JP2003170316A - ワイヤ放電加工方法及びその装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工方法及びその装置

Info

Publication number
JP2003170316A
JP2003170316A JP2001369416A JP2001369416A JP2003170316A JP 2003170316 A JP2003170316 A JP 2003170316A JP 2001369416 A JP2001369416 A JP 2001369416A JP 2001369416 A JP2001369416 A JP 2001369416A JP 2003170316 A JP2003170316 A JP 2003170316A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
machining
nozzle
workpiece
plate thickness
condition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001369416A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3892283B2 (ja
Inventor
Senha Gu
戦波 虞
Hisanori Yamada
久典 山田
Takahiro Sakayori
貴宏 坂寄
Tomoyuki Kiyota
智幸 清田
Kosaku Karato
幸作 唐戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sodick Co Ltd
Original Assignee
Sodick Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sodick Co Ltd filed Critical Sodick Co Ltd
Priority to JP2001369416A priority Critical patent/JP3892283B2/ja
Publication of JP2003170316A publication Critical patent/JP2003170316A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3892283B2 publication Critical patent/JP3892283B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 被加工物の板厚変化に基ずく加工面積の変
化、加工液の噴射・噴流条件の変化に応じて加工条件を
適合するように自動制御する方法及び装置。 【解決手段】加工液噴射条件の種別毎に、被加工体の板
厚に適合した板厚・加工条件データをメモリに記憶して
おく。被加工体の異なる各板厚毎に、平均加工電圧に対
する不良放電パルスの発生割合をメモリに記憶してお
く。現に行われている加工からの検出加工送り速度と検
出平均加工電流とから加工部分の板厚を求め、求めた板
厚の平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合の
データをメモリから読み出して加工液噴射条件を判別す
る。さらに該当する噴射条件の板厚・加工条件データを
メモリから読み出し、前記求めた板厚に対応する加工条
件に切り換え加工を継続する。以後に継続する加工にお
いても、同様に加工液噴射条件の種別の特定および板厚
を求め、該当する板厚の加工条件への切り換えを繰り返
しながら加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ電極を用い
て被加工体を放電加工するワイヤ放電加工において、上
記被加工体の板厚変化等に基づく加工面積の変化および
同時発生的な加工液の噴射・噴流条件の変化に応じて加
工条件を適合するように自動制御する方法およびその方
法を実施する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工装置は、直径が0.05
〜0.3mm程度の金属線を工具ワイヤ電極とし、被加
工体との間にxy方向の相対送りを与えて放電加工する
ことにより切断、抜き取り等の加工を行うものである。
この加工においては、被加工体の板厚が加工途中で増減
変化するものを加工する場合、短絡事故やワイヤ電極の
断線事故を生じさせることなく、かつ加工効率よく加工
するための一手法が、例えば特開昭54−13,096
号公報に開示されている。即ち、その手法は、被加工体
の各板厚に最適な加工電源の電気的加工条件とこれに対
応する加工送り速度(相対移動速度)とを組み合わせた
複数個の条件列データをメモリに記憶させておき、加工
中に加工送り速度を検出してこの検出加工送り速度に一
致する電気的加工条件列のデータを選択して加工を行う
というものである。つまり、同一の電気的加工条件下で
は、板厚が大きくなればなるほど加工取り量が多くなる
ので、加工送り速度が低下するから、これを検出するこ
とによって逆に対応する電気的加工条件が選択でき、板
厚に合った電気的加工条件に自動的に切り換えて加工し
て行けるようになるのである。
【0003】このように、被加工体の板厚が加工途中で
変化するのに対し、電気的加工条件がその変化した板厚
に適合した条件に切り変わるものの、加工液噴射ノズル
の位置は変化しないため、被加工体と加工液噴射ノズル
の間隔が板厚変化によって,所謂密着と離隔した浮きの
間で変化し、加工間隙に噴射される加工液圧が、被加工
体と加工液噴射ノズルの間隔が小さいときは強く、また
大きいときには弱くなり、この加工液圧が弱い場合、加
工間隙に放電で生じた加工屑などが充分に除去されない
場合が生じ易く、短絡や集中放電等の不安定異常状態が
生じ易く、断線エネルギを越える放電が可能な加工条件
の設定がされていると、ワイヤ電極の断線等が生じるの
であった。又、このことは、被加工体の板厚変化が、上
下のノズルの中間部である被加工体中に1つ以上の中空
部等があるノズル密着状態に変化が無い場合などにも同
様の問題として生じていた。
【0004】このため、加工間隙の加工液圧力と被加工
体の板厚とのマトリックスによる加工条件を予め設定し
ておき、加工間隙から検知された加工液圧力と数値制御
装置で計算された被加工体の板厚から、前記の加工送り
速度からの板厚に適合するものとして選定した電気的加
工条件を変更することにより、加工液圧力が低い状態で
高い放電エネルギを与えないようにすることが提案され
ている(特開平5−154,717号公報参照)。
【0005】しかしながら、ワイヤ放電加工の加工間隙
の加工液圧力の検出は難しい上に、検出できたとして
も、それが加工液の流通介在状態と合致しているものか
否か定かでなく、このため上記公報に記載開示の技術で
ある加工液圧力の変化に対する電気的加工条件等の補償
制御は、検出加工送り速度から(板厚に適合するものと
して)設定した加工条件と干渉する可能性もあり、実際
上は極めて難しいものと思惟される。
【0006】以上のような問題点を解決するために、上
下ノズルを常に被加工体面と密着させるように構成する
ことも考えられるが、そのためには次の問題点がある。
第1に上下ノズルを共に移動可能にするように装置を構
成しなければならない。特に下側ノズルを可動にするに
はワイヤ放電加工装置の構造上難しいことであり、装置
