JP3896386B2 - インキュベータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、被検体をさまざまな温度条件で温熱処理するためのインキュベータに関し、特に温熱治療を行う患者の細胞を温熱処理し、最適な治療条件を得るための病理診断の補助器として使用できるインキュベータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、外科治療が困難な癌やHIV等の難治性感染症の治療方法として、正常細胞と癌細胞やウィルスの温度感受性の差を利用して、患部を41℃〜43℃に加温して、正常細胞を守りながら癌細胞やウィルスを死滅させる温熱療法(ハイパーサーミア)が非侵襲的治療方法として注目されている。
かかる温熱療法は、患者の深部体温を正常細胞の生理的範囲である43℃以下に抑え、かつ癌細胞やウィルスを死滅させることのできる41℃〜42.5℃以上の極限に近い温度に加熱するため、治療温度や治療時間等の治療条件を決定することが極めて難しい。
そこで、実際に患者に対して温熱治療を行う前に、あらかじめ患者から抽出した患部の細胞や正常細胞(以下、被検体という)をインキュベータで温熱処理し、その病理診断結果をもとにその患者に最適な温熱治療を行うための至適温度・至適時間を決定することが、パーソナライズドメディスンの観点からも期待されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインキュベータを用いて温熱処理を行い、温熱治療の治療条件を得るには、以下の観点から問題があった。
すなわち、温熱治療は患者の体温を平熱から上述のように極限に近い治療温度まで30分程度で加熱し、0.1℃程度の温度精度で2〜3時間程度保持することが必要であるが、被検体に対して温熱処理を行って温熱治療の治療条件を得るためには、被検体の温度を実際の温熱治療における患者の体温変化と同等の条件で変化させることができ、かつ温熱処理の全期間にわたって前述のような高い温度精度を維持する必要がある。
【0004】
しかるに、従来のインキュベータはエアージャケットやウォータジャケットによる自然対流または強制対流によって容器内の気体温度を制御するものがほとんどであり、容器内の気体による熱伝導によって被検体を加熱することになるため、被検体を目的の温度に加熱するのに長時間を要するという問題がある。
【0005】
また、ウォータバス式のインキュベータを使用すれば被検体を比較的短時間で目的の温度に加熱できるが、これらは被検体を一定の温度に保持することを目的としたものであり、実際の温熱治療における患者の体温変化と同等の条件で被検体を温熱処理することは困難であるという問題がある。
【0006】
それゆえに、本願発明の主たる目的は、患者から抽出した細胞を短時間で目的の温度に精度良く加熱できるものであって、実際の温熱治療における患者の体温変化と同等の条件で温熱処理できるインキュベータを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のインキュベータは、温熱治療において患者に適した治療条件を得るために、患者から抽出した細胞を温熱処理するインキュベータであって、患者から抽出した細胞を入れたトレイを液体に浸漬させる温熱槽と、液体を加熱する加熱手段と、液体を強制循環させる強制循環手段と、液体の温度を計測する温度センサと、加熱手段を制御する制御手段とを備えたものである。
これにより、被検体の入ったトレイを熱容量の大きい液体に直接浸漬させて加熱し、かつその液体を強制循環させた上で温度制御するので、被検体を短時間に目的の温度に精度良く加熱でき、実際の温熱治療における患者の体温変化と同等の条件で、被検体を温熱処理できる。
【0008】
請求項2に記載のインキュベータは、請求項1に記載のインキュベータであって、強制循環手段が温熱槽に多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルを分散配備したものである。
これにより、温熱槽に強制循環される液体が拡散して噴出され、温熱槽内の液体温度の温度偏在を小さくでき、被検体をより精度良く温熱処理できる。
【0009】
