JP7122338B2 - 油圧装置 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧装置に関する。
摺動面に、固体潤滑材を配置することが知られている。固体潤滑材は、例えば、1つの金属部材と他の金属部材との間の接触面に配置される。固体潤滑材は、金属同士の直接接触に伴う金属接触面の焼付き現象(すなわち、金属接触面の変質)を抑制する。
関連する技術として、特許文献1には、トルク伝達面に固体潤滑皮膜を配置することが記載されている。また、特許文献2には、回転軸とハウジングとの間に介在されるシールリングに、固体潤滑材を含有させることが記載されている。
特開2012-137137号公報 特開平6-240271号公報
本発明の目的は、大きな軸方向荷重が作用するシール面(または、摺動面)におけるシール特性(または、摺動特性)を維持可能な油圧装置、油圧ポンプ、油圧モータ、油圧装置における摺動構造を提供することにある。
この発明のこれらの目的とそれ以外の目的と利益とは以下の説明と添付図面とによって容易に確認することができる。
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
いくつかの実施形態の油圧装置は、バレル(50)と弁板(60)とを具備する。前記バレル(50)は、ハウジング(40)内に配置される。前記バレル(50)は、中心軸(X軸)まわりに回転可能である。前記バレル(50)は、前記中心軸(X軸)に垂直な第1摺動面(72;52)を備える。前記弁板(60)は、前記ハウジング(40)に固定される。前記弁板(60)は、前記第1摺動面(72;52)に接触する第2摺動面(62;72’)を備える。前記第1摺動面(72;52)および前記第2摺動面(62;72’)は、油シール面である。前記第1摺動面(72;52)および前記第2摺動面(62;72’)は、前記中心軸(X軸)に沿う方向に軸方向荷重が作用する面である。前記第1摺動面(72;52)と前記第2摺動面(62;72’)のうちの少なくとも1つの摺動面(換言すれば、前記第1摺動面と前記第2摺動面のうちのいずれか一方の摺動面、または、両方の摺動面)は、固体潤滑皮膜(70)の表面である。
上記油圧装置において、前記ハウジング(40)に固定される斜板(80)を更に備えていてもよい。前記バレル(50)は、ピストン(542)と、シリンダ室(543)と、流出入口(544)とを有する油圧シリンダ(54)を備えていてもよい。前記弁板(60)は、前記流出入口(544)と連通可能な高圧側ポート(66)と、前記流出入口(544)と連通可能な低圧側ポート(64)とを備えていてもよい。前記固体潤滑皮膜(70)には、前記中心軸(X軸)に対して非対称に、前記軸方向荷重が作用してもよい。
上記油圧装置において、前記バレルの前記第1摺動面(72;52)には、前記流出入口(544)を囲む環状溝(58)が形成されていてもよい。
上記油圧装置において、前記弁板の前記第2摺動面(62;72’)には、前記高圧側ポート(66)および前記低圧側ポート(64)を囲む環状溝が形成されていてもよい。
上記油圧装置において、前記バレル(50)の硬度が前記弁板(60)の硬度より低い場合には、前記第1摺動面(72;52)に前記流出入口(544)を囲む環状溝が設けられてもよい。また、前記バレル(50)の硬度が前記弁板(60)の硬度より高い場合には、前記第2摺動面(62;72’)に前記高圧側ポート(66)および前記低圧側ポート(64)を囲む環状溝が設けられてもよい。
上記油圧装置において、前記斜板(80)における前記ピストン(542)との摺動面である斜板摺動面、または、前記ピストン(542)における前記斜板(80)との摺動面であるピストン摺動面の少なくとも一方には、固体潤滑皮膜(5426)が配置されてもよい。
上記油圧装置において、前記バレル(50)とともに回転するリテーナ(90)と、前記斜板(80)と前記リテーナ(90)との間に配置されるワッシャ(100)とを更に備えていてもよい。前記ワッシャ(100)の表面、前記ワッシャ(100)に接触する前記斜板(80)の表面、または、前記ワッシャ(100)に接触する前記リテーナ(90)の表面のうちの少なくとも1つの表面には、固体潤滑皮膜(102)が配置されていてもよい。
上記油圧装置において、前記ワッシャ(100)の表面のうち、前記斜板に接触する表面、および、前記リテーナ(90)に接触する表面に、前記固体潤滑皮膜(102)が配置されていてもよい。
上記油圧装置において、前記バレル(50)とともに回転する回転シャフト(110)と、前記回転シャフト(110)に固定され、前記中心軸(X軸)に垂直な第3摺動面を備える面シール部材(114)と、前記ハウジング(40)に固定され、前記第3摺動面と接触する第4摺動面を備える受け部材(48)とを更に備えていてもよい。前記第3摺動面および前記第4摺動面は、前記中心軸(X軸)に沿う方向の軸方向荷重が作用する面であってもよい。前記第3摺動面と前記第4摺動面のうちの少なくとも1つの摺動面は、固体潤滑皮膜(49)の表面であってもよい。
いくつかの実施形態の油圧ポンプは、上記の段落のいずれかの段落に記載された油圧装置を備える油圧ポンプである。
いくつかの実施形態の油圧モータは、上記の段落のいずれかの段落に記載された油圧装置を備える油圧モータである。
いくつかの実施形態の油圧装置における摺動構造は、第1部材(50;100;114;542)と、第2部材(60;90;48;80)とを具備する。前記第1部材は、中心軸(X軸;Ct)まわりに回転可能であり、前記中心軸(X軸;Ct)に垂直な第1摺動面(72等)を備える。前記第2部材は、前記第1摺動面に接触する第2摺動面(62等)を備える。前記第1摺動面および前記第2摺動面は、前記中心軸(X軸;Ct)に沿う方向に軸方向荷重が作用する面である。前記第1摺動面と前記第2摺動面のうちの少なくとも1つの摺動面は、固体潤滑皮膜(70;102;49;5426)の表面である。
