JP3892283B2 - ワイヤ放電加工方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ電極を用いて被加工体を放電加工するワイヤ放電加工において、上記被加工体の板厚変化等に基づく加工面積の変化および同時発生的な加工液の噴射・噴流条件の変化に応じて加工条件を適合するように自動制御する方法およびその方法を実施する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤ放電加工装置は、直径が0.05〜0.3mm程度の金属線を工具ワイヤ電極とし、被加工体との間にxy方向の相対送りを与えて放電加工することにより切断、抜き取り等の加工を行うものである。この加工においては、被加工体の板厚が加工途中で増減変化するものを加工する場合、短絡事故やワイヤ電極の断線事故を生じさせることなく、かつ加工効率よく加工するための一手法が、例えば特開昭54−13,096号公報に開示されている。
即ち、その手法は、被加工体の各板厚に最適な加工電源の電気的加工条件とこれに対応する加工送り速度(相対移動速度)とを組み合わせた複数個の条件列データをメモリに記憶させておき、加工中に加工送り速度を検出してこの検出加工送り速度に一致する電気的加工条件列のデータを選択して加工を行うというものである。つまり、同一の電気的加工条件下では、板厚が大きくなればなるほど加工取り量が多くなるので、加工送り速度が低下するから、これを検出することによって逆に対応する電気的加工条件が選択でき、板厚に合った電気的加工条件に自動的に切り換えて加工して行けるようになるのである。
【0003】
このように、被加工体の板厚が加工途中で変化するのに対し、電気的加工条件がその変化した板厚に適合した条件に切り変わるものの、加工液噴射ノズルの位置は変化しないため、被加工体と加工液噴射ノズルの間隔が板厚変化によって,所謂密着と離隔した浮きの間で変化し、加工間隙に噴射される加工液圧が、被加工体と加工液噴射ノズルの間隔が小さいときは強く、また大きいときには弱くなり、この加工液圧が弱い場合、加工間隙に放電で生じた加工屑などが充分に除去されない場合が生じ易く、短絡や集中放電等の不安定異常状態が生じ易く、断線エネルギを越える放電が可能な加工条件の設定がされていると、ワイヤ電極の断線等が生じるのであった。又、このことは、被加工体の板厚変化が、上下のノズルの中間部である被加工体中に1つ以上の中空部等があるノズル密着状態に変化が無い場合などにも同様の問題として生じていた。
【0004】
このため、加工間隙の加工液圧力と被加工体の板厚とのマトリックスによる加工条件を予め設定しておき、加工間隙から検知された加工液圧力と数値制御装置で計算された被加工体の板厚から、前記の加工送り速度からの板厚に適合するものとして選定した電気的加工条件を変更することにより、加工液圧力が低い状態で高い放電エネルギを与えないようにすることが提案されている(特開平5−154,717号公報参照)。
【0005】
しかしながら、ワイヤ放電加工の加工間隙の加工液圧力の検出は難しい上に、検出できたとしても、それが加工液の流通介在状態と合致しているものか否か定かでなく、このため上記公報に記載開示の技術である加工液圧力の変化に対する電気的加工条件等の補償制御は、検出加工送り速度から(板厚に適合するものとして)設定した加工条件と干渉する可能性もあり、実際上は極めて難しいものと思惟される。
【0006】
以上のような問題点を解決するために、上下ノズルを常に被加工体面と密着させるように構成することも考えられるが、そのためには次の問題点がある。第1に上下ノズルを共に移動可能にするように装置を構成しなければならない。特に下側ノズルを可動にするにはワイヤ放電加工装置の構造上難しいことであり、装置の構成を非常に煩雑化する。すなわち、一般にワイヤ放電加工装置ではノズル部とガイド装置が近接して、あるいはホルダ部材内に一体に設けてあり、ノズルあるいはガイドを被加工体の大きさに合わせて適切な位置に位置決めするよういずれか一方のノズル(通常、上ノズル)が移動可能に構成されているからである。また、上下ノズルを移動させることによってかえって加工精度が得られなくなることも考えられる。
【0007】
第2に相対移動を指令するNCプログラム自体もそのように作成しなければならないが、これはNCプログラム作成の負担を大きくするし、特にテーパ加工がある場合は更に動きが複雑化する。第3に仮に以上の方法を採ったとしても、端面から切り込む箇所や、板厚が変化する箇所においては加工液が飛散し、加工液の供給状態は悪くなることは避けられない。そして、何れにしても凹状等の角隅部にノズル先端を入り込ませることができず、全体に対するノズル密着は不可能であり、何等かの対策無しには非効率な加工条件での加工を強いられることが少なくなかった。
【0008】
また、上述したようにノズル開口部が被加工体面に密着していない状態であっても、特に被加工体を加工液中に沈めて設置する、所謂浸漬加工の場合、加工液噴流の流量および液圧は加工可能な程度には充分であるので、供給状態は密着状態より悪くなっていても、加工部には必要量供給されていることも少なくない。
【0009】
然るに、被加工体の所定サンプリングタイム毎の加工板厚tを、現に行われている加工から検出することは、例えば、平均加工送り速度Fと平均加工電流Iとを夫々検出し、比例定数をK、ワイヤ電極と被加工体の材質組み合わせや加工液によって決まる定数をBとすると、前記加工板厚tは、式t=K・I/F+Bによりかなりの精度で求められることが知られている。
【0010】
