JP2011207822A - ポリエステルからビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するポリエステルから安定して酸価の低い高品質なビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する方法を提供することである。
【解決手段】上記課題は、平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するポリエステルからビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造するに際し、下記工程(a)〜(b):
工程(a):前記ポリエステルを、エチレングリコールと170〜280℃の温度にて解重合反応させる工程
工程(b):工程(a)にて得られた解重合反応物から20.0〜60.0kPaの圧力下においてエチレングリコールを留去する工程であって、工程(a)で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、工程(a)で添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去する工程
に順次供することを含み、
前記工程(b)におけるエチレングリコールを留去する量が、工程(a)にて得られた解重合反応物に対して5.0wt%以上であることを特徴とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
によって解決することができる。
【選択図】なし
【解決手段】上記課題は、平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するポリエステルからビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造するに際し、下記工程(a)〜(b):
工程(a):前記ポリエステルを、エチレングリコールと170〜280℃の温度にて解重合反応させる工程
工程(b):工程(a)にて得られた解重合反応物から20.0〜60.0kPaの圧力下においてエチレングリコールを留去する工程であって、工程(a)で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、工程(a)で添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去する工程
に順次供することを含み、
前記工程(b)におけるエチレングリコールを留去する量が、工程(a)にて得られた解重合反応物に対して5.0wt%以上であることを特徴とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
によって解決することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は,ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルから酸価の低いビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物を製造する方法に関するものである。
ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートはその重合工程、あるいは糸状、フィルム状に成形する過程において不良品、屑等が発生しやすいことなどから、これらの不良品や屑、さらには使用後の製品(これらを総称して、単にポリエステル廃棄物と略称することもある。)を回収し、再利用することが経済的に好ましく、さらには地球環境対策上の観点から必要である。これら回収したポリエステル廃棄物の中には染料、難燃剤、一般ゴミおよび他のプラスチックが混入しており、そのまま溶融成形し再利用することは困難なことが多い。このため、これら回収したポリエステル廃棄物から該ポリエステルの原料である、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの原料モノマーを分別回収することが好ましい。ポリエステル廃棄物から、その原料を製造する方法としては、例えば、ポリアルキレンテレフタレートをエチレングリコール(以下、EGと略称することもある。)で解重合して、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物を製造する方法(例えば、特許文献1、2参照。)が知られているが、これらの検討で用いられたポリエステル廃棄物は、実験用途として管理されたものである。
しかしながら、実際に回収されるポリエステル廃棄物は残念なことにリサイクル原料というよりも廃棄物・屑という意識があるため取り扱いに留意されない場合も多く、野積みなどにより風雨にさらされ水分を多量に含むものも存在する。さらに、泥や埃などが付着して水洗が必要となることも多い。これらポリエステル廃棄物に付着した水は解重合反応に異素材を持ち込まないという観点から、乾燥処理を解重合反応以前の段階で実施することが好ましいが、乾燥には多大な設備投資やランニングコストが必要となるため、現実的にはポリエステル廃棄物に付着した水分の一部または全部は解重合反応工程に混入することが多い。これら水分を多量に含むポリエステル廃棄物から公知の方法によりビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物を回収すると、酸価が高いため、反応性が悪化する、収率が低下する、当該組成物を用いて生産した製品の品質が低下するといった様々な課題があった。
本発明は上記の背景技術を鑑みなされたもので、その目的は、平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%と比較的高い含水率のポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するポリエステルから安定して酸価の低い高品質な原料モノマーを回収する方法を提供することである。
本発明者らの研究によれば、「平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するポリエステルからビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造するに際し、下記工程(a)〜(b):
工程(a):前記ポリエステルを、エチレングリコールと170〜280℃の温度にて解重合反応させる工程
