JP3121278B2 - 編地終端部の編成方法及び該編地終端部の編成方法により編成された編地 - Google Patents

編地終端部の編成方法及び該編地終端部の編成方法により編成された編地

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JP3121278B2 JP09007133A JP713397A JP3121278B2 JP 3121278 B2 JP3121278 B2 JP 3121278B2 JP 09007133 A JP09007133 A JP 09007133A JP 713397 A JP713397 A JP 713397A JP 3121278 B2 JP3121278 B2 JP 3121278B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は横編機を使用して編
成される編地の終端部を編成により解れ止め処理するた
めの編成方法であって、ウエール方向の伸縮性に優れた
編地終端部を形成することのできる編地終端部の編成方
法および該編地終端部の編成方法により編成された編地
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばベストの後身頃部分を横編機で編
成する場合、裾ゴム部分から衿首方向へと編成し、編成
完了後に衿首部分の編地終端部にリンキングを施す等し
て解れ止めが行われる。このように編成と別工程で行わ
れるリンキング作業により解れ止め処理する方法では、
工程が複雑化することから製品の生産コストの上昇が避
けられない。そこで、横編機上で編成により編地の終端
部に解れ止めを施し、編成完了後の後処理を軽減するた
めの編成方法が種々研究されている。このような伏せ目
処理方法を開示したものとして特開昭59−21758
号公報が存在する。特開昭59−21758号公報では
編地の終端部を編成する際に、編地終端部の編目の内、
一端の編目を隣接する編目と目移しにより重ね合わせ、
該重ね合わせた編目に次コースの編目を形成して縁編目
部を形成し、該新たに形成した縁編目部の編目をさらに
隣接する編地終端部の編目と重ね合わせ、重ね合わせた
編み目に給糸して縁編目部に次コースの編目を形成する
という編成を繰り返し行うことで、編地終端部の編目を
連結する縁編目部を形成して解れ止めを行う。
【0003】また、上記した特開昭59−21758号
公報では、例えば編地の終端部を補強のために袋編組織
またはリブ編組織等の前後両針床の針を使用して編成さ
れる編組織により編成する場合のように、前後両針床の
針が編目を係止した状態で編成される編地を伏せ目処理
する場合、前後何れか一方の編地の編目を他方の針床に
目移しして編目を重ね合わせ、該重ね合わせた編地終端
部の編目を上記した編成方法により解れ止め処理する方
法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法により伏せ目処理された編地は、編地終端部の編目
を連結する縁編目部の伸縮性が乏しく、伏せ目処理され
た部分に力が掛かると縁編目部の編目が切断され目落ち
が発生する可能性があった。したがって衿首部のように
着用時に引き伸ばされ易く引っ張り強度が必要とされる
部分を伏せ目処理するには不適であった。本発明は上記
した従来の伏せ目処理方法が抱えていた伏せ目箇所の伸
縮性および引っ張り強度を向上することのできるととも
に綺麗な編地終端部を形成することのできる編地終端部
の編成方法および、伸縮性と引っ張り強度に優れるとと
もに綺麗な編地終端部が形成された編地を開示すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した問題を解決する
ため本発明の編地終端部の編成方法は、少なくとも前後
一対の針床を有し、その何れか一方または双方の針床が
左右摺動可能に構成される横編機を使用して編成された
編地の終端部の編目に縁編目部の編目を重ね合わせ、該
重ね合わせた編目に給糸して縁編目部に次コースの編目
を形成し、該新たに形成した縁編目部の編目を続く編地
終端部の編目に重ね、重ね合わせた編目に給糸して縁編
目部の次コースの編目を形成する編成を編地の一端側か
ら他端側に向かい繰り返し行うことで編地終端部の編目
を解れ止め処理する編地終端部の編成方法において、縁
編目部は3以上のウエール数の編目で形成されるととも
に、縁編目部を形成する編目の内、両側に編目が存在す