請求項3に記載のインキュベータは、請求項1または請求項2に記載のインキュベータであって、液体を加熱する加熱槽を備え、加熱手段が加熱槽に設けられたものである。
液体を加熱する加熱槽を温熱槽と別に設けることにより、加熱時における温熱槽内の液体温度の温度偏在をより小さくでき、被検体をより精度良く温熱処理できる。
【0010】
請求項4に記載のインキュベータは、請求項3に記載のインキュベータであって、強制循環手段が加熱槽に多数の噴出穴を有する攪拌ノズルを備えたものである。
これにより、加熱槽に強制循環される液体が拡散して噴出されるので、温熱槽内の液体温度の温度偏在をより迅速に小さくでき、被検体をより精度良く温熱処理できる。
【0011】
請求項5に記載のインキュベータは、請求項3または請求項4に記載のインキュベータであって、温熱槽と加熱槽の間に連通管を備えたものである。
これにより、温熱槽と加熱槽との間の強制循環による流量にアンバランスがあっても、温熱槽の液面を一定に保持することができる。
【0012】
請求項6に記載のインキュベータは、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインキュベータであって、トレイに所定の成分濃度を有するガスを供給するガス供給手段を備えたものである。
これにより、温熱処理中の被検体に対して所定の成分濃度を有するガスを供給できるので、例えば温度と酸素分圧を相関的にプログラムした温熱処理が行え、代謝と温度との関係を明らかにすることもできる。
【0013】
請求項7に記載のインキュベータは、請求項6に記載のインキュベータであって、温熱槽を収容する密閉容器を備え、密閉容器が容器内のガス成分濃度を検出するガスセンサを有し、制御手段がガスセンサからの信号に基づいてガス供給手段を制御する機能を有するものである。
これにより、温熱槽内の液体および被検体に供給されるガスの保温性が高まり、被検体をより精度良く目的の温度に加熱できる。
また、被検体に供給するガスの成分濃度を制御できるので、温熱処理中の被検体の代謝をコントロールできる。従って、例えば薬剤を投与した時の薬効についての検証も可能となり、薬剤に最もふさわしい至適量を導き出すことで、温熱治療における投薬量を減少させて治療の安全性を更に高めることが可能となる。
【0014】
請求項8に記載のインキュベータは、請求項6に記載のインキュベータであって、温熱槽がトレイを密閉収容する密閉機構と、密閉機構内のガス成分濃度を検出するガスセンサとを有し、制御手段がガスセンサからの信号に基づきガス供給手段を制御する機能を有するものである。
これにより、被検体に供給されるガスの保温性が高まり、被検体をより精度良く温熱処理できる。
また、被検体に供給するガスの成分濃度を制御できるので、温熱処理中の被検体の代謝をコントロールできる。従って、例えば薬剤を投与した時の薬効についての検証も可能となり、薬剤に最もふさわしい至適量を導き出すことで、温熱治療における投薬量を減少させて治療の安全性を更に高めることが可能となる。
【0015】
請求項9に記載のインキュベータは、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のインキュベータであって、ガス供給手段が供給するガスを液体によって予熱する機能を有するものである。
これにより、トレイに供給されるガスが液体温度に近い温度に予熱されるので、被検体をより精度良く温熱処理できる。
【0016】
請求項10に記載のインキュベータは、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のインキュベータであって、液体を冷却する冷却手段を備え、制御手段が冷却手段を制御する機能を有するものである。
これにより、被検体の温度を急速に下げることができるので、より多様な条件の温熱処理が行える。
【0017】
請求項11に記載のインキュベータは、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のインキュベータであって、制御手段が温熱治療における治療開始温度と、治療温度と、治療開始温度から治療温度までの昇温時間と、治療温度で保持する治療時間とを設定する設定手段を有するものである。
これにより、実際の温熱治療の治療条件と同一のパラメータで被検体を温熱処理できる。
