JP3893358B2 - 曲げ加工性に優れたりん青銅条 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は端子・コネクタ等の電子部品用に用いられるりん青銅条であって、端子にプレス整形する際の曲げ加工性を改善したりん青銅に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
C5210、C5191(JIS合金番号)などのりん青銅条は、すぐれた曲げ加工性と高い機械的強度を有するため、電子部品用として端子・コネクタなどの用途で広く用いられている。一方、近年は部品の軽薄・短小化の進展が従前にもまして著しい。この観点から、高い機械的強度とすぐれた曲げ加工性の両方を有するりん青銅について、強度や曲げ加工性のさらなる改良が求められるようになった。
同一組成のりん青銅に着目して考えた場合、機械的強度と曲げ加工性は相反する特性である。すなわち、機械的強度の高い材料は延性が不足しており曲げ加工性が劣る。逆に、機械的強度の低い材料は延性に富み曲げ加工性が優れる。これに対し、電子部品の加工において、使用するりん青銅の機械的強度は従来と同等或いは従来よりも高強度のものとし、加工する部品は従来より小型のものにする傾向が高くなってる。加工する部品を小型のものにする場合、部品の曲げ加工部の曲げ半径は小さくなる。その結果、曲げ加工においては加工部にしわ、肌荒れ、クラックが従来に比べ、はいり易くなっている。
【0003】
使用するりん青銅の機械的強度を従来と同等或いは従来より高強度のものとし曲げ半径を従来より小さいものに設定する過酷な曲げ加工においては、これまでにおこらなかった不具合が生じるようになっている。それは、低頻度で生じる加工部のしわ、肌荒れ、クラックである。低頻度で生じる加工部の不良とは、ロット内或いはロット間で不良率に変動が生じる不良である。従来、曲げ加工部の不良は、プレス加工条件を変更するか使用するりん青銅の種類を変更するかのいずれかにより回避することができた。これに対し、部品メーカーにおいて見かけ上安定して製造できていたプレス工程で突発的に不良率が高くなるような不具合が生じるようになった。これは、使用するりん青銅の機械的強度を従来と同等或いは従来より高強度のものとし、曲げ半径を従来のものより小さく設定する近年の傾向の中で顕在化した不具合である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、使用するりん青銅の機械的強度を従来と同等或いは従来より高強度のものとし、曲げ半径を従来のものより小さく設定する中で顕在化した不具合が生じにくいりん青銅条を提供することである。
【0005】
【課題を改善するための手段】
本発明は、上記の不具合に対し、りん青銅の高強度化と曲げ性の改善とを同時に達成する発明に関するものであり、以下に示す。
(1)過酸化水素水とアンモニアを含有する水溶液を用いたエッチングによって現出した断面結晶粒組織の中に、白色或いは黒色の不均一なスジ状の組織が存在し、そのスジ状の組織を含む領域のSn濃度の最大値と最小値との差が母材Sn濃度の5〜40%(ΔCSnが5〜40%)、好ましくは5〜25%となる金属組織を有するりん青銅条であって、しかもその製造工程が、加工度45%以上の冷間圧延条を最終再結晶焼鈍して結晶粒径(mGS)を1.1〜2μmでかつその標準偏差(σGS)を1.5μm以下とし、続いて加工度20〜35%の最終の冷間圧延を施したことを特徴とする曲げ加工性にすぐれた高強度りん青銅条。(2)最終の冷間圧延後に、引張り強度を3〜10%低下させる歪取焼鈍を施したことを特徴とする曲げ性に優れた(1)に記載のりん青銅条。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とするりん青銅はCuにSnとPを添加した銅合金で、JIS規格のもので3.5〜9mass%のSnを含有する。JIS規格以外のものでは、3.5mass%以下の低すずりん青銅や、9mass%を越え10mass%のSnを含有するものも本発明の範囲である。さらにりん青銅にSnやP以外の元素たとえばFe、Ni、Zn等の添加元素を微量(たとえば合計で2mass%以内)含有するものも、結晶は銅と錫とのマトリクスであり本発明により同等の効果が得られる。