るウエールの編目と編地終端部の編目を重ねて伏せ目処
理する。したがって、編地終端部が引き伸ばされた際に
は、編地終端部のループと連結されていない縁編目部の
編目から編地終端部の編目と連結されている縁編目部の
編目に編糸が補充され編目が拡大されるため編地終端部
の伸縮性および引っ張り強度が向上された綺麗な編地終
端部を形成できる。
【0006】また、縁編目部が3ウエールの編目数で形
成され、その中央に位置するウエールの編目を編地終端
部の編目と重ねて伏せ目処理することも特徴の一つであ
る。本発明によれば、中央の編目の両側に形成された編
目が編地終端部の側面に向かってカールし、編地終端部
の3方に縁編目部の編目が現れる。
【0007】また、編地終端部の編目と重ねる縁編目部
の編目を裏目として形成することも特徴の一つである。
【0008】また、本発明の編地終端部の編成方法によ
り編成された編地は、編地の一端側から他端側に向かい
編地終端部の編目が縁編目部の編目に重ね合わされ、重
ね合わされた編目に形成された次コースの編目がさらに
続く編地終端部の編目と重ね合わされて編地終端部の編
目が伏せ目処理されてなる編地であって、縁編目部が3
以上のウエール数の編目で形成されるとともに、縁編目
部を形成する編目の内、両側に編目が存在するウエール
の編目と編地終端部の編目が重ねられる。本発明によれ
ば、編地終端部が引き伸ばされた際には、編地終端部の
ループと連結されていない縁編目部の編目から編地終端
部の編目と連結されている縁編目部の編目に編糸が補充
され編目が拡大されるため伸縮性および引っ張り強度が
向上された綺麗な編地終端部が形成された編地となる。
【0009】また、本発明の編地終端部の編成方法は、
少なくとも前後一対の針床を有し、その何れか一方また
は双方の針床が左右摺動可能に構成される横編機を使用
して編成される編地の終端部の編目に縁編目部の編目を
重ね合わせ、該重ね合わせた編目に給糸して縁編目部に
次コースの編目を形成し、該新たに形成した縁編目部の
編目を続く編地終端部の編目に重ね、重ね合わせた編目
に給糸して縁編目部の次コースの編目を形成する編成を
編地の一端側から他端側に向かい繰り返し行うことで編
地終端部の編目を解れ止め処理する編成方法において、
編地終端部は前後の針床の針で係止された状態に編成さ
れ、リブ編組織として形成した前後一対の縁編目部の編
目を、前ベッドの針に係止される縁編目部の編目と後ベ
ッドの針に係止される編地終端部の編目が、後ベッドの
針に係止される縁編目部の編目と前ベッドの針に係止さ
れる編地終端部の編目が重なるように編目を重ねて伏せ
目処理することも特徴の一つである。本発明によれば前
後一対の縁編目部の編目が、給糸口の一方向への移動の
際に形成されるとともに、前後両針床の針に形成した前
後一対の縁編目部の編目が交差するように順次編地終端
部の編目と重ねて伏せ目処理される。したがって、前後
の編地のループを重ねることがなく、また隣接する編地
終端部の編目と重ねられる前後の縁編目部の編目をリブ
編み組織で形成しているため、縁編目部の編目の伸縮性
が増し引っ張り強度が向上する。
【0010】また、本発明の編地終端部の編成方法で
は、少なくとも前後一対の針床を有し、その何れか一方
または双方の針床が左右摺動可能に構成される横編機を
使用して編成された編地の終端部の編目に縁編目部の編
目を重ね合わせ、該重ね合わせた編目に給糸して縁編目
部に次コースの編目を形成し、該新たに形成した縁編目
部の編目を続く編地終端部の編目に重ね、重ね合わせた
編目に給糸して縁編目部の次コースの編目を形成する編
成を編地の一端側から他端側に向かい繰り返し行うこと
で編地終端部の編目を解れ止め処理する編成方法におい
て、編地終端部は前後の針床の針で係止された状態に編
成され、リブ編組織として形成した前後一対の縁編目部
の編目を、前ベッドの針に係止される縁編目部の編目と
前ベッドの針に係止される編地終端部の編目が、後ベッ
ドの針に係止される縁編目部の編目と後ベッドの針に係
止される編地終端部のループが重なるように編目を重ね
て伏せ目処理することも特徴の一つである。本発明によ
れば前後一対の縁編目部の編目が、給糸口の一方向への
移動の際に形成されるとともに、前後両針床の針に形成
した前後一対の縁編目部の編目と編地終端部の編目が、
前ベッドの針に係止されている編目同士および後ベッド
の針に係止されている編目同士を重ねて伏せ目処理され
る。したがって、前後の編地のループを重ねることがな