上記油圧装置における摺動構造において、前記第1摺動面、および、前記第2摺動面は、前記中心軸に対して非対称に前記軸方向荷重が作用する面であってもよい。
本発明により、大きな軸方向荷重が作用するシール面(または、摺動面)におけるシール特性(または、摺動特性)を維持可能な油圧装置、油圧ポンプ、油圧モータ、油圧装置における摺動構造が提供できる。
図1Aは、固定部材および回転部材の側面図であり、発明者によって認識された課題を説明する図である。 図1Bは、図1AのA-A矢視断面図である。 図2Aは、固定部材および回転部材の側面図であり、発明者によって認識された課題を説明する図である。 図2Bは、図2AのB-B矢視断面図である。 図2Cは、固定部材および回転部材の側面図であり、発明者によって認識された課題を説明する図である。 図3Aは、油圧装置の概略側面図である。 図3Bは、図3AのA1-A1矢視断面図である。 図3Cは、図3AのA1-A1矢視断面図である。 図4Aは、図3AのA1-A1矢視断面図である。 図4Bは、図4AのC-C矢視断面図である。 図4Cは、図4AのD-D矢視断面図である。 図4Dは、図4AのE-E矢視断面図である。 図4Eは、図4Aの領域Fの拡大図である。 図4Fは、図4Aの領域Fの拡大図であり、変形例を示す。 図4Gは、油圧装置の動作について説明するための図である。 図5Aは、油圧ポンプの一例を示す概略ブロック図である。 図5Bは、油圧モータの一例を示す概略ブロック図である。 図6は、図3AのA1-A1矢視断面図である。
以下、油圧装置、油圧ポンプ、油圧モータ、油圧装置における摺動構造に関して、添付図面を参照して説明する。
(重要な用語の定義)
本明細書において、「垂直」には、厳密に90度であることと、約90度であることが包含される。約90度には、85度以上95度以下の角度が包含される。
(座標系の定義)
回転シャフトの中心軸に沿う方向をX軸と定義する。油圧装置が、バレルおよび弁板を備える場合、+X方向は、X軸に沿う方向であって、バレルから弁板に向かう方向と定義する。Z軸は、X軸に垂直な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に垂直な軸である。
(発明者によって認識された課題)
図1Aおよび図1Bは、大きな軸方向荷重が作用する摺動面について説明するための図である。図1Aは、固定部材10および回転部材20の側面図である。図1Bは、図1AのA-A矢視断面図である。
固定部材10は、例えば、ハウジングに固定されている。固定部材10は、例えば、固定板12を備える。回転部材20は、中心軸(X軸)まわりに回転する。図1Aに記載の例では、回転部材20は、R方向に回転する。回転部材20は、例えば、回転板22を備える。固定部材10および回転部材20には、中心軸(X軸)に沿って、圧縮荷重である軸方向荷重Fが作用する。
固定板12は、回転板22に接触する摺動面を備える。また、回転板22は、固定板12に接触する摺動面を備える。回転板22の摺動面、および、固定板12の摺動面には、軸方向荷重が作用する。軸方向荷重が作用する摺動面において、焼付き現象が発生するのを防止するために、摺動面に軟質金属のめっきを施す技術が知られている。
発明者は、大きな軸方向荷重が作用する摺動面に軟質金属のめっきを施した場合、めっきの摩耗が激しいことを見出した。焼付き現象の発生を防止する観点からは、多少のめっきの摩耗は許容される。しかし、大きな軸方向荷重が作用する摺動面が、シール面である場合には、めっきの摩耗によって、シール面からの液漏れが発生する。
発明者は、大きな軸方向荷重が作用する摺動面のうちの少なくとも一方の摺動面を固体潤滑皮膜14の表面とすることで、シール面の摩耗に伴う、シール面からの液漏れの発生が防止されることを見出した。軸方向荷重が作用する摺動面には、軟質金属のめっきを施すという技術常識を覆すものである。なお、図1Aにおいて、固体潤滑皮膜14の表面と、回転板22の表面との間の隙間が誇張されて記載されている。当該隙間は、実際には、微小隙間である。また、実際には、微小隙間は一様ではなく、固体潤滑皮膜14の表面と、回転板22の表面とが互いに接触する領域も存在する。
(発明者によって認識された別の課題)
図2A乃至図2Cは、中心軸に対して非対称な軸方向荷重が作用する摺動面について説明するための図である。図2Aは、固定部材10および回転部材20の側面図である。図2Bは、図2AのB-B矢視断面図である。図2Cは、固定部材10および回転部材20の側面図である。
図2A乃至図2Cについて、図1Aおよび図1Bを用いて説明した部材と同一の機能の部材には、同一の図番を付している。固定板12の下側部分(-Z方向側の領域Az(-)に位置する部分)には、軸方向荷重F1が作用し、回転板22の下側部分(-Z方向側の領域Az(-)に位置する部分)には、軸方向荷重F1が作用する。また、固定板12の上側部分(+Z方向側の領域Az(+)に位置する部分)には、軸方向荷重F2が作用し、回転板22の上側部分(+Z方向側の領域Az(+)に位置する部分)には、軸方向荷重F2が作用する。軸方向荷重F2が、軸方向荷重F1よりも小さい場合を想定する(換言すれば、摺動面に、中心軸(X軸)に対して非対称な軸方向荷重が作用する場合を想定する。)。
図2Cを参照すると、軸方向荷重F1が作用する固定板12の下側部分と、軸方向荷重F1が作用する回転板22の下側部分との間の距離は、軸方向荷重F2が作用する固定板12の上側部分と、軸方向荷重F2が作用する回転板22の上側部分との間の距離よりも小さくなることが把握される。
