JP3888712B2 - 高耐久性近赤外線吸収化合物及びその用途 - Google Patents

高耐久性近赤外線吸収化合物及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性(特に光に対する安定性)に優れ、かつ溶解性に優れた加工容易な近赤外線吸収化合物とその簡便な製造方法に関する。また、本発明はこの近赤外線吸収化合物を含有する近赤外線吸収樹脂組成物及び該化合物を含有する熱線吸収材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近赤外線吸収化合物は、光ディスク等の光記録媒体の記録層に利用したり、インキ化することにより近赤外線検出機で読み取り可能な近赤外線吸収インキとして利用することができる。また、バインダー樹脂と組み合わせることで塗料化しプラスチックやガラスにコーティングしたり、あるいは樹脂と混練して近赤外線吸収フィルターを製造することもできる。
【0003】
近赤外線吸収フィルターは、建造物、車、電車、船舶、航空機等の窓材として、外部からの熱線を遮断し、室内、車内の温度上昇を抑えることができる。また特定波長領域をカットすることで、光質選択利用農業用フィルムとして植物育成の制御、半導体受光素子の赤外線カット、有害な赤外線を含む光線から人間の目を保護する眼鏡等へも利用できる。
【0004】
上記の中でも、特に熱線遮断を目的とする近赤外線吸収フィルターは、省エネルギーに寄与するため注目されている。
【0005】
熱線遮断を目的とする窓材として、PETフィルムやガラス上に酸化インジュウム、酸化錫等の金属酸化物と金、銀等の金属を交互に積層した熱線反射フィルターが知られているが、複雑な製造工程故に製品コストが高いという欠点に加えて、電波障害の原因ともなっている。それらの無機型熱線反射フィルターと比較して、近赤外線吸収色素を使った近赤外線吸収フィルターは製造が簡便かつ電波障害の問題がないため応用分野が広く、市場ニーズも大きい。しかしながら、色素のコストおよび耐久性(特に光に対する安定性)の問題で普及が進んでいないのが現状である。
【0006】
近赤外線を吸収する有機色素としては、従来、シアニン色素が良く知られている。しかし、シアニン色素は耐光堅牢性が極めて低いので、これを使用する場合には多くの制約を受けざるをえない。またアミニウム塩タイプの化合物、あるいはジチオール金属錯体化合物は、耐熱性、耐光性の点で不十分である。またアントラキノン系の化合物も耐熱性はあるものの耐光性の点では不十分である。
【0007】
高耐久性を有する近赤外線吸収色素として、フタロシアニン類が知られているが、通常フタロシアニン類はλmaxがせいぜい800nmと短波長であるため熱線吸収目的としては不十分であった。
【0008】
特公平4−75916号公報では、実施例において、塩素化銅フタロシアニンと2−アミノチオフェノールとを反応させてλmaxが909nmの色素を得ているが、このλmaxの値はピリジン中で測定されており、ガラス上にコーティングしたデータや吸光係数のデータ等はない。即ち、当該化合物は有機溶媒あるいは樹脂等への溶解度が低いため、近赤外線吸収フィルターを作製するために樹脂中に溶解すると曇り現象が生じ、透明な樹脂板やフィルムを得ることが出来ない。
【0009】
また、特開昭63−308073号公報には、フタロシアニンの溶解度を上げるために、2−アミノチオフェノールと4−メチルフェニルチオールを共存させて反応させる方法、あるいは特開昭63−270765号公報では、パークロロ銅フタロシアニン(商品名:フタロシアニングリーン)を2−アミノチオフェノールと反応させたのちに、臭化アルキルにて窒素原子をアルキル化し、溶解度を改良する方法が開示されている。いずれの場合もアミノ基を導入することで吸収の長波長化を図っているが、アミノ基自身が光酸化を受けやすくラジカル発生等によるフタロシアニン環の分解のため光に対する耐久性が不十分である。
【0010】
また、ナフタロシアニン化合物は、その製造工程は長く、かつ工業的には高価な化合物であるために工業的使用には不適当であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低コスト、かつ、簡便に、高耐光性を有する高溶解型フタロシアニン系近赤外線吸収化合物を提供することである。更には、熱線吸収フィルターなどの熱線吸収材として有効な近赤外線吸収色素を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フタロシアニンの置換基上のアミノ基の一部或いは全部をスルホアミド化及び/又はアミド化及び/又はイミド化することによって、溶解性と耐光性の向上した近赤外線吸収色素が得られることを見出した。更にその製造方法においては、ハロゲン原子等の脱離基を持つフタロシアニンと2−アミノチオフェノール誘導体とを反応させた後に、残っている1級あるいは2級アミノ基の一部ないし全部をスルホアミド化及び/又はアミド化及び/又はイミド化することで、簡便に目的の近赤外線吸収化合物を製造できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
即ち、本発明は下記一般式(1)で表される新規の近赤外線吸収化合物に関する。
【0014】
【化4】
Figure 0003888712
〔式中、Xは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数6〜20のアリールオキシ基、総炭素数1〜20のアルキルチオ基、総炭素数6〜20のアリールチオ基、総炭素数1〜20のアルキルアミノ基、総炭素数6〜20のアリールアミノ基、総炭素数7〜20のアルキルアリールアミノ基を表し、隣り合うXが二つのヘテロ原子を通じて5員環あるいは6員環を形成しても良い。R1〜R8は各々独立に水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは総炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。Y1〜Y3は各々独立に水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜20のアリールスルホニル基、総炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、総炭素数7〜20のアリールカルボニル基であり、同一窒素上のY2とY3が環状のイミドを形成してもよい。各々独立のY1〜Y3のうちの少なくとも一つは総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜20のアリールスルホニル基、総炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、総炭素数7〜20のアリールカルボニル基、あるいは各々独立の同一窒素上のY2とY3の少なくとも一組が環状のイミドを形成する。nは0〜14の整数を表し、lは1〜8の整数を表し、mは0〜14の整数を表し、n+2l+m=16である。Mは2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属を表す。〕