く、また隣接する編地終端部の編目と重ねられる前後の
縁編目部の編目をリブ編み組織で形成しているため、縁
編目部の編目の伸縮性が増し引っ張り強度が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の編地終端部の編成方
法を図面とともに詳細に説明する。なお、以下に示す実
施の形態においては、説明の便宜上実際の編成で使用さ
れる針数よりも少ない数の針のみを使用して説明を行
う。本発明の編地終端部の編成方法は、少なくとも前後
一対の針床を有し、その前後何れか一方または双方が左
右摺動可能に構成されるとともに目移し機能を有する横
編機で編成される。
【0012】図1は本発明の編地終端部の編成方法によ
り衿首部を解れ止め処理してなるベストの後身頃部1を
示す。このようなベストの後身頃部1は裾ゴム部分2か
ら編成が開始され、衿首部3に向かって編成が行われ、
衿首部3を袋編み組織で編成した後、衿首部3の最終コ
ースの編目に対して伏せ目処理が施される。下記の実施
の形態で示す編成コース図において左側の数字は編成コ
ース番号を示し、編成コース図の右側のFは前ベッド
を、Bは後ベッドを示し、上下に配したアルファベット
の大文字は前ベッドの針を、小文字は後ベッドの針を示
し、右端の左右方向の矢印は給糸口の移動方向を、上下
方向の矢印は目移しの方向を示す。
【0013】図2のコース1は図1に示すベストの後身
頃部1の編成が衿首部3の形成を開始する直前のコース
の編成を示す。前ベッドの針A〜Eに係止されているの
が後身頃部1の編目である。この時、衿首部3の両側の
領域で編成される左右両肩部4、5においては特に伸縮
性を必要としないため、公知の伏せ目処理を施す編成方
法により伏せ目処理されて既に針から外された状態とな
っている。コース1では給糸口9を右方向に移動させ前
ベッドの編針A〜Eに給糸して後身頃部を編成し、次に
コース2では衿首部3を袋編み組織で編成するため、前
後両針床の針を針半ピッチ分左右に位相をずらせた状態
で前ベッドの針E〜Aおよび後ベッドのe〜aに交互に
給糸するリブ編みを行い、後ベッドの編針e〜aに編糸
を係止させる。次にコース3では後ベッドの針a〜e
に、コース4では前ベッドの針E〜Aに対し給糸して環
状に編成を行う。そしてコース3からコース4に示され
る編成を適宜回数繰り返し行うことで衿首部3を袋編み
組織で編成した後、コース5では後ベッドの針a〜eに
係止されている編目を前ベッドの針A〜Eに目移しして
編目を重ねる。この時、前ベッドの針A〜Eに係止され
ている編目が伏せ目処理される衿首部3の最終コースの
編目である。伏せ目処理は編地の左右何れの方向に向か
って行ってもよいが、本実施の形態においては、右端側
から左端側に向かって行う場合を例に説明し、以下の説
明において伏せ目処理の進行方向とは右端から左端に向
かう方向を意味する。まず、伏せ目処理の開始箇所とな
る編地終端部の編目を係止している針Eに隣接する領域
の空針を使用し、伏せ目処理により編地終端部の編目を
伏せ目処理する縁編目部の編始め箇所の形成を行う。ま
ずコース6では給糸口10を左方向に移動させ、前ベッ
ドの編針HおよびFに給糸し、コース7では給糸口10
を反転させた後、前ベッドの編針Gに給糸してインター
ロック編成を行う。この時、針F〜Hに給糸された編糸
は、前コースの編目が存在しないため通常の編目を形成
することなく編針のフックに係止された状態となる。次
にコース8では給糸口を左方向に移動させ再度前ベッド
の編針H・Fに給糸して編目11、12を形成し、コー
ス9ではコース7と同様に前ベッドの編針Gに給糸して
編目13を形成する。これにより前ベッド編針F〜Hに
新たに編目11、12、13が係止された状態となる。
次にコース10では前ベッドの編針F〜Hに給糸して縁
編目部の編目14、15、16を、図3のコース11で
は17、18、19を形成する。コース12では前ベッ
ドの針Eに係止されている編地終端部の側端の編目20
および縁編目部の針F〜Hに係止されている編目17、
18、19を後ベッドの編針e〜hに目移し、コース1
3では縁編目部の編目17、18、19を前ベッドの針
E〜Gに目移しする。次にコース14では後ベッドの針
eに係止されている編地終端部の編目20を前ベッドの
針Fに目移しし縁編目部の編目18と重ねる。コース1
5では縁編目部の編目を保持している前ベッドの針E〜
Gに給糸して編目21、22、23を、コース16では
編目24、25、26を形成する。これによりコース1
