JP4043162B2 - 加熱炉用のバーナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱炉用のバーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる炉加熱用のバーナ(以下、単にバーナと記載する場合がある)は、燃料を炉内に噴出すべく設置するものであり、そのバーナから噴出される燃料を、燃焼用空気供給部から炉内に供給される燃焼用空気にて燃焼させて、炉内を加熱する。
そして、かかるバーナを燃焼させるに当たっては、NOxの発生量を少なくすることが望まれるが、それには、燃焼炎の輻射率を高く且つ温度を低くして、輻射熱により効果的に加熱する必要があるので、かかるバーナでは、輻射率が極力高くなるように、極力低空気比で燃焼させて、緩慢燃焼を起こさせるようにする。
【0003】
かかるバーナにおいて、従来は、加圧状態で供給される液体燃料を噴出する液体燃料噴出孔と、その液体燃料噴出孔から噴出される液体燃料を霧化すべく、その噴出液体燃料に衝突させるように、加圧状態で供給される空気を噴出する霧化用空気噴出孔とを備えたもの(以下、エアアトマイズ型と記載する場合がある)、加圧状態で供給される液体燃料を噴出する液体燃料噴出孔と、その液体燃料噴出孔から噴出される液体燃料を霧化すべく、その噴出液体燃料に衝突させるように、加圧状態で供給されるガス燃料を噴出する霧化用ガス燃料噴出孔とを備えたもの(以下、ガスアトマイズ型と記載する場合がある)、及び、加圧状態で供給される液体燃料を噴出に伴って霧化状態にする液体燃料噴出孔のみを備えたもの(以下、液体燃料専焼型と記載する場合がある)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の各型式のバーナでは、以下のような問題があった。
エアアトマイズ型のバーナでは、空気にて液体燃料を霧化するため、空気を高圧状態で噴出する必要があり、例えば、燃焼量が2325kW以上の場合、0.98MPa(ゲージ圧、以下同様)程度の高圧にする必要がある。しかしながら、空気を加圧状態で供給するためのエアコンプレッサは、0.98MPa程度以上の昇圧能力を持つものになると、特殊なものとなり高価になる。
【0005】
ガスアトマイズ型のバーナでは、ガス燃料にて液体燃料を霧化するため、ガス燃料を高圧状態で噴出する必要があり、例えば、燃焼量が2325kW以上の場合、ガス燃料の圧力は、0.49〜0.59MPa程度必要となる。しかしながら、ガス燃料の一例としての都市ガスの供給圧は、通常は、0.29MPa以下であり、0.29MPa以上の供給圧になると、特別扱いとなり、コスト高になる。
一方、都市ガスの通常の供給圧である0.29MPa以下の供給圧のガス燃料にて、液体燃料を霧化しようとすると、ガス燃料噴出孔の径、及び、そのガス燃料噴出孔にガス燃料を導くガス燃料路の径を大きくする必要があり、それに伴って、そのガス燃料路等を内部に備えるバーナ本体が大型化するので、実用的なものではない。例えば、燃焼量が2325kW以上の場合、バーナ本体の外径を100mmよりも大きくする必要があり、実用的なものではない。
【0006】
液体は圧力をかけ易いので、液体燃料専焼型では、高燃焼量のバーナでも比較的簡単な構成とすることができ、液体燃料専焼型は、上記のエアアトマイズ型やガスアトマイズ型に比べて、低価格で提供することができる。しかしながら、液体燃料専焼型では、空気比が低くなると、すすが発生し易く、火炎が形成され難く、一方、空気比を高くすると、燃焼炎の温度が高くなってNOxの発生量が多くなるので、NOxの発生量を低減する面では、上記のエアアトマイズ型やガスアトマイズ型に比べて劣っていた。