JP3888916B2 - 加熱炉用の燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉内にガス燃料を噴出する噴出口を先端側に備えた長尺状の燃料噴出体が、前記炉内に燃焼用酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給路の長手方向と交差する姿勢で、前記酸素含有ガス供給路内に突出するように設けられた加熱炉用の燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる加熱炉用の燃焼装置(以下、単に燃焼装置と略記する場合がある)は、長尺状の燃料噴出体の先端側に備えた噴出口から、酸素含有ガスが通流する酸素含有ガス供給路内にガス燃料を噴出して、ガス燃料と燃焼用酸素含有ガスとを混合しながら炉内に供給する所謂スルーポート式のものであり、例えば、ガラス原料を溶解させる溶解槽の上方に炎を形成して、溶解槽を加熱するものである。
【0003】
かかる燃焼装置において、従来は、図11に示すように、噴出口11として、2個の噴出口11を燃料噴出体Bの長手方向に間隔を隔てて並び、且つ、噴出方向が互いに交差するように設けたもの(以下、縦列噴出口タイプと略記する場合がある)や、図示は省略するが、噴出口として1個の噴出口を設けたものがあった。
図11に示すように、縦列噴出口タイプのものは、燃料噴出体Bを、その長手方向を上下方向に向けた縦姿勢で、炉内7に酸素含有ガスAを供給する酸素含有ガス供給路6内に突出するように設けて、溶解槽(図示省略)等の加熱対象物の上方に炎を形成するものである。尚、図11中の20は、噴出口11を形成するノズルである。
【0004】
ちなみに、上記従来の燃焼装置において、縦列噴出口タイプのものは、図11に示すように、燃料噴出体Bの長手方向に並ぶ2個の噴出口11から、ガス燃料Gを衝突させるように噴出することにより、炎を広げるように形成して、加熱効率を向上させようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、炉内の加熱効率を向上するには、炉内の溶解槽等の加熱対象物を炎で覆う面積を広くするために、炎を広げて偏平状に形成することが必要となるのであるが、加熱対象物の上方に炎を形成する場合は、特に横方向に偏平状の炎(以下、横幅広の炎と略記する場合がある)を形成することが要求される。
ちなみに、燃料噴出体からのガス燃料の噴出量が多い場合には、炎の偏平状態が小さいと、ガス燃料の噴出量が多い割には、炎にて加熱対象物を広く覆うことができ難くなり、燃焼量が多い場合に、このように偏平状の炎の形成が可能となると、加熱効率を向上する上で、一層好ましいものとなる。
【0006】
しかしながら、上記従来の燃焼装置において、1個の噴出口を設けたものでは、ガス燃料がその噴出方向視で全周にわたって広がってしまうので、偏平状の炎を形成することができず、加熱効率が低い。
又、上記従来の燃焼装置において、縦列噴出口タイプのものでは、2個の噴出口から、ガス燃料を衝突させるように噴出するので、炎を広げて形成する効果はあるものの、炎は、噴出体の横幅方向ばかりでなく、噴出体の長手方向並びにその長手方向に対して傾斜する斜め方向にも広がり易いので、炎の偏平度が小さく、偏平状の炎を形成して加熱効率をする上で、未だ改善の余地があった。
しかも、この縦列噴出口タイプのものでは、加熱対象物の上方に炎を形成するように設ける場合、燃料噴出体を縦姿勢で設けることになるが、その場合は、2個の噴出口が上下方向に並ぶので、形成される炎が炉壁に接触しないようにするには、酸素含有ガス供給路の高さを高くする必要があり、延いては、炉内の高さが高くなり、このことは、横幅広の炎を形成して、加熱対象物を上方を炎で覆う面積を広くして、加熱効率を向上する上で、不利となる。つまり、加熱対象物を上方を炎で覆う面積を広くして、加熱効率を向上するには、炉内の横幅(炎の横幅方向に沿う方向)を広くし、高さを低くするのが有利となるからである。ちなみに、形成される炎が炉壁に接触すると、炉壁の焼損が早まり、加熱炉の耐久性が低下する原因となる。