の構成を非常に煩雑化する。すなわち、一般にワイヤ放
電加工装置ではノズル部とガイド装置が近接して、ある
いはホルダ部材内に一体に設けてあり、ノズルあるいは
ガイドを被加工体の大きさに合わせて適切な位置に位置
決めするよういずれか一方のノズル(通常、上ノズル)
が移動可能に構成されているからである。また、上下ノ
ズルを移動させることによってかえって加工精度が得ら
れなくなることも考えられる。
【0007】第2に相対移動を指令するNCプログラム
自体もそのように作成しなければならないが、これはN
Cプログラム作成の負担を大きくするし、特にテーパ加
工がある場合は更に動きが複雑化する。第3に仮に以上
の方法を採ったとしても、端面から切り込む箇所や、板
厚が変化する箇所においては加工液が飛散し、加工液の
供給状態は悪くなることは避けられない。そして、何れ
にしても凹状等の角隅部にノズル先端を入り込ませるこ
とができず、全体に対するノズル密着は不可能であり、
何等かの対策無しには非効率な加工条件での加工を強い
られることが少なくなかった。
【0008】また、上述したようにノズル開口部が被加
工体面に密着していない状態であっても、特に被加工体
を加工液中に沈めて設置する、所謂浸漬加工の場合、加
工液噴流の流量および液圧は加工可能な程度には充分で
あるので、供給状態は密着状態より悪くなっていても、
加工部には必要量供給されていることも少なくない。
【0009】然るに、被加工体の所定サンプリングタイ
ム毎の加工板厚tを、現に行われている加工から検出す
ることは、例えば、平均加工送り速度Fと平均加工電流
Iとを夫々検出し、比例定数をK、ワイヤ電極と被加工
体の材質組み合わせや加工液によって決まる定数をBと
すると、前記加工板厚tは、式t=K・I/F+Bによ
りかなりの精度で求められることが知られている。
【0010】これに対し加工液の加工部に対する噴射条
件は、両ノズル密着、ノズル上又は下の片浮き(片離
れ)、及びノズル両浮き(両離れ)などに分類され、ノズ
ルへの加工液供給管路又はノズルブロック内の加工液の
圧力、またはさらに流量を検出して、加工液の加工間隙
への供給態様種別を判別することが行われて来ている
が、上記加工液の外形的な供給態様の種別だけでは、加
工間隙への真の加工液の流通介在状態を検知、さらには
判別出来るわけではなく、改善が望まれていた。
【0011】例えば、図5は、前記上下の加工液噴射ノ
ズル3U、3Dに対する一般的な加工液供給回路の構成
例を示すもので、加工液は図示しない加工液槽からポン
プ5によって汲み上げられ、高圧電磁弁(制御弁)6を
介して供給され、上下の各ノズル3U、3Dの分岐供給
回路へ供給される。前記各分岐供給回路は、夫々逆止弁
8U、8Dと流量計9U、9D、および上下の各ノズル
3U、3Dに繋がる流量調整弁10U、10Dの直列回
路から成り、各分岐供給回路またはガイドブロック2
U、2Dには圧力センサ11U、11Dが設けられる。
また前記ポンプ5には、インバータ周波数(WP)を入
力して回転数を制御する制御装置12が設けられ、ポン
プ出力の元圧は圧力計13によって表示するように構成
される。
【0012】しかして、図示した中実板状の被加工体1
の上下表面に対する上下ノズル3U、3Dの密着配置と
は、前記上下各加工液噴射ノズル3U、3D先端と、被
加工体1の表裏面との間によって形成される開口が、両
者所定の離隔位置(約0.3〜0.1mm)以内の近接
位置にあって、ノズル先端廻りと被加工体表面間に微細
幅の円板状ノズルを形成した状態のことである。即ち標
準的な密着状態とは、前記ノズル先端と被加工体表面間
の隙間が前記約0.3〜0.1mm以内程度、通常約
0.1mmのことを言うのであって、前記隙間が0.3
mm前後程度以上、通常0.3〜0.5mm以上をノズ
ル浮きと言っているのである。このように、ノズル浮
き、及び密着の境界が判然とせず、供給加工液の圧力及
び流量検出による加工条件の自動制御切替えでは、制御
を誤ることがあり、制御の目的であるワイヤ電極4の断
線が防止できなかったり、逆に能率の悪い加工を強いら
れることがあった。
【0013】上述図5の加工液供給回路と、上下の各加
工液噴射ノズル3U、3Dに、外径φ16mm、開口内
径φ6mmで、この内外径間の円板状ノズル形成面に一
筋の溝(ラビリンス)を形成したものを用いたときの、ノ
ズル密着、ノズル片浮き、及びノズル両浮き、及びその
相互移行時のセンサ11U、11Dによる検出圧力の変
化の状況を図6、図7、及び図8に示した。
【0014】図6、図7、及び図8は、前述ポンプ5の
制御装置12の設定インバータ周波数(WP)が、順に6
3、55、及び45の異圧力及び流量時のもので、夫々
に前述上下ノズル両密着状態から上ノズル3Uを上方に
順次に離隔移動させて行った上ノズル片浮き移動の場合
、下ノズル3Dを下方に離隔移動させて行った下ノズ
ル片浮き移動の場合、下ノズル3Dを予め10mm隔
離した片浮きの状態から、密着上ノズル3Uを離隔させ
て行く両浮きへ移行の場合、そして、上ノズル3Uを
予め10mm隔離した片浮きの状態から、密着下ノズル
3Dを下方へ離隔させて行く両浮きへ移行の場合、が
夫々示されている。そして図9は、このような図6〜8
の特性を、大略数値的に整理して表として示したもので
ある。
【0015】上記図6、図7、および図8によると上下
ノズル3U、3D何れの浮きの場合でも、密着からの離
隔距離が約0.5mmになると、液圧は殆ど開放に近い
状態に低下しているが、ノズルからの吐出流量を計測す
ると、離隔距離約0.2〜0.3mmで、流量が急増し
て10L/minを越え、ほぼ開放状態(ノズル浮きの
状態)にあるものと思われる。そしてこのノズル浮きの
状態になると、ノズル開口からの加工液吐出流量が増し
ても、流れ易い方へと噴射、噴流し、ワイヤ電極4と被
加工体1間の微細な放電間隙に、冷却を充分に行い、生
成加工屑を速やかに排出させるほどには、加工液が注
入、排出されず、このため、前述ノズル浮きの状態が、
被加工体1の板厚の減少変化によって生じたものである
とすると、加工条件を、例えば、電圧パルス間休止時間
を大きくするように切り換える等の加工負荷軽減の対応
処理無しには、加工の不安定から、ワイヤ電極4の断線
等を生じさせてしまうのである。
【0016】そして、このことは、被加工体板厚の大幅
な増又は減である段差部に対するノズルのように、ワイ
ヤ電極4と被加工体1間の矢符1Aの相対移動により、
ノズル密着状態からノズル先端の開口が、移動方向の前
縁より月が欠けまたは満ちるように開放の開口を順次に
拡大又は減少させて行く噴射、噴流条件の変化の場合に
も、同一の指標として開口面積を取ることにより同じこ
とが言えるものである。図10の表に、上ノズルの開口
(口径φ6mm)の中心が、段差部の縁から、被加工体
1表面の密着面側へ4mmの位置上に在る状態から前記
相対移動を開始させたところ、ノズル開口の円弧外縁か
ら径方向に約1.2mmの幅開放状となったところで、
上ノズルからの吐出流量が、使用流量計9U、9Dで測
定可能な10L/minを越えて、上ノズル浮き状態と
なったことを示している。
【0017】しかし、上述何れの場合も、加工液噴射ノ
ズル3U、3Dによる加工液噴射の条件、状態、特に加
工間隙に於ける加工液の流通介在状態を、前述圧力検出
と流量検出によって判別区分け等することは難しいと言
うより出来ていなかったと言うことができるものであ
る。
【0018】しかるところ、佐藤ほか:「ワイヤ放電加
工の適応制御に関する研究」、電気加工技術、VOL.