これに対し加工液の加工部に対する噴射条件は、両ノズル密着、ノズル上又は下の片浮き(片離れ)、及びノズル両浮き(両離れ)などに分類され、ノズルへの加工液供給管路又はノズルブロック内の加工液の圧力、またはさらに流量を検出して、加工液の加工間隙への供給態様種別を判別することが行われて来ているが、上記加工液の外形的な供給態様の種別だけでは、加工間隙への真の加工液の流通介在状態を検知、さらには判別出来るわけではなく、改善が望まれていた。
【0011】
例えば、図5は、前記上下の加工液噴射ノズル3U、3Dに対する一般的な加工液供給回路の構成例を示すもので、加工液は図示しない加工液槽からポンプ5によって汲み上げられ、高圧電磁弁(制御弁)6を介して供給され、上下の各ノズル3U、3Dの分岐供給回路へ供給される。前記各分岐供給回路は、夫々逆止弁8U、8Dと流量計9U、9D、および上下の各ノズル3U、3Dに繋がる流量調整弁10U、10Dの直列回路から成り、各分岐供給回路またはガイドブロック2U、2Dには圧力センサ11U、11Dが設けられる。また前記ポンプ5には、インバータ周波数(WP)を入力して回転数を制御する制御装置12が設けられ、ポンプ出力の元圧は圧力計13によって表示するように構成される。
【0012】
しかして、図示した中実板状の被加工体1の上下表面に対する上下ノズル3U、3Dの密着配置とは、前記上下各加工液噴射ノズル3U、3D先端と、被加工体1の表裏面との間によって形成される開口が、両者所定の離隔位置(約0.3〜0.1mm)以内の近接位置にあって、ノズル先端廻りと被加工体表面間に微細幅の円板状ノズルを形成した状態のことである。即ち標準的な密着状態とは、前記ノズル先端と被加工体表面間の隙間が前記約0.3〜0.1mm以内程度、通常約0.1mmのことを言うのであって、前記隙間が0.3mm前後程度以上、通常0.3〜0.5mm以上をノズル浮きと言っているのである。このように、ノズル浮き、及び密着の境界が判然とせず、供給加工液の圧力及び流量検出による加工条件の自動制御切替えでは、制御を誤ることがあり、制御の目的であるワイヤ電極4の断線が防止できなかったり、逆に能率の悪い加工を強いられることがあった。
【0013】
上述図5の加工液供給回路と、上下の各加工液噴射ノズル3U、3Dに、外径φ16mm、開口内径φ6mmで、この内外径間の円板状ノズル形成面に一筋の溝(ラビリンス)を形成したものを用いたときの、ノズル密着、ノズル片浮き、及びノズル両浮き、及びその相互移行時のセンサ11U、11Dによる検出圧力の変化の状況を図6、図7、及び図8に示した。
【0014】
図6、図7、及び図8は、前述ポンプ5の制御装置12の設定インバータ周波数(WP)が、順に63、55、及び45の異圧力及び流量時のもので、夫々に前述上下ノズル両密着状態から上ノズル3Uを上方に順次に離隔移動させて行った上ノズル片浮き移動の場合▲1▼、下ノズル3Dを下方に離隔移動させて行った下ノズル片浮き移動の場合▲2▼、下ノズル3Dを予め10mm隔離した片浮きの状態から、密着上ノズル3Uを離隔させて行く両浮きへ移行の場合▲3▼、
そして、上ノズル3Uを予め10mm隔離した片浮きの状態から、密着下ノズル3Dを下方へ離隔させて行く両浮きへ移行の場合▲4▼、が夫々示されている。
そして図9は、このような図6〜8の特性を、大略数値的に整理して表として示したものである。
【0015】
上記図6、図7、および図8によると上下ノズル3U、3D何れの浮きの場合でも、密着からの離隔距離が約0.5mmになると、液圧は殆ど開放に近い状態に低下しているが、ノズルからの吐出流量を計測すると、離隔距離約0.2〜0.3mmで、流量が急増して10L/minを越え、ほぼ開放状態(ノズル浮きの状態)にあるものと思われる。そしてこのノズル浮きの状態になると、ノズル開口からの加工液吐出流量が増しても、流れ易い方へと噴射、噴流し、ワイヤ電極4と被加工体1間の微細な放電間隙に、冷却を充分に行い、生成加工屑を速やかに排出させるほどには、加工液が注入、排出されず、このため、前述ノズル浮きの状態が、被加工体1の板厚の減少変化によって生じたものであるとすると、加工条件を、例えば、電圧パルス間休止時間を大きくするように切り換える等の加工負荷軽減の対応処理無しには、加工の不安定から、ワイヤ電極4の断線等を生じさせてしまうのである。
【0016】
そして、このことは、被加工体板厚の大幅な増又は減である段差部に対するノズルのように、ワイヤ電極4と被加工体1間の矢符1Aの相対移動により、ノズル密着状態からノズル先端の開口が、移動方向の前縁より月が欠けまたは満ちるように開放の開口を順次に拡大又は減少させて行く噴射、噴流条件の変化の場合にも、同一の指標として開口面積を取ることにより同じことが言えるものである。図10の表に、上ノズルの開口(口径φ6mm)の中心が、段差部の縁から、被加工体1表面の密着面側へ4mmの位置上に在る状態から前記相対移動を開始させたところ、ノズル開口の円弧外縁から径方向に約1.2mmの幅開放状となったところで、上ノズルからの吐出流量が、使用流量計9U、9Dで測定可能な10L/minを越えて、上ノズル浮き状態となったことを示している。
【0017】
しかし、上述何れの場合も、加工液噴射ノズル3U、3Dによる加工液噴射の条件、状態、特に加工間隙に於ける加工液の流通介在状態を、前述圧力検出と流量検出によって判別区分け等することは難しいと言うより出来ていなかったと言うことができるものである。
【0018】