【0018】
本願発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に本願発明の一実施形態にかかるインキュベータのシステム構成を示す。
図において、10は液体Wを注入し、被検体を入れたトレイ12を温度制御された液体Wに浸漬させるための温熱槽であり、液体温度を計測する液体温度センサ14を備える。
【0020】
20は液体Wを加熱するための加熱槽であり、液体Wを加熱するヒータ22と、加熱槽内の液体温度を計測する液体温度センサ24とを備える。
ヒータ22は、ここでは電気式ヒータを使用し、容量の異なる複数本のヒータを備え、液体温度と設定温度の差に応じて作動させるヒータの容量を変えることで、所定の温度精度と応答性が得られるようにしている。
【0021】
30は加熱槽20から温熱槽10に液体Wを強制循環させる循環ラインであり、循環ポンプ32を備える。また、温熱槽10には多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズル34が分散配備され、循環ライン30によって供給される液体Wを拡散して槽内に注入する。
【0022】
40は温熱槽10から加熱槽20に液体Wを強制循環させる循環ラインであり、循環ポンプ42を備える。また、加熱槽20にも多数の噴出穴を有する攪拌ノズル46を備え、循環ライン40によって供給される液体Wを拡散して槽内に注入する。
このように、循環ライン30、40によって温熱槽10と加熱槽12の間で液体Wを強制循環させ、攪拌ノズル34、46によって各槽内に分散注入することで、温熱槽10内の液体温度偏差を小さくし、トレイ12内の被検体を設定された温度に精度良く加温できるようにしている。
【0023】
50は温熱槽10と加熱槽20を直接接続する連通管であり、循環ライン30と循環ライン40の間で流量のアンバランスがあっても温熱槽10の水位が変動しないようにしている。
【0024】
60は液体Wを加熱槽20に給水するための給水ラインであり、給水弁62と加熱槽20の水位を検出する水位センサ64とを備える。
【0025】
70は液体Wを温熱槽10から排水するための排水ラインであり、循環ライン30上に循環止弁72と排水弁74とを備える。
【0026】
80は温熱槽10と加熱槽20とを保温収容する密閉容器である。
【0027】
90は被検体に対して所定の成分濃度を有するガスを供給するためのガス供給ラインであり、O2ガスを供給するO2ガス供給弁92と、N2ガスを供給するN2ガス供給弁94と、CO2ガスを供給するCO2ガス供給弁96とを備え、加熱槽20内の設けられた熱交換器98を経由して、液体Wで予熱されたガスが密閉容器80内に供給される。
また、密閉容器80には容器内のガスの成分濃度を計測するため、サンプリングポンプ82と、O2ガス濃度を計測するO2ガスセンサ84と、CO2ガス濃度を計測するCO2ガスセンサ86とを備える。
【0028】
100は加熱槽20に供給する液体Wの水位を調節する水位コントローラであり、水位センサ64からの信号に基づいて給水弁62を制御し、加熱槽20および温熱槽10の水位を一定に保つ。
110は液体Wの温度を調節する水温コントローラであり、温熱槽10の液体温度センサ14と加熱槽20の液体温度センサ24からの信号に基づいてヒータ22を制御し、温熱槽10の液体温度を設定温度に常時コントロールする。
120は密閉容器80内のガス成分濃度を調節するガス濃度コントローラであり、O2ガスセンサ84およびCO2ガスセンサ86からの信号に基づいてO2ガス供給弁92、N2ガス供給弁94、CO2ガス供給弁96を制御し、密閉容器内のガス成分濃度を設定濃度に常時コントロールする。
【0029】
130はシステム全体を制御するコンピュータであり、水位コントローラ100、水温コントローラ110、ガス濃度コントローラ120から受信した各センサ情報を表示装置132に表示するとともに、入力装置134から入力された温熱処理条件に基づき、各コントローラ100、110、120に対して制御指令を与え、被検体の温熱処理を行う。
【0030】
尚、液体Wとしては、実際の温熱治療にできるだけ近い条件で温熱処理し、温熱処理した細胞の病理診断を行う必要があることから、滅菌水を使用する。