25、No.81、7(2001)に依れば、加工液の
噴射条件種別毎の放電パルス間の休止時間の値と正常放
電パルスの平均周波数とから、加工液の流通の状況が、
ワイヤ電極が断線するに至る限界状態にあるかどうかを
検知でき、休止時間幅等の設定を変更する指標とするこ
とが出来ると報告されている。しかし、この手法によれ
ば、「正常放電パルス数は加工液の流通状況を反映して
いることを見出した。」としているものの、板厚検出以
外の判別、制御等のアルゴリズムが開示されていない状
況にある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明は、以上
のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案
されたものである。本発明の目的は、被加工体の板厚が
変化するだけでなく、加工液の噴射・噴流条件が変化す
るなど加工環境が変化する場合においてもワイヤ電極の
断線を生じさせず、加工の安定性を維持しつつ加工を行
い得るように、常により適切な加工条件への切換設定を
行い、より効率的に加工を行うことができるワイヤ放電
加工方法およびその装置を提供することにある。
【0020】そして、このような被加工体の板厚変化に
対応する加工条件の切換制御と同様な対応は、各種の、
場合によっては部分的に種々の板厚変化のある被加工体
を、該被加工体の所望のまたは任意の端面から、または
加工スタート穴から加工を開始させる加工の喰い付き
時、さらには、加工の輪郭線経路に至るアプローチの加
工区間、そしてさらに所定の輪郭線経路に入った当初の
加工区間等の加工のばらつきを生じ易い加工領域におい
て必要とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】前述の本発明の目的は、
(1)一対の間隔を置いて配置したガイド間にワイヤ電
極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と直角方向
から被加工体を微小間隙を介して相対向せしめ、該間隙
に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設けた加工液
噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って加工間隙に
噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間にパルス的
な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せしめると共
に、両者間に前記直角方向の平面上における相対的な送
りを与えて加工するワイヤ放電加工方法において、前記
一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液噴射
の態様を、当該加工部分の被加工体の板厚及び加工液噴
射ノズルと被加工体被噴射面との離隔状態の違いによる
噴射条件の違いとして複数種に分別し、この分別した加
工液噴射条件の種別毎、に被加工体の異なる各板厚と該
各板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含
む設定加工条件の組合わせからなる加工条件とを組とし
た板厚・加工条件データをメモリに記憶しておくと共
に、前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧と不
良放電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分
別種別毎に分別した平均加工電圧・不良放電パルス発生
割合データとしてメモリに記憶しておき、現に行われて
いる加工から所望のサンプリングタイム毎に加工送り速
度と平均加工電流とを検出して被加工体の当該加工部分
の板厚を求めると共に、平均加工電圧と不良放電パルス
発生割合とを検出し、前記求めた被加工体の板厚に対応
する前記記憶した板厚の平均加工電圧・不良放電パルス
発生割合データを前記メモリから読み出し、前記検出し
た平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合と照
合することにより前記加工液噴射ノズルの加工液噴射条
件の種別を判別特定し、該特定した加工液噴射条件の板
厚・加工条件データを前記メモリから読み出して、前記
求めた板厚に符合する板厚の加工条件に加工条件を切換
え設定して加工を継続させ、以後に継続する加工におい
ても、所望に設定されたサンプリングタイム毎に、前記
検出、照合判別、及び加工条件の切替え設定を繰り返す
ことを特徴とするワイヤ放電加工方法とすることにより
達成される。
【0022】又、前述の本発明の目的は、(2)前記加
工液噴射条件の種別を、前記加工液噴射ノズルの先端と
被加工体の表面との間によって形成される開口が、両者
所定の微細離隔位置以内の近接位置にあって、ノズル先
端廻りと被加工体表面間に、微細幅の円板状ノズルを形
成した状態をノズル密着、前記相対送りの方向と交叉し
て被加工体の表裏面上に形成されている段差部にまたが
ってノズル先端が相対向位置する場合を含み、前記ノズ
ル密着の離隔位置に対して、所定の限度以上の大きい相
対的な離隔位置にあって、円板状乃至は前方開放のノズ
ルを形成した状態が、前記一対の加工液噴射ノズルの一
方であるときをノズル片浮き、両方であるときをノズル
両浮きの少なくとも3種に分別する前記(1)に記載の
ワイヤ放電加工方法とすることにより達成される。
【0023】又、前述の本発明の目的は、(3)前記ノ
ズル密着の微細幅の円板状ノズルを形成するノズル先端
と被加工体表面間の隙間が、0.3〜0.1mm以内、
好ましくは約0.1mmであり、前記のノズル片浮き及
びノズル両浮きの円板状乃至前方開放のノズルを形成す
るノズル先端と被加工体表面間の間隔が0.3mm以上
である前記(2)に記載のワイヤ放電加工方法とするこ
とにより達成される。
【0024】また、前述の本発明の目的は、(4)前記
不良放電パルスの発生割合が、不良放電パルスの発生頻
度であり、前記検出する平均加工電圧が加工送り制御の
サーボ基準電圧である前記(1)、(2)または(3)
に記載のワイヤ放電加工方法とすることにより達成され
