JP3894954B2 - 吸収性材料の製造方法、吸収性材料、及び吸収性材料を含む吸収性物品 - Google Patents

吸収性材料の製造方法、吸収性材料、及び吸収性材料を含む吸収性物品 Download PDF

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Description

発明の属する分野
本発明はポリサッカライド繊維の製造方法、かく製造されるポリサッカライド繊維、及びポリサッカライド繊維を含む吸収性物品に関する。
発明の背景
超吸収体、いわゆる水又は体液を超吸収体自体の重量の数倍、通常は10倍以上吸収できる吸収性材料はおむつ、失禁ガード及び衛生ナプキンの如き吸収性物品において物品の吸収体の吸収性及びまた保持能力を高めるために使用され、吸収体の残余は通常いわゆる毛羽パルプのセルロース繊維から成る。
ポリアクリル酸は再生できない超吸収体のベースとして最もよく使用されるポリマーである。ポリアクリル酸は石油から製造される。原油は再生できない天然資源であるので、ポリアクリル酸の製造における出発原料としての石油の使用は環境的側面から問題を生じる。
この問題を解決するという目的で再生可能な一次原料に基づいて超吸収体を製造するための努力がなされてきた。これらの一次原料はスターチ及びセルロースの如き様々なポリサッカライドを含む。
この関連で大規模に使用されてきたポリマーはカルボキシメチルセルロースである。これはカルボキシメチルを置換基として有するセルロース誘導体である。ポリマーの特性は重合度DPおよび置換度DSに応じて決まる。カルボキシメチルセルロースは比較的安価であり、水性液体に対する高い親和性を有する。
しかしながら、おむつ、失禁ガード及び衛生ナプキンの如き吸収性物品におけるカルボキシメチルセルロースの混合は重大な欠点と関連する。使用中に物品が湿潤した場合、カルボキシメチルセルロースは溶解し、それと共に装着者の放出する液体の粘度は増大する。このことは液体の分散速度を劇的に減少させ、いわゆるゲルブロッキングが生じる。置換度が0.35未満のカルボキシメチルセルロースは水不溶性であり、それ故ゲルブロッキングの側面に関しては吸収性物品において好ましく使用できる。しかし、置換度が0.35未満のカルボキシメチルセルロースはポリアクリル酸エステルと比較すると吸収特性が劣る。換言すれば、良好な吸収特性を得るためにはカルボキシメチルセルロースは0.35を越える置換度を有する必要があるが、かかるカルボキシメチルセルロースは水溶性であり、それに加えてゲルブロッキングの問題を呈する。
現在商業的に利用可能な超吸収体の持つ他の欠点は適用形状である。超吸収体は通常粗粒、フレーク、又は顆粒の形状で物品に添加される。超吸収体をこの形で添加するためには特殊な計量装置が要求され、繊維パルプ体中での超吸収体の均一分布を得ることは困難である。
繊維形状の超吸収体はより計量しやすい。超吸収体が適用されるべき吸収体は通常、繊維から成るので、超吸収体粒子が繊維マトリックスから分離してくる危険がある。この問題は繊維形状の超吸収体では緩和される。ポリアクリル酸エステル繊維は商業的に利用可能であるが、大規模には使用されていない。これはたぶんそれが高価でかつ膨潤性が劣るためであろう。
衛生製品として使用するためのポリサッカライド繊維を製造するために多くの試みがなされてきた。WO 93/12275はポリサッカライド繊維の溶媒紡糸(solvent spinning)を開示する。しかし、既知の技術により製造されるポリサッカライド繊維の膨潤特性は極めて劣るため、かかる繊維は従来の超吸収体材料の代替としての関心を持たれていない。
発明の目的
本発明の目的は再生可能な一次原料に基づき、従来の超吸収体材料と比較して許容可能な能力を持つ超吸収体材料を提供することである。
本発明の別の目的はパルプ体への超吸収体材料の均一な計量を可能にする適用形状の超吸収体材料を製造することである。
発明の概要
従来の超吸収体材料と関連した前記の問題を回避可能にする特性を有する、導入部で言及した種類のポリサッカライド繊維の製造方法は、本発明によればポリサッカライドを溶媒に溶解し、以下のものを含む浴中に溶液を押出すことを特徴とする:好ましくはメタノール、エタノール又はイソプロパノールの如きアルコール、又はアセトンの如きケトンの水混和性有機溶媒;及び好ましくはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、またはジルコニウムイオンの如き二価、三価、又は四価のイオンの塩の金属塩又は高分子電解質の如き架橋剤。
