に低下する。一方、液温が70℃を越えると、水酸アパタイトではなく、第三リン酸カルシウム(TCP)等、他のリン化合物が生成する。この第3水溶液の温度は20〜60℃、特に25〜45℃とすることが好ましい。この範囲の液温であれば、所要量の水酸アパタイトを析出させることができる。尚、第3水溶液への浸漬時間は特に限定はされないが、数日間程度とすることができる。
【0017】
本発明の方法によって基材の表面に水酸アパタイト皮膜が形成されるメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。
先ず、第1工程において、第1水溶液が付着した基材を乾燥させると、溶液の濃度が高くなり、溶液中に含まれるCa2+とH2PO4 1-又はHPO4 2-がリン酸カルシウム塩として基材の表面に析出する。このリン酸カルシウム塩は酸性塩であるCa(H2PO4)2として析出する。
【0018】
その後、乾燥させた基材をアルカリ性の第2水溶液に浸漬すると、Ca(H2PO4)2は易溶性であるため一旦溶液中に溶解する。しかし、基材近傍ではリン酸或いはカルシウムイオンの濃度が上昇し、過飽和となり、また、リン酸カルシウムはアルカリ領域では極めて溶解度が低いため、直ちに弱アルカリ塩である水酸アパタイトとなって析出し、基材の表面に水酸アパタイト皮膜が形成される。次いで、この基材を第3水溶液に浸漬すると、第2工程で形成された水酸アパタイト皮膜に溶液中のCa2+とHPO4 2-が取り込まれることにより、この水酸アパタイト皮膜が厚くなっていく。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。
実施例1
第1工程;先ず、塩酸水溶液にTCPを25ミリモル/リットルの濃度となるように溶解し、第1水溶液を調製した。この水溶液のpHは約2であった。この酸性の水溶液20ミリリットルを超音波洗浄機の浴槽内に入れ、100%セルロースの織物からなる重量約0.03gの基材を浸漬した。水溶液の温度は25℃とした。浸漬時間は10分とし、その間、基材に超音波を照射した。その後、基材を洗浄機から取り出し、その表面に水溶液が付着したまま60℃に調温された恒温槽に入れて乾燥した。
【0020】
第2工程;乾燥後の基材を濃度1Nの水酸化ナトリウム水溶液に、25℃で24時間浸漬した。この第2工程の操作によって、基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された(図1の「第2工程後」を参照)。また、この基材の重量は約0.005g増加しており、これは形成された水酸アパタイト皮膜の重量である。
【0021】
実施例2
第2工程における第2水溶液を濃度1Nのアンモニウム水溶液に代えた他は実施例1と同様にして操作した。その結果、基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された。この基材の重量は約0.007g増加していた。
実施例3
第2工程における第2水溶液を飽和濃度の水酸化カルシウム水溶液に代えた他は実施例1と同様にして操作した。その結果、基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された。この基材の重量は約0.003g増加していた。
【0022】
実施例4
第1水溶液を約200ミリリットル使用し、約1.5gの基材を用いた他は実施例2と同様にして操作した。その結果、基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された。この基材の重量は約0.15g増加していた。このように本発明の方法では、大きな基材であっても、水酸アパタイトが十分に、且つ均一に析出することが分かる。
実施例5
100%セルロースの不織布からなる重量約0.14gの基材を使用した他は実施例4と同様にして操作した。その結果、基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された。この基材の重量は約0.01g増加していた。
【0023】
実施例6〜8
実施例1〜3において得られた水酸アパタイト皮膜が形成された基材を、表1のイオン組成及びイオン濃度を有する第3水溶液(1.5倍濃度の擬似体液に相当する。)250ミリリットルにそれぞれ浸漬した。この第3水溶液のpHは、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと塩酸によって約7.2に調整した。水溶液の温度を36.5℃とし、48時間浸漬した。その後、基材を取り出し、水洗後60℃で乾燥した。この第3工程の操作によって、基材のほぼ全面により多量の水酸アパタイトが析出し、厚い皮膜が形成された(図1の「第3工程後」を参照)。これらの基材の重量はそれぞれ約0.028g、0.026g及び0.026g増加しており、これは形成された水酸アパタイト皮膜の重量である。このように、第3工程を経ていない実施例1〜3の場合に比べて水酸アパタイトの析出量が著しく増大していることが分かる。
【0024】
【0025】
実施例9
実施例4において得られた水酸アパタイト皮膜が形成された基材を、上記と同様にしてpH調整された第3水溶液2リットルに同じ温度で7日間浸漬した他は実施例6〜8と同様にして第3工程を実施した。この操作により基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された。この基材の重量は約0.51g増加していた。
【0026】
実施例10
実施例5において得られた水酸アパタイト皮膜が形成された基材を、上記と同様にしてpH調整された第3水溶液250ミリリットルに同じ温度で5日間浸漬した他は実施例6〜8と同様にして第3工程を実施した。この操作により基材のほぼ全面に水酸アパタイト皮膜が形成された。この基材の重量は約0.08g増加していた。
【0027】
