JP3894426B2 - 回収ポリエステルの再利用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回収ポリエステルの再利用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(以下、適宜「PET」という。)やポリブチレンテレフタレート(以下、適宜「PBT」という。)を回収し、これを再利用するリサイクルが省資源の観点より注目されている。
【0003】
回収ポリエステルのケミカル・リサイクルの方法としては、▲1▼アルカリ水溶液を用いる加水分解法、▲2▼超臨界水を用いる加水分解法や▲3▼超臨界メタノールを用いる分解法(特許第2807781号公報参照)等がある。
【0004】
上記▲1▼のアルカリ水溶液を用いる加水分解法では、アルカリ水溶液により、例えばPETを加水分解すれば、エチレングリコールとテレフタル酸アルカリ塩を得ることができ、PBTを加水分解すれば、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸アルカリ塩を得ることができる。
【0005】
また、上記▲2▼の超臨界水を用いる加水分解法では、超臨界水により、例えばPETを加水分解すれば、エチレングリコールとテレフタル酸を得ることができ、PBTを加水分解すれば、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸を得ることができる。
【0006】
また、上記▲3▼の超臨界メタノールを用いる分解法では、例えば、PETとメタノールを反応容器に充填するとともに、この反応容器をメタノールの超臨界条件に加熱し、PETの分解反応により得られた反応生成物を蒸留や晶析等の分離操作することにより、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを得ることができ、PBTを同様に分解すれば、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸ジメチルを得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼〜▲3▼の従来方法では、以下a)〜e)に示すような種々の問題がある。
【0008】
a)反応容器について
上記▲1▼のアルカリ水溶液を用いる加水分解法では、強アルカリ性水溶液を用いることから、反応容器に耐アルカリ性が要求される。また、上記▲2▼の超臨界水を用いる加水分解法では、超臨界状態の水は強酸性になることから、反応容器に耐酸性が要求される。このため、上記▲1▼及び▲2▼の方法では、反応容器に制約を受けるという問題がある。
【0009】
なお、上記▲3▼の超臨界メタノールを用いる分解法では、耐アルカリ性又は耐酸性の制約を受けない。
【0010】
b)使用溶媒の毒性について
上記▲1▼の加水分解法で用いる強アルカリ水溶液及び上記▲3▼の分解法で用いるメタノールは劇物であり、その取扱いに細心の注意を要する。
【0011】
c)分解物の保存容器について
上記▲1▼のアルカリ水溶液を用いる加水分解法では、得られるテレフタル酸アルカリ塩がアルカリ性のため、分解物の保存容器に耐アルカリ性が要求される。また、上記▲2▼の超臨界水を用いる加水分解法では、得られるテレフタル酸が酸性のため、分解物の保存容器に耐酸性が要求される。一方、上記▲1▼〜▲3▼の分解法で得られるエチレングリコールや1,4−ブタンジオールは中性であるが、長期保存の場合、アルコール部分が酸化されることにより有機酸となるため、保存容器に耐酸性が要求される。このため、上記▲1▼〜▲3▼の方法では、保存容器に制約を受けるという問題がある。
【0012】
なお、上記▲3▼の方法で得られるテレフタル酸ジメチルは中性である。
【0013】
d)分解物の分離・精製について
上記▲1▼〜▲3▼の分解法で得られるエチレングリコールや1,4−ブタンジオール及び上記▲2▼の分解法で得られるテレフタル酸は、末端がカルボン酸(−COOH)や水酸基(−OH)であるため、沸点が高い。このため、これらの分解物を分離・精製すべく分留(蒸留による分離)する際に、より高温まで加熱する必要があり、沸点の低い分解物を分留する場合と比較して不利となる。
【0014】
e)分解速度について
上記▲1▼のアルコール水溶液を用いる加水分解法では、分解速度が極めて遅く、分解に通常1日程度必要となる。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、反応容器や分解物の保存容器に耐アルカリ性等の制約を受けず、また、使用溶媒の取扱い、分解物の分留や分解速度の点で有利な回収ポリエステルの再利用方法を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の回収ポリエステルの再利用方法は、回収したポリエステル(不飽和ポリエステルを除く)を酢酸メチルとともに反応容器に充填する充填工程と、上記反応容器を所定温度で加熱保持することにより、上記ポリエステルを末端がアセチルやエステルとなる分解物に分解する分解反応工程とを順に実施することを特徴とするものである。
