JP3892653B2 - 自動車のブレーキペダル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のブレーキペダル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のブレーキペダル装置は、例えば実開平6−1113号公報に示されているように、ペダルアームの上端部を回動自在に軸支したペダルブラケットをダッシュロアパネルと、該ダッシュロアパネルに接合されて車室側に張り出したダッシュアッパパネルの下面部とに締結固定してあって、ペダルアームを踏み込むことによって該ペダルアームの上端部に連結したプッシュロッドを前方へ押動して、マスターバックを作動させるようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の構造によれば、車両の前面衝突時にマスターバック、もしくは該マスターバックを固定したダッシュロアパネルが変形して車室側へ後退移動すると、該マスターバックのプッシュロッドを介してペダルアームに踏み込み方向と逆方向の回動力が作用し、ブレーキペダルの踏み込み位置が後方へずれて違和感を生じるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は車両の前面衝突時にマスターバックのプッシュロッドを介してペダルアームに衝突荷重が作用するのを防止して、違和感を生じるのを回避すると共に、スライドプレートとピボットブラケットとの係合が車両への部品組み付け作業時や組み付け前のペダル装置としての部品搬送時に該係合を確保し、組み付け作業性を向上することのできる自動車のブレーキペダル装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、ダッシュパネルに固定されるペダルブラケットと、該ペダルブラケットに設けたシャフトに回転可能に軸支されたピボットブラケットと、前記シャフトよりも車両前方で、該ピボットブラケットに設けたペダルシャフトに回動自在に軸支されたペダルアームと、前記ダッシュパネルの上後方の車体部材の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケットの後部に設けられ、常態にあっては、ピボットブラケットと係合し、ペダルブラケットに対して車両前後方向に相対移動可能なスライドプレートとを備えると共に、前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも前記ペダルブラケットとスライドプレートとの車両前後方向の相対移動を許容し、これらペダルブラケットとスライドプレートとの摺動抵抗により衝撃を吸収する衝突吸収手段を設けて、前記ペダルブラケットとスライドプレートとが車両前後方向に相対移動した際に前記ピボットブラケットとスライドプレートとの係合が外れて該ピボットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにした構造であって、少なくとも前記ペダルブラケットとスライドプレートとの間に、該ペダルブラケットとスライドプレートとを連結すると共に、該ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、その連結を解除可能な連結部を設けたことを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の連結部を、スライドプレートとピボットブラケットとの係合部近傍に設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明にあっては、請求項1または請求項2に記載の連結部を、スライドプレートとピボットブラケットとの係合部よりも車両前方に設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3に記載のペダルブラケットを、対向して離間配置される一対の側壁部とこれらをその上方で結合する上壁部とを有する断面略コ字状に形成し、該上壁部に前記連結部を設けると共に、該上壁部に前記スライドプレートと係合するピボットブラケットの噛み合い部が突出する開口部を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項5の発明にあっては、請求項4に記載の上壁部とスライドプレートとを挿通した締結固定用部材により車体部材の下面部に締結固定すると共に、前記衝突吸収手段として、該上壁部に設けた締結固定用部材挿通孔を長孔状に形成してペダルブラケットとスライドプレートとを相対移動可能としたことを特徴としている。
【0010】
請求項6の発明にあっては、請求項5に記載の連結部を、車両前後方向に長孔状に形成した前記締結固定用部材挿通孔の延長線上に設定したことを特徴としている。
【0011】
請求項7の発明にあっては、前記スライドプレートを請求項5〜6に記載のペダルブラケットの上壁部の上面側に重合配置したことを特徴としている。
【0012】
請求項8の発明にあっては、請求項7に記載のスライドプレートは、その両側部にフランジを有する断面略コ字状に形成したことを特徴としている。
【0013】
請求項9の発明にあっては、請求項7または請求項8に記載のスライドプレートの下面側に締結固定用の一方の部材を固設した締結部材用プレートを設けると共に、該締結部材用プレートをペダルブラケットまたはスライドプレートの少なくとも一方と連結する第2連結部を設け、前記スライドプレートを該締結部材用プレートと車両上方からの締結固定用の他方の部材により車体部材の下面部に締結固定可能にしたことを特徴としている。
【0014】
請求項10の発明にあっては、請求項9に記載の第2連結部は、スライドプレートを前記下面部に締結固定する固定部よりも車両前方に設定したことを特徴としている。
【0015】
請求項11の発明にあっては、請求項9または請求項10に記載の第2連結部は、前記長孔状の締結固定用部材挿通孔を介して前記スライドプレートと締結部材用プレートとを連結するようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項12の発明にあっては、請求項9〜11に記載の締結部材用プレートにスライドプレート側に突出したエンボス部または舌片部を形成し、該エンボス部または舌片部に第2連結部を設定したこと特徴としている。
【0017】
