JP4647271B2 - テレフタル酸廃棄物からのテレフタル酸ジメチルの製造方法 - Google Patents

テレフタル酸廃棄物からのテレフタル酸ジメチルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はテレフタル酸を含有する廃棄物から有効成分を回収する方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートは、機械的、化学的特性に優れることから、繊維、フィルム若しくは樹脂などの生活関連資材又は飲料用ボトルなどの食品包装材として、大量に生産・使用されている。しかしながら、生産量・使用量の増大に伴い、大量に発生する繊維、フィルム若しくは樹脂製品の廃棄物又は規格外品の処理は、現在大きな社会問題となっており、そのリサイクル方法について各種提案がなされている。
ポリエチレンテレフタレートのリサイクル方法の一つとして、ポリエチレンテレフタレート成型品を回収し、これをエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応させ、さらに蒸留精製することで高純度テレフタル酸ジメチルとして有効成分を回収する方法が提案されており(例えば特許文献1参照。)、さらに、得られたテレフタル酸ジメチルを加水分解反応させることで、ボトル用PET原料として使用可能なテレフタル酸を回収する方法が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
テレフタル酸ジメチルの加水分解工程では、主にテレフタル酸、テレフタル酸モノメチル若しくはテレフタル酸ジメチルを主成分とする残渣、又はテレフタル酸の品質不良品などが発生する。これらの残渣等は実質的には廃棄物として処理せざるを得ず、テレフタル酸の収率低下を招くと共に、製造コストの上昇等をもたらし、きわめて不経済であった。
国際公開第01/30729号パンフレット 特開2003−119316号公報
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討を進めた結果、主にテレフタル酸及びそのエステルからなる廃棄物を、アルキレングリコールと反応させてビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートとし、引き続きメタノールとのエステル交換反応を行うことで、テレフタル酸ジメチルとして有効成分を回収することを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明の目的は、テレフタル酸含有廃棄物中の有効成分をテレフタル酸ジメチルとして回収し、該廃棄物の発生量を削減すると共に、収率を向上させる技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリエステル廃棄物からの有効成分回収工程において、アルキレングリコールを蒸留精製する際に発生する残渣(以降、EG釜残と略記することがある。)を、テレフタル酸含有廃棄物とエステル化反応させることにより、EG釜残中の有効成分を回収すると共に、従来廃棄物として処分していたEG釜残の発生量を削減するのに寄与する方法を提供することにある。
本発明の目的は、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルを90重量%以上含有するテレフタル酸及びテレフタル酸のエステルからなる廃棄物を、アルキレングリコールと反応させてビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートとし、引き続きメタノールとのエステル交換反応を行うことによって達成できる。
本発明によれば、主にテレフタル酸及びそのエステルを有効に回収することにより、収率を向上させ、且つ産業廃棄物量を減少させることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図・実施例等を使用して説明する。なお、これらの実施例等及び説明は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明における主にテレフタル酸及びそのエステルからなる廃棄物(以下テレフタル酸含有廃棄物と称する。)は、主にテレフタル酸、テレフタル酸モノメチル、テレフタル酸ジメチルを含有する物質である。例えば、加水分解反応工程の反応循環水の全部若しくは一部を固液分離して得られる固形分、加水分解反応器13から水蒸気と共に留出する留出物中の全部若しくは一部を固液分離して得られる固形分、又は品質不良で製品にならなかったテレフタル酸など、その発生源、形態は様々であるが、主としてテレフタル酸、テレフタル酸モノメチル、テレフタル酸ジメチルからなる物質であれば良い。また、「主に」とは重量比率で90%以上であることを表す。また該テレフタル酸含有廃棄物には、水、メタノールなどの低沸点成分、オイルなどの高沸点成分、その他異物等を含有していても良く、その性状は粉体、スラリー、ケークのいずれの性状であっても良い。
本発明ではアルキレングリコールとしてエチレングリコール、1,4ブタンジオール、ジエチレングリコールなどのグリコール類を使用することができるが、望ましくはポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合し、引き続くメタノールとのエステル交換反応によりテレフタル酸ジメチルを生成する工程で使用するアルキレングリコールと同じものを用いることが特に望ましい。特に、ポリエステル廃棄物が主にポリエチレンテレフタレートからなる廃棄物である場合は、エチレングリコールであることが望ましい。
