JP3888002B2 - キャップのボトル封止機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルの内圧を加圧あるいは減圧させる内容物に適用するボトルに用いるキャップのボトル封止機構である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボトルの内圧を加圧あるいは減圧させる内容物が充填されているガラスやポリエチレンテレフタレート(PET)などのボトルの口頸部には、内容物の保護のため、シールリリース角度(開栓開始位置からボトルの内圧が変化するまでの角度)が大きいキャップが使用されているが、このようなキャップとしては、特表平9−501636号公報に記載されたボトル封止機構をもつキャップが知られている。例えば、図4に示すように、キャップ(100)の天板(110)下面の内周縁部に、リング状支持部(130)を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部(140)を内側へ突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に係止リング(141)を上方へ突設し、天板下面のリング状支持部の内側に、リング状封止部を係止する係止リング(111)を下方へ突設したものであり、このキャップの下端に、ラチェット(爪車)を内面にもつスコアを破断可能に接続してタンパーエビデントキャップなどに使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来のボトル封止機構をもつキャップは、キャップのリング状封止部とボトル口頸部との接触面積が小さいことがあり、流通過程、保管時及び店頭展示時の外的衝撃により、また、口部の傷などと相まって、ボトル内圧に変化を発生する事故(開封して内容物の漏れなど)を起こすことがあった。
【0004】
本発明は、上述の従来のボトル封止機構をもつキャップの問題を解決したものであり、流通過程、保管時及び店頭展示時の密封性が良好で、また、ボトルの寸法変化に追従可能なキャップのボトル封止機構を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、キャップをボトルの口頸部に装着したときに、キャップがボトルの口部を封止する機構において、キャップの天板下面の内周縁部に、リング状支持部を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を内側へ突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に係止リングを上方へ突設し、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面で連続し外側に段差をもつ密着リングを下方へ突設し、且つ、天板下面のリング状支持部の内側に、リング状封止部を係止する係止リングを下方へ突設したことを特徴とするキャップのボトル封止機構である。
【0006】
【作用】
本発明のボトル封止機構を備えるキャップは、キャップの天板下面の内周縁部にリング状支持部を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を内側へ突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に係止リングを上方へ突設し、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面で連続し外側に段差をもつ密着リングを下方へ突設し、且つ、天板下面のリング状支持部の内側に、リング状封止部を係止する係止リングを下方へ突設している。キャップがボトルの口頸部に装着したときに、図5(a)に示すように、リング状封止部(140)がリング状支持部(130)下端で内側へ折れ曲がり、天板下面とボトルの口頸部(210)の上端口部(211)の外側面との間に挟まり、同時にリング状封止部の内周縁部上面に設けられた係止リング(141)が、天板下面に設けられた係止リング(111)に当接して係止する。そして、リング状封止部(140)には、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面で連続し外側に段差をもつ密着リング(142)を下方へ突設しているため、リング状封止部の下面が、ボトルの口頸部の上端口部外側面に、接触面積が比較的に大きくしかりと密着する。このため、キャップのボトルの密封性が良好であり、また、ボトルの口部の寸法変化にある程度の範囲で追従可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のキャップのボトル封止機構は、ボトルの内圧を加圧あるいは減圧させる内容物を充填するボトルの口頸部に装着するキャップに適用するものであり、このボトル封止機構を有するキャップは、適度の弾性をもつ熱可塑性樹脂を用いて、射出成形法によりワンピースで作製されるものである。通常、このボトル封止機構は、キャップの下端にラチェット(爪車)を内面にもつスコアを破断可能に接続したシールリリース角度を大きく求めるタンパーエビデントキャップなどに適用されるものである。
【0008】
そして、上述のキャップのボトル封止機構は、キャップの天板下面の内周縁部に、リング状支持部を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を内側へ突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に係止リングを上方へ突設し、根元周縁部下面に内側が凹面状に曲面で連続し外側に段差をもつ密着リングを下方へ突設し、且つ、天板下面のリング状支持部の内側に、リング状封止部を係止する係止リングを下方へ突設するものである。
【0009】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。
<実施例1>
実施例1のキャップは、外径が30.65mmであり、図1に示すように、周壁(120)の内側近傍位置の天板(110)下面の内周縁部にリング状支持部(130)を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を垂直方向内側へ内周先端が10°下方へ傾斜させるように突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に、断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リング(141)を上方へ突設し、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面(R1 )(断面形状の径が5mm)で連続し外側に段差(h1 )(高さが0.1mm)をもつ密着リング(142)を下方へ突設し、天板下面のリング状支持部の内側に断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リングを下方へ突設したものであった。
【0010】
<実施例2>
