JP3889487B2 - 液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学的表示装置である液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法に係り、特に液晶表示装置を構成するガラス基板を切り出すためのカッティング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示装置は、以下のようにして製造される。すなわち、それぞれ電極を有する2枚のガラス基板のいずれか一方の全面に、2枚の基板を張り合わせた際に基板間を一定に保つ間隙材すなわちスペーサを形成する。スペーサとしては、球状のスペーサを散布する場合と、あらかじめフォトリソグラフィ法などで基板に固定形成する場合とがある。スペーサは、後の工程で塗布されるシール材によって囲まれる領域内の表示エリアに均一に配置されているとともに、シール材の外側の周辺エリアに表示エリアより疎な密度で均一に配置されている。そして、一方のガラス基板上にシール材を塗布した後に2枚の基板を張り合わせ、シール材を硬化させる。そして、2枚のガラス基板を所望の大きさにカッティングし、基板間に液晶を封入することによって液晶表示装置が形成される。
【0003】
ガラス基板のカッティングに際しては、ダイシング法やピエゾ法等があるが、その中でもスクライブ法が最も広く一般的に使用されている。スクライブ法とは、鋭利なダイヤモンドや超鋼等により、ガラス面にスクライブと称されるクラックを形成し、このスクライブを形成した面の裏側から、ブレイクと称される衝撃を加えてスクライブによるクラックを進行させて、ガラスをカットする方法である。スクライブを線状に連続的に形成したものをスクライブラインと称する。そして、ブレイクバーと呼ばれるゴム製の部品によりスクライブラインに沿ったスクライブラインの裏側からブレイクする。すなわち均一に衝撃を加えることにより、ガラス基板をブレイクし、ガラス基板を所望の大きさにカッティングする。
【0004】
液晶表示装置の製造工程におけるガラス基板のカッティングは、2枚のガラス基板が張り合わされた状態で実行される。すなわち、一方のガラス基板の表面にスクライブラインを形成し、対向配置されたもう一方のガラス基板側をブレイクすることにより、一方のガラス基板をカッティングする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スペーサが一方の基板に固定して形成される液晶表示装置において、対向する基板をブレイクするのに際して、基板間にはスペーサしか存在せず、ブレイクの衝撃を伝えるのはスペーサであるため、スペーサにブレイクの衝撃が集中し、スクライブによるクラックは、スペーサに向かって進行する傾向にある。つまり、ブレイク後におけるガラス基板のカット面の断面形状と、スペーサの位置関係とは、非常に密接に関係している。
【0006】
しかしながら、ガラス基板の周辺エリアには、スペーサがスクライブラインから離れた位置に比較的疎な密度で配置されているため、クラックがスペーサの方向へ進行することにより、ガラス基板のカット面が鋭利な断面形状となるいわゆるソゲなどのカット不良が発生しやすく、歩留まりが低下する。また、このようなカット不良は、その後の製造工程においてガラス欠けを生じやすく、欠けたガラスがガラス破片となって、基板間や、偏光板と基板との間などに入り込むゴミ噛み不良を引き起こし、歩留まりを低下させる原因となる。
【0007】
また、ブレイクバーがガラス基板をブレイクするブレイク位置の精度は、一般的にスクライブラインに対して±1mm程度であり、ブレイク位置がスクライブラインに対して大きくずれる可能性が高い。ブレイクバーがスクライブラインに対してずれた状態でガラス基板をブレイクした際には、ブレイクの衝撃は、スクライブラインから外れた位置に配置されたスペーサを介して伝えられるため、カット不良が発生することが多く、ガラス欠けやガラス破片が発生して、歩留まりが低下する。
【0008】