しかるところ、佐藤ほか:「ワイヤ放電加工の適応制御に関する研究」、電気加工技術、VOL.25、No.81、7(2001)に依れば、加工液の噴射条件種別毎の放電パルス間の休止時間の値と正常放電パルスの平均周波数とから、加工液の流通の状況が、ワイヤ電極が断線するに至る限界状態にあるかどうかを検知でき、休止時間幅等の設定を変更する指標とすることが出来ると報告されている。しかし、この手法によれば、「正常放電パルス数は加工液の流通状況を反映していることを見出した。」としているものの、板厚検出以外の判別、制御等のアルゴリズムが開示されていない状況にある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、被加工体の板厚が変化するだけでなく、加工液の噴射・噴流条件が変化するなど加工環境が変化する場合においてもワイヤ電極の断線を生じさせず、加工の安定性を維持しつつ加工を行い得るように、常により適切な加工条件への切換設定を行い、より効率的に加工を行うことができるワイヤ放電加工方法およびその装置を提供することにある。
【0020】
そして、このような被加工体の板厚変化に対応する加工条件の切換制御と同様な対応は、各種の、場合によっては部分的に種々の板厚変化のある被加工体を、該被加工体の所望のまたは任意の端面から、または加工スタート穴から加工を開始させる加工の喰い付き時、さらには、加工の輪郭線経路に至るアプローチの加工区間、そしてさらに所定の輪郭線経路に入った当初の加工区間等の加工のばらつきを生じ易い加工領域において必要とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前述の本発明の目的は、(1)一対の間隔を置いて配置したガイド間にワイヤ電極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せしめ、該間隙に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設けた加工液噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って加工間隙に噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間にパルス的な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せしめると共に、両者間に前記直角方向の平面上における相対的な送りを与えて加工するワイヤ放電加工方法において、
前記一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液噴射の態様を、当該加工部分の被加工体の板厚及び加工液噴射ノズルと被加工体被噴射面との離隔状態の違いによる噴射条件の違いとして複数種に分別し、
この分別した加工液噴射条件の種別毎、に被加工体の異なる各板厚と該各板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含む設定加工条件の組合わせからなる加工条件とを組とした板厚・加工条件データをメモリに記憶しておくと共に、
前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧と不良放電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分別種別毎に分別した平均加工電圧・不良放電パルス発生割合データとしてメモリに記憶しておき、
現に行われている加工から所望のサンプリングタイム毎に加工送り速度と平均加工電流とを検出して被加工体の当該加工部分の板厚を求めると共に、平均加工電圧と不良放電パルス発生割合とを検出し、
前記求めた被加工体の板厚に対応する前記記憶した板厚の平均加工電圧・不良放電パルス発生割合データを前記メモリから読み出し、前記検出した平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合と照合することにより前記加工液噴射ノズルの加工液噴射条件の種別を判別特定し、
該特定した加工液噴射条件の板厚・加工条件データを前記メモリから読み出して、前記求めた板厚に符合する板厚の加工条件に加工条件を切換え設定して加工を継続させ、
以後に継続する加工においても、所望に設定されたサンプリングタイム毎に、前記検出、照合判別、及び加工条件の切替え設定を繰り返すことを特徴とするワイヤ放電加工方法とすることにより達成される。
【0022】
又、前述の本発明の目的は、(2)前記加工液噴射条件の種別を、前記加工液噴射ノズルの先端と被加工体の表面との間によって形成される開口が、両者所定の微細離隔位置以内の近接位置にあって、ノズル先端廻りと被加工体表面間に、微細幅の円板状ノズルを形成した状態をノズル密着、
前記相対送りの方向と交叉して被加工体の表裏面上に形成されている段差部にまたがってノズル先端が相対向位置する場合を含み、前記ノズル密着の離隔位置に対して、所定の限度以上の大きい相対的な離隔位置にあって、円板状乃至は前方開放のノズルを形成した状態が、前記一対の加工液噴射ノズルの一方であるときをノズル片浮き、両方であるときをノズル両浮きの少なくとも3種に分別する前記(1)に記載のワイヤ放電加工方法とすることにより達成される。
【0023】
又、前述の本発明の目的は、(3)前記ノズル密着の微細幅の円板状ノズルを形成するノズル先端と被加工体表面間の隙間が、0.3〜0.1mm以内、好ましくは約0.1mmであり、前記のノズル片浮き及びノズル両浮きの円板状乃至前方開放のノズルを形成するノズル先端と被加工体表面間の間隔が0.3mm以上である前記(2)に記載のワイヤ放電加工方法とすることにより達成される。
【0024】
また、前述の本発明の目的は、(4)前記不良放電パルスの発生割合が、不良放電パルスの発生頻度であり、前記検出する平均加工電圧が加工送り制御のサーボ基準電圧である前記(1)、(2)または(3)に記載のワイヤ放電加工方法とすることにより達成される。
【0025】