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型、低価格であり、しかも、NOxの発生量が少ない炉加熱用のバーナを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の特徴構成は、加圧状態で供給される液体燃料を噴出に伴って霧化状態にする液体燃料噴出孔と、その液体燃料噴出孔の周囲に位置されて、前記液体燃料噴出孔からの液体燃料噴出方向と平行又は略平行な方向に向けてガス燃料を噴出する複数のガス燃料噴出孔とをノズルチップに備えさせ、前記液体燃料噴出孔と前記複数のガス燃料噴出孔とから噴出された燃料の周囲にその噴出方向に沿って、空気口から燃焼用空気を供給するように構成して、前記液体燃料噴出孔から噴出されて、主炎として燃焼する液体燃料燃焼炎を、前記複数のガス燃料噴出孔から噴出されて、補炎として燃焼するガス燃料燃焼炎にて補炎するように構成され、前記ノズルチップが、円板に、前記液体燃料噴出孔と前記複数のガス燃料噴出孔とを形成して構成されていることにある。
請求項1に記載の特徴構成によれば、加圧状態で液体燃料噴出孔に供給された液体燃料は、液体燃料噴出孔から霧化状態で噴出されて、主炎として燃焼し、液体燃料噴出孔の周囲のガス燃料噴出孔からは、ガス燃料が、液体燃料噴出孔からの液体燃料噴出方向と平行又は略平行な方向に向けて噴出されて、主炎として燃焼する液体燃料燃焼炎を補炎するように、補炎として燃焼する。
つまり、ガス燃料は、液体燃料を霧化する必要が無いので、ガス燃料の供給圧は、従来のガスアトマイズ型のバーナの如き高い供給圧が要求されるものではなく、都市ガスの場合では、通常の供給圧である0.29MPaよりも低い供給圧でも十分である。
又、ガス燃料にて液体燃料を霧化する必要が無いので、ガス燃料の供給圧が通常の都市ガスの供給圧である0.29MPaよりも低くても、バーナの燃焼量を多くするにしても、ガス燃料噴出孔にガス燃料を導くガス燃料路の径が過大となるのを防止することができ、ガス燃料路を内部に備えるバーナ本体を小型化することができる。
又、液体は圧力をかけ易いので、液体燃料噴出孔に供給する液体燃料を、一般に用いられる低価格のポンプ等を利用して、簡単に所定の圧力に加圧することができる。
又、主炎として燃焼する液体燃料燃焼炎が、補炎として燃焼するガス燃料燃焼炎にて補炎されるので、従来の液体燃料専焼型に比べて、すすの発生を抑制しながら、低空気比にて効果的に緩慢燃焼を起こさせることができるので、燃焼炎の輻射率を高く且つ温度を低くして、NOxの発生量を低減することができる。
従って、小型、低価格であり、しかも、NOxの発生量が少ない炉加熱用のバーナを提供することができるようになった。
【0009】
又、液体燃料とガス燃料を燃焼させるので、従来の液体燃料専焼型に比べて、ガス燃料の燃焼量に相当する分の重油等の液体燃料を削減することができるので、液体燃料の削減量に応じた量のSOxの排出を低減することができる。
又、主炎として燃焼する液体燃料燃焼炎が、補炎として燃焼するガス燃料燃焼炎にて補炎されるため、広い燃焼量の範囲にわたって安定燃焼させることができるので、ターンダウン比を大きくすることができると共に、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0010】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2に記載の特徴構成は、液体燃料による燃焼量とガス燃料による燃焼量とを合わせた総燃焼量が、3000kW以上であることにある。
請求項2に記載の特徴構成にように、液体燃料による燃焼量とガス燃料による燃焼量とを合わせた総燃焼量が、特に、3000kW以上の高負荷バーナに本発明を適用すると、小型化、低価格化及びNOxの発生量の低減を図ることができるという本発明による効果を一層顕著なものとすることができ、好ましい。
【0011】
〔請求項3記載の発明〕
