JP3894321B2 - バルブプレート - Google Patents

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本発明はバルブプレートに関し、より詳しくは、油圧ポンプやトランスミッションに用いて好適なバルブプレートの改良に関する。
従来、油圧ポンプのハウジング内に配設されて流体通路の一部を構成するバルブプレートは知られている(例えば特許文献1)。
このような従来のバルブプレートは、図5に示すように、金属の薄板からなり円板状に形成したプレートと、このプレートに形成した複数の軸方向の貫通孔からなる流体通路と、上記流体通路の1つである貫通孔から連続して、その隣接位置の端面に延びる逃がし溝とを備えている。
特開平11−182410号公報
ところで、上述した従来のバルブプレートは、銅系の材料によるバイメタル材の薄板を用いていたものである。
そのために、従来のバルブプレートにおいては、油圧ポンプにバルブプレートを組み付けてから油圧ポンプを作動させた際に、ポンプが高圧で作動されることに伴う発熱によって、バイメタル材の薄板からなる上記バルブプレートに反りが発生することがあった。
このように反りが発生したバルブプレートでは、摺動面となるバルブプレートの端面の位置から油洩れが発生するという欠点があった。また、バルブプレートの反りが原因となって、摺動部分である端面の片当りや偏摩耗、さらには焼き付きが発生するという欠点があった。
なお、熱の影響による反りの発生を防止するために、肉厚のバイメタル材によってバルブプレートを製造すると、該肉厚のバイメタル材に流体通路用の貫通孔を穿設するための打ち抜き用型の持ちが悪いという欠点が生じる。しかも、肉厚のバイメタル材を用いる場合には、その両端面を仕上げ精度の高い平坦面に仕上げるために、端面の仕上げ加工をする必要があり、製造コストが高くなるという欠点があった。
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、表層プレートと、中間プレートと、下層プレートとを備えて、それらを重合させた状態においてアクチュエータの所要箇所に配設されるバルブプレートであって、
上記各プレートは単体の銅合金からなり、上記各プレートに軸方向に貫通する複数の流体通路を形成するとともに、上記表層プレートの端面および中間プレートの端面に、上記流体通路の少なくとも1つから連続する逃がし溝を形成し、
上記中間プレートにおける表層プレートと重合する端面に、上記流体通路の半径方向外方側となる位置に円周方向溝からなる静圧逃がし通路を形成するとともに、
上記下層プレートにおける中間プレートと重合する端面に、上記流体通路の半径方向外方側となる位置に円周方向溝からなる静圧逃がし通路を形成したしたバルブプレートを提供するものである。
さらに、請求項3に記載した第2の本発明は、表層プレートと下層プレートとを備えて、それらを重合させた状態でアクチュエータの所要箇所に配設されるバルブプレートであって、
上記各プレートは単体の銅合金からなり、上記各プレートに軸方向に貫通する複数の流体通路を形成するとともに、上記表層プレートの端面に、上記流体通路から連続する逃がし溝を形成し、
上記下層プレートにおける表層プレートと重合する端面に、上記流体通路の半径方向外方側となる位置に円周方向溝からなる静圧逃がし通路を形成したバルブプレートを提供するものである。
上述した構成によれば、上記プレートは、単体の銅合金からなるので、バイメタル材を使用していた従来と比較して、そりの発生を防止しさらに材料費を安くすることができる。また、銅合金であれば、プレートの端面の仕上げ加工を簡略化することができる。さらに各プレートが相互に重合する端面に円周方向溝が形成してあるので、従来と比較して油洩れが少なく、製造が容易でコストが低いバルブプレートを提供することができる。
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、1は本実施例のバルブプレートであり、このバルブプレート1は、同一形状に形成した表層プレート2、中間プレート3、および下層プレート4によって構成されている。このバルブプレー1トは、図2に示すように、表層プレート2と下層プレート4の間に中間プレート3を挟持した状態で、つまり、これら3枚のプレートを重合した状態でアクチュエータの所要箇所に配設されるようになっている。