る。
【0025】又、前述の本発明の目的は、(5)前記不
良放電パルスとは、前記パルス的な加工電圧としての各
電圧パルスがワイヤ電極と被加工体間に印加されてか
ら、不定の時間遅れがあった後に放電が開始するまでの
放電待機時間が所定値よりも短い各放電パルスのことで
あることとする前記(1)、(2)、(3)または
(4)に記載のワイヤ放電加工方法とすることにより達
成される。
【0026】又、前述の本発明の目的は、(6)一対の
間隔を置いて配置したガイド間にワイヤ電極を軸方向に
更新送りせしめつつ前記軸方向と直角方向から被加工体
を微小間隙を介して相対向せしめ、該間隙に被加工体の
両側にワイヤ電極と同軸状に設けた加工液噴射ノズルか
ら加工液をワイヤ電極に沿って加工間隙に噴流させた状
態で、ワイヤ電極と被加工体間にパルス的な加工電圧を
印加して繰り返し放電を発生せしめると共に、前記直角
方向の平面上における相対的な送りを与えて加工するワ
イヤ放電加工装置において、前記一対の加工液噴射ノズ
ルからの加工間隙への加工液噴射の態様を、前記被加工
体の切断予定断面を側面から見て、ワイヤ電極軸方向の
被加工体板厚が相対送り方向の位置で変化していること
を噴射条件の違いとして複数種に分別し、この分別した
噴射条件の種別毎に、被加工体の異なる各板厚と、該各
板厚の被加工体の加工に適合した電気的加工条件を含む
設定加工条件の組み合わせから成る板厚・加工条件デー
タを設定する手段と、該設定された複数組の板厚・加工
条件データを記憶装置に記憶する手段と、前記被加工体
の異なる各板厚毎に平均加工電圧に対する不良放電パル
ス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分別種別毎に
設定する手段、該設定された複数組の平均加工電圧に対
する不良放電パルス発生割合のデータを記憶装置に記憶
する手段とを備え(a)現に行われている加工からの所
定のサンプリングタイム毎の検出加工送り速度と検出平
均加工電流とから被加工体の当該加工部分の板厚を計算
して求める手段と、(b)現に行われている加工から所
定のサンプリングタイム毎に平均加工電圧と不良放電パ
ルス発生割合のデータを検出して設定する手段と、
(c)前記記憶装置から前記求めた板厚の記憶した平均
加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを読
み出し、前記検出設定した平均加工電圧と不良放電パル
ス発生割合のデータとを照合して現に行われている加工
の加工液噴射条件を前記分別噴射条件のひとつに判別特
定する手段と、(e)該特定した加工液噴射条件に該当
する前記記憶した板厚・加工条件データを記憶装置から
読み出し、該読み出したデータの中から前記求めた板厚
に対応する板厚の加工条件に加工条件を切り換え設定す
る手段と、(f)設定された所定のサンプリングタイム
毎に、前記(a)項乃至(d)項の検出計算、検出設
定、照合判別、及び加工条件の読み出しと切換え設定を
繰り返す繰返え制御手段とから成るワイヤ放電加工装置
とすることにより達成される。
【0027】
【発明の実施の形態】通常のワイヤ放電加工において、
加工被加工体の板厚と加工間隙に於いて繰り返される放
電パルスの良又は不良パルスの発生割合、または頻度と
に或る特定の傾向がある。即ち、板厚の厚い物と薄い物
とを対比すると、板厚の厚いものは不良放電パルスの発
生割合が多く(例えば、約70%前後)、これに対し板
厚の薄いものは発生割合が少なく(例えば、約40%前
後)、そしてその中間の板厚のものは、その中間近くの
値(例えば、約50〜60%前後)になっていると言う
ことである。
【0028】このことは、板厚の厚い被加工体の場合、
ワイヤ電極が狭くて加工屑やガスが滞留する加工溝内
を、板厚の厚さに応ずる長い通路にわたって放電などに
より振動しながら通過して行く状態の間に印加される間
歇的な電圧パルスによって生ずる放電パルスであるか
ら、短絡等の不良放電パルスの発生割合又は頻度が板厚
の薄い被加工体の場合よりも、大幅に大きくなっている
ものと考えられている。
【0029】そして上記の場合、前記の不良放電パルス
とは、前記短絡とかアーク放電状態の放電パルスとか、
放電パルス中の所定時点での放電電圧が所定値より低い
ものとするなどのように、諸種の判断基準によって振り
分けられた放電パルスとすることが考えられるが、スイ
ッチング素子のオン・オフによる加工放電電圧の印加に
基づく放電加工は、休止時間を置いて印加される電圧パ
ルスが、印加後不定の時間遅れの後放電を開始すること
により放電パルスを生成する態様であるのを利用して、
前記不定の遅れ時間が所定値より短い放電パルスを前記
不良放電パルスと判定してカウントするなどのことも考
えられる。
【0030】また、さらに前記不良放電パルスの発生割
合または頻度などとしては、所定サンプリングタイム内
の発生数とか、全印加電圧パルス数又は全放電パルス数
に対する発生割合などとする外、例えば、何等かの判別
基準によって良と判断した良放電パルス数に対する不良
放電パルスの数とする等各種の判断設定とすることが可
能なものである。
【0031】しかして、本発明者らは、上述のような被
加工体の板厚に対する不良放電パルスの発生割合または
頻度などの状況等を調査していた所、同一板厚被加工体
の加工に於いて、上下の加工液噴射ノズルを被加工体面
に近接、及び離隔設定することにより、両ノズル密着、
上ノズル浮き、下ノズル浮き、及び両ノズル浮きとして
加工を行なった場合、これらの加工液の噴射条件の違い
により、上記不良放電パルスの発生割合または頻度には
っきりした差があることが分かった。なお、上記不良放
電パルスの発生割合または頻度の加工液噴射条件の違い
よる差としては、上記上ノズル浮きと下ノズル浮きの場
合とで、後述の実験例で示すように実質上差が無かった
ので、加工液の噴射条件の違いは、3種に分別されるも
のとして説明を進めることとする。
【0032】そして、さらに調査を続けたところ、前記
加工液の噴射条件の違いによる不良放電パルスの発生割
合または頻度の差または違いは、加工間隙の平均加工電
圧(加工条件として設定されるサーボ基準電圧とほぼ同
一か、依存した近似値となる)を変更しても、増減はあ
ってもはっきり存在し、後述実験例では、前記平均加工