【0007】
市販のりん青銅条の断面を鏡面仕上げし、過酸化水素水とアンモニアを含有する水溶液でエッチングすると金属組織が現出する。結晶粒組織は、りん青銅条の質別によっては、すなわち最終冷間圧延の加工度によって、等軸のものであったり圧延方向にのびていたり或いは板厚方向に圧縮されていたりする。さらには加工度が15%程度以上になると次第に粒界が判別しにくくなるが、いずれにしても均一な組織である。観察面積を増すと、この均一な結晶粒組織の中に図1に示すような白色或いは黒色の不均一なスジをある頻度で観察することができる。この部分は粒の識別が困難であったり粗大粒のようであったりする。本発明者らは、曲げ加工において突発的に生じた不良品の金属組織を詳細に調べた。その結果、曲げ加工の不良とこの白色或いは黒色の不均一なスジとの間に相関関係があることを見出した。さらに、この白色或いは黒色の不均一なスジが曲げ加工性にどのように影響するか、また、どのようなものが曲げ加工に有害であるのか無害であるのかを解明すべく、鋭意研究を重ねた。そして、本発明のりん青銅条を得た。
鏡面仕上げした断面を過酸化水素水とアンモニアを含有する水溶液でエッチングするのは、この腐食液はその他のものに比べ、均一な結晶粒組織の中に含まれる不均一な白色或いは黒色のスジが現出しやすいからである。鏡面仕上げする断面は、板面に対し平行な断面、板面に対し垂直であり圧延方向に対し平行な断面、板面に対し垂直であり圧延方向に対し直角の断面のいずれでもよい。
【0008】
均一な結晶粒組織の中にある頻度でみとめられる白色或いは黒色の不均一なスジは、溶解鋳造において生じたSnの偏析がその後の圧延と焼鈍で消滅せずに残存し、Sn濃度によって再結晶挙動が異ることから金属組織の不均一となって現れたものである。市販のりん青銅は、地金を溶解し鋳塊を作製したのち、圧延と焼鈍のみで加工し所定の板厚の製品を得ているが、その製造工程には熱間鍛造や熱間圧延は含まれないのが一般的である。熱間鍛造や熱間圧延を行わずに製造されたりん青銅条には、白色或いは黒色の不均一なスジが頻度や程度の差はあっても必ず存在する。このことから、この白色或いは黒色の不均一なスジは、りん青銅条の製造において不可避的に生じてしまう異常組織であるととらえられる。従来の曲げ加工においてはこのような白色或いは黒色の不均一なスジが悪影響をおよぼすことはなかった。
ところが、使用するりん青銅の機械的強度を従来と同等或いは従来より高強度のものとし仕上げ寸法を従来より小さいものに設定する過酷な曲げ加工においては、ある不特定の頻度でしわ、肌荒れ、クラックといった不良が生じる。
【0009】
本発明では、白色或いは黒色の不均一なスジを含む領域のSn濃度を測定しその領域におけるSn濃度の最大値と最小値を求め、また、あわせて均一な結晶粒組織の部分についてもSn濃度を測定しこれを母材Sn濃度とする。
【0010】
Sn濃度の測定はEPMAを用いた。EPMAを用いたのはEPMAが微小部の成分を精度よく分析できるとともに、広く一般に普及し汎用目的に用いられている分析機器だからである。
EPMA分析では、電子線を局部に照射しその部分から発生する特性X線の強度を計測する。特性X線の強度はSn濃度と直線的な相関関係があるのでそれによりSn濃度を知ることができる。