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の上記近赤外線吸収色素において、Xで表されるハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。総炭素数1〜20のアルコキシ基としては特に制限されるわけではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシエトキシ基、ジエチルアミノエトキシ基、アミノエトキシ基、n−ブチルアミノエトキシ基、ベンジルアミノエトキシ基、メチルカルボニルアミノエトキシ基、フェニルカルボニルアミノエトキシ基、ベンジルオキシ基等があ挙げられる。
【0016】
総炭素数6〜20アリールオキシ基としては特に制限されるわけではないが、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
【0017】
総炭素数1〜20のアルキルチオ基としては特に制限されるわけではないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、iso−ペンチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチル−プロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基、プロポキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、
アミノエチルチオ基、n−ブチルアミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ、メチルスルホニルアミノエチルチオ基、フェニルスルホニルアミノエチルチオ基、ジメチルアミノエチルチオ基、ジエチルアミノエチルチオ基、等が挙げられる。
【0018】
総炭素数6〜20のアリールチオ基としては特に制限されるわけではないが、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、4−エチルフェニルチオ基、4−プロピルフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、4−エトキシフェニルチオ基、4−アミノフェニルチオ基、4−アルキルアミノフェニルチオ基、4−ジアルキルアミノフェニルチオ基、4−フェニルアミノフェニルチオ基、4−ジフェニルアミノフェニルチオ基、4−ヒドロキシフェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−ブロモフェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、2−エチルフェニルチオ基、2−プロピルフェニルチオ基、2−t−ブチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、2−エトキシフェニルチオ基、2−アミノフェニルチオ基、2−アルキルアミノフェニルチオ基、2−ジアルキルアミノフェニルチオ基、2−フェニルアミノフェニルチオ基、2−ジフェニルアミノフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルチオ基、4−ジメチルアミノフェニルチオ基、4−メチルアミノフェニルチオ基、4―メチルカルボニルアミノフェニルチオ基、4−フェニルカルボニルアミノフェニルチオ基、4―メチルスルホニルアミノフェニルチオ基、4−フェニルスルホニルアミノフェニルチオ基等が挙げられる。
【0019】
総炭素数1〜20のアルキルアミノ基としては特に制限されるわけではないが、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、iso−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、ベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0020】
総炭素数6〜20のアリールアミノ基の例としては特に制限されるわけではないが、例えば、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、ヒドロキシフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0021】
総炭素数7〜20のアルキルアリールアミノ基の例としては特に制限されるわけではないが、例えば、フェニルメチルアミノ基、フェニルエチルアミノ基、フェニルプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0022】
また隣り合うXが二つのヘテロ原子を介して5員環あるいは6員環を形成してもよい置換基としては下記式で示される置換基等が挙げられる。
【0023】
【化5】
Figure 0003888712
【0024】
式(1)中、R1〜R8で表される総炭素数1〜20のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基、n−ヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0025】
総炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基、2−メルカプトフェニル基、3−メルカプトフェニル基、4−メルカプトフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0026】
総炭素数1〜20のアルコキシ基の例としてメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等が挙げられる。n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、ベンジルオキシ基等があげられる。
【0027】
総炭素数6〜20のアリールオキシ基の例としてはフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
【0028】
式(1)中、Y1〜Y3で表される総炭素数1〜20のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチル-ブチル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、ベンジル基、sec−フェニルエチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−フェニルエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−ジイソプロピルアミノエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、2−(1−ピペリジニル)エチル基、3−(1−ピペリジニル)プロピル基、3−(4−モルフォリニル)プロピル基、3−(4−モルフォリニル)エチル基、2−(1−ピロリジニル)エチル基、2−ピリジルメチル基、フルフリル基等が挙げられる。
【0029】
総炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基、2−メルカプトフェニル基、3−メルカプトフェニル基、4−メルカプトフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0030】
