JP3895973B2 - 散水栓装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、散水栓装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来の散水栓装置の一つとして、例えば庭に設けた掘削穴に引き込まれた水道管などの配管の接続端に散水栓を取り付け、その近辺に玉砂利を敷き、ヒンジにより開閉可能な上蓋を有するとともに底板の無い散水栓ボックスを、散水栓を覆う状態で掘削穴に嵌め込んでなるものがあるけれども、散水栓が傾かずに縦置き状態で取り付けられるよう、かつ、散水栓を散水栓ボックス内におさめることができるよう散水栓の取り付け高さ(立ち上がり)を設定する等の取り付け作業に施工者の熟練が必要であった。また、散水栓を配管の接続端に取り付けているだけであるので不安定で散水栓にグラツキが生じるおそれがあった。
【0003】
また、前記グラツキを無くすために、散水栓を配管の接続端に取り付けるための取付け孔が形成された底板部を有する散水栓ボックスも提案されている(特開平9−28218号公報参照)けれども、現場で散水栓を取付け孔にねじ込んで配管の接続端に散水栓を接続する必要があり、接続作業に時間がかかるとともに、面倒であった。
【0004】
この発明はこのような実情を考慮に入れてなされたものであって、散水栓取り付けに伴う種々の作業を無くして熟練者でなくても容易に、かつ、短時間で設置できる散水栓装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の散水栓装置は、底部と、側壁部および上蓋よりなる散水栓ボックスと、前記散水栓ボックスの内部に固定設置されている散水栓と、水道管などの配管と前記散水栓とを連通するための連通部と、散水栓ボックスに底板を取り付けたときに底板に設けた切欠と散水栓ボックスに設けた切欠によって形成される、前記連通部が挿通可能な連通部貫通孔と、前記底板および前記上蓋間に散水栓接続穴を介して前記散水栓を固定設置するための設置板部とを備え、前記連通部は、前記散水栓にねじ接続される下流部分を有するエルボ部材と、このエルボ部材の上流部分に下流端が接続され上流端が前記配管に接続された状態で前記連通部貫通孔を貫通する接続パイプとよりなる一方、前記設置板部は、前記散水栓接続穴の直下にこの散水栓接続穴に連通する形で嵌め込み穴を有する筒部を備えるとともに、前記筒部の前記嵌め込み穴は、前記エルボ部材の前記下流部分が嵌め込み可能な大きさに形成されており、更に、前記筒部は、前記散水栓を前記エルボ部材にねじ込むときに前記エルボ部材が前記散水栓と共回りするのを防止する切欠部を周面下部に有する。
【0006】
【0007】
【発明の実施の形態】
図1〜図5は、水道管などの配管と散水栓とを連通するための連通部を設け、この連通部と前記散水栓とが工場などの製作場所で予め散水栓ボックスに取り付けられているこの発明の一実施形態を示す。
【0008】
図1は、上蓋を有する散水栓装置の平面図を示し、図2は、そのa−a縦断面で、上蓋の長手方向に沿った散水栓装置の中央部分を断面してある。図3は、散水栓装置の分解斜視図を示し、散水栓装置は、前記散水栓と連通部が散水栓ボックスの内部に固定設置された状態で前記製作場所から現場に搬送され、この現場において散水栓装置は前記連通部および継手を介して前記配管に接続される。図4は、散水栓ボックス内における、散水栓と、これを固定設置するための設置板部と、この設置板部に対する前記連通部の取り付け状態を示し、図5は、前記上蓋を外した散水栓ボックス内を示し、排水孔を有する前記設置板部に設けた散水栓の支持部に散水栓の鍔が当接している。
【0009】