請求項13の発明にあっては、請求項9〜11に記載の締結部材用プレートにスライドプレート側に突出した舌片部を形成し、該舌片部は、締結部材用プレートの縁部から突出させて形成したことを特徴としている。
【0018】
請求項14の発明にあっては、請求項12または請求項13に記載のエンボス部または舌片部は、ペダルブラケット上壁部の長孔状の締結固定用部材挿通孔内に設定され、該締結固定用部材挿通孔を介してスライドプレート下面に当接していることを特徴としている。
【0019】
請求項15の発明にあっては、請求項9に記載の第2連結部は、ペダルブラケットとスライドプレート及び締結部材用プレートとを連結すると共に、ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも締結部材用プレートとスライドプレートとがペダルブラケットに対して相対移動可能にその連結を解除するように設けたことを特徴としている。
【0020】
請求項16の発明にあっては、請求項4〜6に記載のスライドプレートをペダルブラケットの上壁部の下面側に重合配置したことを特徴としている。
【0021】
請求項17の発明にあっては、請求項16に記載のスライドプレートの下面に締結固定用部材を固設したことを特徴としている。
【0022】
【発明の効果】
請求項1によれば、常態ではスライドプレートによって、ピボットブラケットの回動を規制してあるため、ペダルシャフトを支点としてペダルアームを回動して、該ペダルアームに連結したプッシュロッドを介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0023】
一方、車両が前面衝突すると、スライドプレートとペダルブラケットとが車両前後方向に相対移動することにより、前記ピボットブラケットとスライドプレートとの係合が外れ、該ピボットブラケットの回動を許容して、前記シャフトを支点として該ピボットブラケットを下後方へ回動させ、ペダルアームの踏み込み位置を車両前方側へ引き寄せるようにしてあるから、マスターバックが後退移動、もしくはダッシュロアパネルが車室側へ変形してマスターバックのプッシュロッドが後退移動しても、ペダルアームの踏み込み位置が後方にずれて違和感を生じるのを回避することができる。
【0024】
さらに、少なくとも前記ペダルブラケットとスライドプレートとの間に、該ペダルブラケットとスライドプレートとを連結すると共に、該ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、その連結を解除可能な連結部を設けてあるため、所定荷重を越える入力があるまではスライドプレートはペダルブラケットに対して相対移動が規制されているので、組み付け作業時や部品搬送時にスライドプレートとピボットブラケットとの係合を確保することができる。
【0025】
請求項2によれば、請求項1の効果に加えて、前記連結部を、スライドプレートとピボットブラケットとの係合部近傍に設けてあるため、該係合部近傍でスライドプレートの移動を規制することができるので係合の確保性が向上する。
【0026】
請求項3によれば、請求項1または請求項2の効果に加えて、前記連結部を、スライドプレートとピボットブラケットとの係合部よりも車両前方に設けてあるため、スライドプレートの移動に影響を与えない比較的余裕のある部位であるため、ペダルブラケットを大きくする必要性がなく、ブレーキペダル装置の小型化に寄与することができる。
【0027】
請求項4によれば、請求項1〜3の効果に加えて、前記ペダルブラケットを、対向して離間配置される一対の側壁部とこれらをその上方で結合する上壁部とを有する断面略コ字状に形成し、該上壁部に前記連結部を設けると共に、該上壁部に前記スライドプレートと係合するピボットブラケットの噛み合い部が突出する開口部を設けてあるため、ペダルブラケットにピボットブラケットを回転可能に設けるシャフト付近の高さを抑えられ、ブレーキペダル装置全体の大きさを抑えることができるので、ブレーキペダル装置のレイアウト自由度を高め、小型車など様々な車種に適用することができる。
【0028】
請求項5によれば、請求項4の効果に加えて、前記上壁部とスライドプレートとを挿通した締結固定用部材により車体部材の下面部に締結固定すると共に、前記衝突吸収手段として、該上壁部に設けた締結固定用部材挿通孔を長孔状に形成してペダルブラケットとスライドプレートとを相対移動可能としてあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
【0029】
しかも、締結固定時のトルク管理をすることで、衝突吸収チューニングを容易に行うことができる。
【0030】
請求項6によれば、請求項5の効果に加えて、前記連結部を、車両前後方向に長孔状に形成した前記締結固定用部材挿通孔の延長線上に設定してあるため、スライドプレートとペダルブラケットとの相対移動時に該スライドプレートの移動方向が偏ることなく、安定して移動させることができる。
【0031】
請求項7によれば、請求項5〜6の効果に加えて、前記スライドプレートをペダルブラケットの上壁部の上面側に重合配置してあるため、スライドプレートをレイアウトする際、ペダルブラケット内に設けられるシャフトやピボットブラケット等に影響を受けないので、レイアウト自由度を高めることができる。
【0032】
請求項8によれば、請求項7の効果に加えて、前記スライドプレートは、その両側部にフランジを有する断面略コ字状に形成してあるため、フランジの高さによりスライドプレート自体の断面係数を自由に設定して、入力荷重に対する剛性を向上することが容易であると共に、このようにフランジにより剛性を確保できるため、スライドプレート自体の大きさを小さくでき、ひいてはブレーキペダル装置全体の大きさを小さくして、小型車など様々な車種に適用することができる。
【0033】
また、前記フランジを下向きにペダルブラケットの上壁部の両側部を覆うように形成すれば、スライドプレートの移動時にガイドとして働き、スライドプレートを安定して移動させることができる。
【0034】
請求項9によれば、請求項7または請求項8の効果に加えて、前記スライドプレートの下面側に締結固定用の一方の部材を固設した締結部材用プレートをペダルブラケットまたはスライドプレートの少なくとも一方と連結する第2連結部を設け、前記スライドプレートを締結部材用プレートと車両上方からの締結固定用の他方の部材により車体部材の下面部に締結固定可能にしてあるため、車両への組み付け前の締結部材用プレートのガタツキを抑えることができる。
【0035】