バルブプレート1を設けるアクチュエータとしては、例えば上記従来技術に開示された油圧ポンプやトランスミッションが考えられる。
本実施例においては、各プレート2〜4を単体の銅合金からなる円形の板状部材によって構成してあり、各プレート2〜4の中央部には、図示しないアクチュエータの回転軸が挿通される貫通孔2A,3A,4Aを穿設している。また、各プレート2〜4の外周部には、円周方向に180度ずれた位置に張り出し部2B,3B,4Bを形成し、かつこれらの張り出し部2B,3B、4Bにボルトを挿通するためのボルト孔2C、3C、4Cを穿設している。
また、各プレート2〜4における貫通孔2A,3A,4Aを囲繞して同一直径となる仮想円の円周方向の6箇所に、円周方向に沿った長孔2D,3D,4Dを穿設している。これらの長孔2D,3D,4Dは、各プレート2〜4における表面2E、3E、4Eから裏面2F,3F,4Fへ貫通させて形成している。これら各プレートにおける6箇所の長孔2D(3D、4D)の2箇所を流体を流通させるための吸入通路としてあり、他の2つを流体を流通させるための吐出通路としている。
各プレート2〜4の外周部には、両張り出し部2B(3B、4B)の中間となる位置に円弧状の切欠き部2G,3G、4Gを形成している。図2に示すように、各プレート2〜4を重合させる際に、各プレート2〜4の各切欠き部2G,3G,4Gを軸方向において同一直線状に一致させることで、重合状態とした各プレート2〜4の位置合わせを行い、それによって、各プレート2〜4に形成した吸入通路および吐出通路となる長孔2D、3D、4Dを軸方向の同一直線上に位置させるようになっている。
表層プレート2における表面2Eには、上記長孔2Dの内の4箇所から連続して円周方向に伸びる三角形の逃がし溝2Hを形成している。これらの逃がし溝2Hを形成したことにより、キャビテーションの発生を抑制してバルブプレート1の振動を減少させるようになっている。
また、中間プレート3における表面3Eには、上記長孔3Dの内の4箇所から連続して円周方向に伸びる三角形の逃がし溝3Hを形成している。
中間プレート3における一方の端面3Eには、上記切欠き部3Gの位置に台形状の凹部3Jを形成している。また、これら180度ずれた位置の凹部3Jにわたって、それらを連通させる円周方向溝からなる静圧逃がし溝3Kを形成している。この静圧逃がし溝3Kは、各長孔3Dの半径方向外方側に設けている。
また、下層プレート4の一方の端面4Eにも、上記中間プレート3と同様の凹部4Jを形成してあり、さらに中間プレート3と同様に上記2箇所の凹部4Jを連通させる静圧逃がし溝4Kを形成している。
このように構成した各プレート2〜4により、バルブプレート1が構成されるわけであるが、本実施例においては、上述したように各プレート2〜4の材料として、従来とは異なり、単体の銅合金を用いている。銅合金としては、高力黄銅(例えば、三井金属鉱業FABM材)あるいはリン青銅を用いる。
また、本実施例においては、各プレート2〜4の外径及び貫通孔2A,3A,4Aの内径は、同じ寸法に設定しているが、板厚については、次のような寸法設定としている。つまり、表層プレート2の板厚は、中間プレート3および下層プレート4の板厚よりも小さく設定している。
このように構成した各プレート2〜4を図2に示すように重合させる。つまり、下層プレート4を最下層に配置し、その表面4E上に中間プレート3の裏面3Fを重合させ、さらにその中間プレート3の表面3Eに表層プレート2の裏面2Fを重合させて、その状態において、図示しない油圧ポンプのハウジング内の所要箇所に取り付けるようにしている。
油圧ポンプに取り付けた状態では、下層プレート4の裏面4Fは、油圧ポンプのハウジング内の端面に当接し、他方、表層プレート2の表面2Eに油圧ポンプのシリンダの端面が摺動するようになっている。つまり、表層プレート2の表面2Eが摺動面となる。