さらに、液晶駆動回路を有するアレイ基板は、内部回路を静電気から保護するための回路をアレイ基板の周辺エリアに配置していることが多く、特に、スクライブライン周辺部には、配線パターンが多く配置されている。このような配線パターン上にスペーサを配置した場合、ガラス基板上に配置されたスペーサより、配線パターンの膜厚の分だけ高くなり、ブレイクの衝撃がスペーサに均一に分散せずに配線パターン上のスペーサに集中するため、カット不良が発生する虞がある。また、ブレイクの衝撃により、配線パターンを破壊してしまう虞もあり、歩留まりを低下させる要因となる。
【0009】
上述したように、スクライブラインから離れた位置に比較的疎な密度でスペーサを配置していると、スクライブラインに対するブレイク位置の変動、スペーサと配線パターンとの相対位置などの影響により、カット不良が発生しやすく、ガラス欠けやガラス破片が発生し、歩留まりを低下させる問題が生ずる。
【0010】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、カット不良の発生を抑制し、ガラス欠けやガラス破片の発生による歩留まりの低下を防止できる液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、
請求項1によれば、
透明な絶縁性の第1基板及び第2基板の少なくとも一方に電極を形成し、
前記第1基板に表示エリア及び表示エリアの周辺に位置する周辺エリアを形成するとともに前記電極に接続される配線パターンが形成され
前記第1基板に前記第2基板が対向配置された際に、前記表示エリア及び周辺エリアに対向する前記第2基板上において2枚の基板の間隙を一定に保持するための柱状のスペーサ前記配線パターンから外れる位置の前記第2基板上に形成し、
前記表示エリアと周辺エリアとを区画するとともに対向配置された前記第1基板及び前記第2基板を接着するシール材により、前記第1及び第2基板を組立て、
前記第1及び第2基板をそれぞれ所のサイズに切り出すための切り出し線を前記周辺エリアに形成し、
前記切り出し線に沿って前記第1及び第2基板を切り出し、
前記第1基板と第2基板との間に液晶を密封する液晶表示装置の製造方法において、
前記スペーサを形成する工程において、前記切り出し線の両側近傍には、前記表示エリア内に形成される前記スペーサの密度に対して高密度になるように略均等に12個/mm以上の密度で前記スペーサを前記周辺エリアに形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法が提供される。
【0012】
請求項によれば、
電極及びこの電極を駆動するためのスイッチング素子を含む表示エリアと、この表示エリアの周辺に位置するとともに前記スイッチング素子に接続された配線パターンを含む周辺エリアとを有する第1基板と、
前記第1基板に対向配置されるとともに前記表示エリアに対向する位置に電極を有する第2基板と、
前記第2基板上に形成されているとともに、前記表示エリア及び周辺エリアにおける前記第1及び第2基板の間を一定の間隙を保つ柱状のスペーサと、
前記第1基板と第2基板との間に密封された液晶と、を備えた液晶表示装置において、
前記第1及び第2基板の周辺エリアは、それぞれ所のサイズに切り出すための切り出し線を有し、前記切り出し線の両側近傍には、前記表示エリア内に形成される前記スペーサの密度に対して高密度になるように略均等に12個/mm以上の密度で前記周辺エリアの前記配線パターンから外れる位置の前記第2基板上に形成された前記スペーサを有することを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明に係る液晶表示装置及びこの液晶表示装置の製造方法の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明の液晶表示装置に適用される液晶表示パネルの一例を概略的に示す斜視図である。
【0014】
この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置は、例えば対角14インチの表示エリアを備えて構成されるアクティブマトリクス型液晶表示装置であって、図1に示すような液晶表示パネル10を備えている。
【0015】