例えば、固定板12の表面に軟質金属のめっきを施す場合を想定する。軸方向荷重F1が作用する固定板12の下側部分に施されためっきは、軸方向荷重F2が作用する固定板12の上側部分に施されためっきよりも、激しく摩耗する。換言すれば、めっきの摩耗量は、中心軸(X軸)に対して、非対称となる。
発明者は、中心軸に対して非対称な軸方向荷重が作用する摺動面が、シール面である場合には、めっきの摩耗量が非対称であることに起因して、シール面からの液漏れが発生することを見出した。
また、発明者は、中心軸に対して非対称な軸方向荷重が作用する摺動面のうちの少なくとも一方の摺動面を固体潤滑皮膜14の表面とすることで、摩耗量が非対称であることに伴う、シール面からの液漏れの発生が防止されることを見出した。
なお、図1A乃至図2Cにおける固定部材10および回転部材20は、発明者によって認識された課題を説明するために便宜的に記載されたものである。よって、図1A乃至図2Cに記載された固定部材10および回転部材20は、本願出願前における公知技術を示すものではない。
(油圧装置の概要)
図3Aおよび図3Bを参照して、油圧装置30(油圧により動作する装置)の概要について説明する。図3Aは、油圧装置の概略側面図である。また、図3Bは、図3AのA1-A1矢視断面図である。
油圧装置30は、ハウジング40と、バレル50と、弁板60とを具備する。
バレル50は、ハウジング40内に配置される。バレル50は、中心軸(X軸)まわりに回転可能であり、油圧シリンダ54と、固体潤滑皮膜70と、中心軸(X軸)に垂直な第1摺動面72とを備える。
弁板60は、ハウジングに直接的にあるいは間接的に固定される。弁板60は、第1摺動面72に接触する第2摺動面62を備える。なお、「接触」には、常に接触していることに加え、時々接触することも包含される。
第1摺動面72および第2摺動面62は、油が漏れないようにバレル50と弁板60との間をシールする油シール面である。また、第1摺動面72には、弁板60または油を介して、中心軸(X軸)に沿う方向に軸方向荷重(F1、F2等)が作用し、第2摺動面62には、バレル50または油を介して、中心軸(X軸)に沿う方向に軸方向荷重(F1、F2等)が作用する。軸方向荷重(F1、F2等)は、中心軸(X軸)に対して、非対称な軸方向荷重(例えば、F1>F2)である。
図3Bに記載の例において、第1摺動面72は、固体潤滑皮膜70の表面である。代替的に、あるいは、付加的に、第2摺動面を固体潤滑皮膜70の表面としてもよい。固体潤滑皮膜70は、バレル50を構成する基材(例えば、金属基材)、および、弁板60を構成する基材(例えば、金属基材)のうち硬度の低い方の基材上に設けられてもよい。
図3Cに、第2摺動面72’を固体潤滑皮膜70’の表面とした例を示す。図3Cについて、図3Bを用いて説明した部材と同一の機能の部材には、同一の図番を付している。
図3Cに記載の例では、バレル50は、中心軸(X軸)に垂直な第1摺動面52を備える。弁板60は、第1摺動面52に接触する第2摺動面72’を備える。なお、「接触」には、常に接触していることに加え、時々接触することも包含される。
第1摺動面52および第2摺動面72’は、油が漏れないようにバレル50と弁板60との間をシールする油シール面である。また、第1摺動面52には、弁板60または油を介して、中心軸(X軸)に沿う方向に軸方向荷重(F1、F2等)が作用し、第2摺動面72’には、バレル50または油を介して、中心軸(X軸)に沿う方向に軸方向荷重(F1、F2等)が作用する。軸方向荷重(F1、F2等)は、中心軸(X軸)に対して、非対称な軸方向荷重(例えば、F1>F2)である。図3Cに記載の例では、第2摺動面72’は、固体潤滑皮膜70の表面である。
図3Bまたは図3Cに記載の例では、第1摺動面または第2摺動面は、固体潤滑皮膜70の表面である。このため、第1摺動面および第2摺動面に軸方向荷重が作用する場合であっても、第1摺動面と第2摺動面との間のシール特性が維持される。
図3Bまたは図3Cに記載の例では、第1摺動面または第2摺動面は、固体潤滑皮膜70の表面である。このため、第1摺動面および第2摺動面に、中心軸(X軸)に対して非対称な軸方向荷重が作用する場合であっても、第1摺動面と第2摺動面との間のシール特性が維持される。
(油圧装置のより詳細な説明)
図4Aを参照して、油圧装置30について、より詳細に説明する。図4Aは、図3AのA1-A1矢視断面図である。図4Aについて、図3Bを用いて説明した部材と同一の機能の部材には、同一の図番を付している。
以下、油圧装置30が、油圧ポンプに含まれる場合について説明するが、油圧装置30は、油圧モータに含まれていてもよい。
油圧装置30は、ハウジング40と、バレル50と、弁板60と、斜板80と、リテーナ90と、ワッシャ100と、回転シャフト110と、弾性部材120と、軸受130と、第2軸受140とを具備する。
(ハウジング40)
ハウジング40は、例えば、側壁40Aと、第1端壁40Bと、第2端壁40Cとを備える。第1端壁40Bは、側壁40Aの一端に固定され、第2端壁40Cは、側壁40Aの他端に固定される。側壁40Aは、例えば、円筒形状である。第1端壁40Bは、第1管路144と連通する第1油路44、および、第2管路146と連通する第2油路46を備える。油は、第1管路144から油圧装置30に供給される。また、油は、油圧装置30から第2管路146に排出される。油圧装置30は、第2管路146に油を供給する油圧ポンプの一部として機能する。
(弁板60)
弁板60は、ハウジングの第1端壁40Bに固定される。弁板60は、低圧側ポート64および高圧側ポート66(必要であれば、図4AのC-C矢視断面図である図4Bを参照。)と、第2摺動面62とを備える。低圧側ポート64は、ハウジングの第1端壁40Bの第1油路44と連通する。高圧側ポート66は、第2油路46と連通する。