又、縦列噴出口タイプのものでは、2個の噴出口から、ガス燃料を衝突させるように噴出するので、ガス燃料が拡散して、燃焼用酸素含有ガスとの混合が促進されることから、燃焼速度が速くなって、炎の温度が高くなるので、NOxの発生量が多くなるという問題もあった。
【0007】
ちなみに、燃料噴出体の横幅方向に長いスリット状の1個の偏平な噴出口を設け、その噴出口から液体燃料を噴出するように構成した油圧式の燃焼装置では、偏平な噴出口から液体燃料を燃料噴出体の横幅方向に広がるように噴出することができるので、偏平な炎を形成し易い。しかしながら、液体燃料を燃焼させる油圧式の燃焼装置では、NOxの発生量が多くなるので、低NOx化を図ることができない。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱炉用の燃焼装置において、加熱効率の向上及び低NOx化を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の特徴構成は、前記噴出口として、前記燃料噴出体における長手方向の同じ位置又は略同じ位置に、前記酸素含有ガス供給路の長手方向視にて、前記燃料噴出体の横幅方向に間隔を隔てて並べる状態で、複数の噴出口が設けられ、
前記燃料噴出体に、前記噴出口を形成するノズルを付け替え自在なノズル取付孔が設けられ、
前記ノズルとして、異なる仕様の噴出口を備えた複数種のノズルが設けられていることにある。
請求項1に記載の特徴構成によれば、燃料噴出体における長手方向の同じ位置又は略同じ位置に、酸素含有ガス供給路の長手方向視にて燃料噴出体の横幅方向に間隔を隔てて並ぶ複数の噴出口から、ガス燃料が、隣接する噴出口から噴出されたガス燃料との接触が抑制された状態で噴出されることから、ガス燃料の接触に伴う噴出体の長手方向やその長手方向に対して傾斜する斜め方向への広がりが抑制されるので、複数の噴出口からガス燃料が偏平状に噴出され易くなり、偏平状の炎が形成され易い。そして、偏平状の炎の形成が可能となることで、炎にて加熱対象物を広く覆うことが可能となり、加熱効率を向上することができる。
又、加熱対象物の上方に炎を形成するように設ける場合、燃料噴出体を縦姿勢で設けることになるが、この場合は、複数の噴出口が横方向に並ぶので、噴出口として複数の噴出口を並べながらも、形成される炎が炉壁に接触するのを回避するために、酸素含有ガス供給路の高さを高くする必要がなく、延いては、炉内の高さを高くする必要が無く、横幅広の炎を形成して、加熱対象物を上方を炎で覆う面積を広くして、加熱効率を向上する上で、有利となる。
ちなみに、偏平状の炎を形成するに当たって、燃料噴出体の横幅方向に長いスリット状の1個の偏平な噴出口を設けることが想定される。しかしながら、この場合は、偏平な噴出口の高さと同径の複数の噴出口を、偏平な噴出口の幅と同幅に間隔を隔てて設ける場合に比べて、ガス噴出速度が遅くなり、ガス燃料の勢いが弱くなることから、形成される炎の勢いが弱くなる、即ち、火腰が弱くなる。そして、炎の火腰が弱いことから、炎が炉内の雰囲気に煽られやすくなって、炎の形成方向が不安定となり、炎が炉壁に接触し易くなるので、炉壁が損傷し易くなり、炉の耐久性を向上する面で好ましいものではない。
又、燃料噴出体の横幅方向に間隔を隔てて並ぶ複数の噴出口から、ガス燃料が噴出されることから、従来のように2個の噴出口からガス燃料を衝突させるように噴出する場合に比べて、ガス燃料と酸素含有ガスとの混合をガス燃料の炉内に向けての通流過程で、緩やかに進行させることが可能となり、所謂緩慢燃焼をさせ易くなる。
しかも、燃料噴出体の横幅方向に間隔を隔てて並ぶ複数の噴出口から、ガス燃料が噴出されることから、複数の噴出口にて各別に炎が形成され易くなり、所謂分割火炎を形成し易くなる。
そして、緩慢燃焼によるNOx低減作用及び分割火炎によるNOx低減作用の相乗作用により、NOxの発生量を低減することが可能となる。