EPMAの分析には、ポイント分析、ライン分析、面分析、マッピング分析等の手法がある。本発明では、基本的にライン分析法を用いる。ただし、ライン分析と同等の或いはライン分析を上回る測定精度が保障される場合はライン分析以外の手法や複数の手法を組み合わせたものを採用してよい。
【0011】
ライン分析では、黒色或いは白色の不均一なスジを含む領域を対象に電子線プローブを走査する。或いは、電子線プローブは固定し被測定体を移動させる方法でもよい。そして、Snの濃度曲線を測定する。Snの濃度曲線は、均一な結晶粒組織領域内を始点とし、それからスジ領域を横断し、そのあと均一な結晶粒組織領域内で終点となる直線上について測定する。また、断面に認められる黒色或いは白色の不均一なスジが板厚の1/5〜4/5程度の広範囲におよぶものやスジが板の表面にまで達するものは、りん青銅条の板面に対し垂直方向に全板厚を通る直線上の濃度曲線を測定する。
被測定部に照射する電子線のプローブ径は測定機器の最小のものとする。一般には公称0ミクロンで表示されるものが多い。また、測定間隔はスジの大きさにもよるが、0.01〜1μmとする。
そのほか、試料電流、加速電圧、分光結晶の種類、特性X線の種類等の条件については、測定機器メーカーがSnの分析で推奨するものを採用する。
以上のEPMAの測定に関しては、技術的に特殊なものは不要で一般的に行われている周知の技術のみで十分である。
【0012】
本発明においては、白色或いは黒色の不均一なスジを含む領域のSn濃度の最大値と最小値との差を母材Sn濃度の5%〜40%(ΔCSnが5〜40%)と規定する。これは、偏析の程度であり、曲げ性に関して言えば、低いほど良い。しかしながら、偏析を解消するには均質化焼鈍を十分に行う必要があり、特に偏析の程度が小さくなったものをさらにゼロに近づけるためには、多大な熱を付加する必要がる。これは、コストおよび時間を膨大に消費することから、好ましくない。そこで、本発明においては、ある程度偏析を残しつつも、発明の構成の後段に記述する加工条件との組み合わせにおいて、従来材より曲げ性を改善する方法を見出したものである。その範囲において上限を40%とするのは、40%を超えると、圧延と再結晶焼鈍との組み合わせを最適化しても、曲げ加工性を従来材以上に作りこむことができなくなるからである。好ましくは25%以下とすることにより、より良好な曲げ加工性が得られる。
【0013】
下限は5%とする。5%未満のものは、その偏析による曲げ加工性の低下が比較的少なく、高強度化が容易であるが、上述のように偏析解消のための均質化焼鈍に多大な時間とコストを要し、経済的に好ましくない。Sn濃度の最大値と最小値との差が母材Sn濃度の40%を超えるスジは、母材との整合性が低下している。また、スジ部分の変形機能や変形挙動は母材部分と異なる。そのため、曲げ加工による塑性変形で、スジ部分は母材の変形に追随できない。或いは、スジ部分は母材部分と異なる変形挙動をとる。その結果、スジ部分と母材部分の境界で不連続な変形が生じ、それを起点にしわ、肌荒れ、クラックが生じる。これは、材料内部に亀裂があったり非金属介在物の連鎖したものがあったりした場合に曲げ加工で生じる肌荒れ、クラックと類似したメカニズムである。
【0014】
さらに、最終再結晶焼鈍の前の冷間加工度を45%以上としたのは、それ以下の加工度では、最終再結晶焼鈍における再結晶粒を小さくしにくいからである。すなわち、本発明においては、最終冷間圧延前の結晶粒径、すなわち最終の再結晶組織の粒径を小さくし、このことにより、最終冷間圧延の冷間加工度をできるだけ小さくして、所望の加工硬化による強度を達成することにより、延性の低下を少なくして、曲げ性と強度のバランスを保つことを狙っている。すなわち、曲げ性の低下要素となる、偏析組織を上述の如く有する組織であっても曲げ性と強度を得ようとするものである。
なお、この冷間圧延の加工度の上限は特に規定しないが、加工度が高すぎると、圧延工程の負荷が大きくなるため、加工度90%以下で通常は圧延する。