また、車両上方から締結固定用の他方の部材で締結固定することができるので、ペダルブラケットをダッシュパネルに固定した後に、スライドプレートをその下面に固定する車体部材を車両後方から一度に取り付ける場合において、車体部材やブレーキペダル装置の下方に潜り込んで行う締結作業を廃止することも可能となり、組み付け作業性を向上することができる。
【0036】
請求項10によれば、請求項9の効果に加えて、前記第2連結部は、スライドプレートを前記下面部に締結固定する固定部よりも車両前方に設定してあるため、車両後方側に第2連結部が突出することなく、ブレーキペダル装置全体を小型化することができる。
【0037】
請求項11によれば、請求項9または請求項10の効果に加えて、前記第2連結部は、前記長孔状の締結固定用部材挿通孔を介して前記スライドプレートと締結部材用プレートとを連結するようにしてあるため、ペダルブラケットをスライドプレートと締結部材用プレートとの間に介在させ、これらスライドプレートと締結部材用プレートとでペダルブラケットを矜持するので、車両組み付け前のスライドプレートとペダルブラケットとのガタツキを抑えることができる。
【0038】
また、ペダルブラケットとスライドプレートとの連結を解除する必要がないので、ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用した際、スライドプレートの相対移動が始まる初動荷重を低くすることができる。
【0039】
さらに、長孔状の締結固定用部材挿通孔がガイドとなり、スライドプレートをペダルブラケットに対して安定して相対移動させることができる。
【0040】
請求項12によれば、請求項9〜11の効果に加えて、前記締結部材用プレートにスライドプレート側に突出したエンボス部または舌片部を形成し、該エンボス部または舌片部に第2連結部を設定してあるため、比較的単純な形状の締結部材用プレート側に形成するので、加工が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
【0041】
請求項13によれば、請求項9〜11の効果に加えて、前記締結部材用プレートにスライドプレート側に突出した舌片部を形成し、該舌片部は、締結部材用プレートの縁部から突出させて形成してあるため、舌片部の加工形成が容易であるのに加え、締結部材用プレート自体の大きさを最小限に抑えることができ、重量的に有利に得ることができる。
【0042】
請求項14によれば、請求項12または請求項13の効果に加えて、前記エンボス部または舌片部は、ペダルブラケット上壁部の長孔状の締結固定用部材挿通孔内に設定され、該締結固定用部材挿通孔を介してスライドプレート下面に当接させているため、長孔状の締結固定用部材挿通孔がガイドとなり、スライドプレートをペダルブラケットに対して安定して相対移動させることができる。
【0043】
請求項15によれば、請求項9の効果に加えて、前記第2連結部は、ペダルブラケットとスライドプレート及び締結部材用プレートとを連結すると共に、ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも締結部材用プレートとスライドプレートとがペダルブラケットに対して相対移動可能にその連結を解除するようにしてあるため、必要時には確実にペダルブラケットとスライドプレートとが相対移動できることは勿論、組み付け時のガタツキを抑えることができる。
【0044】
請求項16によれば、請求項4〜6の効果に加えて、前記スライドプレートをペダルブラケットの上壁部の下面側に重合配置してあるため、可動部分がペダルブラケット内部に収容されているので、見栄えを向上することができる。
【0045】
請求項17によれば、請求項16の効果に加えて、前記スライドプレートの下面に締結固定用部材を固設しているため、別途締結部材用プレート等の締結固定用部材を固定する部品を設ける必要がなく、構造を簡単化でき、コスト的にも有利に得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図面と共に詳述する。
【0047】
図1,2において、1はブレーキペダル装置を示しており、2は、車両前方に設けたフランジ部2Cでダッシュパネルのダッシュロアパネル40に図外のボルト・ナットにより締結固定したペダルブラケットを示している。
【0048】
このペダルブラケット2は一対の対向する側面として、離間して配置される側壁部2A,2Aと、これらをその上方で連結する上壁部2Bとからなる断面略コ字状に構成されている。
【0049】
3は、該ペダルブラケット2に設けたシャフト4にカラー5を介して回転可能に軸支された略コ字状のピボットブラケットで、該ピボットブラケット3には、前記シャフト4よりも車両前方で、該ピボットブラケット3の対向する側板部3A,3Aに跨るように設けたペダルシャフト6にペダルアーム8が同じくカラー7を介して回動自在に軸支されている。
【0050】
9は、ダッシュパネルの上後方に位置する車体部材41(詳細は後述する)の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケット2の上壁部2Bの上面部に重合配置されて、該ペダルブラケット2に対して車両前後方向に相対移動可能な断面略コ字状のスライドプレートを示しており、本実施形態では、スライドプレート9は、その上壁9Aの両側部にペダルブラケット2の上壁部2Bを覆う下向きのフランジ9Bを有する断面略コ字状に形成してある。
【0051】
前述のスライドプレート9は具体的には、その後端部で、ステアリングメンバ42から延びるブラケット43に締結固定された取付ブラケット44の下面に、ペダルブラケット2の上壁部2B及びスライドプレート9の上壁9Aに各々設けたボルト挿通孔10,11に車両上方から挿通したボルト12と、前記スライドプレート9の下面側、つまりペダルブラケット2の上壁部2Bの内側下面、に設けたナットプレート13に溶接等により固設したナット14とで前記ペダルブラケット2の上壁部2Bと共に締結固定してある。尚、この実施形態では、これらステアリングメンバ42、ブラケット43、取付ブラケット44が、車体部材41を構成する。
【0052】
また、この実施形態にあっては、前記上壁部2Bのボルト挿通孔10を車両前方が開放した長孔状に形成することによって、前記ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、前記ペダルブラケット2とスライドプレート9との車両前後方向の相対移動を許容し、ペダルブラケット2の上壁部2Bとスライドプレート9の上壁9Aとの摺動抵抗により衝撃を吸収する衝突吸収手段としてある。