図1〜図5において、1は、箱状で、平面視矩形の上方開口2および平面視矩形の下方開口3を有する散水栓ボックスである。散水栓ボックス1は、四つの側壁部B,C,D,Eを有する。一対の側壁部B,Cは、散水栓ボックス1の長手方向(両矢印Xで示す方向)に沿って左右に対向する状態で位置する。また、一対の側壁部D,Eは、散水栓ボックス1の短手方向(両矢印Yで示す方向)に沿って左右に対向する状態で位置する。4は、上蓋で、前記上方開口2を覆うよう散水栓ボックス1に着脱自在に装着されており、散水栓装置Aの上部を構成する。上蓋4は、上方開口2の内周縁に沿って形成されている載置部2aに載置される。5は、下方開口3を覆うよう散水栓ボックス1に着脱自在に装着されている底板で、散水栓装置Aの底部を構成する。そして、散水栓ボックス1は、底板5および上蓋4間に設置板部15を有する。
【0010】
この発明では、現場において散水栓12を散水栓ボックスAの設置板部15に設置する手間をなくすために、散水栓12は工場などの製作場所で設置板部15に予め固定設置されている。すなわち、設置板部15上に立設された状態で散水栓12が内部に収容されている散水栓ボックスAを現場に設けた掘削穴に設置できるよう構成されている。また、この発明では、現場において水道管などの配管25と散水栓12とを接続するときの手間を軽減するために、散水栓12には連通部26が前記製作場所で予め接続されている。
【0011】
前記底板5は、中央に排水孔6を有し、下方開口3の形状に対応する平面視矩形の平板部7と、この平板部7の周縁から立ち上がる立上り板部8とよりなる。そして、底板5の縦、横の幅および高さは底板5を散水栓ボックス1に装着した後は底板5が散水栓ボックス1から容易に外れることがない寸法に設定されている。更に、立上り板部8は、底板5の短手方向に沿って左右に位置する一対の対向部分8a,8bの中央にそれぞれ、上部側から切欠いた半円形で同形の切欠9a,9bを有する。一方、散水栓ボックス1は、散水栓ボックス1に底板5を取り付けたときに後述する接続パイプ33が挿通可能な連通部貫通孔28が形成されるよう前記切欠9aに対応する側壁部Dの下辺部中央に切欠29aを有する。また、散水栓ボックス1は、前記切欠9bに対応する側壁部Eの下辺部中央にも接続パイプ33が挿通可能な大きさの切欠29bを有する。
【0012】
また、前記上蓋4は、対向する一対の短辺の中央にそれぞれ、散水栓ボックス1に上蓋4を取り付けたり、取り外したりするときに利用される把持用切欠10,11を有する。また、把持用切欠10,11は、散水栓ボックス1に上蓋4をした状態で散水栓12の吐水管部13に接続されるホース(図示せず)が挿通可能な大きさに設定されている。例えば、図2に示すように、把持用切欠10が吐水管部13に対向するよう上蓋4がされた場合、ホースは把持用切欠10を通って散水栓装置A外にセットされる。
【0013】
次に、前記設置板部15について詳述する。
【0014】
この実施形態では、散水栓12の操作ハンドル12aに固着された弁棒12cの軸線Rが設置板部15の中心PよりX方向に沿って長さQだけずれた点P’を通るよう、散水栓12は設置板部15の散水栓設置位置に固定設置されている。また、設置板部15は、前記一対の側壁部BおよびCの側にそれぞれ排水孔16および17を有するとともに、設置板部15には、前記散水栓設置位置から前記各排水孔16,17に向けて下方に傾斜する水勾配を持った傾斜面m,nが形成されている。また、前記設置板部15は、散水栓接続穴22を前記散水栓設置位置に有するとともに、前記散水栓接続穴22の周縁に散水栓支持部23を有する。
【0015】
一方、前記散水栓12は、前記散水栓支持部23に当接する鍔24を有する。この鍔24は、散水栓本体12dの下部に一体に形成されており、この鍔24の直下には外ねじr’が形成されている。
【0016】
以下、前記連通部26について説明する。
【0017】