総炭素数2〜20のアルキルカルボニル基の例としては、アセチル基(メチルカルボニル基)、プロピオニル基、ブチリル基、iso−ブチリル基、バレリル基、iso−バレリル基、トリメチルアセチル基、ヘキサノイル基、t−ブチルアセチル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、オレオイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、6−クロロヘキサノイル基、6−ブロモヘキサノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、パーフルオロオクタノイル基、2,2,4,4,5,5,7,7,7−ノナフルオロ−3,6−ジオキサヘプタノイル基、メトキシアセチル基、3,6−ジオキサヘプタノイル基等が挙げられる。
【0031】
総炭素数7〜20のアリールカルボニル基の例としては、ベンゾイル基、o−クロロベンゾイル基、m−クロロベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、o−フルオロベンゾイル基、m−フルオロベンゾイル基、p−フルオロベンゾイル基、o−アセチルベンゾイル基、m−アセチルベンゾイル基、p−アセチルベンゾイル基、o−メトキシベンゾイル基、m−メトキシベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、o−メチルベンゾイル基、m−メチルベンゾイル基、p−メチルベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル基等が挙げられる。
【0032】
総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基の例としてはメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0033】
総炭素数6〜20のアリールスルホニル基の例としてはフェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0034】
同一窒素上のY2とY3を使って形成される環状のイミド基の例としてコハク酸イミド、マレイン酸イミド、フタル酸イミド等が挙げられる。
【0035】
式(1)中、Mで表される2価の金属の例としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)などが挙げられる。
【0036】
1置換の3価金属の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Tl−F、Al−C65、Al−C64(CH3)、In−C65、In−C64(CH3)、In−C65、Mn(OH)、Mn(OC65)、Mn〔OSi(CH33〕、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げられる。
【0037】
2置換の4価金属の例としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeI2、GeF2、SnCl2、SnBr2、SnF2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2〔Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す〕、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2〔R’はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す〕、Sn(SR”)2、Ge(SR”)2(R”はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す〕などが挙げられる。
【0038】
オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiOなどが挙げられる。
【0039】
更に好ましい式(1)の化合物としては、Xが各々独立に水素原子、あるいはハロゲン原子であり、R1〜R8は各々独立に水素原子あるいは総炭素数1〜20のアルキル基であり、各々独立のY1〜Y3のうち少なくとも一つが総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜20のアリールスルホニル基、総炭素数2〜20アルキルカルボニル基あるいは総炭素数7〜20の未置換のアリールカルボニル基であり、2l+mが6〜16であり、MがCu、AlCl、TiO又はVOである。l及び/又はmの数が増すことで吸収波長は長波長化し、熱線領域を幅広くカバーできるようになる。更にアルキルスルホニル基及び/又はアリールスルホニル基及び/又はアルキルカルボニル基及び/又はアリールカルボニル基の数が増すことで溶解度及び耐久性が向上する。
【0040】
本願発明の高耐久性近赤外線吸収化合物の製造方法は例えば、下記一般式(2)で表されるフタロシアニンと下記一般式(3)で表される2−アミノチオフェノ−ル誘導体あるいはその類縁体の少なくとも一種を反応させた後に、スルホアミド化及び/又はアミド化及び/又はイミド化反応を行って得られる。
【0041】
【化6】
Figure 0003888712
〔式中、Zは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数6〜20のアリールオキシ基、総炭素数1〜20のアルキルチオ基、総炭素数6〜20のアリールチオ基、総炭素数1〜20のアルキルアミノ基、総炭素数6〜20のアリールアミノ基を表す。pは4〜16の整数を表し、Zのうちの少なくとも4個はハロゲン原子である。Mは2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属を表す。〕
【0042】
【化7】
Figure 0003888712
〔式(3)中、Y4は水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、あるいは総炭素数6〜20のアリール基を表し、R9〜R12は水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは総炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。〕
【0043】
式(2)中、Zで表されるハロゲン原子、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数6〜20のアリールオキシ基、総炭素数1〜20のアルキルチオ基、総炭素数6〜20のアリールチオ基、総炭素数1〜20のアルキルアミノ基、総炭素数6〜20のアリールアミノ基は上記式(1)におけるXと同じである。更に、一般式(2)で表されるフタロシアニンにおいて好ましいものは各々独立にZがフッ素、塩素、臭素、あるいはヨウ素等のハロゲンであり、pが6〜16である。即ち、式(3)で表される2−アミノチオフェノールとフタロシアニン環上のハロゲン原子が容易に反応して目的の化合物が得られる。Mは上記式(1)と同様の2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属であり、更に好ましくはフタロシアニンの安定性および製造の容易さよりCu、AlCl、TiO、或いはVOであり、それらの中で特に好ましいのはCuである。
【0044】
該フタロシアニンの入手法としては、Zが塩素原子、臭素原子等のものについては工業的に入手可能であるし、Zが沃素原子のものは、これらのものを、沃化カリ、沃化ナトリウム等で定法に従い処理して沃素原子と置換することにより入手できる。また、フッ素化フタロシアニンは、フッ素化フタロニトリルからDyes and Pigment, 91頁(1992年)記載の方法で製造できる。