液晶表示パネル10は、図1に示すように、画像を表示する表示エリア102、及び配線パターンが形成された周辺エリア104を含む第1基板としてのアレイ基板100と、このアレイ基板100に対向配置された第2基板としての対向基板200と、アレイ基板100と対向基板200との間に配置された液晶材料とを備えている。表示エリア102は、アレイ基板100と対向基板200とを貼り合わせるシール材106によって囲まれた領域内に形成され、周辺エリア104は、シール材106の外側の領域に形成されている。
【0016】
アレイ基板100の表示エリア102は、図2及び図3に示すように、絶縁性基板、例えば厚さが0.7mmのガラス基板101上に互いに直交するように配設された1024×3本の信号線103及び768本の走査線111を備えている。走査線111は、アルミニウムやモリブデン−タングステンなどの低抵抗材料によって形成されているとともに、ガラス基板101上に直接配設されている。一方、信号線103は、アルミニウムなどの低抵抗材料によって形成されているとともに、ガラス基板101上に形成された酸化シリコンと窒化シリコンとの多層膜からなる絶縁膜113上に配設されている。
【0017】
また、アレイ基板100は、各信号線103と各走査線111との各交点部毎の近傍に配設されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタすなわちTFT121と、このTFT121を介して接続された画素電極151とを備えている。画素電極151は、透過性の導電性部材、例えばITOによって形成されている。
【0018】
TFT121は、図3に示すように、走査線111から突出した部分をゲート電極112とし、この上にゲート絶縁膜113が積層されている。そして、a−Si:H膜によって形成された半導体膜115がこのゲート絶縁膜113上に積層されている。さらに、窒化シリコンによって形成されたチャネル保護膜117がこの半導体膜115上に積層されている。
【0019】
半導体膜115は、n+型a−Si:H膜によって形成された低抵抗半導体膜119、及びソース電極131を介して画素電極151に電気的に接続されている。また、半導体膜115は、低抵抗半導体膜119、及び信号線103から延出されたドレイン電極132を介して信号線103に電気的に接続されている。TFT121のチャネル保護膜117、ソース電極131、及びドレイン電極132は、窒化シリコン膜等の絶縁膜からなる保護膜171によって覆われている。
【0020】
また、アレイ基板100の表面は、対向基板200との間に介在される液晶組成物300を配向させるための配向膜141によって覆われている。
アレイ基板100における表示エリア102の周囲には、信号線や走査線に接続される各種配線を有する周辺エリア104が形成されている。
【0021】
対向基板200の表示エリア102は、透明な絶縁性基板、例えば厚さが0.7mmのガラス基板201上にITOによって形成された対向電極204を備えている。また、対向基板200は、アレイ基板100における配線パターン上、すなわちアレイ基板100のTFT121と信号線103との隙間、画素電極151と信号線103との隙間、画素電極151と走査線111との隙間にそれぞれ対向する位置を遮光するために配設された遮光膜202を備えている。この遮光膜202は、例えばクロム膜によって形成されている。また、対向基板200は、ガラス基板201の画素電極151に対向する位置であって、遮光膜202の間に配置されたカラー表示を実現するための赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色で構成されるカラーフィルタ203R、203G、203Bを備えている。そして、このカラーフィルタ203R、203G、203Bの表面は、アレイ基板100との間に介在される液晶組成物300を配向させるための配向膜205によって覆われている。
【0022】
この液晶表示パネル10の表裏面、すなわちガラス基板101及びガラス基板201の外面には、互いに偏光方向が直交する偏光板(図示しない)が配設されている。
【0023】
この液晶表示パネル10では、アレイ基板と対向基板との間の間隙を一定に保持するためのスペーサすなわち間隙材は、図3に示したように、遮光膜202と、カラーフィルタ203R、203G、203Bとを積層することによって形成されている。
【0024】