但し、温熱治療において特殊な液体が使用される場合は、それと同等の熱容量を有する液体を使用してもよい。これにより、実際の温熱治療に更に近い条件で被検体を温熱処理できる。
【0031】
次に、本実施形態のインキュベータを用いて被検体を温熱処理し、温熱治療の治療条件を求める方法について説明する。
患者から抽出した被検体は、適当な培地とともにシャーレ内に入れられ、トレイ12上に並べられる。このトレイ12を温熱槽10の液体面にセットすることにより、被検体の入ったシャーレは温度制御された液体Wに浸漬され、被検体に対して所定の温度環境が与えられる。
また、シャーレの上部は開放されていて、被検体は密閉容器80に供給されるガスによって、所定のガス環境が与えられる。
このように、温度環境とガス環境とを設定して温熱処理ができるので、実際に患者を温熱治療する場合と同等の温度環境・ガス環境で被検体を温熱処理することができ、温熱治療中の患者の代謝をも考慮した精度の高い治療条件を求めることができる。
【0032】
温熱処理を行うに当たって、最初にコンピュータ130に対して治療開始時の体温(治療開始温度)、治療時の体温(治療温度)、治療開始温度から治療温度まで昇温する時間(昇温時間)、治療温度で保持する時間(治療時間)、想定される患者の温熱治療中の代謝条件から定まるガス成分濃度条件等を入力装置134から入力する。
これにより、コンピュータ130は入力された温熱処理条件に基づき、水温コントローラ110に対して液体Wの設定温度を順次与え、ガス濃度コントローラ120に対して供給ガスの濃度設定を順次与えることで被検体を温熱処理する。
温熱処理された被検体は、病理診断によって治療効果と正常細胞のダメージ等が判断され、その結果に基づいて患者に最適な治療条件が決定される。
【0033】
上記実施形態では、温熱槽とは別個に加熱槽を備えた二槽式とし、加熱槽に液体を加熱するヒータを設けるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、温熱槽における液体Wの循環が十分に行われる限り、温熱槽にヒータを設けた一槽式としてもよく、本願発明の効果を奏する。
【0034】
上記実施形態では、液体Wを加熱する加熱手段は電気ヒータを用いたが、ガスヒータを用いてもよい。また、別途供給される温水と熱交換するようにしたり、液体を温水と置換することで加熱するようにしてもよい。
また、ここでは容量の異なる電気ヒータを複数本備え、液体温度と設定温度の温度差によって作動するヒータの容量を変えるとして説明したが、単一のヒータを用いて、例えばパルス通電し、そのデューティを変えることで実質的にヒータ容量を変えるようにしてもよく、同様の効果を奏する。
【0035】
上記実施形態では、液体温度を調節する手段として、液体Wを加熱する加熱手段のみを備えるものとして説明したが、液体Wを冷却する冷却手段を更に設けるようにしてもよい。これにより、加熱手段と冷却手段を組合せた液体温度制御とすることで、より迅速に被検体を昇温して、目的温度に精度良く安定させることが可能となる。
また、実際の温熱治療では、患者の体温を治療温度に保持した後に所定の脱出可能温度になるまで体温を降温することが行われるが、本願発明のインキュベータに液体の冷却手段を設けることで、このような降温処理についての患者への影響を考慮した温熱処理が行え、患者にとってより最適な治療条件を求めることができる。
尚、冷却手段としては、冷却ファンを用いた空冷式でもよく、圧縮冷媒ガスを用いた冷凍機を使用してもよい。また、別途供給される冷水と熱交換するようにしたり、液体を冷水と置換することで冷却するようにしてもよい。また、ペルチェ素子を用いた電子冷却器を使用してもよい。
【0036】
上記実施形態では、温熱槽10と加熱槽20を収容する密閉容器80は、単に密閉保温する容器として説明したが、容器内の空気温度を計測する空気温度センサと、容器内の空気を加熱するヒータや容器内の空気を冷却する冷却器を備えるようにし、容器内の空気温度を調節する機能を設けてもよい。
これにより、密閉容器内の空気温度を液体温度とともに制御することで、液体温度の温度精度と応答性を更に向上させることができる。
【0037】
上記実施形態では、密閉容器80は温熱槽10と加熱槽20の両方を密閉収容するとして説明したが、温熱槽10のみを密閉収容するものでも被検体に所定の成分濃度を有するガスを供給することができ、本願発明の効果を奏する。