図1は、水酸アパタイト皮膜を形成する前の基材の表面(「基材のみ」と表記)、及び実施例1において第1工程を実施した後の基材の表面、並びに第2工程を実施した後の、基材の表面に水酸アパタイト皮膜が形成された積層体の表面(「第1工程後」及び「第2工程後」と表記)のX線回折のチャートである。また、実施例6において実施例1の水酸アパタイト皮膜が形成された基材を用いた場合の、第3工程を実施した後の積層体の表面(「第3工程後」と表記)のX線回折のチャートである。図1によれば、基材のみ及び第1工程後では、水酸アパタイトの回折ピークはまったく現れていない。一方、第2工程後では、水酸アパタイトの2本の回折ピーク(2θ=26°及び32°)が明らかに観察される。更に、第3工程後では、これらピークの回折強度が非常に大きくなっており、これによっても水酸アパタイトの析出量の増大が裏付けられている。
【0028】
比較例1
第1水溶液として、上記の実施例6〜10において第3水溶液として用いたものを使用し、この水溶液200ミリリットルに、100%セルロースの織物からなる重量約1.5gの基材を浸漬した。水溶液の温度は25℃とした。浸漬時間は10分とし、水溶液から取り出した基材を60℃で乾燥した。その後、第2水溶液として、上記と同様に実施例6〜10において第3水溶液として用いたものを使用し、基材を、36.5℃に調温されたこの水溶液2リットルに10日間浸漬した。しかし、この操作によっては基材のほぼ全面に均一に水酸アパタイト皮膜を形成することができず、水酸アパタイトが基材表面の一部のみに析出し、皮膜が偏在していた。また、この基材の重量は約0.24g増加しており、これは不均質ではあるが、形成された水酸アパタイト皮膜の重量である。
【0029】
比較例2
基材を100%セルロースの不織布0.14gとし、第2水溶液として上記と同様にしてpH調整された第3水溶液250ミリリットルを用い、6日間浸漬した他は比較例1と同様にして操作した。しかし、この操作では水酸アパタイト皮膜は形成されず、基材の重量にも変化はなかった。
比較例3
アンモニウム水溶液に浸漬する第2工程を実施しなかった他は実施例10と同様にして操作した。しかし、この操作では水酸アパタイト皮膜は形成されず、基材の重量にも変化はなかった。
【0030】
【発明の効果】
第1発明の水酸アパタイト皮膜の製造方法によれば、特に、合成繊維等からなる織布、不織布等、耐熱性の低い基材であっても、その表面に容易に水酸アパタイト皮膜を製造することができる。また、第2発明のように、更に、工程を増やすことによって、水酸アパタイトの析出量を増大させることができ、より厚い水酸アパタイト皮膜を確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1及び第2発明において、水酸アパタイト皮膜を形成する前の基材の表面、及び第1工程を実施した後の基材の表面、並びに第2工程、更には第3工程を実施した後の、基材の表面に水酸アパタイト皮膜が形成された積層体の表面のX線回折のチャートである。
Claims (12)
- 少なくともカルシウムとリンとを含む第1水溶液に基材を浸漬した後、該第1水溶液から該基材を取り出して乾燥する第1工程と、乾燥後の上記基材をアルカリ性の第2水溶液に浸漬する第2工程と、を備え、上記基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成させる水酸アパタイト皮膜の製造方法であって、
上記第2水溶液が、水酸アパタイト成分を含まないアルカリ性水溶液であることを特徴とする水酸アパタイト皮膜の製造方法。 - 少なくともカルシウムとリンとを含む第1水溶液に基材を浸漬した後、該第1水溶液から該基材を取り出して乾燥する第1工程と、乾燥後の上記基材をアルカリ性の第2水溶液に浸漬する第2工程と、該第2水溶液から取り出した上記基材を、実質的に飽和乃至過飽和濃度のアパタイト成分を含有する第3水溶液に浸漬する第3工程と、を備え、上記基材の表面に水酸アパタイト皮膜を形成させる水酸アパタイト皮膜の製造方法であって、
上記第2水溶液が、水酸アパタイト成分を含まないアルカリ性水溶液であることを特徴とする水酸アパタイト皮膜の製造方法。 - 上記第2水溶液が、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニウム水溶液、又は水酸化カルシウム水溶液である請求項1又は2記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記第1水溶液のpHが1〜5である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記第1水溶液に浸漬中の上記基材に、超音波を照射する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記基材が親水基を有している請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記基材の表面に親水基が導入されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記基材の表面が粗面化されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記基材が有機高分子材料からなるものである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記第3水溶液のpHが5〜9である請求項2記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記第3水溶液が1〜1.5倍濃度の擬似体液である請求項2又は10記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
- 上記第3水溶液の温度が10〜70℃である請求項2、10又は11記載の水酸アパタイト皮膜の製造方法。
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