【0017】
好適な態様において、前記充填工程で、前記反応容器内を前記ポリエステルと前記酢酸メチルのみで満たし、該反応容器内の上層部に気体層を存在させずに該反応容器を密封する。
好適な態様において、前記分解物はジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルである。
【0018】
好適な態様において、前記ポリエステルはポリエチレンテレフタレートであり、前記分解物はエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルである。
【0019】
好適な態様において、前記ポリエステルはポリブチレンテレフタレートであり、前記分解物は1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に適用可能な回収ポリエステルには、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートの他に、ポリエチレンナフタレート(以下、適宜「PEN」という。)やポリヘキサメチレンテレフタレート等が包含される。
【0021】
これらの回収ポリエステルは、例えば、容器や自動車部品等の成形品の廃棄物や、あるいはこれらの製造段階で品質不適格品等として廃棄される廃棄物として回収される。そして、回収した廃棄物は、通常、破砕物として分解反応に供される。
【0022】
なお、上記回収ポリエステルは、ポリエステル同士の共重合物や混合物であってもよい。また、ポリエステル以外の物質であっても、分解反応に悪影響を与えない物質であれば、それが混入されていてもい。
【0023】
本発明の再利用方法では、充填工程と分解反応工程とを順に実施する。
【0024】
上記充填工程では、回収したポリエステルを酢酸メチルとともに反応容器に充填する。この際、反応容器を密閉し、しかも反応容器内に空気を入れずに該反応容器内を回収ポリエステル及び酢酸メチルのみで満たして、反応容器内の上層部に空気や酸素等の気体層が存在していないことが好ましい。反応容器内に酸素が存在すると、分解反応工程で酸化反応により酸化物が生成したり、分解物が着色等したりするおそれがある。また、反応容器内の上層部に気体層が存在すると、分解反応工程で気体層が存在する分だけ圧力上昇が抑えられ、得られる分解物の収率が低下するおそれがある。
【0025】
この充填工程におけるポリエステルと酢酸メチルとの充填割合としては、モル比で、ポリエステル:酢酸メチル=1:0.1〜1:1000程度とすることができる。理論上は、ポリエステル1モルに対して酢酸メチルを2モル以上充填すれば、1モルのポリエステルから1モルのジオールジアセテートと1モルのテレフタル酸ジメチルとが得られる。一方、ポリエステルに対する酢酸メチルの充填割合が多すぎると、得られる分解物の量が過少となる。このため、ポリエステルと酢酸メチルとの充填割合は、モル比で、ポリエステル:酢酸メチル=1:2〜1:500とすることが好ましく、ポリエステル:酢酸メチル=1:5〜1:300とすることがより好ましい。
【0026】
上記分解反応工程では、回収ポリエステル及び酢酸メチルが充填された反応容器を所定温度で加熱保持することにより、該ポリエステルをジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとに分解する。
【0027】
このときの加熱温度及びその温度での保持時間は、ポリエステルの種類によっても異なるが、加熱温度は240〜400℃程度、保持時間は10分〜10時間程度とすることが好ましい。加熱温度が低すぎたり、保持時間が短すぎたりすると、十分な分解反応が起こらず、分解物が生成されなかったり分解物の収率が低下したりする。一方、分解反応が始まる温度以上の温度域で、かつ、分解反応が始まる保持時間以上の保持時間域では、加熱温度の上昇又は加熱保持時間の増大に伴って分解物の収率が増大する。そして、分解反応時間を十分に確保し得る加熱保持時間の下では、ポリエステルの種類に応じたある特定温度で分解物の収率がほぼ100%となる。また、この特定温度の下では、そのポリエステルの種類に応じたある特定の保持時間で分解物の収率がほぼ100%となる。このため、分解物の収率がほぼ100%となる特定温度や特定の保持時間を超える加熱温度又は保持時間で加熱保持しても無駄となる。
【0028】
具体的には、ポリエステルとしてPETを採用した場合は、加熱温度は270〜320℃程度とすることが好ましく、保持時間は2〜6時間程度とすることが好ましい。
【0029】
また、ポリエステルとしてPBTを採用した場合は、加熱温度は300〜320℃程度とすることが好ましく、保持時間は5〜6時間程度とすることが好ましい。
【0030】