【0045】
一般式(2)で表されるフタロシアニンにおいて、特に好ましい化合物は、C.I.ピグメントグリーン 7(商品名:フタロシアニン グリーン)、C.I.ピグメントグリーン 36、C.I.ピグメントグリーン 37、あるいはC.I.ピグメントグリーン 38であり、ハロゲン化フタロシアニンとして工業的に入手容易な化合物である。
【0046】
一般式(3)で表される2−アミノチオフェノールにおいてY4で表される総炭素数1〜20のアルキル基、あるいは総炭素数6〜20のアリール基は一般式(1)におけるアルキル基あるいはアリール基と同じである。R9〜R12で表される総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは総炭素数6〜20のアリールオキシ基は上記式(1)におけるR1〜R8と同様の置換基である。これらの2−アミノチオフェノール誘導体は、通常、Synthesis,288頁(1985年)に記載の方法等で簡便に製造することが出来る。特に好ましい式(3)の化合物としては、R9〜R12が水素原子あるいはアルキル基である。また(3)を直接用いる代わりに(3)の類縁体を用いることもできる。すなわち以下の塩基性反応条件下で、反応中に(3)を生成するような化合物も本発明に含まれる。例えば下記一般式で表される化合物は反応中に(3)を生成し、最初から(3)を用いた場合と同種の生成物を与える。
【0047】
【化8】
Figure 0003888712
〔式中、Y4及びR9〜R12は(3)と同じ置換基を表す。但し、2量体の場合は、同一分子内に存在する2つのY4あるいはR9〜R12はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。〕
【0048】
一般式(2)で表されるフタロシアニンと一般式(3)で表される2−アミノチオフェノール誘導体或いはその類縁体との反応は、通常の求核置換反応の条件、すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、t−ブトキシカリウム等の塩基の存在下で行うことができる。あるいは式(3)をナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩として単離したものを用いれば、塩基の使用量を減らすか、全く使用しないで反応をおこなうこともできる。
【0049】
この反応は、溶媒の存在下で行ってもよく、その際の溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、スルホラン等の極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。
【0050】
反応条件は、通常、一般式(2)で表されるフタロシアニンと塩基(フタロシアニンに対して4〜100倍当量)を、溶媒(フタロシアニンに対して、1〜1000重量倍)に溶解、あるいは懸濁させて、攪拌しながら、一般式(3)で表される2−アミノチオフェノール誘導体あるいはその類縁体(フタロシアニンに対して、4〜30倍当量)を添加し、50〜220℃で反応させる。2−アミノチオフェノール誘導体あるいはその類縁体の添加は、昇温前に行なっても、昇温途中、あるいは昇温後に行ってもよい。また、一度に添加してもよく、分割添加してもよい。さらに、2−アミノチオフェノール誘導体自身を溶媒として用い、塩基を加えた後に、フタロシアニンを添加してもよい。使用する2−アミノチオフェノール誘導体は一種類でも、あるいは数種類を混在させてもよい。またチオール類、アルコール類等の2−アミノチオフェノール誘導体あるいはその類縁体以外の求核試薬を同時に添加することもできる。反応は、常圧下でも、加圧下で行ってもよく、反応促進剤として4級アンモニウム塩、クラウンエーテル等を添加することも出来る。
【0051】
反応の進行度合いは、例えば、反応液のλmaxを測定することにより判断することができる。
【0052】
反応終了後、次のスルホアミド化、アミド化あるいはイミド化反応を行うにあたり、反応混合物中にスルホアミド化試薬及び/またはアミド化試薬及び/またはイミド化試薬を加えて引き続き反応させる第1の方法と、一旦中間体である2−アミノチオフェノール誘導体が反応したフタロシアニンを単離した後に、スルホアミド化、アミド化あるいはイミド化反応を行なう第2の方法がある。
【0053】
第1の方法においては、反応混合物中にスルホアミド化試薬及び/またはアミド化試薬及び/またはイミド化試薬として、メチルスルホン酸クロリド、トリフルオロメチルスルホン酸クロリド、エチルスルホン酸クロリド、ベンゼンスルホン酸クロリド、トルエンスルホン酸クロリド等のスルホン酸ハライド、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブタン酸、無水ペンタン酸、無水ヘキサン酸、無水ヘプタン酸、無水オクタン酸、無水安息香酸等のカルボン酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等のカルボン酸二無水物、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ブタン酸エチル、ペンタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチルコハク酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のカルボン酸エステル類、アセチルクロリド、アセチルブロミド、エチルカルボニルクロリド、プロピルカルボニルクロリド、ブチルカルボニルクロリド、ペンチルカルボニルクロリド、ヘキシルカルボニルクロリド、ヘプチルカルボニルクロリド、ベンゾイルクロリド等のカルボン酸ハライド類を(フタロシアニンに対して1〜100倍当量)添加、反応させて得ることができる。反応終了後は、通常水あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール溶液中に排出することにより、目的化合物を析出させる。析出した目的物を吸引濾過して分離し、さらに水洗浄、アルコール洗浄して、塩分、残塩基、未反応の2−アミノチオフェノール誘導体、未反応のスルホアミド化試薬、アミド化試薬あるいはイミド化試薬等を除去し、乾燥して、本発明の近赤外線吸収化合物を単離する。
【0054】
また第2の方法においては、式(2)と式(3)の反応混合物を水あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール溶液中に排出することにより、アミノチオフェノールの反応したフタロシアニン化合物を析出させる。析出した化合物を吸引濾過して分離し、さらに水洗浄、アルコール洗浄して、塩分、残塩基、未反応の2−アミノチオフェノール誘導体等を除去し、乾燥して単離する。引き続くアミド化あるいはイミド化反応は、定法に従いピリジン溶媒中、あるいはトリエチルアミン等の3級アミン類の存在下、トルエン、キシレン、塩化メチレン等の溶媒中で、上記のスルホアミド化、アミド化あるいはイミド化試薬を(原料フタロシアニンに対して1〜100倍当量)添加して、0〜150℃程度の温度範囲で撹拌、反応させる。この際、ジメチルアミノピリジン等の反応促進剤を添加することもできる。反応終了後、目的物の単離は上記第1の方法と同様に行う。
【0055】