【0053】
また、前記ペダルブラケット2の上壁部2Bの両側縁部には開口部15を設けると共に、前記スライドプレート9の上壁9A前端部の両側部に孔部16が設けられており、該開口部15及び該孔部16に、ピボットブラケット3の側板部3Aの前端部に上方に突設して設けた噛み合い部としての突出部17が挿通されている。そして、該孔部16の前縁部18に該突出部17の前端部に設けた切欠部19を係合させてある。
【0054】
また、前記ペダルブラケット2とスライドプレート9との間には、これらペダルブラケット2とスライドプレート9とを連結すると共に、該ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、その連結を解除する連結部20が設けられている。
【0055】
この実施形態では、該連結部20は、ペダルブラケット2の上壁部2B及びスライドプレート9の上壁9Aに各々設けられた挿通孔21,22に挿通したシェアピン23によって構成されている。尚、シェアピン23(後述する各実施形態でのシェアピンも同様)は、一般的にペダルブラケット2やスライドプレート9よりも軟弱な材質(例えば、合成樹脂やアルミ材等)が用いられる。
【0056】
また、この連結部20は、前記スライドプレート9の孔部16の前縁部18とピボットブラケット3の切欠部19との係合部近傍に設けられており、特にこの実施形態では、前記連結部20は、該係合部よりも車両前方で、かつ、長孔状に形成した前記ボルト挿通孔10の延長線上に設定してある。
【0057】
従って、非衝突時である常態にあっては、前述のように前記スライドプレート9の前端部の孔部16の前縁部18とピボットブラケット3の前端部の切欠部19とが係合していることにより、前記ピボットブラケット3の下方への回動を規制し、ペダルアーム8の踏み込み位置を所定位置に規制して、ペダルシャフト6を支点としてペダルアーム8を回動して、該ペダルアーム8に連結したプッシュロッド24を介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0058】
そして、車両の前面衝突時にあっては、前記連結部20のシェアピン23を剪断しながら、前記衝突吸収手段として長孔状に形成したボルト挿通孔10の部分でペダルブラケット2がスライドプレート9に対して車両後方向に相対的に移動し、この相対移動によりピボットブラケット3の突出部17とスライドプレート9との係合が外れて、ピボットブラケット3の回動を許容し、突出部17がスライドプレート9の孔部16の後縁で前方へ押されることにより、前記シャフト4を支点として該ピボットブラケット3を後下方(図2の反時計回り方向)に回動させ、これによりシャフト4の後退移動に伴いペダルシャフト6が図2の斜め後ろ下方に移動する結果、ペダルアーム8はプッシュロッド24との連結点を中心に図2の時計回り方向に回動し、ペダルアーム8の踏み込み位置を車両前方側へ引き寄せる。
【0059】
すなわち、ペダルアーム8のペダルシャフト6が車両後方へ移動することになるため、その分ペダルアーム8の踏み込み位置が前方に移動することになるわけである。
【0060】
以上の実施形態の構造によれば、常態ではスライドプレート9によって、ピボットブラケット3の回動を規制してあるため、ペダルシャフト6を支点としてペダルアーム8を回動して、該ペダルアーム8に連結したプッシュロッド24を介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0061】
一方、車両が前面衝突すると、ボルト挿通孔10の長さ範囲でスライドプレート9とペダルブラケット2とが車両前後方向に相対移動することにより、前記ピボットブラケット3とスライドプレート9との係合が外れ、該ピボットブラケット3の回動を許容して、前記シャフト4を支点として該ピボットブラケット3を下後方へ回動させ、ペダルアーム8の踏み込み位置を車両前方側へ引き寄せるようにしてあるから、マスターバックが後退移動、もしくはダッシュロアパネル40が車室側へ変形してマスターバックのプッシュロッド24が後退移動しても、ペダルアーム8の踏み込み位置が後方にずれて違和感を生じるのを回避することができる。
【0062】
さらに、前記ペダルブラケット2とスライドプレート9との間に、該ペダルブラケット2とスライドプレート9とを連結すると共に、該ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、その連結を解除可能な連結部20をペダルブラケット2の上壁部2B及びスライドプレート9の上壁9Aに設けた孔部21,22とシェアピン23とで構成して設けてあるため、所定荷重を越える入力があるまではスライドプレート9はペダルブラケット2に対して相対移動が規制されているので、組み付け作業時や部品搬送時にスライドプレート9とピボットブラケット3との係合を確保することができる。
【0063】
また、特に本実施形態によれば、以上の効果に加えて、前記連結部20を、スライドプレート9とピボットブラケット3との係合部近傍に設けてあるため、該係合部近傍でスライドプレート9の移動を規制することができるので係合の確保性が向上する。
【0064】
しかも、前記連結部20を、前記係合部よりも車両前方に設けてあるため、ボルト挿通孔10及び開口部15を形成するだけの幅の上壁部2Bであっても、連結部20の設定位置はスライドプレート9の移動に影響を与えない比較的余裕のある部位、即ち、ペダルブラケット2の上壁部2Bに形成されたボルト挿通孔10の前側に位置することとなり、ペダルブラケット2を大きくする必要がなく、ブレーキペダル装置1の小型化に寄与することができる。そして、比較的余裕のある部位のため、ボルト挿通孔10を可能な限り長く設定することも可能となる。さらに、通常、ブレーキペダル装置1の組み付け順序として、ペダルアーム8やシャフト4等を組み付けた後、スライドプレート9とペダルブラケット2とを連結するのであるが、スライドプレート9とペダルブラケット2との連結時に、スライドプレート9の上方より片側作業による締結加工が可能なリベット(シェアピン)を利用せず、スライドプレート9の上下からの締結加工作業を取る場合であっても、他の構成部品との干渉を回避して、作業性を向上することもできる。
【0065】