本発明においては、まずテレフタル酸含有廃棄物とアルキレングリコールを反応させる。そのテレフタル酸含有廃棄物とアルキレングリコールとの反応は、回分式でも連続式で行ってもよいが、テレフタル酸含有廃棄物中に水、メタノールなどの低沸点成分を含有する場合は、該低沸点成分を留去する設備を併設することが望ましい。該テレフタル酸含有廃棄物中の主にテレフタル酸及びそのエステルに対してアルキレングリコールを1〜10重量倍混合し、反応温度180〜220℃、大気圧〜0.5MPaの条件下で行われる。テレフタル酸含有廃棄物中に含有する水、メタノールなどの低沸点成分は該反応中に留去することができる。該反応に対しては、金属触媒を用いることが反応時間を短縮する面で望ましいが、テレフタル酸自身が酸触媒として機能するため、触媒が無い条件でも反応は進行する。この反応により主にビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートを含む反応生成物を得る。
該反応生成物の酸価は30KOHmg/g(1gの試料を中和するのに30mgのKOHを要する)以下、望ましくは10KOHmg/g以下、更に望ましくは5KOHmg/g以下である。酸価をこの範囲にすることによってアルキレングリコールとの反応率が充分高く、テレフタル酸の残存量が少ないことを検知することができ、収率良くテレフタル酸ジメチルを回収することができる。また酸価をこの範囲にするには、上述のようなアルキレングリコールの添加量、反応温度・反応圧力に設定し、充分にエステル交換反応を進行するだけの反応時間を取ることにより達成できる。
次に、主にビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートからなる反応生成物は、テレフタル酸含有廃棄物中に含まれる主にテレフタル酸及びそのエステルに対して重量の0.5〜20重量倍のメタノールを添加する。さらにアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、及び水酸化物、酢酸マンガン並びに酢酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなるエステル交換反応触媒を、該テレフタル酸含有廃棄物中の主にテレフタル酸及びそのエステルの0.1〜10重量%となるように添加する。そして反応温度65〜85℃、0.1〜0.3MPaの条件下でエステル交換反応させることにより、主にテレフタル酸ジメチル、アルキレングリコール、メタノールからなるエステル交換反応生成物が得られる。エステル交換反応生成物は、引き続く固液分離、蒸留精製することで、精製テレフタル酸ジメチルを得ることができる。固液分離・蒸留精製操作は通常行われる固液分離方法又は蒸留精製方法が用いられる。蒸留精製は常圧下の蒸留であっても、減圧下の蒸留であっても良い。
本発明においてはテレフタル酸含有廃棄物が、テレフタル酸ジメチルを加水分解させるテレフタル酸製造工程から発生した廃棄物であることが好ましい。旧来よりテレフタル酸を製造する技術は知られているものの、高純度の製品を製造するのは比較的困難であった。その精製工程で発生するテレフタル酸含有廃棄物からも有効に回収することで、トータルとしてのテレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルとしての収率が向上し、かつ産業廃棄物を減少させることができる。そのテレフタル酸ジメチルを加水分解してテレフタル酸を製造する方法としては、加水分解反応器13にテレフタル酸ジメチル11に対して水12を0.7〜2.0重量倍の量を加え、反応温度230〜260℃、2.9〜5.0MPaの条件下で1〜5時間かけることによりテレフタル酸ジメチルをテレフタル酸とメタノールに加水分解され、加水分解反応生成物14を得ることが出来る。反応により発生したメタノールは加水分解槽の頭部から外部に排出される。主にテレフタル酸と水からなる加水分解反応後の反応生成物は冷却された後、固液分離機15によってテレフタル酸16と濾液とに分離される。またこの加水分解工程で得られるテレフタル酸に対して少量ではあるが、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルのうち少なくとも1種の化合物を含む残渣が廃棄物23として得られる。この廃棄物を先述のテレフタル酸含有廃棄物としてメタノールとのエステル交換反応工程に用いることも好ましい。
本発明においてはテレフタル酸含有廃棄物が、ポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合し、引き続きメタノールとのエステル交換反応によりテレフタル酸ジメチルを生成し、さらに加水分解することによりテレフタル酸を製造する工程のうち、加水分解させテレフタル酸を製造する工程から発生した廃棄物であることが好ましい。この手法を採用することで繊維・フィルム・成形品として多量に製造され、市場で用いられているポリエステル中に含まれるテレフタル酸含有廃棄物からも有効に回収することで、産業廃棄物を減少させることができる。