連通部26は、工場などの製作場所で散水栓12にねじ接続される下流部分30を有するエルボ部材32と、このエルボ部材32の上流部分31に下流端33aが接続される接続パイプ33とよりなる。この接続パイプ33は、現場での継手34を用いた配管25との接続にあたり、側壁部Dからの突出長さLを切断により変更できるよう切断容易で耐久性に優れた例えば塩化ビニルで形成されている。そして、前記接続パイプ33は、上流端33bが継手34を介して配管25に接続された状態で連通部貫通孔28を貫通する。
【0018】
前記エルボ部材32は塩化ビニル製で、下流部分30は二重構造になっている。すなわち、前記外ねじr’に螺合する内ねじrを有する金属製筒体36が下流部分30の内側にインサート成形により一体に形成されている。
【0019】
また、前記継手34は、円筒状で、接続パイプ33の上流端33bが嵌め込み可能な大きさの第1穴部40と、配管25の接続端25aが嵌め込み可能な大きさの第2穴部41と、両穴部40,41より小径で両穴部40,41を連通する第3穴部42とを有する。そして、上流端33bは接着剤により第1穴部40に装着される。また、接続端25aは接着剤により第2穴部41に装着される。また、エルボ部材32の上流部分31に接続パイプ33の下流端33aが嵌め込まれ接着剤により結合される。
【0020】
次に、連通部26と散水栓12との接続機構について説明する。
【0021】
前記エルボ部材32は、下流部分30の出口に外向きフランジ43を有する一方、前記設置板部15は、散水栓接続穴22の直下にこの散水栓接続穴22に連通する形で嵌め込み穴45を有する筒部46を備えている。この筒部46は、設置板部15の底面部分から下方に突出した状態で一体に形成されている。前記嵌め込み穴45は、外向きフランジ43の側からエルボ部材32の下流部分30が嵌め込み可能な大きさに形成されている。前記筒部46は、エルボ部材32の嵌め込み後において外向きフランジ43を係止可能に支持する爪48を内周面上部に有し、また、筒部46は、工場などの製作場所で散水栓12をエルボ部材32にねじ込むときにエルボ部材32が散水栓12と共回りするのを防止する切欠部49a,49bを周面下部に有する。前記切欠部49aと切欠部49bは、筒部46の対向位置に設けられている。
なお、上蓋4を紛失しないために、上蓋4の下面に設けたフック部材61と側壁部D内面の上部分に設けたフック部材62間にチェーン63が取り付けられている。
【0022】
而して、例えば庭に設けた掘削穴に引き込まれた配管25の接続端25aに、継手34および連通部26を介して散水栓12を取り付け、その近辺に玉砂利を敷き、上蓋4と底板5を有する散水栓ボックス1よりなる散水栓装置Aを掘削穴に嵌め込むにあたり、散水栓ボックス1の内部に予め散水栓12を固定設置してあるので、従来のように、現場で散水栓の取り付け高さ(立ち上がり)を設定する等の取り付け作業を不要にできる。また、散水栓12を設置板部15に固定設置してあるので、従来のように、散水栓を配管の接続端に取り付けているだけであるので不安定で散水栓にグラツキが生じるというおそれはない。
【0023】
また、散水栓ボックス1の内部に予め散水栓12を固定設置してあるとともに、散水栓12には前記連通部26が既設されているので、状来のように、現場で散水栓を取付け孔にねじ込んで配管の接続端に散水栓を接続する必要がなくなる。
【0024】
なお、この実施形態では、散水栓ボックス1の側壁部Dから連通部26を突出させたものを示したが、散水栓ボックス1の側壁部Eから連通部26を突出させることは可能である。
【0025】
また、上記各実施形態では、散水栓ボックス1の側壁部D,Eから連通部26を突出させたものを示したが、この発明は、散水栓ボックス1の底板から連通部26を突出させる構成を採用できる。
【0026】