また、前記ペダルブラケット2を、対向して離間配置される一対の側壁部2A,2Aとこれらをその上方で結合する上壁部2Bとを有する断面略コ字状に形成し、該上壁部2Bに前記連結部20を設けると共に、該上壁部2Bに前記スライドプレート9と係合するピボットブラケット3の噛み合い部としての突出部17が突出する開口部15を設けてあるため、ペダルブラケット2にピボットブラケット3を回転可能に設けるシャフト4付近の高さを抑えられ、ブレーキペダル装置1全体の大きさを抑えることができるので、ブレーキペダル装置1のレイアウト自由度を高め、小型車など様々な車種に適用することができる。
【0066】
また、前記上壁部2Bとスライドプレート9とを車両上方から挿通したボルト12により車体部材41の下面部に締結固定すると共に、前記衝突吸収手段として、該上壁部2Bに設けたボルト挿通孔10を長孔状に形成してペダルブラケット2とスライドプレート9とを相対移動可能とし、これらペダルブラケット2とスライドプレート9との摺動抵抗により衝撃を吸収するようにしてあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
【0067】
しかも、締結固定時のトルク管理をすることで、衝突吸収チューニングを容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態のように車両上方からボルト12を挿通して締結固定するので、ペダルブラケット2及びペダルアーム8等が予め組付けられたブレーキペダル装置1をダッシュロアパネル40に固定した後に、スライドプレート9をその下面に固定する車体部材41であるステアリングメンバ42にブラケット43,取付ブラケット44や図外のステアリングコラムシャフトに組付けモジュール化したものを、車両後方から一度に取り付けることも可能となり、組み付け作業性を向上することができる。
【0069】
また、前記連結部20を、車両前後方向に長孔状に形成した前記ボルト挿通孔10の延長線上に設定してあるため、スライドプレート9とペダルブラケット2との相対移動時に該スライドプレート9の移動方向が偏ることなく、安定して移動させることができる。
【0070】
さらに、前記スライドプレート9をペダルブラケット2の上壁部2Bの上面側に重合配置してあるため、スライドプレート9をレイアウトする際、ペダルブラケット2内に設けられるシャフト4やピボットブラケット3等に影響を受けないので、レイアウト自由度を高めることができる。
【0071】
また、前記スライドプレート9は、その上壁9Aの両側部にペダルブラケット2の上壁部2Bを覆うフランジ9Bを有する断面略コ字状に形成してあるため、フランジ9Bの高さによりスライドプレート9自体の断面係数を自由に設定して、入力荷重に対する剛性を向上することが容易であると共に、このようにフランジ9Bにより剛性を確保できるため、スライドプレート9自体の大きさを小さくでき、ひいてはブレーキペダル装置1全体の大きさを小さくして、小型車など様々な車種に適用することができる。
【0072】
しかも、本実施形態のように前記フランジ9Bを下向きに形成して、ペダルブラケット2の上壁部2Bの両側部を覆うように形成すれば、スライドプレート9の移動時にガイドとして働き、スライドプレート9を安定して移動させることができる。
【0073】
図3及び図4は、本発明の第2実施形態を示しており、この第2実施形態は、前述の第1実施形態の構造に加え、前記ナットプレート13を、ペダルブラケット2と連結する第2連結部25を設けたものである。
【0074】
従って、その他の基本的な構造は第1実施形態と同様であり、同一部分に同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0075】
この第2実施形態では、前記ペダルブラケット2とナットプレート13との間に、これらペダルブラケット2とナットプレート13とを連結すると共に、該ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、その連結を解除する第2連結部25が設けられている。
【0076】
具体的には、該第2連結部25は、ペダルブラケット2の上壁部2Bの後端部及びナットプレート13の後端部に各々設けられた挿通孔26,27に挿通したシェアピン28によって構成されている。
【0077】
この第2実施形態の構造によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて、前記ナットプレート13を、ペダルブラケット2に連結する第2連結部25を設けてあるため、車両への組み付け前のナットプレート13のガタツキを抑えることができる。
【0078】
また、車両上方からボルト12を挿通して締結固定するので、ペダルブラケット2等からなるブレーキペダル装置1をダッシュロアパネル40に固定した後に、スライドプレート9をその下面に固定する車体部材41であるステアリングメンバ42にブラケット43,取付ブラケット44等を組付けモジュール化したものを、車両後方から一度に取り付ける際に、車体部材41やブレーキペダル装置1の下方に潜り込んで行う締結作業を廃止することも可能となり、組み付け作業性を向上することができる。
【0079】
図5及び図6は、本発明の第3実施形態を示しており、この第3実施形態は、前述の第1実施形態の構造に加え、前記ペダルブラケット2とスライドプレート9及びナットプレート13を連結する第2連結部29を設けたものである。
【0080】
従って、その他の基本的な構造は第1実施形態と同様であり、同一部分に同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0081】
この第3実施形態では、前記ペダルブラケット2とスライドプレート9及びナットプレート13との間に、これらペダルブラケット2とスライドプレート9及びナットプレート13とを連結すると共に、該ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、スライドプレート9とナットプレート13とがペダルブラケット2に対して相対移動可能にその連結を解除する第2連結部29が設けられている。
【0082】
具体的には、該第2連結部29は、ペダルブラケット2の上壁部2Bの後端部とスライドプレート9の上壁9Aの後端部及びナットプレート13の後端部に各々設けられた挿通孔26,27,30に挿通したシェアピン28によって構成されている。
【0083】