そのポリエステル廃棄物からテレフタル酸ジメチルを回収する方法としては、テレフタル酸含有廃棄物1を粉砕・洗浄装置2にて粉砕・洗浄した後、解重合反応器3に投入する。さらにポリエステル重量の0.5〜20倍量のアルキレングリコール22を添加し、さらにアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物、酢酸マンガン並びに酢酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる解重合触媒を、ポリエステルの重量を基準として0.1〜10重量%となるように添加する。反応温度175〜190℃、0.1〜0.5MPaの条件下で解重合反応させることにより、解重合反応生成物4(ビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートを主成分として含む)が得られる。この反応は上述のメタノールによるエステル交換反応及び加水分解反応に比べて比較的低い温度・圧力で実施することができるので、十分に時間をかけることにより、完全に解重合反応を進行させることが比較的容易である。アルキレングリコールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール等のグリコール類を用いることができるが、望ましくはポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合し、引き続きメタノールとのエステル交換反応によりテレフタル酸ジメチルを製造する工程で使用するアルキレングリコールと同じグリコールを用いることが特に望ましい。特にポリエステル廃棄物の原料となるアルキレングリコールが好ましい。
引き続いて、解重合反応によって得られた主にビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートを主成分とする解重合反応生成物4をエステル交換反応器6に移し、更に解重合反応に供されたポリエステル重量の0.5〜20重量倍のメタノール5を添加する。さらにアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物、酢酸マンガン並びに酢酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなるエステル交換反応触媒を、解重合反応に供されたポリエステルの0.1〜10重量%となるように添加する。反応温度65〜85℃、0.1〜0.3MPaの条件下でエステル交換反応させることにより、主にテレフタル酸ジメチル、アルキレングリコール、メタノールからなるエステル交換反応生成物7が得られる。エステル交換反応生成物7は、引き続いて固液分離機8にて固液分離を行い粗テレルフタル酸ジメチル9とした後、テレフタル酸ジメチル蒸留塔10により、蒸留精製することで、精製テレフタル酸ジメチル11を得ることができる。上述した固液分離・蒸留精製操作は通常行われる固液分離方法又は蒸留精製方法が用いられる。例えば固液分離法においては遠心分離法、濾過法などである。さらに固液分離機にて分離された液体成分17にはメタノールやアルキレングリコールが含まれている。この成分をそれぞれメタノール回収塔18、アルキレングリコール回収塔21によりそれぞれ精製メタノール19、精製アルキレングリコール22としてエステル交換反応器6、解重合反応器3に戻すプロセスを実施してもよい。
また、テレフタル酸及びそのエステルからなる廃棄物23を、アルキレングリコール25とテレフタル酸含有廃棄物回収反応器24中で反応させた反応生成物A26を、ポリエステル廃棄物1をアルキレングリコール22により解重合して得られた反応生成物B4と共に、引き続きメタノールとのエステル交換反応に供する方法を採用しても良い。すなわち、前述のテレフタル酸含有廃棄物とアルキレングリコールとの、主に(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートからなる反応生成物が、ポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにて解重合して得られた反応生成物と共に、メタノールとのエステル交換反応を行う工程に供し、テレフタル酸ジメチルを回収する方法である。また反応生成物A26単独で供してもよい。このような手法を実施することでポリエステル廃棄物中に含有しているテレフタル酸成分においても無駄なくテレフタル酸ジメチルとして回収することができる。
前記の主に(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートからなるエステル交換反応生成物を固液分離した際に得られる、主にアルキレングリコール及びメタノールからなる濾液17は、蒸留により精製メタノール19と粗アルキレングリコール20に分離され、さらに粗アルキレングリコール20は蒸留により精製アルキレングリコール22と残渣25(以降、釜残と称することもある。)とに分離される。精製アルキレングリコール22及び精製メタノール19は前記の解重合反応器3及びエステル交換反応器6へ供され、再使用されることも好ましい。さらに残渣25は、蒸留条件にもよるが、アルキレングリコール並びに解重合反応触媒若しくはその塩及び/又はエステル交換反応触媒若しくはその塩を含有することが好ましい。より具体的には重量単位で20〜60重量%のアルキレングリコール、10〜30重量%のジアルキレングリコール、10〜50重量%のビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレート及び繰り返し単位2〜10のオリゴマー、0.5〜10重量%の金属を含有していることが好ましい。このような残渣を得るためには、固液分離機8で固液分離する際に解重合触媒等を含む固形分をわずかに濾液17に含ませ、さらに粗アルキレングリコール20を蒸留精製する際に、完全にアルキレングリコールを留去させるのではなく、一部残渣側に残しておけばよい。