又、前述の本発明の目的は、(5)前記不良放電パルスとは、前記パルス的な加工電圧としての各電圧パルスがワイヤ電極と被加工体間に印加されてから、不定の時間遅れがあった後に放電が開始するまでの放電待機時間が所定値よりも短い各放電パルスのことであることとする前記(1)、(2)、(3)または(4)に記載のワイヤ放電加工方法とすることにより達成される。
【0026】
又、前述の本発明の目的は、(6)一対の間隔を置いて配置したガイド間にワイヤ電極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せしめ、該間隙に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設けた加工液噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って加工間隙に噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間にパルス的な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せしめると共に、前記直角方向の平面上における相対的な送りを与えて加工するワイヤ放電加工装置において、
前記一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液噴射の態様を、前記被加工体の切断予定断面を側面から見て、ワイヤ電極軸方向の被加工体板厚が相対送り方向の位置で変化していることを噴射条件の違いとして複数種に分別し、この分別した噴射条件の種別毎に、被加工体の異なる各板厚と、該各板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含む設定加工条件の組み合わせから成る板厚・加工条件データを設定する手段と、該設定された複数組の板厚・加工条件データを記憶装置に記憶する手段と、
前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分別種別毎に設定する手段、該設定された複数組の平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを記憶装置に記憶する手段とを備え
(a)現に行われている加工からの所定のサンプリングタイム毎の検出加工送り速度と検出平均加工電流とから被加工体の当該
加工部分の板厚を計算して求める手段と、
(b)現に行われている加工から所定のサンプリングタイム毎に平均加工電圧と不良放電パルス発生割合のデータを検出して設定する手段と、
(c)前記記憶装置から前記求めた板厚の記憶した平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを読み出し、前記検出設定した平均加工電圧と不良放電パルス発生割合のデータとを照合して現に行われている加工の加工液噴射条件を前記分別噴射条件のひとつに判別特定する手段と、
(e)該特定した加工液噴射条件に該当する前記記憶した板厚・加工条件データを記憶装置から読み出し、該読み出したデータの中から前記求めた板厚に対応する板厚の加工条件に加工条件を切り換え設定する手段と、
(f)設定された所定のサンプリングタイム毎に、前記(a)項乃至(d)項の検出計算、検出設定、照合判別、及び加工条件の読み出しと切換え設定を繰り返す繰返え制御手段とから成るワイヤ放電加工装置とすることにより達成される。
【0027】
【発明の実施の形態】
通常のワイヤ放電加工において、加工被加工体の板厚と加工間隙に於いて繰り返される放電パルスの良又は不良パルスの発生割合、または頻度とに或る特定の傾向がある。即ち、板厚の厚い物と薄い物とを対比すると、板厚の厚いものは不良放電パルスの発生割合が多く(例えば、約70%前後)、これに対し板厚の薄いものは発生割合が少なく(例えば、約40%前後)、そしてその中間の板厚のものは、その中間近くの値(例えば、約50〜60%前後)になっていると言うことである。
【0028】
このことは、板厚の厚い被加工体の場合、ワイヤ電極が狭くて加工屑やガスが滞留する加工溝内を、板厚の厚さに応ずる長い通路にわたって放電などにより振動しながら通過して行く状態の間に印加される間歇的な電圧パルスによって生ずる放電パルスであるから、短絡等の不良放電パルスの発生割合又は頻度が板厚の薄い被加工体の場合よりも、大幅に大きくなっているものと考えられている。
【0029】
そして上記の場合、前記の不良放電パルスとは、前記短絡とかアーク放電状態の放電パルスとか、放電パルス中の所定時点での放電電圧が所定値より低いものとするなどのように、諸種の判断基準によって振り分けられた放電パルスとすることが考えられるが、スイッチング素子のオン・オフによる加工放電電圧の印加に基づく放電加工は、休止時間を置いて印加される電圧パルスが、印加後不定の時間遅れの後放電を開始することにより放電パルスを生成する態様であるのを利用して、前記不定の遅れ時間が所定値より短い放電パルスを前記不良放電パルスと判定してカウントするなどのことも考えられる。
【0030】
また、さらに前記不良放電パルスの発生割合または頻度などとしては、所定サンプリングタイム内の発生数とか、全印加電圧パルス数又は全放電パルス数に対する発生割合などとする外、例えば、何等かの判別基準によって良と判断した良放電パルス数に対する不良放電パルスの数とする等各種の判断設定とすることが可能なものである。
【0031】