電圧が高い方の設定である約60Vで前記加工液の噴射
条件の違いによる不良放電パルスの発生割合または頻度
がほぼ同一値となるものの、前記平均加工電圧が低いほ
うの設定になると、前記不良放電パルスの発生割合又は
頻度は、加工液の噴射条件の違いによる差を減ずる場合
もあるが一般的には増大させながら大きくなり、加工液
の噴射条件の違いにより不良放電パルスの発生割合また
は頻度が異なった大きくなった値の平均加工電圧値の条
件でワイヤ電極が断線した。
【0033】以上のような、或る板厚の被加工体の加工
に於ける加工液の噴射条件の違いによる不良放電パルス
の発生割合または頻度の差を持った平均加工電圧に対す
る変化特性または関係は、異なる板厚の被加工体の加工
の場合にも存在していることが確認できたことから、被
加工体の加工中の現に加工が行われている被加工部分の
板厚と前記不良放電パルスの発生割合または頻度を繰り
返しサンプリング検出するたびに、加工間隙に於ける加
工液の流通介在状態がどの加工液の噴射条件によるもの
かを判別し、該判別された加工液噴射条件での加工の際
の対象加工板厚に適した加工条件に切換えて加工するよ
うにすることにより、被加工体の加工経路に種々に板厚
変化があり、かつ加工液噴射の条件も変化する加工にお
いても、ワイヤ電極の断線を防止しつつ、効率の良い加
工が実現できるようになるものと考えられる。
【0034】図1及び図2は、夫々板厚80mmと10
mmの被加工体を、加工液噴射条件として、ノズル密
着、ノズル片浮き、及びノズル両浮きで加工したときの
平均加工電圧Vmに対する全放電パルスに対する不良放
電パルスの発生割合または頻度Stdをプロットしたも
ので、前述の説明をサポートするものである。しかし
て、このデータは、被加工体がSKD−11、ワイヤ電
極が0.2mm黄銅、ワイヤ電極付与張力12N、加工
液はイオン交換水の場合である。
【0035】そして、後述する電圧パルス等の電気的加
工条件等は、上述の加工条件を板厚80mmのものと1
0mmのものを夫々加工するのに合致した、又はそれよ
り一段等やや弱いか、後述する加工液噴射条件を考慮し
た板厚適合加工条件に設定してある。即ち、その加工条
件とは加工の効率を保つため各加工液噴射条件に於い
て、ワイヤ電極が断線する断線限界の平均加工電圧より
も少し高い平均加工電圧に対応する不良放電パルスの発
生割合または頻度が検出される加工条件と言うことにな
る。
【0036】そして、この図1、図2のようなデータ
を、又はその演算プログラムと計算データ等、所定板厚
の範囲にわたって整理してNC制御装置などに用意する
ことにより、現に加工が行われている加工から、後述す
るように平均加工電流と平均加工送り速度とを検出する
と、当該加工部分の板厚が検出されるから、この板厚を
目処に予め作成したNC等の制御装置の記憶装置に記憶
してあるデータやその演算要素等の中から、検出板厚に
合致する板厚の、加工液噴射条件別の平均加工電圧に対
する不良放電パルスの発生割合または頻度のデータを読
み出し,之を検出した平均加工電圧と不良放電パルスの
発生割合または頻度とを照合して、現加工中の加工液噴
射条件の種別を判別特定できるものである。
【0037】図3は、本発明方法を実施する装置の説明
図で、載物台14に取り付けられた被加工体1は、加工
進方向1Aの断面図として示すように、内部を加工進行
方向と交叉して延びる中空部1a、段差部1b、加工進
行方向に延びる凹部1c、同じく凸部1dがあって、加
工中にノズル密着、ノズル片(上)浮き、及びノズル両
浮きの外、ノズル密着状態で中空部1aを通る加工、及
びノズル片浮きで凹部1cを通る加工と、加工中に加工
面積、即ち加工板厚と、上下の加工液ノズル3U、3D
の噴射条件及び加工間隙内の加工液の流通介在状態が、
複雑に組み合わさって変わるものである。
【0038】15はワイヤ放電加工用電源、16はNC
を含むワイヤ放電加工用制御装置、17及び18は加工
用電源15から被加工体1と給電子19を介してワイヤ
電極4との間に印加供給される電圧及び電流検出装置、
20はワイヤ電極4に対する被加工体1の相対送りの位
置と位置変化を検出して検出信号を制御装置16に供給
するリニアスケールとセンサとから成る好ましくは高速
応答の直線位置検出装置である。
【0039】前記電圧検出装置17は、ワイヤ電極4と
被加工体1間に印加される電圧パルス及び放電パルス、
或いはさらにパルス間休止時間中の電圧を検出して信号
を制御装置16に供給し、又電流検出装置18は加工間
隙の休止時間中を含む電流を検出して制御装置16に供
給する。前記制御装置16は、入力装置16Aから図示
しないキーボードや外部の記憶装置等から各種のプログ
ラム、データ及び作動指令等が入力し、出力装置16B
からXYZ等の各軸送り指令やサーボ基準電圧、ワイヤ
電極4テンション、走行速度、および加工液供給のイン
バータ周波数指令、或いはさらに表示装置への表示信号
を出力する。
【0040】また前記制御装置16は電圧検出装置17
からの検出信号により所定のサンプリングタイム毎に加
工間隙の平均加工電圧信号を検出生成し、電流検出装置
18からの検出信号により所定のサンプリングタイム毎
に加工間隙の平均加工電流信号を検出生成し、さらに前
記直線位置検出装置20からの検出信号により所定のサ
ンプリングタイム毎に加工送り速度信号を生成する。又
該制御装置16は、前記電圧電流検出装置17、18の
両方又は一方からの信号により、前記検出平均加工電圧
に対する、例えば所定サンプリングタイム内の全放電パ
ルスに対する不良放電パルスの発生割合または頻度を検
出する。
【0041】そして、前記制御装置16は、被加工体1
のワイヤ放電加工中に前述のように所定のサンプリング
タイム毎に検出した平均加工送り速度Fと平均加工電流
Iとから、現に放電加工が行われ切断されつつある部分
の加工板厚tiを設定演算プログラム等により求め、該
求めた板厚tiに基づいて制御装置16内の記憶装置に
予め入力記憶させてある該当板厚tiの加工液噴射条件
のちがいによって差のある平均加工電圧に対する不良放
電パルスの発生割合又は頻度のデータ、グラフ、又は関
係式等を読み出して来て、前記検出した平均加工電圧と
同じく検出した不良放電パルスの発生割合または頻度の
データと照合し、記憶してあるどの加工噴射条件の平均