ここで一般には、解重合反応触媒、エステル交換反応触媒としてはアルカリ金属化合物が好ましく、より具体的には炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムが挙げられる。反応器に投入したこれらの触媒は、釜残である残渣25中においては、そのものの化合物の形態ではなく、別の化合物の塩となっていることもあるが、他に金属化合物を用いていないので、残渣25中の金属成分は、解重合反応触媒及びエステル交換反応触媒に由来するものである。従って該残渣を反応生成物A26としてエステル交換反応器6に投入することは、エステル交換反応触媒を回収し、効率よく使用できることが期待できる。該残渣中の金属成分は、前述のテレフタル酸含有廃棄物とアルキレングリコールと反応させてビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートを得る工程において、触媒として作用することができるため、該反応における金属触媒の代わりに、同等量の金属を含有する反応生成物A26を供することで、ビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートを得ることができる。このようにテレフタル酸含有廃棄物の処理に釜残である残渣25を使用することで、従来廃棄物として処理していた残渣25中のアルキレングリコール及びビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートを有効成分として回収することができ、触媒成分も有効に活用することができる。
また、本発明により回収したテレフタル酸ジメチルは、いずれも加水分解工程に供することにより、テレフタル酸を製造することが可能である。回収されたテレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸は、ポリエチレンテレフタレート製造工程を初め、通常テレフタル酸を用いる製造業に用いることができる。
以下、実施例により本発明の内容をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の各数値は以下の方法により求めた。
[テレフタル酸含有廃棄物組成]
高速液体クロマトグラフィー(装置:日立製作所製HPLC D−7000、充填式カラム:RP−18×2本)により求めた。
[酸価]
試料をエタノール/パラキシレン混合溶液に溶解し、指示薬を用いて水酸化カリウムで滴定し、試料1g中に含まれる酸成分の中和に要する水酸化カリウムのmg量を酸価とする。
[EG釜残中エチレングリコール、ジエチレングリコール]
ガスクロマトグラフィー(装置:島津製作所製GC−7A、パックドカラム充填剤:PEG−20M 2m)により求めた。
[EG釜残中金属]
原子吸光光度計(装置:日立製作所製Z−8100)により求めた。
[テレフタル酸ジメチル純度]
ガスクロマトグラフィー(装置:島津製作所製GC−17A、キャピラリーカラム:NB−1 0.25mm×30m)により求めた。
[廃棄物原単位・テレフタル酸収率]
投入したテレフタル酸含有廃棄物及び/又はポリエステル廃棄物中に含まれるテレフタル酸及びその誘導体が完全にテレフタル酸として回収できたと仮定した場合のテレフタル酸量をテレフタル酸理論生産量と、実際に生産・回収したテレフタル酸と、テレフタル酸ジメチルとして回収不可能であったテレフタル酸含有廃棄物量から以下の数式(1)及び(2)により算出した。本発明ではテレフタル酸廃棄物やそのエステルを含む廃棄物からテレフタル酸ジメチルを回収したので、回収したテレフタル酸ジメチルも更に加水分解してテレフタル酸に戻し、テレフタル酸を基準にして原単位・収率を評価した。
Figure 0004647271
Figure 0004647271
[実施例1]
表1に示す、テレフタル酸ジメチルの加水分解工程から発生したテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hr、エチレングリコールを2000kg/hrで、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。この際金属触媒は添加しなかった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。次いで65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送し、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。精製テレフタル酸ジメチルは再び加水分解工程に供給し、テレフタル酸を製造した。結果を表1に示す。
[実施例2]
表1に示す、テレフタル酸ジメチルの加水分解工程から発生したテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hr、エチレングリコールを2000kg/hrで、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。この際金属触媒は添加しなかった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。次いで65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送し、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。