JP3891109B2 - 曇り除去装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のリアウインドウ等の熱線入り窓ガラスに生じる曇りを除去する曇り除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のリアウインドウに生じる曇りを除去する装置として、リアデフォッガと呼ばれる曇り除去装置が知られている。この曇り除去装置は、リアウインドウに熱線入りガラスを用い、このリアウインドウに曇りが生じた場合には、熱線を通電によって発熱させることで曇りを除去するようにしたものである。この種の曇り除去装置では、車両に専用のスイッチを設け、車両の乗員がリアウインドウに曇りが生じていると判断したときに専用のスイッチを操作することによって、熱線を通電状態にして曇りを除去するようにしたものが一般的である。
【0003】
しかしながら、このように車両の乗員のスイッチ操作により熱線を通電状態にするものでは、リアウインドウに曇りが生じる度に車両の乗員がそれを判断してスイッチ操作を行わなければならず、操作が煩雑といった問題がある。そこで、リアウインドウの状態を様々な手法で自動判定し、リアウインドウに曇りが生じていると判断したときに、自動的に熱線を通電状態にして曇りを除去する試みもなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1には、車両に設けられた温度検出手段、湿度検出手段及び気圧検出手段のうち少なくとも一つの検出手段からの出力信号に基づいて、或いはリアウインドウの近傍に透過型光センサ又は反射型光センサを設置してその出力信号に基づいて、リアウインドウの曇り除去の要否を判断し、リアウインドウの曇り除去が必要なときは、熱線を所定時間通電させて曇りを除去するようにした例が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−178885号公報(第6頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1にて開示される手法では、車両の運転時間や運転状態等に応じた様々な変動要因の影響により、リアウインドウの曇り除去の要否判断を正確に行うことが困難で、熱線に対する通電制御を必ずしも満足のいく精度で行えないといった問題がある。また、前記特許文献1にて開示される手法では、リアウインドウの曇り除去が必要なときに、予め設定された所定時間だけ熱線を通電状態にしてリアウインドウの曇りを除去するようにしているので、曇り除去が不十分な状態で通電が停止されたり、必要以上に長時間の通電を行って電力を浪費させたりといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決すべく創案されたものであって、車両のリアウインドウ等の熱線入り窓ガラスの曇り状態を正確に判断し、熱線に対する通電制御を適切に行って、窓ガラスの曇りを効果的に除去することができる曇り除去装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、窓ガラスに熱線を取り付けて、この熱線を通電により発熱させることで窓ガラスの曇りを除去する曇り除去装置において、赤外線カメラを用いて窓ガラスからの放射エネルギを検知し、この赤外線カメラの出力に基づいて、制御手段が熱線に対する通電を制御するようにしたことを特徴としている。
【0009】
物体が外界に放射するエネルギは、ステファン−ボルツマンの法則に基づく黒体放射エネルギと、物体自体の材料的性質及び表面状態に基づく放射率の積に等しい。因みに、よく磨かれたガラスの放射率は0.94と高いことが報告されている(Infrared system engineering, pp44, Richard D. Hudson Jr 著)。このように放射率の高いガラスの温度が低下して、ガラス表面に水滴が付着するいわゆる曇り状態になると、このガラスからの放射エネルギ強度が低下することが知られている。
【0010】
したがって、赤外線カメラを用いて窓ガラスからの放射エネルギを検知することによって、窓ガラスの曇り状態を正確に判断することができ、これに基づいて熱線に対する通電状態を制御することによって、窓ガラスの曇りを効果的に除去することができる。
【0011】
【発明の効果】
本発明に係る曇り除去装置によれば、赤外線カメラによって検出された窓ガラスからの放射エネルギに基づいて窓ガラスの曇り状態を判断し、熱線に対する通電を制御するようにしているので、窓ガラスの曇り状態を正確に判断して、極めて効果的な曇り除去を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、本発明を適用した曇り除去装置の全体構成について説明する。本発明を適用した曇り除去装置は、車両のリアウインドウ等の熱線入り窓ガラスに曇りが生じた場合に、これを除去するためのものであり、図1に示すように、窓ガラス1からの放射エネルギを検知する赤外線カメラ2と、制御手段3と、駆動手段4とを備えている。