加工電圧と不良放電パルスの発生割合または頻度のデー
タと一致するかにより、加工液の噴射条件を前述の場合
は分別した3つの内の1の加工液噴射条件と判別する。
【0042】一方前記制御装置16内の記憶装置内には
前述3種の加工液の噴射条件毎に、加工する被加工体の
異なる各板厚と、該各板厚の被加工体の加工に適合した
電気的加工条件を含む設定加工条件の組み合わせから成
る板厚・加工条件列のデータが、予めの実験などにより
作成されて記憶させられている。
【0043】即ち,図4は、前記板厚・加工条件列のデ
ータを加工液の前記噴射条件の種別毎にカード化して示
したもので、板厚tは各噴射条件の種別毎に、t1から
tn迄、例えば10mmきざみで10段階あり、各板厚
t1〜tn毎にノズル密着では加工条件C101〜C1
0nが、ノズル片浮きでは加工条件C301〜C30n
が、また、ノズル両浮きでは加工条件C501〜C50
nが対応設定され、記憶されている。
【0044】前記各加工条件の各加工条件列の要素とし
ては、 ・τON:休止時間(・τoff)置いて加えられる電
圧パルス、または発生した放電パルスの時間幅の設定、 ・τoff:電圧パルスまたは放電パルス(・τON
間の休止時間幅の設定、 IP :放電パルスの放電電流振幅の設定 MAO:加工状態の安定、不安定を判断する基準の設
定、 V :電源電圧(電圧パルスの無負荷電圧)の設定、 SV:送りサーボ基準電圧の設定、 SF:送り速度の設定 C :間隙、コンデンサの設定、 WT:ワイヤ電極の材質および径の設定 WT:ワイヤ電極の張力の設定、 WS:ワイヤ電極の更新移動速度の設定、 WP:加工液ポンプの回転数制御インバータの設定、 等があり、之等の各値またはタップ番号等が前記加工液
噴射条件の種別毎に、前記制御装置16の記憶装置に記
憶させられているのである
【0045】従って、前述のように、現に行われている
加工からのサンプリングタイム毎の検出平均加工電圧と
検出不良放電パルスの発生割合または頻度のデータとか
ら、そのときの加工液噴射条件が判別して特定できたと
ころで、前記該当する加工液噴射条件の板厚・加工条件
列のデータを記憶装置から読み出し、前記求めた加工板
厚に符合する読み出したデータ中の板厚の加工条件に加
工条件を切換え設定して加工を行い、以後の加工にも所
定のサンプリングタイム毎に以上の検出計算(板厚)、
検出設定(平均加工電圧、不良放電パルスの発生割合ま
たは頻度)、照合判別(加工液噴射条件)、加工条件の
読み出しと切換え設定(加工液噴射条件とその条件の板
厚の加工に適した加工条件)とを繰り返しながら加工を
進めるようになる。従ってワイヤ電極4による被加工体
1の加工部位が、中空部1aに入って行く時や通り抜け
て行く加工の時、段差部1bを通過してノズル密着から
ノズル片浮きに移行する時、また加工進行方向の凹部1
cに到り、凸部1dに到ってノズル両浮きに到る時等
も、加工間隙の加工液の流通介在状態に合った、ワイヤ
電極断線を回避する最適加工条件に加工条件を切換えて
効率の良い自動制御加工が推進させられるようになる。
【0046】前記或る加工液噴射条件の板厚・加工条件
データから求めた或る板厚の加工条件を選定して設定し
てあるとき、前記制御装置16は、電源切換指令装置1
6Cを介して加工電源15に、前記・τON、・τ
off、IP、MAO、及びV等の新しい指令値を出力
し、又出力装置16Bから各軸指令出力の外、前記S
V、SF、WT、WS、WP等の新しい指令値を出力す
るものであり、現に加工中の加工条件がワイヤ電極の断
線限界を超えそうか近い場合には、例えば・ffやS
V、WPの設定を増大させる等の切換えが指令されるも
のである。
【0047】前記加工条件は、現に実行中の加工条件C
XXXと前記検出、判別により選定した切り換え設定す
べき新しい加工条件CYYYの各加工条件要素中の主要
な、例えば放電パルス時間幅・τON、休止時間幅・τ
off、放電電流幅Ip、電源電圧V、サーボ基準電圧
SV、送り速度SF、又は加工液制御インバータの設定
WP等との値間に所定値以上の大きな差異がある加工条
件要素については、加工条件の切換え設定時に、一時に
いきなり新しい値に切り換えるのではなく、例えば前述
平均加工電圧に対する不良放電パルスの発生割合を検出
するサンプリングタイム(例えば約3秒)や、平均加工
電流と加工送り速度の検出により加工板厚を検出するサ
ンプリングタイム(例えば約6秒)の間に、順次になだ
らかに切換えるとか、或る主要な加工条件要素、例えば
サーボ基準電圧値を20Vから30Vに毎秒1Vずつ上
昇させて行く間、またはその1/2〜1/3の時間内
に、他の差異の大きい加工条件の要素値を順次なだらか
に切換えるようにして、ハンチングによる不安定化や、
加工面に筋や段差が形成されないように切換え制御を行
うものである。
【0048】なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しな
い以上、当業者に於いて前述の実施例に拘束されること
なく、各部に各種の変更を加えて実施が可能なものであ
る。例えば、加工液噴射条件の分別種別を前述実施例の
3種に加えて、例えば、ノズル密着とノズル浮きとの間
に中間状態の、例えば、ノズル準密着とか、ノズル半浮
きなどの種別を1つ以上増加させて設定し、加工条件の
切換制御を多段で、より緻密に行うようにすることがで
きるが如くである。
【0049】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、被加工体の板厚が加工経路途中において種々変化す
るだけでなく、加工液噴出ノズルからの加工液の噴出、
噴流条件が同様に種々変化するなど、加工環境が大きく
変化する被加工体のワイヤ放電加工を行う場合に於いて
も、ワイヤ電極の断線事故を生じさせず、加工の安定を
維持しつつ、適切な加工条件に自動で切り換えて加工を
行い、高い効率のワイヤ放電加工を実現させる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための加工平均電圧に
対する不良放電パルスの発生割合を、異なる加工液噴射
条件について示した特性図。
【図2】図1と同じ特性図で、被加工体の板厚が異なる
ものについて示した特性図。
【図3】本発明方法を実施する装置の説明図。