すなわち、対向基板200に、感光性の黒色樹脂をスピンナーにて塗布して乾燥した後、所定のパターン形状すなわちアレイ基板における配線部に対応した形状のフォトマスクを介して露光し、現像する。そして、焼成処理することにより、配線部を遮光する遮光膜202を形成する。
【0025】
続いて、赤色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストを対向基板200上にスピンナーにて全面塗布して乾燥した後、赤色の画素に対応した部分、及び黒色の遮光膜202上におけるTFT121に対向する部分に、それぞれ対応した形状のフォトマスクを介して露光し、現像する。そして、焼成処理することにより赤色カラーフィルタ203Rを形成する。
【0026】
続いて、緑の画素に対応した部分に、赤色カラーフィルタ203Rと同様に、緑色カラーフィルタ203Gを形成するとともに、同時に、TFT121に対向する部分における遮光膜202上に積層された赤色カラーフィルタ203R上にも、緑色カラーフィルタ203Gを形成する。
【0027】
続いて、青の画素に対応した部分に、赤色カラーフィルタ203Rと同様に、青色カラーフィルタ203Bを形成するとともに、同時に、TFT121に対向する部分における赤色カラーフィルタ203R及び緑色カラーフィルタ203Gが積層された部分にも青色カラーフィルタ203Bを形成する。
【0028】
このようにして、液晶表示パネル10の表示エリア102内では、遮光膜202及びカラーフィルタ203R、203G、203Bを形成するフォトリソグラフィ工程を利用して、TFT121に対向する部分に、黒色の遮光膜202、及び赤、緑、青のそれぞれのカラーフィルタ203R、203G、203Bを積層することにより、柱状の突起物210が形成されている。そして、この突起物をスペーサとして利用する。なお、この実施の形態では、TFTに対向する位置にカラーフィルタを積層して突起物を形成したが、必ずしもすべてのTFTに対向するように形成する必要はなく、他の配線パターン上であってもよい。また、このスペーサは、液晶表示素子のサイズ、突起物のサイズ、及び液晶表示素子の形成プロセスに応じて最適な位置に最適な数の突起物を形成すればよい。
【0029】
一方、液晶表示パネル10の周辺エリア104X、104Y、すなわちシール材106の外側の領域では、図4に示すように、黒色の遮光膜202、及び赤、緑、青のそれぞれのカラーフィルタ203R、203G、204Bを積層することにより、柱状の突起物、すなわちスペーサ210が形成されている。この周辺エリア104X、104Yに設けられたスペーサ210は、表示エリア102における対向基板200の遮光膜形成工程、及びカラーフィルタ形成工程と同時に形成される。したがって、周辺エリア104にスペーサ210を形成するための別の製造工程を必要とすることなく、対向基板形成時に同時に形成することが可能である。
【0030】
また、この液晶表示パネル10では、図1に示したように、液晶表示装置の外形寸法、特に額縁サイズを小さく構成するために、詳細に図示しないが、信号線は、アレイ基板100の周辺エリア104Xの第1端辺221側にのみ引き出され、この第1端辺221側で信号線に映像データを供給するX−TAB401−1、401−2、401−3、401−4に異方性導電接着剤を介して接続されている。この信号線が引き出された周辺エリア104Xにおけるシール材106の外端からの幅は、約3.2mmである。
【0031】
また、走査線も、アレイ基板の周辺エリア104Yにおける第1端辺221と直交する第2端辺222側にのみ引き出され、この第2端辺222側で走査線に走査パルスを供給するY−TAB411−1、411−2に異方性導電接着剤を介して接続されている。この走査線が引き出された周辺エリア104Yにおけるシール材106の外端からの幅は、約3.5mmである。
【0032】
そして、X−TAB401−1、401−2、401−3、401−4は、液晶表示パネル10の裏面側に折り曲げられ、液晶表示パネル10の裏面に配置された各X−TAB401−1、401−2、401−3、401−4を制御するX制御回路基板421に異方性導電接着剤を介して接続される。
【0033】
