JP3888899B2 - ニットウエア編成方法 - Google Patents
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Description
この発明は、横編機を用いて袖と身頃が接合されたニットウエアを編成する方法に関する。
背景技術
横編機上の異なる領域で編成した編地同士を編成工程の間に接合することで後の縫製工程を省略ないし簡略化できる。この方法をセーター等の編成に応用することで無縫製編地と呼ばれるニットウエアを編成できる。
セーターを無縫製編地として編成するには、前身頃と後身頃を両端で連続する筒状の編地として編成するとともに、身頃の両側で左右の袖をそれぞれ筒状に編成し、脇下部から肩部に至る接合領域で袖を身頃側に移動させ、袖と身頃を重ねて接合する。
袖と身頃の接合編成開始後の袖と身頃のコース数の比率を変えることで袖と身頃の接合角度θ(以下、袖付け角度と呼ぶ)を調整する編成方法を第12A図と第12B図を使用して説明する。第12A図は袖と身頃を接合する過程における編成シーケンスを示し、第12B図は第12A図の編成シーケンスに従って袖と身頃が接合されたセーター101を示す。線W−Wは右前袖105a、前身頃103a、左前袖107aからなる前編地と、右後袖105b、後身頃103b、左後袖107bからなる後編地の境界を示す。
第12図の編成方法では、単一の給糸口を前編地と後編地の両方の編成に使用し、コース111で右前袖105a、前身頃103aに連続して給糸した後、右前袖105aと左前袖107aをそれぞれ身頃側に移動させて袖と前身頃を接合する。続いて、コース113〜117で前編地103aを1コース編成する毎に右前袖105aおよび左前袖107aを前身頃103a側に移動させて袖と前身頃を接合する編成を5回繰り返し、コース119では前身頃103aと左前袖107aを連続して編成した後、右前袖105aおよび左袖107aを前身頃103a側に移動させて袖と前身頃を接合する。続いて後編地の編成へと移り、コース121で左後袖107b、後身頃103bを連続して編成した後、右後袖105b、左後袖107bをそれぞれ身頃側に移動させて袖と身頃を接合する。続いて、コース123〜127で後身頃を1コース編成する毎に右後袖105bおよび左後袖107bを後身頃103b側に移動させて袖と後身頃を接合する編成を5回繰り返し、コース129では後身頃103bと右後袖105bを連続して編成した後、右後袖105bおよび左後袖107bを身頃側に移動させて袖と身頃を接合する。袖付け角度θは、袖と身頃の接合開始後の袖:身頃のコース数の比率により変化し、身頃のコース数の比率を高くする程、袖付け角度θは大きくなり身頃と直角に近づき、逆に身頃のコース数の比率を低くする程、袖付け角度θは小さくなり身頃と平行に近づく。
上記した編成方法では、コース113〜117およびコース123〜127で袖105、107を編まずに前後何れかの身頃と袖の接合を連続して行い、その間は前編地又は後編地の何れか一方の編地のみで編幅が減らされる。第12図のように5回連続で袖を編まずに前編地または後編地の何れか一方の編地のみで袖と身頃を接合すると、前編地の端目と後編地の端目が5目ずれた状態となり、前編地の端目と後編地の端目間に渡っている編糸に糸切れが発生し編成不能となったり、編筋が発生し、著しく商品価値を損ねてしまうという問題があった。また、袖付け角度θを直角に近づけるため、袖を編まずに身頃側に移動させて袖と身頃の接合を繰り返すと、一度袖を編んでから次に袖を編むまでの間に、同じ編目を何度も目移しするため、身頃の編目と重ねる編目が伸ばされ、袖と身頃の接合ライン109a、109bに孔が発生し接合ラインが汚くなったり、糸切れが発生する。
