JP3894625B2

JP3894625B2 - オレフィン系樹脂積層シート

Info

Publication number: JP3894625B2
Application number: JP22206897A
Authority: JP
Inventors: 義信長岡; 明彦江頭; 利光長谷川; 治赤池; 麻美平島
Original assignee: Japan Polypropylene Corp
Current assignee: Japan Polypropylene Corp
Priority date: 1997-08-05
Filing date: 1997-08-05
Publication date: 2007-03-22
Anticipated expiration: 2017-08-05
Also published as: JPH1148419A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱成形性や剛性に優れたオレフィン系樹脂積層シートに関する。更に詳しくは、食品包装材分野に用いられる容器や蓋を製造するにあたり、従来より優れた垂れの保持性と剛性や透明性、耐寒、耐熱性のあるオレフィン系樹脂積層シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、プロピレン系樹脂シートは、耐熱性、耐油性等に優れることから二次成形（真空成形、圧空成形等）によって各種容器、カップ、トレーなどの成形品の製造に用いられている。
しかしながら、真空成形等の熱成形法で容器を加工する際、ポリプロピレン系樹脂シートは他の樹脂（ポリスチレン、ポリ塩化ビニル樹脂等）と比較してその溶融特性がシャープなことから、予熱時の加熱によるドローダウン性が大きく、成形容器にシワや偏肉、或いは穴が発生しやすいという欠点があった。
そこで、このポリプロピレンシートの熱成形時の垂れ下がりを改良する技術としては、ポリプロピレン樹脂にポリエチレン樹脂をブレンドする一般的方法（特開昭５２−１３６２４７号公報、同５５−１０８４３３号公報、特公昭６３−３０９５１号公報）、ポリプロピレン樹脂にビスマレイミドを添加する方法（特開平３−５２４９３号公報）、ポリプロピレンに無機フィラーと無水マレイン酸変性ポリオレフィン、或いはシラン変性ポリオレフィン等を配合してなる組成物を用いる方法（特開昭５１−６９５５３号公報、同５２−１５５４２号公報）が知られている。
【０００３】
しかし、ポリエチレンを単純にブレンドする方法やビスマレイミドの添加法では、シート幅が９００ｍｍ以上に広くなるとドローダウン性が著しく大きくなり、しかも近年、衛生面やハンドリング性改良容器である嵌合品は、製品の形状を得る為、従来の加熱時間より２倍以上加熱されることからドローダウン性が更に大きくなる等、広幅シートへの適用には限界があった。
また、無機充填剤を混合したものは、ドローダウン性はある程度良好になるが、透明性や耐寒性が劣るため、透明性や耐寒性を保持しながらドローダウン性の優れた広幅シートが要求されていた。
特に近年、冷凍食品や電子レンジ加熱食品の増加に伴い、残留歪みの少ない真空成形品である嵌合容器や深絞り容器が普及し、しかも容器生産者からは真空成形時の生産性が向上できる１ｍ以上の広幅シートの材料開発が望まれている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記現状に鑑み、食品包装材料分野に用いられる容器や蓋の製造等にあたり、ドローダウン性に優れ、かつ剛性や透明性、或いは耐寒性や耐熱性のあるオレフィン系樹脂積層シートを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成すべく、鋭意検討した結果、メルトフローレイトや密度の異なるオレフィン系樹脂を用い、特に中間層にポリエチレン樹脂を特定量配合して多層構成にしたオレフィン系樹脂積層シートとすることで、再生材を投入してもドローダウン性が著しく向上し、剛性、透明性、耐寒性、耐熱性に優れることを見出し、本発明に至ったものである。
【０００６】