実施例2のキャップは、外径が30.65mmであり、図2に示すように、周壁(120)の内側近傍位置の天板(110)下面の内周縁部にリング状支持部(130)を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を垂直方向内側へ内周先端が10°下方へ傾斜させるように突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に、断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リング(141)を上方へ突設し、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面(R2 )(断面形状の径が2.5mm)で連続し外側に段差(h2 )(高さが0.2mm)をもつ密着リング(142)を下方へ突設し、天板下面のリング状支持部の内側に断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リングを下方へ突設したものであった。
【0011】
<実施例3>
実施例3のキャップは、外径が30.65mmであり、図3に示すように、周壁(120)の内側近傍位置の天板(110)下面の内周縁部にリング状支持部(130)を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を垂直方向内側へ内周先端が10°下方へ傾斜させるように突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に、断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リング(141)を上方へ突設し、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面(R3 )(断面形状の径が0.1mm)で連続し外側に段差(h3 )(高さが0.2mm)をもつ密着リング(142)を下方へ突設し、天板下面のリング状支持部の内側に断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リングを下方へ突設したものであった。
【0012】
<比較例1>
従来の一例のキャップである比較例1のキャップは、外径が30.65mmであり、図4に示すように、周壁(120)の内側近傍位置の天板(110)下面の内周縁部にリング状支持部(130)を垂設し、このリング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を垂直方向内側へ内周先端が10°下方へ傾斜させるように突設し、このリング状封止部の内周縁部上面に、断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リング(141)を上方へ突設し、天板下面のリング状支持部の内側に断面形状が60°の頂角をもつ三角形状で高さが0.2mmの係止リングを下方へ突設したものであった。
【0013】
<評 価>
次に、上述した実施例1、実施例2及び比較例1について、コンピューター解析図により、ボトル口頸部に装着したときの状態を比較検討した。図5(a)は、実施例1のキャップをボトルの口頸部に完全に装着したときの状態を示すものであり、図6(a)は、実施例2のキャップをボトルの口頸部に完全に装着したときの状態を示すものであり、図7(a)は、比較例1のキャップをボトルの口頸部に完全に装着したときの状態を示すものである。そして、図5(b)は、実施例1のキャップをボトルの口頸部に装着途中の状態を示すものであり、図6(b)は、実施例2のキャップをボトルの口頸部に装着途中の状態を示すものであり、図7(b)は、比較例1のキャップをボトルの口頸部に装着途中の状態を示すものである。これらの図を比較検討すると、実施例1及び2は、比較例1に比較してリング状封止部(140)のボトル口部(211)に対する接触面積が大きくしっかりと密着してボトルの密封性が良好と判断できる。なお、リング状封止部は、ボトル口部の外面とかなり下方まで接触しているため、ポリエチレンテレフタレート製の延伸ブロー成形ボトルの口部の内倒れに対して非常に有効である。
【0014】
次に、実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1について、それぞれキャップをボトル口頸部に締め込んでいったときのトルクの推移を測定した。この巻締め角度とトルクの関係を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
表1を見ると、比較例1は、実施例1、実施例2及び実施例3に比較してトルクを発生する角度が大きい。このことは、キャップを取外し方向へ回したときに、比較例1が最も早くトルクが0となる(シールリリース角度が小さい)。また、実施例1、実施例2及び実施例3は、比較例1よりシールリリース角度が大きく、また、トルクが大きく密封性が良好なことを示している。なお、実施例3は、キャップを取外し方向へ回したときに、トルクの減衰率が途中で少なくなるが、実施例1及び実施例2より早くトルクが0となる。これは、実施例3の内容物が炭酸飲料などの加圧性内容物を想定したものであり、ベント性を付与したものである。
【0017】
【発明の効果】
本発明のボトル封止機構を備えるキャップは、キャップがボトルの口頸部に装着されたときに、リング状封止部がリング状支持部下端で内側へ折れ曲がり、この下面に密着リングを突設するリング状封止部が天板下面とボトルの口頸部の上端口部の外側面との間に挟持され、リング状封止部の内周縁部上面に設けられた係止リングが、天板下面に設けられた係止リングに当接して係止し、リング状封止部の下面が、ボトルの口頸部の上端口部外側面に、接触面積が比較的に大きくしかりと密着して、ボトルの密封性が良好であり、シールリリース角度が大きく、また、ボトルの口部の寸法変化にある程度の範囲で追従可能なキャップである。
【0018】
また、本発明のボトル封止機構を、キャップの下端にラチェット付スコアを接続したタンパーエビデントキャップに設けると、キャップのタンパーエビデンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のキャップのボトル封止機構を示す要部の部分断面図である。
【図2】実施例2のキャップのボトル封止機構を示す要部の部分断面図である。
【図3】実施例3のキャップのボトル封止機構を示す要部の部分断面図である。
【図4】比較例1のキャップのボトル封止機構を示す要部の部分断面図である。
【図5】(a)は、ボトルの口頸部に実施例1のキャップを完全に装着してときのキャップのボトル封止機構を示すコンピューター解析図であり、(b)は、装着途中のキャップのボトル封止機構の状態を示すものである。
【図6】(a)は、ボトルの口頸部に実施例2のキャップを完全に装着してときのキャップのボトル封止機構を示すコンピューター解析図であり、(b)は、装着途中のキャップのボトル封止機構の状態を示すものである。
【図7】(a)は、ボトルの口頸部に比較例1のキャップを完全に装着してときのキャップのボトル封止機構を示すコンピューター解析図であり、(b)は、装着途中のキャップのボトル封止機構の状態を示すものである。
【符号の説明】
100……キャップ
110……天板
111,141……係止リング
120……周壁
130……リング状支持部
140……リング状封止部
142……密着リング
210……口頸部
211……口部
Claims (1)
- キャップをボトルの口頸部に装着したときに、前記キャップが前記ボトルの口部を封止する機構において、前記キャップの天板下面の内周縁部に、リング状支持部を垂設し、該リング状支持部の下端内周縁部に、リング状封止部を内側へ突設し、該リング状封止部の内周縁部上面に係止リングを上方へ突設し、根元周縁部下面に、内側が凹面状に曲面で連続し外側に段差をもつ密着リングを下方へ突設し、且つ、前記天板下面のリング状支持部の内側に、前記リング状封止部を係止する係止リングを下方へ突設したことを特徴とするキャップのボトル封止機構。
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