要するに、加熱炉用の燃焼装置において、加熱効率の向上及び低NOx化を図ることができるようになった。
又、偏平状の炎の形成が可能となることから、燃焼量の多い燃焼装置に適用すると、炎にて加熱対象物を面積を広くして加熱効率を向上する効果を一層得易いものとなり、好ましい。
更に、ノズル取付孔に取り付けるノズルを、噴出口の仕様の異なる別種類のノズルに付け替えることができる。
そして、異なる仕様の噴出口を備えた複数種のノズルとして、例えば、噴出口の口径が異なって、ガス燃料の噴出量が異なる、即ち、燃焼量が異なるノズルや、ガス燃料の噴出方向の異なるノズルを設けることができる。
そして、このように、複数種のノズルをノズル取付孔に付け替えることにより、加熱条件を種々に異ならせて運転することが可能となる。
従って、加熱効率の向上及び低NOx化を図りながら、加熱条件を種々に異ならせて運転できるようにすることができた。
【0012】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2に記載の特徴構成は、前記ノズルとして、前記ノズル取付孔に対する取付状態において噴出方向が前記酸素含有ガス供給路の長手方向と平行又は略平行な平行噴出用ノズル、及び、前記ノズル取付孔に対する取付状態において噴出方向が前記酸素含有ガス供給路の長手方向と傾斜する斜め噴出用ノズルが設けられていることにある。
請求項2に記載の特徴構成によれば、ノズル取付孔に取り付けるノズルを、ノズル取付孔に対する取付状態において噴出方向が酸素含有ガス供給路の長手方向と平行又は略平行な平行噴出用ノズルや、ノズル取付孔に対する取付状態において噴出方向が酸素含有ガス供給路の長手方向と傾斜する斜め噴出用ノズルに付け替えることができる。
つまり、燃焼量を変更調節可能なように構成する場合に、燃焼量を大きく調整するときには、各噴出口からのガス燃料の噴出速度が速くて、火腰の強い炎が形成されるので、噴出口の並び方向の端部側の噴出口を形成するノズルを取り付けるノズル取付孔には、斜め噴出用ノズルをその噴出方向が噴出口の並び方向に対して広がる方向に向けて取り付けることにより、炎が炉壁に接触するのを防止しながら、一段と偏平度の大きい炎を形成することが可能となって、加熱効率を一段と向上することができる。
一方、燃焼量を小さく調整するときには、各噴出口からのガス燃料の噴出速度が遅くなり、形成される炎の火腰が弱くなって炎が広がり易い傾向となるので、噴出口の並び方向の端部側の噴出口を形成するノズルを取り付けるノズル取付孔には平行噴出用ノズル取り付けることにより、炎が広がり過ぎるのを防止して、炎が炉壁に接触するのを防止する。
従って、燃焼量の調節範囲を一段と広くしながら、加熱効率の向上を一段と図ることができるようになった。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明を加熱炉としてのガラス溶解炉用の燃焼装置に適用した場合の第1実施形態を説明する。
先ず、燃焼装置を設けるガラス溶解炉について説明する。
図6及び図7に示すように、ガラス溶解炉は、溶解槽2を下部に備えると共にアーチ型の天井を備えた炉本体1を中央に設け、溶解槽2の一端からガラス原料を投入し、他端から溶融ガラスを取り出すように構成し、ガラス原料の移送方向Tに対して、炉本体1の左右夫々に、蓄熱室3を原料移送方向Tに沿って延設し、炉本体1の左右の炉壁4の上部に、複数の空気口(所謂ポート)5を原料移送方向Tに沿って並設し、蓄熱室3と各空気口5とを空気供給路6にて連通させて、所謂サイドポート式に構成してある。
つまり、空気供給路6は、空気を燃焼用酸素含有ガスとして炉内7に供給するように構成してあり、酸素含有ガス供給路に相当する。
【0014】
炉内7にガス燃料Gを噴出する噴出口11を先端側に備えた長尺状の燃料噴出体B(所謂、バーナランス)を、その長手方向を上下方向に向け且つ炉内7に燃焼用空気Aを供給す空気供給路6の長手方向と直交する縦姿勢で、空気供給路6内に下方側から上方に向けて突出するように設けてある。
【0015】