しかして、本発明者らは、上述のような被加工体の板厚に対する不良放電パルスの発生割合または頻度などの状況等を調査していた所、同一板厚被加工体の加工に於いて、上下の加工液噴射ノズルを被加工体面に近接、及び離隔設定することにより、両ノズル密着、上ノズル浮き、下ノズル浮き、及び両ノズル浮きとして加工を行なった場合、これらの加工液の噴射条件の違いにより、上記不良放電パルスの発生割合または頻度にはっきりした差があることが分かった。なお、上記不良放電パルスの発生割合または頻度の加工液噴射条件の違いよる差としては、上記上ノズル浮きと下ノズル浮きの場合とで、後述の実験例で示すように実質上差が無かったので、加工液の噴射条件の違いは、3種に分別されるものとして説明を進めることとする。
【0032】
そして、さらに調査を続けたところ、前記加工液の噴射条件の違いによる不良放電パルスの発生割合または頻度の差または違いは、加工間隙の平均加工電圧(加工条件として設定されるサーボ基準電圧とほぼ同一か、依存した近似値となる)を変更しても、増減はあってもはっきり存在し、後述実験例では、前記平均加工電圧が高い方の設定である約60Vで前記加工液の噴射条件の違いによる不良放電パルスの発生割合または頻度がほぼ同一値となるものの、前記平均加工電圧が低いほうの設定になると、前記不良放電パルスの発生割合又は頻度は、加工液の噴射条件の違いによる差を減ずる場合もあるが一般的には増大させながら大きくなり、加工液の噴射条件の違いにより不良放電パルスの発生割合または頻度が異なった大きくなった値の平均加工電圧値の条件でワイヤ電極が断線した。
【0033】
以上のような、或る板厚の被加工体の加工に於ける加工液の噴射条件の違いによる不良放電パルスの発生割合または頻度の差を持った平均加工電圧に対する変化特性または関係は、異なる板厚の被加工体の加工の場合にも存在していることが確認できたことから、被加工体の加工中の現に加工が行われている被加工部分の板厚と前記不良放電パルスの発生割合または頻度を繰り返しサンプリング検出するたびに、加工間隙に於ける加工液の流通介在状態がどの加工液の噴射条件によるものかを判別し、該判別された加工液噴射条件での加工の際の対象加工板厚に適した加工条件に切換えて加工するようにすることにより、被加工体の加工経路に種々に板厚変化があり、かつ加工液噴射の条件も変化する加工においても、ワイヤ電極の断線を防止しつつ、効率の良い加工が実現できるようになるものと考えられる。
【0034】
図1及び図2は、夫々板厚80mmと10mmの被加工体を、加工液噴射条件として、ノズル密着、ノズル片浮き、及びノズル両浮きで加工したときの平均加工電圧Vmに対する全放電パルスに対する不良放電パルスの発生割合または頻度Stdをプロットしたもので、前述の説明をサポートするものである。しかして、このデータは、被加工体がSKD−11、ワイヤ電極が0.2mm黄銅、ワイヤ電極付与張力12N、加工液はイオン交換水の場合である。
【0035】
そして、後述する電圧パルス等の電気的加工条件等は、上述の加工条件を板厚80mmのものと10mmのものを夫々加工するのに合致した、又はそれより一段等やや弱いか、後述する加工液噴射条件を考慮した板厚適合加工条件に設定してある。
即ち、その加工条件とは加工の効率を保つため各加工液噴射条件に於いて、ワイヤ電極が断線する断線限界の平均加工電圧よりも少し高い平均加工電圧に対応する不良放電パルスの発生割合または頻度が検出される加工条件と言うことになる。
【0036】
そして、この図1、図2のようなデータを、又はその演算プログラムと計算データ等、所定板厚の範囲にわたって整理してNC制御装置などに用意することにより、現に加工が行われている加工から、後述するように平均加工電流と平均加工送り速度とを検出すると、当該加工部分の板厚が検出されるから、この板厚を目処に予め作成したNC等の制御装置の記憶装置に記憶してあるデータやその演算要素等の中から、検出板厚に合致する板厚の、加工液噴射条件別の平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合または頻度のデータを読み出し,之を検出した平均加工電圧と不良放電パルスの発生割合または頻度とを照合して、現加工中の加工液噴射条件の種別を判別特定できるものである。
【0037】
図3は、本発明方法を実施する装置の説明図で、載物台14に取り付けられた被加工体1は、加工進方向1Aの断面図として示すように、内部を加工進行方向と交叉して延びる中空部1a、段差部1b、加工進行方向に延びる凹部1c、同じく凸部1dがあって、加工中にノズル密着、ノズル片(上)浮き、及びノズル両浮きの外、ノズル密着状態で中空部1aを通る加工、及びノズル片浮きで凹部1cを通る加工と、加工中に加工面積、即ち加工板厚と、上下の加工液ノズル3U、3Dの噴射条件及び加工間隙内の加工液の流通介在状態が、複雑に組み合わさって変わるものである。
【0038】
15はワイヤ放電加工用電源、16はNCを含むワイヤ放電加工用制御装置、17及び18は加工用電源15から被加工体1と給電子19を介してワイヤ電極4との間に印加供給される電圧及び電流検出装置、20はワイヤ電極4に対する被加工体1の相対送りの位置と位置変化を検出して検出信号を制御装置16に供給するリニアスケールとセンサとから成る好ましくは高速応答の直線位置検出装置である。
【0039】
前記電圧検出装置17は、ワイヤ電極4と被加工体1間に印加される電圧パルス及び放電パルス、或いはさらにパルス間休止時間中の電圧を検出して信号を制御装置16に供給し、又電流検出装置18は加工間隙の休止時間中を含む電流を検出して制御装置16に供給する。前記制御装置16は、入力装置16Aから図示しないキーボードや外部の記憶装置等から各種のプログラム、データ及び作動指令等が入力し、出力装置16BからXYZ等の各軸送り指令やサーボ基準電圧、ワイヤ電極4テンション、走行速度、および加工液供給のインバータ周波数指令、或いはさらに表示装置への表示信号を出力する。
【0040】
