JP3887874B2 - 高純度アンモニア水の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高純度アンモニア水の製造方法に関する。更に詳しくは、該アンモニア水を大量にしかも効率よく、コンパクトな装置を用いて製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高純度アンモニア水は、半導体用のシリコンウエーハ及び半導体デバイスのウエット洗浄用途に使用されている。また、使用量の増大につれ、オンサイト製造なども検討され始めている。
これらの用途に使用される半導体用薬品は、近年益々高純度のものが要求される状況にある。特にメタル不純物では10ppt以下のレベルが要求され始めている。
【0003】
高純度アンモニア水は、例えば活性炭吸着や蒸留により精製したアンモニアガスを超純水に吸収させる方法など種々の方法で製造されるが、何れの方法もアンモニアガスを超純水に吸収させる方法である為、目的とするアンモニア濃度を得るには混合(または攪拌)操作が必要である。その場合、アンモニアガスを吸収させながら目的となる濃度になるまで、ポンプ等で循環混合する事になり時間がかかる問題がある。時間短縮を図る為には大型の装置が必要となるため経済的ではない。
【0004】
この吸収方式として例えば、特開平8−119626号公報のアンモニア水の製造装置の項に記載されているように超純水またはアンモニア水中に、アンモニア飽和水により洗浄されたアンモニアガスを噴出させて吸収させる方法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
半導体用高純度アンモニア水の品質に関してはメタル不純物と微粒子の低減が重要であり、最近は、特にメタルは10ppt以下が要求され始めている。
本発明の目的は、半導体用のシリコンウエーハ及び半導体デバイスのウエット洗浄用に要求される上記の条件を満足する高純度アンモニア水の効率的な製造方法を提供する事にある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
即ち、本発明は液体アンモニアまたはアンモニア水を蒸発させて得られるアンモニアを液体アンモニアとし、該液体アンモニアを活性炭で吸着処理した後、加圧蒸留精製して得た液体アンモニアを液体の状態で水とラインミキサーで、混合して、高純度なアンモニア水を得る事を特徴とする高純度アンモニア水の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる原料のアンモニアは、工業用の液体アンモニア或いはアンモニア水を蒸発させ、冷却、加圧下で得た液体アンモニアが用いられる。
また、精製した液体アンモニアと混合する水は、超純水と呼ばれる比抵抗値18Mohm・cm以上の水を使用することが好ましい。この超純水は、市販されている超純水製造装置で容易に製造が可能である。
【0008】
本発明方法の好ましい方法を図1及び図2記載の製造フロー図に基づいて説明する。工業用などのアンモニアを蒸発させて得た液体アンモニア(1)を10kg/cm2 〜15kg/cm2 の範囲の圧力下で、予め活性炭の吸着塔(2)で吸着処理した後、加圧状態で蒸留精製(3)する。加圧蒸留は連続操作でも回分操作でもよい。
【0009】
連続操作の場合、加圧蒸留の条件は、液体アンモニアを連続的に仕込みながら、ボトム温度35〜45℃、トップ温度35〜45℃、塔内圧力を13〜15kg/cm2、還流比 0.1〜1で行うことが好ましい。
トップより流出する精製されたアンモニアガスをコンデンサー(4)により冷却液化した後、液体状態で受け器(5)に貯める。
【0010】
このようにして得られた加圧蒸留で得られた精製された液体アンモニア(8)に、超純水(9)を一定の混合比率(例えばアンモニア濃度28.5%になるように制御される。)になる様に、比例制御されたそれぞれの流量調節弁(10、11)よりラインミキサー(ディスパージョンミキサー)(12)に導入し、次いでプレート式熱交換器(13)により混合の際に発生する熱量を除去する。
【0011】
この時、圧力はアンモニアがガス化しない様に圧力調節弁(15)により一定に保持される。この際の圧力は、通常7kg/cm2である。
濃度の調整は、濃度計(または密度計)(16)と上述の流量調節弁(10、11)との信号のやりとりで行うような制御方式により実施される。
プレート式熱交換器(13)からフィルター(14)、次いで圧力調節弁(15)を出た高純度アンモニア水(17)は製品貯槽に充填される。製品貯槽に代えて運搬用の専用のコンテナー、タンクローリーでも良い。
【0012】
一般的には、製品貯槽に一旦貯め、必要に応じて運搬用のコンテナーやローリー等に、更にフィルターを通して充填される。
本発明方法は、精製した液体アンモニアを超純水とラインミキサー(ディスパージョンミキサー)を通して、それぞれのラインに設置した流量調節弁により所定の濃度になるように精密に混合し、混合の際の除熱はプレート式熱交換器を用いる事により、効率的に高純度アンモニア水を製造することができる。
【0013】
液体アンモニアをラインミキサーを用いないで直接超純水に混合させる場合は、均一な混合調整が出来ないばかりか、発熱による圧力上昇があり非常に危険である。