(バレル50)
バレル50は、ハウジング40内に配置される。バレル50は、中心軸(X軸)まわりに回転可能であり、第1油圧シリンダ54-1乃至第9油圧シリンダ54-9(なお、図4Aには、第1油圧シリンダ54-1と、第5油圧シリンダ54-5のみが図示されている。)と、固体潤滑皮膜70と、中心軸(X軸)に垂直な第1摺動面72とを備える。固体潤滑皮膜70は、バレル50の+X方向側の端部(すなわち、弁板側の端部)に設けられている。よって、固体潤滑皮膜70の表面は、第1摺動面72である。なお、図4Aおよび図4Bに記載の例では、油圧シリンダの数は9個である。しかし、油圧シリンダの数は、9個に限定されない。油圧シリンダの数は、1以上の任意の数(通常は奇数)である。
第1油圧シリンダ54-1は、第1ピストン542-1と、第1シリンダ室543-1と、第1流出入口544-1とを備える。第1シリンダ室543-1は、第1流出入口544-1と弁板の低圧側ポート64とが連通する時、第1管路144と、第1油路44と、低圧側ポート64と、第1流出入口544-1とを介して供給される油を受け取る。第1シリンダ室543-1は、第1流出入口544-1と弁板の高圧側ポート66とが連通する時、第1流出入口544-1と、高圧側ポート66と、第2油路46とを介して、第2管路146に油を排出する。図4Cは、図4AのD-D矢視断面図であり、第1油圧シリンダ54-1の第1流出入口544-1に加えて、第2油圧シリンダ54-2乃至第9油圧シリンダ54-9のそれぞれに対応する第2流出入口544-2乃至第9流出入口544-9が示されている。
第1ピストン542-1は、中心軸(X軸)に沿う方向に、シリンダブロックに対して摺動する。第1ピストン542-1が+X方向すなわち弁板60に近づく方向に摺動する時、第1シリンダ室543-1の容積は縮小され、第1シリンダ室543-1から、第2管路146に油が排出される。第1ピストン542-1が-X方向すなわち弁板60から遠ざかる方向に摺動する時、第1シリンダ室543-1の容積は拡大され、第1管路144から第1シリンダ室543-1に、油が供給される。
第1ピストン542-1の遠位端部5422-1(弁板60から遠い側の端部)は、球状部を備える。当該球状部には、第1シュー546-1が接続される。第1シュー546-1は、球状部に対して、相対回転自在に接続される。第1シュー546-1は、斜板80に接触している。また、第1シュー546-1は、リテーナ90により斜板からの距離が一定の範囲となる様に拘束されている。リテーナ90の中心軸をCtと定義する。第1シュー546-1、および、リテーナ90は、バレル50の回転に伴い、中心軸Ctのまわりを回転する。第1シュー546-1は、バレル50の回転に伴い、斜板80の表面上を摺動する。図4Dは、図4AのE-E矢視断面図であり、第1シュー546-1に加えて、第2シュー546-2乃至第9シュー546-9が示されている。
図4Aには、第1シュー546-1が、弁板60から最も離れた位置にある状態(すなわち、第1シュー546-1が、最も、-X方向に位置する状態)が示されている。当該状態では、第1ピストン542-1は、最も-X方向に退避した位置にあり、第1シリンダ室543-1の容積は最大である。第1シリンダ室543-1の容積が大きくなるにつれて、第1シリンダ室543-1には、第1流出入口544-1および低圧側ポート64を介して、油が供給される。
バレル50の回転に伴い、第1シュー546-1は、斜板80の表面上を摺動する。第1シュー546-1が斜板80の表面上を摺動することにより、第1シュー546-1が、+X方向に移動すると、第1シリンダ室543-1の容積は小さくなる。第1シリンダ室543-1の容積が小さくなるにつれて、第1シリンダ室543-1から第2管路146に、第1流出入口544-1および高圧側ポート66を介して、油が供給される。
第2油圧シリンダ54-2乃至第9油圧シリンダ54-9の各油圧シリンダの構成は、第1油圧シリンダ54-1の構成と同一である。また、第2シュー546-2乃至第9シュー546-9の各シューの構成は、第1シュー546-1の構成と同一である。よって、第2油圧シリンダ54-2乃至第9油圧シリンダ54-9、第2シュー546-2乃至第9シュー546-9についての説明は、省略する。
図4Aにおいて、バレル50の上側部分(+Z側の領域Azz(+)に位置する部分)には、第1シリンダ室543-1内の油圧等によって、+X方向の軸方向荷重が作用している。バレル50に、弾性部材120等の押圧機構による+X方向の軸方向荷重を作用させてもよい。バレル50の上側部分に作用する+X方向の軸方向荷重を軸方向荷重F2と定義する。弁板60の第2摺動面62には、バレル50によって押されることにより、軸方向荷重F2が作用する。第2摺動面62に軸方向荷重F2が作用することの反作用として、バレル50の第1摺動面72には、軸方向荷重F2が作用する。
図4Aにおいて、バレル50の下側部分(-Z側の領域Azz(-)に位置する部分)には、第5シリンダ室543-5内の油圧等によって、+X方向の軸方向荷重が作用している。バレル50に、弾性部材120等の押圧機構による+X方向の軸方向荷重を作用させてもよい。バレル50の下側部分に作用する+X方向の軸方向荷重を軸方向荷重F1と定義する。第5シリンダ室543-5内の油圧は、第1シリンダ室543-1内の油圧よりも大きいため、軸方向荷重F1は、軸方向荷重F2よりも大きい。弁板60の第2摺動面62には、バレル50によって押されることにより、軸方向荷重F1が作用する。第2摺動面62に軸方向荷重F1が作用することの反作用として、バレル50の第1摺動面72には、軸方向荷重F1が作用する。