で5目係止されていた編地終端部の編目が1目伏せ目処
理されて減少したことになる。次に、コース17では、
前ベッドの針Dに係止されている編地終端部の編目27
及び縁編目部の編目24、25、26を後ベッドの針d
〜gに目移しする。そしてコース18では縁編目部の編
目24、25、26を前ベッドの針D〜Gに目移しし、
コース19では後ベッドの針dに係止されている編地終
端部の編目27を前ベッドの針Eに目移しし縁編目部の
編目25と重ねる。そしてコース20で前ベッドの針D
〜Fに給糸して縁編目部を編成することで、編地終端部
の編目が更に1目伏せ目処理されコース1に示す状態か
ら2目の編目が伏せ目処理され針から外された状態とな
る。
【0014】上記した第1の実施の形態により編成され
た編地を図4に示す。(図4は編地終端部の最終コース
の編目と縁編目部の編目のみを示し、それ以前に編成さ
れた編目は省略している)。図4Aは編地終端部の通常
の状態、図4Bは編地終端部が編地のウエール方向(図
4において上下方向)に伸展された状態を示す。図4に
示すように編地終端部の編目列Zが縁編目部の中央の編
目列Cにより解れ止め処理されるとともに、編地終端部
の編目と連結される縁編目部の中央の編目列Cの両側に
縁編目列LおよびRが存在する。したがって、着用の際
に編地終端部が引き伸ばされ、編地終端部の編目と重な
っている中央の編目列Cが引き伸ばされても、隣接する
縁編目列L、Rから編糸が補充され中央の編目列Cの各
編目が拡大されるため編地終端部の伸縮性が増し引っ張
り強度も向上する。さらに両外側の編目列L、Rは平編
組織で形成されており編地終端部の編目と連結されてい
ないため、編地の編成が完了した状態では、図5に示す
ように両外側の編目列L、Rが内側にカールして編地終
端部を包み込む。したがって伏せ目箇所をどの方向から
見ても編地の終端縁に縁編目部の編目が表れた綺麗な編
地終端部を形成することができる。また、袋編み組織に
続いて3目のウエール数で形成した縁編目部の中央の編
目を編地終端部の編目と重ねて伏せ目処理した場合、袋
編み組織により2重に形成された編地終端部と、伏せ目
処理により形成された縁編目部の厚みがほぼ等しくなる
ため、編地終端部の厚みが一定に揃った綺麗な編地終端
部となる。なお、上記した第1の実施の形態では、伏せ
目処理を行う前に編地終端部を袋編み組織で編成した
後、伏せ目処理を行う場合を例に説明したが、袋編み組
織での編成は必ずしも必要な工程ではなく、袋編み組織
での編成を省略する場合には図2のコース6以降に示さ
れる編成を行えばよい。
【0015】次に上記した第1の実施の形態の変形例を
説明する。上記した第1の実施の形態では、縁編目部を
3目の平編み組織で形成したが、縁編目部において編地
終端部の編目と重ねられる編目を裏目で形成するととも
に、両外側の編目を表目組織で形成し縁編目部をリブ編
み組織で形成してもよい。このように縁編目部をリブ編
み組織で編成した場合、平編み組織に比べ隣接する編目
間に渡る渡り糸が長くなるため、編地終端部が引き伸ば
された際に両外側の編目から中央の編目に供給される編
糸長が長くなり、平編み組織で編成する場合に比べ編地
終端部の伸縮性及び引っ張り強度が一層向上される。な
お、上記した実施の形態においては、縁編目部を3ウエ
ールの幅で形成したが、上記した実施の形態に限定され
るものではなく、例えば縁編目部を3ウエール以上で形
成したり、編地終端部の編目と重ねる編目を変更した
り、編地の表側と裏側の縁編目の長さの比率を変えるこ
とも可能である。また、縁編目部をリブ編み組織やガー
ター編み組織により編成することも可能である。
【0016】次に本発明の編地終端部の編成方法の第2
の実施の形態を説明する。第2の実施の形態では、ゴム
編み組織や袋編み組織等の場合のように編地終端部の編
目が前後両針床の針に係止された状態で編成を行う。ま
ず、図6のコース1では前ベッドと後ベッドは左右に針
半ピッチ分左右に位相をずらせた状態で前ベッドの針A
〜Eおよび後ベッドの針a〜eに編目が係止されている
状態から給糸口30を右方向に移動させ、前ベッドの針
Fおよび後ベッドの針fに給糸する。そしてコース2で
は前ベッドの針Fに給糸して編目31を形成し、コース
3では後ベッドの針fに給糸し編目32を形成する止め
編みを行い、縁編目部の編始め箇所を形成する。次にコ
ース4では前ベッドの針と後ベッドの針が対向する状態
とした後、新たに形成した編目の内、前ベッドの針Fに