左右の燃料噴出体Bは、一定時間(約15〜30分)毎に交互に、ガス燃料Gの噴出と噴出停止を繰り返し、ガス燃料Gを噴出している燃料噴出体Bの側の空気口5からは、蓄熱室3を通って高温(1000〜1200°C程度)に予熱された燃焼用空気Aが炉内7に供給され、ガス燃料Gの噴出を停止している燃料噴出体Bの側の空気口5からは炉内7の燃焼ガスEを排出させるようにして、左右の燃料噴出体Bにて交互に燃焼させる、所謂交番燃焼を行わせるようにしてある。尚、図6及び図7は、左側の燃料噴出体Bにて燃焼させている状態を示している。
【0016】
噴出口11から噴出されたガス燃料Gの周囲に、その噴出方向に沿って、そのガス燃料Gを噴出している噴出口11が設けられている空気口5から燃焼用空気Aが供給されて、ガス燃料Gと燃焼用空気Aとが接触して拡散燃焼して、所謂、緩慢燃焼し、長さが長くて高輝度の燃焼炎(輝炎)Fが形成され、その燃焼炎の輻射熱により、溶解槽2内のガラス原料を溶解する。炉本体1のアーチ状の天井は、燃焼炎の輻射熱を反射させる。
炉内7の燃焼ガスEは、ガス燃料Gの噴出を停止している燃料噴出体Bの側の空気口5から、蓄熱室3に流入し、蓄熱材を通過して、蓄熱材に排熱が回収された後、排気される。
蓄熱室3においては、燃焼ガスEを排出させる状態のときに、燃焼ガスEから排熱を蓄熱材に回収して蓄熱し、燃焼用空気Aを供給する状態のときには、蓄熱材の蓄熱により燃焼用空気Aを予熱する。そして、そのように予熱された燃焼用空気Aが、空気供給路6を通流して空気口5から炉内7に供給されるのである。
【0017】
炉本体1の炉壁4に投入口4iを形成し、投入口4iを形成した炉壁4と対面する炉壁4の外部に作業槽8を設けると共に、その作業槽8を溶解槽2に連通させる取り出し孔4eを炉壁4に形成して、投入口4iから投入したガラス原料を、溶解槽2にて溶融させて作業槽8に向かって流動させ、取り出し孔4eを通じて、清浄な溶融ガラスを作業槽8に導くように構成してある。
【0018】
図1、図2及び図8に示すように、本発明においては、噴出口11として、燃料噴出体Bにおける長手方向の同じ位置に、空気供給路6の長手方向視にて、燃料噴出体Bの横幅方向に間隔を隔てて並べる状態で、複数(本実施形態では3個)の噴出口11を設けてある。
【0019】
燃料噴出体Bについて、説明を加える。
図1及び図2に示すように、燃料噴出体Bの本体部12は、内部に冷却水ジャケット13を備えて、外形形状が円柱状になるように形成し、その長手方向の先端側の側周部にノズル取付部材嵌合孔12hを形成してある。
図3ないし図5にも示すように、噴出口11を形成するノズル10を付け替え自在な3個のノズル取付用ねじ孔14を直径方向に沿って間隔を隔てて備えた円板状のノズル取付部材15を、ノズル取付用ねじ孔14の並び方向を本体部12の横幅方向に向けた姿勢で、本体部12のノズル取付部材嵌合孔12hに気密状に内嵌した状態で設けてある。3個のノズル取付用ねじ孔14は、それぞれの軸心方向が互いに平行になるようにノズル取付部材15に形成してある。
そして、ノズル取付部材15を本体部12のノズル取付部材嵌合孔12hに内嵌するに当たっては、中央のノズル取付用ねじ孔14の軸心が本体部12の軸心と直交し且つ本体部12の径方向に沿うようにしてある。
【0020】
ノズル10は、ノズル取付用ねじ孔14に螺合するおねじ部分を外周部に備えた概ね円柱状に形成して、ノズル取付用ねじ孔14に対して付け替え自在なように構成してある。
又、ノズル10としては、異なる仕様の噴出口11を備えた複数種のノズル10を用意してある。
具体的には、図4及び図5に示すように、噴出孔をその孔軸心がノズル10の軸心に一致するように形成して、ノズル取付用ねじ孔14に対する取付状態において噴出方向が空気供給路6の長手方向と平行な平行噴出用ノズル10p、噴出孔をその孔軸心がノズル10の軸心に対して傾斜するように形成して、ノズル取付用ねじ孔14に対する取付状態において噴出方向が空気供給路6の長手方向と傾斜する斜め噴出用ノズル10tを用意してある。