更に、得られた本発明の近赤外線吸収化合物は、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の有機溶媒によく溶解するため、必要により、カラムクロマトグラフィーにて精製することもできる。
【0056】
本発明の近赤外線吸収化合物は、長波長に吸収を持ち、高耐光性で、樹脂、溶媒等への高溶解型の化合物である。更にその製造方法は出発原料に安価な顔料が利用でき、反応も簡便である。更に、本発明の方法で得られる生成物は単一化合物ではなく、数種類の混合物として得られるため、吸収波長が比較的ブロードになり、近赤外線領域を幅広く吸収するため、近赤外線吸収塗料や近赤外線吸収フィルター等への応用が容易であり、熱線吸収材用として優れた化合物である。
【0057】
上記近赤外線吸収化合物を用いて熱線吸収フィルターを作る方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の3つの方法が利用できる。
(1)樹脂に近赤外線吸収化合物を混練し、加熱成形して樹脂板或いはフィルムを作製する方法。
(2)近赤外線吸収化合物を含有する塗料を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、或いは透明ガラス板上にコーティングする方法。
(3)近赤外線吸収化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する方法。
【0058】
まず、樹脂に近赤外線吸収化合物を混練、加熱成形する(1)の方法において、樹脂材料としては、樹脂板または樹脂フィルムにした場合にできるだけ透明性の高いものが好ましく、具体例としてポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等ビニル系樹脂及びビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
【0059】
作製方法としては用いるベース樹脂によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、通常近赤外線吸収化合物を、ベース樹脂の粉体或いはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後成形、或いは、押し出し成形して厚さ0.1〜100mmの近赤外線吸収板を得る方法、或いは押し出し機によりフィルム化するか、或いは押し出し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸乃至は2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法で得られる。また、本発明の近赤外線吸収化合物をアクリル樹脂等の樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合開始剤の存在下にキャスト重合し、近赤外線吸収材を作製することもできる。なお、混練する際に紫外線吸収剤、可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤を加えてもよい。近赤外線吸収化合物の添加量は、作製する製品の厚み、目的の吸収強度、目的の熱線透過率、目的の可視透過率等によって異なるが、通常1ppm〜10%である。
【0060】
塗料化後、コーティングする(2)の方法においては、本願発明の近赤外線吸収化合物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法と、フタロシアニン化合物を数μm以下に微粒化し、アクリルエマルジョン中に分散した水系塗料とする方法がある。前者の方法は通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。近赤外線吸収化合物の濃度はコーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の熱線透過率、目的の可視透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して通常0.1〜100%である。また、バインダー樹脂濃度は塗料全体に対して通常1〜50%である。アクリルエマルジョン系水系塗料の場合も同様に、未着色のアクリルエマルジョン塗料に近赤外線吸収化合物を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させることで得られる。塗料中には紫外線吸収剤、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えてもよい。上記の方法で作製した塗料は透明樹脂フィルム、透明樹脂、透明ガラス等の上にバーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等でコーティングして熱線吸収フィルターを作製する。コーティング面を保護するために保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂フィルム等コーティング面に貼り合わせることもできる。またキャストフィルムも本方法に含まれる。
【0061】
近赤外線吸収化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する(3)の方法においては、接着剤としては一般的なシリコーン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、或いは合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等の合わせガラス用の公知の透明接着剤が使用できる。近赤外線吸収化合物を0.1〜50%添加した接着剤を用いて樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着して熱線吸収フィルターを作製する。また熱圧着する方法もある。
【0062】
以上のように作製された熱線吸収フィルターは、実際にはその片面あるいは両面に紫外線カット層、ハードコート層、反射防止層をもうけたり、また、粘着層をもうけることでより実用的なフィルターとなる。また、必要に応じて、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物と金、銀等の金属を交互にスパッタリングにより積層した熱線反射層、あるいは銅塩、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングステン化合物,YbPO4,ITO(錫ドープ酸化インジウム),ATO(錫ドープ酸化アンチモン)等を平均粒径100μm以下に微粒化して作製した熱線反射塗料を本発明の熱線吸収フィルターと組み合わせることもできる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これによりなんら制限されるものではない。
【0064】
実施例1
C.I.ピグメントグリーン 7(フタロシアニン グリーン)(10.0g、8.87mmol)、2−(n−オクチルアミノ)チオフェノール(33.7g、142mmol、16倍当量)、炭酸カリウム(39.2g、284mmol、32倍当量)を、ジメチルホルムアミド(200ml)中、120℃で、5時間反応させた。反応混合物は、室温に冷却後、メタノール(500ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させフタロシアニン化合物(26.5g)を単離した。更に該フタロシアニンをピリジン(300ml)溶媒中、アセチルクロリド(7.0g、89.2mmol)を添加(室温、1時間)後、50℃で2時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(4)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(29.4g)を得た。