請求項3に記載の特徴構成は、ガス燃料による燃焼量が、液体燃料による燃焼量とガス燃料による燃焼量とを合わせた総燃焼量の1〜30%であることにある。
つまり、総燃焼量に対するガス燃料による燃焼量の割合を小さくすると、ガス燃料燃焼炎による補炎作用が弱くなる傾向となり、大きくすると、ガス燃料噴出孔にガス燃料を導くガス燃料路の径が大きくなりバーナ本体が大型化する傾向となる。
請求項3に記載の特徴構成によれば、ガス燃料による燃焼量が総燃焼量の1〜30%であるので、ガス燃料路の径が大きくなるのを抑制しながら、ガス燃料燃焼炎による補炎作用を強くすることができる。
従って、小型化及びNOxの発生量の低減の両方の効果をより顕著なものとする上で好適な具体構成を提供することができる。
【0012】
〔請求項4記載の発明〕
請求項4に記載の特徴構成は、外形形状が円柱状に形成されて、内部に、液体燃料を前記液体燃料噴出孔に導く液体燃料路及びガス燃料を前記複数のガス燃料噴出孔に導くガス燃料路を夫々の流路長手方向を円柱長手方向に沿わせて備えるバーナ本体が、外径が65〜100mmの範囲になるように構成されていることにある。
請求項4に記載の特徴構成によれば、例えば、総燃焼量が3000〜9000kWの範囲のバーナが、バーナ本体の外径が65〜100mmの範囲になるように構成される。
つまり、本発明によれば、総燃焼量が3000〜9000kWの範囲の高負荷バーナでも、バーナ本体の外径が65〜100mmの範囲に収まるような小型なものに構成することができるのである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、加熱炉用のバーナBは、加圧状態で供給される液体燃料を噴出に伴って霧化状態にする液体燃料噴出孔11oと、その液体燃料噴出孔11oの周囲に位置されて、液体燃料噴出孔11oからの液体燃料噴出方向と平行な方向に向けてガス燃料を噴出する複数のガス燃料噴出孔11gとを備えさせたノズルチップ11を、外形形状が円柱状に形成されたバーナ本体12に付設し、そのバーナ本体12の内部に、液体燃料を液体燃料噴出孔11oに導く液体燃料路13及びガス燃料を複数のガス燃料噴出孔11gに導くガス燃料路14を夫々の流路長手方向を円柱長手方向に沿わせた状態で設けることにより構成してある。
【0014】
図3及び図4に示すように、ノズルチップ11は、円板に、円孔状の液体燃料噴出孔11oをその軸芯Poが円板の中心と同軸状になるように形成し、液体燃料噴出孔11oの軸芯Poと同心状の仮想円の円周に沿って、8個の円孔状のガス燃料噴出孔11gを、夫々同一径で、夫々の軸芯Pgが液体燃料噴出孔の軸芯Poと平行になる状態で、等間隔に形成して構成してある。
【0015】
バーナ本体12は、一端が閉塞した円筒材を用いて、外形形状が円柱状になるように形成してある。バーナ本体12には、その内周面に沿って冷却ジャケット15を備えさせ、筒周壁の一端側に、ノズルチップ取り付け用の円孔12wを形成してある。冷却ジャケット15には、冷却水又は冷却用空気を通流させて、バーナを水冷又は空冷する。
そして、バーナ本体12の内部に、円筒状のガス燃料路14を、その流路長手方向を円柱長手方向に沿わせた状態で、一端側を屈曲させて、その開口部をノズルチップ取り付け用の円孔12wに接続し、且つ、他端側を屈曲させて筒周壁から突出させるように設け、更に、そのガス燃料路14の内部に、円筒状の液体燃料路13を、その流路長手方向を円柱長手方向に沿わせた状態で、一端側を屈曲させて、その開口部をノズルチップ取り付け用の円孔12wの中心に位置させ、他端側を筒端から突出させるように設けてある。
【0016】
そして、ノズルチップ11を、8個の円孔状のガス燃料噴出孔11gがガス燃料路14に連通し、液体燃料噴出孔11oが液体燃料路13に連通する状態で、ノズルチップ取り付け用の円孔12wに対して、溶接、あるいは、ネジ式等により付設してある。
【0017】