また、必ずしも温熱槽全体を密閉容器に収容する必要はなく、例えば温熱槽10に蓋を設け、トレイ12をセットした後、蓋をしてトレイを温熱槽内に密閉するようにしてもよい。尚、この場合は蓋をした後に温熱槽の密閉空間内にガスを供給するようにし、密閉空間内の空気をサンプリングしてガス成分濃度を計測するようにすればよく、本願発明の効果を奏する。
【0038】
【発明の効果】
本願発明によれば、患者から抽出した細胞を入れたトレイを液体に浸漬させる温熱槽と、液体を加熱する加熱手段と、液体を強制循環させる強制循環手段と、液体の温度を計測する温度センサと、加熱手段を制御する制御手段とを備えたので、患者から抽出した細胞を短時間で目的の温度に精度良く加熱でき、実際の温熱治療における患者の体温変化と同等の条件で温熱処理できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかるインキュベータのシステム構成図である。
【符号の説明】
10 温熱槽
12 被検体を入れたトレイ
14 液体温度センサ
20 加熱槽
22 ヒータ
24 液体温度センサ
30、40 循環ライン
32、42 循環ポンプ
34、46 攪拌ノズル
50 連通管
60 給水ライン
70 排水ライン
80 密閉容器
82 サンプリングポンプ
84 O2ガスセンサ
86 CO2ガスセンサ
90 ガス供給ライン
98 熱交換器
100 水位コントローラ
110 水温コントローラ
120 ガス濃度コントローラ
130 コンピュータ
132 表示装置
134 入力装置

Claims (3)

  1. 温熱治療において患者に適した治療条件を得るために、患者から抽出した細胞を温熱処理するインキュベータであって、
    前記患者から抽出した細胞を収容するトレイと、
    前記トレイに収容された細胞の温度を温熱治療における患者の体温変化と同等の条件で短時間に精度よく変化させるために、前記トレイを液体に直接浸漬させる温熱槽と、
    前記液体を強制循環させる強制循環手段と、
    前記液体を加熱する加熱手段と、
    前記液体を冷却する冷却手段と、
    前記液体の温度を計測する温度センサと、
    温熱治療における治療開始温度と、治療温度と、前記治療開始温度から前記治療温度までの昇温時間と、前記治療温度で保持する治療時間とを設定する設定手段と、
    前記設定手段により設定された温度設定条件に従って、前記加熱手段および前記冷却手段を制御する制御手段とを備え、
    前記強制循環手段は、強制循環された前記液体を前記温熱槽内に拡散注入するための多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルが分散配備され、
    患者を温熱治療する治療条件と同等の条件で、前記患者から抽出した細胞を精度よく温熱処理できるようにしたことを特徴とする、インキュベータ。
  2. 前記液体を加熱・冷却するための加熱槽を別に備え、
    前記加熱手段および前記冷却手段は、前記加熱槽に設けられ、
    前記強制循環手段は、強制循環された前記液体を前記加熱槽内に拡散注入するための多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルが分散配備され、
    前記温熱槽と前記加熱槽の間には、連通管を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のインキュベータ。
  3. 前記温熱槽を収容する密閉容器と、
    前記密閉容器に所定の成分濃度を有するガスを供給するガス供給手段と、
    前記密閉容器内のガス成分濃度を検出するガスセンサとを備え
    前記制御手段は、前記ガスセンサからの信号に基づいて前記ガス供給手段を制御する機能を有し、
    前記ガス供給手段は、供給する前記ガスを前記液体によって予熱する機能を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインキュベータ。
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