発明の実施の形態
本発明によるポリサッカライド繊維の製造に使用できるポリサッカライドは例えばカルボキシメチルセルロース、スターチ、セルロースキサンタン、ゲラン、キチン、キトサン、グアーガム、アルギネートである。
前述のとおりセルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースはこの目的に対しとりわけ好適である。ポリマーの特性は重合度DP及び置換度DSにより決まる。
重合度DPはポリマー鎖中のモノマー単位数を示し、それはポリマーの水性溶液の粘度に影響を与える。
置換度DSはポリマー鎖中のカルボキシメチル置換基の平均数を示す。置換度はポリマーの膨潤特性に影響を与え、0.35を越える置換度は水溶性ポリマーを与える。
上述のとおり、高吸収性を得るためには0.35を越える置換度が望ましい。しかし、これは水溶性ポリマーを生じ、それと共にゲルブロッキングの問題を生じる。
従って置換度が0.35を越え、かつ水不溶性のポリサッカライド、例えばカルボキシメチルセルロースを製造することが望まれていた。この目的は本発明によればポリマーを架橋することにより実現される。この架橋は共有結合性又はイオン性のものであってもよい。
エピクロロヒドリン及びホルムアルデヒドの如きポリマーを架橋するための従来の架橋剤の使用は凝固物を極めてゆっくりと沈殿させて押出しノズルに固着させるので、大規模の製造における重大な妨害を生じる。
本発明によればポリマーは特にカルシウムイオン、ジルコニウムイオン、アルミニウムイオン又は鉄(III)イオンの多価金属イオン又は高分子電解質によりイオン的に架橋される。カルボキシメチルセルロースが架橋される場合、架橋はカルボキシル基間の結合の形成にたぶん影響されるだろう。塩の形の架橋剤は容易に紡糸され得る繊維を与える。多価金属イオン又は高分子電解質を含む塩は水溶性であろう。金属イオン又は高分子電解質の対イオン、換言すれば陰イオンはそれに合うように選択される。塩化物イオンはこの点で好適な陰イオンである。
架橋された超吸収体は次に通常はセルロースパルプから成る吸収体中に分布される。パルプはパルプマットを形成するために乾式離解され毛羽状態に変換されたシート、ベール又はリール中にあってもよい。上述のとおり吸収体中の材料はセルロース繊維であってもよい。この点に関して考えられる他の繊維の例は綿繊維及び合成繊維である。吸収体中に発泡材料を用いることも知られている。
吸収体中に均等に粗粒、フレーク又は顆粒の形状で超吸収体を適用する問題は本発明によれば他の適用形状、すなわち繊維形状を選択することにより解決される。
これらの繊維は本発明によれば溶媒紡糸により製造される。溶媒紡糸はポリマー溶液を紡糸ノズルに供給し、アルコールの如き水混和性有機溶媒を含む浴中に溶液を押出すことにより遂行される。この溶媒は繊維形状でポリマーを沈殿させる。
押出し浴はまた水を含んでいてもよい。押出し浴中の水の容量は良好な質の繊維を得るためには所定の最低有機溶媒含有率が要求されるという事実により決定される。最低有機溶媒含有率は約70容量%である。従って、押出し浴は約0−30容量%の水を含んでいてもよい。
水に溶解していたポリサッカライドが押出し浴中で沈殿するにつれ、浴は水が豊富になる。上記の理由のため有機溶媒含有率が約70容量%以下に低下することを防止する必要があるので、この水は連続的に除去されなければならない。押出し浴は有機溶媒に加えて1以上の架橋剤をも含む。この方法の結果、繊維形成とポリマー架橋とが同時に起こる。
繊維は押出し浴から巻取られ、乾燥され、適当な長さに切断される。適当な繊維長は2−20mm、好ましくは4−8mmである。これが行われた後、繊維はおむつ、失禁ガード、及び衛生ナプキンの如き吸収性物品に使用することを意図する吸収体中に混合可能である。
本発明の他の実施例によれば、繊維は繊維を共有結合的に架橋する後処理に供されてもよい。驚くべきことに、繊維のこの共有結合性架橋は繊維の細管液体(capillary liquid)保持能力を著しく増大させることが見出された。
共有結合性架橋が繊維の液体保持能力を増大させる理由についての以下の説明は本発明がどのように作用するかの全くの仮説としてみなされるべきである。以下に述べる仮説又は理論は本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、単に本発明の理解を容易にすることを意図した本発明の作用機構の考え得る一つのモデルとしてみなされるべきである。