係止されている編目31を後ベッドの針eに目移しして
編地終端部の編目33と重ねる。次にコース5では同じ
く後ベッドの針fに係止されている編目32を前ベッド
の針Eに目移しして編地終端部の編目34と重ねる。そ
してコース6では前ベッドと後ベッドは左右に針半ピッ
チ分左右に位相をずらせた後、前ベッドの針Eおよび後
ベッドの針eに順番に給糸してリブ編みを行い編目3
5、36を形成し、コース7では編目37、38を形成
する。これによりコース1に示す状態から前ベッドで1
目、後ベッドで1目の編目がそれぞれ伏せ目処理されて
針から外された状態となる。以下同様にコース8および
図7のコース9で新たに形成した縁編目部の編目37、
38を編地終端部の編目39、40と重ねる。そしてコ
ース10で前ベッドの針D及び後ベッドの針dに給糸し
て編目を形成することで編地終端部の編目がさらに2目
伏せ目処理されて針から外された状態となる。
【0017】上記した第2の実施の形態により編成され
た編地は、補強の目的で編地終端部を袋編組織で形成
し、袋編部分の最終コースの編目を伏せ目処理する場
合、従来の編成方法では前後の編地を重ね合わせた後、
伏せ目処理する方法が一般的であるのに対し、本実施の
形態により編成された編地は、縁編目部分の編目をリブ
編み組織により形成し、前ベッドの針に係止される縁編
目部の編目と後ベッドの針に係止される編地終端部の編
目が、後ベッドの針に係止される縁編目部の編目と前ベ
ッドの針に係止される編地終端部の編目が重なるように
編目を重ねる。したがって、前後の編地のループを重ね
ることがなく、また隣接する編地終端部の編目と重ねら
れる前後の縁編目部の編目をリブ編み組織で形成してい
るため、縁編目部の編目の伸縮性が増し引っ張り強度が
向上する。
【0018】次に本発明の編地終端部の編成方法の第3
の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は前後両針
床の針に編目が係止された状態で編成を行う点が第2の
実施の形態と共通する。なお、以下に説明する第3の実
施の形態では、編成効率を良くするため前後一対の下部
針床上にそれぞれ上部補助ベッドを備えた四枚ベッド横
編機を使用する場合を例に説明するが、2枚ベッド横編
機においても実施可能である。図8の編成コース図にお
いてFDは下部前ベッド、FUは上部前ベッド、BDは
下部後ベッド、BUは上部後ベッドを意味する。コース
1では下部前ベッドの針A〜Eおよび下部後ベッドの針
a〜eに編地終端部の編目が係止されている状態から、
給糸口50を右方向に移動させ、下部前ベッドの針Fお
よび下部後ベッドの針fに給糸する。次にコース2では
前ベッドの針Fに給糸して編目51を形成し、コース3
では後ベッドの針fに給糸して編目52を形成し縁編目
部の編成開始箇所を形成する。次にコース4では新たに
形成した縁編目部の編目の内、下部後ベッドの針fに係
止されている編目52を上部前ベッドの針Fに目移しす
る。コース5ではさらに下部後ベッドの針eに目移しし
て編地終端部の編目53と重ねる。コース6ではもう一
つの縁編目部の編目51を上部後ベッドへ目移しし、さ
らにコース7で下部前ベッドの編針Eに目移しして編地
終端部の編目54と重ねる。そして図9のコース8では
下部前ベッドの針Eおよび下部後ベッドの針eに対し給
糸し縁編目部の編目55、56を、コース9では編目5
7、58を形成する。以下同様にコース10からコース
13で新たに形成した縁編目部の編目57、58を編地
終端部の編目と重ねコース14で下部後ベッドの針dお
よび下部前ベッドの針Dに給糸して編目61、62を形
成することでコース1に示す状態から前後両針床で2目
づつの編目が伏せ目処理されて針から払われた状態とな
る。
【0019】上記した第3の実施の形態により編成され
た編地は、第2の実施の形態により編成された編地と同
様に縁編目部の編目をリブ編み組織により形成してお
り、形成した前後一対の縁編目部の編目を、前ベッドの
針に係止される縁編目部の編目と前ベッドの針に係止さ
れる編地終端部の編目が、後ベッドの針に係止される縁
編目部の編目と後ベッドの針に係止される編地終端部の
ループが重なるように編目を重ねる。したがって、前後
の編地のループを重ねることがなく、また隣接する編地
終端部の編目と重ねられる前後の縁編目部の編目をリブ
編み組織で形成しているため、縁編目部の編目の伸縮性
が増し引っ張り強度が向上する。
【0020】上記した第1から第3の実施の形態におい