袖と身頃を接合する編成方法としてゴム糸を利用した編成方法が本願出願人の日本特許公開A2000−256947号公報に開示されている。該編成方法では、袖と身頃の両方を編成しながら袖を身頃側に移動させ袖と身頃と接合するステップと、身頃の編成を中断し引き返し編により袖山を編成し、袖の最終コースをゴム糸により編成するステップと、身頃の編成を再開し所定コース毎の目移しにより袖山と身頃を接合するステップにより袖と身頃を接合する。該編成方法では、袖山を引き返し編により所望の形状とし、引き返し編完了後、袖山を編まずに身頃と接合するので、袖の形状および袖付け角度を自由に設定できる。また、袖の最終コースをゴム糸により形成するので、同じ編目を連続して目移ししても糸切れが発生したり、編目が伸ばされる虞がない。
本発明は、筒状の身頃の両側で筒状の袖を編成し、袖と身頃の接合領域で、袖を身頃側に移動させ、袖と身頃を接合してニットウエアを編成する方法であって、袖と身頃の接合ラインが綺麗なニットウエアを自由な袖付け角度で編成可能なニットウエア編成方法を開示することを目的とする。また、ゴム糸等の特殊糸を使用することなく、直角に近い大きな袖付け角度で袖と身頃が接合されたニットウエアを編成可能とするニットウエア編成方法を開示することも目的の一つである。
発明の開示
上記した問題を解決するため、本発明のニットウエア編成方法は、少なくとも前後一対の針ベッドを備え、各針ベッドは多数の針を備え、前後に対向配置される第1の針ベッドと第2の針ベッドの少なくとも一方が左右に摺動可能で、第1の針ベッドと第2の針ベッドの針に給糸するための給糸口とカムユニットを備えた横編機を使用し、前身頃と後身頃が前後に重ねられた筒状編地として編成される身頃と、身頃の両側で前袖と後袖が前後に重ねられた筒状編地として形成される左右の袖を有し、脇下部から肩部に至る接合領域で、身頃を所定コース編成する毎に袖を身頃側に移動させ、袖の最終コースの編目を身頃の編目と重ねる接合編成により袖と身頃を接合するニットウエア編成方法であって、
前記接合編成が
a) 前身頃および後身頃を異なる給糸口を使用し適宜コース編成する毎に左右双方の袖をそれぞれ身頃側に移動させて接合する工程と、
b) 前身頃および後身頃を異なる給糸口を使用して編成するとともに、左右の何れか一方の袖に給糸して次コースの編目を形成する際に、前袖および後袖の身頃側側端の編目を割り増やしし、割り増やしされた編目のそれぞれを身頃の異なるコースの編目と重ねて袖と身頃を接合する工程、
を含むことを特徴とする。上記の発明の構成によれば、身頃および左右の袖をそれぞれ筒状に脇下部まで編成し、脇下部から肩部に至る接合領域において、前身頃と後身頃の編成にそれぞれ異なる給糸口を使用し、身頃の両端で給糸口を反転させて折り返し編成するとともに、身頃を適宜コース編成する毎に左右の袖を身頃側に移動させ、前袖と前身頃を、後袖と後身頃を重ねて接合する編成を繰り返し単位として繰り返すステップ1により袖と身頃を接合する。続いて、前身頃と後身頃の編成にそれぞれ異なる給糸口を使用して編成するとともに、左右何れかの袖部に給糸して袖部に次コースの編目を形成する際に前袖および後袖の身頃側側端の編目を割り増やしし、割り増やしにより割られた編目および増やされた編目の何れか一方の編目を身頃の編目と重ねて身頃に次コースの編目を形成し、続いてもう一方の編目も身頃の編目と重ねて身頃に次コースの編目を形成する編成を左右の袖に対し順番に行う編成を繰り返し単位として繰り返すステップ2により袖と身頃を接合する。以降ステップ1とステップ2を交互に繰り返して袖と身頃を接合する。
また、袖と身頃の接合編成開始後の袖:身頃のコース数の比率を1:4より身頃のコース数の比率を高くすることも特徴の一つである。上記の発明の構成によれば、袖が身頃に対し大きな袖付け角度で接合されたニットウエアを編成できる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の一例を図面とともに説明する。なお、以下の説明においてセーター1の右側または左側という時は、セーター着用時を基準として表現する。第4図〜第9図の編成コース図中左側の数字はコース番号を、その右側に付した上下方向の矢印は目移しの方向を、左右方向の矢印は編成方向を示す。