ガス燃料路14には、都市ガスの供給管等のガス燃料供給用のガス燃料供給路16を接続すると共に、そのガス燃料供給路16には、ガス燃料の供給を断続するガス燃料用開閉弁17、及び、供給量を調整するガス燃料用調整弁18を設けてある。
液体燃料路13には、ポンプ19により液体燃料が加圧状態で供給される液体燃料供給路20を接続すると共に、その液体燃料供給路20には、液体燃料の供給を断続する液体燃料用開閉弁21、及び、供給量を調整する液体燃料用調整弁22を設けてある。
【0018】
つまり、液体燃料噴出孔11oに対して、液体燃料路13を通じて液体燃料を加圧状態で供給して、液体燃料噴出孔11oから液体燃料を霧化状態で噴出し、液体燃料噴出孔11oの周囲に位置する8個のガス燃料噴出孔11gから、液体燃料噴出孔11oからの液体燃料噴出方向(軸芯Poの方向)と平行な方向(軸芯Pgの方向)に向けてガス燃料を噴出し、並びに、それら噴出燃料の燃焼域に対して、炉体等に別途に設けられる燃焼用空気供給部から燃焼用空気を供給して、液体燃料噴出孔11oから噴出される液体燃料を主炎として燃焼させ、8個のガス燃料噴出孔11gから噴出されるガス燃料を、液体燃料燃焼炎を補炎するように、燃焼させるよう構成してある。
【0019】
上述のようにバーナを構成することにより、ガス燃料による燃焼量を、液体燃料による燃焼量とガス燃料による燃焼量とを合わせた総燃焼量の30%にし、総燃焼量を3000〜9000kWの範囲とし、液体燃料としてA重油を用い、ガス燃料として13Aの都市ガスを用いる場合を対象とすると、バーナ本体12の外径Dを65〜100mmの範囲、バーナ本体の長さLを1000〜2000mmの範囲、ノズルチップの外径Wを25〜40mmの範囲に収めることができる。
又、ガス燃料の供給圧は、約0.098MPa以下、液体燃料の供給圧を1.96MPa程度にすることができる。
例えば、総燃焼量が9000kWのときは、ガス燃料を0.098MPa程度の供給圧で、総燃焼量が5000kWのときは、ガス燃料を0.05MPa程度の供給圧で、総燃焼量が3000kWのときは、ガス燃料を0.029MPa程度の供給圧で夫々供給することができる。
ちなみに、液体燃料としてC重油を用いる場合は、液体燃料の供給圧は2.94MPa程度にすることができる。
【0020】
次に、図5及び図6に基づいて、上述のように構成したバーナBを採用した加熱炉の一例であるガラス溶解炉について説明する。
ガラス溶解炉は、溶解槽2を下部に備えると共にアーチ型の天井を備えた炉本体1を中央に設け、溶解槽2の一端からガラス原料を投入し、他端から溶融ガラスを取り出すように構成し、ガラス原料の移送方向Tに対して、炉本体1の左右夫々に、蓄熱室3を原料移送方向Tに沿って延設し、炉本体1の左右の炉壁4の上部に、複数の空気口(所謂ポート)5を原料移送方向Tに沿って並設し、蓄熱室3と各空気口5とを空気供給路6にて連通させて、所謂サイドポート式に構成してある。
各空気口5に対してバーナBを2個ずつ、夫々のノズルチップ11が位置する部分を空気口5内に位置させた状態で設けて、所謂スルーポート式に構成してある。
【0021】
左右のバーナBは、一定時間(約15〜30分)毎に交互に、燃料F(液体燃料及びガス燃料)の噴出と噴出停止を繰り返し、燃料Fを噴出しているバーナBの側の空気口5からは、蓄熱室3を通って高温(900〜1000°C程度)に予熱された燃焼用空気Aが炉内8に供給され、燃料Fの噴出を停止しているバーナBの側の空気口5からは炉内8の燃焼ガスEを排出させるようにして、左右のバーナBを交互に燃焼させる、所謂交番燃焼を行わせるようにしてある。尚、図5及び図6は、左側のバーナBが燃焼し、右側のバーナBが消火している状態を示している。
【0022】