【0065】
該混合物はトルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは943nm(トルエン溶媒)であった。
【0066】
【化9】
Figure 0003888712
【0067】
更に、該混合物を、ユニチカ製ポリエチレンテレフタレートペレット1203と重量比0.03:1の割合で混合し、260〜280℃で溶融させ、押出機で厚み100μmのフィルムを作製した後、このフィルムを2軸延伸して厚み25μmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収した。JIS−R−3106に従って、(株)島津製作所製分光光度計UV−3100でTV(可視光透過率)及びTE(日射透過率)を測定したところ、それぞれ51%、42%であった。
【0068】
1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0069】
実施例2
C.I.ピグメントグリーン 7(フタロシアニン グリーン)(10.0g、8.87mmol)、2−(n−オクチルアミノ)チオフェノール(19.0g、80.0mmol、9倍当量)、2−アミノチオフェノール(5.55g、44.3mmol、5倍当量)、炭酸カリウム(39.2g、284mmol、32倍当量)を、ジメチルホルムアミド(200ml)中、120℃で、10時間反応させた。反応混合物は室温に冷却後、メタノール(500ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させフタロシアニン化合物(25.6g)を単離した。更に該フタロシアニンと4−ジメチルアミノピリジン(1.0g、8.19mmol)をピリジン(300ml)溶媒中、ベンゾイルクロリド(13.0g、92.5mmol)を添加(室温、1時間)後、50℃で2時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(5)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(30.4g)を得た。
【0070】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは960nm(トルエン溶媒)であった。
【0071】
【化10】
Figure 0003888712
【0072】
更に、該混合物を用いて、実施例1と同様に厚み25μmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収し1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0073】
実施例3
C.I.ピグメントグリーン 7(フタロシアニン グリーン)(10.0g、8.87mmol)、2−アミノチオフェノール(16.7g、133mmol、15倍当量)、炭酸カリウム(39.2g、284mmol、32倍当量)を、ジメチルホルムアミド(200ml)中、120℃で、5時間反応させた。反応混合物は室温に冷却後、メタノール(500ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させフタロシアニン化合物(19.5g)を単離した。更に該フタロシアニンと4−ジメチルアミノピリジン(1.0g、8.19mmol)をピリジン(300ml)溶媒中、2−エチルヘキサノイルクロリド(25.0g、154mmol)を添加(室温、1時間)後、50℃で2時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(6)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(23.4g)を得た。
【0074】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは950nm(トルエン溶媒)であった。
【0075】
【化11】
Figure 0003888712
【0076】
更に、該混合物を用いて、実施例1と同様に厚み25μmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収し1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0077】
実施例4
実施例2で得られたC.I.ピグメントグリーン 7と2−(n−オクチルアミノ)チオフェノール及び2−アミノチオフェノールを反応させて得られたフタロシアニン化合物(25.6g)をピリジン(300ml)溶媒中、フタル酸無水物(3.9g、26.3mmol)を添加(室温)後、100℃で1時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(7)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(26.9g)を得た。
【0078】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは960nm(トルエン溶媒)であった。
【0079】
【化12】
Figure 0003888712
【0080】
更に、該混合物を用いて、実施例1と同様に厚み25μmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収し1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0081】
実施例5
実施例2で得られたC.I.ピグメントグリーン 7と2−(n−オクチルアミノ)チオフェノール及び2−アミノチオフェノールを反応させて得られたフタロシアニン化合物(25.6g)をピリジン(300ml)溶媒中、無水酢酸(7.0g、68.6mmol)を添加(室温)後、100℃で1時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(8)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(25.9g)を得た。
【0082】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは960nm(トルエン溶媒)であった。
【0083】
【化13】
Figure 0003888712
【0084】
更に、該混合物を用いて、実施例1と同様に厚み25μmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収し1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0085】
実施例6