油圧装置において、第1摺動面72および第2摺動面62に作用する軸方向荷重による圧力(面圧)は、非常に大きい。例えば、軸方向荷重によって、第1摺動面72または第2摺動面62に作用する軸方向圧力(面圧)は、5MPa以上となる場合もある。軸方向荷重による圧力(面圧)の作用下における摺動によって、第1摺動面72および第2摺動面62は、摩耗する。実施形態では、第1摺動面72を、固体潤滑皮膜70の表面としているため、固体潤滑皮膜70の高い摺動特性(高い耐焼付き特性)によって、摩耗が緩和される。高い摺動特性とは、摩擦係数が小さく、耐焼付き性に優れる特徴を意味する。固体潤滑皮膜70は、その結晶構造により、結合力の弱い層間ですべり易く、結合力の強い面で圧縮方向への荷重に耐える。このため、摩擦係数が小さく、耐焼付き性に優れる特徴を有する。
また、実施形態の油圧装置において、第1摺動面72および第2摺動面62に作用する軸方向荷重による圧力(面圧)は、Z軸に対して非対称である。非対称な軸方向荷重よる圧力(面圧)によって、第1摺動面72および第2摺動面62は、非対称に摩耗する。実施形態では、第1摺動面72を、固体潤滑皮膜70の表面としているため、固体潤滑皮膜70の高い摺動特性によって、非対称な摩耗が緩和される。
(斜板80、リテーナ90、ワッシャ100)
斜板80は、ハウジング40に直接的または間接的に固定される。図4Aにおいて、図面の複雑化を避けるために、斜板80のハウジング40に対する固定機構の記載は省略されている。斜板80は、第1シュー546-1乃至第9シュー546-9が摺動する摺動面(シュー摺動面)を備える。なお、第1シュー546-1乃至第9シュー546-9は、省略されてもよい。第1シュー546-1乃至第9シュー546-9が省略される場合、斜板80は、第1ピストン542-1乃至第9ピストン542-9が摺動する摺動面(ピストン摺動面)を備える。
リテーナ90は、ワッシャ100を保持する部材である。斜板80とリテーナ90との間には、ワッシャ100が配置される。ワッシャ100は、リング状の部材である。ワッシャ100は、リテーナ90に対して摺動可能であるとともに、斜板80に対して摺動可能である。ワッシャ100の表面には、中心軸Ctに沿う方向に軸方向荷重が作用する。軸方向荷重は、中心軸Ctに対して非対称な軸方向荷重である。
図4Eは、図4Aの領域Fの拡大図である。図4Eを参照すると、ワッシャ100の表面には、固体潤滑皮膜102が設けられている(換言すれば、ワッシャの表面は、固体潤滑皮膜102の表面である)。なお、図4Eに記載の例では、ワッシャ100の表面のうちリテーナ90と接触する側の表面に固体潤滑皮膜102が設けられている。代替的に、ワッシャ100の表面のうち斜板80と接触する側の表面に固体潤滑皮膜102が設けられてもよい。なお、図4Eに記載の例では、ワッシャ100の表面に固体潤滑皮膜102が設けられている。代替的に、あるいは、付加的に、ワッシャ100と接触するリテーナ90の表面に固体潤滑皮膜102が設けられてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、ワッシャ100と接触する斜板80の表面に固体潤滑皮膜102が設けられてもよい。
なお、ワッシャ100の表面に固体潤滑皮膜102を適用する方が、リテーナ90の表面あるいは斜板80の表面に固体潤滑皮膜102を適用するよりも、皮膜の施工が容易である。なお、ワッシャ100の両面(すなわち、ワッシャ100の表面のうちリテーナ90と接触する表面、および、ワッシャ100の表面のうち斜板80と接触する表面の両方)に、固体潤滑皮膜102を設けることが好ましい。なぜなら、例えば、ワッシャ100とリテーナ90との間の固体潤滑皮膜が摩耗して、ワッシャ100とリテーナ90との間に焼付きが生じた場合であっても、ワッシャ100と斜板80との間にすべりが生じることにより、過度な焼付きを防止することができるからである。図4Fに、ワッシャ100の両面に固体潤滑皮膜102を設けた例を示す。
実施形態では、ワッシャ100の表面、ワッシャ100と接触する斜板80の表面、または、ワッシャ100と接触するリテーナ90の表面のうちの少なくとも1つの表面に固体潤滑皮膜102が設けられている。このため、軸方向荷重による圧力(面圧)の作用によるワッシャ、斜板、または、リテーナの摩耗が緩和される。さらに、非対称な軸方向荷重による圧力(面圧)の作用によるワッシャ、斜板、または、リテーナの非対称な摩耗が緩和される。
(回転シャフト110)
回転シャフト110は、駆動装置(図4Aには、図示されず)からの動力を、バレル50に伝達する回転部材である。回転シャフト110の係合部112と、バレル50の係合部55とは、X軸まわりの相対回転を制限または禁止するように、互いに係合している。係合部112は、例えば、回転シャフトの外周面に形成された凸部である。係合部55は、例えば、バレル50の内周面に形成された凹部である。回転シャフト110がX軸まわりに回転することにより、バレル50は、X軸まわりに回転する。
回転シャフト110は、バレルを+X方向(すなわち、弁板60を押圧する方向)に向けて付勢してもよい。図4Aに記載の例では、回転シャフト110は、弾性部材120(例えば、コイルスプリング)を介して、バレル50を弁板60に向けて付勢している。図4Aに記載の例では、弾性部材120は、回転シャフト110の先端と、バレル50に設けられた受け部56との間に配置されている。
(軸受130、140)
軸受130は、回転シャフト110を回転自在に支持する軸受である。また、第2軸受140は、バレル50をハウジング40に対して回転可能に支持する軸受である。第2軸受140は、バレル50と、ハウジング40(具体的には、ハウジング40の側壁40A)との間に配置されている。
(環状溝58)