【図4】異なる加工液噴射条件種別毎の、異なる板厚の
板厚・加工条件列の例を示す加工条件表。
【図5】ワイヤ放電加工で普通に用いられている上下の
加工液噴射ノズルに対する加工液供給回路の構成図。
【図6】上下の加工液噴射ノズルの一方を所定の固定状
態として、他方のノズルを被加工体から順次に離隔移動
させた時の、上下ノズル加工液供給回路の液圧変化を示
す特性図。
【図7】前記図6と異なるポンプ元圧条件における図6
と同様な特性図。
【図8】前記図7と更に異なるポンプ元圧条件時の特性
図。
【図9】図6〜8の液圧変化の特性図を数値化整理し、
流量と共に示した特性表。
【図10】被加工体の端縁でノズルを水平方向に移動さ
せたときの、移動距離と流量との特性表。
【符号の説明】
1 :被加工体 1A、:相対移動の矢符 1a :中空部 1b :段差部 1c :凹状部 1d :凸状部 2U、2D:上下のガイドブロック 3U、3D:上下の加工液噴射ノズル 4 :ワイヤ電極 5 :ポンプ 6 :制御弁 8U、8D:上下の分流路の逆止弁 9U、9D:流量計 10U、10D:絞り弁 11U、11D:圧力センサ 14 :載物台 15 :加工電源 16 :制御装置 16A:入力装置 16B:出力装置 16C:電源切換指令装置 17 :電圧検出装置 18 :電流検出装置 19 :給電子 20 :直線位置検出装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂寄 貴宏 神奈川県横浜市都筑区仲町台3−12−1 株式会社ソディック本社・技術研修センタ ー内 (72)発明者 清田 智幸 神奈川県横浜市都筑区仲町台3−12−1 株式会社ソディック本社・技術研修センタ ー内 (72)発明者 唐戸 幸作 神奈川県横浜市都筑区仲町台3−12−1 株式会社ソディック本社・技術研修センタ ー内 Fターム(参考) 3C059 AA01 AB05 CB02 CC01 CC02 CJ01 CK03 CL01 EE12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の間隔を置いて配置したガイド間に
    ワイヤ電極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と
    直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せし
    め、該間隙に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設
    けた加工液噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って
    加工間隙に噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間
    にパルス的な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せ
    しめると共に、両者間に前記直角方向の平面上における
    相対的な送りを与えて加工するワイヤ放電加工方法にお
    いて、 前記一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液
    噴射の態様を、当該加工部分の被加工体の板厚及び加工
    液噴射ノズルと被加工体被噴射面との離隔状態の違いに
    よる噴射条件の違いとして複数種に分別し、 この分別した加工液噴射条件の種別毎に、被加工体の異
    なる各板厚と該各板厚の被加工体の加工に適合した電気
    的加工条件を含む設定加工条件の組合わせからなる加工
    条件とを組とした板厚・加工条件データをメモリに記憶
    しておくと共に、 前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧と不良放
    電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の分別種
    別毎に分別した平均加工電圧・不良放電パルス発生割合
    データとしてメモリに記憶しておき、 現に行われている加工から所望のサンプリングタイム毎
    に加工送り速度と平均加工電流とを検出して被加工体の
    当該加工部分の板厚を求めると共に、平均加工電圧と不
    良放電パルス発生割合とを検出し、 前記求めた被加工体の板厚に対応する前記記憶した板厚
    の平均加工電圧・不良放電パルス発生割合データを前記
    メモリから読み出し、前記検出した平均加工電圧に対す
    る不良放電パルスの発生割合と照合することにより前記
    加工液噴射ノズルによる加工液噴射条件の種別を判別特
    定し、 該特定した加工液噴射条件の板厚・加工条件データを前
    記メモリから読み出して、前記求めた板厚に符合する板
    厚の加工条件に加工条件を切換え設定して加工を継続さ
    せ、 以後に継続する加工においても、所望に設定されたサン
    プリングタイム毎に、前記検出、照合判別、及び加工条
    件の切替え設定を繰り返すことを特徴とするワイヤ放電
    加工方法。
  2. 【請求項2】 前記加工液噴射条件の種別を、前記加工
    液噴射ノズルの先端と被加工体の表面との間によって形
    成される開口が、両者所定の微細離隔位置以内の近接位
    置にあって、ノズル先端廻りと被加工体表面間に、微細
    幅の円板状ノズルを形成した状態をノズル密着、 前記相対送りの方向と交叉して被加工体の表裏面上に形
    成されている段差部にまたがってノズル先端が相対向位
    置する場合を含み、前記ノズル密着の離隔位置に対し
    て、所定の限度以上の大きい相対的な離隔位置にあっ
    て、円板状乃至は前方開放のノズルを形成した状態が、
    前記一対の加工液噴射ノズルの一方であるときをノズル
    片浮き、両方であるときをノズル両浮きの少なくとも3
    種に分別することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ
    放電加工方法。
  3. 【請求項3】 前記ノズル密着の微細幅の円板状ノズル
    を形成するノズル先端と被加工体表面間の隙間が、0.