共有結合的に結合された繊維が驚くほど良好な保持能力を有する理由は共有結合的に架橋された繊維が急速かつ豊富に膨潤するためであろう。ゲルブロッキングの危険は減少する;共有結合的に架橋された繊維を含む繊維の網状構造は膨潤状態で極めて大きな細孔を有する。繊維は急速かつ豊富に、特に長手方向に膨潤する。そのことは共有結合的に架橋された繊維が混合され、それにより網状構造中の液体又は体液の分散性を増大させる網状構造上の膨潤に好都合である。
この繊維の共有結合性表面架橋は様々な従来の架橋剤により達成され、それらの例は:2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、エピクロロヒドリン、ビス(エポキシプロピル)エーテル、ジクロロエタン、ジビニルスルホン、エチレングリコール−ビス(エポキシプロピル)エーテル、ホルムアルデヒド、ビニルシクロヘキサンジオキシド、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,3−ビス(β−ヒドロキシ−t.−クロロプロポキシ)−2−プロパノール、1,3−ビス(β−ヒドロキシ−t.−クロロプロポキシ)エタン、1,2:3,4−ジエポキシブタン、1,1:5,6−ジエポキシヘキサン、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、2,2−ジクロロエチルエーテル、メチルビス(アクリルアミド)、N,N′−ジメチロール(メチルビス(アクリルアミド))、トリサクリロール(trisacrylol)ヘキサヒドロ−トリアジン、アクリルアミドメチルクロロアセタミド、2,4,6−トリクロロピリミジン、2,4,5,6−テトラクロロピリミジン、シアヌリッククロライド、トリアリルシアヌレート、ジクロロ酢酸、オキシ塩化燐、ビス(アクリルアミド)酢酸である。
これらの架橋剤、及びこれらの架橋剤を用いる架橋方法はDean, Ferguson及びHolstにより、“Absorbency”,P.K. Chatterjee編,Elsevier Science Publishing Company, 1985に記載されている。
本発明によれば、ポリサッカライド繊維は押出しの代わりに成型(注型)により製造されてもよい。繊維の押出し及び注型の両方の場合において上述のとおりの1以上の架橋剤及び溶媒を含む浴にポリサッカライド繊維が噴霧される。しかし、繊維を注型する場合、溶液は押出しの場合のようにノズルを通して噴霧されるのではなく、代わりに浴中で回転するプレート上に噴霧される。
本発明により製造されるポリサッカライド繊維は従来の超吸収体として使用可能である。換言すればそれは毛羽パルプと混合可能であり、また毛羽パルプ間の層又はティッシュ層間に適用可能である。それはまた他の超吸収体と組合わせることもできる。
本発明はここで述べられる組合せに限定されるものではなく、溶媒、架橋剤及びポリサッカライドのあらゆる組合せは本発明の概念に含まれることは理解されるべきである。
実施例
例1−様々なアルミニウム含有量のCMC繊維の紡糸
装置
レーヨン紡糸実験装置が使用された。この装置を図1に示す。
この装置は以下のものを含んでいた:
図2で詳細に示される圧力室;
ギヤーポンプ;
紡糸口金;及び、
押出し浴として使用するための890×195×190mmの大きさの、長方形のプレキシグラスタンク。
脱気したカルボキシメチルセルロース(CMC)溶液1を含むビーカー10が圧力室2中に置かれた。鉛の重り11が溶液の上に置かれた。室2は密閉され、7.5バールの圧力の空気がCMC溶液を鋼管12を通りギヤーポンプ4を介して紡糸口金3へと移動させた。鉛の重り11は空気がCMC溶液と鋼管12との間から侵入することを防止した。紡糸口金3は20個の穴5を含み、各穴は200μmの直径を有していた。
CMC溶液1は紡糸口金3を通して押出し浴7中へ押出された。押出し浴7はエタノールと塩化アルミニウムを含んでいた。
CMC繊維8は電気モーターにより駆動される変速ローラー9により押出し浴を通って延伸された。CMC繊維はガラス棒の助けにより押出し浴の表面下に保たれた。
次に繊維は2分間エタノール(95%)に浸すことによりエタノール(95%)で洗浄された。この工程は2回繰返された。洗浄された繊維は室温で乾燥され、6mmの長さに切断された。
