JP3890642B2 - スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法に関する、更に詳しくは、高純度のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩を結晶として製造する際に、高い生産性で、運転操作性良く、工業的に連続して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩は、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸水溶液にアルカリ金属水酸化物水溶液を作用させて製造されることは広く知られている。例えば、特公昭53−23292号公報には、予め反応器に全量仕込まれたアルカリ金属水酸化物のアルコール溶液にβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸水溶液を徐々に滴下しながら、50〜70℃の温度で反応を行う方法が、又、特開昭52−23038号公報では、苛性ソーダ水溶液に窒素雰囲気下95〜105℃に維持しつつ、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸水溶液を滴下して反応晶析させる方法がそれぞれ記載されている。更に、特公昭38−20570号公報では、アルカリ金属水酸化物水溶液にβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸水溶液を室温又はそれ以下の温度において添加し、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩を製造し、その後80〜100℃に昇温してアルカリ金属水酸化物水溶液を添加し、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩を結晶として取り出す、所謂2段階反応による製造方法が開示されている。しかしながら、これらの製造方法は何れも半回分式であり、生産性は低く、又、運転操作は煩雑である。
【0003】
一方、特公昭38−20570号公報には、前記半回分式製造方法の他に連続製造方法が示されている。これは、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸のメチレンクロライド溶液と50%苛性ソーダ水溶液と水とを連続的に導入して反応させ、前記2段階反応を経て、スチレンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液を得、その後該水溶液を噴霧乾燥して、スチレンスルホン酸ナトリウム48〜54%及び臭化ナトリウム27〜33%の混合物を連続して製造する方法である。しかしながら、この方法はスチレンスルホン酸ナトリウムの連続製造方法であるが、製品であるスチレンスルホン酸ナトリウムの固体を得るのに噴霧乾燥を用いる。その為、有効成分含量は約50%であり非常に低い。又、通常噴霧乾燥で得られる粉体は微細で無定形で取り扱い性が劣る。さらに、該方法は操作が煩雑である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の製造方法が有する種々の課題の解決、すなわち、高純度で、生産性、運転操作性の良い、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく、高純度のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続晶析方法について、その工業的見地から検討を重ねた結果、以下の従来技術の問題点を推定した。すなわち、▲1▼通常、連続晶析での滞在時間は長く、その間スチレンスルホン酸アルカリ金属塩が、自己重合や副反応して品質及び収率の低下を招く。▲2▼通常、結晶は板状であり連続晶析によって更に板状化が進み、結晶は脆くなり、又、粒径分布が広くなり、ろ過性の低下を招く。▲3▼連続晶析では母液の組成、及び析出結晶量のコントロールが困難である。
【0006】
そこで、本発明者等は、用いる原料種とその導入方法及び抜き出し方法、そして晶析諸条件について鋭意検討した結果、従来の問題点を全て解決し、高い生産性で安定して連続的にスチレンスルホン酸アルカリ金属塩を製造できる新規な方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸及び/又はそのアルカリ金属塩の水溶液とアルカリ金属水酸化物水溶液を晶析槽に連続的に導入して、生成するスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の母液中濃度を1〜20重量%とし、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩を反応晶析させ、このスチレンスルホン酸アルカリ金属塩のスラリーを連続して抜き出すことを要旨とするスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の方法において使用されるβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸やそのアルカリ金属塩におけるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができ、この内、経済性、反応性の面から臭素が好ましく使用される。又、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の何れでも用いることができるが、この内、ナトリウムが入手容易であり、経済的であり好ましく用いられる。
【0010】
本発明の方法において使用されるβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸の濃度としては、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。このような条件であれば、生産性良く、安定してスチレンスルホン酸アルカリ金属塩を反応晶析することができる。又、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩の水溶液には、硫酸や塩化水素,臭化水素,ヨウ化水素等のハロゲン化水素酸や、それらのナトリウム塩等の不純物を含有していてもよい。
【0011】
本発明の方法において使用されるアルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができ、これらの何れでも好適に取り扱うことができるが、この内、入手し易く、反応性も高く、経済的である水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。又、その剤型としては、固体でも水溶液でも良いが、取り扱いの容易さから水溶液の形態で使用するのが好ましい。アルカリ金属水酸化物の水溶液の濃度としては、通常市販されている約50重量%品でも、又、それを希釈したものでも用いることができる。更に、その量は、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩を生成するのに必要な量であれば良く、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸1モルに対して2〜4モルが好ましく、更に2〜3モルが好ましい。又、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩に対しては1〜2モルが好ましく、更に1〜1.5モルが好ましい。
【0012】
本発明の方法において用いられる溶媒としては、通常水が用いられる。又、生成するスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の自己重合を防ぐために、例えば、亜硝酸塩等の重合禁止剤を加えることが望ましい。又、反応中の雰囲気は空気でもよいが、窒素雰囲気が好ましく、生成するスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の自己重合を抑制することができる。