実施形態では、バレル50の弁板60側の端面(すなわち、第1摺動面72)には、第1流出入口544-1乃至第9流出入口544-9(換言すれば、複数の流出入口である全ての流出入口)を囲む環状溝58が設けられている。環状溝58の深さは、固体潤滑皮膜70の厚さを超えて、バレル50の基材に達する深さであってもよい。また、環状溝58に連通する放射状の溝が設けられてもよい。環状溝および放射状の溝は、第1摺動面72と第2摺動面62との間の隙間から漏れた油の圧力勾配をコントロールする。ハウジング内部圧力(ケース圧力)に達するまでの圧力勾配をコントロールすることで、バレル50の回転バランスを取ることが可能である。
実施形態では、固体潤滑皮膜70の存在により焼付きが防止される。焼付き防止により、シール機能が保持され、油漏れリスクが低減されるのに加えて、環状溝58の存在により回転バランスが維持される。すなわち、固体潤滑皮膜70による焼付き防止、油漏れリスク低減効果と環状溝58による回転バランス維持効果との相乗効果により、油漏れが効果的に抑制される。
環状溝58は、互いに接触する2つの表面のうち、少なくとも一方の表面(換言すれば、互いに接触する2つの表面のうちのいずれか一方の表面、または、両方の表面)に設けられてもよい。硬度が低い側の部材の表面に環状溝58を設けた場合、環状溝58のエッジにより、他の部材(硬度が高い側の部材)の表面が傷つけられるリスクが低減される。また、硬度が低い側の部材の表面に固体潤滑皮膜を設けることにより、固体潤滑皮膜が摩耗して硬度が低い側の部材が露出した場合に、他の部材(硬度が高い側の部材)の表面が傷つけられるリスクが低減される。
なお、図4Aに記載の実施形態では、環状溝58が、バレル側に設けられている。代替的に、あるいは、付加的に、環状溝58が、弁板60側(具体的には、第2摺動面62)に設けられてもよい。環状溝58が、弁板60側に設けられる場合、環状溝は、高圧側ポート66および低圧側ポート64を囲むように配置される。
(油圧装置の動作)
次に図4Aおよび図4Gを参照して、油圧装置の動作について説明する。図4Gは、油圧シリンダの位置および状態を模式的に示す図である。
第1に、駆動装置(図4A、図4Gには図示されず)からの動力により、回転シャフト110が回転する。回転シャフト110の回転は、係合部112および係合部55を介して、バレル50に伝達される。すなわち、バレル50は、回転シャフト110とともに、X軸まわりに回転する。
第1の状態において、油圧シリンダ54(第1油圧シリンダ54-1乃至第9油圧シリンダ54-9のうちのいずれか1つの油圧シリンダ)が、最も+Z方向側の位置、すなわち、図4GにおけるP1の位置(第1位置)に存在することを想定する。この時、油圧シリンダ54のシリンダ室543の容積V1は、最大である。第1の状態において、シリンダ室543は、流出入口544と連通しており、低圧側ポート64と高圧側ポート66のうちの少なくとも一方のポートと連通している。代替的に、第1の状態において、シリンダ室543は、流出入口544と連通しており、低圧側ポート64と高圧側ポート66のいずれとも連通しないようにしてもよい。
第2に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P2の位置(第2位置)に移動する(第2の状態)。この時、油圧シリンダ54のシリンダ室543の容積V2は、容積V1よりも小さい。第2の状態において、シリンダ室543は、流出入口544と、高圧側ポート66と、第2油路46と、第2管路146とに連通している。シリンダ室543の容積が縮小することに伴い、第2管路146には油が吐出される(すなわち、油圧装置は、油圧ポンプとして機能する。)。
第3に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P3の位置(第3位置)に移動する(第3の状態)。この時、油圧シリンダ54のシリンダ室543の容積V3は、容積V2よりも小さい。第3の状態において、シリンダ室543は、流出入口544と、高圧側ポート66と、第2油路46と、第2管路146とに連通している。シリンダ室543の容積が縮小することに伴い、第2管路146には油が吐出される。
第4に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P4の位置(第4位置)に移動する(第4の状態)。
第5に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P5の位置(第5位置)に移動する(第5の状態)。
第4の状態および第5の状態においても、第2の状態および第3の状態と同様に、シリンダ室543から第2管路146に油が吐出される。なお、第5’の状態において、シリンダ室543の容積V5’は、最小である。
第6に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P6の位置(第6位置)に移動する(第6の状態)。この時、油圧シリンダ54のシリンダ室543の容積V6は、容積V5’よりも大きい。第6の状態において、シリンダ室543は、流出入口544と、低圧側ポート64と、第1油路44と、第1管路144とに連通している。シリンダ室543の容積が拡大することに伴い、第1管路144からシリンダ室543に油が供給される。
第7に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P7の位置(第7位置)に移動する(第7の状態)。
第8に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P8の位置(第8位置)に移動する(第8の状態)。