この分解反応工程で得られた反応生成物は、分留や晶析等の分離操作により、ジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとの分解物として、分離、回収することができる。
【0031】
具体的には、ポリエステルとしてPETを採用した場合は、下記化1式に示すように、ジオールジアセテートとしてのエチレングリコールジアセテートと、テレフタル酸ジメチルとが、PETの分解物として得られる。
【0032】
【化1】
【0033】
また、ポリエステルとしてPBTを採用した場合は、下記化2式に示すように、ジオールジアセテートとしての1,4−ブタンジオールジアセテートと、テレフタル酸ジメチルとが、PBTの分解物として得られる。
【0034】
【化2】
【0035】
また、ポリエステルとしてPENを採用した場合は、下記化3式に示すように、ジオールジアセテートとしてのエチレングリコールジアセテートと、ナフタレンジカルボン酸ジメチルとが、PENの分解物として得られる。
【0036】
【化3】
こうして得られた分解物は、再度、樹脂原料として有効活用することが可能である。
【0037】
本発明の回収ポリエステルの再利用方法では、使用溶媒として強アルカリ性水溶液や強酸性の超臨界水を用いずに、中性の酢酸メチルを用いることから、反応容器について耐アルカリ性や耐酸性が要求されるという制約を受けることがない。
【0038】
また、使用溶媒として用いる酢酸メチルは毒劇物指定されておらず、その取扱いも容易である。
【0039】
さらに、本発明方法で得られる分解物は、ジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルで、こららはいずれも中性であり、またジオールジアセテートは貯蔵安定性も良いため、分解物の保存容器について耐アルカリ性や耐酸性が要求されるという制約を受けることがない。
【0040】
加えて、本発明方法で得られるジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルは、末端がアセチル(−OCOCH3 )やエステル(−COOCH3 )となり、末端がカルボン酸(−COOH)や水酸基(−OH)であるエチレングリコールや1,4−ブタンジオール等と比較して、沸点が低くなる。このため、本発明方法で得られた分解物を分離・精製すべく分留(蒸留による分離)する際に有利となる。
【0041】
さらに、本発明方法における分解反応工程は、分解速度が長くても6時間程度であり、従来のアルカリ水溶液を用いる加水分解法と比べて分解速度が極めて速い。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0043】
[第1実施例]
本実施例は、回収ポリエステルとしてPETを採用したものである。
【0044】
(実施例1)
反応容器として、長さ100mm、内径3.8mm、外径1/4インチでステンレス(SUS)製の反応管を準備した。
【0045】
一方、回収ポリエステルとして、平均粒径2mm程度のPET粉末を準備した。
【0046】
<充填工程>
そして、上記反応管にPET粉末20mgと酢酸メチル1gとを充填し、密封した。このとき、反応管内はPET粉末と酢酸メチルとで満たされ、反応管の上層部には空気層が存在しない状態とした。
【0047】
なお、この充填工程におけるPETと酢酸メチルとの充填割合は、モル比で、PET:酢酸メチル=1:130である。
【0048】
<分解反応工程>
上記PET粉末及び酢酸メチルが充填された反応管を乾燥炉内で300℃に加熱するとともに、この温度で5時間保持した。
【0049】
<分離・回収工程>
上記分解反応工程を終えた反応管を常温まで冷却した後、開封し、有機溶媒(クロロホルムやアセトン等)で洗浄することにより反応生成物(分解物)を回収し、蒸留法により、エチレングリコールジアセテートと、テレフタル酸ジメチルとを分離、回収した。
【0050】
得られたエチレングリコールジアセテートは15mg、テレフタル酸ジメチルは20mgであり、ほぼ100%の収率でエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとを回収することができた。
【0051】
なお、得られたエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルの比率は、モル比で、1:1であった。また、上記収率は、1モルのPETから、1モルのエチレングリコールアセテートと1モルのテレフタル酸ジメチルとが得られた場合を100%とする(以下、同様。)。
【0052】
こうして得られた分解物としてのエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルは、再度、樹脂原料として有効活用することが可能である。例えば、エチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルからPETを再合成したり、エチレングリコールジアセテートをPENやウレタン樹脂の樹脂原料としたり、テレフタル酸ジメチルをPBTの樹脂原料としたりすることができる。