工程(b):工程(a)にて得られた解重合反応物から20.0〜60.0kPa(150mmHg〜450mmHg)の圧力下においてエチレングリコールを留去する工程であって、工程(a)で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、工程(a)で添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去する工程
に順次供することを含み、前記工程(b)におけるエチレングリコールを留去する量が、工程(a)にて得られた解重合反応物に対して5.0wt%以上であることを特徴とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。」により、酸の生成を抑制することができ、上記目的が達成できることが見出された。
工程(a):前記ポリエステルを、エチレングリコールと170〜280℃の温度にて解重合反応させる工程
工程(b):工程(a)にて得られた解重合反応物から20.0〜60.0kPa(150mmHg〜450mmHg)の圧力下においてエチレングリコールを留去する工程であって、工程(a)で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、工程(a)で添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去する工程
に順次供することを含み、前記工程(b)におけるエチレングリコールを留去する量が、工程(a)にて得られた解重合反応物に対して5.0wt%以上であることを特徴とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。」により、酸の生成を抑制することができ、上記目的が達成できることが見出された。
本発明のポリエチレンテレフタレートを原料としたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法によれば、エチレングリコールの脱水反応やポリエステルの廃棄物から持ち込まれた水分を留去するだけでなく、解重合反応物と水との反応物である酸成分についてもエステル交換反応を進行させることが可能である。加えて、酸成分のエステル交換反応で発生した水分は即座に系外に留去されるため、発生した水分による酸の生成を防止することも可能となる。これらの効果により、工業的に発生する比較的高めの含水率を示すポリエステルを原料としても、高品質のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが安定して、高い収率で製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について1例を用いて説明するが、本発明は、この例に限定されるものではない。本発明に従う方法を実行するためには、まず、平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として含有するポリエステルをエチレングリコールと170〜280℃の温度にて解重合反応させる。ここで、平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエステルとは、例えば、風雨にさらされたり、水洗を実施したなどによって水分と接触したポリエステルのことであり、かつ水分と接触した以降の乾燥が不十分であるために常温におけるPETの平衡含水率を超えてた水分を含有しているポリエステル廃棄物のことであることが好ましい。また一方で特段にポリエステル廃棄物に限定されなくても本発明の製造方法を適用することができる。これらのポリエステルの平均含水率を常時0.5wt%未満に維持するためには、高温および/または長時間の乾燥処理が必要となり、設備投資や加工費のコストアップにつながるので工業的には好ましくない。一方、ポリエステル廃棄物に含まれる水分は解重合工程投入以前の段階で可能な限り削減しておくことが好ましく、遠心分離や振動篩、乾燥空気中へ投入といった簡単な水分除去操作は実施して、PET表面に付着している水分の1部または全部を除去して平均含水率を3.0wt%以下にしておくことが好ましく、特に好ましくは2.0wt%以下である。ここで、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するとは、ポリエステル全重量に対するポリエチレンテレフタレートの重量の比率が80%以上ということである。他の20重量%以下の範囲内でポリエステル以外のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどその他のプラスチックや、綿・麻・絹といった成分が混入していても良い。またポリエチレンテレフタレートはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノールなど、その他のジカルボン酸成分やジオール成分を含んでいても良い。
ポリエステルの解重合反応の条件としては、ポリエチレンテレフタレートとエチレングリコールとが反応し、反応温度における平衡組成まで反応が進行すれば、公知の条件のいずれを採用してもかまわないが、第一に解重合反応温度としては反応時間を短縮する観点から170〜280℃の温度範囲で行うことが好ましい。第二に解重合の際に解重合触媒を用いても良い。その解重合反応触媒として、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の酢酸塩、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の酢酸塩、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のアルコキシドおよびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の物質を解重合反応させる工程(a)に添加することが好ましい。すなわち、常圧の反応条件でも活性を持つような触媒種を選択することが設備投資ならびに操作性の観点から好ましい。また解重合反応の際に、後述するエチレングリコールの留去や、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの生成・精製に支障が生じない限りにおいて、他の溶媒を用いても良い。主にポリエチレンテレフタレートと上記の温度範囲において化学反応を起こさない溶媒、また留去が容易なようにエチレングリコールよりも沸点が低い溶媒を選択するのが好ましいと思われる。