そして、3個のノズル取付用ねじ孔14にノズル10を取り付ける形態としては、例えば、図4に示すように、3本とも平行噴出用ノズル10pを取り付ける形態や、図5に示すように、中央のノズル取付用ねじ孔14には平行噴出用ノズル10pを取り付け、両側のノズル取付用ねじ孔14のそれぞれには、斜め噴出用ノズル10tをその噴出方向の傾斜方向が噴出口11の並び方向の外側を向くように取り付ける形態がある。
【0021】
又、複数のノズル取付用ねじ孔14のピッチは、ノズル取付用ねじ孔14にノズル10を取り付けた状態で、隣接する噴出口11同士の間隔が、噴出口11の口径の1/10以上を開くように設定してある。
【0022】
図1ないし図3に示すように、ノズル取付部材15の背部側には、内部に接続用流路を備えた流路接続体16をその接続用流路が3個のノズル取付用ねじ孔14に連通するように一体的に備えてあり、ガス燃料供給管17を、その先端を流路接続体16の接続流路に連通するように流路接続体16に接続し、基端側を本体部12の基端面から外部に突出させた状態で、本体部13の冷却水ジャケット13内に設けてある。
そして、ガス燃料供給管17を通じてガス燃料を供給して、ノズル取付部材15に取り付けた3個のノズル10の噴出口11からガス燃料を噴出するように構成してある。
【0023】
更に、図1に示すように、冷却水供給管18を、冷却水ジャケット13内に連通するように、本体部12の周壁に接続し、冷却水排出管19を、その基端側の開口部を、本体部12の冷却水ジャケット13内における本体部12の先端に相当する箇所に位置させた状態で、冷却水ジャケット13内を通して先端側を本体部12の周壁を貫通させて外部に導出するように配管してある。
そして、冷却水供給管18を通じて冷却水を冷却水ジャケット13に流入させて、冷却水ジャケット13を通流させた後、冷却水排出管19の基端開口部に流入させて、冷却水排出管19を通じて排出するようにしてある。
【0024】
そして、上述のように構成した燃料噴出体Bを、図6ないし図8に示すように、ノズル取付用ねじ孔14の軸心方向が空気供給路6の長手方向と平行となり、且つ、噴出口11の設置部分が空気流路6内における横幅方向の略中央に位置する状態で、上述のように空気供給路6内に突出するように設けてある。
【0025】
上述のように、噴出口11として、燃料噴出体Bにおける長手方向の同じ位置に、空気供給路6の長手方向視にて、燃料噴出体Bの横幅方向に間隔を隔てて並べる状態で、複数の噴出口11を設けることにより、それら複数の噴出口11から、ガス燃料Gが、隣接する噴出口11から噴出されたガス燃料Gとの接触が抑制された状態で噴出されることから、ガス燃料Gは偏平状に噴出され易くなり、横幅広の炎が形成される。
又、燃料噴出体Bの横幅方向に間隔を隔てて並ぶ複数の噴出口11のそれぞれから、ガス燃料Gが、隣接する噴出口11から噴出されたガス燃料Gとの接触が抑制された状態で噴出されることから、ガス燃料Gと燃焼用空気Aとの混合をガス燃料Gの炉内7に向けての通流過程で、緩やかに進行させることが可能となり、所謂緩慢燃焼をさせ易くなる。
しかも、複数の噴出口11にて各別に炎Fが形成されやすくなり、所謂分割火炎を形成し易くなる。
更に、隣接する噴出口11同士の間隔を噴出口11の口径の1/10以上開けるようにしてあるので、緩慢燃焼を一段とさせ易くなると共に、分割火炎を一段と形成し易い。
従って、加熱効率の向上及び低NOx化を図ることができる。
【0026】
又、燃焼量を変更する場合、燃焼量の小さいときは、各噴出口11からのガス燃料の噴出速度が遅くなって、形成される炎の火腰が弱くなり、炎が横幅方向に広がりやすくなるので、図4に示すように、3本とも平行噴出用ノズル10pを取り付けて、3個の噴出口11から、噴出方向が空気供給路6の長手方向と平行になるようにガス燃料を噴出するようにする。