以上の第3実施形態の構造によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて、前記ペダルブラケット2とスライドプレート9及びナットプレート13とを連結すると共に、ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくともナットプレート13とスライドプレート9とがペダルブラケット2に対して相対移動可能にその連結を解除する第2連結部29が設けてあるため、必要時には確実にペダルブラケット2とスライドプレート9とが相対移動できることは勿論、組み付け時のガタツキを抑えることができる。
【0084】
また、車両上方からボルト12を挿通して締結固定するので、ペダルブラケット2等からなるブレーキペダル装置1をダッシュロアパネル40に固定した後に、スライドプレート9をその下面に固定する車体部材41であるステアリングメンバ42にブラケット43,取付ブラケット44等組み付けた後、車両後方から一度に取り付けることも可能となり、組み付け作業性を向上することができる。
【0085】
図7〜9は、本発明の第4実施形態を示しており、この第4実施形態は、前述の第1実施形態の構造に加え、前記スライドプレート9とナットプレート13を連結する第2連結部31を設けたものである。
【0086】
従って、その他の基本的な構造は第1実施形態と同様であり、同一部分に同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0087】
この第4実施形態では、前記ペダルブラケット2の上壁部2Bに設けた長孔状のボルト挿通孔10を介して前記スライドプレート9とナットプレート13とを連結する第2連結部31が設けられている。
【0088】
具体的には、該第2連結部31は、スライドプレート9を前記車体部材41(取付ブラケット44)の下面部に締結固定するボルト12,ナット14よりも車両前方で、スライドプレート9の上壁9A及びナットプレート13の前端部に各々設けられた挿通孔30,27に挿通したシェアピン28によって構成されている。
【0089】
特にこの実施形態では、前記ナットプレート13の板厚をスライドプレート9よりも薄く設定して、該ナットプレート13にスライドプレート9側に突出したエンボス部32を形成し、該エンボス部32に第2連結部31を設けてある。
【0090】
また、該エンボス部32は、ペダルブラケット2の上壁部2Bの長孔状に形成したボルト挿通孔10内に設けられ、該ボルト挿通孔10を介してスライドプレート9の下面に当接している。
【0091】
以上の第4実施形態の構造によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて、前記ナットプレート13を、スライドプレート9に連結する第2連結部31を設けてあるため、車両への組み付け前のナットプレート13のガタツキを抑えることができる。
【0092】
また、車両上方からボルト12を挿通して締結固定するので、ペダルブラケット2等からなるブレーキペダル装置1をダッシュロアパネル40に固定した後に、スライドプレート9をその下面に固定する車体部材41であるステアリングメンバ42にブラケット43,取付ブラケット44等組み付けた後、車両後方から一度に取り付けることも可能となり、組み付け作業性を向上することができる。
【0093】
さらに、前記第2連結部31は、スライドプレート9を前記車体部材41の下面部に締結固定する固定部より車両前方に設定してあるため、第2実施形態の第2連結部25、第3実施形態の第2連結部29のように固定部の後方側に、シェアピン用の孔等の設定スペースが必要ないため、その分車両後方側に第2連結部31が突出することなく、ブレーキペダル装置1全体を小型化することができる。
【0094】
また、前記第2連結部31は、前記長孔状のボルト挿通孔10を介して前記スライドプレート9とナットプレート13とを連結するようにしてあるため、ペダルブラケット2をスライドプレート9とナットプレート13との間に介在させ、これらスライドプレート9とナットプレート13とでペダルブラケット2を挾持するので、車両組み付け前のスライドプレート9とペダルブラケット2とのガタツキも抑えることができる。
【0095】
しかも、ペダルブラケット2とスライドプレート9との連結を解除する必要がないので、ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用した際、スライドプレート9の相対移動が始まる初動荷重を低くすることができる。
【0096】
さらに、長孔状のボルト挿通孔10がガイドとなり、スライドプレート9をペダルブラケット2に対して安定して相対移動させることができる。また、スライドプレート9の移動初期時には、シェアピン28を剪断する必要がなく、前側のシェアピン23のみ剪断すればよいので、スライドプレート9の相対移動が始まる初動荷重を低く抑えることができる。尚、スライドプレート9の相対移動距離が充分確保されており、ボルト挿通孔10の前端縁でこのシェアピン28を剪断する必要がない場合は、これを通常のピン結合とすることもできる。
【0097】
尚、エンボス部32の前端部は、下方に傾斜した形状とされ、スライド移動後期にボルト挿通孔10の前端縁から上壁部2Bの下側に入り込み、シェアピン28の剪断の補助ならびに剥離にも寄与することができ、連結の解除に役立つようになっている。
【0098】
また、前記ナットプレート13の板厚をスライドプレート9よりも薄く設定し、該ナットプレート13にスライドプレート9側に突出したエンボス部32を形成し、該エンボス部32に第2連結部31を設定してあるため、板厚を薄く設定したナットプレート13側に形成するので、加工が簡単でコスト的に有利に得ることができる。即ち、強度・剛性が要求されるために比較的板厚を厚くしたスライドプレート9側に、ナットプレート13側へ突出するエンボス部32を形成する場合は、小さな曲げRで形成しにくいため、エンボス部32を対応する上壁部2Bのボルト挿通孔10に入れてナットプレート13側へ当接させるためには、その分、ボルト挿通孔10の幅や長さも大きくせざるを得なくなるが、板厚の薄いナットプレート13は、加工自体が厚いものに比べ簡単であり、また、より小さな曲げRで形成できるために、ボルト挿通孔10の幅や長さも比較的小さいものですみ、ブレーキペダル装置1の小型化にも寄与する。
【0099】
そして、前記エンボス部32が、ペダルブラケット2の上壁部2Bの長孔状のボルト挿通孔10内に設定され、該ボルト挿通孔10を介してスライドプレート9の下面に当接させているため、ボルト挿通孔10がガイドとなり、スライドプレート9をペダルブラケット2に対してより安定して相対移動させることができる。