すなわち、この場合の散水栓装置A’は、底部5、側壁部B,C,D,Eおよび上蓋4を備えた散水栓ボックス1と、現場で取り付けする手間をなくすために工場などの製作場所で前記散水栓ボックス1の内部に予め固定設置されている散水栓12とを有し、更に、散水栓装置A’の散水栓12には、配管25と散水栓12とを連通するための連通部26が既設されており、しかも、散水栓12は、散水栓接続穴22を介して設置板部15に縦置き状態で設置されるとともに、散水栓ボックス1は、底板5に連通部貫通孔(図示せず)を有し、更に、連通部26は、散水栓12に下流端が接続され上流端が配管25に接続された状態で前記連通部貫通孔を貫通する接続パイプよりなる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明では、散水栓取り付けに伴う種々の作業を無くして熟練者でなくても容易に、かつ、短時間で設置できる散水栓装置を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態を示す平面図である。
【図2】 図1におけるa−a縦断面図である。
【図3】 上記実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】 上記実施形態における散水栓ボックス内部の状態を示す図である。
【図5】 上記実施形態において上蓋を外したときの散水栓ボックス内部の状態を示す図である。
【符号の説明】
1…散水栓ボックス、4…上蓋、5…底部、9a,9b、29a,29b切欠、12…散水栓、15…設置板部、22…散水栓接続穴、25…配管、30…下流部分、32…エルボ部材、33…連通部、45…嵌め込み穴、46…筒部、49a,49b…切欠部、B,C,D,E…側壁部。

Claims (2)

  1. 底部と、側壁部および上蓋よりなる散水栓ボックスと、前記散水栓ボックスの内部に固定設置されている散水栓と、水道管などの配管と前記散水栓とを連通するための連通部と、散水栓ボックスに底板を取り付けたときに底板に設けた切欠と散水栓ボックスに設けた切欠によって形成される、前記連通部が挿通可能な連通部貫通孔と、前記底板および前記上蓋間に散水栓接続穴を介して前記散水栓を固定設置するための設置板部とを備え、前記連通部は、前記散水栓にねじ接続される下流部分を有するエルボ部材と、このエルボ部材の上流部分に下流端が接続され上流端が前記配管に接続された状態で前記連通部貫通孔を貫通する接続パイプとよりなる一方、前記設置板部は、前記散水栓接続穴の直下にこの散水栓接続穴に連通する形で嵌め込み穴を有する筒部を備えるとともに、前記筒部の前記嵌め込み穴は、前記エルボ部材の前記下流部分が嵌め込み可能な大きさに形成されており、更に、前記筒部は、前記散水栓を前記エルボ部材にねじ込むときに前記エルボ部材が前記散水栓と共回りするのを防止する切欠部を周面下部に有することことを特徴とする散水栓装置。
  2. 前記散水栓ボックスは、上方開口および下方開口を有し、前記上蓋は、前記上方開口を覆うよう前記散水栓ボックスに着脱自在に装着される一方、前記散水栓ボックスの前記底部は、前記下方開口を覆うよう散水栓ボックスに着脱自在に装着される底板よりなり、また、前記設置板部は、前記散水栓ボックスの対向する前記側壁部の側にそれぞれ排水孔を有するとともに、散水栓設置位置から前記各排水孔に向けて下方に傾斜する傾斜面を有し、また、前記設置板部は、前記散水栓接続穴の周縁に散水栓支持部を有し、前記散水栓は、前記散水栓支持部に当接する鍔を有し、更に、前記筒部の前記嵌め込み穴に前記エルボ部材の前記下流部分が嵌め込まれた状態で、前記筒部の前記切欠部に前記エルボ部材の前記上流部分が位置することによって、前記散水栓を前記エルボ部材にねじ込むときに前記エルボ部材が前記散水栓と共回りするのを防止するように構成されている請求項1に記載の散水栓装置。
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