燃焼量が大きいときは、各噴出口11からのガス燃料の噴出速度が速くて、火腰の強い炎が形成される。そこで、図5に示すように、中央のノズル取付用ねじ孔14には平行噴出用ノズル10pを取り付け、両側のノズル取付用ねじ孔14のそれぞれには、斜め噴出用ノズル10tをその噴出方向の傾斜方向が噴出口11の並び方向の外側を向くように取り付けることにより、炎が炉壁に接触するのを防止しながら、一段と横幅広の炎を形成することができるので、加熱効率を一層向上することが可能となる。
【0027】
〔第2実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明を加熱炉としてのガラス溶解炉用の燃焼装置に適用した場合の第2実施形態を説明する。
第2実施形態においては、ガラス溶解炉は、所謂エンドポート式に形成してある。
図9及び図10に基づいて、そのエンドポート式のガラス溶解炉について説明する。
炉体1の一側面を形成する炉壁4の外側に、2室の蓄熱室3を設けると共に、その炉壁4に、各蓄熱室3に対応させて空気口5を形成し、各蓄熱室3と各空気口5とを空気供給路6にて連通させて、各空気供給路6に対して、第1実施形態と同様の燃料噴出体Bを第1実施形態と同様に設けて、左右の燃料噴出体Bを用いて交番燃焼を行わせるように構成してある。
【0028】
燃料噴出体Bを設けた側面に隣接する側面を形成する炉壁4における燃料噴出体Bの側の端部に、ガラス原料の投入口4iを設け、燃料噴出体Bを設けた側面に対向する側面を形成する炉壁4の外部に作業槽8を設けると共に、その作業槽8と溶解槽2との間の炉壁4には、溶解槽2と作業槽8とを連通させる取り出し孔4e形成してある。
つまり、投入口4iからガラス原料を溶解槽2に投入して、そのガラス原料を、取り出し孔4eの側に向かって蛇行状に流動させながら溶融させ、取り出し孔4eを通じて、清浄な溶融ガラスを作業槽8に導くように構成してある。
【0029】
次に、上述のように構成した加熱炉用の燃焼装置の性能を検証した結果を説明する。
検証試験に用いたエンドポート式のガラス溶解炉の炉本体1の寸法(外寸)は、燃料噴出体Bからのガス燃料Gの噴出方向に沿う奥行きが8.8m、幅及び高さはそれぞれ1.8mである。
検証試験で用いた燃焼装置の燃焼量は2300kW、予熱された後の燃焼用空気の温度は800°C、炉内3の温度は1500°Cである。
尚、2300kW程度の大きい燃焼量では、噴出口11を1個設けた従来の燃焼装置では、通常の都市ガスの供給圧ではガス燃料の圧力損失が大きくなって対応できないので、検証試験においては、燃料噴出体Bの横幅方向に長いスリット状の1個の偏平な噴出口を設けて、その噴出口から液体燃料を噴出するように構成した油圧式の燃焼装置を比較用として用いた。
【0030】
本発明の燃焼装置は、3本とも平行噴出用ノズル10pを取り付けて、3個の噴出口11を、その噴出方向が空気供給路6の長手方向と平行になるようにガス燃料を噴出するように構成し、各噴出口11の口径は16mmφであり、ガス燃料の供給圧は、12kPaである。
又、比較に用いた油圧式の燃焼装置の液体燃料の供給圧は、1.1MPaである。
【0031】
検証試験の結果は以下の通りである。
本発明の燃焼装置では、長さが5.5m程度で、所望どおりの横幅広の炎を形成することができ、NOx(O2=15%換算)は270ppmであった。
比較用の油圧式の燃焼装置では、形成された炎の長さは6.0m程度で、炎の幅は、本発明の燃焼装置に比べて狭く、NOx(O2=15%換算)は310ppmと本発明よりも高かった。
従って、本発明の燃焼装置により、横幅広の火炎を形成して、加熱効率を向上することができると共に、低NOx化を図ることができる。
【0032】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 複数種のノズル10を用意するに当たって、異ならせる噴出口11の仕様としては、口径を異ならせても良い。又、斜め噴出用ノズル10には、ノズル10の軸心に対する孔軸心の傾斜角度が異なるもの用意して、噴出方向が空気供給路6の長手方向に対して傾斜する角度を異ならせても良い。
【0033】