以下の説明ではニットウエアとして平編組織からなるセットインスリーブのセーターを二枚ベッド横編機を使用して編成する場合を説明するが、ジャカードやリブ等の編組織で編成したり、四枚ベッド横編機で編成することも可能である。横編機は左右方向に延び、かつ前後方向に対向する前後一対の針ベッドを有し、各針ベッドは多数の針を備え、前後の針ベッドの少なくとも一方が左右方向にラッキング可能で、前後針ベッド間での目移しが可能な汎用タイプの横編機で実施できる。本実施例では後ベッドがラッキング可能な横編機を使用し、前編地編成用の針と、後編地編成用の針を針ベッド上に交互に配置し、前編地および後編地の編成にそれぞれ1本置きの針を使用し、対向する針ベッド上に目移し用の空針を確保して編成を行う。このようにすることで筒状の編地を編成する過程で編目の側方移しが可能となる。四枚ベッド横編機を使用する場合には、上ベッドの針を利用することで、編目の形成に使用する針間に目移し用の空針を配置しない全針での編成が可能である。以下の説明では説明を容易にするため、編成に使用する針本数を実際よりも少なくして説明する。
セーター1は身頃3と右袖5、左袖7からなる。身頃3および左右の袖5,7はそれぞれ筒状に編成され、身頃3は前身頃3aと後身頃3bから、右袖5は右前袖5a、右後袖5b、左袖7は左前袖7a、左後袖7bからなる。左右の袖5、7は身頃3の脇から肩に至る接合領域で身頃3と連結される。前身頃3aと後身頃3bは左右の肩部9a、9bで接合され、公知の伏目方法により解れ止め処理される。前身頃3aには衿首用開口部11が形成される。衿首用開口部11の形成開始後、前身頃部3aは衿首用開口部11を挟んで左右に分岐して形成される。
本実施例では、前身頃3aおよび後身頃3bを1コース編成する毎に袖5、7を身頃3a,3b側に移動させ、袖5、7と身頃3a,3bを接合するステップ1と、袖5、7と身頃3a,3bの両方を編成して袖5、7と身頃3a,3bを接合するステップ2の繰り返しにより袖5、7と身頃3を接合する。第1A図の右袖5および左袖7にはステップ2により形成された部分12a,12bが含まれる。本実施例ではステップ1で、袖5、7と身頃3a,3bを接合する編成を10回連続で行い、続いて、ステップ2で袖5、7と身頃3a,3bを接合する編成を2回行い、これにより袖:身頃のコース数の比率が1:6のセーターを編成する。本実施例では袖:身頃のコース数の比率を1:6とするため、編成されるセーター1は図1Aに示す袖付け角度θの大きなセーター1となるが、袖:身頃の編成コース数の比率を変えることで袖付け角度θの小さなニットウエアも編成可能である。身頃の比率を高くする程、袖付け角度θが大きくなり、逆に身頃の比率を低くする程、袖付け角度θが小さくなる。
第2図および第3図を使用し、本実施例の編成方法の給糸口の軌跡と編成シーケンスを説明する。なお、本実施例では2個の給糸口を使用する場合を説明するが、それ以上の給糸口を使用して編成することもできる。第2図および第3図の線W−Wは前身頃3a、右前袖5a、左前袖7aからなる前編地と、後身頃3b、右後袖5b、左後袖7bからなる後編地の境界を示す。身頃3はステップ1およびステップ2のそれぞれのステップで編成し、袖5,7はステップ2のみで編成する。ステップ1では第2A図のように給糸口13を前身頃3aの編成に、給糸口15を後身頃3bの編成に使用し、給糸口13は前身頃3aの両端で折り返し編成して前身頃3aを編成し、給糸口15は後身頃3bの両端で折り返し編成して後身頃3bを編成する。ステップ2では第2B図のように給糸口13を前身頃3aおよび左袖7の編成に使用し、前身頃3a→左前袖7a→左後袖7b→左後袖7b→左前袖7a→前身頃3aと折り返し編成し、給糸口15を後身頃3bと右袖5の編成に使用し、後身頃3b→右後袖5b→右前袖5a→右前袖5a→右後袖5b→後身頃3bと折り返し編成する。