バーナBから噴出された燃料Fの周囲にその噴出方向に沿って、その燃料Fを噴出しているバーナBが設けられている空気口5から燃焼用空気Aが供給されて、燃料と燃焼用空気とが接触して拡散燃焼して、所謂、緩慢燃焼し、長さが長くて高輝度の燃焼炎(輝炎)が形成され、その燃焼炎の輻射熱により、溶解槽2内のガラス原料を溶解する。炉本体1のアーチ状の天井は、燃焼炎の輻射熱を反射させる。
炉内8の燃焼ガスEは、燃料Fの噴出を停止しているバーナBの側の空気口5から、蓄熱室3に流入し、蓄熱材を通過して、蓄熱材に排熱が回収された後、排気される。
蓄熱室3においては、燃焼ガスEを排出させる状態のときに、燃焼ガスEから排熱を蓄熱材に回収して蓄熱し、燃焼用空気Aを供給する状態のときには、蓄熱材の蓄熱により燃焼用空気Aを予熱する。そして、そのように予熱された燃焼用空気Aが、空気供給路6を通流して空気口5から炉内8に供給されるのである。
【0023】
炉本体1の炉壁4に投入口4iを形成し、投入口4iを形成した炉壁4と対面する炉壁4の外部に作業槽9を設けると共に、その作業槽9を溶解槽2に連通させる取り出し孔4eを炉壁4に形成して、投入口4iから投入したガラス原料を、溶解槽2にて溶融させて作業槽9に向かって流下させ、取り出し孔4eを通じて、清浄な溶融ガラスを作業槽9に導くように構成してある。
【0024】
上述のように構成したガラス溶解炉を用いて、本発明によるバーナと、従来の液体燃料専焼型のバーナの性能を比較した結果を説明する。尚、両方のバーナの総燃焼量は3000kWである。
図7は、燃焼炎の長手方向に沿った輻射率の分布を示し、図8は、燃焼炎の長手方向に沿った温度の分布を示し、各図中において、実線にて本発明によるバーナの結果、破線にて従来の液体燃料専焼型のバーナの結果を夫々示す。
図7及び図8から、本発明によるバーナは、従来の液体燃料専焼型のバーナに比べて、燃焼炎の輻射率が高くて、温度が低いことが分かる。その結果、本発明によるバーナでは、従来の液体燃料専焼型のバーナに比べて、NOxの排出量を20%程度低減できることが分かった。
又、本発明によるバーナでは、従来の液体燃料専焼型のバーナに比べて、SOxの排出量を25%程度、CO2 の排出量を20%程度夫々低減することができることが分かった。
又、ターンダウン比は、従来の液体燃料専焼型のバーナでは1対2程度であるのに対して、本発明によるバーナでは1対5程度であり、本発明によるバーナでは、ターンダウン比を大きくすることができることが分かった。
【0025】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記の実施形態においては、バーナ本体12に対する燃料噴出方向をバーナ本体12の長手方向に直交する方向に設定すべく、ノズルチップ11をバーナ本体12の筒周壁に付設する場合について例示したが、バーナ本体12に対する燃料噴出方向は、例えば、バーナを炉体に設置する形態等に応じて、適宜変更可能である。例えば、バーナ本体12に対する燃料噴出方向をバーナ本体12の長手方向に沿う方向に設定しても良い。この場合は、ノズルチップ11をバーナ本体12の筒端壁に付設する。
バーナ本体12に対する燃料噴出方向をバーナ本体12の長手方向に沿う方向に設定したバーナは、例えば、上記のガラス溶解炉において、バーナを、空気口5の下方の筒壁に対して挿入する状態で設置する、所謂アンダーポート式にて設置する形態に適している。
【0026】
(ロ) 上記の実施形態においては、1個の円板に、液体燃料噴出孔11o用の円孔と、ガス燃料噴出孔11g用の複数の円孔とを形成して、1個のノズルチップ11に、液体燃料噴出孔11oと複数のガス燃料噴出孔11gを備える場合について例示した。これに代えて、例えば、液体燃料噴出孔11oを備えた液体燃料噴射用ノズル、及び、ガス燃料噴出孔11gを備えた複数のガス燃料噴出用ノズルを、液体燃料噴出孔11oの周囲に複数のガス燃料噴出孔11gが位置する所定の配置形態にて、設置しても良い。
【0027】