また次に、上述の操作により得られた解重合反応物を20.0〜60.0kPa(150mmHg〜450mmHg)の圧力下、好ましくはその圧力での解重合反応物の沸点にて、解重合反応の際に解重合反応槽に添加したエチレングリコールや解重合反応により生成したエチレングリコールを留去する。その際には、解重合工程で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、解重合工程での添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去して、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物を製造する。エチレングリコールを留去する際に上述したような他の低沸点の溶媒が含まれている際にはこの工程においてエチレングリコールより先の時点または同時に留去される。ここで、解重合工程で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、解重合工程で添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを主とする成分を留去するとは、例えば、解重合工程においてポリエステル100重量部に対して、エチレングリコールを400重量部仕込んだ場合、エチレングリコールを主とする成分を370重量部〜200重量部留去するということである。なお、エチレングリコールを留去する際には、実際にはエチレングリコールのみではなく、当該留去成分にはポリエステルが廃棄物の場合にはポリエステル廃棄物に含まれる水分や微量不純物なども含まれるため、これらを含めた当該操作により抜き出された留去成分のことである。このような場合には得られる成分がビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物となることもある。またここで、留去操作は20.0〜60.0kPa(150mmHg〜450mmHg)の圧力範囲で実施することが本発明の製造方法の特徴の1つである。すなわち、20.0kPa(150mmHg)未満の低圧力下では、その圧力下におけるエチレングリコールの沸点以上に留去時の槽内の温度が上がらないために、解重合反応物に含まれる酸成分がエチレングリコールと反応しにくくなる。その結果少ない量ではあるが、エチレングリコールを主とする成分を留去した後のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに含まれる酸成分の量が多くなる。このため、留去操作は20.0kPa(150mmHg)以上の圧力で実施することが好ましく、特に好ましくは26.7kPa(200mmHg)以上である。また、設備投資やエネルギーの観点から60.0kPa(450mmHg)以下の圧力で実施することが好ましく、特に好ましくは53.3kPa(400mmHg)以下の圧力である。常圧に近い圧力にて留去を行うことにより、留去中にも未反応の酸成分がエチレングリコールと反応し、酸成分の量が減り酸価を減少させることができる。留去する量としては、工程(a)で得られた解重合反応物に対し5.0wt%以上留去することが好ましい。すなわち、留去する量が5.0wt%未満の場合、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに残留する水の量が増加し、酸成分の量も多くなるため好ましくない。
さらに留去物の量としては、解重合工程で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、解重合工程での仕込みポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去することが好ましい。すなわち、この重量比が0.3未満になると留去工程中に重縮合反応が進行するため好ましくない。また、2.0より大きくなるとビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物に含有されるエチレングリコールの量が多くなれば、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを用いて、重縮合反応やエステル交換反応をするといった後工程でのエチレングリコール留去によるエネルギーコストの増大や反応への悪影響といった弊害が大きくなり、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの価値が低下するので、2.0以下とすることが好ましい。また、工程(a)の後、すなわち解重合反応後に水分率が1.0wt%以下のEGを得られた解重合反応物に添加して当該留去操作を行うと、さらに酸成分のエステル交換反応を促進できるので、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの酸価を低減することができる。添加の方法としては、クッションタンクへのEG添加やラインミキサー、ポンプシール液としてEGを用いたポンプによる解重合反応物の送液などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例ならびに比較例中において、下記の測定が行なわれた。
[実施例1]
市町村によって分別収集・回収されたペットボトルベール(ベール寸法:900mm×1000mm×550mmの120kgベール)を逐次解梱包した後に第1次粉砕機に投入し、粉砕機のスクリーン径を75mmに設定して1次粉砕を行い、次いで該粉砕物を第2次粉砕機に投入して粉砕機のスクリーン径を10mmに設定して2次粉砕を行った。その後該粉砕物を風力選別機にかけ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンを主成分とするボトルに付属したラベルを除去した。その後、水と混合させてからデカンターによって遠心分離を行い、ボトルの内容物を水洗・除去しつつポリプロプレン、ポリエチレンを主成分とするキャップなどとPETを主成分とする回収フレークスとを分離した。回収フレークスを加熱した空気で輸送し、サイロに一時保管した。このフレークスの含水率を測定したところ、0.6〜1.8wt%であった。次に当該PETフレークス10Tonを予め185℃まで加熱しておいたエチレングリコール(以下、EGと略記することがある)16Ton、炭酸ナトリウム300kgの混合物に仕込み、常圧185℃の条件下で溶媒等が留去しないように8時間反応させ、解重合プロダクト(A)を得た。この解重合プロダクト(A)の酸価を測定したところ、4.6mg−KOH/gであった。