ては、縁編目部を形成するにあたり、編目を係止してい
ない空針を使用して縁編目部を形成するようにしている
が、編地終端部の側端に位置する一部の編目に続いて形
成することも可能である。また、上記した各実施の形態
においては、縁編目部を2コース編成する毎に編地終端
部の編目と重ねているが、縁編目部を1コース編成する
毎に編地終端部の編目と重ねるようにしてもよい。ま
た、上記した実施の形態では編地終端部の編成を最終コ
ースまで行った後、伏せ目処理を開始する場合を説明し
たので、伏せ目処理を行う間に編地終端部の編成を行っ
ていないが、伏せ目処理と編地終端部の伏せ目処理され
ていない領域の編目に次コースの編目を形成する編成を
並行して行うことで、縁編目部を編地端縁に沿って斜め
に形成することも可能である。
【0021】
【発明の効果】上記したように本発明の編地終端部の編
成方法では、伏せ目処理する際に編地終端部の編目と重
ねられる編目の両側に編地終端部の編目と重ねられない
編目が形成される。したがって、編地終端部に力が掛か
った場合には編地終端部の編目と重ねられていない縁編
目部の編目から編地終端部の編目と重ねられている編目
に糸が補充されて編目が拡大される。したがって編地終
端部の伸縮性が増し引っ張り強度が向上するため、従来
伏せ目処理により解れ止めを施すのには不適だった箇所
でも伏せ目処理により解れ止め処理することが可能とな
る。
【0022】また、縁編目部を3ウエールの編目数で形
成し、その中央に位置するウエールの編目を編地終端部
の編目と重ねた場合には、編地の終端縁と編地両側面を
包み込むように縁編目部の編目が現れる美観に優れた編
地終端部を形成できる。
【0023】また、編地終端部の編目と重ねる縁編目部
の編目を裏目として形成した場合には、縁編目部を形成
する編目間に渡る編糸が長くなり、その分編地終端部に
力が掛かった場合に、編地終端部の編目から編地終端部
の編目と重ねられている編目に補充される編糸長が長く
なるため編地の伸縮性および引っ張り強度が一層向上さ
れる。
【0024】また、本発明の編地終端部の編成方法によ
り伏せ目処理された編地は、縁編目部が3以上のウエー
ル数の編目で形成されるとともに、縁編目部を形成する
編目の内、両側に編目が存在するウエールの編目と編地
終端部の編目が重ねられているので、編地終端部に力が
掛かった場合には、編地終端部の編目と重ねられていな
い編目から編地終端部の編目と重ねられている編目に編
糸が補充されるため伸縮性および引っ張り強度に優れる
とともに綺麗な編地終端部となる。
【0025】また、本発明の編地終端部の編成方法で
は、前後両針床の針に編目を係止した状態で伏せ目処理
を行うとともに、縁編目部をリブ編み組織で形成するた
め、補強を目的として編地終端部を袋編組織により編成
する場合のように、編地終端部を前後両針床の針を使用
して編成する編組織により編成した場合でも伏せ目処理
した部分の伸縮性が損なうことなく引っ張り強度に優れ
た綺麗な編地終端部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の編地終端部の編成方法により衿首部が
伏せ目処理されたベストの後身頃部を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す編成コース図
である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す編成コース図
である。
【図4】第1の実施の形態により伏せ目処理した編地の
伏せ目箇所を示す編目図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態により編成した編地
を伏せ目処理の進行方向に向かって見た状態を模式的に
示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す編成コース図
である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す編成コース図
である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す編成コース図
である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す編成コース図
である。
【符号の説明】
1・・・ベストの後身頃部、2・・・裾ゴム部、3・・