以上のように構成した本実施例のバルブプレート1によれば、バイメタル材ではなく単体の銅合金によって各プレート2〜4を構成しているので、各プレートの長孔の穿孔作業や両端面の仕上げ作業が容易であり、しかも材料費を安くすることができる。また、3枚のプレート2〜4を重合させることで充分な厚さのバルブプレート1を構成することができるので、熱の影響によるバルブプレート1のそりの発生や変形を良好に防止することができる。そのため油洩れが少なく、摺動性能が良好なバルブプレートを提供することができる。
-------------(第2実施例)
上記第1実施例においては、3枚のプレート2〜4によってバルブプレート1を構成していたが、第2の実施例として、2枚のプレートを用いたバルブプレート1であっても良い。
つまり、図1に示した、中間プレート3を省略して、表層プレート2と下層プレート4とによってバルブプレート1を構成するようにしても良い。表層プレート2、下層プレート4の構成は、上記第1実施例と同じなので、説明は省略する。
この第2実施例においても、表層プレート2の板厚は、下層プレート4の板厚よりも小さく設定する。
このような第2実施例の構成であっても、上記第1実施例と同様の作用、効果を得ることができる。
なお、上記各実施例の表層プレート2および/または下層プレート4の表面および/または裏面をSn系めっき,PTFE,MoSのいずれかで被覆しても良い。このように所要箇所の表面と裏面をSn系めっき等により被覆することで、その部分のなじみ性が良好となるようにしている。
本発明の第1実施例を示すバルブプレートの構成部材の平面図。 図1に示したバルブプレートの構成部材を重合させた状態の側面図。 従来技術を示す平面図。
符号の説明
1…バルブプレート 2…表層プレート
2D…長孔(流体通路) 2H…逃がし溝
3…中間プレート 3D…長孔(流体通路)
3H…逃がし溝 4…下層プレート
4D…長孔(流体通路) 4H…逃がし溝

Claims (6)

  1. 表層プレートと、中間プレートと、下層プレートとを備えて、それらを重合させた状態においてアクチュエータの所要箇所に配設されるバルブプレートであって、
    上記各プレートは単体の銅合金からなり、上記各プレートに軸方向に貫通する複数の流体通路を形成するとともに、上記表層プレートの端面および中間プレートの端面に、上記流体通路の少なくとも1つから連続する逃がし溝を形成し、
    上記中間プレートにおける表層プレートと重合する端面に、上記流体通路の半径方向外方側となる位置に円周方向溝からなる静圧逃がし通路を形成するとともに、
    上記下層プレートにおける中間プレートと重合する端面に、上記流体通路の半径方向外方側となる位置に円周方向溝からなる静圧逃がし通路を形成したことを特徴とするバルブプレート。
  2. 上記表層プレートの板厚を、上記中間プレートおよび下層プレートの板厚よりも小さく設定したことを特徴とする請求項1に記載のバルブプレート。
  3. 表層プレートと下層プレートとを備えて、それらを重合させた状態でアクチュエータの所要箇所に配設されるバルブプレートであって、
    上記各プレートは単体の銅合金からなり、上記各プレートに軸方向に貫通する複数の流体通路を形成するとともに、上記表層プレートの端面に、上記流体通路から連続する逃がし溝を形成し、
    上記下層プレートにおける表層プレートと重合する端面に、上記流体通路の半径方向外方側となる位置に円周方向溝からなる静圧逃がし通路を形成したことを特徴とするバルブプレート。
  4. 上記表層プレートの板厚を下層プレートの板厚よりも小さく設定したことを特徴とする請求項3に記載のバルブプレート。
  5. 上記銅合金は、高力黄銅あるいは、ばね用リン青銅であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のバルブプレート。
  6. 上記表層プレートおよび/または下層プレートの表面および/または裏面をSn系めっき,PTFE,MoSのいずれかで被覆したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のバルブプレート。
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