市町村によって分別収集・回収されたペットボトルベール(ベール寸法:900mm×1000mm×550mmの120kgベール)を逐次解梱包した後に第1次粉砕機に投入し、粉砕機のスクリーン径を75mmに設定して1次粉砕を行い、次いで該粉砕物を第2次粉砕機に投入して粉砕機のスクリーン径を10mmに設定して2次粉砕を行った。その後該粉砕物を風力選別機にかけ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンを主成分とするボトルに付属したラベルを除去した。その後、水と混合させてからデカンターによって遠心分離を行い、ボトルの内容物を水洗・除去しつつポリプロプレン、ポリエチレンを主成分とするキャップなどとPETを主成分とする回収フレークスとを分離した。回収フレークスを加熱した空気で輸送し、サイロに一時保管した。このフレークスの含水率を測定したところ、0.6〜1.8wt%であった。次に当該PETフレークス10Tonを予め185℃まで加熱しておいたエチレングリコール(以下、EGと略記することがある)16Ton、炭酸ナトリウム300kgの混合物に仕込み、常圧185℃の条件下で溶媒等が留去しないように8時間反応させ、解重合プロダクト(A)を得た。この解重合プロダクト(A)の酸価を測定したところ、4.6mg−KOH/gであった。
この解重合プロダクト(A)を200g採取し、理論段数5段のバッチ式蒸留装置にて、還流無し、40.0kPa(300mmHg)の条件下で加熱し、EGを主成分とする成分を46g留去した結果、酸価0.7mg−KOH/gのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物が得られた。このとき工程(a)での仕込みエチレングリコール重量から留去したエチレングリコールを主とする成分重量を引いた差の、工程(a)での仕込みポリエステル廃棄物に対する重量比[以下EG/廃棄物重量比という。]は1.00であった。
[実施例2]
実施例1と同様の操作にて得られた解重合プロダクト(A)を理論段数5段の連続式蒸留塔に400L/minの流量で送液し、塔底温度210〜218℃、圧力26.7kPa(200mmHg)の条件でEGを主成分とする留去成分を50〜100/minの流量で留去した結果、酸価1.66mg−KOH/gのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物が得られた。EG/廃棄物重量比は実施例1と同様に1.00であった。
実施例1と同様の操作にて得られた解重合プロダクト(A)を理論段数5段の連続式蒸留塔に400L/minの流量で送液し、塔底温度210〜218℃、圧力26.7kPa(200mmHg)の条件でEGを主成分とする留去成分を50〜100/minの流量で留去した結果、酸価1.66mg−KOH/gのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物が得られた。EG/廃棄物重量比は実施例1と同様に1.00であった。
[比較例1]
バッチ式蒸留装置での蒸留時の圧力を13.3kPa(100mmHg)とし、EGを主成分とする成分を留去した量を47gとしたことを除き、その他は実施例1と同様の操作を行い得られたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物の酸価を測定したところ、4.01mg−KOH/gであった。
バッチ式蒸留装置での蒸留時の圧力を13.3kPa(100mmHg)とし、EGを主成分とする成分を留去した量を47gとしたことを除き、その他は実施例1と同様の操作を行い得られたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む組成物の酸価を測定したところ、4.01mg−KOH/gであった。
本発明のポリエステルから有効成分を回収する方法によれば、現実として多量に発生している水分と接触した経緯のあるポリエステル廃棄物に対して、設備投資費やエネルギーコストの高い乾燥工程を必要とせずに、ポリエステルの原料や反応中間体としてのニーズがあるビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを低酸価、高収率、かつ安定して回収できる。この点において工業面で非常に有意義である。
Claims (3)
- 平均含水率が0.5wt%〜3.0wt%のポリエチレンテレフタレートを主成分として含有するポリエステルからビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造するに際し、下記工程(a)〜(b):
工程(a):前記ポリエステルを、エチレングリコールと170〜280℃の温度にて解重合反応させる工程
工程(b):工程(a)にて得られた解重合反応物から20.0〜60.0kPaの圧力下においてエチレングリコールを留去する工程であって、
工程(a)で添加したエチレングリコール重量から留去したエチレングリコール重量を引いた差が、工程(a)で添加したポリエステルに対する重量比で0.3〜2.0になるまでエチレングリコールを留去する工程
に順次供することを含み、
前記工程(b)におけるエチレングリコールを留去する量が、工程(a)にて得られた解重合反応物に対して5.0wt%以上であることを特徴とするビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。 - 工程(a)において解重合反応触媒を用い、前記解重合触媒としてアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の酢酸塩、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の酢酸塩、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のアルコキシドおよびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の物質を工程(a)に添加することを特徴とする請求項1に記載のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 工程(a)で調整した解重合反応物に工程(b)以前の段階で、水分率が1.0wt%以下のエチレングリコールを添加することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
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