【0015】
ここに、再結晶焼鈍後の結晶粒径(mGS)は、1.1〜2.0μmとしたのは、1.1μm未満の結晶粒径にすると、むしろ冷間加工後の曲げ加工性は、偏析組織との関係において低下するからである。また、2.0μm以上では、最終冷間加工における加工硬化の効果が十分ではなく、より少ない加工度で所望の強度を得ることが困難となるからである。また、再結晶粒の粒径は、均一であるのが望ましく、その標準偏差が1.5μmを超えると、平均の結晶粒径(mGS))が2.0μm以下であっても、最終冷間圧延工程における加工硬化を得ることはできない。
これに続く加工工程で、20〜35%の加工度で冷間圧延を施す。これ以下の加工度では、多少の偏析組織があっても、曲げ性の低下が問題とならないからである。
また、加工度が35%を超えると、延性が低下し、結晶粒を微細化した効果がなくなるため、加工度を20〜35%の範囲とした。
【0016】
また、りん青銅は、延性を回復させ、曲げ性を向上させるために、最終の冷間圧延後に歪取り焼鈍を行う方法がしばしば採用される。本発明においても、このような偏析組織と加工条件を有している場合においても、引張り強度を3〜10%程度低下させる程度の歪取り焼鈍は有益である。ここで、歪取り焼鈍における温度、雰囲気、張力等の条件は任意的であり、本発明において制限的ではない。
なお、歪取り焼鈍では、拡散による再結晶、偏析の解消は起こらない。
【0017】
【実施例】
表1に示したJIS規格のりん青銅を、大気中にて木炭被覆し溶解したのち鋳造し、100mmw×40mmt×150mmlの寸法の鋳塊を得た。この鋳塊を75%N2+25%H2雰囲気中にて600℃〜800℃で0.5時間〜3時間均質化焼鈍し、表面の錫偏析層をグラインダーで研摩除去し成分を分析した。その後冷間圧延と再結晶焼鈍を必要に応じて複数回繰り返して、0.2mm厚さの板とし製品とした。そして、製品の金属組織を観察し白色或いは黒色の不均一なスジを確認し、スジを含む領域のSn濃度曲線を測定した。また、曲げ性の評価として曲げ試験を行った。
【0018】
金属組織の観察は圧延直角断面について行った。鏡面仕上げした断面をアンモニアと過酸化水素水を含有する水溶液にて金属組織を現出させた。水溶液は、市販の28%アンモニア水20ml、市販の34.5%過酸化水素を体積比で10倍に希釈した水溶液10ml、水20mlを混合したものを用いた。
【0019】
白色或いは黒色のスジを含む領域のSnの濃度曲線はEPMAのライン分析法により測定した。ライン分析では、電子線プローブを板面に対し垂直方向に走査しSnの濃度曲線を求めた。Snの濃度曲線は、均一な結晶粒組織領域内を始点とし、それからスジ領域を横断し、そのあと均一な結晶粒組織領域内で終点となる直線上について測定した。また、スジが板厚の1/4〜3/4程度の広範囲におよぶものは全板厚にわたる濃度曲線を測定した。ここで、電子線のプローブ径は測定機器の最小のもの(公称0ミクロン)とした。また、測定間隔は1ミクロンとした。
【0020】
結晶粒径は、切断法(JIS H 0501)により、所定長さの線分により完全に切られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値を結晶粒径とし、結晶粒径の標準偏差(σGS)は、その結晶粒径の標準偏差である。すなわち、圧延方向に直角方向の断面組織を走査型電子顕微鏡像(SEM像)により、4000倍に拡大し、50μmの長さの線分において、線と粒界との交点の数から1を引いたもので線分を割った値を結晶粒径とし、10本の線分について測定して得られた各々の結晶粒径の平均を本願における平均結晶粒径(mGS)、各々の結晶粒径の標準偏差を本願における標準偏差(σGS)とした。
【0021】