【0014】
窓ガラス1には、例えばその横方向に沿って、複数本の加熱用熱線5が互いに平行に埋設、或いは貼設されている。これら複数本の熱線5は、電気的に直列或いは並列接続されており、駆動手段4によって例えば車両用のバッテリ電源に通電されることで発熱する。そして、この熱線5の発熱によって、窓ガラス1が加熱されて曇りが除去されるようになっている。
【0015】
赤外線カメラ2は、例えば、サーモパイル型赤外線センサ等の赤外線センサを有しており、この赤外線センサの各画素に入射した入射赤外線を各画素毎に熱量に変換し、この熱量に応じた電気抵抗の変化等を利用して、窓ガラス1からの放射赤外線量(放射エネルギ強度)に応じた各画素の画素値(電圧値)を出力するようになっている。特に、本発明を適用した曇り除去装置で用いられる赤外線カメラ2は、窓ガラス1の熱線5の部分とそれ以外の部分とを含む所定の領域を撮像範囲とし、この撮像範囲からの放射エネルギ、具体的には、この撮像範囲からの波長10μm帯(8〜14μm)の遠赤外線を各画素毎に検知して、その放射エネルギ強度に応じた各画素の画素値を画像データとして出力するようになっている。
【0016】
制御手段3は、赤外線カメラ2からの出力に基づき、窓ガラス1に埋設、或いは貼設された熱線5に対する通電を制御するものである。この制御手段3は、例えば、CPUや、RAM、ROM、CPU周辺回路等がバスを介して接続されたマイクロプロセッサ構成を有しており、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、曇り状態判断部3aとしての機能と、駆動制御部3bとしての機能とが実現されるようになっている。
【0017】
曇り状態判断部3aは、赤外線カメラ2から出力された画像データを解析して、窓ガラス1の曇り状態を判断するものである。具体的には、この曇り状態判断部3aは、例えば、窓ガラス1の熱線5が延在する方向と略直交した方向の画素値をプロットして、熱線5の部分とそれ以外の部分とでの画素値の差、すなわち、放射エネルギ強度の分布に基づいて、窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断する。
【0018】
駆動制御部3bは、曇り状態判断部3aの判断結果に基づいて駆動手段4の動作を切り替えて、熱線5の通電状態を制御するものである。
【0019】
駆動手段4は、制御手段3の駆動制御部3bによる制御に応じて、窓ガラス1に埋設、或いは貼設された熱線5を、例えば車両用バッテリ電源に通電させることで、この熱線5を発熱させるものである。この駆動手段4は、熱線5の通電/非通電を切り替えるための切り替えスイッチを有しており、この切り替えスイッチの動作が駆動制御部3bによって制御されるようになっている。また、この駆動手段4は、例えば電界効果トランジスタ(FET)等の半導体スイッチを備え、この半導体スイッチに対するパルス入力が駆動制御部3bによってデューティ制御(PWM制御:パルス幅変調制御)されることによって、熱線5に対する通電エネルギ(通電電力)を調整できるようになっている。
【0020】
次に、以上のように構成される曇り除去装置の動作について説明する。
【0021】
窓ガラス1に曇りが生じていない状態では、この窓ガラス1からの放射エネルギ強度は比較的高くなっており、この状態の窓ガラス1を赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、図2(A)に示すように、図中縦方向にプロットした各画素の画素値(放射エネルギ強度)が、比較的高い値(P1)で均一になっている。そして、このように曇りが生じていない状態で熱線5を一時的に通電させ、そのときの窓ガラス1を赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、図2(B)に示すように、図中縦方向にプロットした各画素の画素値(放射エネルギ強度)は、熱線5からの熱エネルギの影響で熱線5近傍の部分が他の部分に比べて若干高くなっているものの、その差は小さく、全体としてなだらかな強度分布が得られる。これは、熱線5からの熱エネルギが水滴等の蒸発によって消費されることなく、それ以外の部分に効果的に拡散するためである。
【0022】
一方、窓ガラス1に水滴が付着した状態、すなわち窓ガラス1が曇った状態では、この窓ガラス1からの放射エネルギ強度は低下しており、この状態の窓ガラス1を赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、図3(A)に示すように、図中縦方向にプロットした各画素の画素値(放射エネルギ強度)が、低い値(P2)で均一になっている。そして、このように窓ガラス1が曇った状態で熱線5を通電させると、先ず熱線5の近傍の温度が上昇して、熱線5の近傍のみ部分的に曇りが除去或いは減少した状態となる。そのときの窓ガラス1を赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、図3(B)に示すように、図中縦方向にプロットした各画素の画素値(放射エネルギ強度)は、熱線5近傍の部分が他の部分に比べて極めて高くなっており、変化の大きな強度分布が得られる。