第9に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P9の位置(第9位置)に移動する(第9の状態)。
第10に、バレル50が、X軸まわりに、図4Gに示されるR方向に回転することにより、油圧シリンダ54は、P1の位置(第1位置)に移動する(第1の状態に戻る)。
第7の状態、第8の状態、および、第9の状態においても、第6の状態と同様に、第1管路144からシリンダ室543に油が供給される。
以上のとおり、回転シャフト110およびバレル50の回転に伴い、第1管路144から油圧シリンダ54のシリンダ室543に油が供給され、また、油圧シリンダ54のシリンダ室543から第2管路146に油が吐出される。
(油圧ポンプ)
図5Aは、油圧ポンプの一例を示す概略ブロック図である。
図5Aに記載の例において、油圧ポンプは、油圧装置30を含む。油圧装置30は、上述の実施形態で説明された油圧装置30と同一の構成である。
油圧ポンプは、油圧装置30と、駆動装置200と、回転シャフト110と、第1管路144と、第2管路146とを含む。駆動装置200の駆動力は回転シャフト110に伝達される。回転シャフト110は、回転軸まわりに回転する。回転シャフト110が回転することにより、上述の動作原理により、油圧装置30には、第1管路144から油が供給され、油圧装置30から第2管路146に油が吐出される。第2管路146を流れる油は、仕事をして、負荷300を動作させる。負荷300を動作させた油は、第1管路144を介して、再び、油圧装置30に供給される。
なお、駆動装置200が電動モータであり、負荷300がアクチュエータである時、油圧ポンプは、電動油圧アクチュエータを構成する。
(油圧モータ)
図5Bは、油圧モータの一例を示す概略ブロック図である。油圧装置30は、上述の実施形態で説明された油圧装置30と同一の構成である。油圧モータは、油圧装置30と、回転シャフト110と、第1管路144と、第2管路146とを含む。油圧モータにおいては、油圧ポンプ400が、油を循環させる機能を担う。油圧ポンプ400によって、第1管路144を介して油圧装置30に供給される油は、仕事をして、バレル50および回転シャフト110を回転させる。仕事をした後の油は、第2管路146を介して、油圧ポンプ400に供給される。
(変形例)
図6に、油圧装置の変形例を示す。図6は、油圧装置の縦断面図である。図6について、図4Aを用いて説明した部材と同一の機能の部材には、同一の図番を付している。
図6に記載の例では、ピストン542の先端にシューが配置されていない点で、図4Aに記載の例とは異なる。図6に記載の例では、第1ピストン542-1の先端部5424-1は、斜板80に直接接触する。同様に、第2ピストン542-2乃至第9ピストン542-9の先端部は、それぞれ、斜板80に直接接触する。
第1ピストン542-1の先端部に作用するX軸方向の軸方向荷重は、第5ピストン542-5の先端部に作用するX軸方向の軸方向荷重と異なる。すなわち、図6に記載の例では、ピストン542の先端部にシューが配置されていないが、ピストンの先端部に作用する軸方向荷重は、図4Aに記載の例と同じである。
図6に記載の例では、第1ピストン542-1の先端部に、固体潤滑皮膜5426-1が設けられている。第2ピストン542-2乃至第9ピストン542-9の先端部にも、それぞれ、固体潤滑皮膜5426-2乃至固体潤滑皮膜5426-9が設けられている。代替的に、あるいは、付加的に、斜板80の表面うち、少なくとも、ピストンの先端部に接する部分の表面に、固体潤滑皮膜が設けられてもよい。
図6に記載の例では、ピストン先端部の表面、または、ピストン先端部と接触する斜板80の表面に固体潤滑皮膜5426が設けられている。このため、軸方向荷重の作用によるピストン先端部、または、斜板の摩耗が緩和される。
なお、図6に記載の例では、シューが存在しない。この場合、リテーナ90は不要である。リテーナを設けない場合、例えば、シリンダ室543にバネ(図示せず)を挿入し、ピストン先端部を斜板80に接触させる(図6においては、図面の複雑化を避けるために、上記機構は、図示されていない)。
なお、図6に記載の例では、回転シャフト110には、面シール部材114が固定されている。面シール部材114と回転シャフト110との間には、Oリング116が配置されている。面シール部材114は、回転シャフト110とともに、X軸まわりを回転する。面シール部材114の後端面(-X方向側の端面)は、ハウジング40に直接的または間接的に固定された受け部材48の前端面(+X方向側の端面)と面接触している。図6に記載の例では、受け部材48は、ハウジングの第2端壁40Cに固定されている。面シール部材114の後端面および受け部材48の前端面には、中心軸(X軸)に沿う方向に軸方向荷重が作用する。
図6に記載の例では、受け部材48の前端面には、固体潤滑皮膜49が設けられている(換言すれば、受け部材の前端面は、固体潤滑皮膜49の表面である)。代替的に、あるいは、付加的に、面シール部材114の後端面に、固体潤滑皮膜49が設けられてもよい。
実施形態では、受け部材48の表面、面シール部材114の表面のうちの少なくとも1つの表面に固体潤滑皮膜49が設けられている。このため、軸方向荷重による圧力(面圧)の作用による受け部材48、面シール部材114の摩耗が緩和される。
なお、図6に記載の例では、受け部材48は、環状の部材である。同様に、面シール部材114は、環状の部材である。また、受け部材48の前端面、および、面シール部材114の後端面は、油の漏れを防ぐシール面である。
(固体潤滑皮膜)
