JP3894684B2 - キッチン用吐水ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キッチンで使用される吐水ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、キッチンで使用され食器等の洗浄を短時間で行うことのできる水栓として公知のものに、特開平11−21956号公報の図1(a),(b),(c)(本願図面の図13乃至図15)のものがある。この図13乃至図15について簡単に説明すると、水栓は通水路42の先端に吐水管41の一次圧よりも二次圧を高めて、高速・高圧の霧状の噴流とする吐水ノズル44を設けたキャップ43が取り付けられ、吐水ノズル44は先端に半球状の水室45を有し、水室45の中央に通水面積を小さく絞った細長スリット状の切込み46を開設したものであり、吐水ノズル44の上流側には水流の乱れを防止するため、整流網47と整流板48が内蔵されている。従って、吐水管41から吐水される水は高速・高圧で且つ霧状の略扇形となり噴射範囲の広い吐水を得られるものである。
【0003】
上記のものにあっては、吐水ノズルから略扇形に吐水される水は微細な霧状となるので乱流が発生し、周囲に飛び散った状態で吐水される恐れがある。従って、食器類に衝突する際は水勢が弱く、汚れを素早く洗い落とすことができないものである。そこで乱流を防止するためには整流網と整流板を別に取り付ける必要があり、部品点数及び組立工数が増加し、コストアップの要因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、キッチンで食器類の洗浄を素早く行うことができ、水の飛び跳ねを防止する吐水ヘッドを安価に提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1のキッチン用吐水ヘッドは、吐水ヘッドに装着した吐水部材に、湯水の流速を高め扇形状の水膜を形成する洗浄用吐水部を設け、該洗浄用吐水部は、通路の周面に下方へ広がる湾曲部を備えたノズル部材と、該ノズル部材が上部から嵌合され、下部に穿設したスリット状の長孔と該長孔に向かうにつれて通路を絞る傾斜孔を形成した水室とからなり、前記長孔から、扇形状の水膜を吐水可能としたものである。
【0006】
請求項2のキッチン用吐水ヘッドは、前記傾斜孔の下方には、半円盤形に形成された整流部材を一対並設し、前記長孔から吐水される湯水は両整流部材の間の通路を通過させることで、各領域で均一に整流可能としたものである。
【0007】
請求項3のキッチン用吐水ヘッドは、前記吐水部材の洗浄用吐水部は、湾曲部の形状の異なるノズル部材を取り替え可能とすることで、長孔からの吐水形態を変更可能としたものである。
【0008】
請求項4のキッチン用吐水ヘッドは、前記吐水部材は、つまみの操作で回転自在にしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
この発明は図3に示すように、流し台の天板Bに取り付けられる混合水栓Aは、上部に湯水の吐水量及び温度を調節するレバーハンドル1が取り付けられ、胴体部2にはホルダー3が上傾して回転可能に設けられており、該ホルダー3の先端に吐水ヘッド4を引出し自在に支持している。なお、吐水ヘッド4は混合水栓と別体にしてもよい。
【0010】
前記吐水ヘッド4は図1及び図2に示すように、スイッチ5の操作で湯水の吐水,止水の切り替えが可能であり、流路6の先端には切替室7を形成している。該切替室7の下部には、円周上の溝10に水漏れ防止用のシールパッキン8を嵌合した円板状の仕切板9が装着されている。この仕切板9の中央上部には円形で同一形状の第1弁孔11及び第2弁孔11aが、間隔をおいて開設されている。また、仕切板9の中央から下部に突出し、前記第1弁孔11と連通する円筒部12の内部には、湯水を整流化して吐水するための整流器13を介在させている。
【0011】
シーソー式のボタン14,14aは図4に示すように、前記吐水ヘッド4の正面中央から離れた左右両端に形成した一対の開口部15,15aに一部が外部に露出するようにそれぞれ介在させ、両ボタン14,14aと連繋する前記切替室7に介在させた保持部材16の開口孔17にはスプリング18の弾性力により下部に押圧される弁体19を支持し、該弁体19は前記第1弁孔11又は第2弁孔11aの上部周縁に圧着している。そしていずれかのボタン14,14aの吐水ヘッド4から突出している方を押せば、前記各弁孔11,11aよりも外径の大きい弁体19が回転方向へ移動し、弁孔11,11aのいずれか一方を閉塞し、他の一方を開放するように連繋している。