【0023】
以上のように、熱線5を通電させた状態の窓ガラス1を赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、窓ガラス1に曇りが生じていない状態と窓ガラス1が曇った状態とでは、全く異なる放射エネルギの強度分布が得られる。そこで、本発明を適用した曇り除去装置では、制御手段3の曇り状態判断部3aが、このような放射エネルギの強度分布をもとに窓ガラス1の曇り状態を判断し、窓ガラス1が曇っていると判断した場合には、制御手段3の駆動制御部3bの制御によって、駆動手段4を動作させて熱線5に対する通電を継続させ、窓ガラス1の曇りを除去するようにしている。
【0024】
具体的な動作の流れを説明すると、先ず、熱線5を通電させた状態で窓ガラス1を赤外線カメラ2によって撮像する。この赤外線カメラ2による窓ガラス1の撮像は、例えば、車両に一般的に設けられている温度センサや湿度センサ等からの情報をもとに、窓ガラス1に曇りが生じるような環境にあると判断されたときに行えばよい。また、予め設定された時間間隔毎に撮像を行うようにしてもよい。
【0025】
赤外線カメラ2は、上述したように、窓ガラス1の熱線5の部分とそれ以外の部分とを含む撮像範囲からの放射エネルギ強度に応じた各画素の画素値を画像データとして出力する。そして、この赤外線カメラ2から出力された画像データが、制御手段3の曇り状態判断部3aに供給される。
【0026】
曇り状態判断部3aは、赤外線カメラ2からの画像データを上述した方法で解析して、窓ガラス1の撮像範囲からの放射エネルギ強度の分布を求める。そして、得られた放射エネルギの強度分布が、図2(B)に示したようなものであるか、或いは図3(B)に示したようなものであるかによって、窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断する。
【0027】
ここで、得られた放射エネルギの強度分布が図2(B)に示したようなものであり、窓ガラス1に曇りが生じていないと曇り状態判断部3aによって判断された場合には、その判断結果に基づいて、駆動制御部3bが駆動手段4の動作を制御して、熱線5に対する通電を直ちに停止させる。一方、得られた放射エネルギの強度分布が図3(B)に示したようなものであり、窓ガラス1が曇った状態であると曇り状態判断部3aによって判断された場合には、その判断結果に基づいて、駆動制御部3bが駆動手段4の動作を制御して、熱線5に対する通電を継続させる。
【0028】
熱線5に対する通電を継続させると、熱線5からの熱エネルギが次第に熱線5近傍以外の部分にも伝わり、熱線5の近傍以外の部分の曇りも徐々に除去されていくことになる。そして、視界を妨げない程度に十分に曇りが除去された窓ガラス1を赤外線カメラ2で撮像し、その画像データを曇り状態判断部3aで解析して放射エネルギの強度分布を求めると、図4に示すように、熱線5近傍の部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が僅かになっている。
【0029】
そこで、本発明を適用した曇り除去装置では、熱線5に対する通電を継続させた状態の窓ガラス1を所定の時間間隔毎に赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析し、得られた放射エネルギの強度分布から、熱線5近傍の部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が、予め設定された第1の基準値T1以下となった場合に、曇り状態判断部3aが窓ガラス1の曇りが除去されたと判断し、その判断結果に基づいて、駆動制御部3bが駆動手段4の動作を制御して、熱線5に対する通電を停止させるようにしている。ここで、第1の基準値T1としては、視界を妨げない程度の僅かな曇りを許容した値としてもよいし、曇りを完全に除去する値(すなわちT1=0)としてもよい。
【0030】
以上説明したように、本発明を適用した曇り除去装置では、赤外線カメラ2によって窓ガラス1からの放射エネルギを検出し、それに基づいて制御手段3の曇り状態判断部3aが窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断し、その判断結果に応じて駆動制御部3bが駆動手段4の動作を切り替えて、熱線5の通電状態を制御するようにしているので、窓ガラス1の曇り状態を正確に判断して、極めて効果的な曇り除去を行うことができる。
【0031】