精製テレフタル酸ジメチルは再び加水分解工程に供給し、テレフタル酸を製造した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリエステル廃棄物をエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応して粗DMTを得た後、蒸留して精製DMTを得た。引き続いて加水分解によりテレフタル酸を製造する過程において、加水分解工程から発生した表1に示す組成のテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hrの速度で、エチレングリコールを1000kg/hrの速度で及びエチレングリコール蒸留精製後の残渣(EG釜残)を1000kg/hrの速度で、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。EG釜残の組成は、エチレングリコール50が重量%、ジエチレングリコールが22重量%、金属としてカリウム塩が5重量%であった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。次いで65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送し、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。精製テレフタル酸ジメチルは再び加水分解工程に供給し、テレフタル酸を製造した。結果を表1に示す。
[実施例4]
ポリエステル廃棄物をエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応して粗DMTを得た後、蒸留して精製DMTを得た。引き続いて加水分解によりテレフタル酸を製造する過程において、加水分解工程から発生した表1に示す組成のテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hrの速度で、EG釜残を2000kg/hrの速度で、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。EG釜残の組成は、エチレングリコール50が重量%、ジエチレングリコールが22重量%、金属としてカリウム塩が5重量%、他はオリゴマー等であった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。次いで65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送し、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。精製テレフタル酸ジメチルは再び加水分解工程に供給し、テレフタル酸を製造した。結果を表1に示す。
[実施例5]
表1に示す、テレフタル酸ジメチルの加水分解工程から発生したテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hrの速度で、EG釜残を2000kg/hrの速度で、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。EG釜残の組成は、エチレングリコール50が重量%、ジエチレングリコールが22重量%、金属としてカリウム塩が5重量%、他はオリゴマー等であった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。この反応生成物Aはポリエステル廃棄物を解重合して得られた解重合反応生成物Bと共に、65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送して、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。精製テレフタル酸ジメチルは再び加水分解工程に供給し、テレフタル酸を製造した。結果を表1に示す。
[実施例6]
表1に示す、テレフタル酸ジメチルの加水分解工程から発生したテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hr、EG釜残を2000kg/hrで、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。EG釜残の組成は、エチレングリコール50が重量%、ジエチレングリコールが22重量%、金属としてカリウム塩が5重量%、他はオリゴマー等であった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。次いで65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送し、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。テレフタル酸ジメチルはそのまま製品とし、加水分解工程には戻さなかった。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリエステル廃棄物をエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応して粗DMTを得た後、蒸留して精製DMTを得た。引き続いて加水分解によりテレフタル酸を製造する過程において、加水分解工程から発生した表1に示す組成のテレフタル酸含有廃棄物を1000kg/hrの速度で、EG釜残を2000kg/hrの速度で、220℃に維持された反応器に連続的に供給し、水及びメタノールを留去しながら5時間エステル化反応させた。EG釜残の組成は、エチレングリコール50が重量%、ジエチレングリコールが22重量%、金属としてカリウム塩が5重量%、他はオリゴマー等であった。反応生成物はサンプリングして酸価を測定した。次いで65℃、0.1MPaに維持されたエステル交換反応槽に連続的に移送し、さらにメタノールを2000kg/hrで供給してエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、固液分離してテレフタル酸ジメチルのケークを得た後、溶融して蒸留精製を実施して精製テレフタル酸ジメチルを得た。精製テレフタル酸ジメチルはサンプリングして純度を測定した。精製テレフタル酸ジメチルは再び加水分解工程に供給し、テレフタル酸を製造した。結果を表1に示す。