また前記制御装置16は電圧検出装置17からの検出信号により所定のサンプリングタイム毎に加工間隙の平均加工電圧信号を検出生成し、電流検出装置18からの検出信号により所定のサンプリングタイム毎に加工間隙の平均加工電流信号を検出生成し、さらに前記直線位置検出装置20からの検出信号により所定のサンプリングタイム毎に加工送り速度信号を生成する。
又該制御装置16は、前記電圧電流検出装置17、18の両方又は一方からの信号により、前記検出平均加工電圧に対する、例えば所定サンプリングタイム内の全放電パルスに対する不良放電パルスの発生割合または頻度を検出する。
【0041】
そして、前記制御装置16は、被加工体1のワイヤ放電加工中に前述のように所定のサンプリングタイム毎に検出した平均加工送り速度Fと平均加工電流Iとから、現に放電加工が行われ切断されつつある部分の加工板厚tiを設定演算プログラム等により求め、該求めた板厚tiに基づいて制御装置16内の記憶装置に予め入力記憶させてある該当板厚tiの加工液噴射条件のちがいによって差のある平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合又は頻度のデータ、グラフ、又は関係式等を読み出して来て、前記検出した平均加工電圧と同じく検出した不良放電パルスの発生割合または頻度のデータと照合し、記憶してあるどの加工噴射条件の平均加工電圧と不良放電パルスの発生割合または頻度のデータと一致するかにより、加工液の噴射条件を前述の場合は分別した3つの内の1の加工液噴射条件と判別する。
【0042】
一方前記制御装置16内の記憶装置内には前述3種の加工液の噴射条件毎に、加工する被加工体の異なる各板厚と、該各板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含む設定加工条件の組み合わせから成る板厚・加工条件列のデータが、予めの実験などにより作成されて記憶させられている。
【0043】
即ち,図4は、前記板厚・加工条件列のデータを加工液の前記噴射条件の種別毎にカード化して示したもので、板厚tは各噴射条件の種別毎に、t1からtn迄、例えば10mmきざみで10段階あり、各板厚t1〜tn毎にノズル密着では加工条件C101〜C10nが、ノズル片浮きでは加工条件C301〜C30nが、また、ノズル両浮きでは加工条件C501〜C50nが対応設定され、記憶されている。
【0044】
前記各加工条件の各加工条件列の要素としては、
・τON:休止時間(・τoff)置いて加えられる電圧パルス、
または発生した放電パルスの時間幅の設定、
・τoff:電圧パルスまたは放電パルス(・τON)間の休止時間幅の設定、
IP :放電パルスの放電電流振幅の設定
MAO:加工状態の安定、不安定を判断する基準の設定、
V :電源電圧(電圧パルスの無負荷電圧)の設定、
SV:送りサーボ基準電圧の設定、
SF:送り速度の設定
C :間隙、コンデンサの設定、
WT:ワイヤ電極の材質および径の設定
WT:ワイヤ電極の張力の設定、
WS:ワイヤ電極の更新移動速度の設定、
WP:加工液ポンプの回転数制御インバータの設定、
等があり、之等の各値またはタップ番号等が前記加工液噴射条件の種別毎に、前記制御装置16の記憶装置に記憶させられているのである
【0045】
従って、前述のように、現に行われている加工からのサンプリングタイム毎の検出平均加工電圧と検出不良放電パルスの発生割合または頻度のデータとから、そのときの加工液噴射条件が判別して特定できたところで、前記該当する加工液噴射条件の板厚・加工条件列のデータを記憶装置から読み出し、前記求めた加工板厚に符合する読み出したデータ中の板厚の加工条件に加工条件を切換え設定して加工を行い、以後の加工にも所定のサンプリングタイム毎に以上の検出計算(板厚)、検出設定(平均加工電圧、不良放電パルスの発生割合または頻度)、照合判別(加工液噴射条件)、加工条件の読み出しと切換え設定(加工液噴射条件とその条件の板厚の加工に適した加工条件)とを繰り返しながら加工を進めるようになる。従ってワイヤ電極4による被加工体1の加工部位が、中空部1aに入って行く時や通り抜けて行く加工の時、段差部1bを通過してノズル密着からノズル片浮きに移行する時、また加工進行方向の凹部1cに到り、凸部1dに到ってノズル両浮きに到る時等も、加工間隙の加工液の流通介在状態に合った、ワイヤ電極断線を回避する最適加工条件に加工条件を切換えて効率の良い自動制御加工が推進させられるようになる。
【0046】
前記或る加工液噴射条件の板厚・加工条件データから求めた或る板厚の加工条件を選定して設定してあるとき、前記制御装置16は、電源切換指令装置16Cを介して加工電源15に、前記・τON、・τoff、IP、MAO、及びV等の新しい指令値を出力し、又出力装置16Bから各軸指令出力の外、前記SV、 SF、WT、WS、WP等の新しい指令値を出力するものであり、現に加工中の加工条件がワイヤ電極の断線限界を超えそうか近い場合には、例えば・ffやSV、WPの設定を増大させる等の切換えが指令されるものである。
【0047】
前記加工条件は、現に実行中の加工条件CXXXと前記検出、判別により選定した切り換え設定すべき新しい加工条件CYYYの各加工条件要素中の主要な、例えば放電パルス時間幅・τON、休止時間幅・τoff、放電電流幅Ip、電源電圧V、サーボ基準電圧SV、送り速度SF、又は加工液制御インバータの設定WP等との値間に所定値以上の大きな差異がある加工条件要素については、加工条件の切換え設定時に、一時にいきなり新しい値に切り換えるのではなく、例えば前述平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合を検出するサンプリングタイム(例えば約3秒)や、平均加工電流と加工送り速度の検出により加工板厚を検出するサンプリングタイム(例えば約6秒)の間に、順次になだらかに切換えるとか、或る主要な加工条件要素、例えばサーボ基準電圧値を20Vから30Vに毎秒1Vずつ上昇させて行く間、またはその1/2〜1/3の時間内に、他の差異の大きい加工条件の要素値を順次なだらかに切換えるようにして、ハンチングによる不安定化や、加工面に筋や段差が形成されないように切換え制御を行うものである。