ステップ1を第4図のコース0から説明する。コース0は袖5、7と身頃3の接合開始前を示す。コース0では前身頃3aと後身頃3bの両外側に右前袖5a、右後袖5b、左前袖7a、左後袖7bが係止されている。コース0以前の編成では、前身頃3aと後身頃3b、右前袖5aと右後袖5b、左前袖7aと左後袖7bがそれぞれ筒状に編成され、袖5、7と身頃3a,3bの接合開始後、前身頃3a、右前袖5a、左前袖7aからなる前編地と、後身頃3b、右後袖5b、左後袖7bからなる後編地が両端で連続する大きな一つの筒状の編地として編成する。
コース1では給糸口13を前身頃3aに、給糸口15を後身頃3bに使用し、先行のカムシステムで前身頃3aを、後行のカムシステムで後身頃3bを編成する。コース2では、給糸口13,15を左側に蹴り返し、右後袖5bを前ベッドに目移しし、前袖7aを後ベッドに目移しする。コース3では後ベッドを左に2ピッチラッキングし、右前袖5a、右後袖5bを後ベッドへ、左前袖7a、左後袖7bを前ベッドに目移しし、右後袖5bの側端の編目21を後身頃3bの編目23に重ね、左前袖7aの側端の編目25を前身頃3aの編目27に重ねる。コース4では、後ベッドを右に2ピッチラッキングし、右前袖5aの側端の編目29を前身頃3aの編目31と重ね、左前袖7aの側端の編目33を後身頃3bの編目35と重ねる。
次に第5図のコース5では給糸口13、15を右に蹴り返しした後、左に移動させ給糸口13で前身頃3aを給糸口15で後身頃3bを編成する。上記第4図のコース2〜第5図のコース5の編成により、右袖5および左袖7の前袖の編目が前身頃3aの編目と、後袖の編目が後身頃3bの編目と重ねられて袖と身頃が接合される。コース6では給糸口13、15を右に蹴り返し、後ベッドを右に2ピッチラッキングし、右前袖5a、右後袖5bを前ベッドへ、左前袖7a、左後袖7bを後ベッドへ目移し、右前袖5aの側端の編目37を前身頃3aの編目39と重ね、左後袖7bの側端の編目41を後身頃3bの編目43と重ねる。コース7では後ベッドを左に2ピッチラッキングし、右後袖5bの側端の編目45を後身頃3bの編目47と、左前袖7aの側端の編目49を前身頃3aの編目51と重ねる。そして、コース8では給糸口13、15を左に蹴り返した後、右に移動させて前身頃3aおよび後身頃3bを編成する。以上の編成により第4図のコース0の状態から右前袖5a、右後袖5b、左前袖7a、左後袖7bのそれぞれ2目づつの編目と身頃の接合が完了する。上記前身頃3aおよび後身頃3bを右方向に編成して接合する第4図のコース2〜第5図のコース5の編成と、左方向に編成して接合する第5図のコース6〜コース8の編成を繰り返し単位として5回繰り返してステップ1の編成が完了する。
次に、ステップ2を第5図のコース5までステップ1の編成が完了した時点から説明する。ステップ2では、一方の袖、例えば右袖5側で先に袖と身頃の両方を編成して接合し、左袖7側では袖を編成せずに接合し、続いて、前身頃3aおよび後身頃3bを編成した後、左袖7側で袖と身頃の両方を編成して袖と身頃を接合し、右袖5側では袖を編成せずに袖と身頃を接合する。第6図のコース1では給糸口13、15を右に蹴り返して、右前袖5aを前ベッドに目移しする。コース2では、ステップ1で後身頃3bの編成に使用した給糸口15で右後袖5bに給糸する際に、次に身頃の編目と重ねる右後袖5bの側端の編目53を係止している針で割り増やしを行い、編目53を対向する針ベッド上に目移しするとともに、新たに編目55を形成し、それ以外の針でニットし右後袖5bに次コースの編目を形成する。コース3では、後ベッドを左に2ピッチラッキングし、編目53を後身頃3bの編目57と重ねる。コース4では、給糸口15を右袖5の左端で反転させ、右前袖5aに給糸して次コースの編目を形成するとともに、次に前身頃3aの編目と重ねる右前袖5aの側端の編目59を割り増やしし、編目59を後ベッドに目移しするとともに、新たに編目61を形成する。コース5では後ベッドを右に2ピッチラッキングし、編目59を前身頃3aの側端の編目63と重ねる。