すなわち、本発明は、プロピレンを主成分とする、密度が０．９２０ｇ／ｃｍ^３以下、メルトフローレート（試験条件：２３０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．３〜２０ｇ／１０分のオレフィン系樹脂の表面層と、メルトフローレート（試験条件：２３０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．５〜５ｇ／１０分のプロピレン系樹脂を１０〜８５重量％と密度が０．９７０ｇ／ｃｍ^３以下、メルトフローレート（試験条件：１９０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．０５〜５．０ｇ／１０分のポリエチレン樹脂を１５〜９０重量％含有し、かつメルトフローレート（試験条件：２３０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．４ｇ／１０分以下、密度が０．９４０ｇ／ｃｍ^３以下のオレフィン系樹脂の中間層が表面層に挟まれてなる積層シートであって、４５０℃に加熱された上下ヒーター面から１５ｃｍ離れた中央水平部分のχｍｍ厚みシート（３０ｃｍ×３０ｃｍのサンプル試験片）をｆ（ｘ）時間加熱したときの最大垂れ量が２０ｍｍ以下であるオレフィン系樹脂積層シートである。
尚、加熱時間ｆ（ｘ）秒は、下記式から算出されるものである。
ｆ（ｘ）＝３１．６χ＋２０．５
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
１．表面層
シートの表面層に用いられるオレフィン系樹脂とは、プロピレンを主成分とするものである。具体的にはプロピレン単独重合体、或いはプロピレン含量が９７重量％以上のプロピレンと、エチレン、ブテン−１、ペンテン−１、ヘキセン−１、４−メチル−ペンテン−１等のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体あるいはこれらの混合物や、エチレン（共）重合体（エチレンの単独重合体もしくはエチレンと炭素数３〜２０、好ましくは３〜１２、より好ましくは３〜８のα−オレフィンとの共重合体）であってエチレン含量が５０重量％以上のものがプロピレン系樹脂に対し、４０重量％以下含まれたオレフィン混合物等であリ、中でもプロピレン単独重合体やプロピレン単独重合体とプロピレン−α−オレフィン共重合体の混合物、或いはブロック共重合体が剛性や透明性、或いは耐熱、耐寒性の点で好ましい。
【０００８】
上記オレフィン系樹脂は、ＪＩＳーＫ６７５８（２３０℃−２．１６ｋｇ荷重）に準拠して測定したメルトフローレート（以下、ＭＦＲということがある。）が０．３〜２０ｇ／１０分、好ましくは０．５〜１０ｇ／１０分、更に好ましくは、１．５〜１０ｇ／１０分であり、ＭＦＲが２０ｇ／１０分を超えるとドローダウン性が悪く、ＭＦＲが０．３ｇ／１０分未満では積層シート成形時にサージングが発生し、偏肉不良や透明性不良の容器が生じる。
【０００９】
上記オレフィン系樹脂は、ＪＩＳ−Ｋ６７５８（２３℃）に準拠して測定した密度が０．９２０ｇ／ｃｍ³以下であり、好ましくは０．９０３〜０．９２０ｇ／ｃｍ³、更に好ましくは０．９０５〜０．９１５ｇ／ｃｍ³であり、密度が０．９２０ｇ／ｃｍ³を超えると冷却ロールとの密着が悪く透明性や光沢不良となる。
【００１０】
２．中間層
シートの中間層に用いられるオレフィン系樹脂層を構成する組成物は、好ましくはプロピレン（共）重合体中にエチレン（共）重合体を１５重量％以上配合したものである。プロピレン（共）重合体とは、プロピレンの単独重合体又はプロピレンとエチレンもしくは炭素数４〜２０（好ましくは４〜１２、より好ましくは４〜８）のα−オレフィンとのブロック又はランダム共重合体であって、該プロピレン（共）重合体中のプロピレン重合体の含有量は好ましくは６０重量％以上、より好ましくは７０重量％以上のものである。用いるプロピレン（共）重合体としては、具体的にはプロピレン含量が９９〜９０重量％のプロピレンと、エチレン、ブテン−１、ペンテン−１、ヘキセン−１、４−メチル−ペンテン−１等のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体あるいはこれらの混合物などであり、中でもプロピレン単独重合体やプロピレン−α−オレフィンブロック或いはランダム共重合体が好ましい。
【００１１】
また、上記プロピレン（共）重合体は、上記のものの２種以上の混合物でもよいが、プロピレン含量が９９〜９０重量％、好ましくは９８〜９４重量％のものが剛性、耐熱性の点から望ましく、また、ＪＩＳ−Ｋ６７５８（２３０℃−２．１６荷重）に準拠したＭＦＲが１０ｇ／１０分以下、好ましくは０．５〜１０ｇ／１０分、更に好ましくは、０．５〜５ｇ／１０分であるものがドローダウン保持性の点で好ましい。
【００１２】
また、シートの中間層のオレフィン系樹脂組成物中のポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体もしくはエチレンと炭素数３〜２０（好ましくは３〜１２、より好ましくは３〜８）のα−オレフィンとの共重合体であり、２種類以上の混合物であってもよい。エチレン含量が５０重量％以上のものが好適である。