特に、この曇り除去装置では、熱線5に通電した状態の窓ガラス1を赤外線カメラ2によって撮像し、その放射エネルギの強度分布に基づいて、窓ガラス1の熱線5の部分とそれ以外の部分とで放射エネルギ強度に大きな差が生じているかどうかを基準に窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断するようにしているので、車両の運転時間や運転状態等に応じた様々な変動要因の影響を受けることなく、極めて正確な判断が行える。すなわち、従来技術のように温度検出手段や湿度検出手段、気圧検出手段、透過型或いは反射型光センサ等からの出力信号に基づいて窓ガラスの曇り状態を判断するようにした場合には、これらの出力信号が上述した様々な変動要因の影響で変化するために、窓ガラスの曇り状態を正確に判断することが困難である。これに対して、本発明を適用した曇り除去装置のように、赤外線カメラ2によって検出された窓ガラス1からの放射エネルギの強度分布、特に通電状態の熱線5の部分とそれ以外の部分との放射エネルギ強度の差を窓ガラス1の曇り状態を判断する判断基準とすれば、これらの放射エネルギ強度の差は上述した変動要因が生じた場合でも十分に判定できるので、窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを極めて正確に判断し、効果的な曇り除去を行うことができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の曇り除去装置は、窓ガラス1の熱線5に対する通電を行った後、熱線5近傍以外の部分の放射エネルギ強度がある程度高くなった段階で、熱線5に対する通電エネルギ(通電電力)を減少させるようにしたものである。なお、曇り除去装置の具体的な構成については、上述した第1の実施形態のものと同様であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施形態の曇り除去装置の動作の流れを説明すると、先ず、上述した第1の実施形態の曇り除去装置と同様に、熱線5を通電させた状態で窓ガラス1を赤外線カメラ2によって撮像する。そして、この赤外線カメラ2から出力された画像データが、制御手段3の曇り状態判断部3aに供給される。
【0034】
曇り状態判断部3aは、赤外線カメラ2からの画像データを上述した方法で解析して、窓ガラス1の撮像範囲からの放射エネルギ強度の分布を求める。そして、得られた放射エネルギの強度分布が、図2(B)に示したようなものであるか、或いは図3(B)に示したようなものであるかによって、窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断する。
【0035】
ここで、得られた放射エネルギの強度分布が図2(B)に示したようなものであり、窓ガラス1に曇りが生じていないと曇り状態判断部3aによって判断された場合には、その判断結果に基づいて、駆動制御部3bが駆動手段4の動作を制御して、熱線5に対する通電を直ちに停止させる。一方、得られた放射エネルギの強度分布が図3(B)に示したようなものであり、窓ガラス1が曇った状態であると曇り状態判断部3aによって判断された場合には、その判断結果に基づいて、駆動制御部3bが駆動手段4の動作を制御して、熱線5に対する通電を継続させる。
【0036】
熱線5に対する通電を継続させると、熱線5からの熱エネルギが次第に熱線5近傍以外の部分にも伝わり、熱線5の近傍以外の部分の曇りも徐々に除去されていくことになる。そして、窓ガラス1の曇りがある程度除去された段階で、赤外線カメラ2で窓ガラス1を撮像し、その画像データを曇り状態判断部3aで解析して放射エネルギの強度分布を求めると、図5に示すように、熱線5近傍の部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が、図4に示したものほどではないが、大幅に減少している。この段階では、窓ガラス1の曇りが薄くなって窓ガラス1に付着している水滴の量も減少しているので、熱線5に対する通電電力を減少させても、熱線5からの熱エネルギがその他の部分に効果的に伝達されて、曇りの除去は確実に進行する。
【0037】
そこで、本実施形態の曇り除去装置では、熱線5に対する通電を継続させた状態の窓ガラス1を所定の時間間隔毎に赤外線カメラ2で撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析し、得られた放射エネルギの強度分布から、熱線5近傍の部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が、予め設定された第2の基準値T2以下となった場合に、制御手段3の駆動制御部3bが駆動手段4の半導体スイッチに対するパルス入力を制御して、熱線5に対する通電電力を減少させるようにしている。ここで、第2の基準値T2は、上述した第1の基準値T1よりも大きい値であり、予め実験等によって熱線5に対する通電電力を減少させても窓ガラス1の曇りの除去が確実に進行する値を求めておいて、その値に設定すればよい。
【0038】