カルボキシメチルセルロース溶液の調製方法
様々な濃度のCMCが試された:
Figure 0003894954
の8%Cekol 10000及び7%Cekol 50000。Cekol 10000及びCekol 50000は同じDS(0.6−0.9)を有していたが、Cekol 50000はCekol 10000よりもDPが高かった。
顆粒又は粉末形状のCMCが水と混合された。混合物は手動で撹拌され、少なくとも2日間密閉された容器中に保存された。
混合物は遠心分離され混合物中の気泡がすべて消滅するまで排気された。600gのCMC溶液がプラスチック製ビーカー(800ml)に入れられ、ビーカーは溶液からの気泡を除去するため30分間減圧に供された。
押出し浴
押出し浴の容量は8lであった。浴は初め95容量%のエタノールと5容量%の水から成っていた。次に塩化アルミニウムが浴に添加された。浴中の塩化アルミニウムの量は図3及び図4に示すように変化させた。塩化アルミニウムの濃度は工程中、繊維が塩を吸収するにつれて減少した。それ故、紡糸工程中に塩化アルミニウムを添加することが必要であった。塩化アルミニウムの濃度は工程中10%以下に低下することは決してなかった。
繊維のアルミニウム含有量
押出し浴のアルミニウム含有量を変化することにより、様々なアルミニウム含有量のCMC繊維が製造された。図3はCekol 10000が開始材料として使用された場合に得られた結果を示し、一方図4はCekol 50000が開始材料として使用された場合に得られた結果を示す。
例2−様々な浴を用いたCMC繊維の製造
相互に異なる組成の押出し浴中で繊維が形成可能かどうかを発見する目的で、様々な溶媒の浴中にマグネシウム塩、ジルコニウム塩、鉄塩、及びアルミニウム塩を添加してテストを行った。使用したCMCはCekol 50000であった。テストされた溶媒はエタノール、メタノールイソプロパノール及びアセトンであった。以下の浴組成がテストされた:
金属塩 溶液組成
1. 4.4g AlCl3・6H2O/溶液1l 95容量%エタノール+5容量%水
2. 4.4g AlCl3・6H2O/溶液1l 95容量%メタノール+5容量%水
3. 4.4g AlCl3・6H2O/溶液1l 85容量%アセトン+15容量%水
4. 4.4g AlCl3・6H2O/溶液1l 95容量%イソプロパノール+5容量%水
5. 5.3g FeCl3・6H2O/溶液1l 95容量%エタノール+5容量%水
6. 5.3g FeCl3・6H2O/溶液1l 95容量%メタノール+5容量%水
7. 5.3g FeCl3・6H2O/溶液1l 95容量%アセトン+5容量%水
8. 5.3g FeCl3・6H2O/溶液1l 95容量%アセトン+5容量%水
9. 6.0g ZrCl4/溶液1l 95容量%エタノール+5容量%水
10. 6.0g ZrCl4/溶液1l 95容量%メタノール+5容量%水
11. 6.0g ZrCl4/溶液1l 95容量%イソプロパノール+5容量%水
12. 15.5g MgCl2・6H2O/溶液1l 95容量%エタノール+5容量%水
13. 15.5g MgCl2・6H2O/溶液1l 95容量%メタノール+5容量%水
14. 15.5g MgCl2・6H2O/溶液1l 78容量%アセトン+22容量%水
15. 15.5g MgCl2・6H2O/溶液1l 90容量%イソプロパノール+10容量%水
結果
すべての押出し浴組成で繊維が得られた。
例3−架橋剤としての高分子電解質
CMC繊維はCekol 50000から本発明に従って製造された。そこでは20容量%の水と80容量%のエタノールから成る溶液に溶解した高分子電解質を含む紡糸浴が使用された。様々な紡糸浴の組成を以下に示す。
Figure 0003894954
結果
両方の浴で繊維が製造された。
例4−様々なタイプのポリサッカライドからの繊維製造
濃縮された水性溶液が以下のポリサッカライドから製造された。
Figure 0003894954
溶液は次に5容量%の水と95容量%のエタノールから成る溶液1l当たり8gのAlCl3・6H2Oを含む紡糸浴で本発明による繊維の製造に使用された。
結果
これらすべてのポリサッカライドから繊維が製造可能であった。
例5−紡糸されたCMC繊維の共有結合性架橋