    3〜0.1mm以内、好ましくは約0.1mmであり、
    前記のノズル片浮き及びノズル両浮きの円板状乃至前方
    開放のノズルを形成するノズル先端と被加工体表面間の
    間隔が0.3mm以上であることを特徴とする請求項2
    に記載のワイヤ放電加工方法。
  4. 【請求項4】 前記不良放電パルスの発生割合が、不良
    放電パルスの発生頻度であり、前記検出する平均加工電
    圧が加工送り制御のサーボ基準電圧であることを特徴と
    する請求項1、2または3に記載のワイヤ放電加工方
    法。
  5. 【請求項5】 前記不良放電パルスとは、前記パルス的
    な加工電圧としての各電圧パルスがワイヤ電極と被加工
    体間に印加されてから、両者間に不定の時間遅れがあっ
    た後に放電が開始するまでの放電待機時間が所定値より
    も短い各放電パルスのことであることを特徴とする請求
    項1、2、3または4に記載のワイヤ放電加工方法。
  6. 【請求項6】 一対の間隔を置いて配置したガイド間に
    ワイヤ電極を軸方向に更新送りせしめつつ前記軸方向と
    直角方向から被加工体を微小間隙を介して相対向せし
    め、該間隙に被加工体の両側にワイヤ電極と同軸状に設
    けた加工液噴射ノズルから加工液をワイヤ電極に沿って
    加工間隙に噴流させた状態で、ワイヤ電極と被加工体間
    にパルス的な加工電圧を印加して繰り返し放電を発生せ
    しめると共に、前記直角方向の平面上における相対的な
    送りを与えて加工するワイヤ放電加工装置において、 前記一対の加工液噴射ノズルからの加工間隙への加工液
    噴射の態様を、前記被加工体の切断予定断面を側面から
    見て、ワイヤ電極軸方向の被加工体板厚が相対送り方向
    の位置で変化していることを噴射条件の違いとして複数
    種に分別し、この分別した噴射条件の種別毎に、被加工
    体の異なる各板厚と、該各板厚の被加工体の加工に適合
    した電気的加工条件を含む設定加工条件の組み合わせか
    ら成る板厚・加工条件データを設定する手段と、該設定
    された複数組の板厚・加工条件データを記憶装置に記憶
    する手段と、 前記被加工体の異なる各板厚毎に平均加工電圧に対する
    不良放電パルス発生割合のデータを加工液の噴射条件の
    分別種別毎に設定する手段、該設定された複数組の平均
    加工電圧に対する不良放電パルス発生割合のデータを記
    憶装置に記憶する手段とを備え、(a)現に行われてい
    る加工からの所定のサンプリングタイム毎の検出加工送
    り速度と検出平均加工電流とから被加工体の当該加工部
    分の板厚を計算して求める手段と、(b)現に行われて
    いる加工から所定のサンプリングタイム毎に平均加工電
    圧と不良放電パルス発生割合のデータを検出して設定す
    る手段と、(c)前記記憶装置から前記求めた板厚の記
    憶した平均加工電圧に対する不良放電パルス発生割合の
    データを読み出し、前記検出設定した平均加工電圧と不
    良放電パルス発生割合のデータとを照合して現に行われ
    ている加工の加工液噴射条件を前記分別噴射条件のひと
    つに判別特定する手段と、(d)該特定した加工液噴射
    条件に該当する前記記憶した板厚・加工条件データを記
    憶装置から読み出し、該読み出したデータの中から前記
    求めた板厚に対応する板厚の加工条件に加工条件を切り
    換え設定する手段と、(e)設定された所定のサンプリ
    ングタイム毎に、前記(a)項乃至(d)項の検出計
    算、検出設定、照合判別、及び切換え設定を繰り返す繰
    返え制御手段とから成ることを特徴とするワイヤ放電加
    工装置。
JP2001369416A 2001-12-04 2001-12-04 ワイヤ放電加工方法及びその装置 Expired - Lifetime JP3892283B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001369416A JP3892283B2 (ja) 2001-12-04 2001-12-04 ワイヤ放電加工方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001369416A JP3892283B2 (ja) 2001-12-04 2001-12-04 ワイヤ放電加工方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003170316A true JP2003170316A (ja) 2003-06-17
JP3892283B2 JP3892283B2 (ja) 2007-03-14

Family

ID=19178812

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001369416A Expired - Lifetime JP3892283B2 (ja) 2001-12-04 2001-12-04 ワイヤ放電加工方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3892283B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008100337A (ja) * 2006-10-20 2008-05-01 Mitsubishi Electric Corp 放電加工装置および放電加工方法
EP2272613A2 (en) 2009-07-07 2011-01-12 Fanuc Ltd Wire-cut electric discharge machine with function to suppress local production of streaks during finish machining
JP2015136767A (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 ファナック株式会社 ワイヤ放電加工機の加工液噴出装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008100337A (ja) * 2006-10-20 2008-05-01 Mitsubishi Electric Corp 放電加工装置および放電加工方法
EP2272613A2 (en) 2009-07-07 2011-01-12 Fanuc Ltd Wire-cut electric discharge machine with function to suppress local production of streaks during finish machining
JP2015136767A (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 ファナック株式会社 ワイヤ放電加工機の加工液噴出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3892283B2 (ja) 2007-03-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7019246B2 (en) Controller for wire electric discharge machine
US10022812B2 (en) Methods for the electroerosion machining of high-performance metal alloys
US4159407A (en) Methods and apparatus for electrically machining a work piece
US4564431A (en) TW-electroerosion machines with double-floating nozzle assemblies
TWI422450B (zh) 對於在精加工之局部條紋的產生具有抑制功能的線切割放電加工機
JP4434058B2 (ja) 放電加工方法
US6744002B1 (en) Method and apparatus for electrodischarge wire machining
JP2013146836A (ja) ワイヤ電極を傾斜させて放電加工を行うワイヤ放電加工機
US5045663A (en) System for control of flushing flow in a spark discharge (EDM) machine
US20030173337A1 (en) Electric sparking drill and method for forming a hole with an electric spark
US6385500B1 (en) Hybrid servomechanism for micro-electrical discharge machining
US5122630A (en) Device and control process for an edm cutting machine preventing wire breakage
US4725706A (en) Tw-electroerosion utilizing cyclically reduced cutting feed rate
KR20150140573A (ko) 자동 결선시에 가공액의 액면 위치를 조정하는 와이어 방전 가공 장치
JP6734321B2 (ja) ワイヤ放電加工機および放電加工方法
JP2006015478A (ja) ワイヤ放電加工機の制御装置
JP2003170316A (ja) ワイヤ放電加工方法及びその装置
JP2000052151A (ja) ワイヤカット放電加工装置における微細面仕上げを達成する方法と装置
JP2003136339A (ja) ワイヤ放電加工方法及びワイヤ放電加工装置
JP2010240761A (ja) ワイヤカット放電加工方法
JPH0126807B2 (ja)
CN106001810A (zh) 中走丝电火花线切割机床的切割方法
JPH06114632A (ja) ワイヤカット放電加工方法及びその装置
JPH05104330A (ja) ワイヤ放電加工機の加工条件制御方法
JP2559219B2 (ja) 穿孔放電加工装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040819

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3892283

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091215

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101215

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111215

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111215

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131215

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term