熱線5に対する通電エネルギを減少させた状態で更に熱線5に対する通電を継続させると、窓ガラス1の曇り除去が更に進行して、図4に示したような放射エネルギの強度分布が得られることになる。そして、熱線5近傍の部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が、予め設定された第1の基準値T1以下となった場合には、上述した第1の実施形態と同様に、制御手段3の曇り状態判断部3aが窓ガラス1の曇りが除去されたと判断する。そして、その判断結果に基づいて、駆動制御部3bが駆動手段4の動作を制御して、熱線5に対する通電を停止させる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の曇り除去装置では、赤外線カメラ2によって窓ガラス1からの放射エネルギを検出し、それに基づいて制御手段3の曇り状態判断部3aが窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断し、その判断結果に応じて駆動制御部3bが駆動手段4の動作を切り替えて、熱線5の通電状態を制御するようにしているので、第1の実施形態の曇り除去装置と同様に、窓ガラス1の曇り状態を正確に判断して、極めて効果的な曇り除去を行うことができる。
【0040】
更に、本実施形態の曇り除去装置では、熱線5近傍以外の部分の放射エネルギ強度がある程度高くなって、熱線5に対する通電エネルギ(通電電力)を減少させても窓ガラス1の曇りの除去が確実に進行するようになった段階で、熱線5に対する通電エネルギ(通電電力)を減少させるようにしているので、熱線5に無駄な熱エネルギを生じさせることなく、この熱線5からの熱エネルギを有効に熱線5以外の部分に伝達して、省電力化を図ることも可能となる。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の曇り除去装置では、図6に示すように、赤外線カメラ2の撮像範囲に、窓ガラス1だけでなく、トリムボードやシート等の窓ガラス1近傍に位置する近傍部位6も含められるようにし、赤外線カメラ2が、窓ガラス1からの放射エネルギに加えて近傍部位6からの放射エネルギも同時に検出するようにしている。そして、制御手段3の曇り状態判断部3aが、窓ガラス1からの放射エネルギの時間的な減少率が、近傍部位6からの放射エネルギの時間的な減少率に比べて大きい場合に、窓ガラス1に曇りが生じているものと判断するようにしている。なお、曇り除去装置の具体的な構成については、上述した第1の実施形態のものと同様であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0042】
トリムボードやシート等の近傍部位6には曇りが生じることはないので、車室内等の環境温度が一定であれば、この近傍部位6からの放射エネルギに時間的な変化が生じることはない。一方、窓ガラス1からの放射エネルギは、上述したように、曇りが生じていない状態と曇りが生じた状態とでその強度に変化が生じることになる。
【0043】
ここで、曇りが生じていない状態の窓ガラス1からの放射エネルギ強度とその近傍部位6からの放射エネルギ強度とがほぼ等しいと仮定すると、曇りが生じていない状態の窓ガラス1及びその近傍部位6を赤外線カメラ2で同時に撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、図7に示すように、図中縦方向にプロットした各画素の画素値(放射エネルギ強度)が、窓ガラス1の部分及びその近傍部位6の部分の双方で、ともに比較的高い値(P1)で均一になっている。
【0044】
一方、窓ガラス1に曇りが生じたときに、この曇った窓ガラス1及びその近傍部位6を赤外線カメラ2で同時に撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、図8に示すように、図中縦方向にプロットした各画素の画素値(放射エネルギ強度)が、窓ガラス1の部分は低い値(P2)に減少しているのに対して、その近傍部位6の部分では比較的高い値(P1)が維持されている。
【0045】
以上のように、窓ガラス1及びその近傍部位6を赤外線カメラ2で同時に撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析すると、窓ガラス1に曇りが生じていない状態から曇った状態に変化したときに、窓ガラス1からの放射エネルギ強度は減少するのに対して、その近傍部位6からの放射エネルギ強度はほとんど変化しない。そこで、本実施形態の曇り除去装置では、窓ガラス1及びその近傍部位6を所定の時間間隔毎に赤外線カメラ2で同時に撮像して、その画像データを制御手段3の曇り状態判断部3aで解析し、窓ガラス1からの放射エネルギの時間的な減少率が近傍部位6からの放射エネルギの時間的な減少率に比べて大きい場合に、窓ガラス1に曇りが生じていると判断して、制御手段3の駆動制御部3bの制御によって、駆動手段4を動作させて熱線5に対する通電を開始させるようにしている。
【0046】