5容量%の水と95容量%のエタノールから成る溶液1l当たり3gのAlCl3・6H2Oを含む浴中での紡糸により例1に従ってCekol 50000から製造されたCMC繊維がこのテストに使用された。6mmの長さに切断された5gの繊維を250mlの蒸留水を含むガラス製ビーカーに入れ、約1分間膨潤させた。2重量%の2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンのアセトン溶液250mlをビーカーに添加した。
浴をおだやかに5分間撹拌した後、2.5M NaOH溶液を浴の撹拌を続けながら滴下した。15分間で合計30mlのNaOH溶液を添加した。次に浴を更に30分間おだやかに撹拌し、その後、液体を除去し、繊維は95容量%のエタノールで繰返し洗浄された。次に繊維は室温で乾燥された。
例6−液体ポロシンメトリー(porosymmetry)による吸収特性の決定液体
ポロシンメトリー
本発明により製造された繊維から成る繊維網状構造はTextile Research Institute, Princeton, U.S.A.製のPVD[細孔容量分布(Pore Volume Distribution)]装置により特性が決定された。PVD装置の機能はMiller, B. and Tyomkin, L., Text. Res. J. 56(1986)35に詳細に、及び図9を参照して以下に簡単に記述される。
液体(この場合においてはそれぞれ0.9%NaCl溶液及びいわゆる合成尿)が過剰量でサンプルに適用され、サンプルは所定の時間(この場合は5時間)液体を吸収させられた。サンプル13は次に室14内の膜15及び細孔板16上に置かれ、鉛の重りの形の機械的負荷(この場合は2.5kPa)がその上になされた。次に室は密閉され、室の気圧はコンピュータ制御された圧力系により漸進的に増大され、液体は小細孔膜(この場合、細孔の大きさは0.22μm)を通りサンプルから流出した。サンプルから押出された液体の重量は天秤の目盛17により記録された。
ラプラス方程式[1]によれば、与えられた圧力は与えられた細孔半径に対応する。
Figure 0003894954
式中、ΔPは油圧的に液体を押し出すために必要な圧力を表し;
γは液体の表面張力を表し;
θは液体と試験材料との間の接触角を表し;
rは細孔半径を表す。
表面張力と接触角が一定の場合、圧力の増大は細孔半径に反比例する。
これは圧力差と液体容量との間の関係を与え、それは図7のグラフにより概略的に記述される。
この累積関係が導かれる場合、図8に概略的に示される細孔容量分布が得られる。分布関数は与えられた大きさの細孔により保持された液体の量を表す。
この研究では3mmを越える細孔に含まれる液体を細管液体と規定し、3mm未満の細孔中の液体をゲル液体(gel liquid)と規定した。細管液体は繊維間の細孔中にあるが、ゲル液体は繊維の内部及びその表面の細孔中にあることがわかっている。
ラプラス方程式[1]によれば、ゲル液体の除去に必要な圧力は細管結合液体の除去に必要な圧力よりも大きい。それ故、ゲル液体は「しっかりと」材料に結合しており、一方細管液体はそれほどしっかりとは結合していないことが言える。
いわゆる超吸収体とパルプ繊維との比較は液体が水、0.9%NaCl溶液、いわゆる合成尿、又は超吸収体を膨潤させる他の物質から成る場合、ゲル液体含有率の差違が極めて大きいことを示す。
液体ポロシンメトリー法はかくして材料がしっかりと結合された液体を保持する能力をテストする良好な可能性を提供し、いかにして細管液体、つまりそれほどしっかりとは結合されていない液体が、材料中に保持されるかを記述する分布関数を提供する。
図9はPVD装置の構造の略図である。
例1の繊維(5容量%の水と95容量%のエタノールから成る溶液1l当たり3gのAlCl3・6H2Oを含む浴中で紡糸されたもの)及び例5の繊維は上述のPVD装置により特性決定された。サンプル体は上記の繊維から形成された。いわゆる合成尿がテスト液体として用いられ、材料は測定過程中2.5kPaの圧力が負荷された。
以下の材料もまた比較のためにテストされた:
Figure 0003894954
結果
表1はゲル液体、細管結合液体及び吸収された液体の総量に関して得られた数値を示す。
Figure 0003894954
Sanwet IM 2200D(登録商標)及びCMC繊維のゲル液体吸収能力はパルプ繊維のゲル液体吸収能力よりも数倍高いことがわかった。例1のCMC繊維と例5のCMC繊維との比較により例5の共有結合的に架橋された繊維は細管結合液体を保持する能力が高いことがわかる。