下記式(9)で表されるフタロシアニン(10.0g、6.49mmol)、2−アミノチオフェノール(8.1g、64.7mmol、10倍当量)、炭酸カリウム(17.9g、130mmol、20倍当量)を、ジメチルホルムアミド(200ml)中、120℃で、5時間反応させた。反応混合物は室温に冷却後、メタノール(500ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させフタロシアニン化合物(13.5g)を単離した。更に該フタロシアニンをピリジン(200ml)溶媒中、無水酢酸(7.0g、68.56mmol)を添加(室温、1時間)後、50℃で2時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ近赤外線吸収混合物(13.9g)を得た。
【0086】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは920nm(トルエン溶媒)であった。
【0087】
【化14】
Figure 0003888712
【0088】
実施例7
下記式(10)で表されるフタロシアニン(7.7g、8.88mmol)、2−アミノチオフェノール(16.7g、133mmol、15倍当量)、炭酸カリウム(39.2g、284mmol、32倍当量)を、ジメチルホルムアミド(200ml)中、120℃で、5時間反応させた。反応混合物は室温に冷却後、メタノール(500ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させフタロシアニン化合物(15.6g)を単離した。更に該フタロシアニンと4−ジメチルアミノピリジン(1.0g、8.19mmol)をピリジン(300ml)溶媒中、2−エチルヘキサノイルクロリド(25.0g、154mmol)を添加(室温、1時間)後、50℃で2時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(11)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(16.4g)を得た。
【0089】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは1010nm(トルエン溶媒)であった。
【0090】
【化15】
Figure 0003888712
【0091】
【化16】
Figure 0003888712
【0092】
実施例8
ベンゾイルクロリドを用いる代わりに、p−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(19.3g、92.5mmol)を用いた以外は、実施例2と全く同様の反応を行い、下記式(12)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(29.8g)を得た。該化合物はトルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒によく溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmax は955nm(トルエン溶媒)であった。
【0093】
【化17】
Figure 0003888712
【0094】
実施例9
C.I.ピグメントグリーン 7(フタロシアニン グリーン)(10.0g、8.87mmol)、アミノエタンチオール(6.8g、88.7mmol、10倍当量)、2−アミノチオフェノール(5.55g、44.3mmol、5倍当量)、炭酸カリウム(39.2g、284mmol、32倍当量)を、ジメチルホルムアミド(200ml)中、120℃で、10時間反応させた。反応混合物は室温に冷却後、メタノール(500ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させフタロシアニン化合物(20.6g)を単離した。更に該フタロシアニンと4−ジメチルアミノピリジン(1.0g、8.19mmol)をピリジン(300ml)溶媒中、ベンゾイルクロリド(13.0g、92.5mmol)を添加(室温、1時間)後、50℃で2時間反応させた。反応混合物は氷水(1000ml)中に排出した。析出物を吸引濾過により回収後、水洗、メタノール洗浄後、乾燥させ下記式(13)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(25.4g)を得た。
【0095】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは915nm(トルエン溶媒)であった。
【0096】
【化18】
Figure 0003888712
【0097】
更に、該混合物2.0g、「チヌビン329」(商品名、チバガイギー(株)製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)100g、「シーソルブ501」(商品名、シプロ化成(株)製紫外線吸収剤)100g、及びポルカーボネート(「パンライトK−1300Z」(商品名)、帝人(株)製)10kgを260〜280℃で溶融混練して、押し出し成型器を用いて、厚み2mmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターと紫外線吸収剤を含有する50μm厚のアクリルフィルムを熱ラミネートした。(アクリルフィルムはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の「チヌビンP」(商品名、チバガイギー(株)製)100g、およびシアノ酢酸系紫外線吸収剤の「ユービナール3039」(商品名、BASF(株)製)100とをポリメタクリル酸メチル(PMMA)(「デルペット80N」(商品名)、旭化成工業(株)製)10kgとを混合し、260〜280℃で溶融させ押し出し機で厚み200μmのフィルム原反を作製した後、このフィルムを2軸延伸して作製した。)
該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収し、TVおよびTEはそれぞれ48%、39%であった。
【0098】
1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0099】
実施例10
2−(n−オクチルアミノ)チオフェノールに変えて、2−(ベンジルアミノ)チオフェノールを80.0mmol用いた以外は実施例2と全く同様に反応を行い下記式(14)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物(28.4g)を得た。
【0100】
該混合物は、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒に良く溶け(トルエンに5%以上溶解)、λmaxは960nm(トルエン溶媒)であった。
【0101】
【化19】
Figure 0003888712
【0102】
更に、該混合物10gとポリメタクリル酸メチル(PMMA)(「デルペット80N」(商品名)、旭化成工業(株)製)10kgとを混合し、260〜280℃で溶融させ押し出し機で厚み3mmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターは700〜1100nmの光をよく吸収し1000時間のカーボンアーク灯(63℃)による耐光試験を行ったが、色素の分解による吸収低下はほとんど見られず耐光性は良好であった。
【0103】
実施例11
2−(ベンジルアミノ)チオフェノールを用いる代わりにその誘導体(15)を40.0mmol用いた以外は実施例10と全く同様に反応を行い実施例10と同様の(14)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物を得た。
【0104】
【化20】
Figure 0003888712