【0013】
本発明の方法においては、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸及び/又はそのアルカリ金属塩の水溶液と、アルカリ金属水酸化物水溶液とは、晶析槽に同時に別々に連続的に導入し、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩を連続して反応晶析する。前記2液は間欠的に連続して導入しても良い。そして、それらの水溶液の導入は液中でも液面でもよいが、操作性、結晶成長性の面から液中に導入するのが有利である。
【0014】
反応晶析時の母液中のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩濃度としては、母液全量に対して1〜20重量%、好ましくは3〜13重量%、更に好ましくは5〜12重量%に保つ。この濃度範囲においてスチレンスルホン酸アルカリ金属塩結晶の成長性を大きく、晶析率を高くでき、又、ろ過性の良い結晶が得られる。この理由として、母液中のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩濃度が1重量%未満では、その結晶成長性が著しく低下し、純度の高い製品は得られず、20重量%を超えると晶析率が極めて低くなり、収率が低下し、又、スチレンスルホン酸アルカリ金属の自己重合や副反応が進み、品質も低下するからである。従って、本発明の方法においては、反応晶析時の母液中のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩濃度が1〜20重量%であることは必須である。この範囲にあれば、連続反応晶析では、副生成物量、重合生成物量は少なく、生成するスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の結晶成長性は大きく、濾布等での分離が容易な、ろ過性の良い塩が結晶として高純度で得られる。
【0015】
晶析槽としては、スラリーを均一に撹拌ができれば良く、完全混合型のものでも、DP(Double−Propeller)型やDTB(Draft−Tube−Buffled)型等の分級型のものでも良い。
【0016】
反応晶析温度としては、反応速度を大きく、かつスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の結晶成長を促進する面から、60〜120℃の範囲が好ましく、さらには80〜110℃の範囲、特に好ましくは90〜105℃の範囲である。この範囲を越え、60℃未満の温度ではビニル化がやや進行し難くなったり、結晶の成長性がやや低下したりすることがあり、120℃を越える場合には、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の自己重合が起こることがある。
【0017】
又、反応晶析時の母液中のアルカリ金属水酸化物濃度としては、結晶成長性が高く、ろ過性の良いスチレンスルホン酸アルカリ金属塩結晶を得るために、反応母液全量に対して0.5〜20重量%が好ましく、さらには、1〜5重量%、特に2〜4重量%が好ましい。又、この範囲にあれば、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の自己重合は殆ど起こらず、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩が高い収率で反応晶析される。
【0018】
反応晶析における結晶見掛け滞在時間としては、安定した連続運転ができ、高い生産性で結晶成長性の大きい、ろ過性の良いスチレンスルホン酸アルカリ金属塩結晶を得るために、1〜5時間が好ましく、さらに好ましくは2〜3時間である。この範囲を越えて、1時間未満では、生成するスチレンスルホン酸アルカリ金属塩結晶の粒径は問題ないが、析出結晶は凝集晶となり母液を多く包含し、得られるスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の純度はやや低下することがあり、5時間を超えると、結晶の厚み/幅比は大きくなり、ろ過性はやや低下し、生産性もやや低下することがある。
【0019】
反応晶析におけるスラリー濃度としては、反応スラリー全量に対して5〜30重量%が好ましく、さらには、10〜25重量%が好ましい。この範囲にあれば、安定した連続運転ができ、ろ過性の良いスチレンスルホン酸アルカリ金属塩結晶が得られる。又、このスラリー濃度の範囲では、スラリーを強制撹拌することでスラリーの均一流動が図れ、取り扱い性も良く、スラリー移送も容易である。
【0020】
この反応晶析によってスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の結晶が得られる。この結晶は、通常厚みの大きい鱗片状で50μm〜1000μmにも成長する。
【0021】
スチレンスルホン酸アルカリ金属塩のスラリーは晶析槽から連続して抜き出される。抜き出し方法は、オーバーフロー方式でも、ポンプによる方式でも、グラビティによる方式でも良い。又、一定速度で抜き出しても、一定時間毎に間欠的に抜き出しても良い。
【0022】
抜き出したスラリーは、次に遠心分離、加圧ろ過、減圧ろ過等により固液分離し該塩の湿潤ケークを得る。ここで、固液分離の方法としては公知の方法を用いることができる。この固液分離はスラリーを抜き出した直後に行ってもよいが、10〜50℃に撹拌下で冷却した後、行なうことが好ましい。この理由としては、冷却すると安全に運転操作性良く固液分離でき、かつ、該塩の溶解度が低下するので、その回収率が向上する。冷却を行う場合には、晶析槽の後に冷却槽を設けることが好ましく、又、冷却は連続式又は回分式の何れでもよい。
【0023】
固液分離して得られた湿潤ケーク中のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の含有量は湿潤ケーク全量に対して70重量%以上、さらには80重量%以上の高純度であり、乾燥しないでそのまま製品にできる。又、該湿潤ケークは、品質の均一化のために、強制流動、すなわち、物理的、機械的に流動させても良い。その装置としては、通常、撹拌羽根、回転ドラム、スクリューブレンダー、一軸又は二軸押し出し機、V型混合機等を用いることができる。又、湿潤ケークに乾燥処理を施しても良い。さらには、造粒を行なうと該塩の取り扱い性はさらに向上する。造粒に供する原料は湿潤ケークでも乾燥したものでもよい。
【0024】
又、本発明の方法においては、連続的に抜き出されたスチレンスルホン酸アルカリ金属塩スラリーの母液の一部を反応槽に循環しても良い。母液は、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩のスラリーを静定させて得られる上澄液でも、固液分離して得られるろ液でも良い。循環することにより、スラリー粘度を調節でき、発泡を抑制でき、結晶の成長性は向上し、運転操作性も改善でき、又、収率も向上させることができる。循環する母液量は限定しないが、目安としてスラリー濃度10〜25重量%になる量が好ましい。
【0025】
本発明の方法により、高純度なスチレンスルホン酸アルカリ金属塩が得られ、アクリル繊維の染色補助剤やイオン交換樹脂、帯電防止剤、界面活性剤、減粘剤等としての用途に有効に利用できる。
【0026】
【実施例】
次に、実施例によりさらに詳細に本発明を説明する。但し、本発明は下記実施例によってなんら制限を受けるものではない。又、以下に記載される、部及び%は重量に基づくものである。
【0027】
実施例1