【００１３】
エチレンの単独重合体及びエチレン含量７０重量％以上のエチレンとα−オレフィンとの共重合体が剛性、耐熱性の点で好ましく、密度（ＪＩＳＫ７１１２、Ａ法）は０．９７０ｇ／ｃｍ³以下であれば特に限定されないが、０．８９０ｇ／ｃｍ³〜０．９３０ｇ／ｃｍ³の密度を有するポリエチレン樹脂を使用するとより透明性のものが得られる。前記ポリエチレン樹脂は、触媒としてチーグラー系の化合物やメタロセン系化合物等の存在下に、高圧イオン重合、気相重合、溶液重合法により製造されるＭＦＲ（ＪＩＳＫ７２１０、条件４）が１０ｇ／１０分以下、好ましくは、０．０１〜１０ｇ／１０分、更に好ましくは、０．０５〜５．０ｇ／１０分のものが良好である。ＭＦＲが上記範囲以外のものはいずれも溶融粘度が高すぎるか低すぎるため、プロピレン系重合体との相溶性が悪くなったり、表層との流動性バランスを阻害したりしてシートにサージングを発生させて容器賦型性不良が生じる。
【００１４】
上記中間層のポリエチレン樹脂の割合は、プロピレン系樹脂に対し１５重量％以上、好ましくは１５〜９０重量％、更に好ましくは２０〜８０重量％配合した混合物であり、該混合物のＭＦＲ（ＪＩＳ−Ｋ６７５８〈２３０℃、２．１６ｋｇ荷重〉に準拠する）が、１０ｇ／１０分以下、好ましくは５ｇ／１０分以下、密度（ＪＩＳＫ７１１２、Ａ法）は、０．９４０ｇ／ｃｍ³以下のものが中間層の構成物として必須である。
【００１５】
前記組成物において、ポリエチレン樹脂が１５重量％未満やＭＦＲが上記範囲を超えるものは、真空成形時の予熱工程でシートのドローダウンが大きくなり、容器にシワや穴が発生して賦型性不良が生じ、特に１０００ｍｍ以上の広幅シートの真空成形では容器の製造ロスが大きい。ＭＦＲの下限については、ＭＦＲ測定時に実質上流動性のないものであっても、シート成形機によりシートが成形される範囲のものであればよく、特に限定されないが０．０１ｇ／１０分未満では押出量の低下やモーター負荷が大きくなり、生産性が低下する。また、密度が上記範囲を超えると、透明性や耐衝撃性が劣る。
【００１６】
また、シートの表面層または中間層を構成する各成分に、前記成分以外の成分、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、透明化剤、着色剤、腐食防止剤等を目的に応じて適時加えたり、塗布してもよい。
【００１７】
前記の表面層と中間層からなるオレフィン系樹脂積層シートの厚み構成は、表面層厚み比が該積層シートの２％以上、好ましくは５〜８０％、更に好ましくは５〜６０％である。
この範囲未満では、シートのドローダウン性の改良効果がなく、しかも真空成形時の加工温度幅が狭く、容器の賦型性不良が生じるので好ましくない。
また、シートの全体厚みは、上記層構成比で容器成形等ができる範囲であれば特に制限はないが、一般の食品用容器では３ｍｍ以下が好ましい。
【００１８】
また、上記積層樹脂シートの製造法は、鏡面ロールを用いるポリシング法、エアーナイフ法（ロール圧延含む）あるいは、金属鏡面ベルト法（シングルやツインベルト含む）や急冷後に金属鏡面ベルトで圧着化するＴダイ法、インフレーション法、カレンダーロール法等の共押出法や単層法に表面層を融着したり、接着剤で貼り合わすラミネート法等から製造されるものであれば特に限定されないが、共押出法が生産性や層構成を簡便に調整できることから好ましい。
【００１９】
本発明のオレフィン系樹脂積層シートの熱成形品の製造方法は、間接加熱成形法（真空成形法、圧空成形法、固相圧空成形法）、固相プレス成形、スタンピング成形、或いは前記成形法の組み合わせ等による容器成形法であれば特に限定されない。
【００２０】
上記成形時におけるオレフィン系樹脂積層シートの表面温度は、１３０℃以上、好ましくは１５０〜３５０℃、更に好ましくは１５０〜２５０℃の範囲内であり、１３０℃未満ではオレフィン系樹脂積層シートの溶融特性が不完全であるため容器の賦型性が悪く、しかも容器内に歪みが残存し、電子レンジ等で再加熱したとき容器が変形する。また、３５０℃を超えると積層シートが熱で劣化を起こしドローダウンが激しくなり、容器にシワや穴が発生する。
【００２１】
上記オレフィン系樹脂積層シートの表面温度は、厚み（χｍｍ）が厚くなると断面積あたりの熱量が小さくなるため、一定温度による加熱時間では得られる温度が異なり、しかも垂れ量も異なる。従って厚みの異なる積層シートの定垂れ量が得られる加熱時間ｆ（ｘ）は下記式で表すことができる。