実施形態における固体潤滑皮膜は、固体潤滑作用を有する粉末と、バインダーとしての基材とから構成されてもよい。固体潤滑作用を有する粉末としては、例えば、グラファイト、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化亜鉛、二硫化銅等の無機系材料、あるいは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やフッ化黒鉛等の有機系材料を用いることが可能である。無機系の固体潤滑材は、例えば、平板の結晶が層状に並ぶ構造をなし、層状構造における層間の滑りにより潤滑作用を発現するものであってもよい。一方、有機系の固体潤滑材では、フッ素原子に起因する小さな表面エネルギーにより潤滑作用が発現されてもよい。固体潤滑皮膜として、デフリックコート(登録商標)を用いてもよい。
なお、固体潤滑皮膜の厚さは、3μm以上20μm以下であることが好ましい。3μmより小さな厚さでは、軸方向荷重によって、皮膜が破壊されるおそれがある。20μmより大きな厚さでは、皮膜の形状(平坦度)が維持されず、液漏れが生じるおそれがある。
固体潤滑皮膜を設ける表面は、互いに接触する表面のうち硬度の低い側の部材の表面であることが好ましい。しかし、固体潤滑皮膜の摩耗によって、固体潤滑皮膜を担持する基材が露出する可能性が低い場合には、硬度の高い側の部材の表面に固体潤滑皮膜を設けてもよい。
実施形態では、軸方向荷重が作用するシール面となっている摺動面(または摺動面)に固体潤滑皮膜を配置することで、シール面(または摺動面)の劣化を抑制することが可能である。シール面(または摺動面)の劣化を抑制することにより、油圧装置の性能が効果的に維持される。実施形態では、シール面(または摺動面)に高い軸方向荷重が作用する場合、あるいは、シール面(または摺動面)に非対称な軸方向荷重が作用する場合であっても、当該シール面(または摺動面)に固体潤滑皮膜を配置することで、シール面(または摺動面)の劣化を抑制することが可能である。実施形態では、油圧装置の運転開始、運転停止、回転シャフトの加減速等によって、シール面(または摺動面)に不規則な荷重が作用する場合であっても、当該シール面(または摺動面)に固体潤滑皮膜を配置することで、シール面(または摺動面)の劣化を抑制することが可能である。
実施形態では、軸方向荷重が作用するシール面(または摺動面)に固体潤滑皮膜を配置することで、吐出圧力(第2管路146における油圧)と周速(回転速度(バレルの回転速度)と摺動面直径の積の値)の積の値が1.2×10MPa・m/s以上である超高出力の油圧装置を実現することが可能である。実施形態では、軸方向荷重が作用するバレル側の第1摺動面と、弁板側の第2摺動面のうちの少なくとも1つの摺動面(換言すれば、第1摺動面と第2摺動面のうちのいずれか一方の摺動面、または、両方の摺動面)を、固体潤滑皮膜の表面とすることで、上記吐出圧力と上記周速の積の値が、2.3×10MPa・m/s以上である超高出力の油圧装置を実現することが可能である。
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。
10 :固定部材
12 :固定板
14 :固体潤滑皮膜
20 :回転部材
22 :回転板
30 :油圧装置
40 :ハウジング
40A :側壁
40B :第1端壁
40C :第2端壁
44 :第1油路
46 :第2油路
48 :受け部材
49 :固体潤滑皮膜
50 :バレル
52 :第1摺動面
54 :油圧シリンダ
55 :係合部
56 :受け部
58 :環状溝
60 :弁板
62 :第2摺動面
64 :低圧側ポート
66 :高圧側ポート
70 :固体潤滑皮膜
70’ :固体潤滑皮膜
72 :第1摺動面
72’ :第2摺動面
80 :斜板
90 :リテーナ
100 :ワッシャ
102 :固体潤滑皮膜
110 :回転シャフト
112 :係合部
114 :面シール部材
116 :Oリング
120 :弾性部材
130 :軸受
140 :第2軸受
144 :第1管路
146 :第2管路
200 :駆動装置
300 :負荷
400 :油圧ポンプ
542 :ピストン
543 :シリンダ室
544 :流出入口
546 :シュー
5422 :遠位端部
5426 :固体潤滑皮膜

Claims (2)

  1. ハウジング内に配置され、中心軸まわりに回転可能であり、前記中心軸に垂直な第1摺動面を備えるバレルと、
    前記ハウジングに固定され、前記第1摺動面に接触する第2摺動面を備える弁板と、
    前記ハウジングに固定される斜板と
    を具備し、
    前記第1摺動面および前記第2摺動面は、油シール面であり、
    前記第1摺動面および前記第2摺動面は、前記中心軸に沿う方向に軸方向荷重が作用する面であり、
    前記バレルの硬度が前記弁板の硬度より低い場合には、固体潤滑皮膜が、前記第1摺動面に配置され、前記第2摺動面に配置されず、
    前記バレルの硬度が前記弁板の硬度より高い場合には、固体潤滑皮膜が、前記第2摺動面に配置され、前記第1摺動面に配置されず、
    前記バレルは、ピストンと、シリンダ室と、流出入口とを有する油圧シリンダを備え、
    前記弁板は、前記流出入口と連通可能な高圧側ポートと、前記流出入口と連通可能な低圧側ポートとを備え、
    前記固体潤滑皮膜には、前記中心軸に対して非対称に、前記軸方向荷重が作用し、
    前記固体潤滑皮膜が前記第1摺動面に配置されているとき、前記第2摺動面に前記高圧側ポートおよび前記低圧側ポートを囲む環状溝が設けられ、
    前記固体潤滑皮膜が前記第2摺動面に配置されているとき、前記第1摺動面に前記流出入口を囲む環状溝が設けられている
    油圧装置。
  2. 前記固体潤滑皮膜が前記第2摺動面に設けられ、
    前記環状溝が前記第1摺動面に設けられている
    請求項1に記載の油圧装置。
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