ジャケットを備えた撹拌機付のステンレス製反応器に反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液223部と35%苛性ソーダ水溶液176部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そして、その晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり399部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は2.8時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は6.8%、苛性ソーダ濃度は2.4%であり、スラリー濃度は25%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは厚みのある平均粒径332μmの鱗片状結晶であった。抜き出したスラリーは30℃まで冷却し、その後遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり、5分間の振り切りで、スチレンスルホン酸ナトリウム含量が88.0%の高純度の湿潤ケークが得られた。又、晶析時の生産速度は87.5kg/(時間・m3)と高く、回収率は原料のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸基準で88.4%であった。
【0028】
実施例2
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液157部と35%苛性ソーダ水溶液296部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そして、その晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり453部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は2.6時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は1.4%、苛性ソーダ濃度は18.1%であり、スラリー濃度は29%であった。抜き出したスチレンスルホン酸ナトリウムのスラリーは30℃まで冷却し、その後遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり、5分間の振り切りで、スチレンスルホン酸ナトリウム含量が70.8%の湿潤ケークが得られた。
【0029】
実施例3
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度60℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液179部と25%苛性ソーダ水溶液203部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分毎に間欠的に連続して1時間当たり382部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は3時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は6.2%、苛性ソーダ濃度は2.4%であり、スラリー濃度は20%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは厚みのある平均粒径160μmの鱗片状結晶であった。抜き出したスラリーは30℃まで冷却し、その後、遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり5分間の振り切りでスチレンスルホン酸ナトリウム含量が77.7%の高純度の湿潤ケークが得られた。又、晶析時の生産速度は59.1kg/(時間・m3)と高く、回収率は原料のβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸基準で76.4%であった。
【0030】
実施例4
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液179部と25%苛性ソーダ水溶液208部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり387部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は2.9時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は11.3%、苛性ソーダ濃度は1.5%であり、スラリー濃度は15%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは厚みのある平均粒径760μmの鱗片状結晶であった。抜き出したスラリーは30℃まで冷却し、その後遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり、5分間の振り切りで、スチレンスルホン酸ナトリウム含量が89.5%の高純度の湿潤ケークが得られた。又、晶析時の生産速度は66.3kg/(時間・m3)と高く、回収率は原料のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸基準で83.9%であった。
【0031】
実施例5
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液494部と23%苛性ソーダ水溶液647部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり1141部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は1時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は6.0%、苛性ソーダ濃度は2.5%であり、スラリー濃度は25%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは厚みのある平均粒径240μmの鱗片状結晶であった。抜き出したスラリーは30℃まで冷却し、その後遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり、5分間の振り切りで、スチレンスルホン酸ナトリウム含量が78.2%の高純度の湿潤ケークが得られた。又、晶析時の生産速度は199.7kg/(時間・m3)と高く、回収率は原料のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸基準で93.1%であった。
【0032】
実施例6
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液99部と23%苛性ソーダ水溶液130部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり229部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は5時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は5.5%、苛性ソーダ濃度は2.6%であり、スラリー濃度は20%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは厚みのある平均粒径200μmの鱗片状結晶であった。抜き出したスラリーは30℃まで冷却し、その後遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり、5分間の振り切りで、スチレンスルホン酸ナトリウム含量が85.7%の高純度の湿潤ケークが得られた。又、晶析時の生産速度は38.8kg/(時間・m3)、回収率は原料のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸基準で90.6%であった。
【0033】
実施例7