【0048】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない以上、当業者に於いて前述の実施例に拘束されることなく、各部に各種の変更を加えて実施が可能なものである。
例えば、加工液噴射条件の分別種別を前述実施例の3種に加えて、例えば、ノズル密着とノズル浮きとの間に中間状態の、例えば、ノズル準密着とか、ノズル半浮きなどの種別を1つ以上増加させて設定し、加工条件の切換制御を多段で、より緻密に行うようにすることができるが如くである。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、被加工体の板厚が加工経路途中において種々変化するだけでなく、加工液噴出ノズルからの加工液の噴出、噴流条件が同様に種々変化するなど、加工環境が大きく変化する被加工体のワイヤ放電加工を行う場合に於いても、ワイヤ電極の断線事故を生じさせず、加工の安定を維持しつつ、適切な加工条件に自動で切り換えて加工を行い、高い効率のワイヤ放電加工を実現させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための加工平均電圧に対する不良放電パルスの発生割合を、異なる加工液噴射条件について示した特性図。
【図2】図1と同じ特性図で、被加工体の板厚が異なるものについて示した特性図。
【図3】本発明方法を実施する装置の説明図。
【図4】異なる加工液噴射条件種別毎の、異なる板厚の板厚・加工条件列の例を示す加工条件表。
【図5】ワイヤ放電加工で普通に用いられている上下の加工液噴射ノズルに対する加工液供給回路の構成図。
【図6】上下の加工液噴射ノズルの一方を所定の固定状態として、他方のノズルを被加工体から順次に離隔移動させた時の、上下ノズル加工液供給回路の液圧変化を示す特性図。
【図7】前記図6と異なるポンプ元圧条件における図6と同様な特性図。
【図8】前記図7と更に異なるポンプ元圧条件時の特性図。
【図9】図6〜8の液圧変化の特性図を数値化整理し、流量と共に示した特性表。
【図10】被加工体の端縁でノズルを水平方向に移動させたときの、移動距離と流量との特性表。
【符号の説明】
1 :被加工体
1A、:相対移動の矢符
1a :中空部
1b :段差部
1c :凹状部
1d :凸状部
2U、2D:上下のガイドブロック
3U、3D:上下の加工液噴射ノズル
4 :ワイヤ電極
5 :ポンプ
6 :制御弁
8U、8D:上下の分流路の逆止弁
9U、9D:流量計
10U、10D:絞り弁
11U、11D:圧力センサ
14 :載物台
15 :加工電源
16 :制御装置
16A:入力装置
16B:出力装置
16C:電源切換指令装置
17 :電圧検出装置
18 :電流検出装置
19 :給電子
20 :直線位置検出装置

Claims (6)

  1. 一対の間隔を置いて配置したガイド間にワイヤ電極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せしめ、該間隙に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設けた加工液噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って加工間隙に噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間にパルス的な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せしめると共に、両者間に前記直角方向の平面上における相対的な送りを与えて加工するワイヤ放電加工方法において、
    前記一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液噴射の態様を、当該加工部分の被加工体の板厚及び加工液噴射ノズルと被加工体被噴射面との離隔状態の違いによる噴射条件の違いとして複数種に分別し、
    この分別した加工液噴射条件の種別毎に、被加工体の異なる各板厚と該各板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含む設定加工条件の組合わせからなる加工条件とを組とした板厚・加工条件データをメモリに記憶しておくと共に、
    前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧と不良放電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分別種別毎に分別した平均加工電圧・不良放電パルス発生割合データとしてメモリに記憶しておき、
    現に行われている加工から所望のサンプリングタイム毎に加工送り速度と平均加工電流とを検出して被加工体の当該加工部分の板厚を求めると共に、平均加工電圧と不良放電パルス発生割合とを検出し、
    前記求めた被加工体の板厚に対応する前記記憶した板厚の平均加工電圧・不良放電パルス発生割合データを前記メモリから読み出し、前記検出した平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合と照合することにより前記加工液噴射ノズルによる加工液噴射条件の種別を判別特定し、