また、Y−TAB411−1、411−2は、液晶表示パネル10の側方に配置されて各Y−TAB411−1、411−2を制御するY制御回路基板431に異方性導電接着剤を介して接続される。なお、各X−TAB401−1、401−2、401−3、401−4とX制御回路基板421、あるいは、各Y−TAB411−1、411−2とY制御回路基板431との電気的な接続は、半田付けによるものであっても構わない。
【0034】
なお、図4に示したスペーサ210は、対向基板がアレイ基板に対向配置された際にアレイ基板上の周辺エリア104に形成された配線パターン上を避けるような位置に配置されている。
【0035】
液晶表示パネルの周辺エリア104のスペーサ210は、図5に示すように、表示エリア102のスペーサより配置密度が密になるように配置されている。特に、後述するように、切り出し線としてのスクライブラインSL上及びこのスクライブラインSLの近傍、例えばスクライブラインSLに対して±3mm以内の範囲すなわちスクライブラインSLの両サイド3mmの幅は、スペーサが密になるように、例えば12個/mm2 乃至100個/mm2 以上、好ましくは、15個/mm2 以上の配置密度で均一に配置されている。また、これらのスペーサ210は、図4に示すように、一辺が20乃至50μm角の幅Wを有する角柱状に形成されている。なお、これらのスペーサは、幅Wを直径とする円柱状に形成されてもよい。
【0036】
また、液晶表示パネルの表示エリア102のスペーサは、10個/mm2 程度の配置密度で基板全体に均一に配置されている。
次に、この液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0037】
すなわち、透明ガラス基板上の行方向に沿って平行な複数本の走査線と、列方向に沿って平行な複数本の信号線と、画素数分の画素電極と、画素毎に液晶を駆動するための画素数分の薄膜トランジスタすなわちTFTとをそれぞれ形成し、アレイ基板100を形成する。一方、透明ガラス基板上に透明導電性部材からなる対向電極と、アレイ基板に対して対向配置された際に走査線及び信号線などの配線部を遮光する遮光膜と、画素毎に設けられるカラーフィルタと、遮光膜及びカラーフィルタを積層することにより表示エリア102及び周辺エリア104にそれぞれ所定の配置密度で配置されるスペーサとを形成し、対向基板200を形成する。
【0038】
続いて、アレイ基板100及び対向基板200を洗浄した後、各基板に配向膜を塗布し、焼成する。その後、各基板の配向膜をラビング処理する。
続いて、再度洗浄した後、図6に示すように、アレイ基板及び対向基板のいずれか一方にシール材106を塗布し、2枚の基板を組み立てた後、シール材106を硬化させる。このシール材106を塗布する際に、その一部に、後の工程で2枚の基板間に液晶を注入するための注入口108を形成する。
【0039】
続いて、アレイ基板100及び対向基板200を所望のサイズに切り出す、すなわちカッティングを実行する。
まず、図6に示すように、鋭利なダイヤモンドや超鋼等により、カッティングするガラス面例えば対向基板200を構成するガラス基板201の表面に、スクライブラインSL、すなわちガラス基板を所望のサイズに切り出すための切り出し線に沿った線状のクラックを形成する。このスクライブラインSLは、シール材106に沿って略平行に形成され、その断面は、図5に示すように、略V字型に形成されている。スクライブラインSLが形成される周辺部、すなわち、図7の拡大図に示すように、スクライブラインSLから内側すなわちシール材側3mmの範囲と、スクライブラインSLから外側3mmの範囲内には、スペーサ210は、表示エリア内と比較して密に配置されている。
【0040】
なお、このスクラブラインSLは、対向基板200側のガラス基板201に対しては、シール材106の外端から約0.3mmの位置に沿って形成される。また、アレイ基板100側のガラス基板101に対しては、信号線が引き出された周辺エリア104Xにおいて、スクライブラインSLは、シール材106の外端から約3.2mmの位置に形成され、走査線が引き出された周辺エリア104Yにおいて、シール材106の外端から約3.5mmの位置に形成される。また、表示エリア102とスクライブラインSLとの距離は、約5.4mmである。
【0041】