[比較例1]
表1に示した、テレフタル酸ジメチルの加水分解工程から発生したテレフタル酸含有廃棄物を回収せずに全て産業廃棄物として処理した。結果を表1に示す。
Figure 0004647271
従来産業廃棄物として処理してきたものから有効成分を回収することにより、廃棄物の発生量を削減すると共に製品の収率を向上させることができ、この点において工業面で非常に有意義である。
本発明における最良の形態の一つである、ポリエステル廃棄物を解重合反応させ、次いでエステル交換反応によりテレフタル酸ジメチルを回収し、さらに加水分解することでテレフタル酸を製造し、且つ加水分解工程から発生するテレフタル酸廃棄物とEG釜残を反応させた後、ポリエステルを解重合して得られる反応生成物と共にエステル交換反応することによりテレフタル酸ジメチルを回収し、さらに回収したテレフタル酸ジメチルを加水分解してテレフタル酸とするためのプロセスの概略図である。
符号の説明
1:ポリエステル廃棄物
2:粉砕・洗浄装置
3:解重合反応器
4:解重合反応生成物
5;メタノール
6:エステル交換反応器
7:エステル交換反応生成物
8:固液分離機
9:粗テレフタル酸ジメチル
10:テレフタル酸ジメチル蒸留塔
11:精製テレフタル酸ジメチル
12:水
13:加水分解反応器
14:加水分解反応生成物
15:固液分離機
16:テレフタル酸
17:8で分離された液体成分
18:メタノール回収塔
19:精製メタノール
20:粗アルキレングリコール
21:アルキレングリコール回収塔
22:精製アルキレングリコール
23:13及び15などから発生するテレフタル酸含有廃棄物
24:テレフタル酸含有廃棄物回収反応器
25:アルキレングリコール釜残
26:24の反応生成物

Claims (7)

  1. テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルを90重量%以上含有するテレフタル酸及びテレフタル酸のエステルからなる廃棄物を、アルキレングリコールと反応させてビス(ω−ヒドロキシアルキレン)テレフタレートとし、引き続きメタノールとのエステル交換反応を行うテレフタル酸ジメチルの製造方法。
  2. テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルを90重量%以上含有するテレフタル酸及びテレフタル酸のエステルからなる廃棄物が、テレフタル酸ジメチルを加水分解させるテレフタル酸製造工程から発生した廃棄物である請求項1記載のテレフタル酸ジメチルの製造方法。
  3. テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルを90重量%以上含有するテレフタル酸及びテレフタル酸のエステルからなる廃棄物が、ポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合し、引き続きメタノールとのエステル交換反応によりテレフタル酸ジメチルを生成し、さらに加水分解することによりテレフタル酸を製造する工程のうち、加水分解させテレフタル酸を製造する工程から発生した廃棄物である請求項1又は2記載のテレフタル酸ジメチルの製造方法。
  4. テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルを90重量%以上含有するテレフタル酸及びテレフタル酸のエステルからなる廃棄物をアルキレングリコールと反応させた反応生成物Aを、該ポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合して得られた反応生成物Bと共に、引き続くメタノールとのエステル交換反応に供する請求項3記載のテレフタル酸ジメチルの製造方法。
  5. 該ポリエステル廃棄物をアルキレングリコールにより解重合し、引き続くメタノールとのエステル交換反応によりテレフタル酸ジメチルを生成する工程の反応生成物から分離された粗アルキレングリコールを蒸留精製する場合において、蒸留精製後の残渣分をアルキレングリコールと共にテレフタル酸及びそのエステルからなる廃棄物と反応させることを特徴とする請求項3または4記載のテレフタル酸ジメチルの製造方法。
  6. テレフタル酸、テレフタル酸モノメチル及びテレフタル酸ジメチルを90重量%以上含有するテレフタル酸及びテレフタル酸のエステルからなる廃棄物をアルキレングリコールと反応させた後の反応生成物の酸価が30KOHmg/g以下となるようにすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のテレフタル酸ジメチルの製造方法。
  7. 粗アルキレングリコール精製後の蒸留残渣が、アルキレングリコール並びに解重合反応触媒若しくはその塩及び/又はエステル交換反応触媒若しくはその塩を含有することを特徴とする請求項5記載のテレフタル酸ジメチルの製造方法。
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