ｆ（ｘ）＝３１．６χ＋２０．５
ｆ（ｘ）：加熱時間（秒）、χ：オレフィン系樹脂積層シートの厚み（ｍｍ）本発明においては、４５０℃に加熱された上下ヒーター面から１５ｃｍ離れた中央水平部分のχｍｍ厚みシート（３０ｃｍ×３０ｃｍのサンプル試験片）をｆ（ｘ）時間加熱したときの最大垂れ量が２０ｍｍ以下であることが必須である。
【００２２】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
実施例１
ＭＦＲ０．５ｇ／１０分、密度０．９０５ｇ／ｃｍ³のプロピレン単独重合体９５重量％（日本ポリケム（株）製：ノバテックＰＰＥＡ９（商品名）、融点１７１℃〈以下ＨＰＰ−１と称す〉）とエチレン−α−オレフィン共重合体５重量％（日本ポリケム（株）製：ノバテックＬＬＳＦ２４０（商品名）融点１２６℃〈以下ＬＬＰＥ−１と称す〉）の混合物１００重量部に、核剤としてＤＢＳ（１，３，−２，４−ジ（Ｐ−エチルベンジリデン）ソルビトール（商品名：ゲルオールＭＤ．新日本理化（株）製）０．２重量部を加えたものを口径５０ｍｍφの押出機から、一方、ＨＰＰ−１の核剤入り樹脂にＭＦＲ０．３ｇ／１０分、密度０．９５６ｇ／ｃｍ³のエチレン単独重合体（日本ポリケム（株）：ノバテックＨＤＨＢ３３１Ｒ（商品名）融点１３５℃〈以下ＨＰＥ−１と称す〉）を４０重量％配合したものを口径５０ｍｍφの押出機からそれぞれ押出し、２種３層構成のフィードブロックが装着された共押出機のＴダイから、樹脂温度２４０℃で、幅４００ｍｍのシート状に溶融押し出し、プロピレン単独重合体／プロピレン単独重合体＋エチレン単独重合体（４０ｗｔ％）／プロピレン単独重合体の層構成となるように溶融押し出しした。次いで前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール（ロール温度：上５０℃、中７０℃、下５０℃）に導いて冷却固化し、厚みが０．５ｍｍ、幅３５０ｍｍのプロピレン単独重合体／プロピレン単独重合体＋エチレン単独重合体（４０ｗｔ％）／プロピレン単独重合体（１００／３００／１００μｍ）の２種３層のオレフィン系樹脂積層シートを製出した。
得られたオレフィン系樹脂積層シートを、ＪＩＳ−Ｋ６７５８に準拠して曲げ弾性、及びＡＳＴＭ−Ｄ２７９４に準拠してデュポン衝撃強度を測定した。その結果を表１に示す。
【００２３】
前記積層シートを、中央に３０ｃｍ角の穴を有する２枚の鉄枠（３３ｍｍ×３３ｍｍ×２ｍｍ）の間に挟み、断熱箱の中に水平にセットする。次に鉄枠にサンドイッチされた積層シートを均一に加熱出来るように４５０℃に加熱された上下ヒーター（上下ヒーターは、設置されたシート面から１５ｃｍ離れたところから積層シートを加熱）をシート上下面にスライドさせる。鉄枠内のシートは、加熱によって一旦、下面ヒーター方向に垂れ下がり、その後、シートの厚み方向に均一に昇温が進むと、積層シートは再び水平となり、更なる上下面ヒーターの加熱により、積層シートは自重で垂れ下がりが進行する。前記記載の積層シートの垂れ挙動は下面ヒーターの下に設置したレーザー光線を積層シート面にあてて１秒間隔で垂れ量を測定しながら、加熱時のスタートから３５秒間加熱した時の垂れ量とそのときの表面温度を測定した。その結果を表１に示す。
この３５秒後の加熱時間によって、積層シートの垂れ量や垂れ勾配（３５秒加熱した時の１秒あたりの垂れ量）が少ない程、また、前記手法の垂れ量が２０ｍｍに到達するまでの加熱時間ｆ（ｘ）が長い程、ドローダウン性の優れたシートと称す。
【００２４】
比較例１
ＨＰＰ−１の核剤入り樹脂７５重量％にＨＰＥ−１を２５重量％配合したものを口径５０ｍｍφの押出式シート成形機から、樹脂温度２４０℃、幅４００ｍｍのシート状に溶融押し出しした。ついで前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール（ロール温度：上５０℃、中７０℃、下５０℃）に導いて冷却固化し、厚みが０．５ｍｍ、幅３５０ｍｍのプロピレン単独重合体（７５ｗｔ％）＋エチレン単独重合体（２５ｗｔ％）混合物のオレフィン系樹脂シートを製出した。
得られたオレフィン系樹脂シートを、実施例１と同様に曲げ弾性やデュポン衝撃強度、或いは垂れ特性を評価し、その結果を表１に示す。
【００２５】
実施例２〜６（実施例５、６は参考例）、比較例２〜７
本積層シートの表面層や中間層に、下記樹脂を用いて厚みを変化させたり、更には中間層に添加するエチレン系重合体のグレード変更や配合割合、或いはタルクを表１に記載の割合で混合した積層シートを得た他は、実施例１と同様に積層シートの物性や垂れ量を評価し、その結果を表１に示す。
【００２６】