【0105】
実施例12
2−(ベンジルアミノ)チオフェノールを用いる代わりにその誘導体(16)を80.0mmol用いた以外は実施例10と全く同様に反応を行い実施例10と同様の(14)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物を得た。
【0106】
【化21】
Figure 0003888712
【0107】
実施例13
2−(ベンジルアミノ)チオフェノールを用いる代わりにその誘導体(17)を40.0mmol用いた以外は実施例10と全く同様に反応を行い実施例10と同様の(14)の化合物を含有する近赤外線吸収混合物を得た。
【0108】
【化22】
Figure 0003888712
【0109】
実施例14
実施例10で作製した近赤外線吸収混合物(14)5g、調色用赤色色素(三井東圧化学(株)製、HSo−147)0.1g、紫外線吸収剤「チヌビン327」(商品名、チバガイギー(株)製)10gをエチルセルソルブ、300mlに溶解した後、アクリル系塗料「アルマテクスL1043」(商品名、三井東圧化学(株)製)200gを加えて近赤外線吸収塗料を作製した。該塗料はガラスあるいはプラスチック上にコーティングすることで優れた熱線吸収機能を付与することができた。
【0110】
実施例15
2−(n−オクチルアミノ)チオフェノール9倍当量と2−アミノチオフェノール5倍当量を用いる代わりに、2−(n−オクチルアミノ)チオフェノール4倍当量と下記式(18)で表わされるアミノチオフェノール誘導体を44.3mmol(5倍当量)用いた以外は、実施例2と全く同様に反応を行い、式(5)で表される化合物を含有する近赤外線吸収混合物を得た。
【0111】
【化23】
Figure 0003888712
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、高耐光性を有する高溶解型フタロシアニン系近赤外線吸収化合物が、簡便な製造方法により提供でき、このフタロシアニン系近赤外線吸収化合物は熱線吸収(近赤外線吸収)塗料あるいは熱線吸収フィルター用として実用上極めて価値がある。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される高耐久性近赤外線吸収化合物。
    Figure 0003888712
    〔式中、Xは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数6〜20のアリールオキシ基、総炭素数1〜20のアルキルチオ基、総炭素数6〜20のアリールチオ基、総炭素数1〜20のアルキルアミノ基、総炭素数6〜20のアリールアミノ基、総炭素数7〜20のアルキルアリールアミノ基を表し、隣り合うXが二つのヘテロ原子を通じて5員環あるいは6員環を形成しても良い。R1〜R8は各々独立に水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは総炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。Y1〜Y3は各々独立に水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜20のアリールスルホニル基、総炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、総炭素数7〜20のアリールカルボニル基であり、同一窒素上のY2とY3が環状のイミドを形成してもよい。各々独立のY1〜Y3のうちの少なくとも一つは総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜20のアリールスルホニル基、総炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、総炭素数7〜20のアリールカルボニル基、あるいは各々独立の同一窒素上のY2とY3の少なくとも一組が環状のイミドを形成する。nは0〜14の整数を表し、lは1〜8の整数を表し、mは0〜14の整数を表し、n+2l+m=16である。Mは2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属を表す。〕
  2. 一般式(1)においてXが各々独立に水素原子あるいはハロゲン原子であり、R1〜R8は各々独立に水素原子あるいは総炭素数1〜20のアルキル基であり、各々独立のY1〜Y3のうち少なくとも3つが総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜20のアリールスルホニル基、総炭素数2〜20のアルキルカルボニル基あるいは総炭素数7〜20のアリールカルボニル基であり、2l+mが6〜16であり、MがCu、AlCl、TiO又はVOである請求項1記載の高耐久性近赤外線吸収化合物。
  3. 一般式(2)で表されるフタロシアニンと、一般式(3)で表される2−アミノチオフェノール誘導体、あるいはその類縁体の少なくとも一種を反応させた後に、スルホアミド化及び/又はアミド化及び/又はイミド化して得られる請求項1あるいは2に記載の高耐久性近赤外線吸収化合物の製造方法。
    Figure 0003888712
    〔式中、Zは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数6〜20のアリールオキシ基、総炭素数1〜20のアルキルチオ基、総炭素数6〜20のアリールチオ基、総炭素数1〜20のアルキルアミノ基、総炭素数6〜20のアリールアミノ基を表す。pは4〜16の整数を表し、Zのうちの少なくとも4個はハロゲン原子である。Mは2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属を表す。〕
    Figure 0003888712
    〔式(3)中、Y4は水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、あるいは総炭素数6〜20のアリール基を表し、R9〜R12は水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは総炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。〕
  4. スルホアミド化及び/又はアミド化及び/又はイミド化するためのスルホアミド化試薬、アミド化試薬あるいはイミド化試薬がスルホン酸ハライド、カルボン酸ハライド、カルボン酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物である請求項3記載の高耐久性近赤外線吸収化合物の製造方法。
  5. 一般式(2)においてZがハロゲン原子であり、pが6〜16であり、MがCu、AlCl、TiO又はVOであり、かつ一般式(3)においてR9〜R12が水素原子あるいはアルキル基である請求項4記載の高耐久性近赤外線吸収化合物の製造方法。
  6. 一般式(2)で表されるフタロシアニンが、C.I.ピグメントグリーン 7、C.I.ピグメントグリーン 36、C.I.ピグメントグリーン 37、あるいはC.I.ピグメントグリーン 38である請求項3記載の高耐久性近赤外線吸収化合物の製造方法。
  7. 請求項1記載の近赤外線吸収化合物を含有する近赤外線吸収樹脂組成物。
  8. 請求項1記載の近赤外線吸収化合物を含有する熱線吸収材。
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