・衿首部、4, 5・・・肩部

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも前後一対の針床を有し、その
    何れか一方または双方の針床が左右摺動可能に構成され
    る横編機を使用して編成された編地の終端部の編目に縁
    編目部の編目を重ね合わせ、該重ね合わせた編目に給糸
    して縁編目部に次コースの編目を形成し、該新たに形成
    した縁編目部の編目を続く編地終端部の編目に重ね、重
    ね合わせた編目に給糸して縁編目部の次コースの編目を
    形成する編成を編地の一端側から他端側に向かい繰り返
    し行うことで編地終端部の編目を解れ止め処理する編地
    終端部の編成方法において、 縁編目部は3以上のウエール数の編目で形成されるとと
    もに、縁編目部を形成する編目の内、両側に編目が存在
    するウエールの編目と編地終端部の編目を重ねて伏せ目
    処理することを特徴とする編地終端部の編成方法。
  2. 【請求項2】 縁編目部が3ウエールの編目数で形成さ
    れ、その中央に位置するウエールの編目を編地終端部の
    編目と重ねて伏せ目処理することを特徴とする請求項1
    に記載の編地終端部の編成方法。
  3. 【請求項3】 編地終端部の編目と重ねる縁編目部の編
    目を裏目として形成することを特徴とする請求項1また
    は請求項2の何れかの項に記載の編地終端部の編成方
    法。
  4. 【請求項4】 編地の一端側から他端側に向かい編地終
    端部の編目が縁編目部の編目に重ね合わされ、重ね合わ
    された編目に形成された次コースの編目がさらに続く編
    地終端部の編目と重ね合わされて編地終端部の編目が伏
    せ目処理された編地であって、縁編目部が3以上のウエ
    ール数の編目で形成されるとともに、縁編目部を形成す
    る編目の内、両側に編目が存在するウエールの編目と編
    地終端部の編目が重て解れ止め処理されてなることを特
    徴とする編地。
  5. 【請求項5】 少なくとも前後一対の針床を有し、その
    何れか一方または双方の針床が左右摺動可能に構成され
    る横編機を使用して編成される編地の終端部の編目に縁
    編目部の編目を重ね合わせ、該重ね合わせた編目に給糸
    して縁編目部に次コースの編目を形成し、該新たに形成
    した縁編目部の編目を続く編地終端部の編目に重ね、重
    ね合わせた編目に給糸して縁編目部の次コースの編目を
    形成する編成を編地の一端側から他端側に向かい繰り返
    し行うことで編地終端部の編目を解れ止め処理する編地
    終端部の編成方法において、 編地終端部は前後の針床の針で係止された状態に編成さ
    れ、リブ編組織として形成した前後一対の縁編目部の編
    目を、前ベッドの針に係止される縁編目部の編目と後ベ
    ッドの針に係止される編地終端部の編目が、および後ベ
    ッドの針に係止される縁編目部の編目と前ベッドの針に
    係止される編地終端部の編目が重なるように編目を重ね
    て伏せ目処理することを特徴とする編地終端部の編成方
    法。
  6. 【請求項6】 少なくとも前後一対の針床を有し、その
    何れか一方または双方の針床が左右摺動可能に構成され
    る横編機を使用して編成された編地の終端部の編目に縁
    編目部の編目を重ね合わせ、該重ね合わせた編目に給糸
    して縁編目部に次コースの編目を形成し、該新たに形成
    した縁編目部の編目を続く編地終端部の編目に重ね、重
    ね合わせた編目に給糸して縁編目部の次コースの編目を
    形成する編成を編地の一端側から他端側に向かい繰り返
    し行うことで編地終端部の編目を解れ止め処理する編地
    終端部の編成方法において、 編地終端部は前後の針床の針で係止された状態に編成さ
    れ、リブ編組織として形成した前後一対の縁編目部の編
    目を、前ベッドの針に係止される縁編目部の編目と前ベ
    ッドの針に係止される編地終端部の編目が、および後ベ
    ッドの針に係止される縁編目部の編目と後ベッドの針に
    係止される編地終端部のループが重なるように編目を重
    ねて伏せ目処理することを特徴とする編地終端部の編成
    方法。
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