【００２７】
実施例７
ＨＰＰ−２が９５重量％とＬＬＰＥ−１が５重量％の混合物１００重量部に、核剤としてＤＢＳを０．２重量部加えたものを口径４０ｍｍφの押出機から、一方、ＨＰＰ−１の核剤入り樹脂にＨＰＥ−１を４０重量％配合したものを口径９０ｍｍφの押出機からそれぞれ押出し、２種３層構成のフィードブロックが装着した共押出機のＴダイから、樹脂温度２４０℃、幅１１００ｍｍのシート状の溶融押し出し、プロピレン単独重合体／プロピレン単独重合体＋エチレン単独重合体（４０ｗｔ％）／プロピレン単独重合体の層構成となるように溶融押し出しした。ついで前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール（ロール温度：上６０℃、中８０℃、下６０℃）に導いて冷却固化し、厚みが０．５ｍｍ、幅１０４０ｍｍのプロピレン単独重合体／プロピレン単独重合体＋エチレン単独重合体（４０ｗｔ％）／プロピレン単独重合体１００／３００／１００μｍ）の２種３層のプロピレン系樹脂積層シートを製出した。
【００２８】
得られたオレフィン系樹脂積層シートを、浅野研究所製の真空成形機（名称：ＦＬＳ４１５）のヒーター温度：設定３２５℃（下ヒーター）〜４７０℃（上ヒーター）、サイクル：５．０秒で加熱したときのオレフィン系樹脂積層シートのドローダウン性と縦：１８ｃｍ、横：２５ｃｍ、深さ：３ｃｍの容器成形品（３５ヶ採り）の賦型外観を目視観察した結果及び耐寒性と耐熱性評価結果を表２に示す。
【００２９】
比較例８
ＨＰＰ−１の核剤入り樹脂７５重量％にＨＰＥ−１を２５重量％配合したものを口径９０ｍｍφの押出式シート成形機から、樹脂温度２４０℃で、幅１１０００ｍｍのシート状に溶融押し出しした。ついで前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール（ロール温度：上６０℃、中８０℃、下６０℃）に導いて冷却固化し、厚みが０．５ｍｍ、幅１０４０ｍｍのプロピレン単独重合体（７５ｗｔ％）＋エチレン単独重合体（２５ｗｔ％）層のオレフィン系樹脂シートを製出した。
得られたオレフィン系樹脂シートを、実施例７と同様に真空成形機でドローダウン性や容器賦型性、耐寒性、耐熱性を評価し、その結果を表２に示す。
【００３０】
実施例８〜９（参考例）、比較例９〜１０
表面層や中間層に、実施例２の樹脂や再生材を用いた他は、実施例７の共押出装置の加工条件でオレフィン系樹脂積層シートを得、真空成形機でドローダウン性や容器賦型性、耐寒性、耐熱性を評価した結果を表２に示す。
【００３１】
尚、オレフィン系樹脂積層シートの透明性やドローダウン性、或いは真空成形機による容器の賦型性、耐寒性、耐熱性評価は、下記方法で行った。
（１）透明性
深さ１ｃｍの容器の底に５００円硬貨を一枚入れ、その容器の縁上を実施例で得られたオレフィン系樹脂積層シートで蓋をし、該積層シート上から５００円硬貨を肉眼観察した結果を下記範囲で◎、○、△、×と判断した。