【0012】
カバー22は図1及び図2に示すように上下を開口した略円筒形で、上部内周に形成した雌ねじ部23を吐水ヘッド4の下部外周に形成した雄ねじ部20にパッキン21を挟んで螺着することで装着され、前記仕切板9との間に略円盤形の吐水部材24を介在させ、該吐水部材24は下方に突出した円筒状のつまみ25を回転方向へ操作すればカバー22と仕切板9の間で回転可能であり、中央部分に前記仕切板9の第1弁孔11と連通する直流孔26を形成し、該直流孔26と前記仕切板9の円筒部12の間で、前記整流器13の下部に複数枚の製流用の網27を重ね合わせて保持している。
【0013】
前記吐水部材24の直流孔26周囲の一部には、流し台で食器等の汚れを素早く洗い落とすことができるように、流速を高め扇形状の水膜を形成できるようにした洗浄用吐水部28を設けている。該洗浄用吐水部28は、吐水部材24の水室29にノズル部材30を上部から一体に嵌合することで形成される。
【0014】
前記ノズル部材30は図5乃至図7に示すように、縦軸中心部に湯水が通過する通路31が上下に貫通して設けられ、該通路31の下部周面の内壁には、湯水が広がり方向に湾曲して外部へ扇形状に吐水されるための下方へ広がる湾曲部32を形成している。この湾曲部32は形状を変更することで、後述する吐水ヘッド4の長孔35から吐水される湯水の吐水形状及び吐水範囲を変更可能であり、例えば図8のノズル部材30aは図7の吐水部材30と比較して湾曲部32aの湾曲角度を大きく形成しているため、図7と比較して吐水範囲を広くすることができる。そして、湾曲部の形状の異なるノズル部材を数種類用意しておき、吐水部材24の水室29にいずれかのノズル部材を選択して嵌合することで、使用状況に応じて最適の吐水形態のものに変更することができる。
【0015】
吐水部材26の水室29は図1,図9及び図10に示すように、下方の後述する長孔35に向かうようにガイドされて湯水の通路面積が横長に絞られるように傾斜孔33が形成されており、該傾斜孔33を形成したことで、スリット状の長孔35から吐水される湯水は傾斜孔33に沿って下降し流速を高めながら横長の水膜を形成することができる。
【0016】
前記傾斜孔33の下方には図4及び図11に示すように、中央部分の寸法を上下に長くし両端を低くした半円盤状に形成され、下方に突出している一対の整流部材34,34aを併設し、両整流部材34,34aの間に前記傾斜孔33を通過した湯水を外部へ吐水するスリット状の長孔35が穿設されている。
【0017】
このようにノズル部材30を通過した湯水はスリット状の長孔35から整流部材34,34aの両内壁に沿って狭い空間を通過することで整流され、しかもノズル部材30の中央から垂直方向に吐水される湯水は、両端から湾曲部32に沿って吐水される湯水に比較して流量が多いので周囲へ飛散しやすいが、整流部材34,34aは中央部分ほど上下の寸法を長くした半円盤形であり、中央部分は両端よりも長い距離を内壁に沿って通過させることが可能で、長孔35から吐水される湯水を両端から中央部分までのどの領域でも均一に整流を可能にし、しかも高圧で扇形状の水膜が吐水されるので、吐水範囲が広くしかも均一の密度であり、食器類の洗浄を素早く行うことができる。
【0018】
以上の吐水ヘッド4を使用するには、図3に示す混合水栓Aのレバーハンドル1を吐水方向へ操作しスイッチ5を吐水位置にすると、図1では弁体19が第1弁孔11を閉塞し、第2弁孔11aにより切替室7と洗浄用吐水部28は連通しているので、切替室7の湯水はノズル部材30を通過することで流路を絞られ流速を高めながら横長の扇形状の水膜が形成され、しかも整流部材34,34aにより整流されながらスリット状の長孔35から吐水され、この湯水は扇形状の水膜で均一の密度となり流速が早いので、食器や野菜の全面の広い範囲を素早く洗浄することができる。
【0019】
なおこの時図11に示すように、長孔35は縦長の吐水ヘッド4に対して横方向へ穿設されているので、横方向へ扇形状に広がって吐水されるが、図12に示すように吐水部材24のつまみ25を回転させれば長孔35からの吐水方向を縦軸方向に変えることができ、使用者は混合水栓Aのホルダー3を回転させたりホルダー3から吐水ヘッド4を引き出さなくても長孔35の方向を自由に変えることができる。