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たりに70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液165部と25%苛性ソーダ水溶液 (0.2%亜硝酸ナトリウム含有)200部と反応晶析母液18部とを連続して別々に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分間毎に連続して1時間当たり383部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は3時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は5.8%、苛性ソーダ濃度2.8%であり、スラリー濃度は20%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは厚みのある平均粒径270μmの鱗片状結晶であった。晶析時及び抜き出したスラリーは均一に撹拌流動し、発泡することなく、操作性は極めて良かった。該スラリーは30℃まで冷却し、その後遠心分離によって固液分離した。分離は極めて容易であり、5分間の振り切りで、スチレンスルホン酸ナトリウム含量が85.9%の高純度の湿潤ケークが得られた。又、晶析時の生産速度は67.4kg/(時間・m3)と高く、回収率は原料のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸基準で89.7%であった。
【0034】
比較例1
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液50部と35%苛性ソーダ水溶液289部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり339部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は3時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は0.8%、苛性ソーダ濃度は25%であり、スラリー濃度は4%であった。晶析したスチレンスルホン酸ナトリウムは成長性が悪く微細な結晶であり、又、液粘度が極めて高く、ろ過性が劣り高純度のスチレンスルホン酸ナトリウムは得ることができなかった。
【0035】
比較例2
実施例1と同様の装置を用いて、反応温度90℃で、1時間当たり70%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液129部と18%苛性ソーダ水溶液195部(0.2%亜硝酸ナトリウム含有)とを別々に連続して導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムを連続して反応晶析させた。そしてその晶析スラリーを5分間毎に間欠的に連続して1時間当たり324部抜き出した。この時の結晶見掛け滞在時間は3時間であり、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は21%、苛性ソーダ濃度は0.8%であった。母液中のスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は極めて高く、副反応及び重合が促進され、スチレンスルホン酸ナトリウムの連続反応晶析を継続できず、各原料の連続フィードは3時間で中止した。
【0036】
比較例3
ジャケットを備えた撹拌機付のステンレス製反応器に35%苛性ソーダ1735部と亜硝酸ナトリウム6.6部を張り込み、撹拌しながら70℃まで30分かけて昇温した。次に、撹拌下、3時間かけて、窒素雰囲気下、68%のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液2146部を滴下した。該液の滴下開始30分後、反応器内温度は90℃になり、以後この温度に保持した。その結果、得られたスチレンスルホン酸ナトリウム結晶のスラリーを30℃まで冷却した後、遠心分離で固液分離して、平均粒径30μmのスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケークを得た。この湿潤ケークのスチレンスルホン酸ナトリウム含量は83.0%であった。該反応晶析方法では、1回の操作に計8時間要した。回収率は添加したβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸基準で88.8%であったが、反応方法が半回分式であるため生産速度は実施例1〜5と比較して極めて低く、29.5kg/(時間・m3)であった。
【0037】
実施例1〜7、比較例1〜3で得られた湿潤ケークのスチレンスルホン酸ナトリウム含量、生産速度、回収率、そして運転操作性について比較した結果を表1にまとめて示した。
【0038】
【表1】
【0039】
これらより、実施例1〜7の結果は比較例1〜3の結果よりも生産速度が高く、更に運転操作性も良く、特に比較例3の半回分式の反応方式よりも操作が煩雑でないことが明らかである。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、従来の方法では成し遂げることのできなかった、高純度のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩を、連続式製造により、高い生産性で、運転操作性良く製造できる方法であり、高い経済性と工業的価値を有し、産業利用上極めて有用である。
Claims (7)
- β−ハロエチルベンゼンスルホン酸及び/又はβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩の水溶液とアルカリ金属水酸化物水溶液を晶析槽に連続的に導入し、晶析槽内の母液中のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩濃度を全量の1〜20重量%とし、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩を反応晶析させ、該スチレンスルホン酸アルカリ金属塩のスラリーを連続して抜き出すことを特徴とするスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
- 反応晶析温度が60〜120℃であることを特徴とする請求項1に記載のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
- 反応晶析時の母液中のアルカリ金属水酸化物濃度が全量の0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
- 反応晶析における結晶見掛け滞在時間が1〜5時間であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
- 反応晶析におけるスラリー濃度がスラリー全量の5〜30重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
- 反応晶析において連続的に抜き出されたスチレンスルホン酸アルカリ金属塩スラリーの母液の一部を反応槽に循環することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
- アルカリ金属がナトリウムであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法。
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JP34184996A JP3890642B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法 |
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Publications (2)
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