(ロ) 燃料噴出体Bに、その長手方向の同じ位置又は略同じ位置に、横幅方向に間隔を隔てて設ける噴出口11の個数は、上記の実施形態において例示した3個に限定されるものではなく、2個でも良く、又、4個以上でも良い。
【0035】
(ニ) 上記の実施形態においては、各空気口5に対して、1本の燃料噴出体Bを設ける場合について例示したが、各空気口5に対して、複数の燃料噴出体Bを、空気供給路6の長手方向視にて空気口5の横幅方向に並べて設けても良い。
【0036】
(ホ) 上記の実施形態では、噴出体Bを縦姿勢で設けて、偏平状の炎をその横幅方向を横向きに向けて形成する場合について例示したが、偏平状の炎を形成する向きは燃焼装置を設置する対象の加熱炉に応じて変更可能であり、例えば、噴出体Bをその長手方向を横方向に向けた横向き姿勢で設けて、偏平状の炎をその横幅方向を縦向きに向けて形成することが可能である。
【0037】
(ヘ) 空気口5から炉内7に供給する燃焼用酸素含有ガスとしては、上記の各実施形態において例示した空気以外に、空気に炉内7から排出した燃焼排ガスを混合したものや、酸素含有率を高くした酸素富化空気等、種々のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置における燃料噴出体の縦断面図
【図2】実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置における燃料噴出体の要部の正面図
【図3】実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置における燃料噴出体のノズル取付孔及びノズルを示す要部の斜視図
【図4】実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置における燃料噴出体の横断面図
【図5】実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置における燃料噴出体の横断面図
【図6】第1実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置を備えたガラス溶解炉の縦断面図
【図7】図6のイ−イ矢視図
【図8】第1実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置を備えたガラス溶解炉の空気口付近の図
【図9】第2実施形態にかかる加熱炉用の燃焼装置を備えたガラス溶解炉の縦断面図
【図10】図9のロ−ロ矢視図
【図11】従来の加熱炉用の燃焼装置を備えたガラス溶解炉の酸素含有ガス供給路付近の縦断面図
【符号の説明】
6 酸素含有ガス供給路
10 ノズル
10p 平行噴出用ノズル
10t 斜め噴出用ノズル
11 噴出口
14 ノズル取付孔
B 燃料噴出体
Claims (2)
- 炉内にガス燃料を噴出する噴出口を先端側に備えた長尺状の燃料噴出体が、前記炉内に燃焼用酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給路の長手方向と交差する姿勢で、前記酸素含有ガス供給路内に突出するように設けられた加熱炉用の燃焼装置であって、
前記噴出口として、前記燃料噴出体における長手方向の同じ位置又は略同じ位置に、前記酸素含有ガス供給路の長手方向視にて、前記燃料噴出体の横幅方向に間隔を隔てて並べる状態で、複数の噴出口が設けられ、
前記燃料噴出体に、前記噴出口を形成するノズルを付け替え自在なノズル取付孔が設けられ、
前記ノズルとして、異なる仕様の噴出口を備えた複数種のノズルが設けられている加熱炉用の燃焼装置。 - 前記ノズルとして、前記ノズル取付孔に対する取付状態において噴出方向が前記酸素含有ガス供給路の長手方向と平行又は略平行な平行噴出用ノズル、及び、前記ノズル取付孔に対する取付状態において噴出方向が前記酸素含有ガス供給路の長手方向と傾斜する斜め噴出用ノズルが設けられている請求項1記載の加熱炉用の燃焼装置。
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