そして、このスクライブラインSLを形成した面の裏側、すなわちアレイ基板100側から、スクライブラインSLに沿ってブレイクと称される衝撃を加える。この衝撃は、スクライブラインSL周辺に均一に且つ密に配置したスペーサ210を介して対向基板側に伝えられ、クラックを進行させて、ガラス基板をカットする。この時、スクライブラインに沿って略均等に衝撃を加えるために、ブレイクバーと呼ばれる一方向に延出されたゴム製の部品を使用する。そして、ブレイクバーにより、スクライブラインSLに沿ってアレイ基板100のガラス基板101側からブレイクすることにより、対向基板200のガラス基板201をカッティングする。
【0042】
同様のカッティングを液晶表示パネルの4辺に沿ってそれぞれ実行することにより対向基板200を所望のサイズに切り出す。
同様に、アレイ基板100側のガラス基板101の表面に、所望のサイズに切り出すためのスクライブラインSLを形成した後、ブレイクバーによりブレイクし、アレイ基板100を所望のサイズに切り出す。
【0043】
なお、対向基板200及びアレイ基板100を切り出す順序は、液晶表示パネルの構造や、製造工程により決定されるものであり、上述した例に限定されるものではない。
【0044】
続いて、切り出された液晶表示パネルの2枚の基板間に、注入口から液晶を注入し、封止材により液晶を封入する。
続いて、アレイ基板100の表面及び対向基板200の表面に偏光板を取り付ける。
【0045】
続いて、図1に示したように、アレイ基板100の周辺エリア104に形成された配線パターンに駆動用回路を取り付ける。
そして、液晶表示パネルの背面、すなわちアレイ基板側にバックライトを取り付けて液晶表示装置を完成させる。
【0046】
上述したように、例えば対向基板200をカッティングする場合、スクライブされた対向基板200に対向するアレイ基板100をブレイクした衝撃は、スクライブラインSL周辺に均一に且つ密に配置されたスペーサ210を介して対向基板200に伝えられるため、対向基板200のスクライブによるクラックは、基板に垂直に進行し、カット不良の発生が防止できる。
【0047】
したがって、その後の液晶注入工程や偏光板貼り工程等で、ガラス欠けやガラス破片による不良の発生が抑制され、歩留まりを向上させることができる。
次に、上述したような液晶表示装置の製造方法において、液晶表示パネルをカッティングする際に発生するカット不良について、スペーサの配置位置を変えた場合と比較した。
【0048】
すなわち、実験条件Aは、スクライブラインSLから外側、すなわちシール材から遠ざかる側に0.3mmシフトした位置に、スクライブラインに沿ってほぼ等間隔にスペーサが配置された液晶表示パネルをカッティングする場合である。実験条件Bは、スクライブラインSLから内側、すなわちシール材に近接する側に0.3mmシフトした位置に、スクライブラインに沿ってほぼ等間隔にスペーサが配置された液晶表示パネルをカッティングする場合である。実験条件Cは、上述した製造方法で製造したように、スクライブラインSLの周辺に15個/mm2 の配置密度でスペーサを分散配置した液晶表示パネルをカッティングする場合である。
【0049】
実験条件AおよびBは、ともに実験回数が6回であり、スクライブラインに対してブレイクバーがブレイクする位置のバラツキは、−0.1mm乃至+0.2mmである。また、実験条件Cは、実験回数が54回であり、スクライブラインに対してブレイクバーがブレイクする位置のバラツキは、−0.2mm乃至+0.15mmである。ここで、−(マイナス)は、スクライブラインに対してシール材側にずれた場合を示し、+(プラス)は、スクライブラインに対してシール材から外側にずれた場合を示している。
【0050】
これら3つの実験条件のそれぞれの実験結果は、図8に示されている。ここで、ガラス基板をカッティングした際に、スクライブラインからガラス面に対して垂直にクラックが進行せずに、ガラス基板のカット面の断面がスクライブラインから外れてガラス面に対して斜めにクラックが進行し、鋭利な断面形状となる不良をソゲと称し、スクライブラインからの外れ量をソゲ量とする。ソゲ量が−(マイナス)の場合は、スクライブラインに対してシール材側にずれた場合を示し、+(プラス)の場合は、スクライブラインに対してシール材から外側にずれた場合を示している。
【0051】