【００３２】
（２）容器成形時のドローダウン性
得られたオレフィン系樹脂積層シートを、浅野研究所製の真空成形機（名称：ＦＬＳ４１５）のヒーター温度：設定３２５℃（下ヒーター）〜４７０℃（上ヒーター）で５．０秒加熱したときの該溶融積層シートのドローダウン量をスケールで測定した値を垂れ量とした。
【００３３】
（３）容器の賦型性
得られたプロピレン系樹脂積層シートを、浅野研究所製の真空成形機（名称：ＦＬＳ４１５）のヒーター温度：設定３２５℃（下ヒーター）〜４７０℃（上ヒーター）、サイクル：５．０秒で加熱成型し、縦：１８ｃｍ、横：２５ｃｍ、深さ：３ｃｍの容器（３５ヶ採り）を得たときの容器外観を目視で観察したときの結果を下記範囲で○〜×と判断した。

【００３４】
（４）耐寒性
真空成形機で得られた容器に２５０ｇのお米を充填し、ストレッチフィルム（ユカラップ）でラップ、シールした充填容器を−２０℃で２４時間放置後、１ｍの高さから１０回底面へ落下し、外観変化を下記範囲で○〜×と判定した。

【００３５】
（５）耐熱性
真空成形機で得られた容器を、室内雰囲気温度が１３０℃に設定されたオーブン（コマツ機械製のパーヘクトオーブン）に３分間加熱放置後、オーブンから容器を取り出して容器の寸法変化による収縮率を測定した値を下記範囲で○〜×と判断した。

【００３６】
【表１】

【００３７】
【表２】

【００３８】
【発明の効果】
本発明によれば、ＭＦＲや密度の異なるオレフィン系樹脂を用い、特に中間層にポリエチレン樹脂を特定量配合し、多層構成にしたオレフィン系樹脂積層シートとすることで、再生材を入れても耐ドローダウン性が著しく向上し、透明性や剛性、耐寒性、或いは耐熱性のある容器の生産性アップが図れる積層シートを供給できる。

Claims

プロピレンを主成分とする、密度が０．９２０ｇ／ｃｍ^３以下、メルトフローレート（試験条件：２３０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．３〜２０ｇ／１０分のオレフィン系樹脂の表面層と、メルトフローレート（試験条件：２３０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．５〜５ｇ／１０分のプロピレン系樹脂を１０〜８５重量％と密度が０．９７０ｇ／ｃｍ^３以下、メルトフローレート（試験条件：１９０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．０５〜５．０ｇ／１０分のポリエチレン樹脂を１５〜９０重量％含有し、かつメルトフローレート（試験条件：２３０℃、２．１６ｋｇ荷重）が０．４ｇ／１０分以下、密度が０．９４０ｇ／ｃｍ^３以下のオレフィン系樹脂の中間層が表面層に挟まれてなる積層シートであって、４５０℃に加熱された上下ヒーター面から１５ｃｍ離れた中央水平部分のχｍｍ厚みシート（３０ｃｍ×３０ｃｍのサンプル試験片）をｆ（ｘ）時間加熱したときの最大垂れ量が２０ｍｍ以下であるオレフィン系樹脂積層シート。
尚、加熱時間ｆ（ｘ）秒は、下記式から算出されるものである。
ｆ（ｘ）＝３１．６χ＋２０．５
全層内の表面層の厚み比が２％以上である請求項１記載のオレフィン系樹脂積層シート。