第7図のコース6で給糸口15を右前袖3aの右端で反転させ、再度右前袖5aに給糸するが、この時、コース4で割り増やしした編目61を係止している針をミスし、それ以外の針に給糸して右前袖5aに次コースの編目を形成する。コース7ではコース6と同様に、コース2で割り増やした編目55を係止している針をミスし、それ以外の右後袖5bの編目に次コースの編目を形成する。コース8では後ベッドを右に2ピッチラッキングし、左前袖7aおよび左後袖7bを後ベッドに目移しし、左後袖7bの側端の編目65を後身頃3bの編目67と重ねる。次にコース9では後ベッドを左に2ピッチラッキングし、左前袖7aを前ベッドに目移しし、左前袖7aの側端の編目69を前身頃3aの編目71と重ねる。コース10では給糸口13、15を左に蹴り返した後、右に移動させ給糸口13で前身頃3a、給糸口15で後身頃3bを編成するとともに、右後袖5bの編目を前ベッドに目移しする。
第8図のコース11では給糸口13、15を左に蹴り返した後、給糸口13で左前袖7aに給糸する際に、次に身頃の編目と重ねる左前袖7aの編目71を係止している針で割り増やしを行い新たに編目73を形成し、それ以外の針でニットし、左前袖7aに次コースの編目を形成する。コース12では後ベッドを左に2ピッチラッキングし、編目71を前身頃の編目75と重ねる。コース13では後ベッドを右に2ピッチラッキングし、給糸口13を反転させ、左後袖7bに次コースの編目を形成するとともに、側端の編目77を割り増やしし、新たに編目79を形成する。コース14では後ベッドを右に2ピッチラッキングし、編目77を前身頃3aの編目81と重ねる。続いてコース15で後ベッドを左に2ピッチラッキングし、左袖7の左端で給糸口13を反転させ、コース13で割り増やした編目79を除く左後袖7bに次コースの編目を形成する。
第9図のコース16ではコース11で新たに形成した編目73を係止している針をミスし、それ以外の左前袖7aの編目に次コースの編目を形成する。コース17では左後袖7bを前ベッドに目移しし、コース18では後ベッドを左に2ピッチラッキングし、右前袖5aおよび右後袖5bを後ベッドに目移し、左後袖7bの側端の編目81を後身頃3bの編目83と重ねる。コース19では後ベッドを右に4ピッチラッキングし、右前袖5aの側端の編目85を前身頃3aの編目87と重ねる。そしてコース20で給糸口13、15を右に蹴り返し、左に移動させて前身頃3a、後身頃3bに次コースの編目を形成する。ステップ2では第6図のコース2〜第9図のコース20の編成を繰り返し単位として編成されるが、本実施例では袖のコース数の比率を低くするため、繰り返すことなく第5図のコース6からステップ1の編成へと戻る。そして、続く編成において割り増やしにより形成された編目55,61,73,79が前後身頃3a、3bの編目と重ねられる。以降ステップ1とステップ2の編成を交互に行い袖と身頃を接合する。前身頃3aに衿首用開口11を形成する箇所では、衿首用開口11の左側に使用する給糸口を追加し、衿首用開口11の右側と左側を異なる給糸口で編成する。上記編成により袖5、7と身頃3の接合を完了した後、肩部9a,9bで前身頃3aと後身頃3bを接合しセーター1が完成する。