図8に示すように、実験条件Aにおけるソゲ量の平均値は、+0.1mmであり、標準偏差をσとすると3σ値は、0.34である。つまり、実験条件Aでは、−0.24mm乃至+0.44mmのバラツキをもってソゲが発生する可能性がある。
【0052】
実験条件Bにおけるソゲ量の平均値は、−0.11mmであり、3σ値は、0.44である。つまり、実験条件Bでは、−0.55mm乃至+0.33mmのバラツキをもってソゲが発生する可能性がある。
【0053】
一方、実験条件Cにおけるソゲ量の平均値は、0.04mmであり、3σ値は、0.09である。つまり、実験条件Cでは、−0.05mm乃至+0.13mmのバラツキをもってソゲが発生する可能性があるが、上述の実験条件A及びBと比較すると、ソゲ量が極めて小さく、またバラツキも小さい。
【0054】
この実験結果から分かるように、スクライブラインの周辺部にスペーサを均一に分散配置することにより、ソゲの発生を抑制できるとともに、たとえソゲが発生したとしても、ソゲ量は後工程に影響を及ぼさない程度の極微量である。したがって、カット不良の発生を抑制することが可能となり、歩留まりを向上できる。
【0055】
このように、ガラス基板をカッティングする場合、スクライブラインSL周辺に、スペーサを12個/mm2 以上、好ましくは15個/mm2 以上の密度で均一に配置することにより、スクライブによるクラックが基板に対して略垂直に進行し、カット不良の発生を防止することができる。また、ブレイク位置のバラツキに対しても大きなソゲを発生することがなく、ガラス欠けやガラス破片による不良の発生が抑制され、歩留まりを向上させることができる。
【0056】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々に変形可能であり、例えば、スペーサをカラーフィルタなどを積層することにより形成しなくてもよい。すなわち、透明樹脂を使用して、一工程でスペーサを形成してもよい。また、スクライブラインの周辺部に配置するスペーサと、その他の部分のスペーサとは、配置方法、材質、大きさ、形状などが必ずしも同一である必要はなく、同時の製造工程でスペーサを配置する必要もない。つまり、効果的に対向基板とアレイ基板間の間隙をスペーサが保持しており、スクライブラインを中心として左右±3mm以内の範囲に12個/mm2 以上、好ましくは15個/mm2 以上の密度でスペーサが均一に配置されていれば、どのような過程を経ていてもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態では、薄膜トランジスタで液晶を駆動する液晶表示装置に適用した場合を説明したが、他の駆動方式の液晶表示装置にも適用することができる。例えば、薄膜ダイオードすなわちTFDで液晶を駆動する液晶表示装置や、基板自体にスイッチング素子を持たない単純マトリクス型の液晶表示装置にも適用することができる。
【0058】
スペーサは、2枚の基板のどちらに形成してもよいが、切断した基板に対向する基板(切断後に残る側の基板)に、外部入力端子のような電極パターンが配置されている場合には、切断する基板側にスペーサを設けた方が良い。これは、後工程で、外部入力端子に回路基板などを実装するような場合、スペーサが障害となる可能性があるからである。
【0059】
また、電極パターン上にスペーサを配置しないほうが望ましい。これは、スクライブ後に基板を取り除く際に、基板のずれによってスペーサが配線パターンを傷つけることを防止するためである。
【0060】
この発明の液晶表示装置によれば、スクライブラインの左右±3mmの範囲内に少なくとも12個/mm2 以上の密度で配置されたスペーサにブレイクの衝撃が分散することにより、カット不良の発生がなくなり、液晶注入工程や偏光板貼り工程でのカット不良起因のガラス欠けやガラス破片の発生が皆無となるため、歩留まりを向上することが可能となる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、カット不良の発生を抑制し、ガラス欠けやガラス破片の発生による歩留まりの低下を防止できる液晶表示装置及び液晶表示装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示装置に適用される液晶表示パネルのアレイ基板の表示エリアの構造を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルのA−A‘線で切断した際の断面を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示した液晶表示装置に適用される液晶表示パネルの周辺エリアの構造を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、液晶表示パネルの表示エリア及び周辺エリアにそれぞれ配置されたスペーサを示す断面図である。