図10及び図11はテスト材料の細孔容量分布を図示する。図11から共有結合的に架橋されたCMC繊維から成る繊維網状構造は共有結合的には架橋されていない繊維よりも大きな細孔を持つことがわかる。このことは液体が吸収性物品の繊維間に移動されるときの流れ抵抗(flow resistance)の観点からは有利であるに違いない。商業的なポリアクリル酸エステルの超吸収体Sanwet IM 2200D(登録商標)の細孔構造は例5の共有結合的に架橋されたCMC繊維の細孔構造に匹敵する。
例7−繊維の膨潤能力
自由膨潤能力は圧力に供されない材料の膨潤能力として規定される。
図5はCekol 50000から例1により製造された7.7g/kgのアルミニウム含有量を有するCMC繊維の膨潤能力を図示する。テストされた液体は0.9%NaCl、合成尿、及び合成月経液である。合成尿及び合成月経液は物理特性及び化学的組成に関してそれらの自然の対応物に類似した合成的に調製した液体を意味する。
図6はCekol 50000から例1により製造された7.7g/kgのアルミニウム含有量を有するCMC材料と二つの商業的に利用可能なCMC材料、すなわちAqualon ACU D-3273(登録商標)(Hercules)とE228-95(Hoechst)との間の、自由膨潤に関する比較を図示する。例1により製造されたCMC繊維は商業的に利用可能なCMC材料よりも高い自由膨潤能力を有することが図からわかる。

Claims (15)

  1. 0.35を越える置換度を有するポリサッカライドを水に溶解し、架橋剤及び水混和性有機溶媒を含む浴中へその溶液を噴霧することを特徴とするポリサッカライド繊維の製造方法。
  2. 浴後にポリサッカライド繊維を延伸、巻取、乾燥、及び切断することを特徴とする請求の範囲1によるポリサッカライド繊維の製造方法。
  3. 有機溶媒がアルコール又はケトンであることを特徴とする請求の範囲1又は2によるポリサッカライド繊維の製造方法。
  4. 有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、又はアセトンであることを特徴とする請求の範囲3によるポリサッカライド繊維の製造方法。
  5. 架橋剤が高分子電解質であることを特徴とする請求の範囲1〜4のいずれか一つによるポリサッカライド繊維の製造方法。
  6. 架橋剤がポリビニルアミン又はヘキサジメチリンブロマイド(hexadimethrinbromide)であることを特徴とする請求の範囲5によるポリサッカライド繊維製造方法。
  7. 架橋剤が塩であり、その塩中の陽イオンが金属イオンであることを特徴とする請求の範囲1〜4のいずれか一つによるポリサッカライド繊維の製造方法。
  8. 塩中の陽イオンが二価、三価、又は四価の陽イオンであることを特徴とする請求の範囲7によるポリサッカライド繊維の製造方法。
  9. 塩中の陽イオンがカルシウムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、又はジルコニウムイオンであることを特徴とする請求の範囲8によるポリサッカライド繊維の製造方法。
  10. 金属塩中の陰イオンが塩化物イオンであることを特徴とする請求の範囲7〜9のいずれか一つによるポリサッカライド繊維の製造方法。
  11. ポリサッカライドがカルボキシメチルセルロース、スターチ、セルロースキサンタン、ゲラン、キチン、キトサン、グアーガム、又はアルギネートから成ることを特徴とする請求の範囲1〜10のいずれか一つによるポリサッカライド繊維の製造方法。
  12. 続く工程において繊維を共有結合的に架橋することを特徴とする請求の範囲1〜11のいずれか一つによるポリサッカライド繊維の製造方法。
  13. 請求の範囲1〜12のいずれか一つの方法により製造されたことを特徴とするポリサッカライド繊維。
  14. 繊維が溶媒紡糸され、0.35を越える置換度を有し、架橋され、水に不溶性であるが膨潤性であることを特徴とする請求の範囲13によるポリサッカライド繊維。
  15. 吸収体構造が請求の範囲1〜12のいずれか一つにより製造されたポリサッカライド繊維を含むことを特徴とする、おむつ、失禁ガード、又は衛生ナプキンの如き吸収性物品中の吸収体構造。
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