上記編成により編成されたセーター1の左前袖7aと前身頃3aの接合箇所のループ図を第10図に示す。第10図ではステップ2の編成により形成された編目を太線で示す。セーター1は左前袖7aの最終コースの編目が前身頃3aの端の編目と重ねられて袖と身頃が接合される。本実施例では、複数の給糸口を使用して前身頃3aと後身頃3bを並行して編成し、前袖5a、7aと前身頃3aの接合と、後袖5b、7bと後身頃3bの接合を並行して行うので、前編地と後編地の編幅に糸切れが発生したり、編目が伸ばされるような差が発生することなく袖と身頃を接合できる。また、本実施例では袖を編成するコースで側端の編目71を割り増やしして新たに編目73を形成し、編目71および編目73を前身頃3aの異なるコースの編目75、89と接合する。割り増やしにより形成された編目73は通常よりも細かな編目として形成され、周りの編目91,93を引き寄せるので袖と身頃が隙間なく接合された綺麗な接合ラインとなる。
上記実施例では、身頃を1コース編成する毎に袖と重ねたが、身頃を2コース以上編成する毎に袖と重ねてもよい。また、第11A図のように前身頃3aと右袖5および左袖7を同じ給糸口で編成し、後身頃3bだけを別の給糸口で編成したり、第11B図のように前身頃3a、後身頃3b、右袖5、左袖7をそれぞれ別の給糸口で編成することも可能である。また、ニットウエアとしてセーターを編成する場合を説明したが、カーディガンや他のニットウエアの編成にも適用できる。また、袖:身頃のコース数の比率を袖と身頃の接合領域内で変化させることも可能である。
産業上の利用可能性
上記したように本発明によれば、袖と身頃の接合ラインが綺麗なニットウエアを自由な袖付け角度で編成できる。また、袖と身頃の両方を編成して袖と身頃を接合するコースに対して身頃のみを編成して袖と身頃を接合するコースを多くすることで、ゴム糸等の特殊糸を使用することなく袖が身頃に直角に近い角度で接合されたニットウエアを編成できる。
【図面の簡単な説明】
第1A図は袖と身頃の接合完了後のセーターを示す図であり、第1B図は接合開始前のセーターを示す図である。第2A図はステップ1における給糸口の軌跡を示す図であり、第2B図はステップ2における給糸口の軌跡を示す図である。第3図は編成シーケンスを示す図である。第4図はステップ1の編成コース図である。第5図はステップ1の編成コース図である。第6図はステップ2の編成コース図である。第7図はステップ2の編成コース図である。第8図はステップ2の編成コース図である。第9図はステップ2の編成コース図である。第10図は前身頃と左前袖の接合箇所のループ図である。第11A図および第11B図は他の実施例を示す図である。第12A図は従来の編成方法の編成シーケンスを示し、第12B図は第12A図の編成シーケンスに従って編成された編地を示す。
Claims (2)
- 少なくとも前後一対の針ベッドを備え、各針ベッドは多数の針を備え、前後に対向配置される第1の針ベッドと第2の針ベッドの少なくとも一方が左右に摺動可能で、第1の針ベッドと第2の針ベッドの針に給糸するための給糸口とカムユニットを備えた横編機を使用し、前身頃と後身頃が前後に重ねられた筒状編地として編成される身頃と、身頃の両側で前袖と後袖が前後に重ねられた筒状編地として形成される左右の袖を有し、脇下部から肩部に至る接合領域で、身頃を所定コース編成する毎に袖を身頃側に移動させ、袖の最終コースの編目を身頃の編目と重ねる接合編成により袖と身頃を接合するニットウエア編成方法であって、
前記接合編成が
a) 前身頃および後身頃を異なる給糸口を使用し適宜コース編成する毎に左右双方の袖をそれぞれ身頃側に移動させて接合する工程と、
b) 前身頃および後身頃を異なる給糸口を使用して編成するとともに、左右の何れか一方の袖に給糸して次コースの編目を形成する際に、前袖および後袖の身頃側側端の編目を割り増やしし、割り増やしされた編目のそれぞれを身頃の異なるコースの編目と重ねて袖と身頃を接合する工程、
を含むことを特徴とするニットウェアの編成方法。 - 袖と身頃の接合編成開始後の袖:身頃のコース数の比率を1:4より身頃のコース数の比率を高くすることを特徴とする請求項1に記載のニットウエア編成方法。
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