【0053】
(実施例2)
分解反応工程において、加熱温度を260℃とし、この温度での保持時間を2時間とすること以外は、前記実施例1と同様である。
【0054】
得られたエチレングリコールジアセテートは7mg、テレフタル酸ジメチルは10mgであり、約50%の収率でエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとを回収することができた。
【0055】
なお、得られたエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルの比率は、モル比で、1:1であった。
【0056】
(実施例3)
分解反応工程において、加熱温度を320℃とし、この温度での保持時間を2時間とすること以外は、前記実施例1と同様である。
【0057】
得られたエチレングリコールジアセテートは15mg、テレフタル酸ジメチルは20mgであり、ほぼ100%の収率でエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとを回収することができた。
【0058】
なお、得られたエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルの比率は、モル比で、1:1であった。
【0059】
(加熱温度と収率との関係)
分解反応工程において、分解反応時間を十分に確保しうるように加熱保持時間を6時間で一定とし、加熱温度を240〜320℃と種々変化させて、得られるエチレングリコールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率と、加熱温度との関係を調べた。
【0060】
その結果を図1に示すように、加熱温度を240℃以上とすることにより、前記化1式の分解反応が起こり、またこの加熱温度以上であれば、加熱温度の上昇に伴ってエチレングリコールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率が増大することがわかる。そして、加熱温度が270℃のときにエチレングリコールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率がほぼ100%になることがわかる。
【0061】
したがって、ポリエステルとしてPETを採用した場合は、加熱温度を270〜320℃とすれば好ましいことがわかる。
【0062】
[第2実施例]
本実施例は、回収ポリエステルとしてPBTを採用したものである。
【0063】
(実施例4)
反応容器として、長さ100mm、内径3.8mm、外径1/4インチでステンレス(SUS)製の反応管を準備した。
【0064】
一方、回収ポリエステルとして、平均粒径2mm程度のPBT粉末を準備した。
【0065】
<充填工程>
そして、上記反応管にPBT粉末20mgと酢酸メチル1gとを充填し、密封した。このとき、反応管内はPBT粉末と酢酸メチルとで満たされ、反応管の上層部には空気層が存在しない状態とした。
【0066】
なお、この充填工程におけるPBTと酢酸メチルとの充填割合は、モル比で、PBT:酢酸メチル=1:150である。
【0067】
<分解反応工程>
上記PBT粉末及び酢酸メチルが充填された反応管を乾燥炉内で280℃に加熱するとともに、この温度で5時間保持した。
【0068】
<分離・回収工程>
上記分解反応工程を終えた反応管を常温まで冷却した後、開封し、有機溶媒で洗浄することにより反応生成物(分解物)を回収し、蒸留法により、1,4−ブタンジオールジアセテートと、テレフタル酸ジメチルとを分離、回収した。
【0069】
得られた1,4−ブタンジオールジアセテートは18mg、テレフタル酸ジメチルは14mgであり、約90%の収率で1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとを回収することができた。
【0070】
なお、得られた1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルの比率は、モル比で、1:1であった。
【0071】
こうして得られた分解物としての1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルは、再度、樹脂原料として有効活用することが可能である。例えば、1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルからPBTを再合成したり、1,4−ブタンジオールジアセテートをウレタン樹脂の樹脂原料としたり、テレフタル酸ジメチルをPETの樹脂原料としたりすることができる。
【0072】
(実施例5)
分解反応工程において、加熱温度を260℃とし、この温度での保持時間を6時間とすること以外は、前記実施例1と同様である。