【図6】図6は、図1に示した液晶表示装置を製造する際のカッティング工程で形成されるスクライブラインの位置を概略的に示す斜視図である。
【図7】図7は、図6に示したスクライブラインの周辺部を拡大した拡大図である。
【図8】図8は、スペーサの配置位置を変えてカッティングした際のソゲ量を測定した測定結果を示す図である。
【符号の説明】
10…液晶表示パネル
100…アレイ基板
102…表示エリア
104…周辺エリア
106…シール材
121…TFT
151…画素電極
200…対向基板
202…遮光膜
203(R、G、B)…カラーフィルタ
204…対向電極
210…スペーサ

Claims (4)

  1. 透明な絶縁性の第1基板及び第2基板の少なくとも一方に電極を形成し、
    前記第1基板に表示エリア及び表示エリアの周辺に位置する周辺エリアを形成するとともに前記電極に接続される配線パターンが形成され
    前記第1基板に前記第2基板が対向配置された際に、前記表示エリア及び周辺エリアに対向する前記第2基板上において2枚の基板の間隙を一定に保持するための柱状のスペーサ前記配線パターンから外れる位置の前記第2基板上に形成し、
    前記表示エリアと周辺エリアとを区画するとともに対向配置された前記第1基板及び前記第2基板を接着するシール材により、前記第1及び第2基板を組立て、
    前記第1及び第2基板をそれぞれ所のサイズに切り出すための切り出し線を前記周辺エリアに形成し、
    前記切り出し線に沿って前記第1及び第2基板を切り出し、
    前記第1基板と第2基板との間に液晶を密封する液晶表示装置の製造方法において、
    前記スペーサを形成する工程において、前記切り出し線の両側近傍には、前記表示エリア内に形成される前記スペーサの密度に対して高密度になるように略均等に12個/mm以上の密度で前記スペーサを前記周辺エリアに形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  2. 前記スペーサを形成する工程において、前記切り出し線の両側近傍には、15個/mm以上の密度でスペーサを形成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法。
  3. 電極及びこの電極を駆動するためのスイッチング素子を含む表示エリアと、この表示エリアの周辺に位置するとともに前記スイッチング素子に接続された配線パターンを含む周辺エリアとを有する第1基板と、
    前記第1基板に対向配置されるとともに前記表示エリアに対向する位置に電極を有する第2基板と、
    前記第2基板上に形成されているとともに、前記表示エリア及び周辺エリアにおける前記第1及び第2基板の間を一定の間隙を保つ柱状のスペーサと、
    前記第1基板と第2基板との間に密封された液晶と、を備えた液晶表示装置において、
    前記第1及び第2基板の周辺エリアは、それぞれ所のサイズに切り出すための切り出し線を有し、前記切り出し線の両側近傍には、前記表示エリア内に形成される前記スペーサの密度に対して高密度になるように略均等に12個/mm以上の密度で前記周辺エリアの前記配線パターンから外れる位置の前記第2基板上に形成された前記スペーサを有することを特徴とする液晶表示装置。
  4. 前記第1及び第2基板の周辺エリアは、それぞれ所のサイズに切り出すための切り出し線を有し、前記切り出し線の両側近傍には、15個/mm以上の密度で形成されたスペーサを有することを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置。
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