JP3892392B2 - 走行式芝刈り機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,走行機体に,回転式の刈取り羽根によるロータリーモアを装着して成る走行式の芝刈り機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,この種の走行型の芝刈り機においては,前車輪及び後車輪にて支持された走行機体のうち前記前車輪と後車輪との間の部位に,回転式の刈取り羽根及び刈取った芝草の排出ダクトを備えたロータリーモアを,昇降可能に装着するという構成にしている(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−9757号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,この従来における走行型芝刈り機においては,前記ロータリーモアで刈取った芝草を,ロータリーモアにおける側方から排出するようにしていることにより,このロータリーモアからの芝草の排出ダクトは,走行機体の下側を横方向にクロスする形態になり,この排出ダクトの上面と走行機体との間に,前記ロータリーモアを所定の昇降ストロークだけ昇降動するための空間を確保しなければならず,換言すると,ロータリーモアと走行機体との間における高さ寸法には,ロータリーモアの走行機体に対する所定の昇降ストロークに前記排出ダクトの高さ寸法を加算しなければならないから,地面からの車高が大幅に高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は,この問題を解消することを技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は,
「一対の前車輪と後車輪とで支持され且つ前記両前車輪を舵取り操作する操縦ハンドルを備えて成る走行機体と,回転式の刈取り羽根及び刈取った芝草の排出ダクトを備えたロータリーモアとから成り,前記ロータリーモアを,前記走行機体のうち前車輪と後車輪との間の部位に昇降可能に装着して成る走行式芝刈り機において,
前記走行機体を,前記両前車輪及び両後車輪の間を前後方向に延びる左右一対のサイドフレームにて構成して,この両サイドフレームの間に,前記排出ダクトを,後方に延びるように配設する一方,前記走行機体のうち前記操縦ハンドルの箇所に,前記両サイドフレームの相互間を連結する前後一対のステー部材を設けて,このステー部材の間に装架したブラケットに,前記操縦ハンドルの回転を両前車輪に伝えるステアリングギャーボックスを装着し,更に,前記両サイドフレームのうち一方のサイドフレームを,前記ステー部材より前側の前フレーム部材と,これより後側の後フレーム部材とに分けて,前フレーム部材を後フレーム部材に対して一段低くして連結し,この前フレーム部材の上面側に,前記ステアリングギャーボックスと前記一方の前車輪とを連結するドラグロットを,前記前フレーム部材とクロスするように配設した。」
ことを特徴としている。
【0007】
【発明の作用・効果】
本発明は,前記したように,走行機体を,前記両前車輪及び両後車輪の間を前後方向に延びる左右一対のサイドフレームにて構成して,この両サイドフレームの間に,前記刈取った芝草の排出ダクトを,後方に延びるように配設することにより,ロータリーモアからの排出ダクトは,前記両サイドフレームにクロスすることがなく,その総てが走行機体における両サイドフレーム間に位置するから,前記ロータリーモアの走行機体に対する所定の昇降ストロークに,前記排出ダクトの高さ寸法を加算しなければならないことを確実に回避でき,地面からの車高を大幅に低くすることができる。
【0008】
しかも,本発明は,前記走行機体のうち操縦ハンドルの箇所に,両サイドフレームの相互間を連結する前後一対のステー部材を設けて,このステー部材の間に装架したブラケットに,前記操縦ハンドルの回転を両前車輪に伝えるステアリングギャーボックスを装着したことにより,前記ステー部材を,両サイドフレームの連結と,ステアリングギャーボックスの支持とに兼用できるから,走行機体における構造の簡単化と,軽量とを達成できると,前記ステアリングギャーボックスが取付くブラケットの左右両側にスペースを確保することができる。
【0009】