【0100】
図10〜12は、本発明の第5実施形態を示しており、この第5実施形態は、前述の第4実施形態の第2連結部について異なる構造を示しており、従って、その他の基本的な構造は第4実施形態と同様であり、同一部分に同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0101】
この第5実施形態では、前記ペダルブラケット2の上壁部2Bに設けた長孔状のボルト挿通孔10を介して前記スライドプレート9とナットプレート13とを連結する第2連結部33が設けられている。
【0102】
具体的には、前述の第4実施形態同様、該第2連結部33は、スライドプレート9を前記車体部材41(取付ブラケット44)の下面部に締結固定するボルト12,ナット14よりも車両前方で、スライドプレート9の上壁9A及びナットプレート13の前端部に各々設けられた挿通孔30,27に挿通したシェアピン28によって構成されている。
【0103】
そしてこの実施形態では、前記ナットプレート13の板厚をスライドプレート9よりも薄く設定して、該ナットプレート13にスライドプレート9側に突出した舌片部34を形成し、該舌片部34に第2連結部33を設けてある。
【0104】
しかも、該舌片部34は、ナットプレート13の縁部から車両前方に突出させて形成し、ペダルブラケット2の上壁部2Bの長孔状に形成したボルト挿通孔10内に設けて、該ボルト挿通孔10を介してスライドプレート9の下面に当接している。
【0105】
以上の第5実施形態の構造によれば、前述の第4実施形態の効果に加えて、前記舌片部34は、ナットプレート13の縁部から突出させて形成してあるので、舌片部34の加工形成が容易であるのに加え、ナットプレート13自体の大きさを最小限に抑えることができ、ボルト挿通孔10の幅は、エンボス部32のように幅方向のR部分まで含んだ幅を必要とせず、第2連結部33が必要とする幅のみでよいので、上壁部2Bの幅も可及的に小さくできて小型化にも寄与して、重量的に有利に得ることができる。舌片部34の前端部は、下方に傾斜した形状とされ、スライド移動後期にボルト挿通孔10の前端縁から上壁部2Bの下側へ入り込み、シェアピン28の剪断の補助ならびに剥離にも寄与することができ、連結の解除に役立つようになっている。
【0106】
図13及び図14は、本発明の第6実施形態を示しており、この第6実施形態は、前述の第1実施形態のスライドプレート9について異なる構造を示しており、従って、その他の基本的な構造は第1実施形態と同様であり、同一部分に同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0107】
この第6実施形態では、前記スライドプレート9をペダルブラケット2の上壁部2Bの下面側に重合配置してある。
【0108】
また、前記スライドプレート9の下面に、該スライドプレート9を車体部材41の下面部に固定する締結固定用のナット14を溶接等により固設している。
【0109】
以上の第6実施形態の構造によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて、前記スライドプレート9をペダルブラケット2の上壁部2Bの下面側に重合配置してあるため、車両の衝突時など、ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力があった場合に可働する可動部分がペダルブラケット2内部に収容されているので、見栄えを向上することができる共に、スライドプレート9と周辺部品等の干渉が回避され、安定してスライドプレート9をペダルブラケット2に対して相対移動させることができる。
【0110】
また、前記スライドプレート9の下面に締結固定用の部材としてのナット14を固設しているため、別途ナットプレート等のナット固定用の部品を設ける必要がなく、構造を簡単化でき、コスト的にも有利に得ることができる。
【0111】
なお、上記実施形態では何れの場合も、ペダルブラケット2を、ステアリングメンバ42から延びるブラケット43に設けた取付ブラケット44の下面部に固定するようにした例を示したが、これに限らず、ダッシュロアパネル40の上後方に接続されるダッシュアッパパネルなどの車体部材に固定するようにしても良い。
【0112】
上述の第1〜第5実施形態では、締結部材用プレートとしてナット14が固設されたナットプレート13としたが、ボルトが固設されるプレートであってもよく、その場合はボルト12に代えてナットによって、車両上方からの締結作業を行うことになる。また、第6実施形態においては、スライドプレート9の下面に締結固定用の部材としてのナット14に代えてボルトを固設することもできる。そして、これらの場合、取付ブラケット44に形成されたボルト挿通孔も、車両前方側が開放したU字状に形成すれば、モジュール化されたステアリングメンバ類を、車両後方から一度に取り付ける際に、ペダルブラケットから上方に突出することになるボルトとの余計な干渉を容易に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す斜視図。
【図2】同実施形態の側方断面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態の側方断面図。
【図5】本発明の第3実施形態の要部を示す側方断面図。
【図6】図5のA方向矢視図。
【図7】本発明の第4実施形態の要部を示す側方断面図。
【図8】図7のB方向矢視図。
【図9】図7のC−C断面図。
【図10】本発明の第5実施形態を示す斜視図。
【図11】本発明の第5実施形態の要部を示す側方断面図。
【図12】図11のD方向矢視図。
【図13】本発明の第6実施形態の要部を示す破断斜視図。
【図14】本発明の第6実施形態の要部を示す側方断面図。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル装置
2 ペダルブラケット
2A 側壁部
2B 上壁部
3 ピボットブラケット
4 シャフト
6 ペダルシャフト
8 ペダルアーム
9 スライドプレート
10 ボルト挿通孔(締結固定用部材挿通孔)
12 ボルト(締結固定用部材)
13 ナットプレート(締結部材用プレート)
14 ナット(締結固定用部材)
15 開口部
17 突出部(噛み合い部)
20 連結部
25,29,31,33 第2連結部
32 エンボス部
34 舌片部