尚、装置の材質に関しては、SUS304でも良いが、フッ素樹脂をライニングしたものがより好ましい。
【0014】
上記方法において、活性炭で処理と加圧蒸留の工程を加圧蒸留後、活性炭処理に変える方法は、活性炭からのパーティクルや微量の金属不純物による汚染が予想されるので好ましくない。
また、液体アンモニアまたはアンモニア水を蒸発させて冷却、液化したアンモニアを、活性炭処理のみ或いは、加圧蒸留のみでも不純物の除去が完全でなく、好ましくない。
【0015】
この様にして製造されたアンモニア水は、極めて不純物が少ないので現状はもとより、次世代半導体製造用途(64MDRAM以上)に充分使用できるものである。
更に、液体混合方式であるためアンモニアのロスが少なく(従来の吸収法だと仕込み量の数%ある。)、製造装置は小型で済み、流量制御を精密にすることにより濃度調整のための中間槽が要らなくなるという利点がある。製造・出荷に要する時間がほぼ半減と大幅に短縮できることも分かった。
【0016】
また、蒸留器との併用で、今後のオンサイト方式によるアンモニア水製造への展開も期待できるものである。
以下に実施例をあげて詳しく説明する。
【0017】
【実施例】
実施例1
予め活性炭塔(2)により予備精製された工業用液体アンモニアを210kg〜230kg/hrでボトム温度35〜45℃、塔内圧力を13〜15kg/cm2に制御した加圧蒸留塔(3)に供給し、トップより流出する精製されたアンモニアガスをコンデンサー(4)により冷却液化した後、液体状態で受け器(5)に貯めた。
【0018】
次に、この精製した液体アンモニア(8)を重量百分率で28.5%となる様に、超純水(9)を、比例制御されたそれぞれの流量調節弁(10、11)よりラインミキサー(12)に導入し、発生する熱をプレート式熱交換器(13)により除去しながら混合後、0.1μmのフィルターを通して専用のコンテナーに充填した。
【0019】
ここで使用したラインミキサーはテフロンライニング仕様で、プレート式熱交換器(13)はSUS304の材質のものを金属不純物の溶出をなくすため、充分アンモニア水による共洗いを行った後に使用した。
得られたアンモニア水の品質は第1表に示した様に極めて高品質であった。
【0020】
【表1】
Figure 0003887874
Figure 0003887874
【0021】
Figure 0003887874
その他の重金属(Ag、As、Au、B、Ba、Be、Bi、Ga、Ge、Mo、Nb、Sb、Si、Sn、Ta、Ti、Tl、V、Zr)もすべて、定量限界以下の水準であることをICP質量分析装置及びICP発光分析装置等で確認した。
【0022】
比較例1
蒸留精製操作までは実施例1と同じで、混合調整をSUS304製の濃度調整槽で、蒸留塔から出てくるアンモニアガスを予め仕込んでおいた超純水に吸収させて製造した。この時の濃度調整はアンモニア吸収液をポンプで循環冷却しながら行った。最終濃度は28.5%であった。
【0023】
得られたアンモニア水の分析値を表2にしめす。
実施例1の表1に示す分析値と比較例1の表2の分析値を比較すると本願発明方法の方が純度が高い。
この理由は、吸収操作及び混合調整のための冷却循環操作によって濃度調整槽内面、ポンプ等の接液部からの微量金属の溶出が促進されるためである。
【0024】
【表2】
Figure 0003887874
【0025】
【発明の効果】
本発明方法は、精製された液体アンモニアと超純水を、液体アンモニアがガス化しないように圧力制御しながら一定の重量比でラインミキサーを通して混合し、この時の発熱は、プレート熱交に除去する単純な方法で、極めて不純物の少ない半導体のウエット洗浄用途に適した高純度アンモニア水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明によるアンモニア水の製造フローにおけるアンモニアの精製フローを示したものである。
【図2】 図2は本発明によるアンモニア水の製造フローにおける精製された液体アンモニアと超純水の混合フローを示したものである。
【符号の説明】
1 液体アンモニア
2 活性炭塔
3 蒸留塔
4 コンデンサー
5 受け器
6 ヒーター
7 廃液
8 精製された液体アンモニア
9 超純水
10 流量調節弁
11 流量調節弁
12 ラインミキサー
13 プレート式熱交換器
14 フィルター
15 圧力調整弁
16 アンモニア濃度計
17 製品

Claims (3)

  1. 液体アンモニアまたはアンモニア水を蒸発させて得られるアンモニアを、液体アンモニアとし、該液体アンモニアを活性炭で吸着処理した後、加圧蒸留精製して得た液体アンモニアを液体の状態で水とラインミキサーで、混合して、高純度なアンモニア水を得る事を特徴とする高純度アンモニア水の製造方法。
  2. 液体アンモニアと水との混合は加圧状態で混合の際の除熱はプレート式熱交換器を用い、混合の割合は、圧力調節弁の出口に設置した濃度計または密度計により決める請求項1記載の高純度アンモニア水の製造方法。
  3. 水が比抵抗値18Mohm・cm以上の水である請求項1または2記載の高純度アンモニア水の製造方法。
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