これに加えて,本発明は,前記両サイドフレームのうち一方のサイドフレームを,前記ステー部材より前側の前フレーム部材と,これより後側の後フレーム部材とに分けて,前フレーム部材を後フレーム部材に対して一段低くして連結し,この前フレーム部材の上面側に,前記ステアリングギャーボックスと前記一方の前車輪とを連結するドラグロットを,前記前フレーム部材とクロスするように配設するという構成にした。
【0010】
これにより,前記ステアリングギャーボックスを両サイドフレーム間の部位に位置したものでありながら,このステアリングギャーボックスと一方の前車輪とを連結するドラグロッドを,サイドフレームにおける高さ寸法内に収めることができるから,走行機体のコンパクト化と,更なる軽量化とを達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,図1〜図7の図面について説明する。
【0012】
この図において,符号1は,走行機体を示し,この走行機体1は,断面角形の中空パイプ材による二本のサイドフレーム1a,1bを前後方向に略平行に延びるように配設することによって構成し,且つ,この走行機体1を,前記両サイドフレーム1a,1bの外側に配設した左右一対の前車輪2a,2bと,同じく左右一対の後車輪3a,3bとで支持し,更に,この走行機体1の前部上面には,エンジン4を搭載するとともに,前記両前車輪2a,2bを同時に回動するように舵取りするための操縦ハンドル5を設け,また,前記走行機体1の後部上面には,作業者が座る操縦座席6を設ける。
【0013】
更にまた,前記走行機体1の上面には,前記両後車輪3a,3bの上部を覆うフェンダー7aと,前記操縦座席の前側の部分にステップ台7bとを備えたフロントカウル7とを,走行機体1の全体を覆うように設ける。なお,このフロントカウル7には,前記エンジン4に対するボンネットカバー8が開閉可能に設けられている。
【0014】
前記両後車輪3a,3bを,前記走行機体1における両サイドフレーム1a,1bの外側面に上下方向に延びるように固着したブラケット9a,9bの下端に装着する。
【0015】
一方,前記両前車輪2a,2bを,前記走行機体1における前部下面のうち平面視において走行機体1における横幅方向の中心線1′上の部位に中央部をセンターピン10にて上下方向に回動自在に枢着したフロントアクスル11の両端に,水平方向に旋回自在に枢着し,前記フロントアクスル11のセンターピン10を中心としての回動により,一方の前車輪が上昇すると他方の前車輪が下降するというように両前車輪2が互いに逆作動するように構成する。
【0016】
前記走行機体1のうち前記操縦ハンドル5の箇所には,前記両サイドフレーム1a,1bの相互間を連結する前後一対のステー部材12a,12bを設けて,この両ステー部材12a,12bの間に装架したブラケット13に,前記操縦ハンドル5の回転を両前車輪2a,2bに伝えるステアリングギャーボックス14を装着する。
【0017】
また,前記両サイドフレーム1a,1bのうち一方のサイドフレーム(進行方向に対して左側のサイドフレーム)1aを,前記ステー部材12a,12bより前側の前フレーム部材1a′と,これより後側の後フレーム部材1a″と分けて,前フレーム部材1a′を後フレーム部材1a″に対して一段低くして溶接等により連結する。
【0018】
前記他方のサイドフレーム(右側のサイドフレーム)1bの前部と,前記一方のサイドフレーム1aのうち前フレーム部材1a′との間に,エンジンブラケット15を設けて,このエンジンブラケット15に,前記エンジン4を,防塵ゴム16を介して搭載するとともに,前記フロントアクスル11のセンターピン10を軸支する。
【0019】
また,前記一方のサイドフレーム1aのうち前フレーム部材1a′の上面側に,前記ステアリングボックス14と前記一方の前車輪(左側の前車輪)2aとを連結するドラグロッド17を,前フレーム部材1a′をクロスするように配設する。
【0020】
前記走行機体1における下面側で,且つ,前記両前車輪2a,2bと両後車輪3a,3bとの間には,ロータリーモア18を,左右一対の前部リンク19と,後部リンク20とにより上下動可能に装着し,且つ,このロータリーモア18を前記操縦座席6の右側に配設した昇降レバー21の回動によって,昇降動するように構成する。
【0021】
前記ロータリーモア18は,軸線を略鉛直にして回転する左右一対の刈取り羽根22a,22bと,この両刈取り羽根22a,22bにおける上面側の全体を覆うカバーケース23とを備えている。