曲げ加工性(r/t)は10mmw×100mmlの寸法の試験片を圧延方向と直角に採取し、W曲げ試験(JIS H 3110)を各種曲げ半径で行い、割れの発生しない最小の曲げ半径比(r(曲げ半径)/t(試験片厚さ))を求めた。 なお、W曲げ試験の曲げ軸は圧延方向と平行方向である(bad way)。
試験は100本の試験片について行い不良率を求めたが、100mm長さ中、W曲げ試験が可能であるランダムな位置とした。良好と不良の判定は、曲げ部に割れの生じたものを不良、しわの生じなかったものを良好とした。
【0022】
【表1】
【0023】
表1においてはJIS規格に基づいた同じSn濃度の例として実施例No.1と比較例No.7、実施例No.2と比較例No.8、実施例No.3と比較例No.9、実施例No.5と比較例No.10とで比較できる。同じSn濃度において実施例は比較例に比べて20〜50MPa高い強度を示している。再結晶焼鈍前の加工度が低いために結晶粒度が2μm以下にはならなかった比較例No.12、再結晶焼鈍で2μmを超えた比較例No.13及び結晶粒のばらつきの大きい比較例No.14では、同じSnの濃度である発明例No.3より引張強さが低かった。
さらにJIS規格に基づいた同じSn濃度の実施例と比較例では、曲げ性を示すr/tが同等か、実施例のほうが小さく、曲げ試験での不良率は0%であった。従って強度と考えあわせて発明例が高い強度を持ちながら良好な曲げ性を有していることがわかった。
また、No.1とA、No.4とBは、夫々均質化焼鈍の条件が異なるために、本発明の範囲ではあるが、ΔCSnの値が異なった例である。冷間圧延の加工度、再結晶焼鈍後のmGS、σGSが同一で、引張強さが同等であるにもかかわらず、r/tが異なる値となった。ΔCSnの値が25%以下で、より良好な曲げ加工性を有することがわかる。
一方、白色或いは黒色の不均一なスジ状の組織を含む領域のSn濃度の最大値と最小値との差を母材Sn濃度で割った値(ΔCSn)が本発明の規定を超える比較例No.7〜11においては曲げの不良率が数%発生した。また、最終冷間圧延の加工度の低い比較例No.15では、白色或いは黒色の不均一なスジ状の組織を含む領域のSn濃度の最大値と最小値との差を母材Sn濃度で割った値(ΔCSn)が請求範囲にもかかわらず、本発明相当の強度が得られない。
【0024】
【発明の効果】
本発明のりん青銅条は従来のものにくらべ曲げ加工性がすぐれる。過酷な曲げ加工においてすぐれた効果を発揮することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】断面に観察されるスジ状組織の観察事例である。
【符号の説明】
1:白色のスジ
2:1の近傍の健全部
3:黒色のスジ
4:3の近傍の健全部
5:断面全域に発生したスジ
6:5の近傍の健全部
Claims (3)
- 過酸化水素水とアンモニアを含有する水溶液を用いたエッチングによって現出した断面結晶粒組織の中に、白色或いは黒色の不均一なスジ状の組織が存在し、そのスジ状の組織を含む領域のSn濃度の最大値と最小値との差が、母材Sn濃度の5〜40%(ΔCSnが5〜40%)となる金属組織を有するりん青銅条であって、しかもその製造工程が、加工度45%以上の冷間圧延条を最終再結晶焼鈍して結晶粒径(mGS)を1.1〜2μmでかつその標準偏差(σGS)を1.5μm以下とし、続いて加工度20〜35%の最終の冷間圧延を施したことを特徴とする曲げ加工性にすぐれた高強度りん青銅条。
- 上記ΔCSnが5〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工性に優れた高強度りん青銅条。
- 最終の冷間圧延後に、引張り強度を3〜10%低下させる歪取焼鈍を施したことを特徴とする曲げ性に優れた請求項1又は2に記載のりん青銅条。
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