    該特定した加工液噴射条件の板厚・加工条件データを前記メモリから読み出して、前記求めた板厚に符合する板厚の加工条件に加工条件を切換え設定して加工を継続させ、
    以後に継続する加工においても、所望に設定されたサンプリングタイム毎に、前記検出、照合判別、及び加工条件の切替え設定を繰り返すことを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  2. 前記加工液噴射条件の種別を、前記加工液噴射ノズルの先端と被加工体の表面との間によって形成される開口が、両者所定の微細離隔位置以内の近接位置にあって、ノズル先端廻りと被加工体表面間に、微細幅の円板状ノズルを形成した状態をノズル密着、
    前記相対送りの方向と交叉して被加工体の表裏面上に形成されている段差部にまたがってノズル先端が相対向位置する場合を含み、前記ノズル密着の離隔位置に対して、所定の限度以上の大きい相対的な離隔位置にあって、円板状乃至は前方開放のノズルを形成した状態が、前記一対の加工液噴射ノズルの一方であるときをノズル片浮き、両方であるときをノズル両浮きの少なくとも3種に分別することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工方法。
  3. 前記ノズル密着の微細幅の円板状ノズルを形成するノズル先端と被加工体表面間の隙間が、0.3〜0.1mm以内、好ましくは約0.1mmであり、前記のノズル片浮き及びノズル両浮きの円板状乃至前方開放のノズルを形成するノズル先端と被加工体表面間の間隔が0.3mm以上であることを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工方法。
  4. 前記不良放電パルスの発生割合が、不良放電パルスの発生頻度であり、前記検出する平均加工電圧が加工送り制御のサーボ基準電圧であることを特徴とする請求項1、2または3に記載のワイヤ放電加工方法。
  5. 前記不良放電パルスとは、前記パルス的な加工電圧としての各電圧パルスがワイヤ電極と被加工体間に印加されてから、両者間に不定の時間遅れがあった後に放電が開始するまでの放電待機時間が所定値よりも短い各放電パルスのことであることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のワイヤ放電加工方法。
  6. 一対の間隔を置いて配置したガイド間にワイヤ電極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せしめ、該間隙に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設けた加工液噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って加工間隙に噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間にパルス的な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せしめると共に、前記直角方向の平面上における相対的な送りを与えて加工するワイヤ放電加工装置において、
    前記一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液噴射の態様を、前記被加工体の切断予定断面を側面から見て、ワイヤ電極軸方向の被加工体板厚が相対送り方向の位置で変化していることを噴射条件の違いとして複数種に分別し、この分別した噴射条件の種別毎に、被加工体の異なる各板厚と、該各板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含む設定加工条件の組み合わせから成る板厚・加工条件データを設定する手段と、該設定された複数組の板厚・加工条件データを記憶装置に記憶する手段と、
    前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分別種別毎に設定する手段、該設定された複数組の平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを記憶装置に記憶する手段とを備え、
    (a)現に行われている加工からの所定のサンプリングタイム毎の検出加工送り速度と検出平均加工電流とから被加工体の当該加工部分の板厚を計算して求める手段と、
    (b)現に行われている加工から所定のサンプリングタイム毎に平均加工電圧と不良放電パルス発生割合のデータを検出して設定する手段と、
    (c)前記記憶装置から前記求めた板厚の記憶した平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを読み出し、前記検出設定した平均加工電圧と不良放電パルス発生割合のデータとを照合して現に行われている加工の加工液噴射条件を前記分別噴射条件のひとつに判別特定する手段と、
    (d)該特定した加工液噴射条件に該当する前記記憶した板厚・加工条件データを記憶装置から読み出し、該読み出したデータの中から前記求めた板厚に対応する板厚の加工条件に加工条件を切り換え設定する手段と、
    (e)設定された所定のサンプリングタイム毎に、前記(a)項乃至(d)項の検出計算、検出設定、照合判別、及び切換え設定を繰り返す繰返え制御手段と
    から成ることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
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