【0022】
この場合,前記ロータリーモア18における両刈取り羽根22a,22bは,平面視において,前記走行機体1における中心線1′から等しい距離の位置に設けられている。
【0023】
前記エンジン4における一方の出力軸4aを,エンジン4から前向きに,他方の出力軸4bを,エンジン4から後ろ向きに各々突出し,前記前向きに突出する一方の出力軸4aの回転を,前記エンジンブラケット15に軸付け部24にて前後方向に延びるように軸支した中間軸25にベルト26にて動力伝達する。
【0024】
一方,前記ロータリーモア18におけるカバーケース23の上面に,これに取付けた歯車ケース27を介して縦軸28を回転自在に軸支し,前記歯車ケース27には,前記縦軸28に傘歯車を介して連動する入力軸29を回転自在に軸支して,この入力軸29を水平前向きに突出し,この入力軸29の先端と,前記中間軸25の後端とを,両端に自在軸継ぎ手を備えた伸縮式の動力伝達軸30を介して連結することにより,前記エンジン4における動力を,前記中間軸25,動力伝達軸30及び入力軸29を介して前記縦軸28に伝達し,この縦軸28の回転を,当該縦軸28と,両刈取り羽根22a,22bにおける支持軸22a′,22b′との間に巻掛けした無端ベルト31を介して前記両刈取り羽根22a,22bに伝達することにより,この両刈取り羽根22a,22bを,図3に点線矢印で示すように,走行機体1の走行方向に対して互いに内向きの方向に回転するよう構成する。
【0025】
前記ロータリーモア18におけるカバーケース23の上面には,当該ロータリーモア18における両刈取り羽根22a,22bにて刈り取った芝草を排出するための排出ダクト32を,前記両サイドフレーム1a,1bの間を,後方に延びるように設けて,この排出ダクト32の後端を,前記走行機体1の後端に着脱自在に装着したキャッチャーボックス33に連通する。
【0026】
一方,前記排出ダクト32の上部で,且つ,前記操縦座席6の下部の部位に,前記エンジン4の回転を適宜変速して前記両後車輪3a,3bに伝達するための走行ミッション機構34を,当該走行ミッション機構34への縦向きの入力軸34aが上向きに突出するように配設して,この走行ミッション機構34の左右両側より横外向きに突出する出力軸34bから前記両後車輪3a,3bに対して無端チエン45にて動力伝達する。
【0027】
なお,前記走行ミッション機構34の両端を,前記両サイドフレーム1a,1bに対して固着することによって,両サイドフレーム1a,1bの相互間を,前記走行ミッション機構34にて連結するという構成になっている。
【0028】
前記走行ミッション機構34よりも前側で,且つ,この走行ミッション機構34に隣接する部分に,縦向きに延びる中間軸35を,走行機体1に取付く歯車ケース36にて回転自在に軸支し,この中間軸35の上端に嵌着したプーリ37と,前記走行ミッション機構34における入力軸34aに嵌着したプーリ38との間に無端ベルト39を巻掛けする一方,前記中間軸35を軸支する歯車ケース36の下端に,前記中間軸35に傘歯車を介して連動する横軸40を前向きに突出するように設けて,この横軸40と,前記エンジン4における後向きの他方の出力軸4bとの間を,両端に自在軸継ぎ手を備えた伸縮式の動力伝達軸41を介して連結することにより,前記エンジン4から動力を,動力伝達軸41,横軸40,中間軸35及び無端ベルト39を介して前記走行ミッション機構34に伝達するように構成する。
【0029】
また,前記走行機体1には,ブレーキペダル42と,変速ペダル43とが設けられ,これらブレーキペダル42及び変速ペダル43における支持軸44を,他方のサイドフレーム1bと,前記両ステー部材12a,12bの間に装架したブラケット13とで支持するように構成されている。
【0030】
この構成において,走行機体1を,そのロータリーモア18を回転駆動しながら前進走行することにより,所定の芝刈りを行うことができ,この芝刈りにて刈り取った芝草は,排出ダクト32内から後方に放出されるか,或いは,前記刈芝排出ダクト32の後端部に着脱可能に設けたキャッチャーボックス33内に放出される。
【0031】