40 ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
41 車体部材
Claims (17)
- ダッシュパネルに固定されるペダルブラケットと、該ペダルブラケットに設けたシャフトに回転可能に軸支されたピボットブラケットと、前記シャフトよりも車両前方で、該ピボットブラケットに設けたペダルシャフトに回動自在に軸支されたペダルアームと、前記ダッシュパネルの上後方の車体部材の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケットの後部に設けられ、常態にあっては、ピボットブラケットと係合し、ペダルブラケットに対して車両前後方向に相対移動可能なスライドプレートとを備えると共に、前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも前記ペダルブラケットとスライドプレートとの車両前後方向の相対移動を許容し、これらペダルブラケットとスライドプレートとの摺動抵抗により衝撃を吸収する衝突吸収手段を設けて、前記ペダルブラケットとスライドプレートとが車両前後方向に相対移動した際に前記ピボットブラケットとスライドプレートとの係合が外れて該ピボットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにした構造であって、
少なくとも前記ペダルブラケットとスライドプレートとの間に、該ペダルブラケットとスライドプレートとを連結すると共に、該ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、その連結を解除可能な連結部を設けたことを特徴とする自動車のブレーキペダル装置。 - 前記連結部を、スライドプレートとピボットブラケットとの係合部近傍に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記連結部を、スライドプレートとピボットブラケットとの係合部よりも車両前方に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記ペダルブラケットを、対向して離間配置される一対の側壁部とこれらをその上方で結合する上壁部とを有する断面略コ字状に形成し、該上壁部に前記連結部を設けると共に、該上壁部に前記スライドプレートと係合するピボットブラケットの噛み合い部が突出する開口部を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記上壁部とスライドプレートとを車両上方から挿通した締結固定用部材により車体部材の下面部に締結固定すると共に、前記衝突吸収手段として、該上壁部に設けた締結固定用部材挿通孔を長孔状に形成してペダルブラケットとスライドプレートとを相対移動可能としたことを特徴とする請求項4に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記連結部を、車両前後方向に長孔状に形成した前記締結固定用部材挿通孔の延長線上に設定したことを特徴とする請求項5に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記スライドプレートをペダルブラケットの上壁部の上面側に重合配置したことを特徴とする請求項5〜6の何れか一項に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記スライドプレートは、その両側部にフランジを有する断面略コ字状に形成したことを特徴とする請求項7に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記スライドプレートの下面側に締結固定用の一方の部材を固設した締結部材用プレートを設けると共に、該締結部材用プレートをペダルブラケットまたはスライドプレートの少なくとも一方と連結する第2連結部を設け、前記スライドプレートを該締結部材用プレートと車両上方からの締結固定用の他方の部材により車体部材の下面部に締結固定可能にしたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記第2連結部は、スライドプレートを前記下面部に締結固定する固定部よりも車両前方に設定したことを特徴とする請求項9に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記第2連結部は、前記長孔状の締結固定用部材挿通孔を介して前記スライドプレートと締結部材用プレートとを連結するようにしたことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記締結部材用プレートにスライドプレート側に突出したエンボス部または舌片部を形成し、該エンボス部または舌片部に第2連結部を設定したこと特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記締結部材用プレートにスライドプレート側に突出した舌片部を形成し、該舌片部は、締結部材用プレートの縁部から突出させて形成したことを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記エンボス部または舌片部は、ペダルブラケット上壁部の長孔状の締結固定用部材挿通孔内に設定され、該締結固定用部材挿通孔を介してスライドプレート下面に当接していることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記第2連結部は、ペダルブラケットとスライドプレート及び締結部材用プレートとを連結すると共に、ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも締結部材用プレートとスライドプレートとがペダルブラケットに対して相対移動可能にその連結を解除するように設けたことを特徴とする請求項9に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記スライドプレートをペダルブラケットの上壁部の下面側に重合配置したことを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の自動車のブレーキペダル装置。
- 前記スライドプレートの下面に締結固定用部材を固設したことを特徴とする請求項16に記載の自動車のブレーキペダル装置。
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