【0073】
得られた1,4−ブタンジオールジアセテートは13mg、テレフタル酸ジメチルは10mgであり、約70%の収率で1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとを回収することができた。
【0074】
なお、得られた1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルの比率は、モル比で、1:1であった。
【0075】
(実施例6)
分解反応工程において、加熱温度を240℃とし、この温度での保持時間を6時間とすること以外は、前記実施例1と同様である。
【0076】
得られた1,4−ブタンジオールジアセテートは10mg、テレフタル酸ジメチルは8mgであり、約50%の収率で1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルとを回収することができた。
【0077】
なお、得られた1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルの比率は、モル比で、1:1であった。
【0078】
(加熱温度と収率との関係)
分解反応工程において、分解反応時間を十分に確保しうるように加熱保持時間を6時間で一定とし、加熱温度を240〜320℃と種々変化させて、得られる1,4−ブタンジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率と、加熱温度との関係を調べた。
【0079】
その結果を図2に示すように、加熱温度を240℃以上とすることにより、前記化2式の分解反応が起こり、またこの加熱温度以上であれば、加熱温度の上昇に伴って1,4−ブタンジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率が増大することがわかる。そして、加熱温度が300℃のときに1,4−ブタンジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率がほぼ100%になることがわかる。
【0080】
したがって、ポリエステルとしてPBTを採用した場合は、加熱温度を300〜320℃とすれば好ましいことがわかる。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の回収ポリエステルの再利用方法では、反応容器や分解物の保存容器について耐アルカリ性や耐酸性が要求されるという制約を受けることがなく、また使用溶媒として用いる酢酸メチルは毒劇物指定されておらず、その取扱いも容易である。また、本発明方法で得られるジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルは、エチレングリコールや1,4−ブタンジオール等と比較して、沸点が低いことから、分留する際に有利となり、しかもアルカリを用いた加水分解法と比べて分解速度も極めて速い。
【0082】
したがって、本発明の回収ポリエステルの再利用方法によれば、容易かつ速やかに、しかも安全に所定の分解物を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PETの分解物として得られるエチレングリコールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率と、加熱温度との関係を示す線図である。
【図2】 PBTの分解物として得られる1,4−ブタンジオールジアセテート及びテレフタル酸ジメチルの収率と、加熱温度との関係を示す線図である。
Claims (5)
- 回収したポリエステル(不飽和ポリエステルを除く)を酢酸メチルとともに反応容器に充填する充填工程と、
上記反応容器を所定温度で加熱保持することにより、上記ポリエステルを末端がアセチルやエステルとなる分解物に分解する分解反応工程とを順に実施することを特徴とする回収ポリエステルの再利用方法。 - 前記充填工程で、前記反応容器内を前記ポリエステルと前記酢酸メチルのみで満たし、該反応容器内の上層部に気体層を存在させずに該反応容器を密封することを特徴とする請求項1記載の回収ポリエステルの再利用方法。
- 前記分解物はジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルである請求項1又は2記載の回収ポリエステルの再利用方法。
- 前記ポリエステルはポリエチレンテレフタレートであり、前記分解物はエチレングリコールジアセテートとテレフタル酸ジメチルであることを特徴とする請求項1又は2記載の回収ポリエステルの再利用方法。
- 前記ポリエステルはポリブチレンテレフタレートであり、前記分解物は1,4−ブタンジオールジアセテートとテレフタル酸ジメチルであることを特徴とする請求項1又は2記載の回収ポリエステルの再利用方法。
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