前記したように,走行機体1を,前記両前車輪2a,2b及び両後車輪3a,3bの間を前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム1a,1bにて構成して,この両サイドフレーム1a,1bの間に,前記刈取った芝草の排出ダクト32を,後方に延びるように配設したことにより,前記ロータリーモア18からの排出ダクト32は,前記両サイドフレーム1a,1bに対してクロスすることなく,その総てが両サイドフレーム1a,1bの間に位置するから,前記ロータリーモア18の走行機体1に対する昇降ストロークに,前記排出ダクト32の高さ寸法を加算しなければならないことを回避できる。
【0032】
また,前記走行機体1のうち操縦ハンドル5の箇所に,両サイドフレーム1a,1bの相互間を連結する一対のステー部材12a,12bを設けて,この両ステー部材12a,12bに,前記操縦ハンドル5の回転を両前車輪2a,2bに伝えるステアリングギャーボックス14を装着したことにより,前記両ステー部材12a,12bを,両サイドフレーム1a,1bの連結と,ステアリングギャーボックス14の支持とに兼用できる。
【0033】
更にまた,前記両サイドフレーム1a,1bのうち一方のサイドフレーム1aを,前記ステー部材12a,12bより前側の前フレーム部材1a′と,これより後側の後フレーム部材1a″とに分けて,前フレーム部材1a′を後フレーム部材1a″に対して一段低くして連結し,この前フレーム部材1a′の上面側に,前記ステアリングギャーボックス14と前記一方の前車輪2aとを連結するドラグロッド17を,前記前フレーム部材1a′とクロスするように配設したことにより,前記ドラグロッド17を,サイドフレーム1a,1bにおける高さ寸法内に収めることができる。
【0034】
また,前記ロータリーモア18に対する動力伝達に際しては,図8に示すように構成することができる。
【0035】
すなわち,前記縦軸28と入力軸29とを備えた歯車ケース27を,両刈取り羽根22a,22bのうち一方の刈取り羽根22bにおける支持軸22b′の真上に,その縦軸28が支持軸22b′と一体の同一軸になるように配設して,こ支持軸22b′の回転を,これに巻掛けした無端ベルト31を介して他方の刈取り羽根22aにおける支持軸22a′に伝達するように構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す側面図である。
【図2】 図1の平面図である。
【図3】 フロントカウルを取り外した状態の拡大平面図である。
【図4】 図1のIV−IV視拡大断面図である。
【図5】 図1のV−V視拡大断面図である。
【図6】 図5のVI−VI視平面図である。
【図7】 図5のVII −VII 視側面図である。
【図8】 ロータリーモアに対する動力伝達部の別の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 走行機体
1a,1b サイドフレーム
1a′ 前フレーム部材
1a″ 後フレーム部材
2a,2b 前車輪
3a,3b 後車輪
4 エンジン
4a,4b エンジンの出力軸
5 操縦ハンドル
6 操縦座席
12a,12b ステー部材
14 ステアリングギャーボックス
18 ロータリーモア
32 排出ダクト
Claims (1)
- 一対の前車輪と後車輪とで支持され且つ前記両前車輪を舵取り操作する操縦ハンドルを備えて成る走行機体と,回転式の刈取り羽根及び刈取った芝草の排出ダクトを備えたロータリーモアとから成り,前記ロータリーモアを,前記走行機体のうち前車輪と後車輪との間の部位に昇降可能に装着して成る走行式芝刈り機において,
前記走行機体を,前記両前車輪及び両後車輪の間を前後方向に延びる左右一対のサイドフレームにて構成して,この両サイドフレームの間に,前記排出ダクトを,後方に延びるように配設する一方,前記走行機体のうち前記操縦ハンドルの箇所に,前記両サイドフレームの相互間を連結する前後一対のステー部材を設けて,このステー部材の間に装架したブラケットに,前記操縦ハンドルの回転を両前車輪に伝えるステアリングギャーボックスを装着し,更に,前記両サイドフレームのうち一方のサイドフレームを,前記ステー部材より前側の前フレーム部材と,これより後側の後フレーム部材とに分けて,前フレーム部材を後フレーム部材に対して一段低くして連結し,この前フレーム部材の上面側に,前記ステアリングギャーボックスと前記一方の前車輪とを連結するドラグロットを,前記前フレーム部材とクロスするように配設したことを特徴とする走行式芝刈り機。
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