【0020】
次にボタン14aを操作すると、弁体19の移動により第2弁孔11aを閉塞し、切替室7は第1弁孔11により直流孔26と連通するので、湯水は網27を通過して直流状態で勢いよく吐水され、この直流水はコップ又はその他大きな容器に短時間で湯水を入れる場合に適している。
【0021】
【発明の効果】
本発明のキッチン用吐水ヘッドは、吐水ヘッドに装着した吐水部材に、湯水の流速を高め扇形状の水膜を形成する洗浄用吐水部を設け、該洗浄用吐水部は、通路の周面に下方へ広がる湾曲部を備えたノズル部材と、該ノズル部材が上部から嵌合され、下部に穿設したスリット状の長孔と該長孔に向かうにつれて通路を絞る傾斜孔を形成した水室とからなり 、前記長孔から、扇形状の水膜を吐水可能としたので、流速の高い扇形状の水膜が広範囲でしかも均一の密度で吐水され、食器や野菜等の洗浄を素早く効率的に行うことができる。しかも、従来例と比較して整流網と整流板を取り付けなくても飛散のない整流された湯水を吐水できる吐水ヘッドを提供でき、安価に製作可能である。
【0022】
さらに前記傾斜孔の下方には、半円盤形に形成された整流部材を一対並設し、前記長孔から吐水される湯水は両整流部材の間の通路を通過させることで、各領域で均一に整流可能としたので、湯水の飛散量が少なくキッチンでの作業性が著しく向上する。
【0023】
また、吐水部材の洗浄用吐水部は、湾曲部の形状の異なるノズル部材を取り替え可能とすることで、長孔からの吐水形態を変更可能としたので、作業条件に応じてノズル部材を取り替えて使用することができる。
【0024】
また、吐水部材はつまみの操作で回転自在にしたので、長孔からの吐水方向を変更可能であり使い勝手が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 吐水ヘッドの側断面図である。
【図2】 吐水ヘッドの分解説明図である。
【図3】 吐水ヘッドを備えた混合水栓の側面図である。
【図4】 吐水ヘッドの正面図である。
【図5】 ノズル部材の平面図である。
【図6】 ノズル部材の底面図である。
【図7】 ノズル部材の図5に於けるX−X線の縦断面図である。
【図8】 ノズル部材の別の実施例の縦断面図である。
【図9】 吐水部材の平面図である。
【図10】 洗浄用吐水部の斜視図である。
【図11】 吐水ヘッドの底面図である。
【図12】 図11の吐水ヘッドに於いて、吐水部材を回転させた状態の説明図である。
【図13】 従来技術の説明図である。
【図14】 図13の拡大底面図である。
【図15】 図14のY−Y線拡大断面図である。
【符号の説明】
4 吐水ヘッド
24 吐水部材
25 つまみ
28 洗浄用吐水部
29 水室
30,30a ノズル部材
31 通路
32,32a 湾曲部
33 傾斜孔
34,34a 整流部材
35 長孔

Claims (4)

  1. 吐水ヘッドに装着した吐水部材に、湯水の流速を高め扇形状の水膜を形成する洗浄用吐水部を設け、該洗浄用吐水部は、通路の周面に下方へ広がる湾曲部を備えたノズル部材と、該ノズル部材が上部から嵌合され、下部に穿設したスリット状の長孔と該長孔に向かうにつれて通路を絞る傾斜孔を形成した水室とからなり、前記長孔から、扇形状の水膜を吐水可能としたことを特徴とするキッチン用吐水ヘッド。
  2. 前記傾斜孔の下方には、半円盤形に形成された整流部材を一対並設し、前記長孔から吐水される湯水は両整流部材の間の通路を通過させることで、各領域で均一に整流可能としたことを特徴とする請求項1記載のキッチン用吐水ヘッド。
  3. 前記吐水部材の洗浄用吐水部は、湾曲部の形状の異なるノズル部材を取り替え可能とすることで、長孔からの吐水形態を変更可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のキッチン用吐水ヘッド。
  4. 前記吐水部材は、つまみの操作で回転自在にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のキッチン用吐水ヘッド。
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