なお、熱線5に対する通電の停止は、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、窓ガラス1の熱線5近傍部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が第1の基準値T1以下となった場合に、窓ガラス1の曇りが除去されたと判断して、その段階で通電を停止させればよい。また、上述した第2の実施形態と同様に、窓ガラス1の熱線5近傍部分の放射エネルギ強度とそれ以外の部分の放射エネルギ強度との差が第2の基準値T2以下となった段階で、熱線5に対する通電エネルギ(通電電力)を減少させるようにしてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の曇り除去装置では、赤外線カメラ2によって窓ガラス1からの放射エネルギを検出し、それに基づいて制御手段3の曇り状態判断部3aが窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断し、その判断結果に応じて駆動制御部3bが駆動手段4の動作を切り替えて、熱線5の通電状態を制御するようにしているので、第1の実施形態の曇り除去装置及び第2の実施形態の曇り除去装置と同様に、窓ガラス1の曇り状態を正確に判断して、極めて効果的な曇り除去を行うことができる。
【0048】
更に、本実施形態の曇り除去装置では、窓ガラス1及びその近傍部位6を赤外線カメラ2で同時に撮像し、窓ガラス1からの放射エネルギの時間的な減少率が近傍部位6からの放射エネルギの時間的な減少率に比べて大きい場合に、窓ガラス1に曇りが生じていると判断して、熱線5に対する通電を開始させるようにしているので、窓ガラス1に曇りが生じているかどうかを判断するために熱線5に対して通電を行う必要がなく、省電力化を実現しながら、窓ガラス1の曇り状態を高精度に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した曇り除去装置の概略構成を示す図である。
【図2】曇りが生じていない状態の窓ガラスからの放射エネルギ強度の分布を示す図であり、(A)は熱線に通電していない状態、(B)は熱線に対して通電した状態を示している。
【図3】曇りが生じた状態の窓ガラスからの放射エネルギ強度の分布を示す図であり、(A)は熱線に通電していない状態、(B)は熱線に対して通電した状態を示している。
【図4】視界を妨げない程度に十分に曇りが除去された窓ガラスからの放射エネルギ強度の分布を示す図である。
【図5】ある程度曇りが除去された窓ガラスからの放射エネルギ強度の分布を示す図である。
【図6】本発明を適用した曇り除去装置の概略構成を示す図であり、窓ガラス及びその近傍部位を赤外線カメラで撮像するようにした例を示す図である。
【図7】曇りが生じていない状態の窓ガラス及びその近傍部位からの放射エネルギ強度の分布を示す図である。
【図8】曇りが生じた状態の窓ガラス及びその近傍部位からの放射エネルギ強度の分布を示す図である。
【符号の説明】
1 窓ガラス
2 赤外線カメラ
3 制御手段
3a 曇り状態判断部
3b 駆動制御部
4 駆動手段
5 熱線
6 近傍部位

Claims (4)

  1. 窓ガラスに熱線を取り付け、この熱線を通電により発熱させることで、前記窓ガラスの曇りを除去する曇り除去装置において、
    前記窓ガラスからの放射エネルギを検知する赤外線カメラと、
    前記熱線に対して通電した状態で前記赤外線カメラにより検知された前記窓ガラスからの放射エネルギの強度分布に基づいて前記窓ガラスの曇り状態を判断し、その判断結果に応じて前記熱線に対する通電を制御する制御手段とを備えること を特徴とする曇り除去装置。
  2. 前記制御手段は、前記熱線に対して通電した状態で前記赤外線カメラにより検知された前記窓ガラスからの放射エネルギの強度分布に基づき、前記熱線部分とそれ以外の部分とで放射エネルギ強度の差が第1の基準値以下となったと判断したときに、前記熱線に対する通電を停止させること を特徴とする請求項1に記載の曇り除去装置。
  3. 前記制御手段は、前記熱線に対して通電した状態で前記赤外線カメラにより検知された前記窓ガラスからの放射エネルギの強度分布に基づき、前記熱線部分とそれ以外の部分とで放射エネルギ強度の差が前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値以下となったと判断したときに、前記熱線に対する通電エネルギを減少させること を特徴とする請求項2に記載の曇り除去装置。
  4. 前記赤外線カメラは、前記窓ガラスからの放射エネルギに加えてそれ以外の部位からの放射エネルギを同時に検知し、
    前記制御手段は、前記赤外線カメラにより検知された前記窓ガラスからの放射エネルギ強度の時間的な低下率が、前記赤外線カメラにより同時に検知された前記窓ガラス以外の部位からの放射エネルギ強度の時間的な低下率に比べて大きい場合に、前記窓ガラスに曇りが発生していると判断して、前記熱線に対する通電を開始させること を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の曇り除去装置。
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