(ハ) 上記の実施形態においては、液体燃料噴出孔11oを1個設ける場合について例示したが、液体燃料噴出孔11oは複数個設けても良い。
又、液体燃料噴出孔11oの周囲に並べて設けるガス燃料噴出孔11gの個数は、上記の実施形態において例示した8個に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0028】
(ニ) ガス燃料の供給圧及び液体燃料の供給圧は、上記の実施形態において例示した値に限定されるものではなく、総燃焼量、総燃焼量に対するガス燃料による燃焼量の割合等に応じて適宜設定可能であるが、いずれにしても、総燃焼量が3000〜9000kWの範囲、その総燃焼量に対するガス燃料による燃焼量の割合が1〜30%の範囲のバーナを、バーナ本体12の外径Dが65〜100mmの範囲、バーナ本体の長さLが1000〜2000mmの範囲、ガス燃料(13A)の供給圧が0.098MPa以下、及び、液体燃料(A重油)の供給圧が1.96MPa程度の条件で製作することができる。
【0029】
(ホ) ガス燃料としては、上記の実施形態において例示した13Aの都市ガスに限定されるものではなく、13A以外の都市ガス、プロパンガス等、種々のガス燃料を用いることができる。
又、液体燃料としても、上記の実施形態において例示したA重油やC重油以外に、灯油等、種々の液体燃料を用いることができる。
【0030】
(ヘ) 本発明によるバーナは、上記の実施形態において例示したガラス溶解炉以外の種々の加熱炉にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかるバーナの縦断面図
【図2】実施形態にかかるバーナの横断面図
【図3】実施形態にかかるバーナのノズルチップの正面図
【図4】実施形態にかかるバーナのノズルチップの液体燃料噴出孔の軸芯に沿った断面図
【図5】実施形態にかかるバーナを用いたガラス溶解炉の縦断面図
【図6】図5におけるI−I矢視図
【図7】燃焼炎の長手方向における輻射率分布を示す図
【図8】燃焼炎の長手方向における温度分布を示す図
【符号の説明】
11g ガス燃料噴出孔
11o 液体燃料噴出孔
12 バーナ本体
13 液体燃料路
14 ガス燃料路
Claims (4)
- 加圧状態で供給される液体燃料を噴出に伴って霧化状態にする液体燃料噴出孔と、その液体燃料噴出孔の周囲に位置されて、前記液体燃料噴出孔からの液体燃料噴出方向と平行又は略平行な方向に向けてガス燃料を噴出する複数のガス燃料噴出孔とをノズルチップに備えさせ、前記液体燃料噴出孔と前記複数のガス燃料噴出孔とから噴出された燃料の周囲にその噴出方向に沿って、空気口から燃焼用空気を供給するように構成して、前記液体燃料噴出孔から噴出されて、主炎として燃焼する液体燃料燃焼炎を、前記複数のガス燃料噴出孔から噴出されて、補炎として燃焼するガス燃料燃焼炎にて補炎するように構成され、
前記ノズルチップが、円板に、前記液体燃料噴出孔と前記複数のガス燃料噴出孔とを形成して構成されている加熱炉用のバーナ。 - 液体燃料による燃焼量とガス燃料による燃焼量とを合わせた総燃焼量が、3000kW以上である請求項1記載の加熱炉用のバーナ。
- ガス燃料による燃焼量が、液体燃料による燃焼量とガス燃料による燃焼量とを合わせた総燃焼量の1〜30%である請求項1又は2記載の加熱炉用のバーナ。
- 外形形状が円柱状に形成されて、内部に、液体燃料を前記液体燃料噴出孔に導く液体燃料路及びガス燃料を前記複数のガス燃料噴出孔に導くガス燃料路を夫々の流路長手方向を円柱長手方向に沿わせて備えるバーナ本体が、外径が65〜100mmの範囲になるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱炉用のバーナ。
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